タグ検索で絵あり41件見つかりました。

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禁忌の報い

活発な人と物資の流れに栄えるノーランド王国。 隣国の領土へと伸びる幾本かの街道を除けば周囲をグルリと深い森に囲まれているこの国の名は、ほんの6、7年程前までは非常に危険な国の代名詞でもあった。 決して、国の治安が悪かったわけではない。 国の兵達は皆健康で団結心が強く、今は隠居している当時の王も民に善政を敷き大いに慕われていた。 だがこの国に向かって延々と深い森の中を突き進む街道やその周辺の森には自由に人間に姿を変えることのできる危険なドラゴン達が数多く巣食っており、それらが道行く人々を襲っていたのだという…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b6%d8%b4%f7%a4%c... - 2008年08月12日更新

思いがけぬ報酬

カシャッ・・・カシャン・・・ 「この辺りか?」 「うむ・・・恐らくはな・・・」 長い年月によって風化の進んだ奇妙な岩地を進む、2人の逞しい男達。 鈍い銀色に輝く重厚な鎧を纏った彼らは、王宮に仕えて30年を超える大層腕の立つ兵士達だった。 どちらも中年を迎えたとはいえ、少なくとも剣と槍の腕ではこれまで若い者達に遅れを取ったことはない。 そんな誉れ高い彼らが何故このような人の近付かぬ岩地へ足を踏み入れているのかというと、それは最近即位したある若い王女の命によるものだった。 「それにしても、近頃の王女の御転婆振…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%bb%d7%a4%a4%a4%a... - 2009年09月28日更新

脆き偽りに縋りて

小さな子供に読み聞かせる童話・・・その多くは社会の縮図とも言うべきある種の風刺を含んだ創作と、遠い昔に起こった実話を語り継ぐ為にその形をより分かりやすく変えたものとに大別される。 今年で10歳になる僕がまだ鮮明な記憶の残る幼年時代に幾度と無く聞かされた童話の数々は、正にその後者に当たる典型的な物だと言っていいだろう。 だが僕が一見すると酷く現実離れしている摩訶不思議な童話を実際の出来事だと理解することが出来たのは、僕自身がその童話に隠されたエピローグの当事者となったからに他ならなかった。 僕の住んでいる…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c0%c8%a4%ad%b5%b... - 2010年07月10日更新

護り神は3姉妹

とある乾燥地帯に広がる岩地の真っ只中に、人口200人程の小規模な集落があった。 その集落の中でも一際大きな酋長の家で、下は15歳から上は40歳を越えた大勢の男達が輪になって彼らの中央に置かれている大振りな陶器の壺をじっと見つめている。 だがやがて集落を束ねる酋長が姿を現すと、その場にいた全員がゴクリと緊張の息を呑んでいた。 それと同時に男達の内の半数には微かな期待と興奮の表情が、もう半数にはほとんど恐怖と言っても良い程の暗く悲壮な表情が浮かび上がっていく。 「皆の者、良く集まってくれた。それではそろそろ、…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b8%ee%a4%ea%bf%c... - 2012年06月03日更新

月下の湖畔で

広大な城の一角に設けられた、蝋燭の明かりに揺れる仄かに薄暗い書庫。 物心ついたばかりの幼い時から、俺はこの書庫で静かに本を読むのが大好きだった。 それはつい先日19歳を迎えたばかりの今も全く変わることなく、相変わらずこうして誰もいない部屋の中で古びた本のページを繰ることに夢中になっている。 この国の王である父は数年前から頻りに俺へ結婚の話を勧めてきているのだが、正直どんな絶世の美女を紹介されたところで俺はまだその気にはなれそうもなかったのだ。 長男の俺がこう言うのはおかしいのかも知れないが、結婚は3歳年下…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b7%ee%b2%bc%a4%c... - 2009年06月25日更新

我が翼を想いて

今ではもう数少ない書物の片隅でしか語られることのなくなった古き時代・・・ 大陸の方々に散らばる小さな国々が、領土を広げるために幾度となく制圧と統合を繰り返した時期があった。 とは言っても、国同士が血で血を洗うような戦争を繰り広げていたというわけではない。 ある程度の纏まりを見せ始めた幾つかの国が我先にと競うように行っていたのは、国境に面した未開の地に生きる無数の蛮族達の平定である。 そしてそんな彼らの軍事力として最も貢献していたのは、日々の訓練に明け暮れている屈強な兵士などではなく、当時の人間達にとって最…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b2%e6%a4%ac%cd%e... - 2008年08月12日更新

この身奮いし時

四方を深い森に囲まれた、活気溢れる人々の息衝く大きな町。 今から十数年前、この町はあるたった1つの噂話が元で大層な賑わいを見せるようになった。 その噂話とは、町の片隅に佇む納屋に幼い人間の少年を育てる雌竜が棲んでいるというもの。 だが今やそれは単なる噂話ではなくなり、町の人々からコリンと名付けられた不思議な竜の子の存在は遥か遠い地の人々にまで知られるようになっていた。 これは、20歳を目前に精悍な若者へと成長したコリンの新たな人生の転機を綴る物語である。 ガラッ 「ただいま!」 この町で物心付いた時から…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%a4%b3%a4%ce%bf%c... - 2009年11月20日更新

