【第2期】舞台について

舞台背景

PCたちはハルシカ商協国の冒険者ギルド〈飢狼の牙〉マーベリックナイツにて依頼をこなしている、〈冒険者〉または〈放浪者〉のひとりです。
〈飢狼の牙〉マーベリックナイツに所属するPCには、一人につき一室の自室が設けられます。
（これは、ギルドに所属していない〈放浪者〉であるPCも同様ですが、自宅から通っている・部屋は利用していないなどの設定を自らのPCに設けることは自由です）
また、今回のレギュレーションでは、食費・宿泊費等の費用は発生しません。

前回の舞台である、第1期【水の都ハーヴェス王国】から5年が経過したものとして扱います。

⬜冒険者ギルド支部〈飢狼の牙〉マーベリックナイツ　
ハルシカ商協国に存在する冒険者ギルドとしては設立されて日も浅く、3年程度の歴史しかありません。
しかしながらギルドには手練れの冒険者が多く散見され、武勲を立てるために属した元騎士や名誉を求めて外から来訪した輩など、”飢狼”の名に相応しく独自のスタイルと倫理観を持った冒険者が多く所属しています。
その理由として元々騎士団の宿舎のひとつであった建物を、「さらなる戦力の拡大と騎士団の精鋭化」と称して運用されることになった部分があり、そうした経緯から新生のギルドであるにも関わらず、俗に言う”なんでも屋”として昼夜問わず様々な依頼が舞い込んでくる場所となりました。
その中にはハルシカ商協国を支えている有権者からの依頼なども含まれるためか、3年という短い運営期間でありながら〈飢狼の牙〉には、様々な野心を抱いた冒険者が集まるようになったのです。
また名目の関係上、〈飢狼の牙〉は蛮族や魔神の襲撃などに備え国の防衛を担う重要な施設としても位置付けられています。
そのためか、状況次第で彼らは冒険者ではなく民衆を守る騎士としての役割を求められることも少なくありません。

⬜冒険者ギルド支部〈飢狼の牙〉マーベリックナイツの構造　
〈飢狼の牙〉は西門近くに位置する3階建ての石造の建物であり、外観は堅牢な石壁に囲まれ、見た目は頑丈で重厚な雰囲気を醸し出しています。
その一方でギルド内は予想以上に広々としており、活気が漂っています。
1階には酒場兼、情報交換や冒険の計画立案のためにギルドメンバーが集まれるスペースや、元宿舎ということもあって充実した設備の揃った訓練場などが目を惹きます。
2階以上は所属する冒険者たちが自由に使うことのできる個室や大部屋が用意されています。
また、ギルドは地下にも広がっており、地下にはこれまでの冒険者の活動や過去の依頼に関する貴重な情報が詰まった資料室があり、ギルドの運営や依頼に対し戦略を立てるために受付や冒険者が出入りしている様子は日常茶飯事の光景となっていることでしょう。

⬜PCたちの暮らしについて　
ハルシカ商協国の冒険者ギルド〈飢狼の牙〉は国営での運営が行われており、その関係上、ギルドに所属する冒険者たちはこの地を居とする大商人や役人たちから、一定の立場を保証されています。
人族社会ではあるものの、この地で生き抜くため培われた実力主義的な側面からか、評価に値する実力者であれば蛮族なども身分保障の補助を受けることができるでしょう。
ある種「騎士団」のような規律こそ有してはいますが、有事の際に軍隊として動く必要があることを除けば、その実態は冒険者とさしたる違いはありません。

あくまで中立を宣言している国家に居を置くギルドであるため、表立って他国の争いなどに加担することはありませんが、必要であれば他国の大使や軍団長の頼みにより、他国の問題に介入することも十分にあり得ます。
これらの場合、問題の迅速な解決を依頼される場合が多く、その本質自体は通常、平時の冒険者としての業務とさしたる違いはありません。
その他、この国の特色として、商人を中心とした国家であるためか商人からの護衛依頼や商会同士の揉め事における仲介人として立ち会うケースは、他の地方より珍しくないでしょう。
そうして他の商人とコネクションを結ぶ機会を積極的に得ておくことは、たとえ自由な冒険者であっても、この地方で長く生き抜いていく秘訣のひとつであることは間違いありません。

世界観

ランドール地方は公式でも未だ参考資料が殆どない地方であるため、独自の解釈や設定を交えた地方として設計しています。
以下は、そうした背景を元に設定された独自設定の一部になります。
これらの設定は（その後の公式発表で矛盾が生じない限りは）当コミュニティにおいての公式設定として扱うため、当コミュニティのプレイヤー方がご自由に活用いただけることを想定しています。
ランドール地方、ハルシカ商協国に関する公式説明については『RⅢ』285頁～288頁を参照してください。

