忘却からの帰還〜Atomic Age

ニコライ・ベルジャーエフ（Nikolai Berdyaev, Николай Бердяев, 1874-1948）の哲学は、自由、創造性、人間性、交わりなどをテーマとしている。彼は愛の哲学を探求し、美とエロティックなエネルギーとの関連を強調した。また、ロシアの歴史やナショナリズムについても著作を執筆し、キリスト教的無政府主義を提唱した。彼のアイディアはしばしば感情的で論争的であり、その著作はさまざまな学者や神学者によって異なる解釈がなされている。

哲学の成果について:

1. 個人的特徴と哲学的アプローチ：
   1. ベルジャーエフは、情熱的で権威に反抗し、独立心と「否定的」な精神を持つ人物として説明された。
   2. 彼は否定を通じて自己を主張し、他人の主張を聞くことなくすぐに否定する傾向があり、自らの前の意見を共有する人々に対しても攻撃的になることがあった。
   3. ベルジャーエフの著作は、感情的で論争的で誇張され、感情的で独断的であるとされる。
2. ベルジャーエフの人間と存在に関する考え：
   1. ベルジャーエフによれば、人間は神聖な世界と自然界の世界を結びつける存在である。
   2. 自由と創造性は、これらの二つの性質を結合し、存在の二重性を克服するために必要である。
3. ベルジャーエフの哲学の解釈：
   1. デイビッド・ボンナー・リチャードソンは、ベルジャーエフの哲学をキリスト教的存在主義と個人主義と見なした。
   2. 政治神学者のツォンチョ・ツォンチェフによれば、ベルジャーエフは「共同体的な個人主義者」とスラヴォフィルとして解釈される。
   3. ツォンチェフは、ベルジャーエフの哲学的思想は自由、創造性、人、交わりの4つの「柱」に基づいていると述べている。
4. 愛の哲学：
   1. ベルジャーエフの著作の中心的なテーマの1つは愛の哲学だった。
   2. 彼は1907年に雑誌「ペレヴァル」に掲載された特別な記事で愛の理論を体系的に展開した。
   3. ベルジャーエフは、エロティックなエネルギーが創造性の永遠の源であり、エロティシズムが美と関連しており、エロスは美しいものを求めると捉えていた。
5. ロシアの歴史と国民性に関する著作：
   1. ベルジャーエフはロシアの歴史とロシアの国民性についても著作を執筆している。
   2. 彼はロシア人の古代の夢であるモスクワが第三のローマになることを果たせなかったことや、ロシア人のメシア思想が第三のインターナショナルとして実現したことについて言及している。
6. キリスト教的無政府主義：
   1. ベルジャーエフはキリスト教的無政府主義を支持していた。

神学および正教との関係について:

1. 宗教的所属と信念
   1. ベルジャーエフはロシア正教会の一員であり、初期のキリスト教に最も近い宗教伝統であると考えていた。
   2. 彼自身を独立したやや「リベラル」な正教徒と位置づけていた。
   3. ロシア正教会を批判し、反聖職者的な見解を持っていたが、カトリックやプロテスタントよりも正教に親近感を抱いていた。
   4. ベルジャーエフは自らを典型的な正教徒ではないとしながらも、正教会との結びつきを絶やさなかったと述べている。
2. ロシア正教思想における地位
   1. ベルジャーエフは多くの人によって20世紀の重要なロシア正教思想家として見なされている。
   2. 一方で、フロロフスキーや他の愛国的学者は、彼の哲学が本質的に正教的であるか疑問視し、西側の影響を強調している。
   3. フロロフスキーの批判に対してベルジャーエフは反論している。
3. 普遍的救済に対する見解
   1. ベルジャーエフは普遍的救済の教義を肯定し、20世紀の他の重要な正教神学者と同様に信じていた。
   2. 彼はセルギイ・ブルガーコフと共に、7世紀のマクシモス・コンフェッソールによって展開された教義であるアポカタスタシスに再び注目を集める役割を果たした。
   3. ただし、ベルジャーエフはオリゲネスの教義には反対している。

---

---