クマムラゴウスケさんのブログに書かれた『”バイブル”が生まれる前のハナシ』各記事にインデックスをつけてwikiにまとめています。

さて、今日から “5W1H” の 3 番目の “W” となる “Who” について、少し踏み込んでみようと思っている。もちろん、当たり前のハナシではあるのだけれども、とくに、この “Who” に関しては、施策によって、それぞれ十人十色になってくる。そのため、“バイブル” でも、“こうすれば O.K.” というやり方では紹介はしていなかったりするわけで。

ただ、十人十色とはいえ、少なくとも施策のターゲットとなる顧客に対して、どのような形で展開していく必要があるのか、その基本的な考え方は、意外と共通している部分もあったりする。もし、企業のマーケターで、今まさにソーシャル メディア マーケティングに踏み込んでいこうとしている方々が、実際に自分自身の施策を展開していく際に、この考え方が参考になればと思っていたりするわけで…。

まず、“Who” を考える上で、もっとも基本的なコトは、誰とコミュニケーションを取るのかを明確にするコト。コレに尽きる。そして、“バイブル” では、まずターゲットとなる顧客における “ソーシャル メディアへのエンゲージメント” という切り口を定めた上で具体的なターゲットを設定していくコトを考えるよう解説している。

ココで、“グランズウェル” の内容をすでにしっかりと把握し、かつ勘の鋭い方だと、“ソーシャル・テクノグラフィックス・プロフィールは、どうするんだ?” と思うかもしれない。そう、実際、このソーシャル・テクノグラフィックス・プロフィールは非常に重要だし、もちろん、コレはしっかりと考えていった方が良い。

ちなみに、(あんまりいないと思うけれども) 知らない方のために、念のためソーシャル・テクノグラフィックス・プロフィールについて簡単に説明しておくと、こんな感じか…。

自社の顧客層あるいは潜在顧客層がどのようなソーシャル・メディア活動に参加しているかを知るために、ソーシャル メディアへのエンゲージメントを軸に顧客を 6 つに類型化するフォレスター・リサーチによって考えられた概念

である。具体的には、

創造者・ブログを公開 ・自作の動画を投稿 など
批評者・商品をレビュー ・他者のブログへのコメント など
収集者・コンテンツ/写真/動画等に対するタグ付け ・Web サイトで行われている “投票” 活動への参加 など
加入者・SNS でのプロフィールの更新/他者との関係性構築 など
観察者・他者のブログおよびフォーラム等の記事の閲覧 など
不参加者・上記のいずれにも該当しない

というような形で分けられるモノだったりするが、詳細については、ぜひ “グランズウェル” を熟読していただければと…。
*上記は “グランズウェル” p58 を元に作成している

もちろん、これだけしっかりとターゲットを分けるコトができれば、全く申し分ないし、理想だったりする。ただ、現実的な問題をシビアに考えた場合、コレは意外と難しいモノであったりするのも事実だ。ソーシャル・テクノグラフィックス・プロフィールのデータを、きちんと収集するためには、それ相応のコストが発生する。本来であれば、こういったデータをきちんと収集するためのコストは決して惜しんではならないのが前提ではあるのだけれども、実際問題、施策における台所事情、そしてタイムラインを考えた際に、どうしてもソーシャル・テクノグラフィックス・プロフィールのデータをもとにして戦略を進められないケースも多々ある。

そこで、“バイブル” では、すでに自社の (製品マーケティングやブランド マーケティング) 既存のプロファイル (コレは、少なくとも何らかの形で存在するだろう) に対して、“ソーシャル メディアに対するエンゲージメント” という軸を一本追加するコトで、ソーシャル・テクノグラフィックス・プロフィールに近いモノを導き出すというコトを解説している。たとえば、自身が現在身を置いている企業の場合、テクノロジーに対するエンゲージメントという軸がすでにあるので、こんな感じになってくる。