破幻の竜玉

「う・・・ぐ・・・ぐああああっ・・・!よ、よせ・・・やめてくれぇ・・・ひいいっ・・・」 「クフフ・・・お前をどう料理するのか全てはあたしの思うがまま・・・たっぷりと泣き叫びな・・・」 宵闇に染まった深い森の奥から、木々の間を吹き抜けるそよ風に乗ってそんな雌雄の声が聞こえてくる。 どうやら、"奴"は今憐れな獲物を甚振っている真っ最中らしかった。 正直夜の闇に乗じて不意打ちを仕掛けるだけでは"奴"を倒せるのか不安だったのだが、お楽しみ中ということであれば勝算は遥かに大きくなるというものだ。 俺は心中でそう独り…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c7%cb%b8%b8%a4%c... - 2011年08月21日更新

紅き大老

「ぐ・・・うぅ・・・」 幾本もの燭台に灯された淡い蝋燭の明かりの中に、初老の男の苦しげな呻き声が響き渡っている。 「お、王様・・・あまり無理をされてはお体に障りますぞ」 「ふふふ・・・ワ、ワシも歳を取ったものだな・・・この程度で・・・ぐ・・・体が音を上げるとは・・・」 ほんの数日前、彼はここ最近親愛なる城下の民を苦しめていた毒の息を吐く悪竜の退治へと向かった。 そして東の山奥に潜んでいたその悪竜の住み処を数人の腕の立つ兵士達とともに急襲し、奇跡的に1人の犠牲者も出すことなく討伐に成功した・・・はずだったの…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b9%c8%a4%ad%c2%e... - 2008年08月12日更新

奪われた平穏

「ゴホッ・・・ゴホッゴホッゴホホッ・・・」 「大丈夫?どうしよう・・・この子、咳が止まらないわ。それに熱もあるようだし・・・」 昼過ぎになって突然苦しげに咳き込み始めた小さな男の子が、心配そうな表情を浮かべる母親に付き添われながら布団の中でブルブルと身を震わせている。 「風邪でもひいたんじゃないのか?今日の朝方は随分と冷え込んだからな」 「ただの風邪ならいいけど、ちょっと咳が酷いから心配なのよ。私、竜神様の所へ行ってくるわ」 「ああ、そうだな・・・それがいい。ちゃんとお供え物は持って行けよ」 その言葉に妻…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c3%a5%a4%ef%a4%e... - 2008年08月12日更新

調教

&ref(https://image02.seesaawiki.jp/m/a/moedra/1ad729ed.jpg) ジャラッという金属の擦れる音で、僕は目を覚ました。 キョロキョロと辺りを見回してみるが、何か柔らかいものの上に乗っているということ以外は真っ暗で何もわからない。 えっと・・・僕・・・一体どうしたんだっけ? ああ、そうだ・・・確か山の中でいきなり大勢の人間達に囲まれて・・・捕まったんだっけ・・・ 何か大きな音のする鉄の棒を向けられたような気がするけど、それからどうなったのか記憶が途切れて…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c4%b4%b6%b5... - 2008年08月12日更新

蜂蜜

&ref(https://image01.seesaawiki.jp/m/a/moedra/b9b574e1.jpg) 秋も深まってきた山の小道を、3匹のドラゴン達が歩いていた。 薄いピンク色、水色がかった白色、そして鮮やかな抹茶色。 1番右を歩いていた白いドラゴンのバーグは、気の弱そうな面持ちでピンク色をした姉の顔色をうかがった。 いつもはやれ暇つぶしだのストレス解消だのと不穏で理不尽な名目のもとにいじめられていたバーグだったが、今日は散歩に誘ってくれるなどどことなく機嫌のよさそうな姉の様子に少しばか…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%cb%aa%cc%aa... - 2008年08月12日更新

咲き誇る夜の薔薇

よく晴れ渡った昼下がりの空の下、ワシは何時ものように不穏な眠りについた妻を住み処に残したまま特に行く当てもなくフラフラと森の中を彷徨っていた。 かつてワシが棲んでいた懐かしい湖はここから程近いが、森の奥にある洞窟で妻と暮らし始めてからのこの1年間はまだ1度も足を運んだという記憶がない。 そう、かつてのワシは・・・澄んだ湖水の中に身を横たえる1匹の寂しい雄の龍だった。 日に1度周囲を泳ぎ回る魚を捕まえてその身の糧とする以外には、冷たい水底で惰眠を貪るだけの穏やかな生活。 だがその孤独な生活も、ある日を境に一…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%ba%e9%a4%ad%b8%d... - 2010年01月22日更新

もう1つの紫翠

サファイアのように紺碧に透き通る海水に囲まれた、大陸棚の底に佇む海中洞窟。 長きにわたる孤独な歳月の末に結ばれた雄の老龍と雌の海竜はついに深さ500mの深海底で命懸けの交尾を済ませ、今日正に彼らの待ち望んだ産卵の日を迎えていた。 これは、そんな風変わりな夫婦の下に生を受けた姉弟の体験の1つである・・・ 幻想的な光景に包まれた深海での交尾から3日後、妻は住み処の洞窟の中で全身を襲う喜ばしい苦痛に身悶えていた。 「大丈夫か・・・ナギ・・・?」 「あ・・・ああ・・・こ、この程度・・・ああんっ・・・!」 大きく…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%a4%e2%a4%a61%a4%... - 2008年08月12日更新

