商法（到達）
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第１編 会社法 第１章 会社の概念
１−１ 会社の意義と種類
○法人格否認の法理とはどういうものかを説明し、最高裁判所が、当該事件の解決のために会社の法人格を否認することができる場合として例示する事例を挙げることができる。
○定款所定の目的により会社の権利能力が制限されることを説明することができる。
○会社が「営利法人」であることを、商人であるための要件である「営利性」と対比して説明することができる。
○会社法における４種類の会社の特徴について説明することができる。
○会社が商法４条１項の商人となることを説明することができる。
１−２ 会社法上の主要な用語の定義等
○親会社と子会社の定義について説明することができる
○公開会社および大会社の定義について理解している。
○会社の公告方法について理解している。
○商号とはどういうものか、説明することができる。
○商号単一の原則について、個人商人と会社との違いを説明することができる。
○商号選定自由主義の意義とその例外（会社法６条２項、３項、７条、８条、不正競争防止法２条１項１号２号、３条、４条、１４条参照）について説明することができる○自己の商号を使用して事業または営業を行うことを他人に許諾した会社の責任（いわゆる「名板貸人の責任」）について、その趣旨と責任の成立要件および効果を説明することができる。
２−２ 会社の使用人
○支配人制度の趣旨、ならびに支配人の選任およびその代理権の消滅を登記しなければならない理由について、説明することができる。
○支配人の代理権の範囲、および会社が支配人の代理権に加えた制限を第三者に対抗することができないのはどのような場合か、について説明することができる。
○支配人について会社法１２条１項に列挙されている競業等の禁止の内容が、代理商や株式会社の取締役の競業避止義務の内容と異なっている理由について、説明することができる。
○表見支配人制度の趣旨、および表見支配人制度が適用されるための要件について、説明することができる。
○会社法１４条１項の「ある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人」の代理権の範囲について、支配人の代理権と対比しつつ、説明することができる。
○物品の販売等を目的とする店舗の使用人の代理権の範囲について理解している。
２−３ 会社の代理商
○代理商（会社の代理商）とはどういうものか、商業使用人（会社の使用人）と対比しつつ説明することができる。
２−４ 事業譲渡
○会社法総則における事業譲渡の意義と会社法第二編第七章の事業譲渡の意義に関する、最高裁判所の判例および学説の状況について、説明することができる。
○事業譲渡の対象となる事業を構成する権利義務の承継（特定承継）について、会社の合併における権利義務の一般承継（包括承継）と対比しつつ、説明することができる。○事業の譲渡会社の競業禁止の範囲について理解し、事業の譲渡会社が競業を禁止される理由について説明することができる。
○事業の譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合に、譲受会社も譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済しなければならないとされる（会社法２２条１項）理由について説明するこことができ、譲受会社が「譲渡会社の商号を引き続き使用する場合」に該当する例と該当しない例を具体的に挙げることができる。
○事業の譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合でも、譲受会社が譲渡会社の事業によって生じた債務の弁済責任を例外的に負わない場合について理解している。○事業の譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合に、譲渡会社の事業によって生じた債権につき譲受会社にした弁済の効力について、説明することができる。
○事業の譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用しない場合であっても、譲渡会社の事業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、譲渡会社の債権者に対し弁済責任を負うものとされる理由について理解している。
２−５ 会社の登記
○商業登記のうち、会社に関する登記事項が多い（会社法９１１条以下、商業登記法第３章第４節〜８節参照）理由について、説明することができる。
○会社法９０８条１項の定める会社の登記の効力（一般的効力）について説明することができる。
○表見支配人制度（会社法１３条）、表見代表取締役制度（会社法３５４条）および表見代表執行役制度（会社法４２１条）ならびに民法の表見代理規定（とくに民法１１
２条）と、会社法９０８条１項の会社の登記の効力との関係について、判例・学説を踏まえて説明することができる。
○会社法９０８条２項の定める不実登記の効力について説明することができる。
○株式会社制度の特徴を説明することができる。
３−２ 株式
３−２−１ 株式・株主
３−２−１−１ 株式の意義
○株式とはどういうものか、説明することができる。
３−２−１−２ 株主平等原則
○株主平等原則とはどういうものか、説明することができる。
○公開会社でない会社（以下、非公開会社という。）での株主ごとに異なる扱いをなしうる場合（会社法１０９条２項）があることを理解している。
３−２−１−３ 株主の地位
○株主が株主として有する権利である自益権・共益権について、具体例を挙げることができる。
○株主に剰余金の配当を受ける権利および残余財産の分配を受ける権利の全部を与えない旨の定款の効力（会社法１０５条２項）について理解している。
３−２−１−４ 株主の権利の行使に関する利益の供与
○利益供与にあたる場合を具体例を挙げつつ説明することができる。
○利益供与がなされた場合の民事責任・刑事責任について説明することができる。
３−２−２ 株式の単位（株式併合・株式分割・株式の無償割当て・単元株）
○株式併合とはどういうものか、およびその手続について説明することができる。
○株式分割とはどういうものか、およびその手続について説明することができる。
○株式の無償割当てとはどういうものか、およびその手続と株式分割との異同について説明することができる。
○単元株式制度とはどういうものか、並びに設定の手続および一単元をなす株式数の変更手続きについて説明することができる。
３−２−３ 株式の内容および種類
○会社が発行する全ての株式について定款により設けることのできる内容を説明することができる。
○配当優先株、残余財産分配優先株とはどういうものか、説明することができる。
○議決権制限株式とはどういうものか、説明することができる。
○種類株式としての取得請求権付株式・取得条項付株式（会社法１０８条１項５号、６号）とはどういうものか、説明することができる。
○全部取得条項付種類株式とはどういうものか、説明することができる。
○取締役・監査役の選任権付種類株式とはどういうものか、これらを委員会設置会社、公開会社が発行できない理由について説明することができる。
○拒否権付種類株式とはどういうものか、説明することができる。
３−２−４ 株式の譲渡・株主名簿
○株券発行会社とそうでない会社での、株式の譲渡方法について理解している。
○株式譲渡が原則自由とされている理由を説明でき、譲渡が制限される具体例を挙げることができる。
○定款による株式譲渡制限制度の趣旨・概要について説明することができる。
○子会社による親会社株式の取得に関する規制について説明することができる。
○株主名簿制度とはどういうものか、および名義書換の方法・効力について説明することができる。
○振替株式の株主が、基準日を定めて行使される権利以外の株主権（少数株主権等。社債、株式等の振替に関する法律１４７条４項）を行使するための手続（個別株主通知。社債、株式の振替に関する法律１５４条）について、理解している。
３−２−５ 自己株式の取得
○自己株式の取得に伴い生ずる弊害とそれに対して会社法が採っている規制の概要について説明することができる。
○会社法が認める自己株式の取得許容事由（会社法１５５条）について理解している。
○会社法１５６条から１５９条が定める自己株式の買付け手続き・財源規制の内容について理解している。
○株主との合意による相対取引に際しての手続き・財源規制の内容（会社法１６０条）について理解している。
○特定株主からの取得に関して、市場価格がある株式についての例外(会社法１６１条)、相続人からの取得に際しての例外（会社法１６２条）、子会社からの取得の例外（会社法１６３条）、定款の定めがある場合の取得の例外（会社法１６４条）があるが、各例外が認められている理由について理解している。
○市場による取引・公開買付けによる取得の例外（会社法１６５条）が認められている理由について理解している。
○自己株式の違法取得（手続規制、財源規制に反した取得）の効力について説明することができる。
○相続人等に対する売渡し請求制度（会社法１７４条）について理解している。
○自己株式の地位について理解している。
３−３ 資金調達
３−３−１ 総説
○株式会社の資金調達の方法について、株式の発行、社債の発行、銀行借入などがあることを理解し、それぞれの特徴と異同について（特に株式と社債の異同について）説明することができる。
３−３−２ 新株発行
○新株発行の方法について、株主割当て・公募・第三者割当てがあることを理解し、その概要を条文を挙げて説明することができる。
○株主割当てによる新株発行が、その他の方法による場合と比べて既存株主の経済的利益・持株比率の維持に資することについて説明することができる。
○「募集株式の発行等」として新株の発行と自己株式の処分とにつき同じ法的規律がされている理由を説明することができるとともに、「募集株式の発行等」には含まれない、いわゆる「特殊の新株発行」と呼ばれるものがあることを理解している。
○公開会社と非公開会社とを区別して、新株発行の手続き（募集事項の決定・申込み・割当て・払込み）を、決定権限を持つ機関に触れながら、条文を挙げて説明することができる。
○なぜ公開会社と非公開会社とでは募集事項を決定する機関が異なるのかを説明することができる。
○募集株式の発行等について特に差止めの制度が用意されていることについて、その理由を説明することができるとともに、どのような場合に差止めが認められるか、具体例を挙げて説明することができる。また、株主に差止めの機会を与えるためにどのようなルールが用意されているかを条文を挙げて説明することができる。
○公開会社における新株の有利発行について、募集事項の決定を株主総会が行う場合と取締役会が行う場合との適用条項を明らかにしながら、会社法のルールの概要とその理由を説明することができる。
○取締役と通じて著しく不公正な払込金額で募集株式を引き受けた者が会社に対して負う支払責任について説明することができる。
○公開会社における新株の不公正発行について、裁判所が採用している差止めの判断基準について説明することができる。
○新株発行に瑕疵がある場合に、その無効を主張するためには訴えによらなければならないことを理解し、新株発行無効の訴えについて、その概要（被告・提訴期間・無効判決の効力）、および新株発行の差止めや新株発行の不存在確認の訴えとの違いを条文を挙げて説明することができる。
○新株発行無効の訴えにおいて、判例によるとどのような事情が無効事由となると考えられているかを説明することができ、また、募集事項の公示が欠けたことが原則として新株発行の無効事由にあたると解されていることについてその理由を説明することができる。
３−３−３ 新株予約権
○新株予約権とはどういうものか、およびその仕組み（発行時の払込みと権利行使に際しての払込みの区別、行使期間、取得条項など）について条文に即して説明することができる。
○新株予約権の利用方法を説明することができる。
○新株予約権の発行の方法について、募集手続による場合と無償割当てによる場合とがあることを理解し、その異同について条文を挙げて説明することができる。
○公開会社と非公開会社とを区別して、募集新株予約権の発行手続き（募集事項の決定・申込み・割当て・払込み）を、決定権限を持つ機関に触れながら、条文を挙げて説明することができる。
○新株予約権の発行が有利発行（「特に有利な条件」「特に有利な金額」）に当たるか否かの区別はどのように行われるべきか、オプション評価理論に触れながら説明することができる。
３−３−４ 社債
○担保付社債、振替社債について、会社法以外のどの法令が法規制を置いているかを理解している。
○株式会社・持分会社が会社法上の社債を発行できることを理解している。
○社債管理者について、どのような場合にその設置が強制されるか、設置が強制される理由、社債管理者となるための資格、社債管理者が社債権者に対して負う義務について条文に即して説明することができる。
○社債権者集会の制度の趣旨および概要を説明することができる。
３−４ 機関
３−４−１ 総論
３−４−２ 株主総会
３−４−２−１ 株主総会の意義・権限
○株主総会とは何かを説明することができる。
○取締役会設置会社であるか否かによる株主総会の権限の相違を理解し、取締役会設置会社における法令に定められた株主総会の決議事項の主なものを、具体的に挙げることができる。
○株主総会の招集者が当該会議の目的として定めた事項以外の事項の決議の可否について、取締役会設置会社であるか否かによって生じる相違を説明することができる。
３−４−２−２ 株主総会の招集・運営
○株主総会の招集手続の概要について説明することができる。
○株主総会の招集手続を省略することができるのは、どのような場合か理解している。
○いわゆる全員出席総会とはどのような株主総会であるかを理解し、全員出席総会でなされた決議の有効性及びその根拠について説明することができる。
○株主総会は、会社以外にだれがどのような要件で招集できるかについて説明することができる。
○株主総会の招集通知の記載事項、招集期間および招集方法について、取締役会設置会社か否かの違いに応じてどのような違いを設けているか、その理由とともに説明することができる。
○書面または電磁的方法による議決権行使制度の概要を理解し、書面または電磁的方法による議決権行使が義務付けられている会社の範囲とその理由とを説明することができる。
○議題と議案の違いについて具体例を挙げて説明することができる(たとえば、取締役選任や剰余金配当について、議題と議案はそれぞれどのようなものであり得るか、具体例を挙げることができる)。
○株主提案権について、事前の提案権および株主総会の議場における提案権のそれぞれにつき、それを行使することのできる要件を理解しそれが認められている理由を説明することができる。
○取締役等の説明義務の対象・説明の程度および説明を拒絶できる場合を具体例を挙げて説明することができる。
○取締役等の説明義務の対象および説明の程度について、具体的な例示により、説明することができる。
○取締役等が株主総会において株主から説明を求められた場合において、説明を拒絶できる場合およびそれぞれの理由を説明することができる。
３−４−２−３ 議決権の行使
○「一株一議決権の原則」とは何かを説明することができ、その例外を示すことができる。
○いわゆる「相互保有株式」の議決権行使に係る会社法の規律（会社法308条1 項かっこ書き）を理解している。
○共有株式の権利行使に係る会社法の規律とその共有株式の議決権の行使方法を理解している。
○議決権の代理行使が認められる理由と定款による代理人資格の制限について、判例と学説を踏まえて、説明することができる。
○議決権の不統一行使について、そのような議決権行使方法が認められる理由を説明することができ、不統一行使の方法を理解している。
３−４−２−４ 株主総会の決議の種類・瑕疵
○株主総会の決議の種類についてどのような種類の決議があるか、それらの決議要件はどのようなものであるか理解している。
○会社法３０９条２項、３項に定める決議について、そのような決議要件が課されている理由について説明することができる。
○株主総会は開催されないが、決議がなされたとみなされる場合（会社法３１９条）について理解している。
○株主総会決議について決議取消しの訴えの制度が認められている趣旨について説明することができ、当該訴えに際しての原告適格・被告・提訴期間・判決の効力について理解している。
○会社法８３１条１項１号、２号が定める決議取消原因にあたるものについて、具体例を挙げることができる。
○ 特別利害関係人による議決権の行使により著しく不当な決議が成立した場合
（会社法８３１条１項３号）とはどのような場合か、具体例を挙げて説明することができる。
○決議取消しの訴えについての裁量棄却制度とはどのようなものか、および同制度が認められている理由について説明することができる。
○決議無効事由、決議不存在事由について、具体例を挙げることができる。
