必要的口頭弁論の原則(87-1本文)
口頭弁論を行わなければ判決をすることはできず,口頭弁論に顕出された主張や証拠だけが裁判資料となるという原則
弁論主義
裁判の基礎となる事実・証拠の収集・提出を当事者の権能かつ責任とする原則
内容
第一原則:裁判所は当事者の主張しない事実を判決の基礎として採用してはならない
→当事者がある事実を主張しない場合には,その事実を要件とした自己に有利な法律効果の発生が認められない不利益が生じる(主張責任)
第二原則:裁判所は,当事者に争いのない事実はそのまま判決の基礎として採用しなければならない(自白の裁判所拘束力)
第三原則:当事者間に争いのある事実を証拠によって認定する際には,必ず当事者の申し出た証拠によらなければならない(職権証拠調べの禁止)
職権探知主義
裁判に必要な事実や証拠の収集を,当事者にまかせず,むしろ裁判所が責任をもって収集にあたる原則
主要事実
権利の発生・変更・消滅という法律効果を判断するのに直接必要な事実
間接事実
主要事実の存否を推認するのに役立つ事実
補助事実
証拠の信用性に影響を与える事実
釈明権(149条1項)
事件の内容をなす事実関係や法律関係を明らかにするため,当事者に対し事実上ないし法律上の事項について質問を発し,又は立証を促す裁判所の機能
訴訟行為
裁判に向けて訴訟手続きを展開させていく当事者及び裁判所の行為
口頭弁論の諸原則
1)双方審尋主義
当事者が請求について自己に有利な判決を求めるためになす行為について,両当事者に平等な機会を与えなければならないとする原則
2)口頭主義
審理における当事者及び裁判所の訴訟行為を口頭によって行わせる原則
3)直接主義(249条1項)
事実認定のための弁論の聴取や証拠の取調べを受訴裁判所の裁判官自身が行う原則
4)公開主義(憲法82条1項)
弁論,証拠調べ及び判決の言渡しを一般に公開された法廷において行う原則
準備書面(161条)
口頭弁論に先立ち,弁論の内容を相手方に予告する書面
→提出の効果
1)最初の期日における陳述擬制(158条,170条5項)
2)相手方欠席の場合,準備書面記載事実を主張できる(161条3項)
3)被告が提出した場合,訴えの取下に被告の同意が必要となる(261条2項)
準備的口頭弁論(164条以下)
1)受訴裁判所が主宰(164条)
2)手続の開始は,裁判所が判断する。当事者の意見を聴く必要はない(164条)
3)口頭弁論であるため,法廷で行われ,公開される
4)口頭弁論であるため,争点・証拠の整理に必要なあらゆる行為が可能
5)要証事実の確認(165条)→他の準備手続にも準用(174,178条)
6)手続終了後の攻撃防御方法の提出→相手方の求めあれば説明義務(167条)→他の準備手続にも準用(174,178条)
弁論準備手続
1)受訴裁判所又は受命裁判官が主宰(168条,171条1項)
2)手続の開始は,当事者の意見を聴いて裁判所が判断する(168条)
3)法廷で行う必要はなく,公開も制限的である(169条)
4)手続で行い得る行為は,限定される(170条1・2項,171条2・3項)
書面による準備手続
1)裁判長又は受命裁判官が主宰(176条)
2)手続の開始は当事者の意見を聴いて裁判所が判断し(175条),その際準備書面の提出期間を定める(176条2項)
3)法廷で行わず,手続は公開されない
4)手続の内容は裁判所と両当事者の協議による(176条3項)
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