概要

ノリアの戦いとは、蜉蝣時代の戦乱の中で、アルファ707年8月、ベルザフィリス国軍とロッド国軍の間に起きた戦いである。

戦闘に至るまでの背景


▲707年8月における勢力図

ロー・レアルス国、フェルスデッド国が、ヴェリアを失ったロードレア国を侵食しはじめたこの時、ベルザフィリス国はロードレアを攻める一方で、その矛先をロッド国へにも向けていた。
これまでも、ロッド国に再三攻撃を仕掛けていたが、ギザイアシーヴァスによる迎撃、そしてロードレア国の横槍によって、大きな成果をあげることができなかった。
しかし、ロードレア国への進軍がはじまり、もはや第三者の介入を気にする必要のなくなった今こそが、ロッド国へ主力部隊を一気に送り込む好機であった。

ロードレア国より亡命しながら、既に絶大な信頼を受ける存在となっていたシルヴァスが留守部隊を統率し、遠征軍は総大将にガイヴェルド自らがつくと、軍師にディルセア、副軍師にレニィラヴィルガスグレシアリディバイアラスザロレアといった主力を総動員する。
更に、ロッド国に私怨をもつバイアラスを先陣として、士気を高めた。

ロッド国に侵攻すると、国境守備隊を一蹴し、次々と城を落としていくベルザフィリス国軍。
遠征軍の疲労の頂点を待って迎撃するという定石は「このままではベルザフィリス国軍が疲労するより先に首都が落とされる」という破竹の勢いにより使えず、ロッド国は全軍をあげて、一気に決着をつけるしかなかった。
リヴァイルシア自らが総大将として出陣すると、ギザイアシーヴァスミルナスロールリリィが集結し、防衛網を敷く。

地方伝承

この戦いが起きる数日前、かつてこの地方に残っていたという伝承がある。
9月2日、ベルザフィリス国に仕官したいという、全身をフードで包んだ一人の男がガイヴェルドの前に現れた。
ガイヴェルドは、彼に何の才能を持つのかと問うと、男は「治世」とのみ答えて静かに笑った。
この笑いが嘲笑ともとれたガイヴェルドが男に怒りをぶつけようとした刹那、男は一瞬にしてガイヴェルドの間合いに入ると、彼にのみフードに隠された顔を見せ、「せっかく母上(ルーディア)の頼みで力を貸しにきたのだ、そう怒るな」と語る。
彼こそ、レザベリアスの戦いから奇跡的に生還したカルディスであった。
その後彼はフレアと名を変えて、ベルザフィリス国の辺境の地でただひたすら治世に務めた。

あくまでも地方伝承であり、歴史的な信憑性は限りなく低いが、大寒波によってこの土地から南に流れてきた者達の間で、彼ら独自のカルディスを奉った祭りもあるというから面白い。
カルディス生存説は、当時からささやかれていたが、アルディアの付き人になったという説と、このフレア説があり、両方を合体させた「アルディアの従者をしていたが、その後彼女と同じく、独自の視点で歴史を見るために旅立ち、ルーディアと再会、彼女の頼みによりガイヴェルドを補佐する為、内政官フレアと名を変えた」というストーリーが、民衆にはもっとも好まれた。

戦闘経緯



9月11日、ベルザフィリス国軍とロッド国軍の戦いが幕をあけた。
地の利を使って守りに徹し、攻撃側の疲労を待つのがロッド国の策であり、ミルナスロミがその役目を背負ったが、ロッド国に対して異常なまでに戦意をむき出しにするバイアラスの突撃によってその目論見は崩れ、9月14日の戦いで前衛がバイアラス部隊の猛攻撃を支えきれず、ミルナスが戦死する。
これにより、守りを固めるはずだったロッド国の戦線は完全に崩壊し、ロールリリィが戦場に留まり、リヴァイルシアギザイアは本国へ撤退していく。

しかし、彼らが到着した城には、既に別働隊を率いて城を奪っていたディルセアが待ち構え、先行したフリージア部隊も伏兵の前に壊滅していた。
急いで転進し、次の城へと向かうが、そこにはヴィルガスが待ち構える。
全軍が出陣して手薄となった城を既に落としていた別動隊だが、さすがに周囲一帯全ての城を落とすことは不可能である。
ディルセアは、リヴァイルシア達の撤退路を先読みして、その要所の城だけを落とすことで、彼らに周辺のすべての城が陥落したと思わせた。
城の中と外から完全に包囲されたロッド国主リヴァイルシアは、10月13日に降伏勧告を受諾。
ロッド国はベルザフィリス国の傘下に収まった。

戦場に留まったリリィロールは、防護柵を張って時間を稼ごうとするが、ベルザフィリス国軍はそのほとんどが別動隊として密かに移動しており、彼らが対陣したのは見せかけの部隊であった。
本国の降伏を知ると、自分たちの必死の防戦がすべて幻だったことを知り戦意を喪失、彼らも投降することとなる。

戦いの結末

こうして、強国に挟まれながらも巧みな外交戦略で生き延びたロッド国も地図上から姿を消したが、あくまでもラディアの敵討ちに拘るバイアラスは、国を捨ててまですべてを賭けた戦いがわずか一戦で終わり、更に仇であるリヴァイルシアギザイアシーヴァスを討つどころか、この日から同僚になってしまった事に憤慨する。
城の廊下ですれ違ったギザイアシーヴァスに私闘を演じようとしたこともあるが、、これをリディが身を挺して制する。
普段無口な彼女が珍しく声を上げてバイアラスを止め、それでも構わずギザイアに斬りかかったバイアラスの剣先を、自ら盾となり、瞬きもせずに間に割って入る。
さすがにバイアラスは剣を収めるが、ギザイアはそんな彼らに「乱世の常だ、忘れろ」と言い残して去っていく。
そのギザイアにしても、ミルナスを失った事で、結局自らの後継者にシーヴァスを指名せざるを得なくなっていた。

後世になって判明したことだが、ロッド国が陥落するかの瀬戸際の時、シーヴァスミルナスが戦死したとの報告を受けると、狂喜乱舞して本国に密かに使者を送り、ミルナスが内通していたというねつ造によって、彼の家族を惨殺している。
目の前のベルザフィリス国への対処よりも、既に水面下で争いがはじまっていたギザイアミルナスとの戦いに執着していたことが伺える。

ロッド国を制圧したベルザフィリス国軍は、全軍を東に向けて、ロードレア国へ進軍していたバンガーナレガード達先発隊と合流。
本格的なロードレア遠征に突入することとなる。
なお、この戦いには内政官であるグレシアが同行していたが、これはロッド国を併合したら、そのまま彼に戦後処理と統治を任せて、自分たちはロードレア遠征に向かうためであったが、高齢での遠征参加が祟ったのか、グレシアは病にかかりそのまま世を去る。
ガイヴェルドはその死を悼みつつも、同時に「古き時代の終わりと自分達の時代の到来」を呟いたという。


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