○決議無効・不存在確認の訴えを認容する判決の効力について理解している。
３−４−３ 種類株主総会
○種類株主総会の存在意義、および種類株主総会の権限・決議の種類について説明することができる。
３−４−４ 取締役・取締役会
３−４−４−１ 取締役会設置会社と非取締役会設置会社
○取締役会を設置しなければならない株式会社はどのような会社であるか、また、それらの会社に取締役会の設置が強制されている理由を説明することができる。
○取締役会設置会社と取締役会設置会社以外の会社（以下、「非取締役会設置会社」という。）とで、株式会社の機関構成および権限分配にどのような違いがあるかを説明することができる。
３−４−４−２ 取締役の選任・終任等
○取締役の任期・員数および資格に関する規律について理解している。
○取締役を選任・解任する機関について理解している。
○取締役を株主総会で選任・解任する場合における定足数および決議要件について理解している。
○取締役の終任事由について理解している。
○取締役の解任の訴えの提訴権者、被告および要件について理解している。
○法令・定款に定める取締役の員数に欠員が生じた場合における会社法上の取扱いについて説明することができる。
○補欠取締役を選任することができることを理解している。
○取締役の職務執行を停止し、その職務代行者の選任を裁判所に申し立てることができるのはどのような場合か理解している。
○取締役の職務代行者の権限について説明することができる。
３−４−４−３ 取締役の種類等
○会社法２条１５号にいう「業務執行取締役」および会社法３６３条１項２号にいう「業務を執行する取締役」（いわゆる業務担当取締役）とは何かを理解し、両者の違いを説明することができる。
○社外取締役とは何かを理解し、社外取締役を置いた場合に生じ得る会社法上の効果について説明することができる。
３−４−４−４ 非取締役会設置会社における取締役
○非取締役会設置会社における取締役の権限について説明することができる。
３−４−４−５ 取締役会設置会社における取締役会・取締役
○取締役会設置会社における取締役の員数に係る規律について理解している。
○取締役会設置会社における取締役会および個々の取締役の権限について説明することができる。
○取締役会における招集手続および決議方法について、株主総会の場合と対比しつつ、説明することができる。
○特別利害関係を有する取締役は議決に参加することができない理由、および、議決に参加した場合の当該決議の効力について説明することができる。
○取締役会がその決定を代表取締役や他の機関に委ねることができない事項は何かを具体的に説明するとともに、その理由を説明することができる。
○「重要な財産の処分及び譲受け」、「多額の借財」および「重要な業務執行」の判例上の判断基準を理解している。
○大会社の取締役会は、「会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」について決定すべきものとされている理由を理解し、その具体的な決議事項を説明することができる。
○取締役に対し職務の執行の状況について取締役会に報告すべき義務が課されている理由を説明することができる。
○取締役会の決議または取締役会への報告を省略することができるのは、それぞれどのような場合かを理解している。
○取締役会決議が無効であるのはどのような場合か、具体例を挙げて説明するとともに、どのようにして当該決議が効力を有しないことを主張できるかを説明することができる。
３−４−４−６ 特別取締役
○特別取締役制度とは何か、および当該制度を利用することができる株式会社の範囲を理解している。
３−４−４−７ 代表取締役
○株式会社を代表する者はだれかについて説明することができる。
○取締役会設置会社における代表取締役の選定および解職の方法について理解している。
○代表取締役の権限について説明することができる。
○取締役会の専決事項につき取締役会の決議なく代表取締役が行なった行為の効力について説明し、また、代表取締役の権限の濫用とはどのような場合か、およびそのような行為の効力に関する判例の状況を説明することができる。
○代表取締役の代表権に加えた制限を第三者に対抗することができないのは、どのような場合か説明することができる。
○取締役と会社の間で訴訟が提起される場合、だれが会社を代表するかを理解している。
３−４−４−８ 表見代表取締役
○表見代表取締役制度の趣旨およびそれが適用されるための要件について説明することができる。
３−４−５ 取締役と会社の関係
３−４−５−１ 取締役の義務（善管注意義務・忠実義務）
○取締役の善管注意義務は条文上どのように根拠づけられるかを説明することができるとともに、それに関連して、委員会設置会社の執行役の善管注意義務についても条文上どのように根拠づけられるかを説明することができる。
○取締役の善管注意義務と忠実義務との関係について、判例・学説を踏まえて説明することができる。
○取締役が他の取締役の善管注意義務・忠実義務に違反する行為を監視する義務を負うことの根拠および範囲について、判例・学説を踏まえて説明することができる。
○取締役の善管注意義務といわゆるリスク管理体制（内部統制システム）の整備に関する義務との関係について説明することができる。
○委員会設置会社の執行役が、取締役と同様に、忠実義務を負う旨、ならびに委員会設置会社との競業取引および利益相反取引について一般の取締役会設置会社の取締役と同じ規制を受ける旨の規定（会社法４１９条２項）が設けられている理由を説明することができる。
３−４−５−２ 利益相反取引
○利益相反取引について、その弊害（規制の必要性）ならびに取締役会設置会社および非取締役会設置会社それぞれの場合における規制の概要を、条文を挙げて説明することができる。
○利益相反取引の規制の対象となる直接取引とはどういうものか、具体例を挙げて説明することができるとともに、会社法３５６条1項2号にいう「自己又は第三者のために」の意味を説明することができる。
○取締役と会社（取締役会設置会社）との取引につき株主全員の同意がある場合に取締役会の承認を不要と考えてよいかどうかについて、判例・学説を踏まえて説明することができる。
○利益相反取引の規制の対象となる間接取引に該当する場合の具体的な例を挙げることができる。
○利益相反取引の規制において要求される承認がない利益相反取引の効力について、判例を踏まえて説明することができる。
３−４−５−３ 競業取引
○競業取引について、規制の必要性ならびに取締役会設置会社および非取締役会設置会社それぞれの場合における規制の概要を、条文を挙げて説明することができる。
○会社法３５６条1項１号にいう「自己又は第三者のために」および「株式会社の事業の部類に属する取引」の意味について説明することができる。
３−４−５−４ 報酬規制
○取締役の報酬等について、規制の概要を説明することができるとともに、取締役の報酬等の決定は会社の業務事項であるにもかかわらず、定款または株主総会決議で定めることが要求されているのは何故かを説明することができる。
○取締役のインセンティブ報酬として新株予約権を付与する場合、どのような手続が必要であるかについて、条文を挙げて説明することができる。
○退職慰労金に報酬規制が及ぶ理由、およびそれに関連して、株主総会において退職慰労金の支給を決定する際、具体的な金額を示すことなく、会社が定める支給基準にしたがって取締役会で決定する旨の決議がなされることがみられるが、このような決議の可否について、判例・学説を踏まえて説明することができる。
○具体的に定められた報酬額を、会社が取締役の同意なしに減額ないし無支給とすることができるかどうかについて、判例を踏まえて説明することができる。
３−４−５−５ 取締役の責任
３−４−５−５−１ 会社に対する任務懈怠責任
○利益相反取引によって会社に損害が生じたときは、一定の取締役または執行役は任務を怠ったと推定されることにつき、その理由を説明することができる。
○自己のために利益相反取引の直接取引をした取締役または執行役の責任は、責めに帰することができない事由によるものであっても免れることができず、責任の軽減（一部免除・責任限定契約）の制度の適用もないことについて理解している。
○取締役または執行役が必要な承認を得ることなく会社の事業の部類に属する取引を行った場合の会社に対する損害賠償責任について、当該取引によって取締役もしくは執行役または第三者が得た利益の額を会社に生じた損害の額と推定するとされている理由について説明することができる。
○業務執行上の判断の誤りの場合において、善管注意義務違反が尽くされたか否かの判断に当たってどのような配慮が必要かにつき、いわゆる経営判断の原則の考え方と判例の採用する判断基準の状況を説明することができる。
○取締役をはじめとする役員等の会社に対する損害賠償責任の免除には、総株主の同意が必要とされている理由を説明することができる。
○上記の役員等の責任軽減（一部免除・責任限定契約）の制度の趣旨、および責任軽減の類型とそれぞれの類型ごとに必要な手続の概要を説明することができる。
○株主代表訴訟とはどういうものか、会社法において株主代表訴訟を提起できる場合としてどのような場合が定められているかを具体的に挙げつつ、説明することができる。
○株主代表訴訟の対象は、会社法に規定された取締役の責任以外の取締役の会社に対する債務にも及ぶか否かについて、判例を踏まえて説明することができる。
○株主代表訴訟の提起手続の概要を説明することができる。
○株主代表訴訟の原告適格について説明することができるとともに、株主代表訴訟の提起後に株主たる地位を失ったときでも、原告適格を喪失しないとされている場合を、条文を挙げて説明することができる。
○株主代表訴訟の提起につき、被告が原告株主の悪意を疎明したとき、裁判所が原告株主に対し相当の担保を立てるべきことを命じること（担保提供命令）ができる制度の趣旨について理解しているとともに、担保提供命令を得るため被告が疎明しなければならない「悪意」とはどういうものかについて、裁判例を踏まえて説明することができる。
○株主代表訴訟における訴訟参加と補助参加について説明することができる。
○株主代表訴訟の判決の効果および再審の訴えについて説明することができる。
○株主代表訴訟における和解について、その手続の概要および和解の効果を説明することができる。
３−４−５−５−２ 第三者に対する責任
○取締役をはじめとする役員等が、職務を行うについて悪意または重過失があったとき、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負うとの規定の趣旨および適用範囲につき、とりわけこの責任の法的性質はどうか、悪意・重過失は何に向けたものか（第三者の権利侵害について必要か、任務懈怠について存すれば足りるか）および責任の範囲（直接損害に限定されるか、間接損害に限定されるか、両損害を包含するか）の諸点に着眼して、判例を踏まえて説明することができる。
○上記の役員等の第三者に対する責任の範囲に関して問題になる直接損害、間接損害の意味を説明することができる。
○上記の役員等が責任を負う「第三者」には株主も含まれるかにつき、会社に対する任務懈怠責任の追及という方途（間接損害の場合）との関係にも留意しつつ、説明することができる。
○いわゆる名目的取締役に対して監視義務違反を理由として会社法４２９条１項所定の第三者に対する責任を問えるかにつき、それを否定した下級審判例がみられることにも留意しつつ、説明することができる。
○登記簿上は取締役になっていても、取締役として株主総会で選任されていない者や取締役を辞任しながら退任登記未了の者（登記簿上の取締役）についても会社法４２９条１項所定の第三者に対する責任を問えるかにつき、判例を踏まえて説明することができる。
○特定の書類や登記・公告等に虚偽の記載・記録があった場合の上記の役員等の第三者に対する責任について定める規定（会社法４２９条２項）の趣旨について説明することができる。
３−４−５−６ 株主による違法行為の差止権
○株主に違法行為の差止請求権が認められている理由を説明することができる。
○監査役設置会社または委員会設置会社であるか、それら以外の会社であるかによって、株主が違法行為の差止請求権を行使できる要件はどのように異なるか、およびその理由を説明することができる。
３−４−６ 会計参与
○会計参与制度の趣旨及び概要を、監査役・会計監査人の制度と比較して、説明することができる。
○会計参与の員数・任期・資格を理解している。
３−４−７ 監査役
３−４−７−１ 監査役と会社の関係
○監査役がいわゆる「独任機関」とされている理由を説明することができる。
○監査役が会社を代表する場合について、その具体例を挙げることができる。
○監査役の報酬等の決定方法について説明することができる。
３−４−７−２ 選任・終任等
○監査役の員数・任期・資格を理解している。
○監査役は取締役などと兼任することが禁止されている理由を説明することができる。
○監査役を株主総会で選任もしくは解任する場合、または監査役が辞任する場合の会社法上の手続について、取締役の場合と比較して、説明することができる。
３−４−７−３ 監査役設置会社
○監査役の監査の範囲を説明することができる。
○監査役設置会社の定義（会社法2条9号）を理解し、これと異なる意味で用いられる「監査役設置会社」の規定を挙げることができる。
○監査役の職務・権限について説明することができる。
３−４−７−４ 監査役会設置会社
○監査役会が設けられた場合に、会社法上、監査役会の権限と監査役の権限との間でどのような調整がなされているかを説明することができる。
○監査役会においては、その員数が3名以上で、社外監査役が半数以上でなければならず、かつ、常勤監査役が選定されなければならないことを理解している。
○社外監査役の定義（会社法第２条第１６号）を理解している。
３−４−７−５ 責任
○監査役が会社または第三者に対して責任を負う場合についての会社法の規律を理解している。
３−４−８ 会計監査人
３−４−８−１ 総説
○会計監査人設置会社は委員会設置会社か監査役設置会社（または監査役会設置会社）かのいずれかでなければならない理由を説明することができる。
○会計監査人の報酬決定手続を説明することができる。
３−４−８−２ 選任・終任
○会計監査人の資格および任期を理解している。
○会計監査人の選任および解任の手続ならびに会計監査人の選任および解任に係る監査役・監査役会または監査委員会の権限・義務について説明することができる
３−４−８−３ 権限・義務・責任
○会計監査人の職務・権限を理解している。
○会計監査人の会社または第三者に対する責任とその責任追及方法を理解している。
３−４−９ 委員会設置会社
３−４−９−１ 委員会設置会社の意義
○委員会設置会社における機関構成および権限分配について、監査役会設置会社と比較した場合の特徴を説明することができる（いわゆるモニタリング・モデルとは何かを説明することができる）。
３−４−９−２ 委員会設置会社における取締役・取締役会
○委員会設置会社における取締役の選任機関および解任機関ならびに選任・解任の方法について理解している。
○委員会設置会社における取締役の選任に対し、指名委員会がどのように関わるかを説明することができる。
○委員会設置会社の取締役の任期について理解している。
○委員会設置会社の取締役会の権限（会社法４０２条２項・４０３条１項・４１６条など）について説明することができる。
○委員会設置会社の取締役会の専決事項を委員会設置会社以外の取締役会設置会社におけるそれと比較し、両者の異同を理解し、また、委員会設置会社の取締役会の専決事項がより制限されている理由について説明することができる。
○委員会設置会社の取締役は、原則として当該会社の業務を執行することを禁止されている理由を説明することができる。
○委員会設置会社の取締役は支配人その他の使用人との兼任を禁止されている一方、委員会設置会社の取締役は執行役との兼任が禁止されていない理由を説明することができる。
○すべての委員会設置会社の取締役会は、「会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」について決定すべきものとされている理由を理解し、その具体的な決議事項を説明することができる。
３−４−９−３ 三委員会の権限・構成・運営
３−４−９−３−１ 各委員会の構成・運営
○各委員会の委員の員数に関する規律、およびその過半数が社外取締役でなければならないとされている理由について説明することができる。
○各委員会の委員が取締役の中から選定されること、およびその選定機関および解職する機関がどこかを理解している。
○各委員会の決定を取締役会の決議により修正または破棄することの可否について理解している。
○各委員会の招集権者、招集手続および決議の方法について説明することができる。
３−４−９−３−２ 指名委員会
○指名委員会の権限について説明することができる。
３−４−９−３−３ 監査委員会
○監査委員会の権限について説明することができる。
