東方茨歌仙 〜 Wild and Horned Hermit.



キャラクター

  • その他
    • モブ河童
    • 龍の子供
    • 雷獣
    • 人面犬

各話

第1話 片腕有角の仙人

  • 里の入り口の描写
    • 羅城門を意識?
  • 水消えて波は旧苔の髪を洗う
    • 詩人の都良香(みやこのよしか 関連:宮古芳香)が羅生門で「気霽風梳新柳髪」の続きを考えていたところ
      楼上から羅生門の鬼(茨木童子)が「氷消波洗旧苔鬚」と続きを読んだという『十訓抄』の逸話から。
      • 上の句は、天気は春うららかに晴れて、風は新芽の出た柳を髪を櫛ですいているよう。
        下の句は、池の水面に張っていた氷は消えて、波は古びた苔をヒゲを洗っているよう。
        天気が晴れる→氷が消える、風が新しい柳に髪をすくように吹く→波が古い苔にヒゲを洗うよう寄せる、という対句の表現。
    • ここでは、氷→水、ヒゲ→髪に変更されている。
      • ヒゲを髪に変更してあるのは、少女だからだと思われる。
      • 氷消えてを水消えてに変更してあるのは、氷が溶ける初春の季節ではないからと思われる。
    • 関連:茨木華扇 「都良香と茨木童子」の項
  • 河童の腕(おもちゃ)
    • マジックハンド。
    • 河童の両腕は体内で繋がっているとされ、
      片方を引っ張ると伸びるように見えると言われる。
      詳細は河童「のびーるアーム」に。

参考

第2話 意図的に捨てられた技術と地獄

  • 地獄谷
    • 長野県の地獄谷温泉。国指定の天然記念物である渋の地獄谷噴泉という間欠泉で知られる。
    • 八ヶ岳南東麓にある溪谷。
  • 核融合
  • 熱核反応
    • 極めて高温の条件下で起こる核融合のこと。
    • 太陽、水素爆弾、実用化が想定される核融合炉は全てこの熱核反応。
      お空の核融合も太陽と同じ熱核反応と推察される。
    • 高温高圧の状態を高度に制御する必要があるため、
      核融合炉は現在の科学技術では技術的ハードルが高く、実用化のメドはたっていない。
  • 常温核融合
    • 室温で水素原子の核融合反応が起きる現象。
      成功したと主張する科学者はいるが、追試による再現はできておらず、
      いわゆるトンデモ科学、エセ科学の分野として懐疑的に捉えられてしまっている。
  • 「社会的に抹殺されるという禁断の技術」
    • 上記のような胡散臭いものだという評価の一方で、実際は影響が大きすぎる技術であるが故に
      研究が握り潰されているのではないか、という陰謀論も存在する。
  • ジュリアン・シュウィンガー
    • アメリカの理論物理学者。
      量子電磁力学を完成させた功績で1965年にノーベル物理学賞を受賞した。
      常温核融合の論文掲載を米国物理学協会に断られたという。
  • 金山彦命(かなやまびこのみこと)
    • 金属や鉱山の神。
      • 儚月抄でも依姫によって呼び出されている。
  • パラジウム
    • 原子番号46番の元素。元素記号はPd。
  • 核熱魔人
    • メラモン?

参考

第3話 罪人の金鉱床

  • 人牛倶忘(にんぎゅうぐぼう)
    • 悟りに至る過程を十枚の絵で表した「十牛図」のうちのひとつ。全てが忘れ去られ無に帰一する様を、ただ一つの円で表す。
  • 温泉型金鉱床
    • マグマの作用によって生じた熱水に含まれている金が沈殿して作られた金鉱床。日本では青森県の恐山が有名。
      • 恐山は死者の魂を供養する霊場としても知られる。
  • 水銀
    • 「生きたいという欲望」
      • 水銀は古くから不老不死の妙薬として珍重されてきた。しかし実際は人体に非常に有害な猛毒である。
      • 参照:練丹「水銀の海」
  • 砒素
    • 「人を殺したいという欲望」
      • 猛毒である砒素は無色、無味、無臭なため、暗殺や殺人事件などに数多く用いられた。
  • アンチモン、鉛
    • いずれも体内に取り込まれると中毒を引き起こす。
    • 道教の仙人が自己強化の為に取り込んだのもあるかも。

参考

第4話 信仰の人工湖

  • スーベニール(souvenir)
    • フランス語で記念品、土産物のこと。スーブニールとも。

第5話 仙人の本分

  • ギーク
    • Geek。アメリカの俗語で技術オタクのこと。
  • 霊夢の着地シーン
    • エルシャダイ。

参考

第6話 雷の持つ見えない毒

  • 落雷
  • 電気ネズミ
    • ポケットモンスターのピカチュウ。
  • 「廃妄して痴にいたる」、トウモロコシなど
    • 甲子夜話から。
谷文晁ノ云シト又傳ニ聞ク、雷ノ落タルトキ、其氣ニ犯サレタル者ハ、
廢忘シテ遂ニ痴トナリ、醫藥驗ナキモノ多シ、然ニ玉蜀黍ノ實ヲ服スレバ忽愈、
或年高松侯ノ厩ニ震シテ馬ウタレ死ス、中間ハ乃廢忘シテ痴トナル、
侯ノ畫工石膓ト云モノハ、文晁ノ門人ナリ、來テコレヲ晁ニ告グ、
晁因テ玉蜀黍ヲ細所^シテ與ルニ、一服ニシテ立ドコロニ平愈ス、
又後晁本郷ニ雷獸ヲ畜モノアリト聞キ、其貌ヲ眞寫セントシテ、彼シコニ抵リ就テ寫ス、
時ニ畜主ニ問フ、此獸ヲ養フコト何年ゾ、答フ二三年ニ及ブ、又問フ何ヲカ食セシム、
答フ好テ蜀黍ヲ喰フト、晁コノ言ヲ不思議トシテ人ニ傳フ、イカニモ理外ノコトナリ、
 ―甲子夜話

参考

第7話 本物の福の神

  • 江戸時代に実在した人物、仙臺四郎のこと。幻想郷が表の世界と区別された頃あたりまでは生きていたようだ。
  • 彼が訪れる店は繁盛するとしてもてなされたが、福の神と呼ばれるようになったのは没後からだという。
  • ミシュ○ン
    • ミシュラン
      • フランスのタイヤメーカー。ガイドブックの出版で知られる。
        特にレストランを星の数によって格付けするレストランガイドが非常に有名。
        調査員であることを名乗らず匿名で店を訪れ、評価を行うことが多いという。
        もちろん高評価を得られれば売り上げや客足が大きく伸びる。

参考

第8話 狐の奸計

  • 漫りに酒を沽うを愁うる莫かれ 嚢中自ら銭有り
    • 賀知章の漢詩『題袁氏別業(袁氏の別業に題す)』より。
主人不相識 主人相識らず
偶坐為林泉 偶坐するは林泉が為なり
莫謾愁沽酒 謾に酒を沽うを愁うること莫かれ
嚢中自有銭 嚢中自ら銭有り
「ここの主人と面識はないが、庭が見事だったのでお邪魔をさせてもらった。
酒がなくなる心配などしなくてもよい。金なら私も持ち合わせがある」
というような意味。
    • 他人の美しい庭に上がりこんで、主人の横で堂々と花見をし出す男がいた。
      主人が戸惑っていると、その男は悪びれもせずにこの詩を詠ったという。
  • ゴッドハンド
    • 旧石器捏造事件を起こした藤村新一のニックネーム。
      次々と新たな石器を掘り当てることから「神の手(ゴッドハンド)」と呼ばれたが、
      事前に自分で埋めた石器を掘り出す自作自演だったと判明。
      歴史教科書などにまで影響を及ぼす大きなスキャンダルとなった。
  • 永楽通宝
    • 室町時代に明から輸入された通貨。江戸時代初期まで流通した。
    • ちなみに現代日本における取引価格は数百円〜千円くらい。

参考

第9話 新旧の妖怪

伊吹萃香 あいつ等
     私に挨拶も無しに
     お寺なんて建てたからね
  • 酒呑童子とお寺
    • 酒呑童子は各種伝承で最澄(天台宗開祖)に比叡山を追われて大江山に移住した、とされている。
      • 『大江山絵詞』では、酒呑童子は比叡山の近くの山に住んでいたが、最澄が比叡山に延暦寺を開いたためにそこには住めなくなり、大江山に移住した。
      • 『御伽草子』では、上記と同じく比叡山を追われて大江山に移住したが、今度は空海(真言宗開祖)に大江山を追放される。
        その後、空海が亡くなる(入定)とまた大江山に戻ったとする。
      • 奈良絵本『酒典童子』では、酒呑童子は元は人間で比叡山で修業する僧侶だった。
        ある時、鬼(般若)の面をつけて「鬼踊り」を披露したのちに酒を飲んで寝てしまったところ、鬼の面が顔から離れなくなってしまい最澄に比叡山から追放させられてしまう。
        伊吹山に追いやられた酒呑童子はそこで本当の鬼になってしまい、最澄の祈祷により伊吹山も追われ、最後に大江山に流れ着く。
    • 以上の経緯から、伊吹萃香はお寺に対して軽いトラウマがあり少なくとも良い印象は持っていないと考えられる。
      これが命蓮寺の面々への襲撃や「お寺なんて」との発言に繋がったと推察される。

