クマムラゴウスケさんのブログに書かれた『”バイブル”が生まれる前のハナシ』各記事にインデックスをつけてwikiにまとめています。

これまで 2 回に分けて、ソーシャル メディア マーケティングの世界に実際に踏み込んでいくにあたって、必要なルール作りについて解説してきた。この “ルール編” の最後に、ちょっと補足的な位置づけとして、組織内にルールを設け、ソレをしっかりと浸透させていくために必要なポイントについて、少し解説していこうと思っている。

実は、自身はソーシャル メディア リードとしての役割と同時に、現在自身が身を置いている企業において、その企業サイトのルールを策定したり、ソレを浸透させるというコトも合わせて担当していたりする。そういった中から得られたコトも含め、気づいたコト、感じたコト等も含め、組織内にルールを作っていくにあたって、重要なコトを記してみる。

実際、組織の規模が大きくなればなるほど、ただ単にルールを設けただけでは、何も起こらない。仮にルールを何らかのカタチでまとめて、ソレを組織内に通知したところで、場合によって、ソレはいずれ形骸化してしまうコトにもなりかねないだろう。

そういうケースに至らぬよう、ルールをしっかりと組織内に浸透させていくために重要になってくるのは、以下の 3 点になる。

ルールそのものが理解されやすい内容であること
ルールに何らかの権威付けをしておくこと
罰則規定を明確にしておくこと
もちろん、これらをすべて実践していくのは、個人レベルでは非常に難しいかもしれないのだけれども、特に権威付けや罰則規定云々に関しては、“POST プロセス” の “P” もとい “People” の部分、つまり上層部のコミットをしっかりと得るというところから始め、確実に進めていくカタチで取り組む必要があるだろう。

さて、それぞれの解説を、これからしていくのだけれども、この中で最も重要なのは、1. のルールそのものが理解されやすい内容であること、である。

基本的に、ルールとは “知らないヒトに対して、その行動が間違った方向に行かないよう、的確に導くコトを目的としている” モノだとも言える。そのため、ルールは可能な限りわかりやすく記しておいた方が良い。また、言葉には、常に人それぞれ異なった解釈が生じるというコトもしっかりと意識しておかないといけない。“コレは、別にしっかりと説明をしなくても、みんなわかるだろう…” という考えは危険だ。

たとえば、ルールの中に “他者および他企業の権利を侵害してはならず、個人情報保護法その他の関連法令及び社内ルールを順守する” という項目があったとしよう。一見、十分に語られているようにも見えるが、正直なトコロ、これだけではまだまだ不足している。こういった場合、具体的にどういったコトが NG となってくるのかを、極力例示しながら説明していく必要がある。たとえば、こんな感じだ。

いかなる場合においても、他者および他企業の権利(商標、著作権、プライバシー等)を侵害する可能性のある発言、ならびに画像、映像等のコンテンツの公開は行わないよう徹底すること。また、その他個人情報の保護等に関する法令、その他の法令を順守して発言、並びに画像、映像等のコンテンツの公開を行うようにすること。当ガイドラインのほか、ソーシャル メディアの利用に関連する、所属部門や別途グループによって定められたルールがある場合は、そのルールにも従う必要がある。

こういった説明を付記する他に、さらに具体的に不適切であると考えられる例を並べておくと、さらにわかりやすくなるだろう。たとえば、以下のような例だ。

[不適切な例]

他者が作成した文章、映像、音声、画像ファイルを、自身のブログ等に無断で使用する
他者の写真や個人を特定できるような情報を無断で掲載する
本人の同意なく、同僚、上司、部下や派遣社員、その他スタッフ等について、ソーシャル メディア上で言及する
正直、くどいようにも見えるが、ここまでしっかりと明文化しておかないと、なかなか徹底はされないだろう。こういったカタチで細部にいたるまで、しっかりと説明ができているようなルールを策定していくコトをお勧めする。

続いて、2. の “ルールに何らかの権威付けをしておくこと” という部分なのだけれども、コレについては当然ながら、先程も記した通り、まず事前に、上層部のコミットをしっかりと得ているコトが大前提となってくる。上層部のコミットをしっかりと得た上で、実際のルールの発表と周知を、上層部中心にやってもらうコトで、そのルール自体にある程度の権威付けが伴ってくるハズだ。もちろん、そのためには (上層部もコミットする以上) 、決してハンパなモノは作れないのだけれども、しっかりとルールを浸透させていくためには必要なモノであるというコトを意識し、万全の体制で進めていくコトが重要である。

そして最後に 3. の “罰則規定を明確にしておくこと” なのだけれども、コレは別に厳しいモノでなくても良い (というか、そうなってしまうと、就業規則自体に言及したり、場合によっては、ソレに手を加える必要が生じるため、仮にできたとしても、非常に手間がかかってしまうコトになる) 。ただ、ルールに反する行動を取った場合に、何らかのカタチで、その責任を負うような流れを作っておく必要がある、というコトだ。

仮に、この流れが出来ていないと、結局 “ルールに反したところで、別に何も変わらない” という解釈に転じてしまう可能性が高くなってしまう。その結果、ルール自体が形骸化してしまうコトにもつながってしまうので、必ず、何らかのカタチで “ルールに反する → 何らかの罰則を負う” という流れを作っておく必要があるだろう。

ここまで徹底してはじめてルールがルールとして成立してくると思うのだけれども、特にソーシャル メディア マーケティングに関しては、コミュニケーションの主体が、各個人になってしまう傾向にあるため、個人が自己の裁量で動ける部分は、しっかりと確保しておく必要がある。また、どんな事態が発生してもいいように、例外事項、例外対応をきちんと想定しておくコトが必要だ。

ユルすぎず、かつキツすぎず。コレがソーシャル メディア マーケティングにおける、ルールの策定のポイントだと思う。

さて、ここまで 42 回の長いエントリーが続いた。自身が現在身を置いている組織において、ソーシャル メディア マーケティングを実践していくにあたって、必ず押さえておかなくてはならないポイントをまとめた “バイブル” のハナシも、今回の、このエントリーで、一通り語り終えたような感じである。もちろん、実際の “バイブル” には、これまで触れてきた内容以上のモノが盛り込まれているし、正直、ソレをすべて、ココに出していくと、とんでもない分量になってしまうのだけれども、少なくともソーシャル メディア マーケティングを考えていくために基本となる考え方等、いわゆる本質的な部分に関しては、ここまでの一連のエントリーだけでも、かなり網羅できているのではないかと思っている。

実際、この “バイブル” は、2009 年の夏本番に差し掛かろうかという 7 月頃に制作に着手し、その後約 3 ヶ月間、ひたすら全力で疾走していく中で、完成を見た。もちろん、コレができるまでに社内外問わず、色々な方々の協力を得てきたのだけれども、その中でも最も中心的な役割を担っていただいた株式会社トライバルメディアハウス池田、そして八木さんには、何度感謝してもし過ぎるコトは無いくらいに、大変お世話になったわけで…。

本当にありがとうございました>池田さん & 八木さん。

というわけで 『“バイブル” が生まれる前のハナシ』は、今回で一応本編としてはおしまいである。ここまで長い間、お付き合いいただいたみなさまに、あらためて感謝…。

さて、次回以降、ちょっとテーマ等々を変え (あと、エントリーのタイトルも変えw) 今回の一連のエントリーに付随してくるような、様々なコトを、補足的なカタチで語ってみようと思っていたりもする。まだまだソーシャル メディア マーケティングには、考えるべきコト、語るべきコトがたくさんあるのだ…。

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