○監査委員会と監査役会との異同について説明することができる。
○監査委員会の委員の要件およびその理由について説明することができる。
○各監査委員に対し執行役・取締役に対する差止請求権が付与されている趣旨について説明することができる。
３−４−９−３−４ 報酬委員会
○報酬委員会の権限について説明することができる。
○報酬委員会が、執行役等（会社法４０４条２項１号）の個人別の報酬等の内容を決定する場合の決定の方法および決定すべき事項について説明することができる。
○報酬委員会が使用人兼務執行役の使用人としての報酬等の部分についても決定することが可能かどうか、およびその理由について説明することができる。
３−４−９−４ 執行役
○執行役の員数、資格および欠格事由に関する会社法上の規律について理解している。
○執行役を選任する機関および解任する機関について説明することができる。
○執行役の権限について説明することができる。
○委員会設置会社において、だれが会社を代表するかを説明することができる。
○委員会設置会社の執行役に対し会社が訴えを提起する場合において、又は執行役が委員会設置会社に対し訴えを提起する場合において、委員会設置会社を代表するのはだれかを理解している。
○代表執行役については３−４−４−７、表見代表執行役については３−４−４−８の項目参照。
３−５ 計算
３−５−１ 総説
○「株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする。」（会社法４３１条）と規定されることの意味を説明することができる。
○「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」（会社法４３１条）とは何かを理解し、その具体的内容について例を挙げることができる。
３−５−２ 会計帳簿とその作成
○「会計帳簿」とは何かを理解し、その帳簿が何であるかについて具体的な例を挙げることができる。
○「会計帳簿」の閲覧・謄写に係る会社法の規律を理解している。
○会社計算規則において、「会計帳簿」に関して資産の評価・負債の評価・純資産などについて規定されていることを理解している。
３−５−３ 計算書類等の概念
○「計算書類」（会社法４３５条２項・会社計算規則２条３項２号）とは何かを理解している。
○「臨時計算書類」および「連結計算書類」とは何かを理解し、それらが作成される理由を説明することができる。
３−５−４ 各事業年度に係る計算書類の確定手続（決算手続）
○各事業年度に係る計算書類の確定手続（決算手続）の概要を、株式会社の機関構造の違いに応じて、理解している。
○事業報告等及び計算書類等に係る監査報告（監査役監査報告・監査役会監査報告・監査委員会監査報告・会計監査報告）の作成方法を理解し、その監査報告の内容の概要を説明することができる（会社法施行規則１２９条以下、会社計算規則１２１条以下）。
○各事業年度に係る計算書類を確定する機関ならびに「承認特則規定」とは何かおよびその特則規定の適用要件について理解している。
○計算書類に係る公告が求められる理由および計算書類の公告制度の概要を説明することができる。
３−５−５ 資本金および準備金
○「資本金」および「準備金」（法定準備金）とはどのようなものか、理解している。
○資本金または準備金が増加する場合と減少する場合、および資本金または準備金を株主総会決議によって減少する場合に必要とされる会社法上の手続について、理解している（なお、必要とされる債権者異議手続については、３−７−２−２−４の項目参照）。
○「欠損の額」（会社法４４９条１項２号、会社計算規則１５１条）とは何かを理解している。
○資本金減少の無効を主張するためには資本金減少無効の訴えという方法によらなければならないことを理解し、資本金減少無効の訴えの無効原因・原告適格・被告・提訴期間・無効判決の効力について、説明することができる。
３−５−６ 剰余金の配当および剰余金の処分
○剰余金の配当をすることができる時期および剰余金の配当をする場合の手続について理解している。
○会社法上の手続に違反した剰余金の配当の効力について説明することができる。
○「中間配当」とは何かを理解している。
○「分配特則規定」（会社法４５９条）とは何か、そのような定款規定を置くことができる会社がどのような会社か、およびその定款規定が効力を有するための要件はどのようなものか（会社計算規則１５５条）、理解している。
○いわゆる「現物配当」を実行するための手続ならびに「金銭分配請求権」および「基準株式数」に係る制度の内容について理解している。
○「分配可能額」とは何か、およびその金額が「その他資本剰余金」と「その他利益剰余金」の合計額を基礎とすることを理解している（会社法４４６条、４６１条２項、会社計算規則１４９条）。
○分配可能額を超過した剰余金の配当の効力と役員等の責任について説明することができる。
○「剰余金についてのその他の処分」とは何かを理解している（会社法４５２条）。
３−６ 会社の設立・定款変更
３−６−１ 会社の設立
３−６−１−１総説
○発起設立および募集設立とは何かを理解している。
○会社の成立時期について理解している。
３−６−１−２ 発起設立
○発起人とはどういうものか、説明することができる。
○変態設立事項がない場合の発起設立手続の概要について説明することができ る。
○定款の絶対的記載事項について理解し、相対的記載事項、任意的記載事項について、具体例を挙げることができる。
○定款について公証人の認証が必要とされる理由について理解している。
○設立時に発行すべき株式数および会社の成立に必要な引受株式数について理解している。
３−６−１−３ 募集設立
○創立総会とはどういうものか、およびその権限について説明することができる。
３−６−１−４ 出資の履行
○株式会社の場合の出資の対象となりうるものについて、合名会社・合資会社の場合とどのような差異があるか、それはどのような理由によるものか説明することができる。
○出資の履行の方法、履行がない場合の扱いについて説明することができる。
○預合い、見せ金とはどういうものか、およびその効力について、判例・学説を踏まえて説明することができる。
○株式の引受けに係る意思表示についての無効・取消しの制限について理解している。
３−６−１−５ 変態設立事項
○変態設立事項とは何か、および同事項がある場合の設立手続の概要、並びにそのような規制が課される理由について説明することができる。
○現物出資、財産引受けに際して検査役の調査が不要とされる場合、およびそのような扱いが認められる理由について理解している。
３−６−１−６ 設立中の会社・発起人組合
○設立中の会社および発起人組合について理解している。
３−６−１−７ 設立の無効
○会社設立無効の訴えの制度、無効原因、無効判決の効力について説明することができる。
３−６−１−８ 事後設立
○事後設立とはどういうものか、説明することができる。
３−６−２ 定款変更
○定款変更の方法、および発行可能株式総数を増加させる定款変更の場合の規制について、理解している。
３−７ 事業譲渡・組織再編等
３−７−１ 組織再編総則
○他の会社から事業を取得する方法として、どのようなものがあるか、また、それぞれの手法のメリット・デメリットについて説明することができる。
３−７−２ 合併
３−７−２−１ 合併の意義
○吸収合併および新設合併とはどのようなものか、説明することができる。
○合併においては、事業譲渡と異なり、消滅会社の権利義務の全部が当然に存続会社または設立会社に承継されることを、理解している。
３−７−２−２ 吸収合併
３−７−２−２−１ 吸収合併契約
○吸収合併契約に定めなければならない事項（会社法７４９条１項）の概要を説明することができる。
○吸収合併において、消滅会社の株主に交付される対価（吸収合併における合併対価）とすることが認められる財産の種類について、新設合併における合併対価と対比しつつ、説明することができる。
○いわゆる交付金合併および三角合併とはどのようなものかを理解し、三角合併を行うための子会社による親会社株式の取得禁止の例外について、説明することができる。
３−７−２−２−２ 吸収合併契約の承認決議
○吸収合併契約の承認決議の決議要件を理解し、そのような要件が求められる理由について、説明することができる。
３−７−２−２−３ 反対株主の株式買取請求権
○反対株主に株式買取請求権が認められる理由、ならびに株主が株式買取請求権を行使するための要件（会社法７８５条２項の反対株主となるための要件）および買取りの手続について、説明することができる。
○株式買取請求権が行使された場合、株式会社は、反対株主の株式を「公正な価格」で買い取らなければならないが、ここでいう「公正な価格」の意味について、会社法制定前の「（吸収合併契約の）承認ノ決議ナカリセバ其ノ有スベカリシ公正ナル価格」と対比しつつ、説明することができる。
３−７−２−２−４ 債権者異議手続
○合併において、債権者異議手続が定められている理由について説明することができる。
○債権者に異議を述べる機会を付与するため、合併当事会社はどのような事項を公告し知れている債権者に各別に催告しなければならないかを理解し、合併当事会社が、知れている債権者への各別の催告を要しないのはどのような場合かについて、説明することができる。
○債権者が異議を述べることのできる期間内に吸収合併に異議を述べたとき、会社はどのような措置をとらなければならないか、およびそのような措置をとらなくてもよいのはどのような場合か、について理解し、債権者が異議を述べることができる期間内に異議を述べなかった場合の効果について、説明することができる。
３−７−２−２−５ 合併の効力発生・開示・登記
○吸収合併の効力はいつ発生するかについて、新設合併の場合と対比しつつ、説明することができる。
○消滅会社の吸収合併による解散の登記の効力（会社法７５０条２項）およびそのような処理がされる理由について説明することができる。
○吸収合併において、事前開示（会社法７８２条、７９４条）および事後開示（会社法８０１条３項４項）が求められる理由、ならびに存続会社において 開示期間の終期が効力発生日から６箇月経過した日とされている理由について、説明することができる。
３−７−２−２−６ 簡易合併・略式合併
○簡易合併とは何かを理解し、存続会社において同制度が認められている理由について、説明することができる。
○特別支配会社（会社法４６８条１項）および略式合併とは何かを理解し、消滅会社または存続会社において略式合併制度が認められている理由について説明することができる。
３−７−２−３ 合併の無効
○合併の無効を主張するためには合併無効の訴えという方法によらなければならないことを理解し、合併無効の訴えの、原告適格・被告・提訴期間、および無効判決の効力について、説明することができる。
○どのような事由が合併の無効原因となるかについて説明することができるとともに、合併比率の不公正が合併無効原因となるか否かについて、判例・学説を踏まえて、説明することができる。
３−３−３ 会社分割
３−７−３−１ 会社分割の意義
○会社分割とは何かを説明することができ、吸収分割と新設分割の異同について理解している。
○いわゆる物的（分社型）分割と人的（分割型）分割の異同について説明するとともに、会社法の下で、人的分割と同等の効果をどのような方法で実現することができるか、理解している（会社法７５８条８項・７６０条７項）。
３−７−３−２ 吸収分割
３−７−３−２−１ 吸収分割契約
○吸収分割契約に定めなければならない事項（会社法７５８条１項）の概要を説明することができる。
○対価柔軟化、交付金分割および三角分割については、３−７−２−２−１の項目参照。
３−７−３−２−２ 吸収分割契約の承認決議
○３−７−２−２−２の項目参照
３−７−３−２−３ 反対株主の株式買取請求権
○３−７−２−２−３の項目参照。
３−７−３−２−４ 債権者異議手続
○分割会社の債権者の中で、債権者異議手続が必要な債権者とは、どのような債権者かを理解している。
○各別の催告を受けるべき不法行為債権者に対する催告がなされなかった場合の法的効果について説明することができる。
○その他３−７−２−２−４の項目参照。
３−７−３−２−５ 会社分割の効力発生・開示・登記
○吸収分割の効力はいつ発生するかについて、新設分割の場合と対比しつつ、説明することができる。
○その他３−７−２−２−５の項目参照。
３−７−３−２−６ 簡易分割・略式分割
○３−７−２−２−６の項目参照。
３−７−３−３ 会社分割の無効
○どのような事由が会社分割の無効原因となるかについて、具体例を挙げて説明することができる。
○その他３−７−２−３の項目参照。
３−７−４ 株式交換・株式移転
３−７−４−１ 株式交換・株式移転の意義
○株式交換および株式移転とはどのようなものか、説明することができる。
３−７−４−２ 株式交換
３−７−４−２−１ 株式交換契約
○株式交換契約に定めなければならない事項（会社法７６８条１項）の概要について説明することができる。
○対価柔軟化、交付金株式交換および三角株式交換については、３−７−２−２−１の項目参照。
３−７−４−２−２ 株式交換契約の承認決議
○３−７−２−２−２の項目参照。
３−７−４−２−３ 反対株主の株式買取請求権
○３−７−２−２−３の項目参照。
３−７−４−２−４ 債権者異議手続
○株式交換・株式移転により完全子会社となる会社の債権者の中で、債権者異議手続が必要な債権者とは、どのような債権者かを理解している。
○株式交換により完全親会社となる会社において、債権者異議手続が必要な場合は、どのような場合かについて理解している。
○その他３−７−２−２−４の項目参照。
３−７−４−２−５ 株式交換の効力発生・開示・登記
○株式交換の効力はいつ発生するかについて、株式移転の場合と対比しつつ、説明することができる。
○その他３−７−２−２−５の項目参照。
３−７−４−２−６ 簡易株式交換・略式株式交換
○３−７−２−２−６の項目参照。
３−７−４−３ 株式交換・株式移転の無効
○どのような事由が株式交換・株式移転の無効原因となるかについて、具体例を挙げて説明することができる。
○その他３−７−２−３の項目参照。
３−７−５ 事業譲渡等
○会社法第二編第七章所定の事業譲渡とはどういうものかについて、２−４を参照。
○事業の重要な一部の譲渡に当たらない場合とはどういうものかを理解し、株式会社が事業の全部または重要な一部を譲渡する場合、株主総会の特別決議を要し、「反対株主」に株式買取請求権が認められている理由を説明することができる。
○略式事業譲渡とは何かを理解している。
○必要な株主総会決議を経ない事業譲渡の効力について、判例・学説を踏まえて説明することができる。
○他の会社の事業全部の譲受けの場合に、原則として株主総会の特別決議を要し、反対株主に株式買取請求権が認められている理由を説明することができる。
○簡易の事業全部の譲受けについて理解している。
３−７−６ 組織変更
○組織変更とは何かについて、持分会社（合名会社・合資会社・合同会社）間の会社の種類の変更がそれに含まれないことにも留意しつつ、説明することができる。
○組織変更が利害関係者（社員・株主、債権者のほか、株式会社から持分会社への組織変更の場合には、さらに新株予約権者等が考えられる）の利害にどのような影響を及ぼすかを理解し、組織変更に必要な手続の概要を、株式会社から持分会社への組織変更の場合と持分会社から株式会社への組織変更の場合とに分けて、説明することができるとともに、組織変更が違法に行われた場合に、その効力を争う方法について説明することができる。
３−８ 解散・清算
○解散および清算とは何か、ならびに解散と清算の関係を理解している。
○株式会社の解散事由を理解している。
○解散判決が認められる要件（会社法４７１条６号、８３３条）を理解している。
○「休眠会社」とは何かを理解し、そのみなし解散の制度（会社法４７２条）の趣旨について説明することができる。
○解散株式会社がすることができない行為を理解している（会社法４７４条）。
○株式会社を清算しなければならない場合を理解している。
○清算株式会社が有する能力について説明することができる。
○清算株式会社の機関について理解している。
○清算株式会社における債務の弁済および残余財産の分配に関する会社法の規律の概要を説明することができる。
○清算株式会社の清算事務が終了したときの手続について理解している。
○特別清算手続とは何かについて、他の倒産処理手続と比較して、説明することができる。
○株式会社と合名会社の共通点・相違点につき、たとえば機関の分化の有無、社員の責任、持分の譲渡性、定款の記載事項などを念頭に置いて、説明することができる。
○法人が持分会社の社員となることの可否を説明することができる。
４−２ 設立
○持分会社の設立において、会社財産の確保のためにどのような法規制がなされているか（いないか）、合名会社・合資会社・合同会社のそれぞれにおいて、会社の成立時に社員となる者が行うことのできる出資の内容について説明することができる。
○持分会社の設立について、設立無効の訴え・設立取消の訴えが設けられていることを理解している。
