古楽夢
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kusakidoshoten 2024年04月24日(水) 22:52:47履歴
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NEW 古楽夢
今更?今頃?今一度 この話、あるいは皆さんご存知でしたかね。
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NEW 古楽夢 45
木 蓮 忌 (4月20日) 「例の会」についての例の話
"うららかや藪の向こうの草の山" "水ぬるむ杭を離るゝ芥かな"
雑賀進.著の『実説内田百�痢�に「例の会」という会の由来と経緯が書かれている。
昭和47年、百鬼園先生の一周忌の二次会で神保町のランチョンに集まった呑助が定期的に集まろう、という話になり二.三回後に会の名前が決まる。当初のメンバーは上田健次郎(晩春郎)・小林博・内田克己・平山三郎・村山古郷・江國滋(滋酔郎)など錚々たる顔ぶれ。
本書には第1回目からの記録簿が紹介されている。(洋食店の公給領収書まで)6回目の席は、有楽町の｢卯波｣。おかみは「春燈」同人の真砂女。古郷、晩春郎は此処の常連。11回目の時、呑むうちに臨時句会になり、爾来屡々この形をとるようになった。いい句が数多く残されている。
「ほっかりと木蓮の闇百�隆�」・「蕗味噌はほろほろ苦し百�隆�」(晩春郎)
「夏草や二級河川の曲がりかた」・「おほぞらに黒き烏城や百�隆�」(滋酔郎)
「有頂天となりしワセダの砂場かな」・「木蓮や雨のみ多き百�隆�」(さぶろ)/
「よべの満月美しかりし代田かな」・「夜桜や先生は死にき師は死にき」(古郷)....
会は足掛け9年続いて昭和55年8月の第61回が最終会となる。内田百�痢∧鵡翩患官爐麓擽發涙�落。昭和46年没。墓は中野区金剛寺。「木蓮や塀の外吹く俄風」の句碑とともにある。
※岡山城は烏城 と呼ばれる。店主｢ランチョン｣は古書会館の側なのに一度行っただけ。主に角の立食い蕎麦。
◆次の機会には、角田喜久雄氏を中心に集った同じ名称の「例の会」について触れよう。
NEW 古楽夢 44
春分・末候(雷乃声を発す) 3月27日今年初めて燕を見る
毎朝10時、郵便局で注文品を発送して山麓を遠回りして帰るのだが、今日、快晴の空に燕が5〜6羽が誠に嬉しげに飛び交うのを見た。
今年の燕の初見。「今年も来たよ」と頭上でご挨拶をしてくれる。
その可愛らしい姿、携帯 ではとても捷さについて行けず撮れません。
←近所のお宅の生垣の五葉木通 が満開
側溝の横のわずかな土にキツネノボタンが開花しました→
今来たと顔を並べるつばめかな (一茶)
NEW 古楽夢 43
頼りのスーパーがまた閉店 エフコープ黒原店
「エフコープ黒原店はオープンして23年、長きにわたり地域の皆様にご利用をいただいてまいりましたが、入居する建物の老朽化に伴い、2024年1月12日18時をもちまして、閉店することとなりました。皆様には大変なご不便・ご迷惑をおかけすることになり、誠に申し訳ございません。移転地につきましては未定ですが、今後も継続して適切な移転候補地を探してまいります。」10月頃だったか､このような告知があり､
我が家の食卓を支えていた一軒がまた消えた。
数年前には、自宅から歩いて2分の「新鮮市場」が閉店。昨年は散歩がてら通った「マルショク大畠店」も消えてしまった｡特にFCO-OPは､産直野菜コーナーと肉売り場を目当てに､週に1度は通った｡豚肉は「尾鈴豚」が置いてあり、当地ではNo1.の味だと思う。鳥肉もブランド名は無いが頗る旨い良品。魚売り場には国産天然海老が並び、エビ好きには堪らなかった｡肝臓の数値が気になる酒飲み爺の必需品､シジミも筑後川産が置いてあった｡小粒で味が濃く(大粒のはシジミじゃない!!)故郷の特級品「涸沼のシジミ」を彷彿とさせて絶品。まずは味噌汁にして飲んだ後は、箸で摘んで、生姜と佃煮にして酒のアテに。
もひとつ特筆すべきは、トマトジュース。カゴメもデルモンテも改悪されてて、唯一Ｃ国産じゃないのを此処で見つけた。ただ減塩品しかないから、毎朝、岩塩と粗挽き胡椒を振りかけ飲む。
10日、最後の買物に出かけた。小雨が降る中、馴染んだ建物を撮影。侘びしかった。レジ周りでは従業員の方が撤収準備をしていて、お客同士は「寂しい」「近くに店無いから困った」などと立ち話。最終日も行こうと思ったが、最後を見るのが辛すぎて行けなかった。また旨い食材を求めて食品厳選の旅が始まる。
古楽夢 42
高齢者運転講習 認知機能検査 解答のコツ
先日、免許更新の為の『認知機能テスト』を受講してきました。3年前、自動車教習所で『動体視力テスト』や『反射神経テスト』『運転実技テスト』などを受けた際「これは確かに安全運転技量診断としては実効性があるな」と感じたが、今回は運転免許試験場での簡易なテスト。内容はと言えば、「大砲は武器です」「リンゴは果物です」などという幼稚園生相手のような問題。対応した職員にも年長者への尊敬の念が感じられないものだった。更に試験後に渡される成績表に「『この結果が良くても認知症ではない』とはいえない」という文章が書かれていて「何の為のテストじゃ」とツッコミたくもなったが、普段の店主は相当呆け呆けで、あながち否定も出来ぬ。事故防止策として?お国が決めた事ですから粛々と従い無事合格しました。
『パネルに4枚の絵が現れて、それが4組、都合16枚の絵を覚えよ』。これがＡＢＣＤの4パターンあって、試験毎にアトランダムに出題される。流石に64枚の絵をダラーッと覚えるのも難しいし、16枚１Setの答えを出すので、全部一括して覚えても、記憶が混じり合い逆効果。今回は事前にインターネット上で各問題を確認してみて、昔からよくある「ストーリーを作って覚える」という手で挑戦しよう、と決めた。(警察庁HP-pdfで見られます)
例えば爺が受けた日の出題は(Ｄ)ストーリー作りが難しい組だった。【刀・アコーディオン・足・テレビ】【カブトムシ・ウマ・カボチャ・包丁】【筆・ヘリコプター・パイナップル・スボン】【スズメ・ひまわり・のこぎり・ソファー】/画面最初に｢刀｣が出た時、一番出来の悪い話の繋がりだったので、舌打ちしたい程だった。(Ｄ)『刀で足を切られて、傷痍軍人になりアコーディオンを弾いてるのがTVに映されて...』という連想で、まあ最初の一枚目で16枚を見終わる前に答えが書ける訳です。(見終わるまで回答用紙を開けませんが)(Ｄ)出題拡大図
問題が公開されていて変更も無いようだから｢どう答えを覚えていくか｣だけという、試験と言えるものかどうか...準備無しで適当に参加しても、最低38点で合格ですから、ほとんどの方は通ると思いますが、落とされたら時間とられて面倒、という方は予習下さい。様々なサイトに「語呂合わせ」で覚えるものがUPされていますが、他人の作ったものを覚えるのも難儀。店主のように、ストーリー式にされると良いと思います。ただ問題の絵以外の名詞をなるべく使わず、動詞や形容詞で話を繋ぐように注意して下さい。
今回店主が作った4つのストーリー。頭の4枚は筋が通っているので参考にお見せできるが、その後はシュールレアリスムのオートマティズムのような感じで、恥ずかしくて公開できぬ。刺激があった方が記憶に残る、と(Ａ)の｢モノサシ｣と｢スカート｣の所などは「●を●で捲りあげて」なんて調子だ。
(Ａ)大砲の音が耳に入ったらオルガンやラジオの音を消して...(Ｂ)戦車が目に見えたら太鼓を叩きステレオを消して...(Ｃ)機関銃で親指を撃たれ琴が弾けなくなったが電子レンジは使える...(やっぱり変か)
いいシーンが書けたなあ、というのは(Ｂ)の3セット目-万年筆で日記を書いて 飛行機で脱出 レモンで気付けし コートで変装して敵から逃れる の条 かな。
いずれにしても、今回の試験を通じて、何年か後に免許証返上するまで、事故無きよう安全運転に心がけよう、と肝に銘じた次第です。
古楽夢 41 牧野富太郎とバイカオウレン
NHKの朝ドラ｢らんまん｣今回の作品は久しぶりに大人が見るに値する作品。｢牧野富太郎の生涯を描く｣という所が何より嬉しい。一応｢植物専門｣を任じている当店としては、在庫過多の植物図鑑が売れ始めてくれるのでは?と儚い望みも湧いて出る。第1週の副題はバイカオウレン。(めったに見られない花デス)
牧野富太郎博士は江戸時代末の1862年に生まれた。
お話は5歳の時からスタート。第3話迄見て、脚本.演出.カメラ.すべて素晴らしく、名作になると確信。2話で｢亡くなった父上も、見えないけどいるんだよ。天狗もいるんだよ｣という母の言葉通り、神社に彷徨い出た主人公の前に天狗が現れるのだが、聴視者には羽織の家紋から竜馬だと分かる。(2話のタイトルでは[天狗]の表示。3話では坂本龍馬になっているのが憎い)｢日本国中で天狗が立ちあがっちょる｣と、竜馬役のディーン・フジオカが話す。確かに維新の志士は｢天狗｣だ。ドラマの端緒は丁度1867年、竜馬はこの12月に暗殺、翌年は明治元年。全国の女性ファンが恋い焦がれるD.フジオカは朝ドラ｢あさが来た｣で五代友厚を演じ一躍スターとなった。この時は元薩摩藩士、今回は土佐脱藩だ。大河ドラマ｢竜馬伝｣で姉｢乙女｣を好演した広末涼子、本作では母親役で毎朝泣かせてくれる。金満のNHK、人気役者を出したい放題だ。
さてキンポウゲ科オウレン属のバイカオウレン。手近の図鑑を当たると、山と渓谷社の｢日本の野草｣には掲載無し。(現在在庫無しの高山植物の巻かも?)山渓ハンディ図鑑の｢山に咲く花｣には、葉の形等の違う、ミツバオウレン.ミツバノバイカオウレン.オオゴカヨウオウレン.オウレン(別名キクバオウレン)と見開き
2頁に亙り掲載あり。平凡社の｢日本の野生植物｣は第II巻に。どれも手放せない写真図鑑です。
※｢天狗｣の話。店主は亡父から｢曽祖父は水戸天狗党で敦賀の鰊蔵で死んだ｣と信じ込まされてきた。古本屋になってから調べてみたら大嘘と分かった。江戸詰めの砲術などを扱う隠密同心で、支藩宍戸藩主松平頼徳を将とする大発勢として、水戸は三の丸の弘道館に立てこもった保守派の説得に向かうのだが、無体なる仕儀で幕府軍によって処刑されてしまった。(三島由紀夫は、故無く切腹させられたこの悲運の藩主の頼徳の末裔なのである)この方便(曽祖父は天狗党)は親父の老婆心だったと気づいた事は以前コラムに詳細に記した。天狗党が挙兵した筑波山は、北方系と南方系の動植物の分布が重なり、1000種類以上の植物が息づく。固有種にツクバキンモンソウ・ツクバトリカブトがある。筑波金紋草は太平洋側に産する多年草。類似するニシキゴロモは日本海側に多い。 ※4月10日追記↓↓
ドラマのタイトルに登場する垂れた黄色の花が気になり、世界文化社の生物大図鑑に発見。トサジョウロウホトトギス!牧野先生が土佐の横倉山で発見した、高知県にのみ分布する固有種。ジョウロウは｢上臈｣の意。天狗の「お前は一生を賭けて何がしたいんだ?」の問いに「この花の名前が知りたい」と母の大好きな花に向かって叫ぶ牧野少年。この思いを抱き続け、植物の研究に全霊を傾けられた一生であった。
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古楽夢 夢の間
【クサギ-草木染で青色に発色する植物】 8月の花
普通に川沿いなどに咲いている。また街路樹にも使われる。葉に悪臭があるゆえの名だが、花はそんなに嫌な匂いでもない。草木染で青色に発色する植物は、この臭木 と藍しかない。
今は咲き始めで白花だが、果期には萼片は平開して紅色になり、果実は光沢のある藍色に熟す。この実を採集して、熱煎した染液に入れてすぐ浸して染める。くさぎ染は特に媒染剤を必要とはしない。
◆詳しい染色方法は、山崎青樹(著)草木染染料植物図鑑を参照下さい。
古楽夢 40 小倉発祥の蓮門教-教祖島村ミツの墓
今更?今頃?今一度 この話、あるいは皆さんご存知でしたかね。
毎日の散歩コース、広寿山福聚寺までの道沿いの墓地に一際高い石碑が聳え立っている。ずっと気になっていたのだが、いつまでも確認せずにいるのも、と失礼を顧みず石段を上ってみた。高い竿石の下には新しい墓誌があり「島村音吉の霊ここに眠る」と刻まれている。とりあえず刻まれた碑文を撮影し戻ってネットで調べてみた。浅学店主不知の新興宗教、蓮門教の教祖、島村ミツの墓であった。島村音吉はその夫である。
北九州中央図書館のサイトより「蓮門教」の詳細を転載させて頂く。
蓮門教は明治初期に小倉で発祥した教団。最盛期にはおよそ100万人の信徒がいたともいわれる。小倉の堺町に大教会を建立、東京にも豪壮な教堂を建て、華族･高官の支持を得ていた。教祖は島村ミツ(1832〜1904)という山口生まれの主婦。大病を機に日蓮宗の柳田素人の門人となり、明治10年に神道蓮門教を設立。明治16年小倉の古船場に道場を開き教祖となった。後に尾崎紅葉たちに淫祀邪教と非難され、衰微をたどり始めた。教典がなく、後継者に人を得ることが出来ず、
ミツの没後に教団は壊滅。文学-小説としては、この本部で育った島村欣吾が「神と人の座」を10回に亙り「九州文学」連載。劉寒吉は小説「神と人の記録」を執筆。
【参考文献】
◆『蓮門教衰亡史』 奥武則著 現代企画室 1988年<K179/ｵ>
◆『研究紀要 ２』北九州市歴史博物館編発行 1994年<A275.2/ｹ/2>（蓮門教とその教義２１〜26頁）
◆『福岡県百科事典』下 西日本新聞社福岡県百科事典刊行本部編発行 1982年<K030/ﾆ/2>（1100頁）
◆『小倉藩史余滴』 米津三郎著 海鳥社 1995年<K211.3/ﾖ>
◆『九州文学』 昭和16年1月第28冊 劉寒吉著・昭和35年10月第187号〜203号 島村欣吾著 九州文学社
◆『「萬朝報」の蓮門教記事』明治27年2月22日〜明治27年11月21日
◆米津三郎. 連門教の興亡 明治宗教史上の”白昼夢”. ひろば北九州 ’81第2号（通算15号） p. 22P〜26P (当館請求記号 K179／ﾚ, 当館資料番号 0011190097)
