世界の特殊文字ウィキの別館サイトです。主に世界の言語による外来語・借用語及び世界の文字による転写・翻字をまとめたウィキ辞書です。

各言語におけるラテン文字の字母名を取り上げます。

もくじ

注意点

ほとんどの非ラテン文字使用言語では、略語は英語からの借用語による字母名で読まれる。
一部の非ラテン文字表記言語では、中国語やロシア語、タミル語などで固有のラテン字母名が存在する。
日本語やパシュト語、アブハズ語などでは、略語借用語に含まれる頭文字は借用元の言語の字母名で読まれる。

日本語

日本語ではラテン文字による略語は、英語読みだけでなくフランス語やドイツ語などのラテン文字使用言語や、場合によってはロシア語やタイ語などの翻字での字母名読みになる。
  • ラテン文字の字母名の漢字当て字は『改正増補蛮語箋』の方式が代表的であるが、X[ヱッキス Ekkisu]に対応する国字《⿱刻土》(土の字は[s]音に該当する漢字“士”の変形であり、《牡》の字源でも土の字は“士”の変形である)はユニコードに採用されていない。
  • 訓令式ローマ字の前身である日本式ローマ字などで明治時代に文部省案や『世界文字学』での高橋龍雄式など日本語固有の字母名の提案があったが、戦後、日本語のローマ字の各字母名は英語式に統一された。

中国語

https://zh.wikisource.org/zh-hant/%E6%B1%89%E8%AF%...
中国語ではピンイン本来の字母名だけではなく、ピンイン発音の漢字表記や英語読みと3種類ものラテン字母名がある。
1958年2月11日制定の漢語拼音方案では、注音符号によるピンイン本来の字母名と漢字による発音表記用の字母名が見られる。
  • ラテン文字略語はピンイン本来の字母名ではなく、英語の字母名で読むのがルールとなっている。しかし、中国語の辞書では発音が記載されていないことが多い。カタカナ表記で書かれた単語集でも英語由来の略語に中国語普通話の会話に必須の声調表記が示されていないものがある。
    • 英語の字母名が詳しく記載されている辞書には、白水社・刊『白水社中国語辞典』がある。
  • ピンインの字母名は、第1声調である平声 /ā, ē, ī, ō, ū, ǖ/[˥ 55] (※注音符号表記は母音字及び音節文字としても使用される一部の子音字そのものが第1声を含む―例: ZH《ㄓ》[ヂー ʈʂʐ̍˥], C《ㄘ》[ツー ʦʰz̩˥]―ため、表記されない)で統一されている。

広東語

広東語ではラテン文字の略語が目立っているため、広東語の字母名は英語由来となっている。
ウィキペディア中国語版では【拉丁字母漢語讀音】の項に広東語ラテン文字の名称一覧表があったが、現在は項目が削除されている。

台湾語

台湾語では教会ローマ字本来の字母名があるが、英語由来の字母名が略語に使用される。
《K》は教会ローマ字の字母名では“Ki [キイ ki˦]”だが、日本語由来の〈卡拉OK「カラオケ」〉では“Khe [ケエ kʰe˦]”となっている。

韓国語/朝鮮語

1986年に韓国語における外来語表記改正以前はハングルの長母音表記が認められていたが、現在は長音であってもハングル1文字表記となっている。
二重母音では英語の長音《O》[オウ oʊ]に当たる表記〈오우〉は原則的に短母音《오》[o オ]のみの表記となった。

キリル文字使用言語

ロシア語
ロシア語本来のラテン字母名はフランス語由来とドイツ語由来の2種類が存在する。
アブハズ語
https://ab.wikipedia.org/wiki/%D0%90%D0%BB%D0%B0%D...
アブハズ語のラテン字母名は、アブハズ語版ウィキペディアによるとアブハズ語本来のラテン字母名の他にフランス式・イタリア式・英式と合計4種類の字母名がある。