４−３ 社員の責任
○無限責任社員が、会社債権者に対して負う責任の内容について、具体的な例を挙げて説明することができる。
○合資会社の有限責任社員と、合同会社の有限責任社員とで、会社債権者に対して負う責任につきどのような共通点・相違点があるかを、具体的な例を挙げて説明することができる。
４−４ 会社の運営
○業務を執行する社員（業務執行社員）、および会社を代表する社員（代表社員）について説明することができる。
○業務を執行しない社員にも、業務・財産状況調査権が認められていること（会社法５
９２条）の理由を説明することができる。
○業務執行社員の競業・利益相反取引について、どのような手続が必要かを説明することができる。
４−５ 社員の変動
○持分の譲渡の手続について、�仝饗�的ルール、�⇒�限責任社員でありかつ業務執行社員でないものが持分を譲渡しようとする場合の例外的ルール、�Ｄ蟯昭�治の可否、を説明することができる。
○持分会社の社員の退社につき、具体例を挙げて、任意退社（会社法６０６条）と法定退社（会社法６０７条）を説明することができる。特に、除名とはどういうものか、およびその手続の概要を説明することができる。
○社員の退社に伴い行われる持分の払戻しについて説明することができる。
４−６ 計算
○持分会社における損益の分配および利益配当について説明することができる。
○持分会社における出資の払戻しについて、持分の払戻しとの違いに留意して説明することができる。
４−７ 定款変更
○持分会社の定款変更には原則として総社員の同意が必要であり、その要件は定款で異なる定めができることについて、そのようなルール（会社法６３７条）が置かれていることの理由を説明することができる。
○会社が事業として行う行為および事業のために行う行為が商行為であることを、理解している。
○自然人の商人資格の取得時期に関して、判例・学説をふまえて説明することができる○未成年者や成年被後見人が、自ら営業を行うことにより有効に権利を取得し義務を負担することができるか否か（営業能力を有するか否か）について、説明することができる。
○商業登記の効力（商法９条）について、第１編２−２−５参照
○商行為の定め方に関する、客観主義、主観主義および折衷主義とはどのようなものであるか、また、わが国の商法がどの立場に立脚するものであるかについて、理解している。
○絶対的商行為、営業的商行為および附属的商行為とはどのようなものか、それぞれ具体例を挙げて説明することができる。
○基本的商行為および補助的商行為とはどのようなものか、説明することができる。
○一方的商行為および双方的商行為とはどのようなものか、説明することができる。
○営業的商行為の要件である「営業としてする」とはどのような行為か、説明することができる。
１−２ 約款
○約款の法的拘束力の根拠に関する判例・学説の状況を理解している。
１−３ 商行為の代理・委任
○商行為の代理について、民法上の代理と対比しつつ、その特色を説明することができる。
○商行為の代理であることを知らずに代理人と取引した者が代理人に対して履行の請求をすることができるための主観的要件は何か、また、代理人に対し履行を請求した場合における相手方と本人との間の法律関係の帰趨について、判例・学説の状況を理解している。
１−４ 商人の行為・商行為の営利性
○商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときに相当の報酬を請求することができる理由および「他人のために行為をした」に該当するとされる場合に関する判例・学説について説明することができる。
○商事法定利率が民事法定利率に比して１％高いことを理解し、商事法定利率が適用される「商行為によって生じた債務」とはどのような債務か、たとえば商行為たる契約の債務不履行に基づく損害賠償請求権などの例を挙げつつ、説明することができる。
１−５ 商行為法における有価証券の特則（商事証券）
○金銭その他の物または有価証券の給付を目的とする有価証券の譲渡の方式や善意取得等に係る商法の規律について、説明することができる。
○金銭その他の物または有価証券の給付を目的とする有価証券の所持人が、当該有価証券を喪失した場合において、公示催告の申立てをしたときは、除権決定が下される前であっても、当該債務者に債務の目的物を供託させ、または相当の担保を供して債務を履行させることができることについて、理解している。
１−６ 商事債権に関する固有の規律
○数人がその１人または全員のために商行為たる行為により債務を負担したときは、特約で排除しない限り、当該債務は連帯債務となるものとされる理由について、具体例を挙げて説明することができる。
○多数債務者間の連帯債務に係る規律は、債務者・債権者のいずれにとって商行為である場合に適用されるかに関する判例・学説の状況を理解している。
○商行為によって生じた債権を担保するために設定した質権については、流質契約が許容されている趣旨について、説明することができる。
○商人間の留置権の成立要件および法的効力について、その他の商事留置権（商法３１条・５５７条・５６２条・５８９条・７５３条２項）を含めて、民法上の留置権と対比しつつ、説明することができる。
○商事消滅時効が債権の消滅時効に関する民法の一般的規律に比較して短期とされていることを理解している。
１−７ 商人間の契約の申込み等
○商人である対話者間において契約の申し込みを受けた者が直ちに承諾をしなかった場合の申込みの効力（商法５０７条）について、理解している。
○商人である隔地者間において、承諾の期間を定めずに契約の申込みを受けた者が相当の期間内に承諾の通知を発しなかった場合の申込みの効力（商法５０８条）について、民法の規律が適用される場合と対比しつつ、説明することができる。
○商人が、平常取引をなす者から、その営業の部類に属する契約の申込みを受けたときの承諾に関する商法の規律の内容およびその理由を（商法５０９条）、民法の原則と対比しつつ、説明することができる。
第２章 商事売買
○定期行為に係る民法の原則（民法５４２条）と対比しつつ、定期売買に関する商法の特則（商法５２５条）の内容およびその理由について、説明することができる。
○商人間の売買における売主の自助売却権および供託権について、民法の規律と対比しつつ、その要件および効果を説明することができる。
○商人間の売買における買主の検査義務に係る商法の規律の内容およびその理由について、説明することができる。
○商法５２６条の趣旨および同条の定める通知義務に違反した場合の法的効果について、説明することができる。
○匿名組合員が出資した財産の帰属に係る法律関係を説明することができる。
○民事仲立人の意義を、結婚仲介業者を例として説明することができるとともに、民事仲立人も仲立ちに関する行為を業とすることにより商人となることを理解している。
○仲立人と問屋・代理商（締約代理商・媒介代理商）の異同を説明することができる。
○仲立人が負う義務は当事者の双方に対するものであることについて理解している。
○仲立人が有する報酬請求権について説明することができる。
○問屋とは何かを証券会社を例として、準問屋とは何かを広告業者を例として、説明することができる。
○簡単な事例を用いて、問屋が相手方と契約を締結することにより、問屋が相手方に対してどのような権利・義務を有することになるのか（商法５５２条１項）を説明することができる。
○運送人とはどういうものか、説明することができる。
７−２ 物品運送
○物品運送とはどういうものか、説明することができる。
○商法上運送人が負う債務不履行責任について置かれている特則（商法５７７条〜５８
１条、５８８条、５８９条、５６６条）はどのようなものであるか、そのような特則が置かれている理由について説明することができる。
○運送人が荷送人に対して債務不履行責任を負う場合に、同時に不法行為の要件も満たされている場合の両請求権の関係に関する判例・学説を踏まえて説明することができる。
○荷送人・貨物引換証の所持人が有する運送品の処分権について理解している。
○荷受人の地位および荷受人が運送の進展とともにどのような権利・義務を取得・負担するかについて理解している。
７−３ 貨物引換証
○貨物引換証とは何か、船荷証券との異同、貨物引換証の所持人の地位がどのようなものであるか、および貨物引換証がどのような性質を有する有価証券であるかについて説明することができる。
○貨物引換証の文言証券性と有（要）因証券性の関係についての判例・学説を踏まえて説明することができる。
７−４ 旅客運送
○旅客運送人が旅客に対して負う責任について理解している。
○寄託者が倉庫営業者に対して有する権利、負う義務について理解している。
○いわゆる倉庫証券とはどのようなものか、説明することができる。
○場屋営業者が負う債務不履行責任について商法上置かれている特則はどのようなものであるか理解し、そのような特則が置かれている理由について説明することができる。
○約束手形・為替手形・小切手の法的構造について、比較しつつ説明することができる。
○当座勘定取引契約および手形交換制度の仕組みの概要を説明することができる。
○手形貸付および手形割引とはどういうものか、理解している。
○商業手形および融通手形とはどういうものか、理解している。
○有価証券とは何かを説明することができるとともに、手形・小切手の有価証券としての特色・種類について、株券との相違点を意識しつつ、説明することができる。
１−２ 手形・小切手と原因関係
○手形・小切手の原因関係（以下、単に原因関係という）とはどういうものか、具体例を挙げて説明することができる。
○手形・小切手関係と原因関係との関係について説明することができる。
○約束手形の振出とはどういうものか、説明することができる。
○約束手形要件について理解し、手形要件以外の記載事項、すなわち有益的記載事項、無益的記載事項および有害的記載事項について、それぞれ具体例を挙げて、それらの法的効果を説明することができる。
○約束手形に表示できる満期の種類にはどのようなものがあるか、理解している。
○白地手形とはどういうものであるかを、手形要件を欠くため絶対的に無効な手形と区別して説明することができるとともに、白地補充権について説明することができる。
２−２手形行為
○手形行為とは何か、どのような種類があるか（前出の振出以外のもの）、およびその性質（要式性、書面性、文言性、無因性および独立性）について説明することができる。
○手形行為の独立性（手形行為独立の原則）について、具体例を挙げて説明することができる。
○手形行為の成立に関し、手形行為にはすべて手形行為者の署名が必要とされていることを理解し、併せて法人の署名方式について説明することができる。
○手形行為が意思能力のない者による場合、手形行為が制限行為能力者による場合、ならびに手形行為をする者の意思表示に際して心裡留保、虚偽表示、錯誤、詐欺および強迫があった場合それぞれにつき、当該手形行為の効力を判例・学説を踏まえて説明することができる。
○代理方式による手形行為および機関（代行）方式による手形行為とはそれぞれどういうものか、理解している。
○手形行為における無権代理とは何か、ならびに無権代理人の責任および権利について理解している。
○手形行為における無権代理行為によって例外的に本人が責任を負う場合（手形上の責任および使用者責任等の損害賠償責任）、および保護される第三者の範囲について判例・学説を踏まえて説明することができる。
○手形の偽造とは何かを理解し、手形偽造者の手形上の責任および被偽造者の責任（手形上の責任および使用者責任等の損害賠償責任）について判例・学説を踏まえて説明することができる。
○手形の変造とは何かを理解し、変造の場合の手形行為者の責任（手形法６９条）について説明することができる。
２−３ 手形の流通
２−３−１ 手形の譲渡方法
○記名式裏書・白地式裏書とは何かを理解している。
○裏書禁止手形（指図禁止手形）の譲渡の方法および効力を理解している。
２−３−２ 裏書の効力
○裏書の権利移転的効力・資格授与的効力・担保的効力について、それらを規定する条文をあげて、説明することができる。
○無担保裏書（手形法１５条１項）および裏書禁止裏書（手形法１５条２項）とは何か、ならびにそれぞれの効力がどのようなものかを理解している。
○満期後裏書（手形法２０条）および期限後裏書（手形法２０条１項但書）とは何か、ならびにそれぞれの効力がどのようなものかを理解している。
○白地式裏書などがある場合（手形法１６条１項２文から４文参照）における「裏書の連続」について理解している。
○裏書の抹消とは何かおよび裏書が抹消された場合の効果について理解している。
○裏書が連続しない手形の権利行使方法を説明することができる。
２−３−３ 善意取得
○手形の善意取得とは何かを理解し、手形の善意取得が認められる要件について説明することができる。
２−３−４ 手形抗弁
○手形抗弁とは何かを理解し、物的抗弁および人的抗弁の例をあげることができる。
○手形法１７条において「所持人ノ前者ニ対スル人的関係ニ基ク抗弁ヲ以（もっ）テ所持人ニ対抗スルコトヲ得ズ」とされていることの理由および手形法１７条但書の「債務者ヲ害スルコトヲ知リテ取得」するとはどういうことかを説明することができる。
○融通手形であることを知って裏書譲渡を受けた手形の所持人と当該手形の振出人との関係について、判例を踏まえて、説明することができる。
○裏書に善意者が介在した場合における手形法１７条但書の適用関係について、判例を踏まえて、かつ、戻裏書の場合も含めて、説明することができる。
２−３−５ 取立委任裏書・隠れた取立委任裏書
○取立委任裏書（公然の取立委任裏書）の方式およびその効力を理解し、隠れた取立委任裏書とは何かおよびその効力を説明することができる。
２−４ 手形保証
○手形保証とは何かおよび手形保証（公然の手形保証）の方法を理解している
○隠れた手形保証とはどういうものかを理解している。
○手形保証人の手形上の責任について、その従属性と独立性に留意しつつ、説明するこ とができる。
２−５ 手形の支払・遡求
○適法な「支払のための呈示」の要件およびその効果を説明することができる。
○白地手形の白地を補充しないままなされた手形金支払請求の効力について、理解している。
○手形法４０条３項の趣旨を理解し、同項の「悪意又ハ重大ナル過失」とはどのような意味かを、手形法１６条２項の「悪意又ハ重大ナル過失」の意味と対比しつつ、説明することができる。
○手形訴訟制度（民事訴訟法３５０条以下）の特色を説明することができる。
○手形を喪失または滅失した場合における手形金請求の方法について、公示催告と除権決定の手続（非訟事件手続法１４１条以下、特に１５６条以下）の概要を説明することができる。
○遡求とは何かおよび遡求権を喪失する場合について理解している。
２−６ 手形の書替
○手形の書替とは何かを理解している。
２−７ 手形の時効
○約束手形の振出人、裏書人、手形保証人に対する手形上の請求権の消滅時効について、理解している。
２−８ 利得償還請求権
○利得償還請求権とは何かを理解している。
○為替手形の振出により、振出人は、その手形の引受および支払を担保する義務（引受担保責任・支払担保責任）を負うことを理解している。
○為替手形の振出の実質関係（資金関係・原因関係）について説明することができる。
○引受とは何か、およびその法的性質、ならびに引受をすることができる者について、理解している。
○小切手要件（小切手法１条）、および基本小切手上の当事者（振出人・受取人・支払人〔銀行〕）について理解している。
○持参人払式小切手の譲渡方法について理解している。
○小切手の善意取得の成立要件について理解している。
○線引小切手制度とはどういうものか、理解している。
１−１ 会社の意義と種類
○法人格否認の法理とはどういうものかを説明し、最高裁判所が、当該事件の解決のために会社の法人格を否認することができる場合として例示する事例を挙げることができる。
○定款所定の目的により会社の権利能力が制限されることを説明することができる。
○会社が「営利法人」であることを、商人であるための要件である「営利性」と対比して説明することができる。
○会社法における４種類の会社の特徴について説明することができる。
○会社が商法４条１項の商人となることを説明することができる。
１−２ 会社法上の主要な用語の定義等
○親会社と子会社の定義について説明することができる
○公開会社および大会社の定義について理解している。
○会社の公告方法について理解している。
第２章 総則・登記２−１ 会社の商号
○商号とはどういうものか、説明することができる。
○商号単一の原則について、個人商人と会社との違いを説明することができる。
○商号選定自由主義の意義とその例外（会社法６条２項、３項、７条、８条、不正競争防止法２条１項１号２号、３条、４条、１４条参照）について説明することができる○自己の商号を使用して事業または営業を行うことを他人に許諾した会社の責任（いわゆる「名板貸人の責任」）について、その趣旨と責任の成立要件および効果を説明することができる。
２−２ 会社の使用人
