クマムラゴウスケさんのブログに書かれた『”バイブル”が生まれる前のハナシ』各記事にインデックスをつけてwikiにまとめています。

今回も、“POST プロセス” の “O” つまり “Objective” について。前回は、“関心や認知度の向上” を目的に据えた場合の、ソーシャル メディア マーケティング的戦略の立て方のポイントについて語ってみたのだけれども、今回は “顧客との関係性構築 & 維持” について少し掘り下げてみようと思っている。

実際のトコロ、既存顧客や潜在顧客との関係性を構築していくためには、そのマーケティング的施策の展開期間は長期にわたる傾向がある。そのため、中長期的な活動において最も本領を発揮するソーシャル メディアと非常に相性が良く、ある意味、ソーシャル メディア マーケティング施策を実践するにあたって、中心的な目的としても位置付けられるかもしれないわけで。

そういうわけで、この “顧客との関係性構築 & 維持” という目的において、ソーシャル メディア マーケティング施策を考えていくというのは、非常に良いカタチではあるのだけれども、この Marketing Objective を実践していくにあたって留意する点はちゃんとある。ソレは以下の 3 点にまとめられると思う。

1.中長期的な取り組みを行っていくための計画・準備を怠らない
前述の通り “顧客との関係性構築 & 維持” という目的においてソーシャル メディア マーケティング活動を展開していくにあたって、中長期的な活動は必須になってくる。たとえば、1 〜 3 ヶ月程度で展開するような、期間限定キャンペーンのような活動では、そもそも顧客とのコミュニケーション機会を作るコトすらできないだろうし、ましてや、その中で信頼関係を構築することはほぼ不可能ではないかと考えられる。
ただし、中長期的な取り組みをするとなると、どうしても組織的問題やリソース的問題を伴ってくるため、上層部のコミットを得る必要があるし、その上で、ある程度の組織や体制作りなどが必要になってくるのは避けられない。これは、言い換えれば、そのような体制を整えずにスタートをしてしまうと、必ずどこかで行き詰ってしまうというコトを意味している。しかも、とくに “顧客との関係性構築 & 維持” を目的とする場合、“信頼関係づくり” という面から、一旦始めたら途中で止めることは、可能な限り避けなければならないわけで。
そのため、まず活動を開始する前に、組織として本気で取り組む覚悟があるのか、そして、それに見合った組織づくりも含めて展開することができるかについて、十分に検討する必要がある。
2.ユーザーが興味のあるテーマを取り上げる
実際、コレは “5W1H” の “Why” の部分で語っているコトとまったく変わらないのだけれども、顧客や潜在顧客と、継続的なコミュニケーションを行っていくためには、自分たちが言いたいことだけを、一方的に話している状態では決して成立しない。まずユーザーが興味を持ち、“会話したい”と思えるよう、関心をひきつけるテーマを設定するコトが重要になってくる。
ただ、ココで忘れてはいけないのは、“中長期的な関係性を構築する” と “顧客を囲い込む” という両者は、まったく意味が違うというコトである。
“中長期的な関係性を構築する” コトを目的として、企業がソーシャル メディア マーケティング活動を開始する際に、陥りがちな点は、

・ コミュニティ (SNS を含む) を構築するという結論に安易に走ってしまう
・ しかも、自社の製品・サービスしか語らせないコミュニティを作ってしまう
・ 直接的に自社の製品・サービスを売り込むような施策に走ってしまう

となる。

つまり、平たく言ってしまうと “自社にとって都合のよい内容、頻度で情報を送りつけるコトのできる空間に顧客を閉じ込めてしまう” という活動になりがちだというコトになる。コレは、そもそも “広告的手法の延長” であり、決してソーシャル メディア マーケティング的手法ではない。

実際、“中長期的な関係性を構築する” という目的を持って展開しているソーシャル メディア マーケティング施策で、成功しているといえるモノに関して考えてみると、上記に挙げた要素は含まれていないコトが多かったりする。むしろ、あえて競合商品やサービスを排除しないコトで、多くのユーザーをとの関係性を構築するコトに成功しているケースもあったりする。実際、たとえば企業が一社提供による Branded Community を開設・運営する場合、どうしても (そりゃ、せっかく色々と投資して、自分たちのためのコミュニティを作ってしまうわけだから、理解できなくもないのだけれども) 直接的な商品の売り込み色が強くなってしまいがちになるが、ユーザーとの関係性を構築していったり、あるいは率直なニーズやフィードバックを得るためには、むしろ営業色を排除して考えた方が良いのかもしれない。こういったスタンスで施策を展開できる企業は、少なくとも現時点では少ないと思うが、これができるか否かで、成功の可能性は大きく変わってくるコトは間違いないと思っている。

3.聞き上手になる
上記の内容を、ただ単に言い換えただけになってしまうのだけれども、結局重要なポイントを一言で言い表してしまうと、“聞き上手になる” というコトだったりする。前述の “中長期的な関係性を構築する” コトを目的として、企業がソーシャル メディア マーケティング活動を開始する際に、陥りがちな点というのは、言い換えれば “聞き上手になる” という点が欠けているからと言ってもいいだろう。そして、同じく重要なのは、聞き上手であると同時に、顧客間で情報交換をするコトができる環境づくりや、そのための場の提供を行うというコトに注力するというコトである。
つまり、ソーシャル メディアは、広告やプロモーションを行う場ではなく、顧客との良好な関係性を構築する中でブランディングを進める場であるというコトを、しっかりと意識する必要があるし、“話す” のではなく “聞く” というコトに注力する必要があるのだ。
そういうわけで、今回は、“関心や認知度の向上” に続いて、“顧客との関係性構築 & 維持” について掘り下げてみた。次回は、“顧客の購買サイクルへの取りこみ” という目的に対して、ソーシャル メディア マーケティング的なアプローチを、どのように考えていけばよいのかを、少し深く考えてみようと思う。

今回も、かなり “バイブル” 本編に含まれていない持論が、あちこちに語られているのだけれども、少しはお役に立つことができればと…。というわけで、次回以降も引き続きお付き合いいただければと思っているので、今後とも、よろしくです。

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