自分辞書によるアウトプット

第1章 行政過程の全体像

第1節 基本的概念

○法治主義・法の支配・法治国原理・法治国家などと呼ばれる概念の意義について、法律、裁判、民主主義、基本的人権、適正手続保障、信義則などに関連付けながら、具体例を挙げて説明することができる。
○いわゆる法律による行政の原理にいう法律の留保の意義について、具体例を挙げて説明することができる。
○いわゆる客観(的)訴訟の特色を、司法権及び法律上の争訟(裁判所法3条)の意義との関連も含め、理解している。

第2節 主要な行為形式

1−2−1 行政処分
○行政処分の、具体例を、条文を参照して説明することができる。
○行政処分のなかに、人の収容、物の留置などの実力行使が含まれることを理解している。
○行政処分の概念が、行政手続法、行政事件訴訟法、行政不服審査法においてどのように用いられているかを、条文に則して説明することができる。
○職権取消しと撤回それぞれの具体例を挙げて、両者を区別する意義を、説明することができる。
※いわゆる公定力、不可争力及び不可変更力の概念、並びに取消と無効の区別は、第4章(行政上の不服申立制度の運用能力)及び第5章(抗告訴訟の運用能力)において扱う。行政不服審査法及び行政事件訴訟法における処分概念についても両章を参照。行政手続法における処分概念については、本章第4節1−4−2を参照。
1−2−2 法規命令
○委任立法の概念と法規命令、の概念の異同を理解している。
○法規命令の、具体例を、条文を参照して説明することができる。
○政令、省令、規則及び告示の諸形式と、委任立法(法規命令等)の概念の関係を理解している。
○通達、審査基準・処分基準、解釈基準・裁量基準と、委任立法(法規命令等)の異同を理解している。
※白紙委任の禁止、及び委任の趣旨の逸脱については、第2章(行政処分の実体的違法事由の検討能力)第3節で取り扱う。行政手続法における「命令等」の概念については、本章第4節1−4−2を参照。解釈基準については、第2章(行政処分の実体的違法事由の検討能力)第1節2−1−2を、裁量基準については同章第2節2−2−2を参照。
1−2−3 行政契約
○行政処分、行政契約及び法規命令の異同を、各概念の定義の違いとして説明することができる。
○国及び地方公共団体がどのような場面で行政契約を利用しているか、典型例を挙げて説明することができる(なお、国及び地方公共団体の契約締結過程についての会計法・地方自治法上の特別な規律は含まない)。
○国及び地方公共団体が、契約締結を拒否することによって行政目的を達成しようとすることの可否について、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○行政過程において、契約関係には至らないものの、法的に保護されるべき信頼関係が生じることがあることについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる
※契約に関する紛争については、第6章(公法上の当事者訴訟の運用能力)第4節も参照。

第3節 行政過程における制度・手法

1−3−1 個別法が想定する行政過程
○個別法が想定する行政過程を、許認可や金銭交付などの制度を素材に説明することができる。
○個別法が想定する行政過程を、排除命令や更正処分などの制度を素材に説明することができる。
○個別法が想定する行政過程を、施設設置届出や事業廃止届出などを素材に説明することができる。
1−3−2 行政指導
○行政指導と行政処分それぞれの具体例を挙げて、両者の違いを説明することができる(法律の根拠の要否を含む)。
○上記1−3−1の行政過程において、行政指導がどのように用いられているか、またなぜ用いられるのかを、説明することができる。
○個別法に行政指導が規定される、具体例を、条文を参照して説明することができる。
○個別法に規定されていない行政指導の意義と限界について、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
1−3−3 行政調査
○行政調査の種類について、条文を参照して説明することができる。
○行政調査のうち犯則調査が有する特徴を理解している。
○犯則調査ではない行政調査によって得られた資料を、犯則調査に流用することの可否について、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
1−3−4 行政計画
○行政計画の具体例を、条文を参照して、説明することができる。
○行政計画と、委任立法(法規命令等)・行政処分の異同を理解している、(法律の根拠の要否を含む)。
※都市計画の処分性については、第5章(抗告訴訟の運用能力)第1節5−1−1を参照。
1−3−5 行政上の義務違反に対する強制執行
○行政上の代執行、強制徴収、直接強制、及び間接強制(執行罰)の具体例を、条文を参照して説明することができる。
○行政上の強制執行の法律の根拠の要否、及びその根拠規定を条例におくことができるかについて、行政代執行法に則して説明することができる。
○行政代執行の手続を、行政代執行法に則して説明することができる。
○国税徴収法に基づく強制徴収の手続の概要を理解している。
○行政上の義務を民事執行の方法で強制的に実現することの可否について、最高裁判決を挙げて説明することができる。
○行政上の強制執行と、即時強制(即時執行)それぞれの、具体例を挙げて、両者の異同を説明することができる(法律の根拠の要否を含む)。
※行政上の義務の民事執行法による強制については、第6章(公法上の当事者訴訟の運用能力)第5節も参照。
1−3−6 行政上の義務違反に対する制裁
○行政上の義務違反に対する非刑事的(行政的)制裁の、具体例を、条文を参照して説明することができる。
○行政上の義務違反に対する刑事的制裁と非刑事的(行政的)制裁の関係を理解している。
○行政上の義務違反に対する制裁と行政上の強制執行それぞれの、具体例を挙げて、両者の異同を説明することができる。
○行政上の義務違反者に対するいわゆる制裁的公表の特色を理解している(法律の根拠の要否を含む)。