○支配人制度の趣旨、ならびに支配人の選任およびその代理権の消滅を登記しなければならない理由について、説明することができる。
○支配人の代理権の範囲、および会社が支配人の代理権に加えた制限を第三者に対抗することができないのはどのような場合か、について説明することができる。
○支配人について会社法１２条１項に列挙されている競業等の禁止の内容が、代理商や株式会社の取締役の競業避止義務の内容と異なっている理由について、説明することができる。
○表見支配人制度の趣旨、および表見支配人制度が適用されるための要件について、説明することができる。
○会社法１４条１項の「ある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人」の代理権の範囲について、支配人の代理権と対比しつつ、説明することができる。
○物品の販売等を目的とする店舗の使用人の代理権の範囲について理解している。
２−３ 会社の代理商
○代理商（会社の代理商）とはどういうものか、商業使用人（会社の使用人）と対比しつつ説明することができる。
２−４ 事業譲渡
○会社法総則における事業譲渡の意義と会社法第二編第七章の事業譲渡の意義に関する、最高裁判所の判例および学説の状況について、説明することができる。
○事業譲渡の対象となる事業を構成する権利義務の承継（特定承継）について、会社の合併における権利義務の一般承継（包括承継）と対比しつつ、説明することができる。○事業の譲渡会社の競業禁止の範囲について理解し、事業の譲渡会社が競業を禁止される理由について説明することができる。
○事業の譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合に、譲受会社も譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済しなければならないとされる（会社法２２条１項）理由について説明するこことができ、譲受会社が「譲渡会社の商号を引き続き使用する場合」に該当する例と該当しない例を具体的に挙げることができる。
○事業の譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合でも、譲受会社が譲渡会社の事業によって生じた債務の弁済責任を例外的に負わない場合について理解している。○事業の譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合に、譲渡会社の事業によって生じた債権につき譲受会社にした弁済の効力について、説明することができる。
○事業の譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用しない場合であっても、譲渡会社の事業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、譲渡会社の債権者に対し弁済責任を負うものとされる理由について理解している。
２−５ 会社の登記
○商業登記のうち、会社に関する登記事項が多い（会社法９１１条以下、商業登記法第３章第４節〜８節参照）理由について、説明することができる。
○会社法９０８条１項の定める会社の登記の効力（一般的効力）について説明することができる。
○表見支配人制度（会社法１３条）、表見代表取締役制度（会社法３５４条）および表見代表執行役制度（会社法４２１条）ならびに民法の表見代理規定（とくに民法１１
２条）と、会社法９０８条１項の会社の登記の効力との関係について、判例・学説を踏まえて説明することができる。
○会社法９０８条２項の定める不実登記の効力について説明することができる。
第３章 株式会社３−１ 株式会社の特徴
○株式会社制度の特徴を説明することができる。
３−２ 株式
３−２−１ 株式・株主
３−２−１−１ 株式の意義
○株式とはどういうものか、説明することができる。
３−２−１−２ 株主平等原則
○株主平等原則とはどういうものか、説明することができる。
○公開会社でない会社（以下、非公開会社という。）での株主ごとに異なる扱いをなしうる場合（会社法１０９条２項）があることを理解している。
３−２−１−３ 株主の地位
○株主が株主として有する権利である自益権・共益権について、具体例を挙げることができる。
○株主に剰余金の配当を受ける権利および残余財産の分配を受ける権利の全部を与えない旨の定款の効力（会社法１０５条２項）について理解している。
３−２−１−４ 株主の権利の行使に関する利益の供与
○利益供与にあたる場合を具体例を挙げつつ説明することができる。
○利益供与がなされた場合の民事責任・刑事責任について説明することができる。
３−２−２ 株式の単位（株式併合・株式分割・株式の無償割当て・単元株）
○株式併合とはどういうものか、およびその手続について説明することができる。
○株式分割とはどういうものか、およびその手続について説明することができる。
○株式の無償割当てとはどういうものか、およびその手続と株式分割との異同について説明することができる。
○単元株式制度とはどういうものか、並びに設定の手続および一単元をなす株式数の変更手続きについて説明することができる。
３−２−３ 株式の内容および種類
○会社が発行する全ての株式について定款により設けることのできる内容を説明することができる。
○配当優先株、残余財産分配優先株とはどういうものか、説明することができる。
○議決権制限株式とはどういうものか、説明することができる。
○種類株式としての取得請求権付株式・取得条項付株式（会社法１０８条１項５号、６号）とはどういうものか、説明することができる。
○全部取得条項付種類株式とはどういうものか、説明することができる。
○取締役・監査役の選任権付種類株式とはどういうものか、これらを委員会設置会社、公開会社が発行できない理由について説明することができる。
○拒否権付種類株式とはどういうものか、説明することができる。
３−２−４ 株式の譲渡・株主名簿
○株券発行会社とそうでない会社での、株式の譲渡方法について理解している。
○株式譲渡が原則自由とされている理由を説明でき、譲渡が制限される具体例を挙げることができる。
○定款による株式譲渡制限制度の趣旨・概要について説明することができる。
○子会社による親会社株式の取得に関する規制について説明することができる。
○株主名簿制度とはどういうものか、および名義書換の方法・効力について説明することができる。
○振替株式の株主が、基準日を定めて行使される権利以外の株主権（少数株主権等。社債、株式等の振替に関する法律１４７条４項）を行使するための手続（個別株主通知。社債、株式の振替に関する法律１５４条）について、理解している。
３−２−５ 自己株式の取得
○自己株式の取得に伴い生ずる弊害とそれに対して会社法が採っている規制の概要について説明することができる。
○会社法が認める自己株式の取得許容事由（会社法１５５条）について理解している。
○会社法１５６条から１５９条が定める自己株式の買付け手続き・財源規制の内容について理解している。
○株主との合意による相対取引に際しての手続き・財源規制の内容（会社法１６０条）について理解している。
○特定株主からの取得に関して、市場価格がある株式についての例外(会社法１６１条)、相続人からの取得に際しての例外（会社法１６２条）、子会社からの取得の例外（会社法１６３条）、定款の定めがある場合の取得の例外（会社法１６４条）があるが、各例外が認められている理由について理解している。
○市場による取引・公開買付けによる取得の例外（会社法１６５条）が認められている理由について理解している。
○自己株式の違法取得（手続規制、財源規制に反した取得）の効力について説明することができる。
○相続人等に対する売渡し請求制度（会社法１７４条）について理解している。
○自己株式の地位について理解している。
３−３ 資金調達
３−３−１ 総説
○株式会社の資金調達の方法について、株式の発行、社債の発行、銀行借入などがあることを理解し、それぞれの特徴と異同について（特に株式と社債の異同について）説明することができる。
３−３−２ 新株発行
○新株発行の方法について、株主割当て・公募・第三者割当てがあることを理解し、その概要を条文を挙げて説明することができる。
○株主割当てによる新株発行が、その他の方法による場合と比べて既存株主の経済的利益・持株比率の維持に資することについて説明することができる。
○「募集株式の発行等」として新株の発行と自己株式の処分とにつき同じ法的規律がされている理由を説明することができるとともに、「募集株式の発行等」には含まれない、いわゆる「特殊の新株発行」と呼ばれるものがあることを理解している。
○公開会社と非公開会社とを区別して、新株発行の手続き（募集事項の決定・申込み・割当て・払込み）を、決定権限を持つ機関に触れながら、条文を挙げて説明することができる。
○なぜ公開会社と非公開会社とでは募集事項を決定する機関が異なるのかを説明することができる。
○募集株式の発行等について特に差止めの制度が用意されていることについて、その理由を説明することができるとともに、どのような場合に差止めが認められるか、具体例を挙げて説明することができる。また、株主に差止めの機会を与えるためにどのようなルールが用意されているかを条文を挙げて説明することができる。
○公開会社における新株の有利発行について、募集事項の決定を株主総会が行う場合と取締役会が行う場合との適用条項を明らかにしながら、会社法のルールの概要とその理由を説明することができる。
○取締役と通じて著しく不公正な払込金額で募集株式を引き受けた者が会社に対して負う支払責任について説明することができる。
○公開会社における新株の不公正発行について、裁判所が採用している差止めの判断基準について説明することができる。
○新株発行に瑕疵がある場合に、その無効を主張するためには訴えによらなければならないことを理解し、新株発行無効の訴えについて、その概要（被告・提訴期間・無効判決の効力）、および新株発行の差止めや新株発行の不存在確認の訴えとの違いを条文を挙げて説明することができる。
○新株発行無効の訴えにおいて、判例によるとどのような事情が無効事由となると考えられているかを説明することができ、また、募集事項の公示が欠けたことが原則として新株発行の無効事由にあたると解されていることについてその理由を説明することができる。
３−３−３ 新株予約権
○新株予約権とはどういうものか、およびその仕組み（発行時の払込みと権利行使に際しての払込みの区別、行使期間、取得条項など）について条文に即して説明することができる。
○新株予約権の利用方法を説明することができる。
○新株予約権の発行の方法について、募集手続による場合と無償割当てによる場合とがあることを理解し、その異同について条文を挙げて説明することができる。
○公開会社と非公開会社とを区別して、募集新株予約権の発行手続き（募集事項の決定・申込み・割当て・払込み）を、決定権限を持つ機関に触れながら、条文を挙げて説明することができる。
○新株予約権の発行が有利発行（「特に有利な条件」「特に有利な金額」）に当たるか否かの区別はどのように行われるべきか、オプション評価理論に触れながら説明することができる。
３−３−４ 社債
○担保付社債、振替社債について、会社法以外のどの法令が法規制を置いているかを理解している。
○株式会社・持分会社が会社法上の社債を発行できることを理解している。
○社債管理者について、どのような場合にその設置が強制されるか、設置が強制される理由、社債管理者となるための資格、社債管理者が社債権者に対して負う義務について条文に即して説明することができる。
○社債権者集会の制度の趣旨および概要を説明することができる。
３−４ 機関
３−４−１ 総論
○会社の機関とはどういうものか、説明することができる。 ○公開会社と非公開会社における機関設計の違いの概要を説明することができる。 ○大会社と大会社でない株式会社における、機関設計の違いの概要を説明することができる。 ○委員会設置会社でない取締役会設置会社は、原則として監査役を設置しなければならない理由について説明することができる。 ○大会社では会計監査人を設置しなければならない理由について説明することができる。 ○公開会社でありかつ大会社である会社は、委員会設置会社である場合を除き、監査役会を設置しなければならない理由について説明することができる。 ○検査役とはどういうものか、説明することができる。
３−４−２ 株主総会
３−４−２−１ 株主総会の意義・権限
○株主総会とは何かを説明することができる。
○取締役会設置会社であるか否かによる株主総会の権限の相違を理解し、取締役会設置会社における法令に定められた株主総会の決議事項の主なものを、具体的に挙げることができる。
○株主総会の招集者が当該会議の目的として定めた事項以外の事項の決議の可否について、取締役会設置会社であるか否かによって生じる相違を説明することができる。
３−４−２−２ 株主総会の招集・運営
○株主総会の招集手続の概要について説明することができる。
○株主総会の招集手続を省略することができるのは、どのような場合か理解している。
○いわゆる全員出席総会とはどのような株主総会であるかを理解し、全員出席総会でなされた決議の有効性及びその根拠について説明することができる。
○株主総会は、会社以外にだれがどのような要件で招集できるかについて説明することができる。
○株主総会の招集通知の記載事項、招集期間および招集方法について、取締役会設置会社か否かの違いに応じてどのような違いを設けているか、その理由とともに説明することができる。
○書面または電磁的方法による議決権行使制度の概要を理解し、書面または電磁的方法による議決権行使が義務付けられている会社の範囲とその理由とを説明することができる。
○議題と議案の違いについて具体例を挙げて説明することができる(たとえば、取締役選任や剰余金配当について、議題と議案はそれぞれどのようなものであり得るか、具体例を挙げることができる)。
○株主提案権について、事前の提案権および株主総会の議場における提案権のそれぞれにつき、それを行使することのできる要件を理解しそれが認められている理由を説明することができる。
○取締役等の説明義務の対象・説明の程度および説明を拒絶できる場合を具体例を挙げて説明することができる。
○取締役等の説明義務の対象および説明の程度について、具体的な例示により、説明することができる。
○取締役等が株主総会において株主から説明を求められた場合において、説明を拒絶できる場合およびそれぞれの理由を説明することができる。
３−４−２−３ 議決権の行使
○「一株一議決権の原則」とは何かを説明することができ、その例外を示すことができる。
○いわゆる「相互保有株式」の議決権行使に係る会社法の規律（会社法308条1 項かっこ書き）を理解している。
○共有株式の権利行使に係る会社法の規律とその共有株式の議決権の行使方法を理解している。
○議決権の代理行使が認められる理由と定款による代理人資格の制限について、判例と学説を踏まえて、説明することができる。
○議決権の不統一行使について、そのような議決権行使方法が認められる理由を説明することができ、不統一行使の方法を理解している。
３−４−２−４ 株主総会の決議の種類・瑕疵
○株主総会の決議の種類についてどのような種類の決議があるか、それらの決議要件はどのようなものであるか理解している。
○会社法３０９条２項、３項に定める決議について、そのような決議要件が課されている理由について説明することができる。
○株主総会は開催されないが、決議がなされたとみなされる場合（会社法３１９条）について理解している。
○株主総会決議について決議取消しの訴えの制度が認められている趣旨について説明することができ、当該訴えに際しての原告適格・被告・提訴期間・判決の効力について理解している。
○会社法８３１条１項１号、２号が定める決議取消原因にあたるものについて、具体例を挙げることができる。
○ 特別利害関係人による議決権の行使により著しく不当な決議が成立した場合
（会社法８３１条１項３号）とはどのような場合か、具体例を挙げて説明することができる。
○決議取消しの訴えについての裁量棄却制度とはどのようなものか、および同制度が認められている理由について説明することができる。
○決議無効事由、決議不存在事由について、具体例を挙げることができる。
○決議無効・不存在確認の訴えを認容する判決の効力について理解している。
３−４−３ 種類株主総会
○種類株主総会の存在意義、および種類株主総会の権限・決議の種類について説明することができる。
３−４−４ 取締役・取締役会
３−４−４−１ 取締役会設置会社と非取締役会設置会社
○取締役会を設置しなければならない株式会社はどのような会社であるか、また、それらの会社に取締役会の設置が強制されている理由を説明することができる。
○取締役会設置会社と取締役会設置会社以外の会社（以下、「非取締役会設置会社」という。）とで、株式会社の機関構成および権限分配にどのような違いがあるかを説明することができる。
３−４−４−２ 取締役の選任・終任等
○取締役の任期・員数および資格に関する規律について理解している。
