自分辞書によるアウトプット

1 基本的人権

1 人権の主体

法人の人権享有主体性
人権は,元来自然人がその享有主体である。では,法人にも人権享有主体性が認められるか。

法人は現代社会において重要な構成要素であり,社会的実在であるとみるべきである。
となれば,自然人と同様にその活動の自由を確保するためにも,憲法三章に定める国民の権利および義務の各条項は,性質上可能なかぎり,内国の法人にも適用されると解する。

(政治献金=政治的行為の自由が認められるか)
もっとも,法人は強大な社会的影響力を有するものもあり,自然人の人権を不当に制約するおそれもある。
この点,選挙権のように自然人のみを前提としている人権の場合には,法人に参政権を認めると,自然人の参政権が制約されるおそれがある。
したがって,法人の人権は,自然人の人権の保障のため制約されるといわざるを得ない。

八幡製鉄事件 最判昭和45年6月24日
#会社の政治献金を肯定し,会社の目的の範囲内の行為とするならば公序良俗違反ではないかが争われた。

(政党など政治資金規正法上の政治団体に金員を寄付することは税理士会の目的の範囲内の行為か)
南九州税理士会事件 最判平成8年3月19日


(阪神・淡路大震災により被災した兵庫県司法書士会に3000万円の復興支援拠出金を寄付することは群馬司法書士会の権利能力の範囲内の行為か)
群馬司法書士会事件 最判平成14年4月25日

外国人の人権享有主体性
外国人は人権を享有するか。第三章の表題が「国民の」権利及び義務とされていことから問題となる。
この点,人権は前国家的権利である。
また,憲法98条2項で条約および確立された国際法規の遵守が求められるところ,人権を可能な限り保障しようとするのが国際的な潮流である。
したがって,憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は,権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き,わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきである。
マクリーン事件 最判昭和53年10月4日
参考 「外国人の再入国の自由」甲斐素直(日大教授のホームページ)

★入国の自由
憲法22条1項が,何人も,公共の福祉に反しない限り,「移転」の自由を有すると定めることから,外国人の入国の自由が認められるか。
この点,同条項は,国内において移転の自由を認めるにすぎない。したがって、入国の自由を保障する根拠とはならない。
マクリーン事件 最判昭和53年10月4日

★政治活動の自由
政治活動の自由は,精神的自由権の一つとして性質上外国人にも保障される権利である(21条1項)。
もっとも,国民主権の建前(前文1段,1条)からして,外国人が我が国の政治的な意思形成に不当な影響を及ぼすことは許されない。
マクリーン事件 最判昭和53年10月4日

★再入国の自由
まず,外国人に入国の自由は認められるか。
この点,自国の安全と福祉に危害を及ぼすおそれがある外国人を立ち入らせない権利が国家にあることは,国際慣習法上確立している。
したがって,入国の自由は外国人には認められない。
とするならば,再入国の自由も一切保障されないとも思える。
しかし,再入国の自由をいかなる場合も入国の自由と同一視するのは妥当ではない。
すなわち,定住外国人は,定住先が生活の本拠であるから,単なる入国の自由とは異なった考慮をしなけれなばらない。
この点においては,日本人と異なることはないといえるからである。
したがって,再入国の自由については,法務大臣の入国許可に関する裁量は一定の制限がされることとなる。
外国人登録令違反事件 最判昭和32年6月19日
森川キャサリーン事件 最判平成4年11月16日

★参政権

選挙人名簿不登録処分に対する異議の申出却下決定取消 平成7年2月28日

★公務就任権
公務就任権は,憲法15条の公務員選定罷免権の反射として保障される,参政権に分類される権利である。
この点,参政権は,国民主権の建前からすれば,政治的意思形成の参画に関わるという性質が認められ,当該国家の国民のみに保障される権利である。
とするならば,外国人には参政権の保障は及ばないと考えることになろう。
しかし,一方で公務就任権は,自己実現をし,生活の糧を得る手段として職業選択の自由(憲法22条)の側面も認められる。
したがって,その保障については政治的意思形成の参画に関わるか否かを実質的に考察して判断していかなければならない。
具体的には,外国人が就任権を保障されない範囲が,平等原則(憲法14条)との関連で問題となる。
管理職選考受験資格確認等請求事件 最判平成17年1月26日

