【拡張アラビア文字辞典】カテゴリです。
ラー系の派生字を使用する言語をまとめます。
拡張アラビア【DAL】 | 拡張アラビア【SEEN】
※上部に2種類の点が付いている場合、日本語表記では〈(上部)と(下部)〉、英語表記では〈(BELOW) AND (ABOVE)〉(一部例外有り)になっております。
【発音が異なる字母】
・中国(小児経)[ɹ, ɚ]、モプラ[ɾ]
【解説】
アラビア文字第10字母。ラー系の字母は独立形と語尾形のみ。
当初はザーイと同型の字母だった。
ル[r]音及びその近似音を表記する。
中国語小児経ではピンインのアル〈ER〉(注音字母では《儿》)に対応。
【発音が異なる字母】
・ベラルーシ[ʑ]、モサラベ/モリスコ[θ]
【未使用言語】
・マンディンカ
【解説】
アラビア文字第10字母。
当初はザーイと同型の字母だった。
基本的にズ[z]音及びその近似音を表記する。
中世スペインのモリスコ語 Morisco language のラテン文字翻字では、現代スペイン語カスティーリャ方言のセータ《Z》が対応する(Omniglotの Morisco alphabet の項目の翻字より)。
【使用言語・文字】
・ウルドゥー[ɽ]、ガウリー[ɽ]、カシミール[ɽ]、サラーエキー[ɽ]、シーナー[ɽ]、パトワーリー[ɽ]、バルティ[ɽ]、パンジャブ[ɽ]、ブラーフイー[ɽ]
【解説】
ウルドゥー語の拡張アラビア文字で、ヒンディーのラー HINDI REH という異称がある。
かつてはラーの上に上4点のヌクタ記号が使用されていたが、18世紀後半にそり舌音を示す上付きの(強勢子音の)TAH小文字《ﻁ》に置き換えたもの。
【異体字】
・旧字体はター小文字の代わりに四つの点《ڙ》。
【使用言語・文字】
・クルド[r]
【解説】
クルド語特有の拡張文字。後述の《ڕ》の異体字。
【使用言語・文字】
・アルウィー[ɾ]、‡クルド[r]、ホラズム[r]、モプラ[r]
【解説】
アルウィー語やマラヤーラム語モプラ方言などドラビダ諸言語に見られる字母。
タミール文字RA《ர》に対応。
【使用言語・文字】
・AIPA[ɾ]、クルド[r]、シルハ[ᵲ]、トゥアレグ[ᵲ]
【解説】
クルド語やベルベル諸語で使用される拡張文字。
クルド語ではスペイン語の〈RR〉と同じ[r]音を示す。
ベルベル諸語では咽頭化したR音を示す。
【異体字】
・クルド語ではキャロンが移動した《ڒ》ものが異体字として使用される。
【使用言語・文字】
・パシュトー[ʐ]、パシュトー(ギルザイ)[ʝ]、パシュトー(パキスタン)[ɡ]、ベルベル[ᵶ]
【解説】
パシュトー語特有の字母。ラーに隣接した左上と右下のヌクタ記号が特徴。
パシュトー語の各方言によって発音が極端に異なる。
【異体字】
・ベルベル諸語に見られるザーイの下に1点ヌクタを付加したもの。
【使用言語・文字】
・ダルグヮ[tsʼ]、チェチェン[tsʼ]、モプラ[ɖ]、バルティ、ラック、レズギ
【解説】
カフカズ諸言語のアラビア文字旧正書法で、TSの放出音として使用される。
【使用言語・文字】
・アゼルバイジャン[ʒ]、アルバニア[ʒ]、ウイグル[ʒ]、ウズベク[ʒ]、ウルドゥー[ʒ]、オスマン・トルコ[ʒ]、オルムリー[ʒ]、ガウリー[ts]、カシミール[ts]、カバルダ[ʒ]、サラーエキー[ʒ]、シンディー[ʒ]、タジク[ʒ]、ダリー[ʒ]、ダルグヮ[ʒ]、チェチェン[ts]、中国(小児経)[ʐ]、ノガイ[ʒ]、パシュトー[ʒ]、パシュトー(パキスタン)[ʤ]、パトワーリー[ʒ]、バルティ[ts]、バローチー[ʒ]、ブラーフイー[ʒ]、ブルシャスキー、ベラルーシ[ʒ]、ペルシア[ʒ]、ボスニア[ʒ]、モプラ[ɹ]、ラック、レズギ
【解説】
ペルシア語でジュ[ʒ]音を示すため、摩擦音へ変化することを示す上3点のヌクタ記号《∴》を付加したもの。
カシミール語ではツ[ts]音を示す字母として使用され、チェチェン語旧正書法などが同じ発音となっている。
【使用言語・文字】