○取締役を選任・解任する機関について理解している。
○取締役を株主総会で選任・解任する場合における定足数および決議要件について理解している。
○取締役の終任事由について理解している。
○取締役の解任の訴えの提訴権者、被告および要件について理解している。
○法令・定款に定める取締役の員数に欠員が生じた場合における会社法上の取扱いについて説明することができる。
○補欠取締役を選任することができることを理解している。
○取締役の職務執行を停止し、その職務代行者の選任を裁判所に申し立てることができるのはどのような場合か理解している。
○取締役の職務代行者の権限について説明することができる。
３−４−４−３ 取締役の種類等
○会社法２条１５号にいう「業務執行取締役」および会社法３６３条１項２号にいう「業務を執行する取締役」（いわゆる業務担当取締役）とは何かを理解し、両者の違いを説明することができる。
○社外取締役とは何かを理解し、社外取締役を置いた場合に生じ得る会社法上の効果について説明することができる。
３−４−４−４ 非取締役会設置会社における取締役
○非取締役会設置会社における取締役の権限について説明することができる。
３−４−４−５ 取締役会設置会社における取締役会・取締役
○取締役会設置会社における取締役の員数に係る規律について理解している。
○取締役会設置会社における取締役会および個々の取締役の権限について説明することができる。
○取締役会における招集手続および決議方法について、株主総会の場合と対比しつつ、説明することができる。
○特別利害関係を有する取締役は議決に参加することができない理由、および、議決に参加した場合の当該決議の効力について説明することができる。
○取締役会がその決定を代表取締役や他の機関に委ねることができない事項は何かを具体的に説明するとともに、その理由を説明することができる。
○「重要な財産の処分及び譲受け」、「多額の借財」および「重要な業務執行」の判例上の判断基準を理解している。
○大会社の取締役会は、「会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」について決定すべきものとされている理由を理解し、その具体的な決議事項を説明することができる。
○取締役に対し職務の執行の状況について取締役会に報告すべき義務が課されている理由を説明することができる。
○取締役会の決議または取締役会への報告を省略することができるのは、それぞれどのような場合かを理解している。
○取締役会決議が無効であるのはどのような場合か、具体例を挙げて説明するとともに、どのようにして当該決議が効力を有しないことを主張できるかを説明することができる。
３−４−４−６ 特別取締役
○特別取締役制度とは何か、および当該制度を利用することができる株式会社の範囲を理解している。
３−４−４−７ 代表取締役
○株式会社を代表する者はだれかについて説明することができる。
○取締役会設置会社における代表取締役の選定および解職の方法について理解している。
○代表取締役の権限について説明することができる。
○取締役会の専決事項につき取締役会の決議なく代表取締役が行なった行為の効力について説明し、また、代表取締役の権限の濫用とはどのような場合か、およびそのような行為の効力に関する判例の状況を説明することができる。
○代表取締役の代表権に加えた制限を第三者に対抗することができないのは、どのような場合か説明することができる。
○取締役と会社の間で訴訟が提起される場合、だれが会社を代表するかを理解している。
３−４−４−８ 表見代表取締役
○表見代表取締役制度の趣旨およびそれが適用されるための要件について説明することができる。
３−４−５ 取締役と会社の関係
３−４−５−１ 取締役の義務（善管注意義務・忠実義務）
○取締役の善管注意義務は条文上どのように根拠づけられるかを説明することができるとともに、それに関連して、委員会設置会社の執行役の善管注意義務についても条文上どのように根拠づけられるかを説明することができる。
○取締役の善管注意義務と忠実義務との関係について、判例・学説を踏まえて説明することができる。
○取締役が他の取締役の善管注意義務・忠実義務に違反する行為を監視する義務を負うことの根拠および範囲について、判例・学説を踏まえて説明することができる。
○取締役の善管注意義務といわゆるリスク管理体制（内部統制システム）の整備に関する義務との関係について説明することができる。
○委員会設置会社の執行役が、取締役と同様に、忠実義務を負う旨、ならびに委員会設置会社との競業取引および利益相反取引について一般の取締役会設置会社の取締役と同じ規制を受ける旨の規定（会社法４１９条２項）が設けられている理由を説明することができる。
３−４−５−２ 利益相反取引
○利益相反取引について、その弊害（規制の必要性）ならびに取締役会設置会社および非取締役会設置会社それぞれの場合における規制の概要を、条文を挙げて説明することができる。
○利益相反取引の規制の対象となる直接取引とはどういうものか、具体例を挙げて説明することができるとともに、会社法３５６条1項2号にいう「自己又は第三者のために」の意味を説明することができる。
○取締役と会社（取締役会設置会社）との取引につき株主全員の同意がある場合に取締役会の承認を不要と考えてよいかどうかについて、判例・学説を踏まえて説明することができる。
○利益相反取引の規制の対象となる間接取引に該当する場合の具体的な例を挙げることができる。
○利益相反取引の規制において要求される承認がない利益相反取引の効力について、判例を踏まえて説明することができる。
３−４−５−３ 競業取引
○競業取引について、規制の必要性ならびに取締役会設置会社および非取締役会設置会社それぞれの場合における規制の概要を、条文を挙げて説明することができる。
○会社法３５６条1項１号にいう「自己又は第三者のために」および「株式会社の事業の部類に属する取引」の意味について説明することができる。
３−４−５−４ 報酬規制
○取締役の報酬等について、規制の概要を説明することができるとともに、取締役の報酬等の決定は会社の業務事項であるにもかかわらず、定款または株主総会決議で定めることが要求されているのは何故かを説明することができる。
○取締役のインセンティブ報酬として新株予約権を付与する場合、どのような手続が必要であるかについて、条文を挙げて説明することができる。
○退職慰労金に報酬規制が及ぶ理由、およびそれに関連して、株主総会において退職慰労金の支給を決定する際、具体的な金額を示すことなく、会社が定める支給基準にしたがって取締役会で決定する旨の決議がなされることがみられるが、このような決議の可否について、判例・学説を踏まえて説明することができる。
○具体的に定められた報酬額を、会社が取締役の同意なしに減額ないし無支給とすることができるかどうかについて、判例を踏まえて説明することができる。
３−４−５−５ 取締役の責任
３−４−５−５−１ 会社に対する任務懈怠責任
任務懈怠の推定 代表訴訟○取締役の会社に対する任務懈怠責任（会社法４２３条1項）を民法上の債務不履行の一般原則（民法４１５条）と比較しつつ説明することができる。
○利益相反取引によって会社に損害が生じたときは、一定の取締役または執行役は任務を怠ったと推定されることにつき、その理由を説明することができる。
○自己のために利益相反取引の直接取引をした取締役または執行役の責任は、責めに帰することができない事由によるものであっても免れることができず、責任の軽減（一部免除・責任限定契約）の制度の適用もないことについて理解している。
○取締役または執行役が必要な承認を得ることなく会社の事業の部類に属する取引を行った場合の会社に対する損害賠償責任について、当該取引によって取締役もしくは執行役または第三者が得た利益の額を会社に生じた損害の額と推定するとされている理由について説明することができる。
○業務執行上の判断の誤りの場合において、善管注意義務違反が尽くされたか否かの判断に当たってどのような配慮が必要かにつき、いわゆる経営判断の原則の考え方と判例の採用する判断基準の状況を説明することができる。
○取締役をはじめとする役員等の会社に対する損害賠償責任の免除には、総株主の同意が必要とされている理由を説明することができる。
○上記の役員等の責任軽減（一部免除・責任限定契約）の制度の趣旨、および責任軽減の類型とそれぞれの類型ごとに必要な手続の概要を説明することができる。
○株主代表訴訟とはどういうものか、会社法において株主代表訴訟を提起できる場合としてどのような場合が定められているかを具体的に挙げつつ、説明することができる。
○株主代表訴訟の対象は、会社法に規定された取締役の責任以外の取締役の会社に対する債務にも及ぶか否かについて、判例を踏まえて説明することができる。
○株主代表訴訟の提起手続の概要を説明することができる。
○株主代表訴訟の原告適格について説明することができるとともに、株主代表訴訟の提起後に株主たる地位を失ったときでも、原告適格を喪失しないとされている場合を、条文を挙げて説明することができる。
○株主代表訴訟の提起につき、被告が原告株主の悪意を疎明したとき、裁判所が原告株主に対し相当の担保を立てるべきことを命じること（担保提供命令）ができる制度の趣旨について理解しているとともに、担保提供命令を得るため被告が疎明しなければならない「悪意」とはどういうものかについて、裁判例を踏まえて説明することができる。
○株主代表訴訟における訴訟参加と補助参加について説明することができる。
○株主代表訴訟の判決の効果および再審の訴えについて説明することができる。
○株主代表訴訟における和解について、その手続の概要および和解の効果を説明することができる。
３−４−５−５−２ 第三者に対する責任
○取締役をはじめとする役員等が、職務を行うについて悪意または重過失があったとき、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負うとの規定の趣旨および適用範囲につき、とりわけこの責任の法的性質はどうか、悪意・重過失は何に向けたものか（第三者の権利侵害について必要か、任務懈怠について存すれば足りるか）および責任の範囲（直接損害に限定されるか、間接損害に限定されるか、両損害を包含するか）の諸点に着眼して、判例を踏まえて説明することができる。
○上記の役員等の第三者に対する責任の範囲に関して問題になる直接損害、間接損害の意味を説明することができる。
○上記の役員等が責任を負う「第三者」には株主も含まれるかにつき、会社に対する任務懈怠責任の追及という方途（間接損害の場合）との関係にも留意しつつ、説明することができる。
○いわゆる名目的取締役に対して監視義務違反を理由として会社法４２９条１項所定の第三者に対する責任を問えるかにつき、それを否定した下級審判例がみられることにも留意しつつ、説明することができる。
○登記簿上は取締役になっていても、取締役として株主総会で選任されていない者や取締役を辞任しながら退任登記未了の者（登記簿上の取締役）についても会社法４２９条１項所定の第三者に対する責任を問えるかにつき、判例を踏まえて説明することができる。
○特定の書類や登記・公告等に虚偽の記載・記録があった場合の上記の役員等の第三者に対する責任について定める規定（会社法４２９条２項）の趣旨について説明することができる。
３−４−５−６ 株主による違法行為の差止権
○株主に違法行為の差止請求権が認められている理由を説明することができる。
○監査役設置会社または委員会設置会社であるか、それら以外の会社であるかによって、株主が違法行為の差止請求権を行使できる要件はどのように異なるか、およびその理由を説明することができる。
３−４−６ 会計参与
○会計参与制度の趣旨及び概要を、監査役・会計監査人の制度と比較して、説明することができる。
○会計参与の員数・任期・資格を理解している。
３−４−７ 監査役
３−４−７−１ 監査役と会社の関係
○監査役がいわゆる「独任機関」とされている理由を説明することができる。
○監査役が会社を代表する場合について、その具体例を挙げることができる。
○監査役の報酬等の決定方法について説明することができる。
３−４−７−２ 選任・終任等
○監査役の員数・任期・資格を理解している。
○監査役は取締役などと兼任することが禁止されている理由を説明することができる。
○監査役を株主総会で選任もしくは解任する場合、または監査役が辞任する場合の会社法上の手続について、取締役の場合と比較して、説明することができる。
３−４−７−３ 監査役設置会社
○監査役の監査の範囲を説明することができる。
○監査役設置会社の定義（会社法2条9号）を理解し、これと異なる意味で用いられる「監査役設置会社」の規定を挙げることができる。
○監査役の職務・権限について説明することができる。
３−４−７−４ 監査役会設置会社
○監査役会が設けられた場合に、会社法上、監査役会の権限と監査役の権限との間でどのような調整がなされているかを説明することができる。
○監査役会においては、その員数が3名以上で、社外監査役が半数以上でなければならず、かつ、常勤監査役が選定されなければならないことを理解している。
○社外監査役の定義（会社法第２条第１６号）を理解している。
３−４−７−５ 責任
○監査役が会社または第三者に対して責任を負う場合についての会社法の規律を理解している。
３−４−８ 会計監査人
３−４−８−１ 総説
○会計監査人設置会社は委員会設置会社か監査役設置会社（または監査役会設置会社）かのいずれかでなければならない理由を説明することができる。
○会計監査人の報酬決定手続を説明することができる。
３−４−８−２ 選任・終任
○会計監査人の資格および任期を理解している。
○会計監査人の選任および解任の手続ならびに会計監査人の選任および解任に係る監査役・監査役会または監査委員会の権限・義務について説明することができる
３−４−８−３ 権限・義務・責任
○会計監査人の職務・権限を理解している。
○会計監査人の会社または第三者に対する責任とその責任追及方法を理解している。
３−４−９ 委員会設置会社
３−４−９−１ 委員会設置会社の意義
○委員会設置会社における機関構成および権限分配について、監査役会設置会社と比較した場合の特徴を説明することができる（いわゆるモニタリング・モデルとは何かを説明することができる）。
３−４−９−２ 委員会設置会社における取締役・取締役会
○委員会設置会社における取締役の選任機関および解任機関ならびに選任・解任の方法について理解している。
○委員会設置会社における取締役の選任に対し、指名委員会がどのように関わるかを説明することができる。
○委員会設置会社の取締役の任期について理解している。
○委員会設置会社の取締役会の権限（会社法４０２条２項・４０３条１項・４１６条など）について説明することができる。
○委員会設置会社の取締役会の専決事項を委員会設置会社以外の取締役会設置会社におけるそれと比較し、両者の異同を理解し、また、委員会設置会社の取締役会の専決事項がより制限されている理由について説明することができる。
○委員会設置会社の取締役は、原則として当該会社の業務を執行することを禁止されている理由を説明することができる。
○委員会設置会社の取締役は支配人その他の使用人との兼任を禁止されている一方、委員会設置会社の取締役は執行役との兼任が禁止されていない理由を説明することができる。
○すべての委員会設置会社の取締役会は、「会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」について決定すべきものとされている理由を理解し、その具体的な決議事項を説明することができる。
３−４−９−３ 三委員会の権限・構成・運営
３−４−９−３−１ 各委員会の構成・運営
○各委員会の委員の員数に関する規律、およびその過半数が社外取締役でなければならないとされている理由について説明することができる。
○各委員会の委員が取締役の中から選定されること、およびその選定機関および解職する機関がどこかを理解している。
○各委員会の決定を取締役会の決議により修正または破棄することの可否について理解している。
○各委員会の招集権者、招集手続および決議の方法について説明することができる。
３−４−９−３−２ 指名委員会
○指名委員会の権限について説明することができる。
３−４−９−３−３ 監査委員会
○監査委員会の権限について説明することができる。
○監査委員会と監査役会との異同について説明することができる。
○監査委員会の委員の要件およびその理由について説明することができる。
○各監査委員に対し執行役・取締役に対する差止請求権が付与されている趣旨について説明することができる。
３−４−９−３−４ 報酬委員会
○報酬委員会の権限について説明することができる。
○報酬委員会が、執行役等（会社法４０４条２項１号）の個人別の報酬等の内容を決定する場合の決定の方法および決定すべき事項について説明することができる。
○報酬委員会が使用人兼務執行役の使用人としての報酬等の部分についても決定することが可能かどうか、およびその理由について説明することができる。