★社会権
社会権は性質上外国人に保障される権利か。
社会権は後国家的権利であり,一次的にはその国籍国に対して要求すべき権利である。
したがって,原則として外国人に社会権の保障は及ばない。
例外として,当該外国人において,事実上本国への保障要求が困難ないし無意味な場合には,我が国の社会権が及ぶ場合もある。
国民年金裁定却下処分取消請求事件 最判平成元年3月02日
未成年者の人権
未成年者も国民であるから人権を享有するのは当然である。
しかし,心身ともに発展途上の段階にあり,その健全な成長をはかるために必要な必要最小限度の制約に服することがある。
立法上,参政権が制限され(憲法15条3項),営業の自由(民法4条,6条),職業選択の自由も制限されている。
岐阜県青少年保護育成条例違反事件 最判平成1年9月19日

基本的人権の限界

1 特別な法律関係における人権
1)公務員
2)被収容者
2 私人間における人権の保障と限界
憲法上の権利は○○によって侵害されている。
しかし○○は私人であるから,私人間の法律関係に憲法は適用されるか問題となる。
この点,憲法は,本来対国家的規範であるから私人間の法律関係には適用されないとも思える。
しかし,現代では社会的権力たる私的団体により人権が侵害されるおそれが高まっている。
また,人権の価値は全法秩序の基本原則とみることができる。
よって,私人間の法律関係に人権規定を適用することは必要である。
とはいえ,私人間の法律関係への憲法の直接適用を認めると,人権規定が義務規定に変貌するおそれがある。
そこで,私的自治の原則を維持する観点からも,私法上の一般条項の解釈をする際に,憲法の趣旨を取り込んだ解釈・適用をすることを通じて間接的な適用をするにとどめるべきである。
三菱樹脂事件 最判昭和48年12月12日
昭和女子大事件 最判昭和49年7月19日

包括的基本権と法の下の平等

憲法14条1項のコンパクト論証(おすすめ)
ー憲法14条1項は,「法の下の平等」を保証している。この「法の下の平等」は,法内容も拘束し,各人の事実的,実質的差異を前提とした相対的平等を意味する。
ー本件では,「性別」に基づいて取扱いを異にする。「性別」は,14条1項後段列挙事由にあたるところ,憲法14条1項後段列挙事由は,歴史的にみて不合理な差別が行われてきた代表的な事由であり,民主主義の理念の下では,本来許されない差別である。
ーしたがって,後段列挙事由にもとづく差別に関しては,原則として違憲性の推定が働き,違憲審査にあたっては,厳格な審査基準を用いると考える。
すなわち,1)目的が必要不可欠なものであり,2)その規制手段が必要最小限度ものであるといえる場合に限って,合理的な取扱として許容されると考える。
差別是正措置(アファーマティブ・アクション)による基準の緩和
ー本件は,憲法14条1項の要請する実質的平等を実現するための差別是正措置であるから,違憲審査基準については,厳格な基準よりも緩やかな基準で判断すべきである。
ーすなわち,1)目的が正当であり,かつ,2)手段も不合理でない限り,合理的な区別として許容されると考える。
ーOR 1)目的が重要であり,かつ,2)目的とその達成手段との間に実質的関連性がある場合には,合理的な区別として許容されると考える。(←中間審査)

