クマムラゴウスケさんのブログに書かれた『”バイブル”が生まれる前のハナシ』各記事にインデックスをつけてwikiにまとめています。

さて、ここまで、ソーシャル メディア マーケティングにおける 5 つの基本ステップというコトで、“Planning” から始まり、“Budgeting”、そして “Deployment” までを順番に語ってきた。そして、今回は “Measurement” つまり、効果測定の部分になってくる。

ちなみに、一応、この “Measurement” は、上記の 5 つの基本ステップの中では、“Deployment” の後、つまり実際にソーシャル メディア マーケティング施策を展開し始めてからのハナシ、というコトになってくるのだけれども、実際のトコロ、とくに効果測定を、どのように考えていくか、というハナシについては、一番最初のステップ、つまり “Planning” の段階で、しっかりと押さえておいた方が良い。とくに、“POST プロセス” の “O: Objective” の部分をしっかりと策定していくときに、効果測定をどうやっていくか、という問題は切っても切れないモノとなってくるわけで。

というコトで、今日の本題。これまで、それこそくどいくらい解説してきたのだけれども、ソーシャル メディア マーケティングの本質とは、短期的に認知度を向上させたり、意識変容を起こしたり、といったコトを実現するというモノではなく、どちらかと言えば、中長期的に既存顧客や潜在顧客との Engagement を向上させたり、あるいは、ソコから、その顧客を購買サイクルへ取りこみやすくするモノだったりする。

しかし、ココからが問題なのだけれども、実際のトコロ、その Engagement というモノを測定する指標が、そもそも一般化していない。そのため、多くの場合、インプレッションやクリック数、あるいは Conversion Rate で、費用対効果を測定してしまうコトとなり、(Engagement という点で) 本来の効果を正しく評価できていないのが実情だったりもする。

実は、“バイブル” を作っていくにあたって、池田さんと共に、もっとも悩みに悩んだ部分が、この Engagement という面における効果測定のあり方でもあったりする。で、散々悩んだ結果、まずはソーシャル メディア マーケティングにおける効果測定の考え方という概念そのものを、きちんと説明するコトとなった。コレは、実は “バイブル” 云々以前に、池田さんが既にブログでご説明されている考え方なのだけれども、“まず、「投資対効果」と「費用対効果」の違いを明確にする” というトコロから入っている。この概念に関しては、ぜひ池田さんがブログに残しているエントリーを読んでいただきたい。

「投資対効果」と「費用対効果」の違い (by イケダノリユキの Communitainment Blog)

そもそもソーシャル メディア マーケティング施策の効果測定を、必要以上にややこしくしているのは、ソーシャル メディア マーケティングそのものが、広告と同じように解釈されちゃっているからだと思っている。このため、まずはソーシャル メディア マーケティング施策によって得られるであろうリターンを、単純にコスト効率で考える、という認識を改めていかなければならないという結論にいたった。

たとえば、オンライン広告で用いられる imp/CTR/CPC/CV(R)/PV/UU などの指標が、まさにそうなのだけれども、これらは基本的にはコスト効率を測定する指標、すなわち ROAC (Return On Acquisition Cost: 短期的な費用対効果) であり、決して効果を測定するもの、つまり ROMI (Return On Marketing Investment: 中長期的な投資対効果) ではないのだ。

もちろん、これらの指標が全く使えないというわけではない。少なくとも Buzz/Viral 型のアプローチに完全に徹するカタチで進めていくというのであれば、たとえばキャンペーン サイトにひもづく、これらの ROAC 的な指標を参考に、ある程度見ていくコトは可能だ。しかし、効果を向上させる取り組みとしてのソーシャル メディア マーケティング施策の場合、少なくとも ROMI として ROAC と峻別しなければ、ハナシは進まない。

実際、Engagement の効果測定では、それこそ、いつ (WHEN)、どこで (WHERE)、誰が (WHO)、何を (WHAT)、どんな風に会話してくれたのか (HOW)、さらにどんなモチベーションがあったから会話してくれたのか (WHY)、というのが、ポイントになってくる。そして、これらによって何が得られ、どう評価できるのかを明確にする必要が出てくるのだ。

ユーザーの全てのアクションが、ログとして取得でき、その効率性を簡単に集計・分析できる ROAC とは異なり、Engagement を重視するソーシャル メディア マーケティングの効果測定は、そもそもログとして取得しづらい上に、数値として表れにくいため、非常に多くのリソースを要するコトとなってくる。とはいえ、ソーシャル メディア マーケティングにおける 5 つの基本ステップは、正確な “Measurement” が伴わないと進んでいかない。なぜなら、ココで頓挫してしまうと、その先の “Optimization” に全く着手できなくなってしまうからだ。

結局、こういった点を踏まえた上で、とくに Engagement という点で、ソーシャル メディア マーケティングにおける“Measurement” を考えるにあたって、

1.指標は独自に作る
ROAC 的な、いわゆる “共通指標” は存在しないと考え、自分たちの施策の目的に対して適切な指標を、まず自分たちで (Objective を明確にする段階で) しっかりと設定する必要がある。実際、市場環境、競合環境、マーケット ポジション、商品やサービスの特性によって、ROMI 的な指標は容易に変動するため、自分たちの施策に適した指標を、そこから見出していかなくてはならない。

2.独自に作った指標は、関係者間で、徹底的に共有する
共通指標が存在していれば、誰もが、その共通指標を拠り所にして施策の評価をするコトが可能なのだが、自分たちで独自の指標を設定する場合、必ず全ての関係者間で、常に、その指標を共有する努力が必要になってくる。とくに、施策全体を評価する立場にある人間とは、より密に行っていく必要があるだろう。

という 2 つの点をしっかりと実践していく必要があるという結論にいたった。実際、“バイブル” でも、

「費用対効果 (ROAC)」と「投資対効果 (ROMI)」は違う ソーシャル メディア マーケティング施策の効果測定は “ROMI” で考える そのため、独自で指標を作り、関係者間で徹底的に共有する
という 3 点を、非常に分量を割いて解説している。とくに、この “Measurement” という部分に関しては、実際にソーシャル メディア マーケティング施策をドライブしていく担当者だけではなく、施策全体を評価する上層部の関与度も非常に高くなってくるハズなので、他のパート以上に、しっかりと説明されている。

というコトで、今回はまず、ソーシャル メディア マーケティングにおける “Measurement” の基本概念について、深掘りして解説をしてみた。次回は、“じゃぁ、具体的に、どうやって指標を作っていけばいいの?” というテーマで、今回よりもさらに深く解説していこうと思う。

このページへのコメント

qwLXKl I cannot thank you enough for the blog article.Really looking forward to read more. Awesome.

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Posted by tips about seo 2013年12月20日(金) 03:05:25 返信

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