第4節 行政過程の手続的規律

1−4−1 憲法上の適正手続の要請
○行政処分をおこなう際に求められる憲法上の適正手続の内容及びその憲法上の根拠について、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○行政調査(犯則調査を含む)について求められる憲法上の適正手続とはどのようなものかについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
1−4−2 行政手続法
○行政手続法と行政手続条例の適用対象を、条文に則して説明することができる。
○行政手続法が適用される「申請に対する処分」の、具体例を、条文を参照して説明することができる。
○行政手続法が適用される「不利益処分」の、具体例を、条文を参照して説明することができる。
○審査基準及び処分基準に関する行政手続法の規定の趣旨を理解している。
○理由提示に関する行政手続法の規定の趣旨を理解している。
○聴聞及び弁明機会付与に関する行政手続法の規定の趣旨を理解している。
○標準処理期間に関する行政手続法の規定の趣旨を理解している。
○「申請に対する処分」に関して行政手続法が定める審査及び応答に関する規定の趣旨を、受理行為の位置付けを含めて、理解している。
○「届出」に関する行政手続法の規定の趣旨を理解している(、「申請に対する処分」との異同を含む)。
○行政手続法が適用される「行政指導」の、具体例を説明することができる。
○「行政指導」に関する行政手続法の規定の趣旨を理解している。
○行政手続法が適用される「命令等」の、具体例を説明することができる。
○行政手続法における命令等制定の手続を、条文に則して説明することができる。
※行政処分、届出、命令等、行政指導の概念については、それぞれ本章第2節1−2−1、1−2−2及び第3節1−3−2も参照。

第5節 行政過程の担い手

1−5−1 行政組織と法令
○国家行政組織法の概要を理解している、(行政組織法定主義を含む)。
○地方自治法が規定する地方公共団体の種類、及び普通地方公共団体の組織、の概要を理解している。
1−5−2 行政組織と権限
○行政組織を構成する単位である行政機関の種類として、行政庁・補助機関・諮問機関・執行機関の区別があることを理解している。
○行政機関の権限の委任・代理・専決の違いを理解している。
○行政組織内部における行政機関の相互関係(上級機関の指揮監督権、対等機関の関係など)を理解している。
○普通地方公共団体の事務が、地方自治法においてどのように定められているかの概要を理解している。
○国と地方公共団体の関係のうち、地方自治法が定める国の関与の在り方の概要を理解している
1−5−3 国及び地方公共団体以外の組織による行政活動
○地方公共団体以外の公共団体の具体例を理解している(独立行政法人を含む)。
○国又は公共団体(行政主体ないし行政体)による行政のみならず、私人による行政が存在することの具体例を、条文を参照して説明することができる。
1−5−4 情報公開と個人情報保護
○行政機関における情報公開制度の存在理由、及び情報開示請求権の仕組み(対象機関、対象文書、請求権者、不開示事由など)を、行政機関情報公開法に則して説明することができる。
○行政機関における個人情報保護制度の存在理由、及び仕組み(個人情報の取扱い及び自己情報開示・訂正等請求権)の概要を理解している。
(注)情報公開法及び個人情報保護法の不開示事由該当性を、具体的事案に即して検討することは、「公法系訴訟実務の基礎」において取り上げることが考えられる。