精神的自由権

信教の自由
ー(☆剣道実技事件を想定して)
かかる信仰の自由も,その信仰が内心にとどまっていない限り「公共の福祉」に基づく最小限の制約に服する(憲法13条後段)。
ここで,最小限の制約かどうかの審査基準が明らかでなく問題となる。
まず,信仰の自由はいったん侵害されると是正困難な精神的自由たる信教の自由の核心である。
しかし,公立学校長にも教育内容の決定権(23条,26条)を有するが,「公務員」だから,国民「全体の奉仕者」でもある(15条2項)。
そこで,やや厳格な基準,具体的には,1)正当な目的の2)達成のため,より制限的ない他に選びうる手段がないならば,最小限の制約と解する。
ー公立学校長が特別扱いをしなかった1)目的は,「宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」(20条3項)とする政教分離を全うする点にあると思われ,これは正当といえる。
次に,2)公立学校が特別扱いをとることが政教分離に反するならば,目的1)達成のために,本問対応より制限的でない他に選びうる手段がないといえる。
ここで,政教分離の趣旨は,戦前の国家神道体制の反省から,信教の自由の侵害を予防するため,政教分離を制度として保証した点にある。
しかし,福祉国家(25条以降)の見地から,国又はその機関と宗教との関わり合いが相当とされる限度を超えるもの,具体的にはa)目的が宗教的意義を持ち,b)効果が宗教に体する援助,助長,促進または圧迫,干渉となる場合に,政教分離に反すると解すべきである。


集会の自由とその規制
  • 現代民主主義社会においては,集会の自由は,表現の自由(憲法21条)の一形態として認められる。そして,集会は,相互に情報を伝達・交換する場として必要であり,自己の思想や人格を形成・発展させ,かつ対外的に意見を表明することができる数少ない場であることなどより最大限の保障が与えられなければならない。(成田新法事件)
  • 集会の自由といえども,公共の福祉による必要かつ合理的な制限を受けることがある。その場合,制限が必要とされる程度と,制限される自由の内容及び性質,これに加える具体的制限の態様及び程度等を較量して決めるのが相当である。(成田新法事件)
  • 公共施設の管理者は,集会の施設利用を不相当とする事由(地方自治法244条2項)が認められないにもかかわらず,その利用を拒否しうるのは,1)利用の希望が競合する場合のほか,2)施設をその集会のため利用させることによって他の基本的人権が侵害され,公共の福祉が損なわれる危険がある場合に限られる。(泉佐野市民会館事件)
  • 2)の観点から不許可にするには,単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず、明らかに差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要。このような危険が予見される場合,集会の自由の重要性と,侵害されるおそれのある他の基本的人権の内容や侵害の発生の危険性の程度等を較量して,必要かつ合理的な制限といえるか判断すべきである。
最判平成4年7月1日 成田新法 工作物等使用禁止命令取消等事件/民集第46巻5号437頁 
最判平成7年3月7日 泉佐野市民会館使用不許可事件/民集第49巻3号687頁
集団行動の自由
  • 「集団行動」の自由は,「動く集会」として憲法21条1項で保障される「集会」の自由に含まれる。
  • 集団行動は,一定の行動を伴う表現方法であるから,他の表現の自由とは異なる,たとえば集会の重複による混乱回避,道路公園についての他の利用者との事前の調整の要請を満たすための特別の規制規制に服することは肯定せざるを得ないが,表現の自由の一環であるから,その規制の合憲性は厳格に審査する必要がある。
  • 規制手段としては届出制で足りるはずのところ,それ以上の制約の程度が強い規制をなす場合には違憲の疑い。

経済的自由権

1 職業選択の自由

人身の自由

徳島市公安条例における文言の明確性
「交通秩序の維持に反する甲をするようにせん動」等の文言が明確性を欠き,憲法31条の罪刑法定主義に反し無効ではないか。
確かに,刑罰法規の定める犯罪構成要件が不明確であると,通常の判断能力を有する一般人に対し告知機能を果たさないばかりか,これを適用する公権力の恣意により重大な弊害が生じるおそれがある。
しかし,規定の文言の表現力にも一定の限界がある。
そこで,文言の明確性は,通常の判断能力を有する一般人の理解において,具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめる基準が読み取れるかどうかで判断すべきであると解する。

2 統治

財政・地方自治

法律と条例制定権の範囲

憲法の保障

立法不作為に対する違憲訴訟

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