参考

第10話 帚木の別天地

  • 久米
    • 久米仙人。
      • 奈良県にある久米寺の開祖とされる人物。
        若い女性に見惚れて神通力を失い、飛行中に墜落してしまった。
  • 竿打
    • 竿打ちの仙人。
      • 大江匡房の『本朝神仙伝』に収録された物語の一つ。
        仙人としては落ちこぼれで、空を飛ぼうとしても低くしか飛べず、
竿を持った近所の悪童に追い回されてしまったという。
悪ガキに竿で打たれたから「竿打ち」の仙人である。
  • 蓬莱の玉の木
    • 神宝「蓬莱の玉の枝 -夢色の郷-」を参照。
    • 「私は見た事があるもん。盆栽の奴とか」
      • 小説版儚月抄にて輝夜が優曇華(蓬莱の玉の木)の盆栽を育てていることが語られている。

参考

第11話 運松庵の太公望

  • 河童の秘薬
    • 河童から優れた効果のある薬をもらうという逸話は各地に伝わっている。
      人を襲った河童が反撃にあって腕を斬り落とされ、その腕を返してもらうために
      妙薬を差し出して取引する、という展開が多い。
      • 長野県にある運松寺?多くの薬師如来の像があるお寺。

参考

第12話 地獄のお迎え

  • 水鬼
    • 朝廷に反逆を企てた豪族、藤原千方が使役したと言われる鬼の一体。
      名前の通り、水を操る力を持つ。
      藤原千方の鬼は全部で四体いるとされ、他に金鬼、風鬼、隠形鬼がいる。

参考

第13話 河を捨てた河童

  • 山童(やまわろ)
    • 河童が変化した妖怪。河童が山に移り住んだもの。
      秋になると山に住んで山童となり、春になると河に帰って河童に戻るという。
      • 青娥に差し向けられた水鬼の水圧の影響でアジトから山に追いやられてしまった河童。水の奪い合いの為にサバイバルゲームのようなものを仲間同士で行っている。
  • 野鉄砲
    • 妖怪画集「絵本百物語」に登場する妖怪の一つ。
      タヌキ、リス、ムササビのような外見をした妖怪で、年老いた猯(まみ)が妖怪化したものとされる。
      直接顔に覆いかぶさり、あるいは口からコウモリのような物を放ったりして人の視界を奪い、
      血を吸うという。
      • 猯(まみ)とはタヌキの一種とも、タヌキとは別種ともされる動物。
        江戸時代にはマミ、タヌキ、ムジナ、アナグマ、時にはムササビやモモンガなどの分類や呼称が
        複雑に混同されており、そういった混乱や地域による呼称の違いなどから生まれたものといえる。
        東方的にはマミゾウの「マミ」。

参考

第14話 人間に好かれる妖怪

  • 座敷わらしで町おこし
    • 岩手県には座敷わらしに会えるという触れ込みの旅館がいくつか存在する。
      • 「需要が急増」というのは震災復興などで観光誘致活動に力を入れているためだろうか。
  • ホフゴブリン
    • 一般的にはホブゴブリン(Hobgoblin)。
      ゴブリンは醜い小人の姿をした精霊、小鬼などで、その一種であるホブゴブリンは
      家事などを手伝ってくれる善良な存在とされる。

参考

第15話 見える御神体

  • 菅原道真
    • 平安時代の貴族。
      右大臣にまで登り詰めるが、左大臣藤原時平の謀略により大宰府へと左遷された。
      その没後に天変地異が多発、特に清涼殿への落雷が道真の祟りと考えられたため、
      天神(雷神)と結び付けられて畏れられた。
      江戸時代になると、道真が優れた学者であったことから学問の神としての信仰を集めるようになり、
      菅原道真=天神様=学問の神という現在の信仰形態が出来上がっている。
    • 関連:八鼓「雷神の怒り」藤原「滅罪寺院傷」
  • 「梅の木といえば天神様よね」
    • 菅原道真は梅を好んだことで知られる。
      大宰府へ追いやられ、京を発つ際に詠んだ梅の歌や、それに伴う飛梅伝説などが有名。
      道真を祀る天満宮の神紋、道真縁の家や天神信仰の家の家紋などにも梅が用いられている。
  • 臥龍梅
    • 天神を祀る臥龍梅といえば鹿児島県にある菅原神社、通称「藤川天神」の臥龍梅。
      境内に植えられている臥龍梅は、菅原道真が自ら植えた梅が繁殖したものだと言われている。

参考

第16話 鬼の酒器

  • ブラッディメアリー
    • ウォッカとトマトジュースで作った赤色のカクテル。
      多くのプロテスタント信者を処刑したイングランド女王メアリー1世の異名にちなむ。
  • 注いだお酒の格を上げる事の出来る杯
  • やしょうま
    • 作中の解説の通り。米粉を練り、食紅などで模様を付けて作る信州の餅料理。
      名前の由来にはいくつかの説があり、釈迦が臨終の際に弟子の「邪(やしょ)」の差し出した餅を
      「うまかった」と言って食べたことから、「やしょ」「うまかった」→「やしょうま」というものなどがある。

参考

第17話 梅雨の奇石

  • 寓意草
    • 作中の解説の通り。江戸時代に書かれた、岡村良通の著書。様々な妖怪話などが収録されている。
      作者の岡村良通は林子平の父親。幕臣で優れた学者であったが、同僚との刃傷沙汰を起こして幕府の職を追われたという。
  • 龍石
    • 寓意草に記載されている物語の一つ。内容は作中で語られている通り。
      尾張の漁師が湿気を出す妙な石を拾い、それを釜で煮てみた。すると湿気が出なくなったので割ってみると、
      中からは手足のある小さな蛇のようなものの死体が出てきた、という話。
  • 本田式鎮魂法
    • 幕末から明治の神道家・本田親徳(-ちかあつ)が体系化した降霊法。
      ここでいう「鎮魂」とは死者の魂を鎮めることではなく、自分自身の魂を身体に鎮めて安定させること。
      鎮魂石という石を前にして意識を集中し、成功すれば鎮魂石の重さが変化するという。
  • 魚石
    • 柳田国男著の「日本の昔話」に収録されている物語。寓意草などにも同様の話がある。
      作中で華仙が引用しているのは「日本の昔話」のものと思われる。
      どちらも話の大筋は同じで、長崎のとある商人の家にある石を高額で買いたいという外国人が現れる。
      しかし、その石の価値をよく理解できていない商人が売る前に割ってしまうと、中から魚が出てきてすぐに死んでしまった。
      その後、改めて買いに訪れた外国人は貴重な魚石が割れてしまったことを嘆き悔やむ、という話。

参考

第18話 宗教家としての仙人

  • 方便は仏教用語でしたっけ
    • 仏教用語。
      • 初期仏教では「悟りに近づく方策」を指していたが、のちに「真の教えを説くための仮の教え」を意味するようになった。
        ことわざ「嘘も方便」の方便は後者の意味から。
        サンスクリット語の「ウパーヤ」の漢語訳。
  • 馬師皇
    • 黄帝に仕えたという仙人。馬を診ることを専門とする獣医。
      ある時、一匹の龍が空から舞い降り、馬師皇の診察を求めた。彼はその龍の病を見抜き、見事に治療してみせた。
      その後、馬師皇は自分に懐いた龍の背に乗り、どこかへ姿を消したという。