※以上は国立国会図書館のデータベースとも共用されている。
墓所までの散歩道には、人の栄枯盛衰を知らぬかのようにアヤメ・ノイバラ・キランソウ(ジゴクノカマノフタ)が咲き始めていた。この話、あるいは皆さんご存知でしたかね。
以下店主記述
■明治27年頃には、隆盛を極め、天理教と並び称されていた教団がどのように消滅していったかは、第19回「宗教法学会」の報告書に詳しい。(pdfとして以下のサイトに公開) http://religiouslaw.org/cgi/search/pdf/199102.pdf
■尾崎紅葉が明治25年に「紅白毒饅頭」という小説を読売新聞に連載開始。27年に万朝報が「淫祠蓮門教会」というタイトルで蓮門教攻撃キャンペーンを全94回に亙って連載などとあるので、あるいは原本で読まれた方もおられるやも知れません。
■禅宗の古刹、大坊の墓地に邪教とされた教団の教祖の墓がある経緯は分からずに居る。
■3月30日にWHOが出した、コロナワクチン接種のガイドラインは、(テレ朝ニュースでも取り上げられた)
「60歳未満の健康な成人や基礎疾患のある子どもについては、1回の追加接種は推奨するが、2回以上の追加接種は"公衆衛生上の効果は比較的低い"として、推奨しないとの見解を示した。」
今更何!?という感じ。東京にコレラが流行った際、御神水を飲めば治るなどとしたのが原因で蓮門教は滅びていくのだが、繰り返し繰り返し新型コロナワクチン接種を強要してきた方々はその誤謬を謝罪しないで良いものか...未だに非合理的、理不尽な世界に我々は住んでいるようだ。
古楽夢 39
今年も関門海峡の潮汐表頂きました
関門マーチス(第七管区海上保安本部 関門海峡海上交通センター)発行のマリンガイド
関門海峡海上交通センターは、門司と小倉の境目、JRの線路を跨いで国道3号線と199号線を繋ぐ高架橋の直下にある。関門海峡は航路が狭い上に屈曲していて、更に強い潮流があり、航海の難所。このセンターは24時間体制で海の安全を見守っています。パンフには信号の種類や航行のルール、津波対策、台風対策、走錨事故防止ガイドライン(小型船舶用)、AIS(船舶自動識別装置)の運用について、潮流信号所の表示(Eは東流・Wは西流・０〜13は流速[ノット]等)・巻末の潮汐表は、干潮満潮、月の満ち欠け、潮流の東西と速さが一覧表示されていて、読むだけでも楽しい。[↓各図はクリックで拡大します]
●このパンフレットは、同センターで無料配布されています。岸壁釣りやボート.ヨット等でマリンレジャーされる方、海好きの方には必携の一冊。共に海のルールやマナーを守り、海の難所の安全に寄与していきたいと思います。
※マーチス=MARINE TRAFFIC INFORMATION SERVICEの頭文字
※関門航路潮流概略図・関門海峡付近参考図などを覚えておくと、市外より訪れた方に色々説明ができる。
門司に住んでいるのに、海峡の仕組みをあまり知らないという方には是非読んで頂きたい一冊。
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古楽夢 38
伊豆紀行(1-往路編)
12月1日から、やっと重い腰をあげて、伊豆に残してきたままの自宅に帰りました。
(冬は富士山がよく見えて嬉しい。手前の山は愛鷹山、裾野の平野は丹那盆地。)
新名神や、亀山-新四日市の新ルートで快適なスピードを維持できるようになりました。吹田を通らずに高槻に抜け、すぐ天王山トンネル、というのは大助かり。(太陽の塔が見られないのは少し寂しい)
吊り橋の連続が怖い伊勢湾岸道路を過ぎると、第二東名は夜になるのですが、3車線の巨大で昼のように明るいトンネルの連続で恐怖感ゼロ。隧道こそトラックの車列を追い抜く区間です。(笑)120Km制限も全然速いと感じない。(追い抜き時は130Km)岡崎JCTからアッという間に沼津ICに着きます。そこから函南-大場まで伊豆縦貫道の無料区間が使えて昔とは大違い。後は畑毛温泉を抜けて、山道を登るだけ。
日本で一番安価な、アルトという軽自動車ですが、すこぶる性能が良く、エンジンの吹き上げも絶好調。リッター21Kmも助かる。全行程約1,000Kmを14時間(十分に休憩入れて)走破できます。朝6時出で20時着。
韮山はどこからでも富士山が見られます自宅はこの尾根の頂上付近にあります。高度300m位かな。
5日間かけて、家の周囲の草刈りと、生い茂った木々の枝打ちや伐採。平成元年に植えたゆずの木から、30ケ程のゆずがとれました。半年早ければ、山椒の実がとれたのに...現在放置状態のお隣さんが「果樹園にするのよ」と植えた小さなミカンの木が、当家の屋根を超え、枝が窓まで伸びていて、たわんでいる。この枝を切らせてもらったら、夏みかんのように大きなミカンが5つ程頂けました。酸っぱいけれど、これがミカンの本来の味、と感じました。
ガスは止めているので、風呂は下山して、温泉に行かなくてはなりません。真下の「駒の湯源泉荘」に通ったものですが、経営が変わって入湯料が倍に。長岡温泉の古奈に、あやめ湯という温泉銭湯があるという事で、300円につられて行ってみたら、休業日。横に浄土真宗弥勒山西琳寺。伊豆国の古奈で生まれた菖蒲御前 。京で鳥羽上皇に仕え、院中一の美女だった。後に源頼政の妻となるが、頼政は平家打倒で挙兵し平等院で討死。菖蒲は郷里に戻り弥勒堂の下に草庵を結んで頼政の菩提を弔ったのだという。その所縁の古刹。で、好ましい裏道はあやめ通りで、銭湯はあやめ湯という訳だ。もっけの幸い、眼前のあづまや旅館が日帰り入浴の営業中。古奈の源泉はすこぶる熱かったが好都合。私は長湯はできない質で温い 温泉向きではないのだ。
【画像クリックして頂ければ、拡大してご覧になれます】
※
北九州と伊豆韮山、あまり関係性が無いように思われるが、豈図らんや。
同時に世界文化遺産の登録を目指し、見事認定されたのであります。
これがチャレンジした際のプロモーション用の団扇。その年、反射炉に行ったところ、丁度入館料無料デーで、ペットボトルのお茶は頂けるし、ガイドの方まで付いて下さいました。真夏で暑かった。江川代官は、江戸湾にお台場を作った事でも有名。韮山の反射炉には遠く佐賀藩の技術者が来て協力をしたという。水戸藩も烈公の命で那珂湊に反射炉を作り、鹿島灘沖出没する外国船を追い払う計画だった。いずれも大砲づくりには失敗。そういえば、大和ミュージアムに、機関銃を発明した仏のホチキス社はアームストロング砲の特許を買い取った、という説明があったナ。(あれこれ見すぎて記憶が拡散)
富良野ビールは限定で、函南のイオンで見つけた。ホップが実に美味。静岡と千葉の工場で製造、との事で焦って1ケース買ってきたが、何のことは無い、門司は大里のマックスバリューにも並んでいた。(すぐ売切)
往路のお土産は、丹那牛乳。自宅の真下の丹那盆地で作っている。これがもう実に美味い!それのクッキーなのだが、これまた絶品。牛乳パックかな?と思って掴むと軽いので最初は誰もが大笑いとなる、お薦めの菓子。
古楽夢(37)【ポワロとポアロ】(例によって推理小説の説明は隔靴掻痒にて失礼)
NHK放映のクリスティ原作「クリスタル殺人事件」を見た。この時期の放映は放送局の
「コロナ騒ぎを煽ろう」という深意も感じられたが、作品自体は出来が良く面白く視聴した。実はこの作品は見逃していたのだ。理由は当時流行った「なんとなくクリスタル」から安易に流用したタイトルのせい。映画の原題は「Mirror Crack'd」謎解きもさることながら、豪華キャストの名演技を楽しむ一作だ。
監督は、007のガイ.ハミルトンで、流石にそつがなく文句の付け所が無い。大女優、男優の競演!!1980年のリズテイラーの美しさには驚くし、キム.ノヴァクはヒチコックの
「めまい」に魅了され続けている爺だが、本作品でも、なかなかの弾けぶりで楽しめた。
劇場公開は大成功したようで、映画パンフが大量入荷すれば、本作が必ず混じっている。
勿論初版でなければ、100円である。
しかし原題の「鏡は横にひび割れて」はテニスンの「シャーロット姫」の一節という事らしいが、欧米人には馴染み深い詩なのだろうか?ラストシーン、主人公がソファーを舟に見立てて死んでいく意味、女優としての矜持、日本人には完全には理解されていないのでは?
古本屋の主 は読書の指南を請われる事が多く、答えは予め用意してある。「SFは何から読んだらいいんですか?」には、ハインラインの「夏への扉」と即答。「クリスティは何がお薦め?」には、
ミス.マープル物なら「火曜クラブ」。ポアロなら「--登場」か「--事件簿」を。なるべく新刊で出ている文庫本を推薦する。推理小説は短編が好きなのだ。トリック、登場人物を短い話で使い切るから贅沢だと思うのだ。マープル、ポアロ、トミー&タペンス、クィン氏、パーカー.パインと数多くの探偵を生み出した女史。店主は、難解な事件も、自分の住む田舎町の下世話な出来事に照らし合わせて解決する安楽椅子探偵、ミス.マープルが一番の好みだ。
ポアロの短編集が丁度店に2種類並んで在庫していた。ハヤカワミステリは名探偵の表記が「ポアロ」で創元推理は「ポワロ」である。(著者名もクリスチィ)前者は昭和53年(1978)初版の小倉多加志訳、後者は1960年初版で小西宏訳なっている。小西訳ではポワロの感嘆時の台詞が時々フランス語になる。
En Vérité!(いかにも)とかVoyons!(さてと)とか表記されて、些か うざったいが、ポアロ&ヘイスティングスがホームズ&ワトソンとは違った雰囲気にすべくクリスティが意識した所だとは思う。縦書きの文に仏文が90°回転で並んで、読みのルビが右側に付き、更に注が下の()内に表記される、という煩雑さで、そこで読む速度のペースが狂いがち、だが「ポアロはベルギー人だがフランス語圏の人なので、興奮するとフランス語が混じるがフランス人に間違われるのを嫌う」という人物設定なので、小西訳は原文に忠実なのだ。小倉訳は仏語の部分もスルーして和訳のみで済ましている。純粋「物語の流れと謎解きにのめり込んで行ける読みやすさ」をとるなら、ハヤカワ本に軍配が上がる。「ポアロの雰囲気を醸し出して欲しい」という向きは、幾分古めかしい「ポワロの事件簿」をどうぞ。いっそ店主のように「読み比べ」も楽しい。両者、短編の題名も随分違っている。「猟人荘の謎」は「ハンター荘の謎」。時節柄笑ってしまった。昨年末からバイデン氏の息子のハンターを猟人 と言わないと、ネット動画やアカウントが消されるというのだから、U-tubeもTwitterも言論人の武器とは言えなくなった。
気を取り直して、早川版は1冊で、創元版は2冊本。ハヤカワ文庫は「事件簿2」収録の「戦勝舞踏会事件」「料理女を探せ」「マーキット.ベイジングの謎」「呪われた相続」「潜水艦の設計図」「プリマス急行」「コーン.ウォールの謎」「クラブのキング」の8作が割愛されている。ポワロの短編を全部読みたい、という事なら、創元版をお求めあれ。創元社の「クリスチィ短編全集」は、パーカー.パイン物等を含めて全5冊になる。元版は9冊だが重複書を省いて5冊で発行された。これも是非棚に並べたいところだ。
NEW 古楽夢(36)【少年剣士になりそこねた-水戸東武館】
日欧の剣道による交流記『日欧親善少年剣道使節団紀行』。店主の原点が入荷した。
ロンドン-パリ-ジュネーブ-チューリッヒ・ベルリンと剣を通じての親善に赴いた使節団の団長は、水戸東武館館長の小澤先生。先生は実は佐賀県巨勢町の生まれ。縁あって小澤家の養子となり水戸に根付かれた。戦後のGHQによる武道弾圧にも耐え、禁止令が解けた昭和28年、水戸大空襲で消失していた東武館を再建、少年剣士の育成に特に力を注がれた。長きにわたる水戸の、いや日本の剣道の復活の為に心血を注がれた生涯にただ敬服。
実は義弟の副館長、小澤武次郎先生こそ母校、水戸一高での担任の先生なのである。その優しさと厳しさを兼ね備えた先生の人格を超える人に出会った事はありません。幼年時、寒稽古が嫌で(裸足で道場まで走って通うのです。水戸の冬の朝は毎日零下である。)父親に背き、剣の道から逃げたのをただ不甲斐なく反省している。まさか高校に入って、一年の担任が小澤先生とは!!何たる巡り合わせ。東武館門弟になるのを逃げたのを隠してました。先生は覚えていたかも...剣道の時間には、真剣での居合斬りなど見せて頂きました。何時も微笑んでおられた先生に叱られた覚えは皆無。その威厳に逆らう事など有りえませんから。何せ本身で青竹叩き切るんですよ!(笑)
東武館は剣道(北辰一刀流)・居合(新田宮流居合抜刀術)・なぎなた部があり、現在も多くの門弟で賑わっていると聞く。ちなみに理事長は参議院議員の岡田広氏。この方、実は水戸南町の「岡田屋」という和菓子店のご子息、まあ倅で、直接の面識はなかったが、弟さんが爺と同い年。南町は三の丸小学校の学区で別。中学は一緒だが違うクラスだった。現在は兄上の議員秘書をされているとか。広氏、まことに温厚、純潔な人で、ウチのオヤジが死んだ後も、その頃は市長だったのに、気さくにオフクロに会いに来ては励ましてくれていた。
店主の名誉の為に付け加えれば、暑い夏は「水府流の水術」に真面目に通っていた。当時は小学校にプールが無く、那珂川に架かる水府橋真下の「水場 」で褌を締めて泳ぐのだ。横泳ぎが主で、片手を上げて(刀を水に浸けないように)泳ぐ
「片手抜き」とか格好いいですよ!今のようにクロールとかのスピード重視の指導ではなかった。浮く事、溺れない事が肝要である。頭と両手に扇を持ち、立ち泳ぎをする模範演技なども見ることができた。優雅だった。川で泳ぐのは結構難しいですぞ。肢体の力を緩めて、水面に浮かび対岸を見上げれば、聳え立つ城跡の台地。後にその本丸にある高校に通うことになるのだった。弛みない大河の水音。蝉しぐれ。白雲と紺碧の空。この話、あるいは皆さんご存知でしたかね。
★日欧親善少年剣道使節団紀行★
昭和57年全日本剣道道場連盟・会長-小沢丘.発行/[A5判127p]/◆序文=園田直・田中龍夫・笹川良一/◆団長=水戸東武館長=小沢武/「文武不岐」「交剣知愛」「以心伝心」の精神がヨーロッパにも根付いていた!!日欧の剣道による交流記!!