アラビア文字使用言語

アラビア語
国や地域によって英語風やフランス語風など、字母名の綴りや発音が大幅に異なる。
正則アラビア語にない発音のエ段音[e]も見られる。
ペルシア語
本来の字母名はフランス語由来と思われるが、近年は英語由来の字母名が略語に使用される。
本来の字母名で末尾が母音で終わる字母名は基本的にエ段音[-e]のため、アラビア文字1文字で表記できる。
パシュト語
エ段音のE《ې》が末尾に含まれている字母名はスラブ諸語などに由来すると思われ、英語由来の略語に対してはイ段音のYEH《ي》(ペルシア語YEH《ی》の表記も許容される)が使用される。
ウイグル語
1965年に中国で制定され、’82年にアラビア文字に復帰するまで使用されたピンイン式ローマ字の字母名は、大学書林刊『現代ウイグル語基礎1500語』に見られる。

アッシリア現代アラム語

https://www.facebook.com/EnheduannaPublishing/post...
上記リンク先にあるアッシリア現代アラム語の書籍を刊行しているエンヘドゥアンナ社の公式フェイスブックアカウントでのツイートでは、英語の字母名のシリア文字表記がピリオドで区切られたPDFやiOSなど英語由来の略語の使用例が見られる。
母音記号が使用されているサイトが多いが、アッシリア現代アラム語版ウィキペディアなどでは母音記号が使用されていないため、文脈で見分けることが必須となっている。

デーヴァナーガリー文字使用言語

デーヴァナーガリー文字で表記される言語の一部では、母音の箇所は基本的には短母音だが、最後の音節では長母音に変わるものがある。
サンスクリット語及びパーリ語
19世紀に定められたサンスクリット語やパーリ語等インド系文字のラテン文字転写表記の字母名は、本来のデーヴァナーガリー文字(パーリ語ではミャンマー系文字由来のパーリ文字やスリランカのシンハラ文字など)と同じく子音字とア段短音の組み合わせによる名称となっている。なお日本におけるパーリ語の文字表記はラテン文字が使用される。
サンスクリット語版ウィキペディアにおける英語由来の略語のデーヴァナーガリー文字表記では、子音で終わる字母名はヴィラーマによる母音省略(日本のヒンディー語転写用ラテン文字ではダイアゴナルストローク付きA《Ⱥ ⱥ》を使用)が必須となっている。
ヒンディー語
英語の字母名で末尾がイ段長音[iː イー]となっているものは原則的に長母音 II《ई/अी》[iː イー]となっている (※母音字A《अ》は、母音記号が配置される場合の子音字を示すダミー表記)。
ネパール語
英語の字母名で末尾がイ段長音[iː イー]となっているものは原則的に短母音 I《इ/अि》[i イ]となっている。
ビハール語/ボージュプリー語
英語の字母名で先頭がエ段短音[e~ɛ エ]となっているものは原則的にチャンドラE《ऍ-》[ɛ- アェ]となっている。
ネワール語
ネパールで使用されるネワール語(漢=チベット語族)におけるラテン字母名は、ドラビダ諸語由来のものでショートE《ऎ》[e- エ]の使用が見られる。

タミル語

https://ta.wikipedia.org/wiki/%E0%AE%87%E0%AE%B2%E...
タミル語のラテン字母名は本来のものと英語由来のものがあり、本来の字母名における母音箇所は短母音で読まれることがあり、英語由来の字母名では長母音となる。

ミャンマー系文字使用言語

シャン語
https://www.facebook.com/taieducation.online/photo...
タイ・チェンマイのタイ・エデュケーション・フォー・ファウンデーション式の英語由来の字母名は、外来語用の拡張シャン文字が使用されている。
シャン語版ウィキペディアβ版での英語由来の略語表記では一部声調表記が異なっているため、声調は単語によって異なるようである。

参考

【Category:Latin letter names - Wiktionary】
https://en.wiktionary.org/wiki/Category:Latin_lett...
【GEONAMES - Alphabets A to B】
http://www.geonames.de/alphab.html

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