・†ウルドゥー[ɽ]、シーナー[ɖʐ]、シンディー[ɽ]、トルワーリー[ʐ]、パルカリ[ɽ]
【備考】
・ウルドゥー語《ﮌ》の旧字体。
【使用言語・文字】
・AIPA[ɽ]、カシミール[ri]、パルカリ[ɭ]、†ペルシア、モプラ[ri]
【解説】
アラビア国際音声記号 AIPA では、そり舌音のRを示すためにサーカムフレックスを付加したもの。
カシミール語ではデーヴァナーガリー文字VOCALIC R《ऋ》に対応している。
【使用言語・文字】
・カヌリ[ɽ]、‡パシュトー[ʐ]
【解説】
カヌリ語特有の拡張アラビア文字。そり舌のR音を表す。
【備考】
・『世界の文字』(松香堂)ではパシュトー語《ږ》をこの字形で紹介していたが、異体字と思われる。
【使用言語・文字】
・オルムリー[ʑ]、トルワーリー
【解説】
オルムリー語 Ormuri language で、そり舌のZ音を示すために垂直に並んだ2点ヌクタ《:》(ザーイの上にヌクタを加点したもの)を付加したもの。
【使用言語・文字】
・オルムリー[r̝]
【解説】
オルムリー語特有の字母で、チェコ語の《Ř》(1989年までのIPAで[ɼ]と表記されていた音)と同じ発音を示すため、ラーの上部にハムザを付加したもの。
ラー系の派生字を使用する言語をまとめます。
拡張アラビア【DAL】 | 拡張アラビア【SEEN】
※上部に2種類の点が付いている場合、日本語表記では〈(上部)と(下部)〉、英語表記では〈(BELOW) AND (ABOVE)〉(一部例外有り)になっております。
基本発音 | ル[r] |
数価 | 200 |
属性 | 太陽文字 |
ユニコード | U+0631 |
数値参照 | ر |
表示形(独立形) | U+FEA9 |
数値参照(独立形) | ﺭ |
表示形(語尾形) | U+FEAA |
数値参照(語尾形) | ﺮ |
・中国(小児経)[ɹ, ɚ]、モプラ[ɾ]
【解説】
アラビア文字第10字母。ラー系の字母は独立形と語尾形のみ。
当初はザーイと同型の字母だった。
ル[r]音及びその近似音を表記する。
中国語小児経ではピンインのアル〈ER〉(注音字母では《儿》)に対応。
基本発音 | ズ[z] |
数価 | 7 |
属性 | 太陽文字 |
ユニコード | U+0632 |
数値参照 | ز |
表示形(独立形) | U+FEA9 |
数値参照(独立形) | ﺯ |
表示形(語尾形) | U+FEAA |
数値参照(語尾形) | ﺰ |
・ベラルーシ[ʑ]、モサラベ/モリスコ[θ]
【未使用言語】
・マンディンカ
【解説】
アラビア文字第10字母。
当初はザーイと同型の字母だった。
基本的にズ[z]音及びその近似音を表記する。
中世スペインのモリスコ語 Morisco language のラテン文字翻字では、現代スペイン語カスティーリャ方言のセータ《Z》が対応する(Omniglotの Morisco alphabet の項目の翻字より)。
ユニコード | U+0691 |
数値参照 | ڑ |
表示形(独立形) | U+FB8C |
数値参照(独立形) | ﮌ |
表示形(語尾形) | U+FB8D |
数値参照(語尾形) | ﮍ |
・ウルドゥー[ɽ]、ガウリー[ɽ]、カシミール[ɽ]、サラーエキー[ɽ]、シーナー[ɽ]、パトワーリー[ɽ]、バルティ[ɽ]、パンジャブ[ɽ]、ブラーフイー[ɽ]
【解説】
ウルドゥー語の拡張アラビア文字で、ヒンディーのラー HINDI REH という異称がある。
かつてはラーの上に上4点のヌクタ記号が使用されていたが、18世紀後半にそり舌音を示す上付きの(強勢子音の)TAH小文字《ﻁ》に置き換えたもの。
【異体字】
・旧字体はター小文字の代わりに四つの点《ڙ》。
ユニコード | U+0692 |
数値参照 | ڒ |
・クルド[r]
【解説】
クルド語特有の拡張文字。後述の《ڕ》の異体字。
ユニコード | U+0694 |
数値参照 | ڔ |