３−４−９−４ 執行役
○執行役の員数、資格および欠格事由に関する会社法上の規律について理解している。
○執行役を選任する機関および解任する機関について説明することができる。
○執行役の権限について説明することができる。
○委員会設置会社において、だれが会社を代表するかを説明することができる。
○委員会設置会社の執行役に対し会社が訴えを提起する場合において、又は執行役が委員会設置会社に対し訴えを提起する場合において、委員会設置会社を代表するのはだれかを理解している。
○代表執行役については３−４−４−７、表見代表執行役については３−４−４−８の項目参照。
３−５ 計算
３−５−１ 総説
○「株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする。」（会社法４３１条）と規定されることの意味を説明することができる。
○「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」（会社法４３１条）とは何かを理解し、その具体的内容について例を挙げることができる。
３−５−２ 会計帳簿とその作成
○「会計帳簿」とは何かを理解し、その帳簿が何であるかについて具体的な例を挙げることができる。
○「会計帳簿」の閲覧・謄写に係る会社法の規律を理解している。
○会社計算規則において、「会計帳簿」に関して資産の評価・負債の評価・純資産などについて規定されていることを理解している。
３−５−３ 計算書類等の概念
○「計算書類」（会社法４３５条２項・会社計算規則２条３項２号）とは何かを理解している。
○「臨時計算書類」および「連結計算書類」とは何かを理解し、それらが作成される理由を説明することができる。
３−５−４ 各事業年度に係る計算書類の確定手続（決算手続）
○各事業年度に係る計算書類の確定手続（決算手続）の概要を、株式会社の機関構造の違いに応じて、理解している。
○事業報告等及び計算書類等に係る監査報告（監査役監査報告・監査役会監査報告・監査委員会監査報告・会計監査報告）の作成方法を理解し、その監査報告の内容の概要を説明することができる（会社法施行規則１２９条以下、会社計算規則１２１条以下）。
○各事業年度に係る計算書類を確定する機関ならびに「承認特則規定」とは何かおよびその特則規定の適用要件について理解している。
○計算書類に係る公告が求められる理由および計算書類の公告制度の概要を説明することができる。
３−５−５ 資本金および準備金
○「資本金」および「準備金」（法定準備金）とはどのようなものか、理解している。
○資本金または準備金が増加する場合と減少する場合、および資本金または準備金を株主総会決議によって減少する場合に必要とされる会社法上の手続について、理解している（なお、必要とされる債権者異議手続については、３−７−２−２−４の項目参照）。
○「欠損の額」（会社法４４９条１項２号、会社計算規則１５１条）とは何かを理解している。
○資本金減少の無効を主張するためには資本金減少無効の訴えという方法によらなければならないことを理解し、資本金減少無効の訴えの無効原因・原告適格・被告・提訴期間・無効判決の効力について、説明することができる。
３−５−６ 剰余金の配当および剰余金の処分
○剰余金の配当をすることができる時期および剰余金の配当をする場合の手続について理解している。
○会社法上の手続に違反した剰余金の配当の効力について説明することができる。
○「中間配当」とは何かを理解している。
○「分配特則規定」（会社法４５９条）とは何か、そのような定款規定を置くことができる会社がどのような会社か、およびその定款規定が効力を有するための要件はどのようなものか（会社計算規則１５５条）、理解している。
○いわゆる「現物配当」を実行するための手続ならびに「金銭分配請求権」および「基準株式数」に係る制度の内容について理解している。
○「分配可能額」とは何か、およびその金額が「その他資本剰余金」と「その他利益剰余金」の合計額を基礎とすることを理解している（会社法４４６条、４６１条２項、会社計算規則１４９条）。
○分配可能額を超過した剰余金の配当の効力と役員等の責任について説明することができる。
○「剰余金についてのその他の処分」とは何かを理解している（会社法４５２条）。
３−６ 会社の設立・定款変更
３−６−１ 会社の設立
３−６−１−１総説
○発起設立および募集設立とは何かを理解している。
○会社の成立時期について理解している。
３−６−１−２ 発起設立
○発起人とはどういうものか、説明することができる。
○変態設立事項がない場合の発起設立手続の概要について説明することができ る。
○定款の絶対的記載事項について理解し、相対的記載事項、任意的記載事項について、具体例を挙げることができる。
○定款について公証人の認証が必要とされる理由について理解している。
○設立時に発行すべき株式数および会社の成立に必要な引受株式数について理解している。
３−６−１−３ 募集設立
○創立総会とはどういうものか、およびその権限について説明することができる。
３−６−１−４ 出資の履行
○株式会社の場合の出資の対象となりうるものについて、合名会社・合資会社の場合とどのような差異があるか、それはどのような理由によるものか説明することができる。
○出資の履行の方法、履行がない場合の扱いについて説明することができる。
○預合い、見せ金とはどういうものか、およびその効力について、判例・学説を踏まえて説明することができる。
○株式の引受けに係る意思表示についての無効・取消しの制限について理解している。
３−６−１−５ 変態設立事項
○変態設立事項とは何か、および同事項がある場合の設立手続の概要、並びにそのような規制が課される理由について説明することができる。
○現物出資、財産引受けに際して検査役の調査が不要とされる場合、およびそのような扱いが認められる理由について理解している。
３−６−１−６ 設立中の会社・発起人組合
○設立中の会社および発起人組合について理解している。
３−６−１−７ 設立の無効
○会社設立無効の訴えの制度、無効原因、無効判決の効力について説明することができる。
３−６−１−８ 事後設立
○事後設立とはどういうものか、説明することができる。
３−６−２ 定款変更
○定款変更の方法、および発行可能株式総数を増加させる定款変更の場合の規制について、理解している。
３−７ 事業譲渡・組織再編等
３−７−１ 組織再編総則
○他の会社から事業を取得する方法として、どのようなものがあるか、また、それぞれの手法のメリット・デメリットについて説明することができる。
３−７−２ 合併
３−７−２−１ 合併の意義
○吸収合併および新設合併とはどのようなものか、説明することができる。
○合併においては、事業譲渡と異なり、消滅会社の権利義務の全部が当然に存続会社または設立会社に承継されることを、理解している。
３−７−２−２ 吸収合併
３−７−２−２−１ 吸収合併契約
○吸収合併契約に定めなければならない事項（会社法７４９条１項）の概要を説明することができる。
○吸収合併において、消滅会社の株主に交付される対価（吸収合併における合併対価）とすることが認められる財産の種類について、新設合併における合併対価と対比しつつ、説明することができる。
○いわゆる交付金合併および三角合併とはどのようなものかを理解し、三角合併を行うための子会社による親会社株式の取得禁止の例外について、説明することができる。
３−７−２−２−２ 吸収合併契約の承認決議
○吸収合併契約の承認決議の決議要件を理解し、そのような要件が求められる理由について、説明することができる。
３−７−２−２−３ 反対株主の株式買取請求権
○反対株主に株式買取請求権が認められる理由、ならびに株主が株式買取請求権を行使するための要件（会社法７８５条２項の反対株主となるための要件）および買取りの手続について、説明することができる。
○株式買取請求権が行使された場合、株式会社は、反対株主の株式を「公正な価格」で買い取らなければならないが、ここでいう「公正な価格」の意味について、会社法制定前の「（吸収合併契約の）承認ノ決議ナカリセバ其ノ有スベカリシ公正ナル価格」と対比しつつ、説明することができる。
３−７−２−２−４ 債権者異議手続
○合併において、債権者異議手続が定められている理由について説明することができる。
○債権者に異議を述べる機会を付与するため、合併当事会社はどのような事項を公告し知れている債権者に各別に催告しなければならないかを理解し、合併当事会社が、知れている債権者への各別の催告を要しないのはどのような場合かについて、説明することができる。
○債権者が異議を述べることのできる期間内に吸収合併に異議を述べたとき、会社はどのような措置をとらなければならないか、およびそのような措置をとらなくてもよいのはどのような場合か、について理解し、債権者が異議を述べることができる期間内に異議を述べなかった場合の効果について、説明することができる。
３−７−２−２−５ 合併の効力発生・開示・登記
○吸収合併の効力はいつ発生するかについて、新設合併の場合と対比しつつ、説明することができる。
○消滅会社の吸収合併による解散の登記の効力（会社法７５０条２項）およびそのような処理がされる理由について説明することができる。
○吸収合併において、事前開示（会社法７８２条、７９４条）および事後開示（会社法８０１条３項４項）が求められる理由、ならびに存続会社において 開示期間の終期が効力発生日から６箇月経過した日とされている理由について、説明することができる。
３−７−２−２−６ 簡易合併・略式合併
○簡易合併とは何かを理解し、存続会社において同制度が認められている理由について、説明することができる。
○特別支配会社（会社法４６８条１項）および略式合併とは何かを理解し、消滅会社または存続会社において略式合併制度が認められている理由について説明することができる。
３−７−２−３ 合併の無効
○合併の無効を主張するためには合併無効の訴えという方法によらなければならないことを理解し、合併無効の訴えの、原告適格・被告・提訴期間、および無効判決の効力について、説明することができる。
○どのような事由が合併の無効原因となるかについて説明することができるとともに、合併比率の不公正が合併無効原因となるか否かについて、判例・学説を踏まえて、説明することができる。
３−３−３ 会社分割
３−７−３−１ 会社分割の意義
○会社分割とは何かを説明することができ、吸収分割と新設分割の異同について理解している。
○いわゆる物的（分社型）分割と人的（分割型）分割の異同について説明するとともに、会社法の下で、人的分割と同等の効果をどのような方法で実現することができるか、理解している（会社法７５８条８項・７６０条７項）。
３−７−３−２ 吸収分割
３−７−３−２−１ 吸収分割契約
○吸収分割契約に定めなければならない事項（会社法７５８条１項）の概要を説明することができる。
○対価柔軟化、交付金分割および三角分割については、３−７−２−２−１の項目参照。
３−７−３−２−２ 吸収分割契約の承認決議
○３−７−２−２−２の項目参照
３−７−３−２−３ 反対株主の株式買取請求権
○３−７−２−２−３の項目参照。
３−７−３−２−４ 債権者異議手続
○分割会社の債権者の中で、債権者異議手続が必要な債権者とは、どのような債権者かを理解している。
○各別の催告を受けるべき不法行為債権者に対する催告がなされなかった場合の法的効果について説明することができる。
○その他３−７−２−２−４の項目参照。
３−７−３−２−５ 会社分割の効力発生・開示・登記
○吸収分割の効力はいつ発生するかについて、新設分割の場合と対比しつつ、説明することができる。
○その他３−７−２−２−５の項目参照。
３−７−３−２−６ 簡易分割・略式分割
○３−７−２−２−６の項目参照。
３−７−３−３ 会社分割の無効
○どのような事由が会社分割の無効原因となるかについて、具体例を挙げて説明することができる。
○その他３−７−２−３の項目参照。
３−７−４ 株式交換・株式移転
３−７−４−１ 株式交換・株式移転の意義
○株式交換および株式移転とはどのようなものか、説明することができる。
３−７−４−２ 株式交換
３−７−４−２−１ 株式交換契約
○株式交換契約に定めなければならない事項（会社法７６８条１項）の概要について説明することができる。
○対価柔軟化、交付金株式交換および三角株式交換については、３−７−２−２−１の項目参照。
３−７−４−２−２ 株式交換契約の承認決議
○３−７−２−２−２の項目参照。
３−７−４−２−３ 反対株主の株式買取請求権
○３−７−２−２−３の項目参照。
３−７−４−２−４ 債権者異議手続
○株式交換・株式移転により完全子会社となる会社の債権者の中で、債権者異議手続が必要な債権者とは、どのような債権者かを理解している。
○株式交換により完全親会社となる会社において、債権者異議手続が必要な場合は、どのような場合かについて理解している。
○その他３−７−２−２−４の項目参照。
３−７−４−２−５ 株式交換の効力発生・開示・登記
○株式交換の効力はいつ発生するかについて、株式移転の場合と対比しつつ、説明することができる。
○その他３−７−２−２−５の項目参照。
３−７−４−２−６ 簡易株式交換・略式株式交換
○３−７−２−２−６の項目参照。
３−７−４−３ 株式交換・株式移転の無効
○どのような事由が株式交換・株式移転の無効原因となるかについて、具体例を挙げて説明することができる。
○その他３−７−２−３の項目参照。
３−７−５ 事業譲渡等
○会社法第二編第七章所定の事業譲渡とはどういうものかについて、２−４を参照。
○事業の重要な一部の譲渡に当たらない場合とはどういうものかを理解し、株式会社が事業の全部または重要な一部を譲渡する場合、株主総会の特別決議を要し、「反対株主」に株式買取請求権が認められている理由を説明することができる。
○略式事業譲渡とは何かを理解している。
○必要な株主総会決議を経ない事業譲渡の効力について、判例・学説を踏まえて説明することができる。
○他の会社の事業全部の譲受けの場合に、原則として株主総会の特別決議を要し、反対株主に株式買取請求権が認められている理由を説明することができる。
○簡易の事業全部の譲受けについて理解している。
３−７−６ 組織変更
○組織変更とは何かについて、持分会社（合名会社・合資会社・合同会社）間の会社の種類の変更がそれに含まれないことにも留意しつつ、説明することができる。
○組織変更が利害関係者（社員・株主、債権者のほか、株式会社から持分会社への組織変更の場合には、さらに新株予約権者等が考えられる）の利害にどのような影響を及ぼすかを理解し、組織変更に必要な手続の概要を、株式会社から持分会社への組織変更の場合と持分会社から株式会社への組織変更の場合とに分けて、説明することができるとともに、組織変更が違法に行われた場合に、その効力を争う方法について説明することができる。
３−８ 解散・清算
○解散および清算とは何か、ならびに解散と清算の関係を理解している。
○株式会社の解散事由を理解している。
○解散判決が認められる要件（会社法４７１条６号、８３３条）を理解している。
○「休眠会社」とは何かを理解し、そのみなし解散の制度（会社法４７２条）の趣旨について説明することができる。
○解散株式会社がすることができない行為を理解している（会社法４７４条）。
○株式会社を清算しなければならない場合を理解している。
○清算株式会社が有する能力について説明することができる。
○清算株式会社の機関について理解している。
○清算株式会社における債務の弁済および残余財産の分配に関する会社法の規律の概要を説明することができる。
○清算株式会社の清算事務が終了したときの手続について理解している。
○特別清算手続とは何かについて、他の倒産処理手続と比較して、説明することができる。
第４章 持分会社４−１ 総論
○株式会社と合名会社の共通点・相違点につき、たとえば機関の分化の有無、社員の責任、持分の譲渡性、定款の記載事項などを念頭に置いて、説明することができる。
○法人が持分会社の社員となることの可否を説明することができる。
４−２ 設立
○持分会社の設立において、会社財産の確保のためにどのような法規制がなされているか（いないか）、合名会社・合資会社・合同会社のそれぞれにおいて、会社の成立時に社員となる者が行うことのできる出資の内容について説明することができる。
○持分会社の設立について、設立無効の訴え・設立取消の訴えが設けられていることを理解している。
４−３ 社員の責任
○無限責任社員が、会社債権者に対して負う責任の内容について、具体的な例を挙げて説明することができる。
○合資会社の有限責任社員と、合同会社の有限責任社員とで、会社債権者に対して負う責任につきどのような共通点・相違点があるかを、具体的な例を挙げて説明することができる。
４−４ 会社の運営
○業務を執行する社員（業務執行社員）、および会社を代表する社員（代表社員）について説明することができる。
○業務を執行しない社員にも、業務・財産状況調査権が認められていること（会社法５