コレは、テクノロジーに対するエンゲージメントを縦軸に、そしてソーシャル メディアに対するエンゲージメントを横軸にしたモノなのだけれども、少なくとも、こうやって見ると左下、つまりテクノロジーに対しても、ソーシャル メディアに対してもエンゲージメントが低い顧客は、おのずとソーシャル メディア マーケティング施策の対象から外れてくるという考えになる。つまり、ソーシャル・テクノグラフィックス・プロフィールで “不参加者” として区分されるわけだ。また、一方で右上の象限、つまり、どちらに対してもエンゲージメントが高い顧客に対しては、ソーシャル メディア マーケティング施策の注力対象となってくる。そして仮説として、この象限に入ってくる顧客は、テクノロジーに関して深い専門知識を持ち、かつソーシャル メディアによる情報発信力も非常に強く、周囲に対して何らかの影響を与えるグループであると考えられるかもしれない。さらに深く仮説を立てていくと、この象限に入ってくる顧客は自身の主義・主張を発信するブログを好み、同じ興味関心のある人とのおしゃべりを楽しむ mixi のような SNS ではなく、より人と人のつながりを志向する Facebook などを好んで利用し、最近では Twitter 方面で積極的に活動を展開しているかもしれない…、というように、膨らませていくコトができるだろう (もちろん、この仮説が正しいかどうかは定かではないけれども…) 。

こういった形でソーシャル・テクノグラフィックス・プロフィールではなくても (もちろん、ソレがあるのに越したことはないのだけれども) 、何らかの形で顧客を絞り込んでいく方法は見出せる。

ココまでが、“Who” の見出し方なのだけれども、こうやって説明をしていくと、ソーシャル メディアに対して、ある程度の土地勘を持っていらっしゃる方は、あるコトに気付くはずだ。そう、“コレって、前に出てきた ‘Where’ と結構カブってないか?” という点である。

実際、ソーシャル メディアでは、すでに同じ興味・関心によって、多重構造的なカタチでネットワーク化された世界が自然発生的に形成されている。このため、実際には “Who ≒ Where” というカタチで捉えるコトも可能だったりするわけで。

そういう点を考えると、ソーシャル メディア マーケティングの場合、関係性を構築したい消費者が誰なのかを特定するコトができれば、ある程度場所は明確になってくる。そのため、上記のようなやり方で特定した、それぞれのターゲットが、どこで、どのような会話をしているのかについての理解が、最終的には重要となってくるのだ。具体的には “Where” と “Who” はセットで考える必要が出てくる。こうやっていくコトによって、ターゲットとコミュニケーションがとりやすい場所が選定されてくるハズだ。

こういう感じでソーシャル メディア マーケティングにおける “Who” を考えていく必要があるのだけれども、ココまで記した方法論は、あくまでも Advocacy 型に対して有効であるというコトを忘れてはいけない。正直、Buzz/Viral 型の場合は、この手法ではなくなってくる。

Buzz/Viral 型の場合、その施策の、そもそもの目的を考えると、必然的にターゲティングの精度はゆるくなるし、そうならざるを得ない。もちろん、キャンペーンでリーチしたいターゲットが多く接触をする場所を探す、たとえば、ターゲットが多く集まるブログ (ブロガー) から情報を発信してもらうというようなコトは決して不可能ではないが、それでも大雑把なターゲティングになってしまうコトは否めないし、その制度はリスティング広告などに比べるとかなり粗くなってくるだろう。

ただ、コレを B2B 施策でやってしまうケースが非常に多いのが、今のソーシャル メディア マーケティングの実情だったりもする。とくに特定された B2B ターゲットにリーチしたい場合などには、そもそも Buzz/Viral 的なアプローチは不向きであるというコトは、しっかりと理解しておいた方が良いと思う。

というわけで、今回は “5W1H” の “Who” に関して深く掘り下げてみた。なんとか 1 回にまとめてみたかな…、という感じだったりする。次回は “What” について、こういった感じで深く語ってみようかと思っていたりする。

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