ラテン文字に似せた日本語の人工文字を取り上げます。
音節文字で、ラテン文字の他は視話法由来と思われる字形の字母や新造の字母があり、大文字と小文字がそれぞれ存在する。
濁音用ダイアクリティカルマークがあり、拗音はダイエレシス(例:《Ẅ》/-ya[-ʲa]/,《Ẍ》/-yo[-ʲo]/)を使用。
長音記号はヨイン Yoin と呼ばれ、促音記号ともども字母になっている。
ラテン文字由来の字母は一部を除いて全く一致していない音価が多い。
1909年に《卍》型のKE[ケ]など一部の字母が修正されたり、《V》がWA[ワ]からKI[キ]を表す字母に変更されたりした。
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1444995
ひらがな・カタカナ・変体仮名を変化させ、字形をラテン・キリル文字風にしたもので、アイウエオはラテン文字《a, i, u, e, o》をそのまま使用している。
濁音・半濁音表示用の記号もあるが、ヂ・ヅのものは無い。
『哲学とはどんな考へ方をするか』(1935, 現代文化社)では、字母を一部改良したひので字で表記されている。
大文字は基本的に子音(例外はワ行の《w》)、小文字は母音を示す。
活字体と筆記体に分かれ、子音字は
『日本語百科大事典』(1988年・大修館書店)に見本図版が掲載されている。
字形はひらがな・カタカナ・変体仮名に近いラテン文字の大小文字から採られている。
アイウエオは《a i u e o》の筆記体に由来し、のちのひので字と共通している。他にもコを表す《c》がひので字と同じ字形もある。
助韻という記号で長音を示し、名符[nappu ナップ]と呼ばれる記号で同音異義語を性別で分けるのが特徴。
基本字形は24文字で、“ン”のみ独立した字形(《E》或いは《F》と同型)になっている。
基本的な発音を示す丸や長音点“アー[aː]”を示すマクロン《ˉ》、詰音点“アッ[aʔ]”を示すキャロンあるいはハーチェク《ˇ》、二音点“アァ[a.a](あるいは[aˑ])”を示すダイエレシス《¨》などを上下左右に付加して音節を表記、約800以上もの音節を表記可能。
基本字形は通常音字と/w/音が含まれる字母に分かれた28文字となり、NU字母は鼻音“ン”も表す。
短音点, 長音点, 詰音点(“アッ”など), 重音点(“アァ”など), 鼻音点(“アン[aɴ ã]”など), 腹音点の6種の記号が使用される。
1916年版と一部字母を入れ替えた1917年版(『国字としてのローマ字』で発表されているもの)、QやCなどイレギュラーな読みの字母からストローク付き字母に変更した1918年版がある。
ウ段は K[ク], S[ス], T[ツ], N[ヌ], H[フ], M[ム], Y[ユ], R[ル]で、イ段は Q[キ], C[シ], X[チ], J[ニ], F[ヒ], V[ミ], L[リ]。
濁音・半濁音の音節文字化ラテン文字はウ段のみで、G[グ], Z[ズ], D[ヅ], B[ブ], P[プ]。
- 作成者: 山田栄造 (発表年: 1901 ; 修正版: 1909)
- 出典:『独立仮名ノ文字』
音節文字で、ラテン文字の他は視話法由来と思われる字形の字母や新造の字母があり、大文字と小文字がそれぞれ存在する。
濁音用ダイアクリティカルマークがあり、拗音はダイエレシス(例:《Ẅ》/-ya[-ʲa]/,《Ẍ》/-yo[-ʲo]/)を使用。
長音記号はヨイン Yoin と呼ばれ、促音記号ともども字母になっている。
ラテン文字由来の字母は一部を除いて全く一致していない音価が多い。
1909年に《卍》型のKE[ケ]など一部の字母が修正されたり、《V》がWA[ワ]からKI[キ]を表す字母に変更されたりした。
- ラテン文字由来の字形は A[ハ], B[ニ], C[シ], D[ラ], E[ツ], F[マ], G[サ], H[ア], I[イ], J[モ], K[ノ], L[リ], M[ト], N[カ], O[テ], P[コ], Q[ユ], R[タ], S[ス], T[ヲ], U[ク], V[ワ], W[ヤ], X[ヨ], Y[ン], Z[キ] がある。
- 作成者: 中村壮太郎 (発表年: 1930)
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1444995
ひらがな・カタカナ・変体仮名を変化させ、字形をラテン・キリル文字風にしたもので、アイウエオはラテン文字《a, i, u, e, o》をそのまま使用している。
濁音・半濁音表示用の記号もあるが、ヂ・ヅのものは無い。
『哲学とはどんな考へ方をするか』(1935, 現代文化社)では、字母を一部改良したひので字で表記されている。
- 新式のラテン文字由来の字形は a[ア], b[ネ], c[コ], e[エ], f[ス], h[レ], i[イ], j[シ], l[ノ], m[マ], o[オ], q[チ], s[ラ], u[ウ], v[サ], x[ヌ], y[タ], z[ミ] がある。
- ヲは《o》の字形を変化したものを使用。
拡張ラテン文字 | 読み | ユニコード名 |
---|---|---|
є | SO[ソ] | UKRAINIAN IE |
ȸ | NE[ネ](旧式) | DB DIGRAPH |
ʌ | HE[ヘ] | TURNED V? |
ƃ | MA[マ](旧式) | B WITH TOPBAR |
ш | MI[ミ](旧式) | CYRILLIC LETTER SHA |
ȷ | ME[メ](旧式) | DOTLESS J |
ʏ | YA[ヤ] | SMALL CAPITAL Y? |
ɯ | RO[ロ] | TURNED M? |