◆(35)店舗開業から一年 時代の流れに棹さして
『青春の町』高円寺と『無暦堂』さんの思い出
寺院の号 。さらぬよろづの物にも名をつくる事、
昔の人は少しも求めず。
ただありのままにやすくつけけるなり。このごろは深く案じ、
才覚をあらはさんとしたるように聞ゆる、いとむつかし。
人の名も目なれぬ文字をつかんとする、益なき事なり。
何事も珍しき事を求め異説を好むは、
浅才 の人の必ずある事なりとぞ。【徒然草116段】
「送料が売価を圧迫し通販も限界。これからは原点回帰の『店』だ」と大見得を切り、丁度一年前の
1月、実店鋪開店した。その四度目の古本屋開業から、速や一年。この間 、多くの友人、ご同業から
「よくぞ言った」「ようやった」との励ましも頂き、汗顔の至りである。個人的には、実店鋪での「古本屋稼業」は誠に楽しく、日々やりたい事のできる喜びを大いに謳歌しているが、同輩、後輩の方々に
「この方向で行くべし」とは言い難く、何か別のアプローチを提示できないものか、と思案の末、又々閃いたので公表させて頂く!!対象の懸案について、凝念していれば、道は開けるのが森羅万象を貫く道理であります。(実はそんなに大層な事でもないのですが...(笑))
[古本の店売りだけでは、家賃分が出ない」というので、ネット販売(以前は目録通販)や「古本市」など出張販売でその赤字を補填して営業してきたが、それもついに一線を超え、「自宅でネット販売一本に絞る」というスタイルにまで後退してきたのが、昨今の古書業界の形だった。これに一石を投じようと
「ヤッパ店だよ」というアンチテーゼを掲げ、更に自ら実践した身を切る実験でも、店売りでは到底食べていかれない事は実証された。
そこでだ。店-畳む-自宅に籠もるという発想を逆転させて、【自宅を無くして店に住む】と考えれぱ、本屋を続ける事が可能ではないか?と提案したい。
そもそも、爺の店は、過去三度とも「住付貸店舗」だった。所帯持ちでも、店の裏に一間、２階に二間もあれば大好きな仕事が出来るのだから良しと言えよう。ましてや、独身であれば、居住空間は３畳で十分。立って半畳、寝て１畳である。「住付店舗」。出久根さん、虹さんなど古本屋は言うに及ばず、昔のお店 は皆このスタイルだった。店と自宅が別、というのが土台ロスだったのだ。
爺の２軒目の店は、店が3坪、この真上に６畳があると考えて欲しい、店の帳場の裏に３畳のPCやFAXなど完備した事務室兼食事場。台所とトイレで３畳分あり、垂直に近い階段を登った２Fに６畳間。ここに二段ベッドを置き下段部分に目録品の在庫を置き、上段はカミさんと愛犬の寝床。店の真上の６畳は、ほとんど本で埋め尽くされ、ダンボールの間で爺が寝ていた。この時代も極貧だったが、命ギリギリ働いて、振り返れば楽しい時代だった。台所の裏手には小さな庭もあり、ここにクロガネ倉庫を建て『スーパーダイエー古本市』用の在庫50函積んでいた。
「店舗に住む」というオーソドックスな案、疾 うの昔に進言した仲間の事を思い出す。まだ東京組合中央線支部に在籍していた頃だ。当時「早大三羽烏」実の名は「赤貧三人組」と呼ばれていたのが、当店と、円居書店さん、それに無暦堂さんだった。円居さんの店は田無、無暦堂さんはなんと井の頭線の三鷹台駅に店があった。お店には何度か伺ったが、中野や高円寺のゴミゴミした街と違い上品で、立教女学院の令嬢が逍遥する洒落た街だった。店の裏には、畳の部屋があり「高円寺から通ってないで、ここに住めばいいのに」と勧めたものだ。おまけに、大家さんがとてもいい人で、家賃を数ヶ月溜めても「お金が入ってからでいいよ」と文句も言われないとの事だった。これは益々店で生活すべきと思うが、高円寺という街はゴミゴミしているが物価も安く、商店街の広がりが違うし、当時は、ライブハウスもあり、古本屋が20軒もあった駅である、捨てがたいのも分かる。爺の育った西部古書会館もここにあり、市場が毎週２回、土日は古書展覧会が開催されていた。神田-早稲田-本郷に次ぐ「古本街」と言ってもいい地区である。爺も連日飲み歩き、歌い叫んだ青春の街である。
円居、無暦ご両人はまたここでも、支払いは月末でいいよ、という優しい定食屋さんとスナックを近所に持っていて、まこと羨ましい限りだった。
無暦さん、一度小田急デパート展の直前に、講談社学術文庫を大量に持ち込まれた。この時も売り主の方が「支払いは、売れてからでいいよ」と言ってくれたらしい。勿論バカ売れしたのは言うまでもない。爺と違い「人徳」があるのに違いない。誰もが彼を助けてあげたくなるのである。
爺、49歳の時、癌になり生死を彷徨ったのだが、何とか一命をとりとめたその翌年、完治せずヨロヨロしながら「所沢古本まつり」に参加していた時分、無暦さんが疲れ果てた感じでバックルームに蹲ま っていたので<「あまり無理せず、一度検診にいった方がいいよ」と声をかけた。そして間もなく中野の早稲田通り沿いの病院で癌が見つかり、しかももう手遅れ、という事で...私より若い48歳での憤死だった。
同業が亡くなって、こんなに悲しんだ事はなかった。自分が癌になった時より辛かった。野田市の斎場で葬儀があったのだが、無暦さんのご親族の方が「こんなにみなさんに慕われていたのですか!!」と驚かれた位の参列者の列だった。支部の仲間は勿論、属していた資料会のメンバーも涙涙であった。多分、前年私が死んでも、こんな悲嘆に包まれた葬儀にはならなかったと思った。やはり「人徳」である。
1994年、中央線支部の機関誌部を任され「支部報」を編集発行したのだが、その中で『店名ベストワン』を決定した事がある。「本名派」(山岡.えびな)・「地名型」(穂高書房)・「動植物型」(楽古堂.うつぎ書房)・「文学系」(畸人堂.円居)、そして「概念派」(千年堂.独楽書房.ユマニテ)と分けて候補を絞り、全体で栄えある第一位に輝いたのが「無暦堂」さんだった。(私の独断で決めただけなんですけどね...「本名 」の両名は機関誌部理事だったので...)
当店なども、「何とか自分の想いを店名に託して...」なんて事を考えて呻吟した口でありますが、兼好法師も言っているように、本名を店名にしている方が一番「渋い」上に、昔も今もみな商いに成功してらっしゃるんですがね。(当地の一流店、今井・佐藤両店とも「本名派」である) これからの古本屋の実店鋪は?という命題に突き当たっていたら、懐かしい無暦さんの事が思い出されたので、少しエピソードを書き記してみた。
「店に住んで経費削減!!」今、商店街は危機に瀕していて、街中空き店舗が目立つ。格安物件も多い。今、5万円のアパートに住んでNET販売をしている、というような場合は、あと1〜2万上積みしても、住付店舗に移転されたらいいと考える。勿論ここを基点にNETも外売もやるのである。結局「ふりだしに戻る」しかない、という、至極単純な結論。それが一年間、実店鋪を開いて得た結論であります。「なあんだ」という感想が聞こえてくるようですが、古本屋を続けたい、古本屋として死にたい、という熱い想いはこの方法でしか貫徹できないのだと確信しています。
この話、あるいは皆さんご存知でしたかね。
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※画像の上から2枚目は草木堂最初の店。1984年6月24日12時開店のスナップです。早速友人が駆けつけてくれた集合写真も左に足しておきましょう。皆若かった。何時の時代も女性達に助けられて生き延びて来た爺であります。女性陣、この中の一人は、すでに多発性側索硬化症で亡くなりました。(涙)
女性軍には、ロックバンドを組んでいた時代から「面子があるから、男連中には借りられん」なんて甘っちょろい事を言って、借金したりメシを食わせてもらったり...。まあ有り体に言えば、ヒモですな。無謀な事を始める私にオナゴ達は何時も文句を言いつつも加勢してくれます。まあ爺が「ヤル」と言い出したらきかないので諦めているのだろう。
※私が組合加盟した年の「支部報」編集は出久根達郎氏。私のとは格段に格調高い編集でした。翌年には、上に貼った「中央線沿線古書店ガイドマップ」が発行された。これには当店も掲載に間に合いました。高野哲夫さん、鳩書房の高橋弘氏、沼袋の北原奉昭さん(なんでも鑑定団の北原氏の兄上)それに若くして亡くなった、狛江の田中順氏。筆頭に大御所竹岡昭さん。そして出久根さんが編集に名を連ねています。マップ欄外の、沿線ミニ情報がいかにも出久根さんらしい。1993年に『佃島ふたり書房』で直木賞を受賞されるのだが、支部報の翌年1985年に念願の単行本『古本綺譚』を出されて、高円寺の市場に風呂敷に包んで持参された。「サインも書きますから」と愛想を振りまいたら、意地の悪い業者から「書き込みありになっちまうな」なんて声が出たのを、昨日の事のように思い出します。男のヤッカミ程、恥ずべきものはない。古本屋としての心構えからお教え頂いた、同郷の偉大な先達、爺の誇りとする人であります。
※徒然草、橋本治(文)・田中靖夫(絵)の、現代語版。
古文苦手な方にも楽しく読めます。笑えます。
※追記:最初の店の屋号の看板、今、写真で見てみると、板を彫る時間が無かったようで、紙に草木堂と書き、巻いて誤魔化している。勿論この後、ずーっと暇な店番が続いたので彫り上げ、二軒目までは確か同じ看板を壁に掲げていた。一軒目は、店の裏に台所付の部屋は付いてたが、トイレが共同で煩雑で、金も無いくせに、練馬区中村南の畑の横に一軒家を借り通う事にした。これが愛犬を飼うという人生の分かれ道に繋がるとは...
【各画像-クリックして頂ければ拡大されます】
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◆(34)捕物帳を読む--「釘抜藤吉捕物覚書」
昨年1月末から、門司の黄金町に新規に店を開き、週3日営業を始めた。但し13時から17時半の営業。これ以上は体力的に無理である。癌で胃を全摘しているので外食ができない為、自宅で30分かけて昼食を摂る。更に同程度は横にならないと腹痛を起こすので、13時開店が精一杯。また夕食の為、閉店して18時までには自宅に戻らねばならぬ。店を覗いてみたい、と考えておられる方には、極めて短い営業なのでご迷惑をおかけしている。
古書店にみえるお客様の集書分野は、実に多岐の分野に亘っている。商いはすべてお客様次第だから、古本屋の主は、どんな会話にも付いていかなくてはならない。今回四度目の開店をしてすぐ、モダンJAZZ好きの方が来店された。JAZZの中でも不得手なジャンルだったから、入門書を漁り、また市場でCDを落札しては聞き込み、付け焼き刃にしろ、全体の流れは掴むことができた。好き嫌いではない。当然の仕事である。35年間こんな具合に、お客様のニーズに合わせて、鉄道関係、アイドル写真集、書道、翻訳文学...と広く浅くではあるが、頭の隅に叩き込んできた。どんな分野にも、概説の書はあり、歴史と評価が掴めれば、自分なりの古書価を付けられるようになるものである。
そんな爺が「仕事」としてはなく、「好き」で読む本といえば、何を隠そう「捕物帳」なのである。病院入院中も、こればかり読んでいた。暇な催事や売れない店番の時も、捕物帳が最高の友である。多くは短編なので、仕事の合間に読むのに丁度いいのである。大好きだった漫画家で考証家の杉浦日向子さんが「江戸時代に若旦那として生まれたかった」とおっしゃっていたが、爺も同感で「江戸時代にタイムスリップしたい」と常々言っていたが、思えば当家は僅か 数代前は「士族」だったから、詰まらぬ失態で切腹は嫌なので前言を取消した事があった。
「捕物帳」今までは、ただ乱読して、「これはチョット面白い」「これは全然ダメ」と大半は読み捨ててきたが、少し系統だって考えてみよう、という気にさせられたのが、「釘抜藤吉捕物覚書」だ。店主が読んだのは、河出書房刊の昭和40年発行の「一人三人全集」の、林不忘(時代・捕物)の巻。二段組で細かい字なので、老眼には難儀だったが、これが実によく書けている。
【釘抜藤吉捕物覚書】全13話
◆01 のの字の刀痕◆02 梅雨に咲く花◆03 三つの足跡◆04 槍祭夏の夜話◆05 お茶漬音頭◆06 巷説蒲鉾供養
◆07 怪談抜地獄◆08 無明の夜◆09 怨霊首人形◆10 宇治の茶箱◆11 影人形◆12 悲願百両◆13 宙に浮く屍骸
※ネット上に14話、と記載されているサイトもあるが、全13話が正確なところである。
その巻末に「半七と右門のあいだ」という題で、都筑道夫先生が解説を書かれていたのである。ちゃんと考える人は考え、資料に当たられているのだ。以下はその要約である。
日本のシャーロックホームズ物語を江戸を舞台に置き換え、見事にモダンディテクティブストーリーに仕上げてある名作「半七捕物帳」。話が派手で、発端が異常なだけで、適当に事件を解決してしまう佐々木味津三の「右門捕物帖」。パロディとしてなら成立するが、とても推理小説としては成立していない。小説の発表順序としては「半七」「藤吉」「右門」と連なっていくのだが、林不忘の「藤吉」は、ディテクティブストーリーでありながら、時代小説を意識したあまり、推理小説らしさを希薄にしてしまったところなどが、「右門」へ繋がっていったのだと思う。捕物帳を推理小説とは認めないファンが時おりいるが、久生十蘭の「顎十郎捕物帳」や坂口安吾の「安吾捕物帳」のように近代推理小説の骨格をそなえたシリーズがちゃんとあるのだから、なおざりにしていいはずがない。
