国際詐欺事件
注意喚起
「まったく面識のない海外の人から送られてくる」、「緊急かつ極秘の取引と書かれている」、「大量注文を検討したいなどと称して、サンプルの送付を要求してくる」等々のメールやFAX、手紙などを受け取られたら、ナイジェリアをはじめとするアフリカ地域を中心に起きている詐欺事件(通称「ナイジェリア刑法 419事件」-以下「419事件」)に関連したメールかもしれませんので十分ご注意ください。419事件については、ジェトロでも再三にわたり注意を呼びかけていますが、未だに被害の報告が後を絶ちません。最近では詐欺の手口も多様化し、発生地域(メール等の発信元および被害の発生先)は日本のみならず、欧米、東南アジア、アフリカ諸国など世界各地に拡大しています。各国政府も詐欺被害発生防止に取り組んでいますが、続発する事件の防止のためには、詐欺にかからないよう、皆さまご自身の注意が欠かせませんので、不自然な儲け話には十分ご注意ください。
419詐欺事件の代表的ケース
1. マネーロンダリング(資金洗浄のための送金)型
* 手紙やFAXで、全く面識のない海外の人間より連絡が来る。
* 緊急かつ極秘の取引とされる。
* 差出人は、政府・軍・公社等の高官、または、それらの関与を示唆する。
* 手紙等は、公的機関のレターヘッドや証書等が使われることもある。
* 政府・軍・公社の秘密資金の海外送金のために、貴方の口座を貸して欲しいと持ちかける。
* 謝礼として、送金資金の一部を提供すると続く。
* 手数料等と称して、資金を先方の指定する口座に振り込むように指示され、振り込むと連絡を絶つ。
* 場合によっては資金を先方国に持参させ、身ぐるみ略奪する。最悪の場合殺害される。
2. 貿易取引型(不正小切手使用型)
* 通常の貿易取引を装い、多種多様な製品を大量に発注。
* 決済手段としては、先方国や欧米系の大手銀行の小切手が用いられ、小切手は商品発送前に輸出業者に届く。
* 商品発送後、銀行に持ち込むと小切手が偽造あるいは盗難にあったものと判明、決済不能となる。
対策:
* 決済方法は現金前受け,前金の電信為替振り込みとする。
* 偽造・盗難小切手による被害もあるため,小切手での決済は避ける。
* 信用状(L/C)を使用する場合は、「Confirmed Irrevocable L/C」(確認付き取り消し不能信用状)に基づき行い,開設銀行は米国か欧州系大手銀行を指定する。さらに入金の確認は自分で行い,支払いが確実となってから商品を発送する。
3. 貿易取引型(サンプル発注型)
* 「大量注文を検討したいので」「見本市に出品するため」「政府の外貨割り当てを受けるため」等と称して、サンプルの送付を要請。
* サンプル代及び送料は小切手での決済を求める場合が多い。
* 送付された小切手は、2.と同様偽造・盗難小切手の可能性が高い。
4. 遺産相続型
* 先方国に在住していた日本人が死亡し、同日本人の遺志により貴団体(NGO・学校・宗教団体等)に遺産を相続したい、との旨の書簡が、先方国の弁護士を名乗るものから届く。
* 「手数料」や「税金」と称して、先方にお金を振り込ませ、その後連絡を絶つ。
* 先方国に料金を持参させ、身ぐるみ略奪される場合もある。
5. 政府調達型(入札型)
* 先方国の官庁を装い、手紙やFAXで大量の製品納入の依頼の要請が来る。
* 又は、官庁を装ったものが手紙・FAX等で大量の製品を発注するための「入札」に勧誘してくる。
* 被勧誘企業が財源やスペック等を問い合わせると、かなり専門的で現実的な解答が寄せられる。
* 場合によっては、「入札」が行われる旨の「偽官報」まで送付されてくる。
* 最終的には、高額な「入札手数料」の振り込みや、手数料の持参を要求される。
* 実際には入札は架空のものであり、手数料等を騙し取られる。
注:今まで取引の無かった企業に、先方の政府関係者が直接・間接的に企業にアプローチすることは常識的に考えてもあり得ない。
6. 貿易取引型(不正蓄財返還型)
* 官庁、または議会を装い、手紙やFAXでお詫びがくる。(現地政府議会を装ったレターヘッドで送ってくることもある。)
* この手紙を出しているのは、その国の現政権で、前政権の不正を暴く調査をした報告として届く。
* 前政権時代に貴社が行った業務に対して、政権内部で不正な蓄財(予算や資材の横流し)があったので、それを返還したいとの申し出になっている。
* 返還の事務手続のために指定の口座に手数料振込を要求してきたり、本人証明や証言のために現地に来るように要請がある。
* 振込後連絡をたったり、現地で身包み略奪されるのは、他の事例と同じ。
7. 黒紙幣型
* 自分は政府関係者、もしくは亡命者などと名乗り、資金を極秘に持ち出したという。
* 黒く塗りつぶされた「ドル紙幣(黒紙幣)」が詰まっているというケースを見せる。(スタンプが押されている場合もある)
* 一枚を抜き出し、「極秘持ち出しのために黒く塗り潰されているが、特殊な溶液をかけると元に戻る」といってなんらかの液体をかけて塗料を落とし、本物の紙幣であることを実演して、信用させる。
* 同様のケースが他にもいくつかあるという。
* 「この処理をするための溶液を手に入れるために、一時的に資金が必要である」といいそのための資金援助をしてもらえれば、謝礼を支払うともちかける。
* 資金を先方の指定する口座に振り込むように指示され、振り込むと連絡を絶つ。(実演に用いられた紙幣のみが本物で、ケースの中の他の「紙幣」は紙切れであると思われる)
最近は手口が多様化しており、上記以外の新たな方法でアプローチしてくることも考えられます。また、先方の発信地域もナイジェリアやアフリカに限ったものではありません。詐欺団からのアプローチは、電子メール利用のほか、会合の場で偽の名刺を渡し、コンタクトを促すものも知られています。
もし皆がこのような詐欺を冷静に見抜き、毅然とした態度をとることが出来れば、利益を上げられない詐欺団の活動も減ってくるものと考えられます。
今後とも、皆様が詐欺団の被害に遭われぬよう、十分ご留意ください。
2007年05月05日(土) 18:13:33 Modified by hanamaru0002