第2章 行政処分の実体的違法事由の検討能力

【第2章及び第3章は、取消訴訟の本案主張に係る違法事由を扱う章であるが、内容的には、公法上の当事者訴訟や国家賠償請求訴訟にも応用可能である。そのため、行政処分が介在しない場合など、処分の違法事由に結びつける必要がない事案については、当事者訴訟等が提起されたものとして、以下を読み替えることとする。】

第1節 行政処分の違法事由としての法令違反

2−1−1 法令解釈の方法
○行政処分の要件及び内容に関する規定、定義規定、目的規定等の意味をどう解するべきかを、具体的事案に即し適切な法令解釈方法(文理解釈、趣旨・目的解釈、合憲限定解釈等)を用いて検討することができる。
2−1−2 法令違反
○行政庁が法令解釈又はその適用を誤ったかどうかを裁判所がどのような点に着目して審査しているかについて、判決例を参照して説明することができる(付近住民や既存事業者の不同意のみを理由としてなされた行政処分が違法とされる事例、考慮義務のある事情が考慮されていない行政処分が違法とされる事例、法令の文言の意味を誤って解釈してなされた処分が違法とされる事例、正当理由の有無等についての判定を誤った事例など)。
○裁判所が法令解釈をするにあたって、行政機関によって設定された解釈基準をどう取り扱うべきかを理解している。
○行政庁による法令解釈の誤り又はその適用の誤りがないかどうかを、具体的事案に即して検討することができる。
※解釈基準については、第1章(行政過程の全体像)第2節1−2−2も参照。

第2節 行政処分の違法事由としての裁量判断の合理性欠如

2−2−1 行政裁量と法令解釈
○要件裁量及び効果裁量の、具体例を、条文を参照して説明することができる。
○行政処分の要件・効果等の判断のどの部分に、なぜ行政裁量が認められるのか(または認められるべきではないのか)について、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○行政処分の要件・効果等の判断のどの部分に、なぜ行政裁量が認められるべきか(または認められるべきではないのか)を、具体的事案に即して検討することができる。
2−2−2 裁量判断の合理性欠如
○裁量判断の合理性が欠如しているかどうかを裁判所がどのような点に着目して審査しているかについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○裁量判断の合理性が欠如しているかどうかを裁判所が審査するにあたって、行政機関によって設定された裁量基準をどう取り扱うべきかを理解している。
○裁量判断の合理性が欠如していることを示すためにどのような指摘をおこなうべきかを、具体的事案に即して検討することができる。
※裁量基準については、第1章(行政過程の全体像)第2節1※2−2も参照。

第3節 行政処分の違法事由としての委任命令の限界

2−3−1 白紙委任の禁止
○立法権の委任の仕方が憲法上許容される範囲を超えているか(白紙委任禁止に抵触するか)どうかについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○立法権の委任の仕方が憲法上許容される範囲を超えているか(白紙委任禁止に抵触するか)どうかを、具体的事案に即して検討することができる。
○立法権の委任の仕方が憲法上許容される範囲を超えているとの理由により、法律の一部が違憲無効とされた場合において、そのことと行政処分の違法事由との関係を、具体的事案に即して検討することができる。
2−3−2 委任命令の違法無効
○委任命令が委任の趣旨を逸脱しているかどうかを裁判所がどのような点に着目して審査しているかについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○委任命令が委任の趣旨を逸脱しているかどうかを、具体的事案に即して検討することができる。
○委任の趣旨を逸脱しているとの理由により、委任命令の一部が違法無効とされた場合において、そのことと行政処分の違法事由との関係を、具体的事案に即して検討することができる。

第4節 行政処分の違法事由としての自主条例(独自条例)の限界

○自主条例(独自条例)の意義を理解している。
○自主条例(独自条例)か委任条例(法律に根拠のある条例)かの区別を、具体的事案に即して検討、することができる。
○自主条例(独自条例)が法律に反して違法無効であるかどうかを裁判所がどのような点に着目して審査しているかについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○法律に反しているとの理由により、自主条例の一部が違法無効とされた場合において、そのことと行政処分の違法事由との関係を、具体的事案に即して検討することができる。

第5節 行政処分の違法事由としての信義則違反及び行政権の濫用

○信義則違反(信頼保護原則違反を含む)を理由として行政処分が違法とされる場面とはどのようなものかについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○行政権の濫用(動機の不法、違法な権限の連結)を理由として行政処分が違法とされる場面とはどのようなものかについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○行政処分に対する信義則の適用と、契約及びそれに準ずる場面における信義則の適用の異同について、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○信義則及び行政権の濫用を理由に行政処分を違法とすべきかどうかを、具体的事案に即して検討することができる。

