概要

697年の政変とは、アルファ697年、蜉蝣時代の最中にベルザウスリューグ国で起こした政変を言う。
国を乗っ取ったという意味では、ロー・レアルス国を乗っ取ったメファイザスも政変に近いが、ベルザウス場合はフェルスデッド国という、新たな国を興したことにより、更に大きな扱いを受けている。

長き間潜伏し、力を蓄え、機を見計らっていたリューグ国のベルザウス
彼は、ルーザロゥの戦い(692)や、エルキバーナの戦い(694)に代表される様に、警戒されないような必要以上の手柄は立てず、にじみ出る才能を感じて近づいた者を同志として自らの派閥に組み込んでいた。
しかし、常に各国に密偵を放っていたヴェリアにその野心を見抜かれ、彼の遠謀により一度は左遷させられるが、辺境の地においても奇策を使い、隣城の城主を反乱軍に仕立ててそれを討伐する等、徐々に勢力と派閥を広げていき、ついに697年に決起することとなる。

10月21日、この日はリューグ国で毎年行われる豊年祝いの宴が催され、無礼講の宴会により、将兵から民まで皆酔っていた。
そんな中、国主ライグの元にベルザウスから極上の酒が届けられる。
ライグは上機嫌となり、それが自らの最後の宴となることも知らず、深酒も手伝ってそのまま宴会場で眠りについた。
彼が目を覚ましたのは、自らの首筋に冷たい殺気を感じた為である。
ベルザウスの酒と料理を運び込んだ使用人達は、全てベルザウスの手の者であった。
ライグは首元に刃を突きつけられ、姿を現したベルザウスによって国主の引退と禅譲を強制された。
ライグは怒り狂い、宴会に出席していた諸将にベルザウスを討てと命じる。
しかしその命令は実現される事はなく、逆に彼らは次々と剣を抜きライグを包囲した。
この席で、酒を飲んでいたのはライグのみで、他の将軍たちは皆水を飲んでいたのである。
何が起きているのか理解できないライグに向かい、ベルザウスは「彼らとは3年前からこうなる約束をしていました」と語る。
3年前から既に反乱の準備をしていたことに衝撃を受けたライグだが、ベルザウスは「いえ、彼らと約束したのが3年前なので、反乱そのものはほんの10年前からですよ」と言葉を続けた。
この一言でライグは敗北を悟り、ベルザウスの申し出通り隠居して、彼が用意した辺境の城へと僅かな供を引き連れて旅立っていった。

ベルザウスリューグ国をフェルスデッド国と改名し、その国主の座についた。
殆どのものがこれに従ったが、中にはライグに忠誠を誓い、というより、反乱者に手を貸す事が矜持を汚すと考えた者達も存在し、彼らは各地で篭城の構えを見せたが、それらは全て各個撃破されていく。
そんな抵抗を続ける者の中に、かつてエルキバーナの戦いで敗戦した将アルファーの名もあった。
アルファーの兄レスフェスは、ベルザウス派閥の中心人物であったが、アルファーはあくまでも反乱を許さないという立場を貫いた。
彼女は、城に立て篭もって時間を稼ぎながら、志を同じとする隣城からの援軍を待って反乱軍を挟み撃ちにするつもりであったが、軍使によりその隣城は既に陥落したことを知らされ、アルファーは敗北を自覚して、覚悟を決める。
12月5日の総攻撃により城は陥落し、アルファーは自害したと言われるが、兄が弔おうと戦後遺骸を捜したがついに見つからず、その最期は謎に包まれている。
一説によると東から流れてきた浪人シュウと共に東国へと落ち延びたという地方伝承もある。
しかし、ベルザウスにとってアルファーの生死はそれほど重要でもなく、彼はフェルスデッド国の基礎作りに取り掛かっていた。

こうして、野望を成し遂げたベルザウスであったが、ヴェリアの妨害により、彼が望んでいた本来の計画とは時期も規模も全く違う形となっていた。
この事は大きな痛手であり、遅すぎたデビューを果たしたベルザウスは、フェルスデッド国単独での天下統一ではなく、早い段階で仲間とするべき国を見つける戦略に着手することとなる。


関連項目

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