概要

ゼイレアンの戦いとは、蜉蝣時代の戦乱の中で、アルファ690年2月、ロードレア国軍とロー・レアルス国軍の間に起きた戦いである。
五回に渡って繰り広げられた戦いの最初の対決にして、レイディックカルディスが、国主として最初に迎えた決戦として知られている。

戦闘に至るまでの背景


▲689年4月における勢力図

ロードレア国とロー・レアルス国、レイディックカルディス、二人の対決はもはや時間の問題であった。
事実、国境を接してからは緊張状態は極限まで高まり、小競り合いは幾度となく勃発していたが、それでもこの年まで両雄が直接対決を避けていたのは、お互い背後に敵を持っていた事が原因であった。

しかし、父の代から対立していたロードレア国とロッド国は、若きリヴァイルシアと、レイディックに世代交代したことを機に、同盟を結ぶこととなる。
これにより、いまだ背後に敵を抱えているロー・レアルス国より先に攻勢の構えを取ることができたレイディックは、自ら軍勢を率いて出陣。
これに対してカルディスも、主導権を握れなかったにも関わらず、すぐさま迎撃の指揮をとり、ここに両雄はバルディゴス討伐連合軍以来の直接対決を迎えることとなる。

戦闘経緯



後顧に憂いを持ちながら、ロードレア国軍とほぼ同数の兵力を動員したカルディスの手腕は流石としか言い様がなかった。
両軍は2月18日に布陣を終えてにらみ合い、翌19日の早朝に激突した。
ロードレア国軍から仕掛けた戦いにも関わらず、戦場で先手を打ったのはカルディスであった。
この日のゼイレアン平原は、朝から深い霧に包まれていたが、霧に乗じてカルディスは全軍突撃を命じる。
レイディックは、これを冷静に受け止めて弓隊での防戦を命令する。



この戦いは、攻めに徹したカルディスと、守りに徹したレイディックゼイレアン平原を舞台に完全に互角の戦いを見せるが、ロー・レアルス国の士気は高く、また短期決戦で終わらせなくてはならない事情もあり、徐々にロー・レアルス国軍が戦場を支配し始める。
夕方前にはナッシュノースボルゴスの陣が戦線を維持できなくなり、後退して別部隊と合流。
この穴をカバーするべく最前線に出たラディア、そして猛将アリガルの陣も、二人が自ら剣を振るうほど追い詰められていた。

このままロードレア国軍は前線を突破されるかと思われたが、戦場に雨が降り始め、霧に加えて更に視界を悪化させていく。
この瞬間を見逃さず、レイディックは待機させていた騎馬部隊だけで編成したアルヴァドス指揮する機動部隊に出陣を号令、視界の悪さと守りに徹していた相手がまさか攻めに転じるとは思っていなかったロー・レアルス国軍は、この機動部隊の速攻を許してしまう。



カルディスがこの突撃を食い止めている間に、前線のゼノスたちは更に攻勢を仕掛け、鬼神の如き強さで次々とロードレア国の将軍を討ち取るが、ラディアがかろうじて食い止め、ロー・レアルス国軍の戦線は完全に延びきった状態で停滞する。
ここでソフィスの命令がくだり、予備兵力が一気に投入されると、ここまで守りに徹したロードレア国軍が一気に攻撃に転じ、ロー・レアルス国軍を分断して各個撃破していく。
攻守は逆転し、今度はカルディス自らが流れ矢を打ち払うほどの激戦となるが、カルディスの軍師となっていたメファイザスが、攻撃を受けている本陣を無視して前進し、側面からロードレア国軍を攻撃することで突撃を一旦食い止めると、全軍撤退を進言する。

ロードレア国軍に追撃の余力なしというメファイザスの進言を聞き入れたカルディスは、素早く全軍を撤退させる。
結局この戦いは「先に戦場を去ったのはカルディスだが、最終的に兵を多く失ったのはレイディック」という形で、明確な勝者を指定することができないまま痛み別けとなる。

戦いの結末

この戦いを第一回として、この後五度にわたりゼイレアンの戦いは続くこととなるが、「国主の直接対決」という意味では、後のレザベリアスの戦いと並んでの二大決戦として知られている。
カルディスはこの同年、ゼイレアンの戦いで疲弊したロー・レアルス国を攻めようとしたルディック国を相手に、「ソルドレイカの戦い」で大勝を収め、ルディック国を再起不能なまでに叩いている。
彼の将才は未だその威光を落としてはいなかった。

また、アルヴァドスは、敵の本陣に単独での突撃と言う、受け止め方によっては捨て駒にされたという作戦を与えられた事に、レイディックに対しての不信感を持ったという説もあるが、この時点ではまだ両者の信頼関係は強かったと思われるので、逆に信頼の証ではないかと、否定もされている。


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