９２条）の理由を説明することができる。
○業務執行社員の競業・利益相反取引について、どのような手続が必要かを説明することができる。
４−５ 社員の変動
○持分の譲渡の手続について、�仝饗�的ルール、�⇒�限責任社員でありかつ業務執行社員でないものが持分を譲渡しようとする場合の例外的ルール、�Ｄ蟯昭�治の可否、を説明することができる。
○持分会社の社員の退社につき、具体例を挙げて、任意退社（会社法６０６条）と法定退社（会社法６０７条）を説明することができる。特に、除名とはどういうものか、およびその手続の概要を説明することができる。
○社員の退社に伴い行われる持分の払戻しについて説明することができる。
４−６ 計算
○持分会社における損益の分配および利益配当について説明することができる。
○持分会社における出資の払戻しについて、持分の払戻しとの違いに留意して説明することができる。
４−７ 定款変更
○持分会社の定款変更には原則として総社員の同意が必要であり、その要件は定款で異なる定めができることについて、そのようなルール（会社法６３７条）が置かれていることの理由を説明することができる。
第２編 商法総則 第１章 総論○商法の体系における、商人概念と商行為概念の関係について、理解している。
第２章 商人○固有の商人と擬制商人とはどういうものか、理解している。
○会社が事業として行う行為および事業のために行う行為が商行為であることを、理解している。
○自然人の商人資格の取得時期に関して、判例・学説をふまえて説明することができる○未成年者や成年被後見人が、自ら営業を行うことにより有効に権利を取得し義務を負担することができるか否か（営業能力を有するか否か）について、説明することができる。
第３章 商業登記○商業登記の意義について説明することができる。
○商業登記の効力（商法９条）について、第１編２−２−５参照
第４章 商号○第１編２−２−１参照
第５章 商業帳簿○商業帳簿とはどういうものか、および商法総則において商業帳簿に関する規定が設けられている理由、並びに規定の概要を説明することができる。
第６章 商業使用人○第１編２−２−２参照
第７章 代理商○第１編２−２−３参照
第８章 営業譲渡○第１編２−２−４参照
第３編 商行為 第１章 総則１−１ 商行為
○商行為の定め方に関する、客観主義、主観主義および折衷主義とはどのようなものであるか、また、わが国の商法がどの立場に立脚するものであるかについて、理解している。
○絶対的商行為、営業的商行為および附属的商行為とはどのようなものか、それぞれ具体例を挙げて説明することができる。
○基本的商行為および補助的商行為とはどのようなものか、説明することができる。
○一方的商行為および双方的商行為とはどのようなものか、説明することができる。
○営業的商行為の要件である「営業としてする」とはどのような行為か、説明することができる。
１−２ 約款
○約款の法的拘束力の根拠に関する判例・学説の状況を理解している。
１−３ 商行為の代理・委任
○商行為の代理について、民法上の代理と対比しつつ、その特色を説明することができる。
○商行為の代理であることを知らずに代理人と取引した者が代理人に対して履行の請求をすることができるための主観的要件は何か、また、代理人に対し履行を請求した場合における相手方と本人との間の法律関係の帰趨について、判例・学説の状況を理解している。
１−４ 商人の行為・商行為の営利性
○商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときに相当の報酬を請求することができる理由および「他人のために行為をした」に該当するとされる場合に関する判例・学説について説明することができる。
○商事法定利率が民事法定利率に比して１％高いことを理解し、商事法定利率が適用される「商行為によって生じた債務」とはどのような債務か、たとえば商行為たる契約の債務不履行に基づく損害賠償請求権などの例を挙げつつ、説明することができる。
１−５ 商行為法における有価証券の特則（商事証券）
○金銭その他の物または有価証券の給付を目的とする有価証券の譲渡の方式や善意取得等に係る商法の規律について、説明することができる。
○金銭その他の物または有価証券の給付を目的とする有価証券の所持人が、当該有価証券を喪失した場合において、公示催告の申立てをしたときは、除権決定が下される前であっても、当該債務者に債務の目的物を供託させ、または相当の担保を供して債務を履行させることができることについて、理解している。
１−６ 商事債権に関する固有の規律
○数人がその１人または全員のために商行為たる行為により債務を負担したときは、特約で排除しない限り、当該債務は連帯債務となるものとされる理由について、具体例を挙げて説明することができる。
○多数債務者間の連帯債務に係る規律は、債務者・債権者のいずれにとって商行為である場合に適用されるかに関する判例・学説の状況を理解している。
○商行為によって生じた債権を担保するために設定した質権については、流質契約が許容されている趣旨について、説明することができる。
○商人間の留置権の成立要件および法的効力について、その他の商事留置権（商法３１条・５５７条・５６２条・５８９条・７５３条２項）を含めて、民法上の留置権と対比しつつ、説明することができる。
○商事消滅時効が債権の消滅時効に関する民法の一般的規律に比較して短期とされていることを理解している。
１−７ 商人間の契約の申込み等
○商人である対話者間において契約の申し込みを受けた者が直ちに承諾をしなかった場合の申込みの効力（商法５０７条）について、理解している。
○商人である隔地者間において、承諾の期間を定めずに契約の申込みを受けた者が相当の期間内に承諾の通知を発しなかった場合の申込みの効力（商法５０８条）について、民法の規律が適用される場合と対比しつつ、説明することができる。
○商人が、平常取引をなす者から、その営業の部類に属する契約の申込みを受けたときの承諾に関する商法の規律の内容およびその理由を（商法５０９条）、民法の原則と対比しつつ、説明することができる。
第２章 商事売買
○定期行為に係る民法の原則（民法５４２条）と対比しつつ、定期売買に関する商法の特則（商法５２５条）の内容およびその理由について、説明することができる。
○商人間の売買における売主の自助売却権および供託権について、民法の規律と対比しつつ、その要件および効果を説明することができる。
○商人間の売買における買主の検査義務に係る商法の規律の内容およびその理由について、説明することができる。
○商法５２６条の趣旨および同条の定める通知義務に違反した場合の法的効果について、説明することができる。
第３章 交互計算○交互計算とはどのようなものか、その概要を説明することができる。
第４章 匿名組合○匿名組合とはどのようなものか、その概要を説明することができる。
○匿名組合員が出資した財産の帰属に係る法律関係を説明することができる。
第５章 仲立営業○仲立人とは他人間の商行為の媒介を行うことを業としているものであることを理解しているとともに、「媒介」とは何かを例を挙げて説明することができる。
○民事仲立人の意義を、結婚仲介業者を例として説明することができるとともに、民事仲立人も仲立ちに関する行為を業とすることにより商人となることを理解している。
○仲立人と問屋・代理商（締約代理商・媒介代理商）の異同を説明することができる。
○仲立人が負う義務は当事者の双方に対するものであることについて理解している。
○仲立人が有する報酬請求権について説明することができる。
第６章 問屋営業○問屋（といや）の行う取次ぎについて、代理との異同を説明することができる。
○問屋とは何かを証券会社を例として、準問屋とは何かを広告業者を例として、説明することができる。
○簡単な事例を用いて、問屋が相手方と契約を締結することにより、問屋が相手方に対してどのような権利・義務を有することになるのか（商法５５２条１項）を説明することができる。
第７章 運送営業７−１ 運送人の意義
○運送人とはどういうものか、説明することができる。
７−２ 物品運送
○物品運送とはどういうものか、説明することができる。
○商法上運送人が負う債務不履行責任について置かれている特則（商法５７７条〜５８
１条、５８８条、５８９条、５６６条）はどのようなものであるか、そのような特則が置かれている理由について説明することができる。
○運送人が荷送人に対して債務不履行責任を負う場合に、同時に不法行為の要件も満たされている場合の両請求権の関係に関する判例・学説を踏まえて説明することができる。
○荷送人・貨物引換証の所持人が有する運送品の処分権について理解している。
○荷受人の地位および荷受人が運送の進展とともにどのような権利・義務を取得・負担するかについて理解している。
７−３ 貨物引換証
○貨物引換証とは何か、船荷証券との異同、貨物引換証の所持人の地位がどのようなものであるか、および貨物引換証がどのような性質を有する有価証券であるかについて説明することができる。
○貨物引換証の文言証券性と有（要）因証券性の関係についての判例・学説を踏まえて説明することができる。
７−４ 旅客運送
○旅客運送人が旅客に対して負う責任について理解している。
第８章 倉庫営業○倉庫営業者の権利・義務について説明することができる。
○寄託者が倉庫営業者に対して有する権利、負う義務について理解している。
○いわゆる倉庫証券とはどのようなものか、説明することができる。
第９章 場屋営業○場屋（じょうおく）営業とはどういうものか、説明することができる。
○場屋営業者が負う債務不履行責任について商法上置かれている特則はどのようなものであるか理解し、そのような特則が置かれている理由について説明することができる。
第４編 手形法・小切手法 第１章 総論１−１ 手形・小切手の意義・機能
○約束手形・為替手形・小切手の法的構造について、比較しつつ説明することができる。
○当座勘定取引契約および手形交換制度の仕組みの概要を説明することができる。
○手形貸付および手形割引とはどういうものか、理解している。
○商業手形および融通手形とはどういうものか、理解している。
○有価証券とは何かを説明することができるとともに、手形・小切手の有価証券としての特色・種類について、株券との相違点を意識しつつ、説明することができる。
１−２ 手形・小切手と原因関係
○手形・小切手の原因関係（以下、単に原因関係という）とはどういうものか、具体例を挙げて説明することができる。
○手形・小切手関係と原因関係との関係について説明することができる。
第２章 約束手形２−１ 振出と約束手形要件
○約束手形の振出とはどういうものか、説明することができる。
○約束手形要件について理解し、手形要件以外の記載事項、すなわち有益的記載事項、無益的記載事項および有害的記載事項について、それぞれ具体例を挙げて、それらの法的効果を説明することができる。
○約束手形に表示できる満期の種類にはどのようなものがあるか、理解している。
○白地手形とはどういうものであるかを、手形要件を欠くため絶対的に無効な手形と区別して説明することができるとともに、白地補充権について説明することができる。
２−２手形行為
○手形行為とは何か、どのような種類があるか（前出の振出以外のもの）、およびその性質（要式性、書面性、文言性、無因性および独立性）について説明することができる。
○手形行為の独立性（手形行為独立の原則）について、具体例を挙げて説明することができる。
○手形行為の成立に関し、手形行為にはすべて手形行為者の署名が必要とされていることを理解し、併せて法人の署名方式について説明することができる。
○手形行為が意思能力のない者による場合、手形行為が制限行為能力者による場合、ならびに手形行為をする者の意思表示に際して心裡留保、虚偽表示、錯誤、詐欺および強迫があった場合それぞれにつき、当該手形行為の効力を判例・学説を踏まえて説明することができる。
○代理方式による手形行為および機関（代行）方式による手形行為とはそれぞれどういうものか、理解している。
○手形行為における無権代理とは何か、ならびに無権代理人の責任および権利について理解している。
○手形行為における無権代理行為によって例外的に本人が責任を負う場合（手形上の責任および使用者責任等の損害賠償責任）、および保護される第三者の範囲について判例・学説を踏まえて説明することができる。
○手形の偽造とは何かを理解し、手形偽造者の手形上の責任および被偽造者の責任（手形上の責任および使用者責任等の損害賠償責任）について判例・学説を踏まえて説明することができる。
○手形の変造とは何かを理解し、変造の場合の手形行為者の責任（手形法６９条）について説明することができる。
２−３ 手形の流通
２−３−１ 手形の譲渡方法
○記名式裏書・白地式裏書とは何かを理解している。
○裏書禁止手形（指図禁止手形）の譲渡の方法および効力を理解している。
２−３−２ 裏書の効力
○裏書の権利移転的効力・資格授与的効力・担保的効力について、それらを規定する条文をあげて、説明することができる。
○無担保裏書（手形法１５条１項）および裏書禁止裏書（手形法１５条２項）とは何か、ならびにそれぞれの効力がどのようなものかを理解している。
○満期後裏書（手形法２０条）および期限後裏書（手形法２０条１項但書）とは何か、ならびにそれぞれの効力がどのようなものかを理解している。
○白地式裏書などがある場合（手形法１６条１項２文から４文参照）における「裏書の連続」について理解している。
○裏書の抹消とは何かおよび裏書が抹消された場合の効果について理解している。
○裏書が連続しない手形の権利行使方法を説明することができる。
２−３−３ 善意取得
○手形の善意取得とは何かを理解し、手形の善意取得が認められる要件について説明することができる。
２−３−４ 手形抗弁
○手形抗弁とは何かを理解し、物的抗弁および人的抗弁の例をあげることができる。
○手形法１７条において「所持人ノ前者ニ対スル人的関係ニ基ク抗弁ヲ以（もっ）テ所持人ニ対抗スルコトヲ得ズ」とされていることの理由および手形法１７条但書の「債務者ヲ害スルコトヲ知リテ取得」するとはどういうことかを説明することができる。
○融通手形であることを知って裏書譲渡を受けた手形の所持人と当該手形の振出人との関係について、判例を踏まえて、説明することができる。
○裏書に善意者が介在した場合における手形法１７条但書の適用関係について、判例を踏まえて、かつ、戻裏書の場合も含めて、説明することができる。
２−３−５ 取立委任裏書・隠れた取立委任裏書
○取立委任裏書（公然の取立委任裏書）の方式およびその効力を理解し、隠れた取立委任裏書とは何かおよびその効力を説明することができる。
２−４ 手形保証
○手形保証とは何かおよび手形保証（公然の手形保証）の方法を理解している
○隠れた手形保証とはどういうものかを理解している。
○手形保証人の手形上の責任について、その従属性と独立性に留意しつつ、説明するこ とができる。
２−５ 手形の支払・遡求
○適法な「支払のための呈示」の要件およびその効果を説明することができる。
○白地手形の白地を補充しないままなされた手形金支払請求の効力について、理解している。
○手形法４０条３項の趣旨を理解し、同項の「悪意又ハ重大ナル過失」とはどのような意味かを、手形法１６条２項の「悪意又ハ重大ナル過失」の意味と対比しつつ、説明することができる。
○手形訴訟制度（民事訴訟法３５０条以下）の特色を説明することができる。
○手形を喪失または滅失した場合における手形金請求の方法について、公示催告と除権決定の手続（非訟事件手続法１４１条以下、特に１５６条以下）の概要を説明することができる。
○遡求とは何かおよび遡求権を喪失する場合について理解している。
２−６ 手形の書替
○手形の書替とは何かを理解している。
２−７ 手形の時効
○約束手形の振出人、裏書人、手形保証人に対する手形上の請求権の消滅時効について、理解している。
２−８ 利得償還請求権
○利得償還請求権とは何かを理解している。
第３章 為替手形○為替手形要件（手形法１条）、および為替手形の基本手形上の当事者（振出人・受取人・支払人）について理解している。
○為替手形の振出により、振出人は、その手形の引受および支払を担保する義務（引受担保責任・支払担保責任）を負うことを理解している。
○為替手形の振出の実質関係（資金関係・原因関係）について説明することができる。
○引受とは何か、およびその法的性質、ならびに引受をすることができる者について、理解している。
第４章 小切手○小切手が信用の手段ではなく支払の手段（支払証券）であることから導かれる小切手法の諸規定（一覧払性、支払人の要件、支払呈示期間、引受禁止等）について、その概要を説明することができる。
○小切手要件（小切手法１条）、および基本小切手上の当事者（振出人・受取人・支払人〔銀行〕）について理解している。
○持参人払式小切手の譲渡方法について理解している。
○小切手の善意取得の成立要件について理解している。
○線引小切手制度とはどういうものか、理解している。
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