第3章 行政処分の手続的違法事由の検討能力

第1節 行政処分の違法事由としての手続違反

3−1−1 手続違反(手続的瑕疵)の発見
○行政手続法及び個別法それぞれにおける適用除外の対象となるかどうか、行政手続法と行政手続条例の関係、個別法における修正規定の内容を、それぞれ条文を参照して説明することができる。
○個別法及び行政手続法・条例から、法的に義務付けられる行政手続がいかなるものかを、具体的事案に即して検討することができる。
○理由提示が義務付けられる場合に、その違反があったかどうかを裁判所がどのような点に着目して審査しているかについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○理由提示が義務付けられる場合に、その違反があったかどうかを、具体的事案に即して検討することができる。
○聴聞・弁明機会付与などの意見陳述の機会を与えることが義務付けられる場合に、その違反があったかどうかを裁判所がどのような点に着目して審査しているかについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○聴聞・弁明機会付与などの意見陳述の機会を与えることが義務付けられる場合に、その違反があったかどうかを、具体的事案に即して検討することができる。
○審査基準を定めて公にすることが義務付けられる場合に、その違反があったかどうかを裁判所がどのような点に着目して審査しているかについて、判決例を参照して説明することができる。
○審査基準を定め公にすることが義務付けられる場合に、その違反があったかどうかを、具体的事案に即して検討することができる。
3−1−2 手続違反と処分違法の関係
○理由提示が義務付けられる場合に、いかなる手続違反があると、行政処分は違法とされる(取消訴訟であれば取消事由となる)かについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○理由提示が義務付けられる場合に、いかなる手続違反があると、行政処分は違法とされる(取消訴訟であれば取消事由となる)かについて、具体的事案に即して検討することができる。
○聴聞・弁明機会付与が義務付けられる場合に、いかなる手続違反があると、行政処分は違法とされる(取消訴訟であれば取消事由となる)かについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○聴聞・弁明機会付与が義務付けられる場合に、いかなる手続違反があると、行政処分は違法とされる(取消訴訟であれば取消事由となる)かについて、具体的事案に即して検討することができる。
○審査基準を設定し公にすることが義務付けられる場合に、いかなる手続違反があると、行政処分は違法とされる(取消訴訟であれば取消事由となる)かについて、判決例を参照して説明することができる。
○審査基準を設定し公にすることが義務付けられる場合に、いかなる手続違反があると、行政処分は違法とされる(取消訴訟であれば取消事由となる)かについて、具体的事案に即して検討することができる。
※手続違反を理由とする取消判決の効力については、第5章(抗告訴訟の運用能力)第4節5−4−1を参照。

第2節 行政処分の違法事由としての行政調査

○犯則調査によって得られた証拠を用いて行政処分がなされた場合、そのことを理由に行政処分が違法とされるかどうかについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○行政調査の方法の選択を誤り(たとえば、任意調査に止まるべきところ、誤って強制を伴う方法をとり)、その調査によって得られた証拠を用いた場合に、そのことを理由に行政処分が違法とされるかどうかについて、具体的事案に即して検討することができる。
○行政調査をおこなうにあたってとるべき手続に不十分な点がある場合、そのことを理由に行政処分が違法とされるかどうかについて、具体的事案に即して検討することができる。
※行政調査については、第1章(行政過程の全体像)第3節1−3−3も参照

第4章 行政上の不服申立制度の運用能力

第1節 行政不服審査法

4−1−1 不服申立ての権利
○行政不服審査法に基づく異議申立て、審査請求、及び再審査請求の、具体例を、条文を参照して説明することができる。
○行政不服審査法に基づく処分または不作為についての不服申立てをするための要件を、処分性、申立人適格、申立期間、及び審査請求中心主義の観点から、条文に則して説明することができる。
○行政不服審査法における適用除外、行政手続法27条2項、個別法令における適用除外や修正の具体例を、条文を参照して説明することができる。
○処分又は不作為に係る不服申立ての権利(申立て先を含む)の存否を、具体的事案に即して検討することができる。
4−1−2 裁決(決定)の種類、効力、仮の救済等
○行政不服審査法における裁決と決定の異同を、条文に則して説明することができる。
○行政不服審査法における裁決と決定の種類 (認容・却下・棄却の裁決・決定のほか、事情裁決・決定)及び認容の裁決・決定の内容(取消し・撤廃・変更ないし修正)を、条文に則して説明することができる。
○行政不服審査法における裁決・決定の方式及び効力を、条文に則して説明することができる。
○行政不服審査法の定める仮の救済と、行政事件訴訟法のそれとの異同を、条文に則して説明することができる。
4−1−3 不服申立ての教示制度
○行政不服審査法において義務付けられる教示の内容を、条文に則して説明することができる。
○行政不服審査法上の教示がなされなかった場合、及び教示が誤ってされた場合の救済について、条文に則して説明することができる。