と記しておられる。慧眼であろう。林不忘・谷譲次・牧逸馬と使い分け全く別のジャンルの小説を書きまくった天才長谷川梅太郎。都筑道夫先生だって、ミステリからSF、捕物帳まで自在にこなし、一人雑誌という本まで出された超人的作家だ。半七の正統的後継作、「なめくじ長屋捕物さわぎ」シリーズは、店主も繰り返し繰り返し読み続けている。「からくり砂絵」がシリーズの中でも傑作揃いの一巻である。再三装幀を変えて出されているが、角川文庫の最初の山藤章二氏のカットのものがやはりいい。本文の行中にも山藤さんのカットが入っているのだ。
ちなみに「半七」「藤吉」「右門」「銭形」の初出の年を記載しておこう。
ビートルズが編み出したトータルアルバムと同じ発想「短編集全体でひとつのテーマを浮かび上がらせる」というのに成功した稀有の例が、泡坂妻夫大先生の「夢裡庵先生捕物帳」である。これは平成に入って、書かれた捕物帳の最高峰だと思う。
「びいどろの筆」（1989年2月 徳間書店 / 1992年11月 徳間文庫）
「からくり富」（1996年5月 徳間書店 / 1999年7月 徳間文庫）
「飛奴」（2002年10月 徳間書店 / 2005年1月 徳間文庫）で完結。
2017年12月 「夢裡庵先生捕物帳」として文庫上下巻に纏められ、
徳間書店から発売された。捕物帳ファンならずとも、時代小説、歴史小説の読者、江戸大好きの読書子も必読のシリーズだ。僭越ながら、古本屋の爺が折り紙を付ける。一話ごとに、推理する人物がバトンタッチされて行くのだが、どの人も極めて魅力的で、各々を主人公にしても、短編集が何冊もかけそうな人物造型なのだ。大サービスで、まことに勿体ないのである。講釈好きの小僧、蕎麦屋の女主人、医者、読売屋、易者、彫師...まさに市井の人の織りなす大河ドラマとなっていて、こんな素晴らしい了見を持った人々の生き抜いてきた町が、巻末で薩長の田舎者 達に破壊されていく寂しさ、虚しさが読者の胸に突き刺さってくるのだ。上野の戦さの後、夢裡庵先生「これで江戸も終わったな」と呟くのであるが、江戸の「粋 」や「鯔背 」「気風 」「心意気」「義理人情」は今もなお私達日本人の背骨 となって生き続けている。同心、富士右衛門、新しい時代をまた颯爽と生き抜いてくれたのだと、信じたい。
この話、あるいは皆さんご存知でしたかね。
【あとがき】
◆縄田一男の「捕物帳の系譜」もお薦めの研究書。そのあとがきでも触れられている、城昌幸の「若さま侍捕物手帖」・横溝正史の「人形佐七捕物帳」・坂口安吾の「明治開化-安吾捕物帳」なども爺の愛読書。またの機会のお話とさせて頂く。
◆都筑道夫先生に憧れたあまり、爺、ミステリを書く時の筆名を「雪戸毬夫」とした事もあった。あまり縁起のいい名ではないので、現在は「浅賀栗介」で統一している。「山野荘事件シリーズ」などホームページに連載を載せたりしたが、全く反響なしだった。(笑)浅賀栗介というペンネームだけでも、登録商標化しておいたらいいかも知れないね。
◆当家のルーツを探ってきて判明したのだが、ご先祖は父親が常々言っていた「水戸天狗党」ではなく、江戸詰めの武士で「大発勢」として、水戸の騒乱の仲介に入り、戦さに巻き込まれ、那珂湊辺りで戦死、もしくは獄死したようだ。砲術.鉄炮関連の隠密同心という事であった。もちろん下級武士である。
【幕末の水戸藩の騒乱の経緯と大発勢】
江戸藩邸の主導権をにぎった尊攘派鎮派は、藩主徳川慶篤にせまって藩内抗争を武力で収束することになり、支藩宍戸藩主松平頼徳を将とする部隊が水戸にむかった。これを大発勢という。水戸の鎮派を結集した武田耕雲斎の部隊も江戸へむかう途中で、幕府軍に進路をさえぎられ、大発勢に合流した。水戸城に迫った大発勢は、立て籠もる諸生派に入城をこばまれ、やむなく那珂湊にしりぞいた。天狗党もここに接近して、大発勢を支援する姿勢をとった。幕府軍は水戸の諸生派と連携して大発勢を包囲し、松平頼徳を誘い出して切腹させた。幕府軍はさらに那珂湊の大発勢と天狗党に総攻撃を加えた。....騒乱の鎮圧に向かったというのに、巻き込まれて、非業の死を遂げた、あまり釈然としない部隊であった。ちなみに、松平頼位(頼徳の父)の三女、松平高を母とするなつの孫が三島由紀夫である。稀有の作家の尊王思想の原型がここにあるやも知れない。
◆爺「ネットの時代はここまで、これから店舗だ」と息巻いてしまった行きがかり上、4度目の実店鋪を開店してしまったが、十分古本屋の「心意気」は天下に示せたと自負している。手持ちの預金は僅かしか無いが、よしんば使い果たそうとも、あとは「痩せ我慢」をするだけである。『強情灸』ならぬ『強情本屋』である。今年6度目の歳男。胸の内は頑固しか持ち合わせていない。
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閑話休題
手向山に椿を愛でに 2020年1月1日
全山に椿の大木の自生する、手向山。関門海峡を見下ろす絶好の公園となっている。やぶ椿、ちらほら開花していたが、今年は開花が遅いようだ。宮本武蔵の碑の横の山茶花は満開。地元では、佐々木小次郎に対する憐憫の思いが連綿と続いてきたのだろう、決闘の場所、舟島は、巖流島と名付けられ今に至る。
富野台住宅街から、小倉の工場地帯を眺望。右写真は遠く皿倉山を望む。砂津港の向こうに、サッカースタジアムが見えるのですが、写真の解像度悪く、判別できず御容赦。ここをフランチャイズにするギラヴァンツ北九州は、今年J2に昇格して闘う。小林監督はすこぶる有能な人、次は是非J1を目指して欲しい。この海辺の球場で、我が鹿島アントラーズとの対戦を見てみたいものだ。小倉には長い間「住友金属」があったので、(現在鹿島在住の義兄もしばらく小倉に勤務していた。当時は、まさか新日鉄住金(現日本製鐵)になるとは誰も想像もしていなかったが...)ギラヴァンツのみならず、アントラーズを応援してくれる市民も多いと思う。※天皇杯、イニエスタの神戸に完敗。ワールドカップに勝つ為、クラブチームの優秀な選手を海外のリーグに送り出し、世界レベルの選手にしていく、というのがJリーグ発足の理念だったし、鹿島からは次々と海外へ選手が飛翔していった。2020年。そんなスタイルも次のステージにさしかかっているのかも知れない。世界のレジェンドがJリーグに普通に参加してくる、また国内の選手も驚異の年俸で自チームに集めてくる。そんな時代に入っていくのかも知れない。野球でも、仙台のファンは、そんな楽天方式に戸惑ってもいる、と聞く。私は、あくまで市民球団としてのカープを支持していく積りだが...
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◆(33)ノンステップバス ノンストップ
『大富豪同心』のエンディングテーマ曲『夢の振り子』は、ラフマニノフの『ヴォカリーズ』に似ている。
古本屋の日常は極めて平穏無事で、特段変わった事は起こらないから、日誌形式のいわゆるブログ開設は到底無理である。このコラムは身の回りで見つけた瑣細な事を、余りに凡庸なので「この話、あるいは皆さんご存知でしたかね」と逃げをうっておいて、ポツリポツリと書き記しているのでございまして。
「老人の繰り言」。読み流しての、お付き合いを給わりますように。
ネット通販の仕事は、いわゆる居職で、日がな部屋に籠もり、本の撮影-説明書き-ネットUP-受注-梱包-発送...の繰り返しであります。家を出るのは、歩いて5分の特定郵便局まで、多い日で2〜3度出向く時だけ。爺、ご送金頂いたら即発送しないと、気が済まないのである。実は昼過ぎと夕方にしか本局の集配車は来ないので、さっき出した荷物が窓口の奥に積んであるのを目撃する羽目になる。(笑)
去年から「規格外ゆうメール」が廃止になり、発送の大半が「クリックポスト便」になった。この郵便「追跡番号」が付くのが一番の利点。発送連絡の際、番号をお知らせするから、受付時間がお客様に即時に伝わり、「迅速丁寧」の誠意は感じて頂いていると信じている。当地の方言で申せば「せからしい」性質 で困るのだが、お客様の所有になったものを半日でも手元に置きたくないのである。
拙宅の老朽アパートはバス停の真ん前。次の停留所が郵便局前、そこまで白線を引いただけの歩道を歩く。注意するのは、センターラインの幅も越えるバスである。(バス路線は大体旧道である)ここは利用客が多いせいか、2系統5箇所行のバスが次々に来る。上下合わせると、5分に一台は通る。西鉄バスも、最近はノンステップバスというのが増えてきた。
そのバスが誰もいない郵便局前バス停を通過して、かなりのスピードで走り去ったのである。ここで、天の啓示か『ノンステップバス ノンストップ』というフレーズが閃いたのだ。いつも気の利いた文句を探している身としては、久々の閃きである。コラムは落語と同じで『マクラ』(つかみ)と『落ち』が必須なので、これを見つければ何とか新作をUPできるのだが、どう捻ってもこの地口では話が膨らまぬ。『ミケランジェロ イケンジャロ』とか『派遣スタッフ タフ』とか迷句はそこそこ浮かんではきたが、並べてみても「それがどうした!」である。
それでも何とか月に一度は、野草写真の更新と、コラムの新作を書かねば、とホットカーペットの上でゴロゴロしながら話の種を思案してみる。丁度手元にあったクラシックのダイジェストCDを聞いてみたら、まあ小さな発見はあった。
『ちかえもん』以来、久しぶりに楽しく見られたNHK金曜時代劇『大富豪同心』のエンディング.テーマ『夢の振り子』。この曲のイントロが、ラフマニノフの『ヴォカリーズ』のフレーズとそっくり、というのを発見したが少し地味で、みなさんの同意を得られそうにもないので、今月の「古楽夢」は絶不調という事で、ご勘弁願う次第である。
竹島宏歌う『夢の振り子』は今年発表された歌謡曲の中で唯一のヒット、出色の出来ではなかったろうか!!YouTube上では、坊さんから子供まで、曲に合わせて踊りまくっている。実にノリのいい名曲だ。「右も左も人生だって」なんて、鶴田浩二の『傷だらけの人生』以来の文句じゃござんせんか。まあ今どき「左」の若者なんざおりませんがね。爺も番組の終わりには、TVの前に立ち上がって踊ったものだ。
「こりゃ絶対年末の紅白確定で、中村隼人以下、稲森いずみ、渡辺いっけい、石井正則、竜雷太など出演者が勢揃いして番組の扮装で舞うな。絶対そこだけ見よう」と考えていたのに、何やら局上層部の「演歌歌手は減らせ」という指示があったようでで若手演歌歌手は軒並み落選。全国民があっけにとられたのではないか!!爺、実はこの曲は、竹島宏ではなく、山内惠介にピッタリの曲で、彼が歌うべきだったとは感じていたのだが...その山内惠介と三山ひろしは出演、という事は「中堅」という扱いか?じゃあ市川由紀乃は何故出られぬ。三人での「忠臣蔵」は素晴らしかったではないか!!一大ムーブメントを起こした自社番組と名曲を無視するとは!!今年の紅白、視聴者からソッポを向かれるだろう。
いやはや粋な「オチ」もなく野暮な「グチ」で終わるという。すっかりお茶も濁りまして、次号の巻き返しを乞うご期待という事にて、お後がよろしいようで...
『大富豪同心』のエンディングテーマ曲『夢の振り子』は、ラフマニノフの『ヴォカリーズ』に似ている。
この話、あるいは皆さんご存知でしたかね。
天皇杯 サッカーだけどラガーで乾杯!!
◆追記:サッカーJリーグ、誠に残念ながら、カープに続き、我がアントラーズもVを逸してしまった。寂しい冬を迎えた、そこに朗報!!新国立競技場完成である。来年の元旦は聖地での天皇杯復活だ!天皇杯-箱根駅伝と続いてこそ正月。昼ビールが美味い。サッカーだけどラガーなんちゃってね。
12月21日、準決勝の相手はV・ファーレン長崎。ホームのカシマスタジアムでの対決だから、かなり有利とは思うが、J2で唯一ここまで勝ち上がってきたチーム、努努 油断なく、戦って欲しいものだ。ジャパネットの高田元社長も多分来訪し、あの甲高い声で応援すると思うので要注意だ。サッカーだけに軽く一蹴して欲しい。元旦を楽しみに仕事に励みたい。NHKさん、アントラーズ優勝までの天皇杯中継、しっかりやって下さい。お願いします。
※補遺:家の前がバス停留所とは便利でいいねえ、と皆から言われるが、存外気を遣う事も多い。家から出た瞬間バスが止まったりすると、一旦引っ込んで待ってあげないと、ドアを開けて待ってくれるので、申し訳ないのだ。帰る時も、自宅前にバスがいる時は、かなり手前で止まって「乗りません」という意思表示をしないと乗客にも迷惑をかける。車で帰宅の時も、駐車場の入り口がバスの停車位置だから、出発するまで後方で待機。運転手さんは発進の際「ありがとう」の感謝を込めてはハザードランプを点灯してくれるので、毎度恐縮するのだ。まあいずれ運転免許を返上した暁には、日々バスのご厄介になる身である。やはり便利な所に住んでいるのだと幸せに感じなくてはバチが当たるというものかも知れぬ。
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◆(32)こけしブーム再到来?