・アルウィー[ɾ]、‡クルド[r]、ホラズム[r]、モプラ[r]
【解説】
アルウィー語やマラヤーラム語モプラ方言などドラビダ諸言語に見られる字母。
タミール文字RA《ர》に対応。
ユニコード | U+0695 |
数値参照 | ڕ |
・AIPA[ɾ]、クルド[r]、シルハ[ᵲ]、トゥアレグ[ᵲ]
【解説】
クルド語やベルベル諸語で使用される拡張文字。
クルド語ではスペイン語の〈RR〉と同じ[r]音を示す。
ベルベル諸語では咽頭化したR音を示す。
【異体字】
・クルド語ではキャロンが移動した《ڒ》ものが異体字として使用される。
ユニコード | U+0696 |
数値参照 | ږ |
・パシュトー[ʐ]、パシュトー(ギルザイ)[ʝ]、パシュトー(パキスタン)[ɡ]、ベルベル[ᵶ]
【解説】
パシュトー語特有の字母。ラーに隣接した左上と右下のヌクタ記号が特徴。
パシュトー語の各方言によって発音が極端に異なる。
【異体字】
・ベルベル諸語に見られるザーイの下に1点ヌクタを付加したもの。
ユニコード | U+0697 |
数値参照 | ڗ |
・ダルグヮ[tsʼ]、チェチェン[tsʼ]、モプラ[ɖ]、バルティ、ラック、レズギ
【解説】
カフカズ諸言語のアラビア文字旧正書法で、TSの放出音として使用される。
ユニコード | U+0698 |
数値参照 | ژ |
表示形(独立形) | U+FB8A |
数値参照(独立形) | ﮊ |
表示形(語尾形) | U+FB8B |
数値参照(語尾形) | ﮋ |
・アゼルバイジャン[ʒ]、アルバニア[ʒ]、ウイグル[ʒ]、ウズベク[ʒ]、ウルドゥー[ʒ]、オスマン・トルコ[ʒ]、オルムリー[ʒ]、ガウリー[ts]、カシミール[ts]、カバルダ[ʒ]、サラーエキー[ʒ]、シンディー[ʒ]、タジク[ʒ]、ダリー[ʒ]、ダルグヮ[ʒ]、チェチェン[ts]、中国(小児経)[ʐ]、ノガイ[ʒ]、パシュトー[ʒ]、パシュトー(パキスタン)[ʤ]、パトワーリー[ʒ]、バルティ[ts]、バローチー[ʒ]、ブラーフイー[ʒ]、ブルシャスキー、ベラルーシ[ʒ]、ペルシア[ʒ]、ボスニア[ʒ]、モプラ[ɹ]、ラック、レズギ
【解説】
ペルシア語でジュ[ʒ]音を示すため、摩擦音へ変化することを示す上3点のヌクタ記号《∴》を付加したもの。
カシミール語ではツ[ts]音を示す字母として使用され、チェチェン語旧正書法などが同じ発音となっている。
ユニコード | U+0699 |
数値参照 | ڣ |
・†ウルドゥー[ɽ]、シーナー[ɖʐ]、シンディー[ɽ]、トルワーリー[ʐ]、パルカリ[ɽ]
【備考】
・ウルドゥー語《ﮌ》の旧字体。
ユニコード | U+06EF |
数値参照 | ۯ |
・AIPA[ɽ]、カシミール[ri]、パルカリ[ɭ]、†ペルシア、モプラ[ri]
【解説】
アラビア国際音声記号 AIPA では、そり舌音のRを示すためにサーカムフレックスを付加したもの。
カシミール語ではデーヴァナーガリー文字VOCALIC R《ऋ》に対応している。
ユニコード | U+075B |
数値参照 | ݛ |
・カヌリ[ɽ]、‡パシュトー[ʐ]
【解説】
カヌリ語特有の拡張アラビア文字。そり舌のR音を表す。
【備考】
・『世界の文字』(松香堂)ではパシュトー語《ږ》をこの字形で紹介していたが、異体字と思われる。
ユニコード | U+076B |
数値参照 | ݫ |
・オルムリー[ʑ]、トルワーリー
【解説】
オルムリー語 Ormuri language で、そり舌のZ音を示すために垂直に並んだ2点ヌクタ《:》(ザーイの上にヌクタを加点したもの)を付加したもの。
ユニコード | U+076C |
数値参照 | ݬ |
・オルムリー[r̝]
【解説】
オルムリー語特有の字母で、チェコ語の《Ř》(1989年までのIPAで[ɼ]と表記されていた音)と同じ発音を示すため、ラーの上部にハムザを付加したもの。
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