参考

第19話 由緒正しいお酒

  • 寄せ箸
    • 箸を使って離れた食器などを手元に寄せること。箸を使う上でのマナー違反の一つ。
  • アルハラ
    • アルコールハラスメント。
      飲酒や一気飲みの強要、酔って絡むなどの酒の席での迷惑行為全般を指す。
  • 大伴旅人(おおとものたびと)
    • 奈良時代の貴族、歌人。作中にも書かれているように、酒好きとして知られる。
      「酒を讃むる歌十三首」は晩年に中央から左遷された時期に詠んだ歌で、
      酒に対する愛着だけでなく、酒を飲むような余裕もなく権謀術数に明け暮れる中央の者たちへの皮肉や、
      自分の置かれた状況に対する寂寥感などが込められているとも言われる。
    • 東方求聞口授 三者鼎談 第二部に大伴旅人が詠んだ酒に関する歌が登場する。詳しくはリンク先を参照。
  • 少名御神
    • スクナビコナ。日本神話の神で、大国主と共に国造りを行なった。
      少名針妙丸を参照。
      国造りの際にこの神が酒造の技術を広めたとされる。
  • 丸橋忠弥
    • 江戸時代の武士。由井正雪が企んだ幕府転覆計画(慶安の変)の一味。
      「慶安太平記」、正式名称「樟紀流花見幕張」はこれを題材とした歌舞伎の演目。
      忠弥は計画を伏せるために飲んだくれのふりをして日々を過ごしていたが、
      それを知らない舅は酒浸りの忠弥を苦々しく思い、娘との離縁を迫る。
      やむなく舅には本当のことを話すも、舅が幕府に密告したことで企みが露見し、計画は失敗する。
  • 安康天皇
    • 第20代天皇。
      叔父の大草香皇子を殺し、その妃の中蒂姫を自分の妻としたが、
      酔って寝ているところを中蒂姫の息子の眉輪王により暗殺された。
  • 熊襲建(クマソタケル)
    • ヤマト朝廷に抵抗した熊襲の頭目。
      女装して宴席の場に忍び込んだヤマトタケルにより、酔ったところを暗殺された。

参考

第20話 間違いだらけの酉の市

  • 酉の市
    • 鷲神社など、日本各地の寺社で行われる年中行事。
      鷲神社の祭神ヤマトタケルの命日、あるいはヤマトタケルが祝勝に参った日ともされる11月の酉の日に開かれる。
      実際の酉の市の始まりは、江戸時代、花又村の大鷲神社(現在の花畑)を信仰する住民の収穫祭と考えられている。
      福を掻き込むという縁起物の熊手が有名で、鷲神社の「鷲」が獲物を掴む爪になぞらえたものだとも、
      ヤマトタケルが用いた武具に由来するとも言われる。
  • 熊手
    • 酉の市では福を掻き込むという縁起物の熊手が有名で、鷲神社の「鷲」が獲物を掴む爪になぞらえたものだとも、
      ヤマトタケルが用いた武具に由来するとも言われる。
      商売繁盛・開運招福のご利益がある。
  • 三の酉
    • 酉の日は12日ごとに一度巡ってくるため、年によっては11月に酉の日が3度あることもある。
      その11月の3度目の酉の日を「三の酉」と呼ぶ。
      この20話が掲載された2013年も11月には3度の酉の日があった。
  • 火事
    • 三の酉がある年には火事が多いという言い伝えがある。
      大鷲神社の傍には吉原の遊郭があり、酉の市の祭に便乗して吉原に通う夫を止めるために
      「火事が多いから早く家に戻れ」と妻たちが広めたのが由来の一つと考えられている。
なお、実際には三の酉の年に火事が多かったという記録はない。

参考

第21話 鬼は外、腹は内

  • 鬼門巻き
    • 鬼門
      • 陰陽道において不吉で忌むべきとされる方角。
        鬼が出入りする艮(うしとら)の方位。北東のこと。
        神社の鳥居は南向きに建てられるため、鬼門の方角は作中の咲夜のセリフ内の絵のようになる。
    • 恵方巻き
      • 節分に恵方(吉の方角)に向けて太巻きを食べるという風習。縁起が良いとされる。
        もともとは大阪の一部で行われていたものだが、マスコミやコンビニのキャンペーンなどにより全国的に広まった。
        なお、2014年の恵方は東北東の方位67.5°。

参考

第22話 怪魚万歳楽

  • 怪魚万歳楽
    • 『月堂見聞集』に記載されている怪魚。
      正徳2年(1712年)、江戸の深川で漁師の網に捕らえられ、江戸城に献上されたとされる。
      その姿は、全長7尺(約2m10cm)、鼠色、全身に7寸(約21cm)の毛が生え、頭は鼠のようだった、とある。
      めでたい名前として「万歳楽」と名付けられた。意味は下記。
      その正体は現在でも不明だが、アザラシ、アシカ、オットセイなどの鰭脚類(ききゃくるい)の一種ではないかとする説がある。
  • 万歳楽(まんざいらく)
    • 元々は雅楽の曲名。中国唐の時代の曲。舞楽であり、演奏と同時に舞踊が行われることもある。
      • 中国では、「賢王が世を治めると、鳳凰が飛んできて「賢王万歳」と鳴く」という伝承がある。その情景を舞楽にしたもの。
      • 日本には唐から伝えられ、大変めでたい曲として宮中で演奏された。現在でも、皇室の儀式などで演奏されることがあるとされる。
  • 月堂見聞集 (げつどうけんもんしゅう)
    • 本島知辰(月堂)の随筆。全29巻。
      元禄10年(1697)〜享保19年(1734)までの様々な出来事が書き連ねられている。
  • 『酒のない国へ行きたい二日酔い また三日目には帰りたくなる』
    • 江戸時代の文人、狂歌師の大田南畝(蜀山人)の詠んだ歌。
  • 万歳楽の過去の話
    • タマちゃん。2002年に多摩川に現れたアゴヒゲアザラシ。
      マスコミなどに取り上げられてブームとなり、横浜市から特別住民票を与えられた。
      2004年頃に姿を消し、以降の消息は不明。
      • アザラシは30年生きることもある長寿な生き物。今も存命だとすれば、かなりの老齢であると思われる。(元気がなかったのも寿命が近付いている、海水に浸かれていないの両者からか。)

参考

第23話 道を誤る巫女

  • 道祖神
    • 悪霊除け、旅の安全、縁結び、子孫繁栄などをもたらす守り神。
      村や路端などに石碑、石像として祀られる。道録神、塞の神とも。 ---この話の連載時は丁度ZUN氏に子供ができた時期。
  • 冒頭の霊夢と道祖神のエピソード
    • 大日本法華経験記、今昔物語集などに記載されている「天王寺僧道公、誦法花救道祖語」の一節。
      道公という僧侶が修行の帰り道、大きな樹の根本で休憩していた。
      すると馬に乗った集団がその樹を訪ねてきて何者かに声をかけ、共に来るように言う。
      道公が不思議がっていると、どこからともなく、今は事情があって同行できないと断る返事が聞こえた。
      驚いた道公が辺りを見回すが、そこには道祖神の石碑があるだけだった。

参考

第24話 有足の雷

  • くわばらくわばら
    • 落雷避けのおまじない。漢字で「桑原」。
      死後に雷神になったとされる菅原道真の領地「桑原」に由来するという説がある。
  • 球電
    • 赤黄色の発光体が空中を移動する自然現象。
      雷雨の際に観測されることが多いとされる。
      正体についてはよく分かっておらず、プラズマによるものだという説、あるいは実在自体が疑わしいという説もある。
  • 甲子夜話(かっしやわ)
    • 江戸時代の平戸藩主、松浦清(静山)の随筆集。
      正篇100巻、続篇100巻、第三篇78巻の長篇。
      当時の政治風俗の他、妖怪話に至るまで広く収められている。
  • 雷狩り
    • 関東の一部の地域で行われていたという「雷獣」を狩る風習。
      雷獣と考えられていた獣、あるいは雷獣に見立てた獣を狩ることで、人や作物への害を防ぐ行事。

参考

第25話 渾円球の檻

  • 渾円球
    • 丸い球。
    • 地球。
  • 非ユークリッド空間
    • 非ユークリッド幾何学に基づく空間。
      非ユークリッド幾何学とは、ユークリッド幾何学の「平行線公準」が成立しない幾何学のこと。
      平行線公準とは以下のもの。
1つの線分が2つの直線に交わり、同じ側の内角の和が2直角より小さいならば、
この2つの直線は限りなく延長されると、2直角より小さい角のある側において交わる。
ものすごく単純化して説明すれば「平行でない2直線を延長していけばいつかは交わる」というもの。
これは平面上においては成立するが、線を引いた面が球面(曲面)である場合は成立しない。
このようにユークリッド幾何学が成立しない歪んだ空間を非ユークリッド空間という。
  • チューブ
    • 1910年のハレー彗星通過の際に、彗星の尾に含まれる毒物が地球を覆う、
      あるいは地球上の空気が5分ほど無くなるという噂が立った。
      人々はその間の空気を確保するために自転車のチューブをこぞって買い求めた。
      実際は彗星のガスは薄く、地球の大気に弾かれるため、何の害もない。
  • 妖怪の星座
    • オリオン座が伊吹童子座、北斗七星が天龍座だといった話は東方香霖堂21話に言及がある。
  • 流星群を見る会
    • 上の星座と同じく東方香霖堂21話の話。
      魔理沙が星に因んだ魔法を使うようになったきっかけ。

