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英国Square Leg演習 (1980)


Square Legとは英国国防省による1980年の机上及び野外演習である。これは全面核戦争時におけるソ連の核攻撃を想定したものである。
[ wikipedia:Squre Leg ]

Square Legは1980年の英国政府の国土防衛の指揮所及び野外演習で、戦時体制への移行と国防省及び政府の国土防衛の役割を検証することを目的としていた。演習には、英国諸島への模擬核攻撃もあった。131発の500キロトン〜3メガトン[2]の合計205メガトン(地上爆発69と空中爆発62)の核兵器が英国に投下されると想定していた。[1] これは合理的に現実的なシナリオだと思われるが、報告書は全攻撃が1000メガトンを超えることもありうると記述していた。

死者は2900万人(人口の53%)、重傷は700万人(人口の12%)、短期的な生存者は1900万人(35%)と想定された。

Square Legは居つくかの理由で批判された。平均1.5メガトンという高出力の核爆弾が想定されたが、既知のソ連の攻撃力に基づく現実的な攻撃は、幅広い出力の核爆弾が使われ、数百キロトンの弾頭を複数搭載したミサイルが使われると考えられる。また、London中心部への攻撃がない(英国政府中枢であるWhitehall)。明確な理由がなくEastbourneなどが攻撃されている。[3]

Square Leg演習は、1984年のBBCの番組"Threads"における、ソ連の核攻撃による破壊の推定に使われた演習の一つである。



[1][3] Doomsday, Britain after Nuclear Attack, Stan Openshaw, Philip Steadman and Owen Greene, Basil Blackwell, 1983 ISBN 0-631-13394-1, p.102. p.105
[2] Fallout Warning

英国政府内務省の1980年の民間防衛ブックレット及び動画Protect and Surviveは、「英国のどこも他の場所より危険あるいは安全ということはなく、家に留まるの最も良い」と主張していた。しかし、この演習は明らかに標的として、都市・産業・軍事拠点を想定しており、そのような場所から、最優先で離れることが生存の最低条件であることを示唆していた。
さらに、演習は国防体制の問題点を明らかにした。そもそも、地域本部のメンテはまともに行われておらず、戦時要員の訓練もなされておらず、一部の地域本部は建設されていなかった。
英国政府中枢部Whitehallが攻撃を受けないという想定は、楽観が過ぎるように見える。しかし、これはミスディレクションかもしれない。実際には政府もBBCもLondonから遠く離れた、Burlington Bunkerに移動することになっていた。

なお、演習シナリオ及び演習の記録の一部がDuncan Campbell: "War Plan UK – The Truth about Civil Defence in Britain"(1982)に掲載されている。
また、このSquare Leg演習の設定を用いて、ロンドンへの核攻撃の直接の被害及び長期的影響を推定した人々がいる。Owen Greene, Barry Rubin, Neil Turok, Philip Webber and Graeme Wilkinsonたちは、これをLondon After The Bomb (1982)として出版している。その中で、核攻撃の直前から数週間の部分を以下に示す。



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