第2節 裁決(決定)の違法事由

○いわゆる不可変更力の概念を理解している。
※裁決手続(口頭意見陳述の機会、閲覧請求権、理由付記)の違反が、裁決取消事由になるかどうかについては、第2章(行政処分の実体的違法事由の検討能力)第1節3−1−1及び3−1−2を参照。不作為についての不服申立てにおける相当の期間については、第5章(抗告訴訟の運用能力)第6節を参照。

第5章 抗告訴訟の運用能力

第1節 取消訴訟の訴訟要件

5−1−1 処分性
○処分性の有無を裁判所がどのような点に着目して判断しているかについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○いわゆる内部的行為及び規範定立行為に処分性が認められるかどうかについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○契約(寄託契約等)とされる余地のある行為の処分性の有無について、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○通知や勧告と呼ばれる行為の処分性の有無について、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○計画と呼ばれる行為の処分性の有無について、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○処分性の有無を、最高裁判決の考え方をふまえて、具体的事案に即して検討することができる。
※ 行政処分の概念について、第1章(行政過程の全体像)第2節1−2−1も参照。処分性の判定の際に考慮される当事者訴訟との使い分けについては、第6章(公法上の当事者訴訟の運用能力)第1節6−1−2を参照。
5−1−2 原告適格
○原告適格の有無について、裁判所がどのような点に着目して判断しているのかを、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○行政事件訴訟法9条2項の趣旨を、具体例を挙げて説明することができる。
○原告適格の有無を、最高裁判決の考え方をふまえて、具体的事案に即して検討することができる。
5−1−3 狭義の訴えの利益
○狭義の訴えの利益の有無を裁判所がどのような点に着目して判断しているかについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○狭義の訴えの利益の有無を、最高裁判決の考え方をふまえて、具体的事案に即して検 討することができる。
5−1−4 取消訴訟の訴訟手続的要件
○不服申立てと取消訴訟の関係のうち、自由選択主義と不服申立前置主義のいずれが採用されているかを、条文を参照して説明することができる。
○不服申立てと取消訴訟の関係のうち、裁決主義の、具体例を、条文を参照して説明することができる。
○主観的出訴期間と客観的出訴期間の異同を、条文に則して説明することができる。
○不可争力の概念を理解している。
○出訴期間を徒過したことについて正当な理由が認められる余地があることを理解している。
○不服申立てがなされている場合の出訴期間の起算点の特例を、条文を参照して説明することができる。
○処分庁、及び被告適格を有する者は誰かを、具体的事案に即して検討することができる。
(注)裁判管轄は、「公法系訴訟実務の基礎」において取り上げることが考えられる。

第2節 取消訴訟の排他的管轄(行政処分の公定力)

○取消訴訟の排他的管轄を認めることの具体的帰結について、具体例を挙げて説明することができる(行政処分の無効主張を含む)。
○取消訴訟の排他的管轄が認められない場面があることについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
※行政処分の違法事由と無効事由の区別については、本章第5節5−5−2で取り扱う。

第3節 取消訴訟の本案審理

5−3−1 違法事由の主張
○取消訴訟における違法性の承継の概念について、具体例を挙げて説明することができる。
○取消訴訟における違法事由の主張の観点から、原処分主義と裁決主義の異同を、具体例を挙げて説明することができる。
○行政事件訴訟法10条1項にいう自己の法律上の利益に関係のない違法について、具体例を挙げて説明することができる。
○原告の主張しうる違法事由が制限されるべきかどうかについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○原告の主張しうる違法事由が制限されるべきかどうかについて、具体的事案に即して検討することができる。
○取消訴訟における違法判断の基準時の特徴を理解している(その他の抗告訴訟の基準時との比較を含む)。
5−3−2 理由の差替え
○取消訴訟において被告による理由の差替えが限定されうる根拠について、代表的最高裁判決を挙げて説明することができる(なお、違法行為の転換は含まない)。
○取消訴訟において被告による理由の差替えが認められるべきかどうかを、具体的事案に即して検討することができる。
5−3−3 主張立証責任の基本
○取消訴訟における主張立証責任の分配の考え方の概要を理解している。
(注)主張立証責任の所在について、どのように見解がわかれるか、裁量審査の場面をどう考えるかなどは、「公法系訴訟実務の基礎」で取り上げることが考えられる。また、取消訴訟等における審理手続の特徴(釈明処分の特則、及び職権証拠調べ)も、「公法系訴訟実務の基礎」で取り上げることが考えられる。

