忘却からの帰還〜Cosmism

1992年、Antoine FaivreはWestern Esotericism (西洋秘教)に該当するか否かの判断基準を挙げている(via open center)。「Nicholas Goodrick-Clarke: "Living nature: The WesternEsoteric Traditions" (2008)」によれば、それは、以下の4つの固有の特徴と、2つの二次的特徴である。

固有の特徴

1. Correspondences (対応)

自然の領域全体の存在のすべての構成レベル (星、惑星、人間、動物、植物、鉱物、体液、心の状態、健康、病気) は、一連の対応またはアナロジーを通じてリンクしていると見なす。このつながりは因果関係ではなく、大宇宙（宇宙または天国）が小宇宙（人間の構成）に反映され、「上にあるように、下にある」というヘルメスの公理で表現される古代の考えを通して象徴的に理解される。これらの対応は本質的に、すべての顕現の神聖な起源とその根底にある「いとこ」を創造の分類法で表現しており、しばしばベールに包まれているが、神の封印または署名として人間によって解読されることを意図している。したがって、7つの惑星と7つの金属の間、惑星と植物の間、植物と人体の一部の間には、目に見えるリンクと目に見えないリンクが存在する。自然界、天界、超天界の間のこのような対応は、占星術、錬金術、呪術の理論的基礎を提供し、Paracelsus医学で重要な役割を果たした。宇宙、歴史、啓示文書の間にも対応関係があり、ユダヤ教とキリスト教のカバラ、エソテリックな聖書の解説、18世紀形態の「神聖物理学(sacred physics)」を生み出している。宇宙は鏡の宇宙ホールとして考えら、そこではすべてが他の何かに類似または反映している。

2. Living nature (生きている自然)

この考えは、宇宙を、生きたエネルギーまたは魂によって継続的に世紀を与えられている、複雑で複数の階層的なエンティティとして理解される。自然はそのすべての部分で生きているという考えは、相互に重要で敏感なつながりを持っているつながりのエソテリックな概念の根底にある。自然呪術 (natural magic, gia naturalis) の実践において、呪術師は、薬草、石、物質を結びつける共感や反感を利用する方法、およびタリスマンにそれらの力を注ぎ込む方法を知っている。生きている自然という考えは、パラケルス主義の決定的な特徴であり、ドイツロマン主義自然哲学やメスメリズムの生体流体などの現代の表現に引き継がれている。

3. Imagination and meditations (想像と瞑想）

Faivreが挙げる、エソテリックな精神性の3つめの固有の特徴は、Henry Corbinの創造的想像力(Creative Imagination)のアイデアを詳述したものである。Faivre は、大宇宙と小宇宙をつなぐ、ヒエラルキーと精神的な仲介の独立した世界であるメソコスムとの認知的および空想的な関係を確立できる「一種の魂の器官(kind of organ of the soul)」について語っている。このメソコスムは、Corbinのmundus imaginalisと同一であり、Corbinによるイスラム精神性に関する研究から引き出されたものだが、ParacelsusやBoehmeやSwedenborgなどの西洋のエソテリックな人物に強い類似性が見られる。Faivre は、この瞑想の考え方は、神秘的な精神性とエソテリックな精神性の間の機能的な違いも表していると述べている。神秘主義者は通常、介入するイメージや仲介者なしで、神との直接的か即時的な統合神秘主義を求める。一方、エソテリシストは、熟考の好ましい形として、精神的上昇の階梯を上下に伸びる仲介者（天使、デーヴァ、セフィロス、ヒポスタシス）にフォーカスする傾向がある。このように、想像と瞑想は、17世紀以降のエソテリシズムを特徴付ける錬金術、神智学、宇宙論、精神解剖学の豊かな図像を生み出す。

4. The experience of transmutation (変容の経験)

Faivreの最後の固有の特徴は、エソテリックな精神の内的経験に関係している。エソテリシズムは、宇宙に関する何らかの知的または思弁的な知識を単に記述するのではなく、むしろ思弁的な主題を根本的に変容させる理解である。錬金術に状態の変化があるのと同じように、エソテリシストが能動的想像力と小宇宙と大宇宙の間の仲介への関与を通じて経験する啓蒙知識（グノーシス）の結果として、存在の変容がある。洗練と浄化の錬金術の中心的な比喩に対応して、啓蒙(illumination)は変容、状態の変化、精神的な上昇の経験を提供する。この明かされた知識のおかげで、人間は内面の変容または「第二の誕生」を経験する。

二次的特徴

5. The practice of concordance (調和の実践)

15世紀末以降、さまざまなエソテリックな伝統の間に類似性を確立しようとする知的傾向が顕著になってきた。ルネッサンスのエソテリシストたちは、ネオプラトニズム(Neoplatonism)、ヘルメス主義(Hermeticism)、カバラ(Kabbalah)の間の相同性を発見することに興奮していた。彼らの動機は、単に知的調和を確立することではなく、これらの伝統が単一の本物の神聖なインスピレーションの源から生まれ、古代の神学 (prisca theologia) の枝を表しているという意味していた。比較宗教の出現と 19世紀のアジアの宗教に関する知識により、現代の神智学はこのプロジェクトを繰り返し、すべての宗教とエソテリックな伝統に影響を与える古代の知恵の伝統を仮定した。

6. Transmission (伝承)

多くのエソテリックな伝統は、教えの完全な奥深さは、確立されたイニシエーションの道を介してのみ師匠から弟子へと受け継がれることを暗示している。教えの有効性は、グループ、秩序、または秘密結社（薔薇十字団またはフリーメーソンの場合など）の伝統、血統、資格に関連するさまざまな形式の証明または認証と、その伝統を受容する儀式を表現する、個人のイニシエーションのプロセスとによって、保証される。

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