参考

第26話 野卑な怪異

  • 足売り婆、足売りばあさん
    • 都市伝説の一種で、学校の怪談(通学路や学校のトイレに現れる)の一つでもある。
      • 大きな風呂敷を持ったおばあさんに「足いらんかね?」と尋ねられる。
        「いいえ」と答えると足を一本もぎ取られ、「はい」と答えると足を一本付けられ3本足にされてしまう。
        対処法としては、「私は要りませんが、欲しがってる○○(具体名)のところに行ってください」と言うと何もしないで去るとされる。
  • 人面犬(じんめんけん)
    • 都市伝説の一つ。人の顔をした犬。基本的に中年男性の顔をしているとされる。
      • ある話では、時速100キロで高速道を走るとされ人面犬に追い越された車は必ず事故を起こすとされる。
      • 別の話では、街で生ごみを漁っており、話しかけると「ほっといてくれ」と言って立ち去るとされる。
  • 都市伝説
    • 近代および現代において、「本当にあった話」として人々の噂話により拡がる「虚偽の話」のこと。
  • 東方深秘録の前日譚にあたる。
    • 足売り婆と人面犬は東方深秘録の導入ストーリーでも言及がある。

参考

第27話 妖怪に刺さる針

  • 事八日(ことようか)
    • かつて日本で広く行われていた風習。
      基本的に年二回、2月8日と12月8日に行われる。(地方により異なる日にちに行われることもある)
      2月8日を「事始め」、12月8日を「事終わり」と呼ぶ。
      • 地域により何が来るかは異なるが、一つ目の妖怪や疫病神、鬼などの妖怪が家に訪れ害をなす日とされている。
        対処法も地域により異なるが、一つ目の妖怪に対しては目籠(めかご)が魔除けになるとされ、それ以外にはニンニク、ひいらぎ、イワシの頭などを門前や軒先に掲げる。
      • この日は針供養を行う日でもあり、現代ではこちらのほうが有名。
  • 針供養
    • 折れたり曲がった針を神社やお寺に収めて供養する行事。
      基本的に事八日に行われるが、寺社により年1回2月8日か12月8日のどちらかに決めて開催したり、年2回両日とも開催する寺社もあったりと様々である。
      • 豆腐やコンニャクなど柔らかいものに針を刺して休ませる、という風習もある。
  • 一つ目小僧
    • 額の真ん中に巨大な目が一つだけある、坊主頭の子供の姿をした妖怪。豆腐を持っている場合が多い。
      基本的に悪さをすることはなく、その見た目で人を驚かす程度の無害な妖怪とされる。
    • 事八日に一つ目小僧が家に来るという風習は主に関東地方のもの。
    • 鍛冶との関連については、以下の天目一箇神との関連が指摘されている。
  • 天目一箇神(あめのまひとつのかみ)(『日本書紀』より)、天津麻羅(あまつまら)(『古事記』より)
    • 日本神話の神で鍛冶・製鉄の神。
    • 「目一箇」は一つ目、「麻羅」は「目占(めうら)」のことで片目を意味するとされ、一つ目の神であると推測されている。
      • 鍛冶を行うときに片目をつぶって温度を見る姿や、鍛冶師は職業病から片目を失明する者が多かったことが由来とされる。
  • 一本だたら
    • 一つ目で一本足の妖怪。
    • 多々良小傘の名前の由来。
    • 「だたら」は鍛冶師(たたら師)に由来すると言われている。
      • 一つ目である由来は天目一箇神と同じく鍛冶師の職業病による片目の失明とされる。
        一本足も同じように重労働である鍛冶師の仕事は片足が利かなくなる職業病があったことに由来するとされる。
      • 一説には上記の天目一箇神が零落(れいらく)して妖怪となった姿とも言われる。

参考

第28話 桜の木の地底には死体も眠らない

  • 硫化水素
    • 火山地帯や温泉地帯から放出されるガスの成分。温泉地特有の卵の腐ったような臭い(腐卵臭)の原因。作中にもあるように硫黄自体は無臭。
    • 毒性があり高濃度の場所では命を落とすケースもある。
      • 毒性の機序としては、細胞内のミトコンドリアの酵素シトクロムオキシダーゼを阻害することによる。
        この阻害が起こると細胞レベルで酸素が働かなくなり、生化学的に窒息していまう。この機序は青酸化合物(青酸カリなど)と同じである。
  • 殺生石(せっしょうせき)
    • 栃木県那須町の那須湯本温泉付近にある石(岩)の名称。石の種類は溶岩。現在は看板も設置され観光名所となっている。
    • 古来から、この場所で野生動物や人間が多数死亡したことから殺生石と名付けたとされる。
      • 現在では原因は有毒な火山ガスと判明しているが、当時の人は石が毒を吐いて悪さをしたと考えたようである。
      • 伝承では、正体が露見した九尾の狐(参照:Extra Stage 妖怪の式の式)がこの地で討たれ石となったのが殺生石とされる。
  • アメジスト
    • 紫色の水晶で、宝石の一種。紫水晶とも呼ばれる。
お燐 よく桜の木の下には死体が眠ってるでしょ?
   アレは綺麗な桜を咲かせるために必要な処置なんだけどーー
  • 桜の木の下には死体が眠っている
    • 桜の木が死体の血を吸うから花がピンク色になる、という俗説がある。
      • 梶井基次郎の短編小説『櫻の樹の下には』が元とされる。
        この作品は「桜の樹の下には屍体が埋まっている」という文から始まる。
      • 参照:Stage 1 白銀の春
  • 好奇心は猫を殺す
    • イギリスのことわざ「Curiosity killed the cat」の和訳。
      • (イギリスの伝承では)猫は9つの命を持っているとされるが、好奇心はその猫さえも(残りの命を無視して)殺してしまう、という意味。
      • 「強い好奇心は身を滅ぼす」という戒めの意味を込めて使用される。
      • このことわざは、シェイクスピアの演劇『Every Man in His Humour』に登場する「Care killed the cat」という言葉が元とされる。
        劇中では「心労は猫を殺した。猫は9つの命を持っているとされるが、心労はそんなことは忘れていたのだ。」(1898年版より和訳)というフレーズが登場する。
        これが派生して「Curiosity killed the cat」となったとされる。


参考

第29話 神秘の世界の夢

  • 猛暑日、真夏日
    • その日の最高気温が基準。35℃以上を猛暑日、30℃以上を真夏日、25℃以上を夏日と日本の気象庁は定義している。
      ちなみに夜間(夕方〜翌明け方)の最低気温が25℃以上の夜は熱帯夜とされる。
  • クロロホルムでは人間は眠らない
    • クロロホルム(国際的な化合物名ではトリクロロメタン)
      • 一昔前までフィクションの世界ではクロロホルムを浸した布きれ等を相手の口に押し当てて意識を失わせるシーンが頻繁に見られた。
        実際、クロロホルムは19世紀ごろまでは吸入麻酔薬として使われていた時期もあり、意識を失わせる効果はある。
        しかし、布に浸した程度の量では意識を失わせるほどの量には到底足りず、これではせいぜい気分を悪くさせる程度の効果しかないとされ、フィクションにおける描写はあきらかに誇張がある。
        実際に意識を失わせるには専用の器具で多量に吸入させる必要があるとされ、クロロホルムを犯罪等で使用にするのは現実的とは言い難い。

参考

第30話 神のみに許された霊力

  • 狐の玉
    • 日本の民話に登場するアイテム。
      作中にもあるように、狐が化けるときに使う玉とされる。
      • このアイテムとの関連は不明だが、稲荷神社などに設置されている狐の狛犬(狛狐?)の一部には玉を咥えている形態のものがある。
  • ケセランパサラン
    • 日本の民間伝承上の正体不明の生物で、江戸時代から伝承がある。現代の基準ではUMA(未確認生物)の一種になる。
      外見は球形のふわふわした白い毛玉。
      穴の開いた桐の箱で飼育できるとされ、持っていると幸せを呼ぶとする伝承がある。
      その正体については諸説ある。タンポポの綿毛のような植物性の毛が集まった物とする説のほか、動物性の毛が集まった毛玉説、他にも鉱物説や虫由来説など。
      なお、今作では恐らく「菌類」の一種であろう、としている。
      • 菌類(きんるい)
        科学分類における「菌類」とは、真菌のことでカビやキノコの形をとったり疾患では水虫などの原因になったりする。
        勘違いしやすいが「細菌」は菌類には含まれず、全く別の存在である。