第4節 取消訴訟の判決の種類及び効力並びに教示制度

5−4−1 判決の種類と効力
○取消判決と事情判決の異同を、具体例を挙げて説明することができる。
○事情判決をすべき場合と、訴えの利益が提訴後に消滅したことを理由にする却下判決をすべき場合との違いを、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○取消判決の形成力とその第三者効の意義を、具体例を挙げて説明することができる。
○取消判決の拘束力の意義を、具体例を挙げて説明することができる。
○取消訴訟の終局判決の既判力の意義を、具体例を挙げて説明することができる。
(注)取消訴訟における参加制度は、「公法系訴訟実務の基礎」で取り上げることが考えられる。
5−4−2 取消訴訟の教示制度
○行政事件訴訟法において義務付けられる教示の内容を、条文に則して説明することができる。
○行政事件訴訟法上の教示がなされなかった場合、及び教示が誤ってされた場合それぞれの救済について、条文に則して説明することができる。

第5節 無効等確認訴訟

5−5−1 無効等確認訴訟の訴訟要件(訴えの利益)
○取消訴訟に加えて無効等確認訴訟(行政事件訴訟法3条4項)が定められている理由を、具体例を挙げて説明することができる。
○行政事件訴訟法36条に関するいわゆる一元説と二元説の違いを、具体例を挙げて説明することができる。
○行政事件訴訟法36条にいう「現在の法律関係に関する訴え」の概念を、具体例を挙げて説明することができる。
○無効等確認訴訟における原告適格ないし訴えの利益の有無を、具体的事案に即して検討することができる。
5−5−2 無効確認訴訟の本案主張(無効事由の判定)
○処分の無効事由の有無を、裁判所がどのような点に着目して判断しているかについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○処分の無効事由として指摘すべき事情が何かを、具体的事案に即して検討することができる。

第6節 不作為違法確認訴訟

○不作為違法確認訴訟の訴訟要件と本案勝訴要件の違いを、具体例を挙げて説明することができる。
○不作為違法確認訴訟における相当の期間と、行政手続法における標準処理期間との関係を理解している。
※行政手続法における「標準処理期間」については、第1章(行政過程の全体像)第4節1−4−2を参照。

第7節 義務付け訴訟及び差止訴訟

5−7−1 義務付け訴訟の訴訟要件と本案主張
○義務付け訴訟の2類型(申請型と非申請型)の存在意義を、具体例を挙げて説明することができる。
○申請型義務付け訴訟の併合提起の意味を、条文に則して説明することができる。
○裁決についての申請型義務付け訴訟に関する行政事件訴訟法37条の3第7項の意味を、条文に則して説明することができる。
○非申請型義務付け訴訟の訴訟要件としての「重大な損害」の意味を、具体例を挙げて説明することができる。
○非申請型義務付け訴訟の訴訟要件としての「一定の処分」の意味を、具体例を挙げて説明することができる。
○非申請型義務付け訴訟の訴訟要件としての補充性の意味を、具体例を挙げて説明することができる。
○義務付け訴訟(申請型と非申請型)の訴訟要件を、具体的事案に即して検討することができる。
○義務付け訴訟(申請型と非申請型)の本案主張の内容を、具体的事案に即して検討することができる。
5−7−2 差止訴訟の訴訟要件と本案主張
○差止訴訟の訴訟要件としての「処分がされようとしている場合」の意味を、具体例を挙げて説明することができる。
○差止訴訟の訴訟要件としての「一定の処分」の意味を、具体例を挙げて説明することができる。
○差止訴訟の訴訟要件としての「重大な損害」の意味を、具体例を挙げて説明することができる。
○差止訴訟の訴訟要件としての補充性の意味を、具体例を挙げて説明することができる。○差止訴訟の訴訟要件を、具体的事案に即して検討することができる。
○差止訴訟の本案主張の内容を、具体的事案に即して検討することができる。

