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オドエフスキー「4338年」第1の手紙
第1の手紙

ペキン大学生ヒッポリュトス・ツンギエフから同大学生リンギンへの手紙
コンスタンティノープル 4337年12月27日

北方王国の国境から、この手紙を書いている。私の旅は今までのところは、順調だ。ヒマラヤトンネを高速で通過したが、カスピ海トンネルは予想外の障害で止められている。南半球を通過して、落下した大型隕石については効いているだろう。それがカスピ海トンネル地域に落下し、道路上に散らばった。我々は電動車を降りざるを得ず、隕鉄の山を、そっと歩いて進まなければならなかった。海上は嵐で、我々の頭上の灰色のカスピ海は、いまにも我々の上に落ちてきそうだった。実際、隕石の落下がほんの数ヤードずれていれば、トンネルは間違いなく陥没し、怒り狂った水が大胆にも人類に敵対し復讐することになっただろう。幸運にも今回は、人類の技術が自然の猛威に持ちこたえた。少し歩くと、ガルヴァーニ電気のヘッドライトを堂々と点けた新たな電動車が待っていた。我々はあっという間にエルズルム[トルコの東アナトリア地方の都市]の塔を通過した。

これは驚くだろう。私はロシアの飛行機械に乗った。この航空機を見たとき、正直に言おう。私は祖父オルリーの忠告と自分の安全と、これらについての我々の思い込みすべてを忘れた。

キミが何と言おうと、空を飛ぶのは、まったく私には自然なことだと思えた。もちろん、我らが政府は賢明にも空中旅行を禁じており、我が国の啓蒙レベルでは空中旅行を考えることは時期尚早だろう。数万人の死者を出してきた事故により、政府が正しくとってきた断固とした対策の必要が示されている。しかし、ロシアでは、まったく違っている。私の緊張と不安を笑うロシア人たちを見れば。ロシア人たちは私のことがまったく理解できなかった。彼らは科学力と誠実な精神に自信があるので、我々が鉄道を利用するような無頓着さで、空を飛べる。実際、ロシア人には我々を笑うだけのことはある。それぞれのガルヴァーニ飛行機械はひとりの教授により管理され、デリケートな計器の複雑な並びが、大気各層の変化を表示し、風向について警告を発する。飛行機酔いになるロシアン人はほとんどいない。ロシア人は頑強であり、上層大気でも、胸の気分が悪くなったり、血圧が下がったりするることはほとんどない。おそらくロシア人たちは慣れてしまったのだろう。

地域社会に深刻な懸念が広がっていることは隠しようがない。空港で私はロシアの航空大臣と天文大臣がいっしょにいるのを見た。彼らは科学者の集団に取り囲まれていた。彼らは郵便電動車や飛行機械を調べたり、別の装置や機器を動かしたりしていたが、その顔には警戒感が満ちていた。

ことはハレー彗星が地球に落下する、お好みなら地球に衝突するといっていいいが、それが予測されていて、おそらく確実だということだ。今年中に落下すると予測されているが、さまざまな理由で正確な日時と場所は確定していない。


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