クマムラゴウスケさんのブログに書かれた『”バイブル”が生まれる前のハナシ』各記事にインデックスをつけてwikiにまとめています。

さて、これまで “POST プロセス” の “O” の部分を語ってきたのだけれども、“関心や認知度の向上”、“顧客との関係性構築 & 維持” に続いて、“顧客の購買サイクルへの取りこみ” という目的に対して、ソーシャル メディア マーケティング的なアプローチを、どのように考えていくべきかを少し見てみよう。

とはいうものの、いきなり身も蓋もないコトを言ってしまうと、正直に言って、この “顧客の購買サイクルへの取りこみ” という目的に対して、ソーシャル メディア マーケティングは、直接的に作用するかどうかは、具体的な形で可視化するコトは非常に難しいし、むしろ可視化できないと考えた方が良いかもしれない。ソレは、ソーシャル メディア マーケティングの強みは中長期的な施策の中でこそ生きてくるモノであって、そもそも短期的に (たとえば “売上” といったような) 数字を上げていくための活動に対して直接的に作用させるコトが、ほぼ不可能に近いくらい困難であるからだ。

ただ、正直なトコロ、企業が何らかの施策を始める際には、必ず、そのリターンが求められる。ソレは実際、ソーシャル メディア マーケティング施策においても変わらない。ところが、この “リターンを求める” という部分で、明らかな間違いをおかしてしまっているのが現状であるといってもよいだろう。その明らかな間違いとは、“ソーシャル メディア マーケティングを実践すれば、どんなモノでもすぐに売れる” という認識を持ってしまっている、というコトだったりする。しかも、そのためには、“Buzz/Viral 型のアプローチが最も効果的だ” という、さらに間違った認識が生まれており、その結果、“短期的な売上だけを追求した Buzz/Viral 型のアプローチが続出する” という状況になっているのが現状になってしまっているわけで。つまりは “広告さえ打てば、モノは売れる” という、ものすごく短絡的な思考から抜け出せないまま、いわゆる “わかりやすい” Buzz/Viral 型の概念を鵜呑みにしてしまっている状態になってしまっている。

そういう状況を踏まえ、“顧客の購買サイクルへの取りこみ” という目的に対してソーシャル メディア マーケティング的なアプローチを行う場合、まず、既存顧客、そして新規顧客との Engagement を向上させるコトで、良質な見込み顧客を作っていく、という部分をゴールにするというコンセンサスを関係各所でしっかりと持っておく必要がある。“顧客の購買サイクルへの取りこみ” という目的を掲げると、どうしても、その先に発生する “売上” をすぐに求めがちではあるが、とくにソーシャル メディア マーケティング的なアプローチを展開していく場合、積極的な営業活動を行えば行うほど逆効果になるという点を、まず認識しておくべきだろう (もちろん、ソレを顧客が求める場合であれば、その限りではないのだけれども) 。少なくとも直接的な潜在顧客リストを作るコトが目的ではなく、今後中長期的なスパンで生まれてくるであろう良質な見込み顧客の育成、そして、その良質な見込み顧客からの LTV (Life Time Value) を最大化させるコトを念頭に置いた取り組みであるというコトを、関係者全員でしっかりと意識して進めていくコトが大事なのではないかと思う。

ただ、そんなコトだけを言ったところで、“要は、前々から書いているコトの繰り返しじゃん” というハナシになってしまうので、ココで “顧客の購買サイクルへの取りこみ” を目的に据えたソーシャル メディア マーケティング施策にあたって、もうひとつ考えておいた方がよいであろうポイントをまとめてみようと思う。

実は、コレは後日解説する予定の “Measurement” つまり、効果測定の部分で、詳細を書いていくつもりなのだけれども、とくに、この “顧客の購買サイクルへの取りこみ” を目的に据えた場合、“効果測定” が非常に重要な要素となってくる。たとえば、“ある商品の売上が ××% 増加したとき、ソーシャル メディア上で、その商品に対する言及に変化はあったのか、あったとすれば、どのソーシャル メディアで、どのように変化したのか…” というような測定、および分析を絡めて考えていくというコトになってくる。このあたり、ものすごく込み入ったテーマになってくるし、それなりにボリュームを割かないと説明できなかったりもするのだけれども、今、ココで話してしまうと、自身で組み立てている順序が崩れてしまうので、また後日ご紹介するコトにしよう (ハナシの流れから見て、今週中には解説できると思う) 。

ということで、ソーシャル メディア マーケティング施策を実際にプランニングするにあたって、“5W1H” を具体的な戦略に落とし込むために必要な、“POST プロセス” の “O” 、つまり “Objective” の部分を、3 日間かけて解説してみた。今回解説した Objective は、

  1. 関心や認知度の向上
  2. 顧客との関係性構築 & 維持
  3. 顧客の購買サイクルへの取りこみ

の 3 つなのだけれども、もちろん、これら以外の目的を設定してソーシャル メディア マーケティング施策を展開させていくコトもある。

実際、ソーシャル メディア マーケティングは、ソレ自体が非常に広範囲な活動であるし、その中には新規顧客や既存顧客はもちろん、そもそも自分たちの提供する製品やサービスに対する興味が薄い人や、他社の顧客、そして自分たちに対してネガティブなスタンスを取る顧客など、全ての生活者が対象となり得るし、あるいは自分たちのビジネス プロセスそのものと密接につながり、かつ新製品や技術等の開発とも連携していくことが想定されるからである。

ただ、大きくは、上記の 3 点に類型化されてくると思う。実際に施策をプランニングする際には、もちろん、訴求したい製品やサービス、あるいは組織等々の事情によって、様々な形ができてくると思うし、その辺のアレンジは、個々のマーケターが自分自身で考えていかなくてはならないのだけれども、ベースとなる考え方は、ある程度、この中でも語るコトができているのではないかと思うわけで…。

というわけで、次回は “POST プロセス” の 3 番目、つまり “Strategy” について、しっかりと語ってみようと思う。ようやく “Planning 編” の終わりが見えて来たのだけれども、実は、“Planning 編” の後に、“Budgeting”, “Deployment”, “Measurement”, “Optimization” と、あと 4 つのステップが控えていたりして… (汗) 。

ちなみに、これまでの分 (といっても、すでに長文エントリーが 28 回も続いているのだけれども…) をまとめてお読みになりたい方は、第 1 回が、こちらになっているので、ココからひとつひとつエントリーを読んでいくのが、現時点で最もベストな方法ではないかと… (ちょっと見やすくする方法を考えます…) 。

では、引き続きお付き合いのほどを…。

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

Menu

バイブル”が生まれる前のハナシ

SMM施策のプロセス

【メニュー編集】
livedoor wikiガイド
livedoor wikiタグ表記ガイド

メンバーのみ編集できます