第8節 抗告訴訟における仮の救済

5−8−1 執行停止
○行政事件訴訟法における執行不停止原則の意義を理解している。
○執行停止の申立ての趣旨(効力停止、執行停止、続行停止)及びその理由を、具体的事案に即して検討することができる。
○内閣総理大臣の異議制度の意義を、その憲法問題も含めて、理解している。
○民事保全法による仮処分の禁止の規定(行政事件訴訟法44条)の意義を理解している。
(注)執行停止決定のための審理手続の特徴(疎明、口頭弁論の要否、即時抗告)は、「公法系訴訟実務の基礎」において取り上げることが考えられる。
※民事保全法による仮処分については、第6章(公法上の当事者訴訟の運用能力)第3節も参照。
5−8−2 仮の義務付け及び仮の差止め
○仮の義務付けの申立制度の存在意義を、具体例を挙げて説明することができる。
○仮の差止めの申立制度の存在意義を、具体例を挙げて説明することができる。
○仮の義務付けの申立ての趣旨及び理由を、具体的事案に即して検討することができる。
○仮の差止めの申立ての趣旨及び理由を、具体的事案に即して検討することができる。
(注)仮の義務付け及び仮の差止決定のための審理手続の特徴(疎明、口頭弁論の要否、即時抗告)は、「公法系訴訟実務の基礎」において取り上げることが考えられる。

第6章 公法上の当事者訴訟の運用能力

第1節 行政事件訴訟法4条後段のいわゆる実質的当事者訴訟

6−1−1 実質的当事者訴訟の訴訟要件と本案主張
○実質的当事者訴訟の存在理由を、具体例を挙げて説明することができる。
○実質的当事者訴訟における給付の訴えと確認の訴えそれぞれの、具体例を説明することができる。
○実質的当事者訴訟としての確認訴訟の提起がいかなる場合に認められるかについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○実質的当事者訴訟の請求の趣旨の立て方を、具体的事案に即して検討することができる(給付訴訟と確認訴訟の使い分けを含む)。
○確認訴訟における確認の利益の有無を、具体的事案に即して検討することができる。
○実質的当事者訴訟の本案主張の内容を、具体的事案に即して検討することができる。
6−1−2 抗告訴訟と実質的当事者訴訟の関係
○処分性の判定の場面において、取消訴訟と実質的当事者訴訟の得失をどう考えるべきかについて、具体例を挙げて説明することができる。
○処分性の判定以外の場面において、抗告訴訟(とりわけ処分差止訴訟)と実質的当事者訴訟の得失をどう考えるべきかについて、具体例を挙げて説明することができる。

第2節 行政事件訴訟法4条前段のいわゆる形式的当事者訴訟

○形式的当事者訴訟の具体例を、条文を参照して説明することができる。

第3節 公法上の当事者訴訟における仮の救済

○実質的当事者訴訟における仮の救済に必要な範囲で、民事保全法の概要を理解している。
(注)実質的当事者訴訟を本案訴訟とする仮の救済の申立てを具体的事案に即して検討することは、「公法系訴訟実務の基礎」で扱うことが考えられる。
民事保全法による仮処分の禁止(行政事件訴訟法44条)との関係についは、第5章(抗告訴訟の運用能力)第8節5−8−1を参照。

第4節 民事訴訟との比較

○私人が国又は地方公共団体に対して提起する民事訴訟として、どのようなものが考られるかを、具体例を挙げて説明することができる(国家賠償請求訴訟を除く)。
○上記の民事訴訟と、行政事件訴訟法にいう争点訴訟の異同を、具体例を挙げて説明ることができる。
※国家賠償請求のための民事訴訟は、第7章(国家賠償法に基づく損害賠償請権に関する検討能力)で取り上げる。また、国・地方公共団体と私人の間で事訴訟が提起される場面(いずれが原告であるかを問わない)のうち、契約関するものについては、第1章(行政過程の全体像)第2節1−2−3も参照 第5節 国又は地方公共団体が提起する公法上の当事者訴訟等
○国又は地方公共団体が私人に対して提起する公法上の当事者訴訟及び民事訴訟としどのようなものが考えられるかを、代表的な最高裁判決を挙げて説明することがでる。

