こんな詐欺もあった
つい2,3日前のことなんですが、秋葉原からJRお茶の水駅までの坂を歩いていたんですよ。最近、また自作の蟲がうずき始めたんで、ちょくちょく秋葉原には出没しておるんです。
今度の自作はいっそ消費電力の少ないペンティアムMにしようか…値段もこなれてきたし…とかマニアな思考をめぐらしながら家路についておったわけです。
と、坂の途中で一台のワゴン車がすっと横に停まって、「ちょっと、そこの兄さん」と声をかけてきたんですよ。見ると、運転席に一人、助手席に一人いて、運転しているのは顔はわからなかったんだけど、助手席にいたのは50代後半くらいのサラリーマン風のおっさん。で、いきなりなんか細長い箱を取り出して、
「兄さん、これもらってくれない?」
とか言うから、「へ?」という反応になりますわな。「す…いませんが、なんですかそれは」と当然こっちも聞くじゃないですか。すると
「いや時計なんだけどさ。●●って知ってる?(と、ブランドの名を言う)これ出張で売ってきたんだけど、売れ残っちゃってさ。だからあなたにやるよ」
「ち、ちょっと待ってくださいよ。そんな高そうなものをなぜ私に?」
「高いよ。店で買ったら28万くらいするの。これから社長に営業報告にいかなきゃならないのよ。売れ残ってると、俺たちが怒られちゃうのよ。それで困ったなと思ってたら、ちょうど兄さんが歩いてくるじゃない」
と、金グサリの時計をチラッと見せる。
「このクサリだけで7万だよ」
「ほう」
「だから兄さん、もらってくれよ。後は自分で使うなり、質屋に売るなりどうしてもいいからさ」
「それなら、おじさんが自分で売ればいいんじゃないですか」
「そうしたいのはやまやまなんだが、もうあと5分くらいで社長に会わなきゃならないんだよ。うちの会社はほら、あの道を入った先なの。処分する時間はないんだ。だから兄さん、後生だと思って時計もらってよ」
「いや…そうまでおっしゃるならいただいてもいいですが」
「(目を輝かせて)もらってくれる? そりゃ有り難い。それでさ、時計はもちろんタダでいいんだけどさ、俺たちも遠いところから帰ってきたところでさ。あと帳簿もいじらなけりゃならないんで、すまないけど、飲み代だけいただけないかな。兄さんも大人なら、ね、わかるだろう。ほんの気持ちでいいからさ」
「いえ、お金はありません(キッパリ)」
と俺が言うと、おっさん急にそっけない顔になって、
「あっそ」
と車を走らせてどこかに行ってしまいました。俺はしばらくポカンとその場に立っていたんですが、よくよく考えると
●時計をチラッと見せただけで、すぐ箱にしまってしまった。
●残った時計が数少ないなら、社長に見つからないように隠しておくことは簡単なはず。
●あとで帳簿をいじってごまかせる程度のものなら、わざわざ路上で見ず知らない俺を呼び止めて寄贈する必要なんてあるのか。
●最後になんだかんだ言ってお金を要求してきた。
というところから、たぶん詐欺だと思うんですけど、こんな詐欺もあるのかなあとかえって感心してしまいましたよ。なんかこう、意表をついて、考えるいとまを与えないところがプロの手口なのかもしれない。
奇妙な夏の昼下がりでした。
今度の自作はいっそ消費電力の少ないペンティアムMにしようか…値段もこなれてきたし…とかマニアな思考をめぐらしながら家路についておったわけです。
と、坂の途中で一台のワゴン車がすっと横に停まって、「ちょっと、そこの兄さん」と声をかけてきたんですよ。見ると、運転席に一人、助手席に一人いて、運転しているのは顔はわからなかったんだけど、助手席にいたのは50代後半くらいのサラリーマン風のおっさん。で、いきなりなんか細長い箱を取り出して、
「兄さん、これもらってくれない?」
とか言うから、「へ?」という反応になりますわな。「す…いませんが、なんですかそれは」と当然こっちも聞くじゃないですか。すると
「いや時計なんだけどさ。●●って知ってる?(と、ブランドの名を言う)これ出張で売ってきたんだけど、売れ残っちゃってさ。だからあなたにやるよ」
「ち、ちょっと待ってくださいよ。そんな高そうなものをなぜ私に?」
「高いよ。店で買ったら28万くらいするの。これから社長に営業報告にいかなきゃならないのよ。売れ残ってると、俺たちが怒られちゃうのよ。それで困ったなと思ってたら、ちょうど兄さんが歩いてくるじゃない」
と、金グサリの時計をチラッと見せる。
「このクサリだけで7万だよ」
「ほう」
「だから兄さん、もらってくれよ。後は自分で使うなり、質屋に売るなりどうしてもいいからさ」
「それなら、おじさんが自分で売ればいいんじゃないですか」
「そうしたいのはやまやまなんだが、もうあと5分くらいで社長に会わなきゃならないんだよ。うちの会社はほら、あの道を入った先なの。処分する時間はないんだ。だから兄さん、後生だと思って時計もらってよ」
「いや…そうまでおっしゃるならいただいてもいいですが」
「(目を輝かせて)もらってくれる? そりゃ有り難い。それでさ、時計はもちろんタダでいいんだけどさ、俺たちも遠いところから帰ってきたところでさ。あと帳簿もいじらなけりゃならないんで、すまないけど、飲み代だけいただけないかな。兄さんも大人なら、ね、わかるだろう。ほんの気持ちでいいからさ」
「いえ、お金はありません(キッパリ)」
と俺が言うと、おっさん急にそっけない顔になって、
「あっそ」
と車を走らせてどこかに行ってしまいました。俺はしばらくポカンとその場に立っていたんですが、よくよく考えると
●時計をチラッと見せただけで、すぐ箱にしまってしまった。
●残った時計が数少ないなら、社長に見つからないように隠しておくことは簡単なはず。
●あとで帳簿をいじってごまかせる程度のものなら、わざわざ路上で見ず知らない俺を呼び止めて寄贈する必要なんてあるのか。
●最後になんだかんだ言ってお金を要求してきた。
というところから、たぶん詐欺だと思うんですけど、こんな詐欺もあるのかなあとかえって感心してしまいましたよ。なんかこう、意表をついて、考えるいとまを与えないところがプロの手口なのかもしれない。
奇妙な夏の昼下がりでした。
2007年05月05日(土) 18:01:20 Modified by hanamaru0002