ū | WA[ワ] | U WITH MACRON |
- 作成者: 大川小一郎 (発表年: 1921)
- 出典:『大川式一字一劃カナ改造応用速成速記法』
大文字は基本的に子音(例外はワ行の《w》)、小文字は母音を示す。
活字体と筆記体に分かれ、子音字は
- アはスモールキャップのA《ᴀ》、イは点無しのi《ı》となっている。
- エは独自の字形になっていて、子音字がこの字母の前に付くと小文字化する。
- 作成者: 岡崎直喜 (発表年: 1922)
『日本語百科大事典』(1988年・大修館書店)に見本図版が掲載されている。
- 作成者: 山崎笛郎 (発表年: 1923)
- 出典:『生命の日本字』
字形はひらがな・カタカナ・変体仮名に近いラテン文字の大小文字から採られている。
アイウエオは《a i u e o》の筆記体に由来し、のちのひので字と共通している。他にもコを表す《c》がひので字と同じ字形もある。
- ラテン文字由来の字形は a[ア], A[マ], b[ム], B[ヘ], c[コ], d[カ], D[ロ], e[エ], E[シ], g[チ], h[ハ], i[イ], k[キ], K[ニ], l[ナ], m[ツ], n[ン], o[オ], p[ト], q[ク], Q[ヌ], r[ワ], R[ラ], S[セ], t[テ], u[ウ], v[レ], w[ミ], x[ノ], z[ス], Z[ネ] がある。
- 濁点はカ行・サ行・タ行・ハ行の右肩にプライム《ʹ》を付加して示す。
- ハンニゴリはハ行字母にブリーブ《˘》を付加して[p]音をに変化させる。
- 拗音は母音字にサーカムフレックス《ˆ》を付加する。
- 長音は音節の母音に対応する母音字を後に置く。
拡張ラテン文字 | 読み | ユニコード名 |
---|---|---|
ɛ | SI[シ] | OPEN E? |
ŋ | TA[タ] | ENG? |
ʒ | NE[ネ] | EZH? |
ҩ | YU[ユ] | ABKHASIAN HA |
- 作成者: 稲留正吉 (発表年: 1919)
- 出典:『漢字に代はる新日本の文字と其の綴字法』
助韻という記号で長音を示し、名符[nappu ナップ]と呼ばれる記号で同音異義語を性別で分けるのが特徴。
http://d.hatena.ne.jp/licheng/
大文字と小文字の別があり、一部由来となった文字の字形が変わっている。
特殊用途用の文法文字も存在する。
- 発表年: 2009
大文字と小文字の別があり、一部由来となった文字の字形が変わっている。
特殊用途用の文法文字も存在する。
- 作成者: 小島一騰 (発表年: 1886年)
基本字形は24文字で、“ン”のみ独立した字形(《E》或いは《F》と同型)になっている。
基本的な発音を示す丸や長音点“アー[aː]”を示すマクロン《ˉ》、詰音点“アッ[aʔ]”を示すキャロンあるいはハーチェク《ˇ》、二音点“アァ[a.a](あるいは[aˑ])”を示すダイエレシス《¨》などを上下左右に付加して音節を表記、約800以上もの音節を表記可能。
- 活字体である“真字”、小文字サイズの筆記体“草字”、頭文字を示す筆記体“首字”の3種類の字形がある。
- 筆記体のみ頭文字を示す首字符号が付加される。
- 作成者: 小島一騰 (発表年: 1887年)
- 出典:『日本新字独修書』
基本字形は通常音字と/w/音が含まれる字母に分かれた28文字となり、NU字母は鼻音“ン”も表す。
短音点, 長音点, 詰音点(“アッ”など), 重音点(“アァ”など), 鼻音点(“アン[aɴ ã]”など), 腹音点の6種の記号が使用される。
- 活字体にも頭文字を示す符号が左側に付加されるようになった。
- 作成者: 左近義弼 (発表年: 1916〜18)
- 出典:『国字としてのローマ字』『日本ローマ字史』『ローマ字文の研究』
1916年版と一部字母を入れ替えた1917年版(『国字としてのローマ字』で発表されているもの)、QやCなどイレギュラーな読みの字母からストローク付き字母に変更した1918年版がある。
ウ段は K[ク], S[ス], T[ツ], N[ヌ], H[フ], M[ム], Y[ユ], R[ル]で、イ段は Q[キ], C[シ], X[チ], J[ニ], F[ヒ], V[ミ], L[リ]。
濁音・半濁音の音節文字化ラテン文字はウ段のみで、G[グ], Z[ズ], D[ヅ], B[ブ], P[プ]。
- 1916年版では、濁音・半濁音のイ段の音は音節文字化した字母に《I》を付加する。鼻音“ン”は《Ñ, ñ》で表し、拗音はストローク付きY《Ɏ, ɏ》(大文字の形状は拡張キリル文字《Ұ》に近く、小文字はユニコードに登録されている字形とことなり、中央部に横線が付加されている)で表し、“キュ”は《KɎU》と表す。
- 1917年版では、濁音表記としてQ・C・Fにストローク記号を付加して、ダブルキュー《Ꝗ ꝗ》[ギ]・ダブルシー《Ꞓ ꞓ》[ジ]・ダブルエフ?《Ꞙ ꞙ》[ビ](※ユニコード7.0で採用された字形は大文字が著しく異なる)を示し、F字母に二重ストロークを付加したツライエフ TRI Fが[ピ]音を示す音節文字として追加された。ストローク付きYは廃字になり、QAで[キャ]を表す。
- 1917年版では母音発音区切りとして、ダイエレシスが使用される (例: Cö「塩」)。
- 1918年版ではイ段音節文字がウ段音節文字のストローク付き字母に変更された。ストローク付きT《Ŧ》が[チ]音、ストローク付きH?《Ħ》が[ヒ]音を示す。
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