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こけし、『小芥子』とも書く。発音する時は「こげす」と言うと、東北らしさが出て渋い。
わだすは水戸 の都会育ちだけんど各地の東北弁がとぐいなんだべした。
わーの好みで言えば、土湯系だべな。胴の模様がスンプルなものがめんこいな。
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今春の「小倉駅ナカ古本市」に某書店が木形子 を大量に出品したところ、これが有卦 に入 って、面白いように売れたのである。
搬入日にその書店のご主人から、「売れますかね?適当に値段付けてみたんですけど...」と相談されたのだが、このご時世、どんな商品に対してもだが「昔は売れたんだけど..」としか答えようが無かった。
ザッと見渡して、なかり筋のいい品ではあったけれど、熊本の地震後、不安定な形状の木形子を集めようという方がまだおられるのか?古本市の販売台に占める割合からして、採算に見合うか正直不安に感じたのだ。
爺、これが「遠刈田系」こっちは「蔵王系」と系統は説明できるものの、現在の相場にはすっかり疎く なっている。
東京の西武新宿線の都立家政に店を構えていた時分、隣の野方駅にまだA書店があった。その大先輩がこけしに詳しく「草木ちゃんも買ってみたら?」と誘われ、まず手引書を手に入れて、齧 った事があるのだ。勿論生兵法で、失敗に終わったのだが...写真の土橋慶三監修の『伝統こけしガイド』(1973年)はその基本図書で、これから蒐集を、と考える方は是非座右に置かれたい。
工人だ、年代だ、系統だ、と知識は暗記できるけれど、蒐集に当たって肝要な「見極めるコツ」となると、なかなか会得は難しい。本書の結論も、こけし鑑賞、鑑定の結局の結論は「感覚の世界つまり『勘』である」と記されていて、「『直感』を鍛える事しかない」とあり、どんな世界も一筋縄ではいかぬのだ、と嘆息するわけである。まあ良いもの優れたものを数多く見ては手にして、失敗を繰り返してしか、極意は掴めぬという事だけは言える。
さてその「春の小倉駅ナカ古本市」。いざ蓋を開けてみたら、コケシ、大きなものから小さなものまで、それこそ飛ぶように売れたので、今度はその理由を考えさせられる羽目になり、未だに結論は出ずにいる。単なる一過性のものか?今年、第三次ブームが勃興したのではないのか?現在何万という相場になっているものを、店主が格付けせず均一価格で並べたせいなのか?まあこの辺りが全ての勝因と言えばそうなのだろうが...爺の希望としては、勿論ブーム再燃を望むところである。
実は爺の初任地は山形で、こけしの取材は天童の将棋の駒づくりと並ぶTV取材の定番だった。後に、バンドをしながらアルバイトに明け暮れた時代、新井薬師の電設会社の仕事で、福島市で当時最先端の光ケーブルの融着の仕事をした折り、当初商人宿に泊っていたのだが、吾妻小富士の麓、鄙びた土湯の旅館でもあまり宿賃が変わらない、というので、しばらく温泉から通って仕事をした事がある。(バブリィだったナ)その時、随分こけしの作業場で轆轤 作業を見たものだ。風景も人も素朴そのもので、これが木地人形の魅力の根源なのだと感じた。
蛇足だが、温泉旅館で最初の1-2日目までは、「御馳走に温泉で極楽極楽」と上機嫌だったのだが、日にちを重ねるごとに、鍋の固形燃料の匂いまで鼻につき、御馳走にも飽き、また商人宿に舞い戻った。狭いポリバスに交代で入り、朝晩自分でご飯と味噌汁をよそって、シンプルなオカズで食べる、という暮らしに「やっぱ飽きない暮らしが最高」なんて言うに及んで、全く人間というのは我儘なものであると自戒したものだ。
さて今回の令和最初の古本祭。こけしでは「春の馬鹿売れの後追い」と言われそうなので、爺、粋に捻って郷土玩具の「土鈴」を取り上げてみた。数が足りなかったので、一台に玩具と版画を並べる事にした。
あくまで本屋なので「本」を並べてその現物も、という風にしたいので、版画の奥には『版画芸術』を配し、土鈴の奥には、『版芸術』の「郷土玩具特集號」を配置する目論見だったが、こちらはギリギリ落札できず、次回廻しとした。版画の方は、渡辺省亭花鳥図や、棟方志功のカレンダー分売、歌舞伎座カレンダー分売などが順調に捌けていた。
爺、次回、春の催事に木形子 を出品するなら、『こけし手帖』をその周囲に配して並べたい。本に拘る、まあ古本屋のささやかな意地である。
※追記:玉屋デパートの頒布品らしい湯呑。手に馴染むので愛用している。
底に『タマヤ創業175年祭記念』との記載。以前どこかのリサイクルショップで手に入れたものだ。
『こけし』ばかり気にしていたら、何やら土湯系に
見えてくるから愉快だ。
「こけしブーム再到来か?」この話、あるいは皆さんご存知でしたかね。
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古楽夢 バックナンバー
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NEW 古楽夢
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NEW 古楽夢 45
木 蓮 忌 (4月20日) 「例の会」についての例の話 "うららかや藪の向こうの草の山" "水ぬるむ杭を離るゝ芥かな"
雑賀進.著の『実説内田百�痢�に「例の会」という会の由来と経緯が書かれている。
昭和47年、百鬼園先生の一周忌の二次会で神保町のランチョンに集まった呑助が定期的に集まろう、という話になり二.三回後に会の名前が決まる。当初のメンバーは上田健次郎(晩春郎)・小林博・内田克己・平山三郎・村山古郷・江國滋(滋酔郎)など錚々たる顔ぶれ。
本書には第1回目からの記録簿が紹介されている。(洋食店の公給領収書まで)6回目の席は、有楽町の｢卯波｣。おかみは「春燈」同人の真砂女。古郷、晩春郎は此処の常連。11回目の時、呑むうちに臨時句会になり、爾来屡々この形をとるようになった。いい句が数多く残されている。
「ほっかりと木蓮の闇百�隆�」・「蕗味噌はほろほろ苦し百�隆�」(晩春郎)
「夏草や二級河川の曲がりかた」・「おほぞらに黒き烏城や百�隆�」(滋酔郎)
「有頂天となりしワセダの砂場かな」・「木蓮や雨のみ多き百�隆�」(さぶろ)/
「よべの満月美しかりし代田かな」・「夜桜や先生は死にき師は死にき」(古郷)....
会は足掛け9年続いて昭和55年8月の第61回が最終会となる。内田百�痢∧鵡翩患官爐麓擽發涙�落。昭和46年没。墓は中野区金剛寺。「木蓮や塀の外吹く俄風」の句碑とともにある。
※岡山城は
◆次の機会には、角田喜久雄氏を中心に集った同じ名称の「例の会」について触れよう。
NEW 古楽夢 44
春分・末候(雷乃声を発す) 3月27日今年初めて燕を見る毎朝10時、郵便局で注文品を発送して山麓を遠回りして帰るのだが、今日、快晴の空に燕が5〜6羽が誠に嬉しげに飛び交うのを見た。
今年の燕の初見。「今年も来たよ」と頭上でご挨拶をしてくれる。
その可愛らしい姿、
←近所のお宅の生垣の
側溝の横のわずかな土にキツネノボタンが開花しました→
今来たと顔を並べるつばめかな (一茶)
NEW 古楽夢 43
頼りのスーパーがまた閉店 エフコープ黒原店
「エフコープ黒原店はオープンして23年、長きにわたり地域の皆様にご利用をいただいてまいりましたが、入居する建物の老朽化に伴い、2024年1月12日18時をもちまして、閉店することとなりました。皆様には大変なご不便・ご迷惑をおかけすることになり、誠に申し訳ございません。移転地につきましては未定ですが、今後も継続して適切な移転候補地を探してまいります。」10月頃だったか､このような告知があり､我が家の食卓を支えていた一軒がまた消えた。
数年前には、自宅から歩いて2分の「新鮮市場」が閉店。昨年は散歩がてら通った「マルショク大畠店」も消えてしまった｡特にFCO-OPは､産直野菜コーナーと肉売り場を目当てに､週に1度は通った｡豚肉は「尾鈴豚」が置いてあり、当地ではNo1.の味だと思う。鳥肉もブランド名は無いが頗る旨い良品。魚売り場には国産天然海老が並び、エビ好きには堪らなかった｡肝臓の数値が気になる酒飲み爺の必需品､シジミも筑後川産が置いてあった｡小粒で味が濃く(大粒のはシジミじゃない!!)故郷の特級品「涸沼のシジミ」を彷彿とさせて絶品。まずは味噌汁にして飲んだ後は、箸で摘んで、生姜と佃煮にして酒のアテに。
もひとつ特筆すべきは、トマトジュース。カゴメもデルモンテも改悪されてて、唯一Ｃ国産じゃないのを此処で見つけた。ただ減塩品しかないから、毎朝、岩塩と粗挽き胡椒を振りかけ飲む。
10日、最後の買物に出かけた。小雨が降る中、馴染んだ建物を撮影。侘びしかった。レジ周りでは従業員の方が撤収準備をしていて、お客同士は「寂しい」「近くに店無いから困った」などと立ち話。最終日も行こうと思ったが、最後を見るのが辛すぎて行けなかった。また旨い食材を求めて食品厳選の旅が始まる。
古楽夢 42
高齢者運転講習 認知機能検査 解答のコツ
先日、免許更新の為の『認知機能テスト』を受講してきました。3年前、自動車教習所で『動体視力テスト』や『反射神経テスト』『運転実技テスト』などを受けた際「これは確かに安全運転技量診断としては実効性があるな」と感じたが、今回は運転免許試験場での簡易なテスト。内容はと言えば、「大砲は武器です」「リンゴは果物です」などという幼稚園生相手のような問題。対応した職員にも年長者への尊敬の念が感じられないものだった。更に試験後に渡される成績表に「『この結果が良くても認知症ではない』とはいえない」という文章が書かれていて「何の為のテストじゃ」とツッコミたくもなったが、普段の店主は相当呆け呆けで、あながち否定も出来ぬ。事故防止策として?お国が決めた事ですから粛々と従い無事合格しました。
『パネルに4枚の絵が現れて、それが4組、都合16枚の絵を覚えよ』。これがＡＢＣＤの4パターンあって、試験毎にアトランダムに出題される。流石に64枚の絵をダラーッと覚えるのも難しいし、16枚１Setの答えを出すので、全部一括して覚えても、記憶が混じり合い逆効果。今回は事前にインターネット上で各問題を確認してみて、昔からよくある「ストーリーを作って覚える」という手で挑戦しよう、と決めた。(警察庁HP-pdfで見られます)例えば爺が受けた日の出題は(Ｄ)ストーリー作りが難しい組だった。【刀・アコーディオン・足・テレビ】【カブトムシ・ウマ・カボチャ・包丁】【筆・ヘリコプター・パイナップル・スボン】【スズメ・ひまわり・のこぎり・ソファー】/画面最初に｢刀｣が出た時、一番出来の悪い話の繋がりだったので、舌打ちしたい程だった。(Ｄ)『刀で足を切られて、傷痍軍人になりアコーディオンを弾いてるのがTVに映されて...』という連想で、まあ最初の一枚目で16枚を見終わる前に答えが書ける訳です。(見終わるまで回答用紙を開けませんが)(Ｄ)出題拡大図
問題が公開されていて変更も無いようだから｢どう答えを覚えていくか｣だけという、試験と言えるものかどうか...準備無しで適当に参加しても、最低38点で合格ですから、ほとんどの方は通ると思いますが、落とされたら時間とられて面倒、という方は予習下さい。様々なサイトに「語呂合わせ」で覚えるものがUPされていますが、他人の作ったものを覚えるのも難儀。店主のように、ストーリー式にされると良いと思います。ただ問題の絵以外の名詞をなるべく使わず、動詞や形容詞で話を繋ぐように注意して下さい。
今回店主が作った4つのストーリー。頭の4枚は筋が通っているので参考にお見せできるが、その後はシュールレアリスムのオートマティズムのような感じで、恥ずかしくて公開できぬ。刺激があった方が記憶に残る、と(Ａ)の｢モノサシ｣と｢スカート｣の所などは「●を●で捲りあげて」なんて調子だ。
(Ａ)大砲の音が耳に入ったらオルガンやラジオの音を消して...(Ｂ)戦車が目に見えたら太鼓を叩きステレオを消して...(Ｃ)機関銃で親指を撃たれ琴が弾けなくなったが電子レンジは使える...(やっぱり変か)
いいシーンが書けたなあ、というのは(Ｂ)の3セット目-万年筆で日記を書いて 飛行機で脱出 レモンで気付けし コートで変装して敵から逃れる の
いずれにしても、今回の試験を通じて、何年か後に免許証返上するまで、事故無きよう安全運転に心がけよう、と肝に銘じた次第です。
古楽夢 41 牧野富太郎とバイカオウレン
NHKの朝ドラ｢らんまん｣今回の作品は久しぶりに大人が見るに値する作品。｢牧野富太郎の生涯を描く｣という所が何より嬉しい。一応｢植物専門｣を任じている当店としては、在庫過多の植物図鑑が売れ始めてくれるのでは?と儚い望みも湧いて出る。第1週の副題はバイカオウレン。(めったに見られない花デス)牧野富太郎博士は江戸時代末の1862年に生まれた。お話は5歳の時からスタート。第3話迄見て、脚本.演出.カメラ.すべて素晴らしく、名作になると確信。2話で｢亡くなった父上も、見えないけどいるんだよ。天狗もいるんだよ｣という母の言葉通り、神社に彷徨い出た主人公の前に天狗が現れるのだが、聴視者には羽織の家紋から竜馬だと分かる。(2話のタイトルでは[天狗]の表示。3話では坂本龍馬になっているのが憎い)｢日本国中で天狗が立ちあがっちょる｣と、竜馬役のディーン・フジオカが話す。確かに維新の志士は｢天狗｣だ。ドラマの端緒は丁度1867年、竜馬はこの12月に暗殺、翌年は明治元年。全国の女性ファンが恋い焦がれるD.フジオカは朝ドラ｢あさが来た｣で五代友厚を演じ一躍スターとなった。この時は元薩摩藩士、今回は土佐脱藩だ。大河ドラマ｢竜馬伝｣で姉｢乙女｣を好演した広末涼子、本作では母親役で毎朝泣かせてくれる。金満のNHK、人気役者を出したい放題だ。
さてキンポウゲ科オウレン属のバイカオウレン。手近の図鑑を当たると、山と渓谷社の｢日本の野草｣には掲載無し。(現在在庫無しの高山植物の巻かも?)山渓ハンディ図鑑の｢山に咲く花｣には、葉の形等の違う、ミツバオウレン.ミツバノバイカオウレン.オオゴカヨウオウレン.オウレン(別名キクバオウレン)と見開き2頁に亙り掲載あり。平凡社の｢日本の野生植物｣は第II巻に。どれも手放せない写真図鑑です。
※｢天狗｣の話。店主は亡父から｢曽祖父は水戸天狗党で敦賀の鰊蔵で死んだ｣と信じ込まされてきた。古本屋になってから調べてみたら大嘘と分かった。江戸詰めの砲術などを扱う隠密同心で、支藩宍戸藩主松平頼徳を将とする大発勢として、水戸は三の丸の弘道館に立てこもった保守派の説得に向かうのだが、無体なる仕儀で幕府軍によって処刑されてしまった。(三島由紀夫は、故無く切腹させられたこの悲運の藩主の頼徳の末裔なのである)この方便(曽祖父は天狗党)は親父の老婆心だったと気づいた事は以前コラムに詳細に記した。天狗党が挙兵した筑波山は、北方系と南方系の動植物の分布が重なり、1000種類以上の植物が息づく。固有種にツクバキンモンソウ・ツクバトリカブトがある。筑波金紋草は太平洋側に産する多年草。類似するニシキゴロモは日本海側に多い。 ※4月10日追記↓↓ドラマのタイトルに登場する垂れた黄色の花が気になり、世界文化社の生物大図鑑に発見。トサジョウロウホトトギス!牧野先生が土佐の横倉山で発見した、高知県にのみ分布する固有種。ジョウロウは｢上臈｣の意。天狗の「お前は一生を賭けて何がしたいんだ?」の問いに「この花の名前が知りたい」と母の大好きな花に向かって叫ぶ牧野少年。この思いを抱き続け、植物の研究に全霊を傾けられた一生であった。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