参考

第31話 誰が兎を生かしたか

  • 150年前に兎を飼うことが流行
    • 明治初期の東京において「兎バブル」と呼ばれる現象があった。
      • 明治元年ごろから東京では兎の飼育ブームが始まった。
        このブームにより兎は投機の対象となり、明治4年(1871年)頃から兎の価格が急激に高騰。兎の投機バブルが発生した。
        これは16〜17世紀にオランダで発生した「チューリップバブル」と同じ現象である。
        明治5年には兎一羽が五十円(換算方法により幅があるが現代の貨幣価値で50万〜100万円くらい)
        高いものになると一羽数百円(仮に二百円としても現代の200万〜400万円)というとんでもない金額となった。
        当時は兎の品評会として「兎会」と開くことが流行り、自慢の兎を持ち寄って毛並みの良さなどを競うなどしたそうである。
        当時の東京府はこの兎の投機バブルを問題視し対策に乗り出す。まず、明治6年に「兎会」の開催を禁止。
        明治7年には兎税を制定し、兎一羽に対し月1円(現代の1万〜2万円)の税を課した。また兎の飼育を届け出制とした。
        明治10年には無許可で兎を飼育している人物を密告すると報奨金を出すという布告まで行っている。
        しかし、これらの対策はほとんど実効性はなかったようである。
        例えば、明治7年10月の東京府の兎税収入はたった51円だったそうで、きちんと届け出て兎税を納めていた人は皆無に等しいという状況であった。
        明治13年に東京府はとうとう意味をなしていなかった兎税を廃止した。
        皮肉にも、兎税を廃止したのちに兎バブルは自然と収束していった。
        作中では、「人間は兎に高い税金を掛け兎ブームは急激に冷えて行った」としている。
        しかし、実際には前述のとおりほぼ誰も税金は払っておらず、バブルが収束したのも兎税の廃止後であり、兎税はほとんど影響していないと考えられている。
        研究ノート 明治の兎バブル(著:高嶋修一)を参考にしてまとめました)


参考

第32話 ぽんぽこ陣取り裏合戦

  • 節分
    • 年に4回あり、春夏秋冬の四立(立春、立夏、立秋、立冬)の前日および土用の最終日にあたる。(参考:ヴァカンスの生命の備考)
      由来は「季節を分ける」と言う意味から。
      • 豆まきをする節分は「立春の前日の節分」のことで、一般に節分と言うとこの日を指す場合が多い。
      • 節分については第21話でも題材となっている。
  • 鰯の頭も信心から
    • ことわざ。「鰯の頭のような一見どうでもよいものでも信仰心があれば重要なものに見えてしまう」と言う意味。
      • このことわざは節分に鬼を払うために鰯の頭と柊の葉(合わせて柊鰯と呼ぶ)を戸口に飾る風習を指している。
        第27話にもあるように事八日でも同じ物を飾るケースがある。
        鰯の頭の生臭いにおいを鬼は嫌がり、柊の葉の棘は鬼の眼をつくので鬼に対する魔除けとなる、とする。
  • 無限にお酒が湧いてくる瓢箪
  • 道寿の壺(どうじゅのつぼ)
    • 無限に油が湧いてくる油壺。
    • 『二川随筆(にせんずいひつ)』に西道寿という人物が語った話として以下のような逸話が収載されている。
      「ある農家の灯火用油壷に油が常に八分目ほど入っており、使っても減らない。五年もその様なことが続いている。」*1
    • ちなみに「無限に油が湧いてくる油壺」が登場する逸話としては、新約聖書のものが有名。
      • エリシャという多額の借金を背負った未亡人に対し、イエスがエリシャの持つ油壺を奇跡で「無限に油が湧いてくる油壺」に変え救済した。
        (『新約聖書』 列王記下第4章1節〜7節より)
  • 耳袋(みみぶくろ)
    • 江戸時代に書かれた随筆集。著者は南町奉行を勤めた根岸鎮衛(ねぎし しずもり)。全10巻で各巻100話(全1000話)。
      内容は幅広く、当時の風俗や習慣、医術、奇談などが掲載されている。
    • 「狸は油に酔う」という内容の逸話は耳袋の巻之八に掲載されている。


参考

第33話 足元で蔓延る西洋の悪魔

  • 西洋の悪魔
    • 「セイヨウタンポポ」のことだが、この話に登場するレミリア・スカーレット(二つ名の一つが「赤い悪魔」)も意識しているか。
  • ダメ絶対
    • 薬物乱用防止キャンペーンの標語「ダメ。ゼッタイ。」から
  • セイヨウタンポポ
    • 元々はヨーロッパ原産。日本には20世紀前半に持ち込まれ外来種のタンポポとして分布している。日本に元々あった在来種のタンポポとは別の種。
      受粉なしでも種子が作れるという在来種にはない特性があり、それによる高い繁殖力から爆発的に分布が広がり現在では日本中で頻繁に見ることができる。
      日本以外でも南北アメリカ大陸、オーストラリア、ニュージーランド、インドなど世界中で外来種として分布している。
      • 見た目の違いとして、セイヨウタンポポはガクが反り返っているのに対し、在来種は反り返っていない。
        ただし、近年は在来種と外来種の雑種(後述)も増加しており判別が難しくなっているとされる。
    • 作中では「一旦この悪魔の侵入を許すと本物のタンポポは駆逐されてしまうでしょう」と言われている。
      近年の研究では外来種と在来種のタンポポは基本的に棲み分けがなされているとされ、在来種の数を外来種が直接減少させているわけではないとされる。
      在来種は基本的に田園地帯を中心に分布し、対して外来種は都市部を中心に分布している。
      ただし、近年では外来種と在来種の交雑のほうが問題となっている。
      現在、一般に外来種とされているものの大半は在来種との交雑がすすんだ雑種であるという報告があり、在来種に対する遺伝子汚染への危惧が指摘されている。
      • 日本の環境省はこの雑種も含めた外来種を「外来タンポポ群」とし、「生態系被害防止外来種」の重点対策外来種に指定している。
  • タンポポの食用
    • 在来種もセイヨウタンポポも食用が可能である。
      • セイヨウタンポポは昔から原産地のヨーロッパやヨーロッパからの移民を中心に食用として用いられてきた。
        サラダなどにして食べる他に、たんぽぽ茶やたんぽぽコーヒーにしたり、薬用などのハーブとしても使われる。
        ただし、それほど美味しいものではないため、多種多様な食材が手に入りやすくなった現代では通常の食材として使われることは少ないとされる。


参考

第34話 脳にかかる未確認の靄

  • 湿邪(しつじゃ)
    • 東洋医学用語。六淫(ろくいん、りくいん)の一つ。
      六淫とは「気候など外的要因による病気の原因となる要素」のこと。
    • 湿邪は、湿度の高い環境が原因で、体のだるさなどの症状がでる。
      • ちなみに他の六淫は「風邪」「寒邪」「暑邪」「燥邪」「火(熱)邪」。邪の前の単語が病気の原因となる気候等を指している。
  • アカハライモリ
    • 日本固有種のイモリ。名前の通りお腹は赤く黒い斑点がある。背中側は黒色が基本だが、個体によってはこちらも赤いものもいる。
      日本の環境省はアカハライモリを準絶滅危惧種に指定している。(2018年現在)
      • フグ毒と同じテトロドトキシンを持つ。
        テトロドトキシンの機序は神経細胞のナトリウムチャンネルの働きを阻害することで神経伝達を遮断し麻痺を起こさせることによる。
        この麻痺により呼吸系が働かなくなり、窒息して死亡に至る。
      • ただし、フグとは違いアカハライモリの持つテトロドトキシンは量がかなり少ないとされ、人間が死亡したという事例はほとんどないとされる。
      • 基本的に食用にはしないが、「イモリの黒焼き」はこのアカハライモリを焼いたもので、かつては薬として用いられていた。
  • 水仙(すいせん)
    • ヒガンバナ科の植物で白や黄色の花を咲かせるのが特徴。もともとは地中海原産の植物だが、現在は帰化植物として日本に広く分布している。
    • 毒があり、見た目がニラと酷似ししていることから、誤食による食中毒がほぼ毎年のように発生している。
      • 毒の主な成分はリコリン。これはアルカロイドの一種で、強い吐き気を引き起こす。
        命に係わるほど重篤化することはまれとされるが、死亡事例もある。
      • 仮に毒抜きをするとするなら、リコリンは水溶性の物質なので流水に数日間さらすという方法もあるようではあるが、実際にこれで毒抜きができるという信頼のおけるデータは存在しない。
        ちなみに、リコリンは熱に強いため加熱しても毒性は消えない。
      • 飢饉時に上記の方法で食用としたという記録もあるようだが、通常は食用にすることはない。
  • ドクニンジン
    • セリ科の植物で名前の通り毒がある。ヨーロッパ原産だが現在は北海道を中心に日本にも外来種として分布している。
      日本の環境省は「生態系被害防止外来種」の「その他の総合対策外来種」に指定している。
    • 毒の主な成分はコニイン。これは神経毒で中枢神経の働きを抑制することで麻痺を起こす。これにより呼吸障害がおきて窒息して死に至る。
      • 古代ギリシャの哲学者ソクラテスの死刑にドクニンジンが用いられたことで知られる。
      • 強烈な腐ったような臭いを放つため、仮に知識が無くともあえてドクニンジンを食用にしようとすることはほとんどないとされる。
        そのため、上記の水仙とは異なり、誤食事故はまれである。(皆無ではない)
      • かつては少量を医薬品として使っていた時代もあったそうだが、薬効の割に毒性が強いことから安全性の面から非常に使いづらい薬であったとされる。
      • 毒性がかなり強いため毒抜きなどをして食用にすることはまず考えられない。
  • UFO記念日(空飛ぶ円盤記念日)
    • 1947年6月24日、アメリカにおいてケネス・アーノルドと言う人物が飛行機からUFOを目撃したことにちなんでできた記念日。
      これがUFOの最初の目撃情報であるとされる。
  • 霊夢が鈴奈庵から借りていた大量の本