Entry No.1

私が彼女に出会ったのは7月の、末のことだった。 その日は朝から、絹糸の様な雨が降っていた。 まるで梅雨の様な、頭が痛くなるような雨だった。 私はこの月の仕事を全て片付けた直後で、何をするでもなく、ぼんやりと一日を過ごしたのだが、私が部屋を間借りしている家の主人は、週末に降ったこの季節外れの雨を大層嫌がっていた。 風も無く、窓を開けていても湿気が部屋の中の紙を濡らし、不快な汗が首筋を伝う。 机の上に無造作に散らかされた原稿用紙の文字が、心なしか少し歪んで見えた。 私は愛用している銀縁の眼鏡を指差で押し上げな…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/Entry%20No%2e1... - 2009年06月29日更新

深淵の冷熱

雲1つない快晴の空から降り注ぐ眩い陽光が、遥か彼方まで続く真っ青な海を照らし出している。 そんな優しげなそよ風に揺れる海面の数メートル下で、全身を黄緑色の鱗で覆った1匹の雄龍と、キラキラと水中に差し込む陽光を反射する紫色の雌海竜が戯れるようにして泳いでいた。 彼らはほんの数日前、大陸棚の水底にその口を開ける海中洞窟で出会った新たな番い。 水を掻き尾を靡かせて泳ぐ龍と大きな胸ビレを巧みに操ってその身を躍らせる海竜は、種族こそ違えど互いに深い理解と愛情を交わし合った仲だった。 初めて海竜と過ごした幻想的な一…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%bf%bc%ca%a5%a4%c... - 2008年08月12日更新

仄かな薄明かりの下で

「海か・・・随分と遠くまできたものだな・・・」 崖下で白い礫となって砕けていく無数の波を見下ろしながら、ワシは半年前のことを思い出していた。 若い竜達の幸せそうな暮らし振りを見せつけられ、これまでの長い生涯で初めて芽生えた番いを求める欲求・・・ その欲求を満たすため、ワシは800年以上も離れたことのなかったあの山の湖を旅立ったのだ。 あの小僧は今も元気にやっているだろうか・・・? そんないらぬ心配が時折ワシの脳裏を過ぎり、ただでさえ険しい顔に思わず苦笑を浮かべてしまう。 普段は気弱でおとなしいが、いざとな…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%d0%bc%a4%ab%a4%c... - 2008年08月12日更新

老龍と仔竜

なだらかな山の中腹を覆う、広大な深緑の森の中。 明るい木漏れ日と小鳥の鳴き声に目を覚ました僕は、今日で100歳の誕生日を迎えた。 産まれた時はお母さんの卵から出て来たくらいだから、大きさで言えば精々人間の頭くらいのものだったはずだ。 それが100年経った今では大きくて硬い水色の鱗を背負い、腹の辺りは蛇腹状になった肌色の甲殻で覆われた立派なドラゴンとして成長を遂げていた。 だがそんな僕にもある1つの悩みがある。 それは、この歳になってもまだ両親と同じ洞窟で3匹揃って暮らしているということだった。 親子仲良く…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%cf%b7%ce%b6%a4%c... - 2008年08月12日更新

トカゲ竜は寒いのさ

     *トカゲ竜は寒いのさ*      /こんにちは、をお持ち帰り/  師走。すでに風の冷たさは本格的だ。 「これ、カッチンおきんかね。」 必死で布団にしがみつく少年、その掛け布団を奪いとる老婆。 「あ〜、ばあちゃん後ちょっとだ。」 そんな時間はないからすぐに支度をせよ、と言い放たれる。 「じいちゃんの葬式だって、ばあちゃんは哀しくないのかよ。」 そう、ぶつくさ言いながら少年は着替えた。  カッチンはまだ9才。怖さとか哀しさとか、あんまりよく知らない。 楽しさだけを求めていてよく何かを見つ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%a5%c8%a5%ab%a5%b... - 2008年08月12日更新

続・湖に漂う羨望 〜外伝〜

「マツリー、どこー」 真昼とはいえ、頭上を覆う木々のせいで陽の差さない暗い森の中を ピンクの体をしたメスの竜が歩いてくる。 豊満な体を揺らし、誰かを探しているみたいだ。 彼女の名はステファ。 ここの森を縄張りとするドラゴンである。 今日は久々に年下の恋人マツリとの会うらしく 毛繕いをして、うきうきしながら待ち合わせ場所まで歩いていた。 数週間前に自分の森に入ってきた侵入者・・・マツリに初めて会い、 軽い遊びのつもりで相手をしていたらお互いに恋に落ちてしまったのだ。 (今日はどんなことしようかな♪) ス…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c2%b3%a1%a6%b8%d... - 2008年08月11日更新

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