物語におけるこの戦いと、史実におけるこの戦いは、開戦のきっかけに若干の差異が生じる。
物語では、ルナティスが、世界の裏で蠢く存在がガルゾーマではないかと睨み、フェローラ国進軍の橋頭堡確保としてアリアス国へ攻め込む。これに呼応してガルゾーマは、同胞シャラダンにアディス国進軍を要請、ラ・ディアス帝国南部の魔族系諸国にも同様の要請を送ることで、「人間対魔物」の図式を作りあげ、互いの旗色を明確にしていった。
となっているが、シャラダンはこの戦いに勝利しながら、アディスを完全併合せずに帰国している為、若干疑問点が生じる。
そのため、史実において本当にガルゾーマから要請があったのかは謎であり、連鎖しての行動ではなく、互いに別々に動いた結果の戦いであり、リオネティアの戦いは、あくまでもよくある「国境争奪戦」の1つ、それも実際はアディス国に進軍の動きがあったため、積極的防衛でリヴォル帝国が先手をうったのではないかとみられている。
この戦いの直前、突如クレアティボ国のマーノ将軍が、グローリー・ワルキューレ部隊を率いて到着し、援軍を名乗り出た。
援軍と言えば聞こえがいいが、戦う前からリヴォル帝国の勝利を確信していたクレアティボ国が派遣した、勝ち馬に乗る上に恩を売るための見え透いた行動であった。
しかし、指揮官であるマーノの力量不足から、思わぬ形で戦いの幕が開けることとなる。
先陣をきったのは、あらゆる法術を無効化する結界を張るベルンハルト率いるウルフェンリッター部隊であった。彼らは、敵の遠距離法術攻撃を回避できるため、守りに徹することで長時間戦線を維持できることで知られている。
そのベルンハルト部隊が先行し、アディス国軍が彼らを包囲撃滅しようと動いたところで、全軍が側面に突撃するという作戦であったが、ベルンハルト部隊が交戦状態になったと聞くと、マーノは、それが敵をひきつけるという作戦上のことだったにも関わらず、「仲間の危機を見捨ててはおけない」と、戦列を乱して飛び出していく。
「作戦を聞いていなかったのか、誰かあの小娘の元へ行ってワルキューレの翼をもぎ取って来いっ!!」四方将が思わずそう怒鳴るほど突然の行動であり、結局マーノ部隊は突出して壊滅した。
しかし、マーノ部隊の壊滅は、結果的にアディス国軍をひきつけ、その隙に魔王シャラダンの軍団は、その高い連携性を最大限に発揮し、当初の予定通り、ベルンハルトを包囲した敵軍に一気に突撃、数で勝るアディス国軍を壊滅させた。
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