参考

第35話 茨華仙の信じる道

  • 無神論
    • 「無神論」はキリスト教社会である西洋で生まれた概念であり、元々は「一神教の神(唯一神、絶対神)の存在を認めない立場」を意味していた。
      (現在でも西洋では一般的にこの認識が主流)
      • あくまで一つの見方にすぎないが、西洋では上記の意味から「仏教や多神教の信者は無神論者である」とする考えもある。
    • 神道および(日本式の)大乗仏教が優位の日本では「無神論」という言葉の使われ方およびニュアンスは西洋とは異なる。
      • 日本において無神論者というと上記の一神教の神のみならず神秘主義的、超自然主義的な存在(神道の八百万の神、仏教の菩薩、如来、天部など)を認めない立場を指す場合が多い。
神子 仙人を怪人のように扱うではない
  • 重力波
    • 重力波とは時空の歪みが波のように光速で伝播する現象をさす。アインシュタインがその存在を予言したことで知られる。
      • 重力波は2016年2月に初めて観測された。この発見に関わったアメリカの3人の科学者は2017年にノーベル物理学賞を受賞している。
      • この観測はアメリカ合衆国にあるLIGO(日本訳:レーザー干渉計重力波観測所)と呼ばれる巨大な観測装置を使って行われた。
        この装置は3002厠イ譴親鵑弔隆兮所からなり、この二つの観測内容の差(波の到達時間の違いなど)から重力波の観測とその波源の割り出しを行う。
        各観測所には一辺が4kmにも及ぶ巨大な観測装置が設置されている。
        ちなみに、初めて観測された重力波は「地球から13億光年離れた2個のブラックホールが衝突合体した時に生じた重力波」であった。
        その後に観測された重力波もブラックホールの衝突や中性子星の衝突によるものとなる。
      • 上記のように、現代の技術では大掛りな装置や施設を用いて、大規模な天文現象で発生した重力波を観測するのがやっとである。
        作中のように「一人の人間が持ち運べるような小さい装置で規模の小さい重力波を観測する」というのは現代科学とは比べようもない驚異的な技術力となる。


第36話 天高く神社肥ゆる秋

  • 天高く馬肥ゆる秋
    • 秋の穏やかな気候を表す言葉で、実りの季節である秋に食欲が増して馬も肥えていくことを指している。
    • 出典は中国唐の時代の詩人杜審言(としげん)の詩『蘇味道に贈る』(そみどうにおくる)から。
      蘇味道は同時代の別の詩人の名前。
      • 原文「雲淨妖星落 秋深塞馬肥」
        書き下し文「雲浄(くもきよ)くして妖星(ようせい)落ち 秋高くして塞馬(さいば)肥ゆ」
  • ヒダル神(ひだるがみ)
    • 人間を空腹にする悪霊の類いで、いわゆる憑き物の一種。
      山などで行き倒れになった人間の霊とされるが、祀る者のいない神が悪さをしているとする伝承もある。
      近畿地方及び四国地方を中心に伝わる伝承。
    • 特定の山道などを歩いていると突然空腹感に襲われ、冷や汗や手足のしびれ脱力感の症状が出てその場から動けなくなるとされる。
      • これらの症状は医学的には低血糖症状と一致する。
    • 対応策としては、多くの伝承では「その場で何か食べ物を口に入れる」と改善するとしている。そのため、あらかじめ弁当の中身を一口だけ残しておくことが推奨される。
      それ以外の対応策は伝承により異なるが、「手のひらに米と書いて舐める」「特定の社に木の枝や木の葉を供える」「ワラジの裏を舐める」「身に付けた物を後ろ向きに投げる」などがある。*2
      • その場で食べ物を食べるというのは低血糖症状への対応策としては正しい。
        正確には糖分を摂取することが望ましいが、糖分が高級だった時代では米などの炭水化物を取ることが現実的だったと考えられる。


参考

第37話 閃光が起こすのは雪か神か

  • 冬の雷
    • 冬型の気圧配置により北陸地方を中心とした日本海側で主に見られる現象。
      冬に雷が発生するというのは世界的に見ても稀な現象とされる。日本の北陸地方は冬の雷が発生する回数も多く、世界的に見ても珍しい地域とされる。
    • 積乱雲の違い
      • 雷は基本的に積乱雲により発生する。
      • 夏の積乱雲は地上と上空の温度差により発生する。
        これは非常に高い位置に出来る雲として知られ下部(雲底)でも高度5卅宛紂⊂緝瑤任蝋眦10劼魃曚┐襦
      • 一方、冬の雷を起こす冬の積乱雲は大陸から流れてくる冷たい空気が日本列島にぶつかって上空に流れることで(主に日本海側で)発生する。
        冬の積乱雲は、雲底は低いと高度数百m程度、上部でも高度数km程度とされ夏の積乱雲と比べるとかなり低い位置にある。
    • 冬の雷の特徴
      • 夏の雷より一発のエネルギーが非常に大きく、夏の雷の百〜数百倍とされる。
      • 夏の雷は同時に多数発生することから「ゴロゴロ」という音が発生し警告にもなるが、冬は強力な雷が少数発生する形のため「ゴロゴロ」という音が聞こえることは少ないとされる。
        これにより屋内などへの避難が夏よりも遅れる原因となるため注意が必要となる。
      • 通常、雷は上から下へと落ちるが、冬の雷の一部は下から上へと落ちる(昇る?)形態があることでも知られる。
        この現象のメカニズムは雲の位置の違いが原因とも言われるが、具体的な理由はまだ明らかになっていない。
  • ヤマネ
    • 日本固有種のげっ歯類。ヤマネ科ヤマネ属に分類される。
      体長は10僂頬たず、体重は成体でも20g程。
      基本的に森林に棲む。昆虫の他に果実や木の実などもたべる雑食である。
      気温が12-14℃以下になると冬眠する習性がある。
      • 日本の環境省はかつて準絶滅危惧種に指定していたが、この指定は解除され現在に至っている。(2018年現在)
  • 策動(さくどう)
    • (動詞)密かに策をめぐらして行動すること。
      • ロープウェイは日本語で「索道(さくどう)」と呼ぶ。
        東風谷早苗の発言はこの二つの「さくどう」を掛けたもの。


参考

第38話 聖地としての神社

  • 博麗神社にある守矢神社の分社
  • 守矢神社の索道(ロープウェイ)
    • 過去に以下の書籍にて言及がある。
      • 東方求聞口授(170ページ)「架空索道」の案が初めて明かされた。八坂神奈子と天狗側の主張が掲載されている。
      • 東方茨歌仙 第19話 由緒正しいお酒「安定した動力があればすぐにでも作れる」「十年後かもしれないし百年後かも」との発言あり。
      • 東方文果真報(96〜97ページ)「索道が遂に完成し、近々運行が開始されそう」との記述がある。

第39話 そこに妖怪の山があるから

  • そこに山があるから
    • 20世紀前半のイギリスの登山家ジョージ・マロリーの言葉から。
      • 「あなたはなぜエレベストに上るのか?」と問われたマロリーは「そこに(エレベストが)あるからさ」(Because it's there.)と答えたとされる。
      • この言葉は、日本においては「そこに山があるからさ」と置き換えられて使用される。
  • 風の神
    • 八坂神奈子は主に「山の神」とされているが、元々は「風雨の神」。
八坂(無数の坂)という名前の通り、山の神様と言われているが、実際は風雨の神様であった。
雨や風を司るという事は、つまり農業の神として祀られていた。
東方風神録 キャラ設定テキストより)


