愉しいファッション
それは管理にたいするはぐらかし、軽い反抗、すくなくとも無関心の旗じるしになっている。そうまでいわなくても、愉しいファッションは、それは由緒とか根拠とかを幻惑させる。わけてもわたしは、女子高を出てすぐにOLになったような娘たちや、中学や高校を出て就職しているような若い男たちが、休日や祝日に、安そうだけれど恰好のいい、ラフなファッションを着こなして闊歩している姿を、盛り場の雑踏に見るのが好きだ。
(「ファッション」1984.9「アンアン」平凡出版に掲載 「重層的な非決定へ」1985.9大和書房に収録された)
隆明鈔--吉本隆明鈔集
(「ファッション」1984.9「アンアン」平凡出版に掲載 「重層的な非決定へ」1985.9大和書房に収録された)
- 吉本さんの世代は、戦争の統制の時代だったからだ。吉本さんがコム・デ・ギャルソンの衣装を着て「アンアン」に登場した。埴谷雄高は、この姿にまず衝撃をうけ、次にその衝撃が憤怒と変わる。これは「国防婦人会」とかが若い女性の長い袖を切っていた姿勢と同じである。コム・デ・ギャルソンの服と「死霊」とは、等価値というよりは、もはやコム・デ・ギャルソンの方に「現在」を読めるものが存在する。「ファッションはさりげない不服従のしるしだ」
隆明鈔--吉本隆明鈔集
2006年12月10日(日) 14:05:53 Modified by shomon