古楽夢 夢の間
【クサギ-草木染で青色に発色する植物】 8月の花
普通に川沿いなどに咲いている。また街路樹にも使われる。葉に悪臭があるゆえの名だが、花はそんなに嫌な匂いでもない。草木染で青色に発色する植物は、この
今は咲き始めで白花だが、果期には萼片は平開して紅色になり、果実は光沢のある藍色に熟す。この実を採集して、熱煎した染液に入れてすぐ浸して染める。くさぎ染は特に媒染剤を必要とはしない。
◆詳しい染色方法は、山崎青樹(著)草木染染料植物図鑑を参照下さい。
古楽夢 40 小倉発祥の蓮門教-教祖島村ミツの墓
今更?今頃?今一度 この話、あるいは皆さんご存知でしたかね。
毎日の散歩コース、広寿山福聚寺までの道沿いの墓地に一際高い石碑が聳え立っている。ずっと気になっていたのだが、いつまでも確認せずにいるのも、と失礼を顧みず石段を上ってみた。高い竿石の下には新しい墓誌があり「島村音吉の霊ここに眠る」と刻まれている。とりあえず刻まれた碑文を撮影し戻ってネットで調べてみた。浅学店主不知の新興宗教、蓮門教の教祖、島村ミツの墓であった。島村音吉はその夫である。北九州中央図書館のサイトより「蓮門教」の詳細を転載させて頂く。
蓮門教は明治初期に小倉で発祥した教団。最盛期にはおよそ100万人の信徒がいたともいわれる。小倉の堺町に大教会を建立、東京にも豪壮な教堂を建て、華族･高官の支持を得ていた。教祖は島村ミツ(1832〜1904)という山口生まれの主婦。大病を機に日蓮宗の柳田素人の門人となり、明治10年に神道蓮門教を設立。明治16年小倉の古船場に道場を開き教祖となった。後に尾崎紅葉たちに淫祀邪教と非難され、衰微をたどり始めた。教典がなく、後継者に人を得ることが出来ず、ミツの没後に教団は壊滅。文学-小説としては、この本部で育った島村欣吾が「神と人の座」を10回に亙り「九州文学」連載。劉寒吉は小説「神と人の記録」を執筆。
【参考文献】
◆『蓮門教衰亡史』 奥武則著 現代企画室 1988年<K179/ｵ>
◆『研究紀要 ２』北九州市歴史博物館編発行 1994年<A275.2/ｹ/2>（蓮門教とその教義２１〜26頁）
◆『福岡県百科事典』下 西日本新聞社福岡県百科事典刊行本部編発行 1982年<K030/ﾆ/2>（1100頁）
◆『小倉藩史余滴』 米津三郎著 海鳥社 1995年<K211.3/ﾖ>
◆『九州文学』 昭和16年1月第28冊 劉寒吉著・昭和35年10月第187号〜203号 島村欣吾著 九州文学社
◆『「萬朝報」の蓮門教記事』明治27年2月22日〜明治27年11月21日
◆米津三郎. 連門教の興亡 明治宗教史上の”白昼夢”. ひろば北九州 ’81第2号（通算15号） p. 22P〜26P (当館請求記号 K179／ﾚ, 当館資料番号 0011190097)
※以上は国立国会図書館のデータベースとも共用されている。
墓所までの散歩道には、人の栄枯盛衰を知らぬかのようにアヤメ・ノイバラ・キランソウ(ジゴクノカマノフタ)が咲き始めていた。この話、あるいは皆さんご存知でしたかね。
以下店主記述
■明治27年頃には、隆盛を極め、天理教と並び称されていた教団がどのように消滅していったかは、第19回「宗教法学会」の報告書に詳しい。(pdfとして以下のサイトに公開) http://religiouslaw.org/cgi/search/pdf/199102.pdf
■尾崎紅葉が明治25年に「紅白毒饅頭」という小説を読売新聞に連載開始。27年に万朝報が「淫祠蓮門教会」というタイトルで蓮門教攻撃キャンペーンを全94回に亙って連載などとあるので、あるいは原本で読まれた方もおられるやも知れません。
■禅宗の古刹、大坊の墓地に邪教とされた教団の教祖の墓がある経緯は分からずに居る。
■3月30日にWHOが出した、コロナワクチン接種のガイドラインは、(テレ朝ニュースでも取り上げられた)
「60歳未満の健康な成人や基礎疾患のある子どもについては、1回の追加接種は推奨するが、2回以上の追加接種は"公衆衛生上の効果は比較的低い"として、推奨しないとの見解を示した。」
今更何!?という感じ。東京にコレラが流行った際、御神水を飲めば治るなどとしたのが原因で蓮門教は滅びていくのだが、繰り返し繰り返し新型コロナワクチン接種を強要してきた方々はその誤謬を謝罪しないで良いものか...未だに非合理的、理不尽な世界に我々は住んでいるようだ。
古楽夢 39
今年も関門海峡の潮汐表頂きました
関門マーチス(第七管区海上保安本部 関門海峡海上交通センター)発行のマリンガイド
関門海峡海上交通センターは、門司と小倉の境目、JRの線路を跨いで国道3号線と199号線を繋ぐ高架橋の直下にある。関門海峡は航路が狭い上に屈曲していて、更に強い潮流があり、航海の難所。このセンターは24時間体制で海の安全を見守っています。パンフには信号の種類や航行のルール、津波対策、台風対策、走錨事故防止ガイドライン(小型船舶用)、AIS(船舶自動識別装置)の運用について、潮流信号所の表示(Eは東流・Wは西流・０〜13は流速[ノット]等)・巻末の潮汐表は、干潮満潮、月の満ち欠け、潮流の東西と速さが一覧表示されていて、読むだけでも楽しい。[↓各図はクリックで拡大します]
●このパンフレットは、同センターで無料配布されています。岸壁釣りやボート.ヨット等でマリンレジャーされる方、海好きの方には必携の一冊。共に海のルールやマナーを守り、海の難所の安全に寄与していきたいと思います。
※マーチス=MARINE TRAFFIC INFORMATION SERVICEの頭文字
※関門航路潮流概略図・関門海峡付近参考図などを覚えておくと、市外より訪れた方に色々説明ができる。
門司に住んでいるのに、海峡の仕組みをあまり知らないという方には是非読んで頂きたい一冊。
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古楽夢 38
伊豆紀行(1-往路編)
12月1日から、やっと重い腰をあげて、伊豆に残してきたままの自宅に帰りました。
(冬は富士山がよく見えて嬉しい。手前の山は愛鷹山、裾野の平野は丹那盆地。)
新名神や、亀山-新四日市の新ルートで快適なスピードを維持できるようになりました。吹田を通らずに高槻に抜け、すぐ天王山トンネル、というのは大助かり。(太陽の塔が見られないのは少し寂しい)
吊り橋の連続が怖い伊勢湾岸道路を過ぎると、第二東名は夜になるのですが、3車線の巨大で昼のように明るいトンネルの連続で恐怖感ゼロ。隧道こそトラックの車列を追い抜く区間です。(笑)120Km制限も全然速いと感じない。(追い抜き時は130Km)岡崎JCTからアッという間に沼津ICに着きます。そこから函南-大場まで伊豆縦貫道の無料区間が使えて昔とは大違い。後は畑毛温泉を抜けて、山道を登るだけ。
日本で一番安価な、アルトという軽自動車ですが、すこぶる性能が良く、エンジンの吹き上げも絶好調。リッター21Kmも助かる。全行程約1,000Kmを14時間(十分に休憩入れて)走破できます。朝6時出で20時着。
韮山はどこからでも富士山が見られます自宅はこの尾根の頂上付近にあります。高度300m位かな。5日間かけて、家の周囲の草刈りと、生い茂った木々の枝打ちや伐採。平成元年に植えたゆずの木から、30ケ程のゆずがとれました。半年早ければ、山椒の実がとれたのに...現在放置状態のお隣さんが「果樹園にするのよ」と植えた小さなミカンの木が、当家の屋根を超え、枝が窓まで伸びていて、たわんでいる。この枝を切らせてもらったら、夏みかんのように大きなミカンが5つ程頂けました。酸っぱいけれど、これがミカンの本来の味、と感じました。
ガスは止めているので、風呂は下山して、温泉に行かなくてはなりません。真下の「駒の湯源泉荘」に通ったものですが、経営が変わって入湯料が倍に。長岡温泉の古奈に、あやめ湯という温泉銭湯があるという事で、300円につられて行ってみたら、休業日。横に浄土真宗弥勒山西琳寺。伊豆国の古奈で生まれた
【画像クリックして頂ければ、拡大してご覧になれます】
※
北九州と伊豆韮山、あまり関係性が無いように思われるが、豈図らんや。同時に世界文化遺産の登録を目指し、見事認定されたのであります。
これがチャレンジした際のプロモーション用の団扇。その年、反射炉に行ったところ、丁度入館料無料デーで、ペットボトルのお茶は頂けるし、ガイドの方まで付いて下さいました。真夏で暑かった。江川代官は、江戸湾にお台場を作った事でも有名。韮山の反射炉には遠く佐賀藩の技術者が来て協力をしたという。水戸藩も烈公の命で那珂湊に反射炉を作り、鹿島灘沖出没する外国船を追い払う計画だった。いずれも大砲づくりには失敗。そういえば、大和ミュージアムに、機関銃を発明した仏のホチキス社はアームストロング砲の特許を買い取った、という説明があったナ。(あれこれ見すぎて記憶が拡散)
富良野ビールは限定で、函南のイオンで見つけた。ホップが実に美味。静岡と千葉の工場で製造、との事で焦って1ケース買ってきたが、何のことは無い、門司は大里のマックスバリューにも並んでいた。(すぐ売切)
往路のお土産は、丹那牛乳。自宅の真下の丹那盆地で作っている。これがもう実に美味い!それのクッキーなのだが、これまた絶品。牛乳パックかな?と思って掴むと軽いので最初は誰もが大笑いとなる、お薦めの菓子。
古楽夢(37)【ポワロとポアロ】(例によって推理小説の説明は隔靴掻痒にて失礼)
NHK放映のクリスティ原作「クリスタル殺人事件」を見た。この時期の放映は放送局の「コロナ騒ぎを煽ろう」という深意も感じられたが、作品自体は出来が良く面白く視聴した。実はこの作品は見逃していたのだ。理由は当時流行った「なんとなくクリスタル」から安易に流用したタイトルのせい。映画の原題は「Mirror Crack'd」謎解きもさることながら、豪華キャストの名演技を楽しむ一作だ。
監督は、007のガイ.ハミルトンで、流石にそつがなく文句の付け所が無い。大女優、男優の競演!!1980年のリズテイラーの美しさには驚くし、キム.ノヴァクはヒチコックの
「めまい」に魅了され続けている爺だが、本作品でも、なかなかの弾けぶりで楽しめた。
劇場公開は大成功したようで、映画パンフが大量入荷すれば、本作が必ず混じっている。勿論初版でなければ、100円である。
しかし原題の「鏡は横にひび割れて」はテニスンの「シャーロット姫」の一節という事らしいが、欧米人には馴染み深い詩なのだろうか?ラストシーン、主人公がソファーを舟に見立てて死んでいく意味、女優としての矜持、日本人には完全には理解されていないのでは?
古本屋のミス.マープル物なら「火曜クラブ」。ポアロなら「--登場」か「--事件簿」を。なるべく新刊で出ている文庫本を推薦する。推理小説は短編が好きなのだ。トリック、登場人物を短い話で使い切るから贅沢だと思うのだ。マープル、ポアロ、トミー&タペンス、クィン氏、パーカー.パインと数多くの探偵を生み出した女史。店主は、難解な事件も、自分の住む田舎町の下世話な出来事に照らし合わせて解決する安楽椅子探偵、ミス.マープルが一番の好みだ。
ポアロの短編集が丁度店に2種類並んで在庫していた。ハヤカワミステリは名探偵の表記が「ポアロ」で創元推理は「ポワロ」である。(著者名もクリスチィ)前者は昭和53年(1978)初版の小倉多加志訳、後者は1960年初版で小西宏訳なっている。小西訳ではポワロの感嘆時の台詞が時々フランス語になる。En Vérité!(いかにも)とかVoyons!(さてと)とか表記されて、
気を取り直して、早川版は1冊で、創元版は2冊本。ハヤカワ文庫は「事件簿2」収録の「戦勝舞踏会事件」「料理女を探せ」「マーキット.ベイジングの謎」「呪われた相続」「潜水艦の設計図」「プリマス急行」「コーン.ウォールの謎」「クラブのキング」の8作が割愛されている。ポワロの短編を全部読みたい、という事なら、創元版をお求めあれ。創元社の「クリスチィ短編全集」は、パーカー.パイン物等を含めて全5冊になる。元版は9冊だが重複書を省いて5冊で発行された。これも是非棚に並べたいところだ。
NEW 古楽夢(36)【少年剣士になりそこねた-水戸東武館】
日欧の剣道による交流記『日欧親善少年剣道使節団紀行』。店主の原点が入荷した。ロンドン-パリ-ジュネーブ-チューリッヒ・ベルリンと剣を通じての親善に赴いた使節団の団長は、水戸東武館館長の小澤先生。先生は実は佐賀県巨勢町の生まれ。縁あって小澤家の養子となり水戸に根付かれた。戦後のGHQによる武道弾圧にも耐え、禁止令が解けた昭和28年、水戸大空襲で消失していた東武館を再建、少年剣士の育成に特に力を注がれた。長きにわたる水戸の、いや日本の剣道の復活の為に心血を注がれた生涯にただ敬服。
実は義弟の副館長、小澤武次郎先生こそ母校、水戸一高での担任の先生なのである。その優しさと厳しさを兼ね備えた先生の人格を超える人に出会った事はありません。幼年時、寒稽古が嫌で(裸足で道場まで走って通うのです。水戸の冬の朝は毎日零下である。)父親に背き、剣の道から逃げたのをただ不甲斐なく反省している。まさか高校に入って、一年の担任が小澤先生とは!!何たる巡り合わせ。東武館門弟になるのを逃げたのを隠してました。先生は覚えていたかも...剣道の時間には、真剣での居合斬りなど見せて頂きました。何時も微笑んでおられた先生に叱られた覚えは皆無。その威厳に逆らう事など有りえませんから。何せ本身で青竹叩き切るんですよ!(笑)東武館は剣道(北辰一刀流)・居合(新田宮流居合抜刀術)・なぎなた部があり、現在も多くの門弟で賑わっていると聞く。ちなみに理事長は参議院議員の岡田広氏。この方、実は水戸南町の「岡田屋」という和菓子店のご子息、まあ倅で、直接の面識はなかったが、弟さんが爺と同い年。南町は三の丸小学校の学区で別。中学は一緒だが違うクラスだった。現在は兄上の議員秘書をされているとか。広氏、まことに温厚、純潔な人で、ウチのオヤジが死んだ後も、その頃は市長だったのに、気さくにオフクロに会いに来ては励ましてくれていた。
店主の名誉の為に付け加えれば、暑い夏は「水府流の水術」に真面目に通っていた。当時は小学校にプールが無く、那珂川に架かる水府橋真下の「「片手抜き」とか格好いいですよ!今のようにクロールとかのスピード重視の指導ではなかった。浮く事、溺れない事が肝要である。頭と両手に扇を持ち、立ち泳ぎをする模範演技なども見ることができた。優雅だった。川で泳ぐのは結構難しいですぞ。肢体の力を緩めて、水面に浮かび対岸を見上げれば、聳え立つ城跡の台地。後にその本丸にある高校に通うことになるのだった。弛みない大河の水音。蝉しぐれ。白雲と紺碧の空。この話、あるいは皆さんご存知でしたかね。
★日欧親善少年剣道使節団紀行★
昭和57年全日本剣道道場連盟・会長-小沢丘.発行/[A5判127p]/◆序文=園田直・田中龍夫・笹川良一/◆団長=水戸東武館長=小沢武/「文武不岐」「交剣知愛」「以心伝心」の精神がヨーロッパにも根付いていた!!日欧の剣道による交流記!!