第7章 国家賠償法に基づく損害賠償請求権に関する検討能力

第1節 国家賠償責任の構造

7−1−1 国家賠償法の責任原理
○国家賠償請求訴訟を提起すべき場面の、具体例を説明することができる。
○国家賠償法1条の責任の性質を、民法の不法行為規定と比較しながら、条文に則し説明することができる。
○国家賠償法2条の責任の性質を、民法の不法行為規定と比較しながら、条文に則し説明することができる。
○国家賠償法1条の責任が認められる場合に公務員個人責任が認められるかどうかを代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○国家賠償法3条(費用負担者の賠償責任)の意義を、具体例を挙げて説明することできる。
○国家賠償法6条(相互保証主義)の意義を理解している。
7−1−2 民法の不法行為との使い分け
○国家賠償法(1条・2条)が適用される場合と、民法の不法行為規定が適用される場合との振り分け基準を、条文に則して説明することができる。
○国家賠償法1条にいう「公権力の行使」及び「公務員」の意義を、具体例を挙げて説明することができる。
○国家賠償法1条にいう「職務を行うについて」の意義を、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○国家賠償法2条にいう「公の営造物」の意義を、具体例を挙げて説明することができる。
○国家賠償法4条(民法の適用)及び5条(他の法律の適用)の意義を理解している。

第2節 国家賠償法1条における違法と過失の諸類型

○国家賠償法1条の違法の有無を裁判所がどのような点に着目して判断しているか(権限の不作為のほか、立法行為や裁判行為の場面を含む)について、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○国家賠償法1条の違法と過失の関係について、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○国家賠償法1条の違法と、取消訴訟の違法の異同を、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○国家賠償法1条の違法及び過失の有無を、具体的事案に即して検討することができる 第3節 国家賠償法2条における瑕疵の諸類型
○国家賠償法2条の瑕疵のうち、いわゆる物的性状瑕疵の有無を裁判所がどのような点に着目して判断しているかについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○国家賠償法2条の瑕疵のうち、いわゆる供用関連瑕疵の有無を裁判所がどのような点に着目して判断しているかについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。
○国家賠償法2条の瑕疵の意義に関する道路と河川の間の違いについて、代表的な最高裁判決を挙げて説明することができる。

第8章 損失補償請求権に関する検討能力

第1節 損失補償の要否及び内容

○憲法29条3項による損失補償の要否に関する代表的な最高裁判決を理解している。
○憲法29条3項による補償内容に関する代表的な最高裁判決を理解している。
○損失補償と国家賠償の谷間と称される問題の具体例を理解している。

第2節 個別法に基づく損失補償請求

○個別法における補償規定のうち、憲法29条3項の趣旨の具体化とされるものがあることを理解している。
※個別法における損失補償額をめぐる争訟手続規定については、第6章(公法上の当事者訴訟の運用能力)第2節を参照。

本モデル案は、いわゆる行政法総論(行政組織法を含む)と行政救済法の分野において、必須(コア)と考えられる項目を抽出したうえで、法科大学院の教育目的に鑑み、ふたつの柱をたててそれらを配列したものである。 第1の柱は、行政過程の全体像をとらえるための法概念及び法制度の理解である(第1章)。第2の柱は、行政過程から生じた紛争を、その具体的事案に即して解決する能力の涵養であり、これは、本案主張の検討能力(第2章、第3章、第7章、第8章)と争訟制度の運用能力(第4章、第5章、第6章)に分かれる。 以下の記述においては、求められる能力の水準を、「理解している」「説明することができる」及び「具体的事案に即して検討することができる」の3段階に区分している。それぞれ、概要や特色を理解している、具体例を素材にして一応の説明をすることができる、具体的事案を素材に、個別法や事実関係を分析して検討することができるという意味であり、徐々に求められる能力の水準が高くなる。 なお、共通的到達目標モデルから外される項目のうち、重要と思われるものは、選択科目としての「公法系訴訟実務の基礎」(法科大学院協会カリキュラム等検討委員会による平成16年6月7日付けの報告書「法科大学院における公法系実務教育のあり方について」を参照)の一部として取りあげられることが考えられるため、以下には適宜、その旨を注記している。

また、項目の配列順序は、授業の進行順序を示すものではない。「最高裁判決をふまえて」とあるのは、最高裁判決を理解するとともに、その変更が必要と考えられるときはその旨の指摘を含むという趣旨である。単に「判決例」とある場合は、最高裁判決に限定されないという趣旨である。「個別法」は、建築基準法や厚生年金保険法など、いわゆる行政作用法のことであり、法律のみならず、条例も含まれる。「条文を参照して」というときは、個別法の条文を参照することを指し、「条文に則して」というときは、行政事件訴訟法や行政手続法などといった一般法の条文を参照することを意味する。

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