参考

第40話 幻想郷を蝕む異常気象

  • 竹の花
    • 竹は一生に一度だけ枯死の直前に花をつける。
      種類によりいつ花が咲くかは異なるが日本では発芽後約60〜120年のものが多いとされ、実質的にこの期間が竹の寿命となる。
      竹は地下茎で多数が繋がっており、地上から見ると樹木のように独立しているように見えてもそれらは全て同じ個体となる。
      勘違いしやすいが、上記の「発芽」後の期間も元の株の発芽からの話であり、筍が生えた時からカウントするわけではない。
      同じ個体に所属する「竹」は一斉に開花してその全てが「集団で」枯死することになる。
    • 日本にある主な竹の品種
      • 孟宗竹(もうそうちく)
        花が咲くのは発芽後67年という記録があるが、記録数が少ないため今後変動する可能性もある。
        たけのこは4月にとれる。日本にある品種の中では一番高く25mまで伸びることもある。
      • 真竹(まだけ)
        花が咲くのは発芽後120年。真竹は120年おきに数年程度の間に全国規模で集団開花(と集団枯死)することで知られる。1960年代にあった一斉開花では国内の真竹の1/3が枯れたとされる。
        たけのこは5月から6月上旬にとれる。高さは10〜20m程度。
      • 淡竹(はちく)
        花が咲くのは発芽後120年。たけのこは3月半ばから5月上旬にとれる。高さは通常は10〜15mだが、たまに20mまで伸びるものもある。
    • 竹はイネ科であるため、竹の花の見た目は稲の花とよく似ている。その後につく実は米と同じく食用とすることも可能。
    • 伝承では、竹の花の開花は凶事とされ、不吉な前触れとされる。


参考

第41話 天与の涼気

  • 鰻の血液の毒
    • 毒の成分は「イクシオトキシン」と呼ばれる。
      • 経口で摂取した場合、下痢や吐き気などを起こす。通常は命を奪うほど強い毒ではないが、新鮮な鰻の血を大量に摂取した場合には麻痺や呼吸困難に至り命にかかわることもある。
        この毒は熱に弱く、加熱調理すればすぐに毒性は失われるため、通常の食用では問題になる事はない。
      • 作中では「目に入れば失明する」と脅しているが、実際は結膜炎になり目が赤くなり痛みを伴う症状は出るものの、失明にまで至る例はほとんどないようである。
  • 二川随筆(にせんずいひつ)
    • 江戸時代中期に書かれた随筆集。作者は細川宗春。
      • ちなみに第32話に出てくる「道寿の壺」の話も『二川随筆』に収載されている。
  • 鰻が夏バテに効く
    • 歴史的には『万葉集』(奈良時代に編纂された和歌集)に鰻は「夏やせによし」とすでに書かれている。
    • 栄養学的には鰻は高タンパクで各種ビタミンやミネラルも豊富であることから、栄養不足による夏バテには一定の効果が期待できる。
      • 作中にも描写があるように、「かば焼きの甘い香ばしい匂いが低下していた食欲を刺激する」という側面や「鰻=夏バテに効く」という文化的な共通認識から来る心理的効果も考えられる。


参考

第42話 四季を取り戻せ

命蓮寺には力のある妖精が少ない
(一部省略)
死の匂いが強いお寺は
妖精の影響力が弱いみたい
高麗野あうんのセリフより)

第43話 博麗神社は富を寄せ付けない

第44話 寿命を超越するもう一つの手段

  • 涅槃会(ねはんえ)
    • 釈迦が入滅したとされる日に寺院で行われる法要のこと。
      • 伝統的に釈迦が入滅した日とされるのは旧暦の2月15日。
        現在の日本では寺院により「旧暦の2月15日」「新暦の2月15日」「新暦の3月15日」と涅槃会を開催する日が異なる。
      • 旧暦の2月15日とするのは中国で定められた後付の風習。
        釈迦がいつ亡くなったかは実際には不明であり、上座部仏教では下記の通り別の日に祝っている。
      • タイなどの上座部仏教では、大乗仏教における涅槃会(釈迦が入滅した日)と灌仏会(かんぶつえ、釈迦の誕生日)を「ウェーサーカ祭」として同時(新暦の4〜5月ごろ)に祝う風習がある。
      • 東方妖々夢 5面で表示される西行の短歌では、西行が「釈迦入滅の日(涅槃会の行われる日)に死にたい」という思いを詠っている。
        (参照:Stage 5 白玉楼階段の幻闘
  • 涅槃仏(ねはんぶつ)
    • 釈迦が入滅する様子を仏像としたもの。作中にもあるように釈迦が横たわった姿を表している。
      • 涅槃仏は大乗仏教よりも上座部仏教圏であるタイなどの寺院でよく見られる。
        格闘ゲーム『ストリートファイター供戮離汽ットステージの背景にあることでも有名。
      • 日本の寺院では「涅槃図(ねはんず)」と呼ばれる「釈迦入滅の様子を描いた絵画」を使用することが一般的で、涅槃の様子を仏像で表したものはかなり珍しい。
      • 福岡県の南蔵院(なんぞういん)に涅槃仏の大仏(全長41メートル、高さ11メートル)がある。
  • 入滅後の釈迦
    • 仏教では、「基本的には」入滅後釈迦は「涅槃の世界(ニルヴァーナ)」に入ったとしている。(上座部仏教の経典『大般涅槃経』より)
      ただし、大乗仏教では各経典や教義で釈迦の入滅はあくまで方便(真の教えを説くための仮の教え)であるとしたり、他の解釈を提示したりもしている。
      • 『法華経』では、釈迦は本当は「無限に近いほどの遠い過去に悟り、無間の寿命を持って教えを説き続けている時空を越えた存在」で、「釈迦族の王子として生まれ悟りを開いて入滅した」というストーリーは方便で仮の教えであるとする。
        そして、「他の様々な如来も全て釈迦が名前を変えて姿を現したもの」であり、「釈迦は今も菩薩として説法教化修行を行っている」(この世に常駐している)とする。
        『法華経』では、釈迦はインドにある霊鷲山(霊山浄土)に未来永劫、常駐して法を説いているとする。
      • 大乗仏教の『大般涅槃経』(上座部の同名の経典とは別の経典)では、法華経と同じく釈迦の入滅はあくまで方便とし、釈迦は「教えや僧侶と共にこの世に常駐している不変の存在」とする。
        釈迦が常駐しているから「この世の全ての生物(衆生)は悟りを得ることが可能である」とし、これは大乗仏教の基本思想の一つとなっている。
        この経典では、釈迦は死後に無勝荘厳国(むしょうしょうごんこく)という浄土に住んでいるとする。
      • 密教では、「釈迦を含めた全ての如来は大日如来(だいにちにょらい)の化身」とする。
        つまり、釈迦はあくまで大日如来が仮の姿でこの世に現れたに過ぎないという解釈。
        さらに真言宗の宗祖空海は「大日如来は宇宙そのものであり、微塵一つ一つが大日如来である」と述べており、この世の全てが大日如来とする汎神論に近い思想を語っている。
    • 中国 明の時代の小説『西遊記』では、釈迦は天竺の「大雷音寺」に住んでいる。この場所は三蔵法師の旅の目的地。
      作中では、道教の最高神である「天帝」からの依頼により、釈迦が天界まで来て孫悟空を懲らしめるシーンがある。
      (参照:道符「掌の上の天道」
  • 釈迦の神性
    • かつて日本の神仏習合における本地垂迹説においては、釈迦はイザナギ、ニニギ、オモイカネの本地仏とされ同一視されていた。
    • ヒンドゥー教では、釈迦をヴィシュヌ神の24番目の化身とする。
      ヴィシュヌ神は多数の化身を状況に応じて使い分けてこの世に降りてくるとされ、釈迦もその一形態としている。
      一部のヒンドゥー教の寺院では釈迦をヴィシュヌ神の化身の一つとして祀っているケースもあり、信仰の対象にもなっている。
  • やしょうま
    • 長野県の郷土料理。涅槃会の時に作られ、お供え物にしたのちに皆で食べる細長い団子(もち)のこと。
      米粉や白玉粉を原料とする。また、食紅や青のりなどを用いて着色した生地を組み合わせて模様を作る。食べる際に切ると断面にきれいな模様や絵が出来る。
      • 伝承では、入滅直前のお釈迦様がヤショという名の弟子が渡した団子を食べて「ヤショ、うまかった」と述べたことから名づけられた、としている。
      • 第16話でも登場している。
  • この話は東方外來韋編 2018 Spring!号における星蓮船クロスレビュー 雲居一輪&雲山に対する霊夢のコメントとリンクしている。
    • クロスレビューのコメント「この前は雲山を貸してくれてありがとう。またお願いしたいわー。」
  • 神像
    • 神道では、元々は神の姿を像で表すことはなかったが、神仏混淆が進んだ中世以降に仏教の仏像に倣って神像も作られるようになった。仏教寺院では仏像と相対して直接礼拝するため仏像は拝観できるように公開して設置することが多い(例外として秘仏もある)。一方、神道では隠されたご神体に対して礼拝することが一般的でご神体が直接公開されることはほとんどない。また、像以外のご神体が圧倒的に多い。そのため、仏教の仏像と比較すると神道の神像の認知度は低い。