◆(35)店舗開業から一年 時代の流れに棹さして
『青春の町』高円寺と『無暦堂』さんの思い出
寺院の
昔の人は少しも求めず。
ただありのままにやすくつけけるなり。このごろは深く案じ、
才覚をあらはさんとしたるように聞ゆる、いとむつかし。
人の名も目なれぬ文字をつかんとする、益なき事なり。
何事も珍しき事を求め異説を好むは、
「送料が売価を圧迫し通販も限界。これからは原点回帰の『店』だ」と大見得を切り、丁度一年前の
1月、実店鋪開店した。その四度目の古本屋開業から、速や一年。この
「よくぞ言った」「ようやった」との励ましも頂き、汗顔の至りである。個人的には、実店鋪での「古本屋稼業」は誠に楽しく、日々やりたい事のできる喜びを大いに謳歌しているが、同輩、後輩の方々に
「この方向で行くべし」とは言い難く、何か別のアプローチを提示できないものか、と思案の末、又々閃いたので公表させて頂く!!対象の懸案について、凝念していれば、道は開けるのが森羅万象を貫く道理であります。(実はそんなに大層な事でもないのですが...(笑))
[古本の店売りだけでは、家賃分が出ない」というので、ネット販売(以前は目録通販)や「古本市」など出張販売でその赤字を補填して営業してきたが、それもついに一線を超え、「自宅でネット販売一本に絞る」というスタイルにまで後退してきたのが、昨今の古書業界の形だった。これに一石を投じようと
「ヤッパ店だよ」というアンチテーゼを掲げ、更に自ら実践した身を切る実験でも、店売りでは到底食べていかれない事は実証された。
そこでだ。店-畳む-自宅に籠もるという発想を逆転させて、【自宅を無くして店に住む】と考えれぱ、本屋を続ける事が可能ではないか?と提案したい。
そもそも、爺の店は、過去三度とも「住付貸店舗」だった。所帯持ちでも、店の裏に一間、２階に二間もあれば大好きな仕事が出来るのだから良しと言えよう。ましてや、独身であれば、居住空間は３畳で十分。立って半畳、寝て１畳である。「住付店舗」。出久根さん、虹さんなど古本屋は言うに及ばず、昔のお爺の２軒目の店は、店が3坪、この真上に６畳があると考えて欲しい、店の帳場の裏に３畳のPCやFAXなど完備した事務室兼食事場。台所とトイレで３畳分あり、垂直に近い階段を登った２Fに６畳間。ここに二段ベッドを置き下段部分に目録品の在庫を置き、上段はカミさんと愛犬の寝床。店の真上の６畳は、ほとんど本で埋め尽くされ、ダンボールの間で爺が寝ていた。この時代も極貧だったが、命ギリギリ働いて、振り返れば楽しい時代だった。台所の裏手には小さな庭もあり、ここにクロガネ倉庫を建て『スーパーダイエー古本市』用の在庫50函積んでいた。
「店舗に住む」というオーソドックスな案、円居、無暦ご両人はまたここでも、支払いは月末でいいよ、という優しい定食屋さんとスナックを近所に持っていて、まこと羨ましい限りだった。
無暦さん、一度小田急デパート展の直前に、講談社学術文庫を大量に持ち込まれた。この時も売り主の方が「支払いは、売れてからでいいよ」と言ってくれたらしい。勿論バカ売れしたのは言うまでもない。爺と違い「人徳」があるのに違いない。誰もが彼を助けてあげたくなるのである。
爺、49歳の時、癌になり生死を彷徨ったのだが、何とか一命をとりとめたその翌年、完治せずヨロヨロしながら「所沢古本まつり」に参加していた時分、無暦さんが疲れ果てた感じでバックルームに
同業が亡くなって、こんなに悲しんだ事はなかった。自分が癌になった時より辛かった。野田市の斎場で葬儀があったのだが、無暦さんのご親族の方が「こんなにみなさんに慕われていたのですか!!」と驚かれた位の参列者の列だった。支部の仲間は勿論、属していた資料会のメンバーも涙涙であった。多分、前年私が死んでも、こんな悲嘆に包まれた葬儀にはならなかったと思った。やはり「人徳」である。
1994年、中央線支部の機関誌部を任され「支部報」を編集発行したのだが、その中で『店名ベストワン』を決定した事がある。「本名派」(山岡.えびな)・「地名型」(穂高書房)・「動植物型」(楽古堂.うつぎ書房)・「文学系」(畸人堂.円居)、そして「概念派」(千年堂.独楽書房.ユマニテ)と分けて候補を絞り、全体で栄えある第一位に輝いたのが「無暦堂」さんだった。(私の独断で決めただけなんですけどね...「当店なども、「何とか自分の想いを店名に託して...」なんて事を考えて呻吟した口でありますが、兼好法師も言っているように、本名を店名にしている方が一番「渋い」上に、昔も今もみな商いに成功してらっしゃるんですがね。(当地の一流店、今井・佐藤両店とも「本名派」である) これからの古本屋の実店鋪は?という命題に突き当たっていたら、懐かしい無暦さんの事が思い出されたので、少しエピソードを書き記してみた。
「店に住んで経費削減!!」今、商店街は危機に瀕していて、街中空き店舗が目立つ。格安物件も多い。今、5万円のアパートに住んでNET販売をしている、というような場合は、あと1〜2万上積みしても、住付店舗に移転されたらいいと考える。勿論ここを基点にNETも外売もやるのである。結局「ふりだしに戻る」しかない、という、至極単純な結論。それが一年間、実店鋪を開いて得た結論であります。「なあんだ」という感想が聞こえてくるようですが、古本屋を続けたい、古本屋として死にたい、という熱い想いはこの方法でしか貫徹できないのだと確信しています。
この話、あるいは皆さんご存知でしたかね。
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※画像の上から2枚目は草木堂最初の店。1984年6月24日12時開店のスナップです。早速友人が駆けつけてくれた集合写真も左に足しておきましょう。皆若かった。何時の時代も女性達に助けられて生き延びて来た爺であります。女性陣、この中の一人は、すでに多発性側索硬化症で亡くなりました。(涙)女性軍には、ロックバンドを組んでいた時代から「面子があるから、男連中には借りられん」なんて甘っちょろい事を言って、借金したりメシを食わせてもらったり...。まあ有り体に言えば、ヒモですな。無謀な事を始める私にオナゴ達は何時も文句を言いつつも加勢してくれます。まあ爺が「ヤル」と言い出したらきかないので諦めているのだろう。
※私が組合加盟した年の「支部報」編集は出久根達郎氏。私のとは格段に格調高い編集でした。翌年には、上に貼った「中央線沿線古書店ガイドマップ」が発行された。これには当店も掲載に間に合いました。高野哲夫さん、鳩書房の高橋弘氏、沼袋の北原奉昭さん(なんでも鑑定団の北原氏の兄上)それに若くして亡くなった、狛江の田中順氏。筆頭に大御所竹岡昭さん。そして出久根さんが編集に名を連ねています。マップ欄外の、沿線ミニ情報がいかにも出久根さんらしい。1993年に『佃島ふたり書房』で直木賞を受賞されるのだが、支部報の翌年1985年に念願の単行本『古本綺譚』を出されて、高円寺の市場に風呂敷に包んで持参された。「サインも書きますから」と愛想を振りまいたら、意地の悪い業者から「書き込みありになっちまうな」なんて声が出たのを、昨日の事のように思い出します。男のヤッカミ程、恥ずべきものはない。古本屋としての心構えからお教え頂いた、同郷の偉大な先達、爺の誇りとする人であります。
※徒然草、橋本治(文)・田中靖夫(絵)の、現代語版。古文苦手な方にも楽しく読めます。笑えます。
※追記:最初の店の屋号の看板、今、写真で見てみると、板を彫る時間が無かったようで、紙に草木堂と書き、巻いて誤魔化している。勿論この後、ずーっと暇な店番が続いたので彫り上げ、二軒目までは確か同じ看板を壁に掲げていた。一軒目は、店の裏に台所付の部屋は付いてたが、トイレが共同で煩雑で、金も無いくせに、練馬区中村南の畑の横に一軒家を借り通う事にした。これが愛犬を飼うという人生の分かれ道に繋がるとは...
【各画像-クリックして頂ければ拡大されます】
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◆(34)捕物帳を読む--「釘抜藤吉捕物覚書」
昨年1月末から、門司の黄金町に新規に店を開き、週3日営業を始めた。但し13時から17時半の営業。これ以上は体力的に無理である。癌で胃を全摘しているので外食ができない為、自宅で30分かけて昼食を摂る。更に同程度は横にならないと腹痛を起こすので、13時開店が精一杯。また夕食の為、閉店して18時までには自宅に戻らねばならぬ。店を覗いてみたい、と考えておられる方には、極めて短い営業なのでご迷惑をおかけしている。
古書店にみえるお客様の集書分野は、実に多岐の分野に亘っている。商いはすべてお客様次第だから、古本屋の主は、どんな会話にも付いていかなくてはならない。今回四度目の開店をしてすぐ、モダンJAZZ好きの方が来店された。JAZZの中でも不得手なジャンルだったから、入門書を漁り、また市場でCDを落札しては聞き込み、付け焼き刃にしろ、全体の流れは掴むことができた。好き嫌いではない。当然の仕事である。35年間こんな具合に、お客様のニーズに合わせて、鉄道関係、アイドル写真集、書道、翻訳文学...と広く浅くではあるが、頭の隅に叩き込んできた。どんな分野にも、概説の書はあり、歴史と評価が掴めれば、自分なりの古書価を付けられるようになるものである。
そんな爺が「仕事」としてはなく、「好き」で読む本といえば、何を隠そう「捕物帳」なのである。病院入院中も、こればかり読んでいた。暇な催事や売れない店番の時も、捕物帳が最高の友である。多くは短編なので、仕事の合間に読むのに丁度いいのである。大好きだった漫画家で考証家の杉浦日向子さんが「江戸時代に若旦那として生まれたかった」とおっしゃっていたが、爺も同感で「江戸時代にタイムスリップしたい」と常々言っていたが、思えば当家は
「捕物帳」今までは、ただ乱読して、「これはチョット面白い」「これは全然ダメ」と大半は読み捨ててきたが、少し系統だって考えてみよう、という気にさせられたのが、「釘抜藤吉捕物覚書」だ。店主が読んだのは、河出書房刊の昭和40年発行の「一人三人全集」の、林不忘(時代・捕物)の巻。二段組で細かい字なので、老眼には難儀だったが、これが実によく書けている。
【釘抜藤吉捕物覚書】全13話
◆01 のの字の刀痕◆02 梅雨に咲く花◆03 三つの足跡◆04 槍祭夏の夜話◆05 お茶漬音頭◆06 巷説蒲鉾供養
◆07 怪談抜地獄◆08 無明の夜◆09 怨霊首人形◆10 宇治の茶箱◆11 影人形◆12 悲願百両◆13 宙に浮く屍骸
※ネット上に14話、と記載されているサイトもあるが、全13話が正確なところである。
その巻末に「半七と右門のあいだ」という題で、都筑道夫先生が解説を書かれていたのである。ちゃんと考える人は考え、資料に当たられているのだ。以下はその要約である。
日本のシャーロックホームズ物語を江戸を舞台に置き換え、見事にモダンディテクティブストーリーに仕上げてある名作「半七捕物帳」。話が派手で、発端が異常なだけで、適当に事件を解決してしまう佐々木味津三の「右門捕物帖」。パロディとしてなら成立するが、とても推理小説としては成立していない。小説の発表順序としては「半七」「藤吉」「右門」と連なっていくのだが、林不忘の「藤吉」は、ディテクティブストーリーでありながら、時代小説を意識したあまり、推理小説らしさを希薄にしてしまったところなどが、「右門」へ繋がっていったのだと思う。捕物帳を推理小説とは認めないファンが時おりいるが、久生十蘭の「顎十郎捕物帳」や坂口安吾の「安吾捕物帳」のように近代推理小説の骨格をそなえたシリーズがちゃんとあるのだから、なおざりにしていいはずがない。
と記しておられる。慧眼であろう。林不忘・谷譲次・牧逸馬と使い分け全く別のジャンルの小説を書きまくった天才長谷川梅太郎。都筑道夫先生だって、ミステリからSF、捕物帳まで自在にこなし、一人雑誌という本まで出された超人的作家だ。半七の正統的後継作、「なめくじ長屋捕物さわぎ」シリーズは、店主も繰り返し繰り返し読み続けている。「からくり砂絵」がシリーズの中でも傑作揃いの一巻である。再三装幀を変えて出されているが、角川文庫の最初の山藤章二氏のカットのものがやはりいい。本文の行中にも山藤さんのカットが入っているのだ。
ちなみに「半七」「藤吉」「右門」「銭形」の初出の年を記載しておこう。
| シリーズ名 | 発行年 | 掲載雑誌 |
| 「半七」 | 大正6年 | 「文芸倶楽部」 |
| 「藤吉」 | 大正14年5月 | 「探偵文芸」 |
| 「右門」 | 昭和3年3月 | 「冨士」 |
| 「銭形平次」 | 昭和6年4月 | 「オール讀物」 |
ビートルズが編み出したトータルアルバムと同じ発想「短編集全体でひとつのテーマを浮かび上がらせる」というのに成功した稀有の例が、泡坂妻夫大先生の「夢裡庵先生捕物帳」である。これは平成に入って、書かれた捕物帳の最高峰だと思う。「びいどろの筆」（1989年2月 徳間書店 / 1992年11月 徳間文庫）
「からくり富」（1996年5月 徳間書店 / 1999年7月 徳間文庫）
「飛奴」（2002年10月 徳間書店 / 2005年1月 徳間文庫）で完結。
2017年12月 「夢裡庵先生捕物帳」として文庫上下巻に纏められ、
徳間書店から発売された。捕物帳ファンならずとも、時代小説、歴史小説の読者、江戸大好きの読書子も必読のシリーズだ。僭越ながら、古本屋の爺が折り紙を付ける。一話ごとに、推理する人物がバトンタッチされて行くのだが、どの人も極めて魅力的で、各々を主人公にしても、短編集が何冊もかけそうな人物造型なのだ。大サービスで、まことに勿体ないのである。講釈好きの小僧、蕎麦屋の女主人、医者、読売屋、易者、彫師...まさに市井の人の織りなす大河ドラマとなっていて、こんな素晴らしい了見を持った人々の生き抜いてきた町が、巻末で薩長の
この話、あるいは皆さんご存知でしたかね。
【あとがき】
◆縄田一男の「捕物帳の系譜」もお薦めの研究書。そのあとがきでも触れられている、城昌幸の「若さま侍捕物手帖」・横溝正史の「人形佐七捕物帳」・坂口安吾の「明治開化-安吾捕物帳」なども爺の愛読書。またの機会のお話とさせて頂く。
◆都筑道夫先生に憧れたあまり、爺、ミステリを書く時の筆名を「雪戸毬夫」とした事もあった。あまり縁起のいい名ではないので、現在は「浅賀栗介」で統一している。「山野荘事件シリーズ」などホームページに連載を載せたりしたが、全く反響なしだった。(笑)浅賀栗介というペンネームだけでも、登録商標化しておいたらいいかも知れないね。
◆当家のルーツを探ってきて判明したのだが、ご先祖は父親が常々言っていた「水戸天狗党」ではなく、江戸詰めの武士で「大発勢」として、水戸の騒乱の仲介に入り、戦さに巻き込まれ、那珂湊辺りで戦死、もしくは獄死したようだ。砲術.鉄炮関連の隠密同心という事であった。もちろん下級武士である。
【幕末の水戸藩の騒乱の経緯と大発勢】
江戸藩邸の主導権をにぎった尊攘派鎮派は、藩主徳川慶篤にせまって藩内抗争を武力で収束することになり、支藩宍戸藩主松平頼徳を将とする部隊が水戸にむかった。これを大発勢という。水戸の鎮派を結集した武田耕雲斎の部隊も江戸へむかう途中で、幕府軍に進路をさえぎられ、大発勢に合流した。水戸城に迫った大発勢は、立て籠もる諸生派に入城をこばまれ、やむなく那珂湊にしりぞいた。天狗党もここに接近して、大発勢を支援する姿勢をとった。幕府軍は水戸の諸生派と連携して大発勢を包囲し、松平頼徳を誘い出して切腹させた。幕府軍はさらに那珂湊の大発勢と天狗党に総攻撃を加えた。....騒乱の鎮圧に向かったというのに、巻き込まれて、非業の死を遂げた、あまり釈然としない部隊であった。ちなみに、松平頼位(頼徳の父)の三女、松平高を母とするなつの孫が三島由紀夫である。稀有の作家の尊王思想の原型がここにあるやも知れない。
◆爺「ネットの時代はここまで、これから店舗だ」と息巻いてしまった行きがかり上、4度目の実店鋪を開店してしまったが、十分古本屋の「心意気」は天下に示せたと自負している。手持ちの預金は僅かしか無いが、よしんば使い果たそうとも、あとは「痩せ我慢」をするだけである。『強情灸』ならぬ『強情本屋』である。今年6度目の歳男。胸の内は頑固しか持ち合わせていない。
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閑話休題
手向山に椿を愛でに 2020年1月1日
全山に椿の大木の自生する、手向山。関門海峡を見下ろす絶好の公園となっている。やぶ椿、ちらほら開花していたが、今年は開花が遅いようだ。宮本武蔵の碑の横の山茶花は満開。地元では、佐々木小次郎に対する憐憫の思いが連綿と続いてきたのだろう、決闘の場所、舟島は、巖流島と名付けられ今に至る。
富野台住宅街から、小倉の工場地帯を眺望。右写真は遠く皿倉山を望む。砂津港の向こうに、サッカースタジアムが見えるのですが、写真の解像度悪く、判別できず御容赦。ここをフランチャイズにするギラヴァンツ北九州は、今年J2に昇格して闘う。小林監督はすこぶる有能な人、次は是非J1を目指して欲しい。この海辺の球場で、我が鹿島アントラーズとの対戦を見てみたいものだ。小倉には長い間「住友金属」があったので、(現在鹿島在住の義兄もしばらく小倉に勤務していた。当時は、まさか新日鉄住金(現日本製鐵)になるとは誰も想像もしていなかったが...)ギラヴァンツのみならず、アントラーズを応援してくれる市民も多いと思う。※天皇杯、イニエスタの神戸に完敗。ワールドカップに勝つ為、クラブチームの優秀な選手を海外のリーグに送り出し、世界レベルの選手にしていく、というのがJリーグ発足の理念だったし、鹿島からは次々と海外へ選手が飛翔していった。2020年。そんなスタイルも次のステージにさしかかっているのかも知れない。世界のレジェンドがJリーグに普通に参加してくる、また国内の選手も驚異の年俸で自チームに集めてくる。そんな時代に入っていくのかも知れない。野球でも、仙台のファンは、そんな楽天方式に戸惑ってもいる、と聞く。私は、あくまで市民球団としてのカープを支持していく積りだが...
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◆(33)ノンステップバス ノンストップ
『大富豪同心』のエンディングテーマ曲『夢の振り子』は、ラフマニノフの『ヴォカリーズ』に似ている。
古本屋の日常は極めて平穏無事で、特段変わった事は起こらないから、日誌形式のいわゆるブログ開設は到底無理である。このコラムは身の回りで見つけた瑣細な事を、余りに凡庸なので「この話、あるいは皆さんご存知でしたかね」と逃げをうっておいて、ポツリポツリと書き記しているのでございまして。
「老人の繰り言」。読み流しての、お付き合いを給わりますように。
ネット通販の仕事は、いわゆる居職で、日がな部屋に籠もり、本の撮影-説明書き-ネットUP-受注-梱包-発送...の繰り返しであります。家を出るのは、歩いて5分の特定郵便局まで、多い日で2〜3度出向く時だけ。爺、ご送金頂いたら即発送しないと、気が済まないのである。実は昼過ぎと夕方にしか本局の集配車は来ないので、さっき出した荷物が窓口の奥に積んであるのを目撃する羽目になる。(笑)去年から「規格外ゆうメール」が廃止になり、発送の大半が「クリックポスト便」になった。この郵便「追跡番号」が付くのが一番の利点。発送連絡の際、番号をお知らせするから、受付時間がお客様に即時に伝わり、「迅速丁寧」の誠意は感じて頂いていると信じている。当地の方言で申せば「せからしい」
拙宅の老朽アパートはバス停の真ん前。次の停留所が郵便局前、そこまで白線を引いただけの歩道を歩く。注意するのは、センターラインの幅も越えるバスである。(バス路線は大体旧道である)ここは利用客が多いせいか、2系統5箇所行のバスが次々に来る。上下合わせると、5分に一台は通る。西鉄バスも、最近はノンステップバスというのが増えてきた。 そのバスが誰もいない郵便局前バス停を通過して、かなりのスピードで走り去ったのである。ここで、天の啓示か『ノンステップバス ノンストップ』というフレーズが閃いたのだ。いつも気の利いた文句を探している身としては、久々の閃きである。コラムは落語と同じで『マクラ』(つかみ)と『落ち』が必須なので、これを見つければ何とか新作をUPできるのだが、どう捻ってもこの地口では話が膨らまぬ。『ミケランジェロ イケンジャロ』とか『派遣スタッフ タフ』とか迷句はそこそこ浮かんではきたが、並べてみても「それがどうした!」である。それでも何とか月に一度は、野草写真の更新と、コラムの新作を書かねば、とホットカーペットの上でゴロゴロしながら話の種を思案してみる。丁度手元にあったクラシックのダイジェストCDを聞いてみたら、まあ小さな発見はあった。
『ちかえもん』以来、久しぶりに楽しく見られたNHK金曜時代劇『大富豪同心』のエンディング.テーマ『夢の振り子』。この曲のイントロが、ラフマニノフの『ヴォカリーズ』のフレーズとそっくり、というのを発見したが少し地味で、みなさんの同意を得られそうにもないので、今月の「古楽夢」は絶不調という事で、ご勘弁願う次第である。竹島宏歌う『夢の振り子』は今年発表された歌謡曲の中で唯一のヒット、出色の出来ではなかったろうか!!YouTube上では、坊さんから子供まで、曲に合わせて踊りまくっている。実にノリのいい名曲だ。「右も左も人生だって」なんて、鶴田浩二の『傷だらけの人生』以来の文句じゃござんせんか。まあ今どき「左」の若者なんざおりませんがね。爺も番組の終わりには、TVの前に立ち上がって踊ったものだ。
「こりゃ絶対年末の紅白確定で、中村隼人以下、稲森いずみ、渡辺いっけい、石井正則、竜雷太など出演者が勢揃いして番組の扮装で舞うな。絶対そこだけ見よう」と考えていたのに、何やら局上層部の「演歌歌手は減らせ」という指示があったようでで若手演歌歌手は軒並み落選。全国民があっけにとられたのではないか!!爺、実はこの曲は、竹島宏ではなく、山内惠介にピッタリの曲で、彼が歌うべきだったとは感じていたのだが...その山内惠介と三山ひろしは出演、という事は「中堅」という扱いか?じゃあ市川由紀乃は何故出られぬ。三人での「忠臣蔵」は素晴らしかったではないか!!一大ムーブメントを起こした自社番組と名曲を無視するとは!!今年の紅白、視聴者からソッポを向かれるだろう。
いやはや粋な「オチ」もなく野暮な「グチ」で終わるという。すっかりお茶も濁りまして、次号の巻き返しを乞うご期待という事にて、お後がよろしいようで...
『大富豪同心』のエンディングテーマ曲『夢の振り子』は、ラフマニノフの『ヴォカリーズ』に似ている。
この話、あるいは皆さんご存知でしたかね。
天皇杯 サッカーだけどラガーで乾杯!!
◆追記:サッカーJリーグ、誠に残念ながら、カープに続き、我がアントラーズもVを逸してしまった。寂しい冬を迎えた、そこに朗報!!新国立競技場完成である。来年の元旦は聖地での天皇杯復活だ!天皇杯-箱根駅伝と続いてこそ正月。昼ビールが美味い。サッカーだけどラガーなんちゃってね。12月21日、準決勝の相手はV・ファーレン長崎。ホームのカシマスタジアムでの対決だから、かなり有利とは思うが、J2で唯一ここまで勝ち上がってきたチーム、
※補遺:家の前がバス停留所とは便利でいいねえ、と皆から言われるが、存外気を遣う事も多い。家から出た瞬間バスが止まったりすると、一旦引っ込んで待ってあげないと、ドアを開けて待ってくれるので、申し訳ないのだ。帰る時も、自宅前にバスがいる時は、かなり手前で止まって「乗りません」という意思表示をしないと乗客にも迷惑をかける。車で帰宅の時も、駐車場の入り口がバスの停車位置だから、出発するまで後方で待機。運転手さんは発進の際「ありがとう」の感謝を込めてはハザードランプを点灯してくれるので、毎度恐縮するのだ。まあいずれ運転免許を返上した暁には、日々バスのご厄介になる身である。やはり便利な所に住んでいるのだと幸せに感じなくてはバチが当たるというものかも知れぬ。写真は郵便局前バス停から見た小文字山の紅葉-クリックで拡大表示されます
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◆(32)こけしブーム再到来?
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こけし、『小芥子』とも書く。発音する時は「こげす」と言うと、東北らしさが出て渋い。
わだすは
わーの好みで言えば、土湯系だべな。胴の模様がスンプルなものがめんこいな。
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今春の「小倉駅ナカ古本市」に某書店が搬入日にその書店のご主人から、「売れますかね?適当に値段付けてみたんですけど...」と相談されたのだが、このご時世、どんな商品に対してもだが「昔は売れたんだけど..」としか答えようが無かった。
ザッと見渡して、なかり筋のいい品ではあったけれど、熊本の地震後、不安定な形状の木形子を集めようという方がまだおられるのか?古本市の販売台に占める割合からして、採算に見合うか正直不安に感じたのだ。
爺、これが「遠刈田系」こっちは「蔵王系」と系統は説明できるものの、現在の相場にはすっかり
東京の西武新宿線の都立家政に店を構えていた時分、隣の野方駅にまだA書店があった。その大先輩がこけしに詳しく「草木ちゃんも買ってみたら?」と誘われ、まず手引書を手に入れて、
工人だ、年代だ、系統だ、と知識は暗記できるけれど、蒐集に当たって肝要な「見極めるコツ」となると、なかなか会得は難しい。本書の結論も、こけし鑑賞、鑑定の結局の結論は「感覚の世界つまり『勘』である」と記されていて、「『直感』を鍛える事しかない」とあり、どんな世界も一筋縄ではいかぬのだ、と嘆息するわけである。まあ良いもの優れたものを数多く見ては手にして、失敗を繰り返してしか、極意は掴めぬという事だけは言える。
さてその「春の小倉駅ナカ古本市」。いざ蓋を開けてみたら、コケシ、大きなものから小さなものまで、それこそ飛ぶように売れたので、今度はその理由を考えさせられる羽目になり、未だに結論は出ずにいる。単なる一過性のものか?今年、第三次ブームが勃興したのではないのか?現在何万という相場になっているものを、店主が格付けせず均一価格で並べたせいなのか?まあこの辺りが全ての勝因と言えばそうなのだろうが...爺の希望としては、勿論ブーム再燃を望むところである。
実は爺の初任地は山形で、こけしの取材は天童の将棋の駒づくりと並ぶTV取材の定番だった。後に、バンドをしながらアルバイトに明け暮れた時代、新井薬師の電設会社の仕事で、福島市で当時最先端の光ケーブルの融着の仕事をした折り、当初商人宿に泊っていたのだが、吾妻小富士の麓、鄙びた土湯の旅館でもあまり宿賃が変わらない、というので、しばらく温泉から通って仕事をした事がある。(バブリィだったナ)その時、随分こけしの作業場で
蛇足だが、温泉旅館で最初の1-2日目までは、「御馳走に温泉で極楽極楽」と上機嫌だったのだが、日にちを重ねるごとに、鍋の固形燃料の匂いまで鼻につき、御馳走にも飽き、また商人宿に舞い戻った。狭いポリバスに交代で入り、朝晩自分でご飯と味噌汁をよそって、シンプルなオカズで食べる、という暮らしに「やっぱ飽きない暮らしが最高」なんて言うに及んで、全く人間というのは我儘なものであると自戒したものだ。
さて今回の令和最初の古本祭。こけしでは「春の馬鹿売れの後追い」と言われそうなので、爺、粋に捻って郷土玩具の「土鈴」を取り上げてみた。数が足りなかったので、一台に玩具と版画を並べる事にした。
あくまで本屋なので「本」を並べてその現物も、という風にしたいので、版画の奥には『版画芸術』を配し、土鈴の奥には、『版芸術』の「郷土玩具特集號」を配置する目論見だったが、こちらはギリギリ落札できず、次回廻しとした。版画の方は、渡辺省亭花鳥図や、棟方志功のカレンダー分売、歌舞伎座カレンダー分売などが順調に捌けていた。
爺、次回、春の催事に※追記:玉屋デパートの頒布品らしい湯呑。手に馴染むので愛用している。
底に『タマヤ創業175年祭記念』との記載。以前どこかのリサイクルショップで手に入れたものだ。
『こけし』ばかり気にしていたら、何やら土湯系に
見えてくるから愉快だ。
「こけしブーム再到来か?」この話、あるいは皆さんご存知でしたかね。
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古楽夢 バックナンバー
今更?今頃?今一度 この話、あるいは皆さんご存知でしたかね。
【目次】１頁に２話分載。各タイトルをクリック下さい
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このページへのコメント
フリー・アズ・ア・バード。。うまくまとめましたね。。
各話ごとに「この話、あるいは皆さんご存知でしたかね」とあるのが洒落てます。。
これからもご健筆を。。