⬜【聖堂区画】
ハルシカ商協国の東に位置する、さまざまな神の神殿が立ち並ぶ区画です。
ハルシカの地下に広がる地下街とそこに住む人々の庇護を担う神殿もあればこの地の問題となっているアンデッドの撲滅を掲げる神殿など、その形態もさまざまです。
自らの神殿に忠誠を誓う「聖堂騎士」という役職があることでも知られており、意匠の施された銀の剣を携えているのがその特徴として表れています。

⬜【地下街】
ハルシカ商協国の地下に広がっている遊興街です。
もともとは蛮族などの襲撃により故郷を失ったものたちの避難場所として建設が進められていましたが、商人同士のいざこざなどにより計画が中途のまま放置されてしまった結果、現在は犯罪や悪事の温床となってしまったことで知られています。
地方から迫害を受けやってきたナイトメアやアルヴなどの種族から、はてには蛮族やダークドワーフなどといったものたちも暮らしており、現在においてはこの国一番の危険地帯として問題視されています。

⬜【”赤ケ原”フィルムアール】
ランドール回廊と呼ばれる場所の北西部に広がる広大な荒れ地です。
〈大破局〉の時代に人族蛮族、果てにはアンデッドまで介入するほどのおびただしい数の争いが繰り広げられた結果「あまりにも多くの血が流れ過ぎたために、大地が赤錆色に変色した」との言い伝えが残るほど、辺りには壮絶な戦いの爪痕が今もなお残っています。
結果として生きている住人は（人族蛮族含めて）ほとんど見当たらず、代わりに当時の戦死者たちと思しきアンデッドたちがそこら中を我が物顔で闊歩している姿を見ることができるでしょう。
一帯には戦時中に活用されたと思しき砦や集落などがそのまま放置されており、魔動機文明時代の産物と思しき貴重な品々が見つかることも少なくありません。
そのためおおよそ生命が生き抜くには不可能な土地でありながら、一攫千金を目当てに訪れ、新たにこの大地の餌食となる者たちは今でも後を絶ちません。
また、不思議なことにこの大地で朽ち果てた者たちもアンデッドとして蘇る特性があるらしく、そのことからもこの地でもっとも血の流れ続けている土地として、現地民からは恐れられているようです。

⬜【奈落の大穴】
地方の南西部に位置する、現在も徐々に広がり続けている大穴です。最深部は暗闇に包まれており降下するには何らかの手段を企てなければならず、周辺では度々、新たに遺跡などが出土するケースも見られます。
魔法文明時代後期に突如として発生したこの大穴からは、魔神が出現するといったことが時折観測されており、噂では地下深くに未だ発見されていない奈落の魔域があるせいだからではないかとする見方もありますが、真相は定かではありません。
しかしながら魔神の出現と被るかのように周辺で奈落の魔域が発生するという法則も見られており、年々この地の大穴に対する疑問は深まっています。

公式NPC

”折れた剣”
リチャード・ストライダー
（エルフ／男性／114歳）

「理想を掲げるにも、その理想を守るにも、力というものは必要不可欠な存在さ。力を有することは悪じゃない。だから君たちには、常に飢え、気高くあってほしい。それが私の願いだとも」

「その牙が抜け落ちない限り、ここ〈飢狼の牙〉は君の居場所であり続けるよ」

「私もかつて冒険者の一人だったけど、戦場では数えきれないほど多くの友を失った。だからこそ君たちが、一日一日を大切に生きてくれることを願っている。ここは、そういう場所だからね」

〈飢狼の牙〉のギルドマスターであるエルフの男性です。
見た目こそ好青年という印象を抱きますが、その身には戦乱の地を生き抜いた証である痛々しい傷跡が幾つも遺っており、壮絶な人生を歩んできたことが伺えます。

元々はハルシカ商協国で名高い活躍を上げていた冒険者の一人であり、彼は勇敢さとリーダーシップの資質を兼ね備えた戦士として仲間たちを率いる立場にありました。
しかし、争いは止むことを知らず、戦いのなかで多くの戦友たちを失い、自らも深い傷を負ってしまったことで、次第に自らの力の限界を感じ、冒険者としての一線を離れる決断を取りましたが
時が経ち〈飢狼の牙〉の設立が計画された際、出資者である商人たちから彼の名が上がったことで声がかかったことで、リチャードはギルドが掲げていた「さらなる戦力の拡大と騎士団の精鋭化」という理念に共感し、ギルドマスターとして立ち上がる決意をしました。

生真面目そうな見た目からはあまり印象付きませんが、元が冒険者であったということもあり、基本的には冒険者独自のスタイルを尊重する姿勢をとっています。
その上で彼の高い指導力は健在であり、有事の際には冒険者たちに強い誇りと責任を感じさせる存在として、今日も彼はギルドマスターとしての雑務をこなし続けています。
彼からの依頼は、その立場から騎士団などの国営団体によるものや、非常事態における冒険者の招集など、責任のある依頼や突発的な依頼が主になるでしょう。

⬜画像出典／krmr様作成「立ち絵風男子メーカー」より
⬜Twitter／@krmr4WD

”小言多し”
ラウラ・ケルネリン
（人間／女性／27歳）

「はぁーあ…。はいはい、受付担当のラウラでーす…。で、アタシへのご用件はなんでしょうか？」

「どーせあなた方の替えなんて効くんですから、あんまり無茶しないくださいよー…。後々書類に書き記すの、仕事が増えて面倒なんですから…。」

「はいはい、依頼ですかー…？あー、…もう、その辺のでいいんで好きに持ってってください。数減らしてくれるだけでこっちとしては大助かりなんでー…。」

〈飢狼の牙〉設立当初から受付嬢をしている女性です。
外見の端麗とは裏腹に、不愛想な喋り方と常に気だるげそうな凡そ接客業らしからぬ表情が印象強く、どことなく気難しい印象を受ける人物です。

以前は別の冒険者ギルドで勤務してらしく、前述の淡白な接客が災いしある冒険者とトラブルを起こしてしまったことで解雇処分を受けてしまい、その後路頭に迷いかけていたところを
運よく（或いは運悪く？）、〈飢狼の牙〉が冒険者ギルドとして立ち上がる際に出資者の一人からスカウトされたことで、現在の位置に落ち着くに至りました。
冒険者の業界に携わる人物としてもそこそこ長い部類に入るらしく、以前の彼女を知るものは「昔はあそこまで不愛想ではなかった」と口々に語ります。
その原因としては「日々の激務に嫌気がさしたからだ」とか「冒険者の恋人を仕事先で亡くしたからだ」など曖昧ですが、それについて当人は多く語ろうとせず、真相は謎に包まれています。
しかしながら愛想の悪さに反して仕事は正確であり、長年受付嬢として勤務してきた経験も相まって、実績だけで見れば信頼足り得る人物であることは間違いないでしょう。
彼女からの依頼は、職務上多岐にわたりますが長年冒険者の業界でその身を尽くしてきた人生からか顔は広く、他の冒険者ギルドから依頼が回されてきたり、彼女の評判を聞きつけた商人たちから仕事が回って来るケースも少なくありません。

⬜画像出典／ShirazuYomi様作成「にこっと！おんなのこメーカー」より
⬜Twitter／@yomi043

”狐目の”
シモン・ロッテンフィリア
（人間／男性／44歳）

「ちょうどよかった、オレの仕事を手伝ってくれないか？キミたちにしか頼めないことなんだ」

「先人たちが血と汗を流しながら遺したものが、無為にこの大地に消えていく。それは何とも、悲しいことじゃないか」

「クク…。商売において最も大事なことは、嘘を語らずに交渉を進めることだ。この話、キミたちにも悪い話じゃないことは保証しよう」

ハルシカ商協国に居を置く、ロッテンフィリア商会の会長です。
商会では主に冒険者向けの物品を販売しており、争いの絶えないランドール地方においてはその需要から、安定した経営を行うことに成功しています。
〈飢狼の牙〉の設立に際し携わったひとりであり、彼は冒険者たちの活動先が増加することを重要視し、出資者として経済的援助を行ったことでその立場を確立させました。

商売において、利益を最大化するための戦略を考えるなどの緻密な計画性を持ち合わせており、商売人としては多少の犠牲も容認する姿勢から反発する声も少なくありませんが、
結果としてそうした強気な外交戦術が商協国内外での信頼と評価を得ることに繋がっており、商会そのものの発展につながったと考えられています。

商売の傍ら、過去の文明のものと思しき遺跡に眠る物品や書物などを蒐集する悪癖があることで知られており、時おり冒険者たちにそうした依頼を出す場合があります。
その背景には、古代の遺産や知識といった人族の繁栄と栄光の歴史が消えていくことを惜しむといった、独特かつやや危険な思想が絡んでおり、元々そうした活動の依頼先を増やす魂胆から、今回の出資に踏み切ったとも考えられています。
彼からの依頼は、遺跡探索に関わる依頼や、商会同士の揉め事の仲裁といったものが多いでしょう。

⬜画像出典／拝様作成「拝式目付きの悪い男メーカー」より