参考

第45話 最低と最高の宴会

華扇 質の悪いお酒は私の知り合いの力で最高級品へと変貌させています
  • 知り合いの力
    • 星熊勇儀の持つ「星熊盃」
      • 注いだお酒のランクを上げる力がある。
      • この道具も第16話に登場している。
華扇 昨日のお酒は鬼をも殺す強いお酒だったのを言い忘れていたわ
  • 酔いつぶれた霊夢と魔理沙を見て嬉しそうな華扇
    • 酒呑童子とその一味(鬼)は源頼光一行(人間)の計略により、毒酒を飲まされて酔い潰れたところを討ち取られている。(出典:『大江山絵詞』)
      • 鬼の一味には茨木童子も参加しており、伝承では茨木童子だけが討ち取られず逃げ延びたとされる。
    • この話では、鬼の道具で造られた強い酒で逆に人間を酔い潰した形のため、結果的に酒呑童子退治の件の意趣返しとなっている。
      「鬼をも殺す強いお酒」との発言も、霊夢と魔理沙は知る由もないが人間への強烈な皮肉となっている。

参考

第46話 死の超越と、彷徨う生霊

第47話 幸災楽禍の理想郷

  • 幸災楽禍(こうさいらくか)
    • 他人の災難を見て幸せに思い、他人の禍(わざわい)を見て楽しむこと。
      • 現代で言う「他人の不幸は蜜の味」。他人の不幸を見て喜ぶこと。
  • 天の岩戸(あまのいわと)
    • 日本神話の逸話。
      • 素戔嗚尊(スサノオノミコト)の横暴に嫌気がさした天照大神(アマテラスオオミカミ)は天の岩戸に隠れ篭ってしまう。弱った他の神々は、思兼神(オモイカネノカミ、関連:八意永琳)の発案により、天鈿女命(アメノウズメノミコト)が踊るなどして天の岩戸の前で大騒ぎをした。騒ぎが気になった天照大神が外を覗こうと岩を少し開けたしたところで、天手力男神(アメノタヂカラオ)が再び閉まらないように蓋となっていた岩を放り投げ、天照大神を外に出すことに成功した。
    • 関連:符の壱「投擲の天岩戸」
  • 無間地獄(むげんじごく)
    • 仏教における地獄の最下層で、最も重い責め苦を与える地獄。
      「無間」とは間断のないという意味で、間も与えずひっきりなしに責め苦を受ける地獄という意味。

第48話 迷者不問の暗黒郷

  • 迷者不問(めいしゃふもん)
    • 人が道に迷うのは他者に相談せず勝手に行動した結果である、という意味。
      • 解らないことがあれば積極的に他人に質問相談しなさい、という戒めの言葉。
    • 出典:『荀子』(儒学書)
小町 阿頼耶識(あらやしき)を以って 虚空(こくう)を大空(たいくう)と成せ!
  • 阿頼耶識(あらやしき)
    • 仏教の唯識(ゆいしき)思想で使用される用語。八つある「識」の八番目で「潜在意識」に相当する。
      仏教における「識」とは「認識機能」のことで以下の8つがある。
      • 【眼識】・【耳識】・【鼻識】・【舌識】・【身識】:この5つは五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)を認識する感覚能力のこと。
      • 【意識】:思考する精神機能(能力)のこと。過去や未来を含む様々な事柄を推理推察する能力や言語能力などもこれに該当する。
      • ここまでの6つを「六識(ろくしき)」と言う。
      • 【末那識(まなしき)】
        第7の「識」。哲学用語における「自我意識(自己意識)」に相当。
        仏教では「諸法無我」*3とあるように、「我」の存在は仏教教義の根本として否定されている。
        ところが、末那識は「自分の中には「我」があり、これこそが自分の本質である」と誤認させてしまう働きをする。*4
        「我」に対する執着である「我執(がしゅう)」を生んでしまうため、苦悩や煩悩の根源となる。
        それと同時に上記の「六識」の根源でもあり、末那識が「六識」を生み出している。
      • 【阿頼耶識(あらやしき)】
        第8の「識」。精神分析学用語における「潜在意識」「無意識」に相当。「アーラヤ識」とも表記される。
        「六識」と末那識が自覚される「表層意識」であるのに対し、阿頼耶識は自覚することなく働く「潜在意識」となる。
        末那識は「六識」の根源だが、この両方のさらなる根源が阿頼耶識である。
        潜在意識である阿頼耶識は、過去の輪廻転生における前世以前の経験を蓄積して形成されたものとされる。
        前項の「末那識」はこの阿頼耶識を「我」と誤認する。
      • 唯識思想とは、『般若心経』の「一切皆空」*5をさらに突き詰めた思想で、「この世界の全ては「識」が生み出した表象でしかない」とする。
        乱暴に言えば「人の内面も物質的な外界(世界)も、心が生み出した幻影に過ぎない」ということになる。
      • 前述の通り、7つの識の源は阿頼耶識であるため、唯識思想では「阿頼耶識は世界の全ての事象を生み出す力を持つ」とする。
      • まとめると、「前世以前の経験」→「阿頼耶識」を形成→「阿頼耶識」から「末那識」が生じる→「阿頼耶識」「末那識」から「六識」が生じる→「六識」で「表象でしかない世界」を人は認識する。
  • 虚空(こくう)
    • 一般用語では「何もない空間」を意味するが、仏教用語では意味が異なる。
      他の用語が仏教用語であるため、ここでは仏教用語として使用されていると考えられる。
    • 仏教用語「虚空」は世界の構成要素の一つ。
      世界を構成する「場(ば)」「空間」のこと。
      世界を構成するあらゆる物質は「虚空」(空間)の中に存在する。
      • この用語は元々はインド哲学用語。仏教の成立以降この概念が仏教に取り入れられた。
        サンスクリットでは「アーカーシャ」、漢訳では「虚空」のほか「空(くう)」という訳も使用される。
        ただし、この「空(アーカーシャ)」は、「色即是空」「一切皆空」の「空(くう)」とは意味も元となったサンスクリットの言葉も全く異なる。*6混同に注意。
  • 大空(たいくう)
    • 仏教用語。「十方世界(全世界)が空っぽ」であることを意味する。
      • こちらの用語の「空」は「色即是空」と同じでサンスクリット「シューニャ」の訳。「実体がない」という意味。
  • 阿頼耶識を以って虚空を大空と成せ
    • 上記の各項目を踏まえると意味は以下か。
      • 「世界の全ての事象を生み出す力を持つ」阿頼耶識によって、「世界を構成する空間」(虚空)を「全て空っぽ」(大空) にせよ。

第49話 断善修悪の怪腕

  • タイトルは茨木童子の腕の二つ名と同じ。
  • 断善修悪(だんぜんしゅあく)
  • 怪腕
    • 人並み以上に優れた腕前、手腕を持つこと。

第50話 有角片腕の仙人

  • 有角片腕の仙人
    • 第1話の題名は「片腕有角の仙人」。
      また、華扇の二つ名も同じく「片腕有角の仙人」。
  • 怪刀 鬼切丸
    • 『平家物語』(『源平盛衰記』)「剣巻」に登場する刀「鬼切」のこと。「鬼丸」「鬼切丸」とも表記される。
    • 「剣巻」で綱が腕を斬り落とした鬼は「宇治の橋姫」(関連:水橋パルスィ)であり、茨木童子ではなかった。
      ところが、後にこのストーリーがそのまま流用されて「大江山から逃げ延びた茨木童子が渡辺綱と戦い腕を奪われ、童子は綱の義母に化けて腕を取り返した」とする説話(『前太平記』など)が完成し、これが広まったことから「綱に鬼切で腕を斬り落とされた鬼」=「茨木童子」と認識されるようになり今に至る。
    • ちなみに、この刀は現在は「鬼切安綱」という銘で北野天満宮が所蔵している。

参考

その他

  • 東方茨歌仙(-いばらかせん)
ZUN 「茨はともかく牡丹はちょっと語呂が悪いな〜。“仙”の字を入れたいんですよね」
オコノギ「じゃあ“茨”と“仙”は入れるとしてどんな漢字を入れますか?」

というやりとりの果てに「茨歌仙」となりました。
―一迅社WEB キャラ☆メルFebri 2010年7月1日 12:03 PM
    • いばらかせん)。
  • Wild and Horned Hermit
    • wild
      • 野茨。
    • horned
      • 「片腕有角の仙人」の有角。
      • 茨の棘。
    • hermit
      • 仙人。

備考
  • 東方茨牡丹(仮)
    • 東方茨歌仙の題名決定前の仮タイトル。
    • 茨牡丹は庚申薔薇の別称。「庚申」とは「隔月」という意味がある。
      • 掲載媒体のFebriが隔月誌だから?

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます