合同卓��
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伝説第１４回＆本編第１０１回 合同卓 『機械式ペトルーシュカ・開幕』 
◇依頼主
“大魔動機師”ドルッケン・ガーデル
◇依頼
『〈ワルキューレ〉の確保』
・依頼人：“大魔動機師”ドルッケン・ガーデル
・報酬：ひとり20,000G 条件を満たせば倍の40,000G
・詳細
かつてデザイアが汎用性に富んだ兵器を依頼され
ルーンフォークの前身となる人型魔動機を作成したことがあったそうじゃ。
その名も〈ワルキューレ〉シリーズ。
量産には至らず、十機も作らず打ち止めとなった結果だけ見れば失敗と言えよう。
しかし逆に言えば一機一機があの天才のハンドメードということじゃ。
どれほどの情報が詰まっているのか想像するだけでヨダレがとまらんわい。
どうもそれがあの遺跡にある可能性が高い！
確保してくれい！！ もしも稼働する状態で納品してくれたら倍額出すぞ！！！
◇冒険内容
かつてエイギア地方で起きた大規模な魔動機の暴走は
主犯の名前をとってデザイア事件と呼ばれるようになっていた。
「気の毒だったな。まあ、あの男は世が世なら教科書に載るような大物だ。そう気を落とすな」
あの日“大魔動機師”ドルッケンの依頼を受け遺跡に侵入し、あえなく散った〈蒼き剣の雷亭〉の冒険者たち。
彼らの遺体は損壊があまりに激しく、通常の手段では蘇生でなかったため神の奇跡に縋った。
操霊魔法によって可能な限り遺体を修復し、【コール・ゴッド】により蘇生ではなく復活させる。
これはその副産物。
「……男？ いやいや。たしかに記憶は曖昧だが、さすがにそのくらいは間違えないぞ」
失われなかった死亡直前の記憶は重大な心の傷と錯乱、数か月の療養期間。
そしてひとかけらの情報をもたらした。
「俺たちをやったのは、少女。雷を纏った天使だっただろう？」
あそこにはまだ何か潜んでいるらしい。
前回の一件で自粛ムードが漂っているものの、冒険者稼業は原則として自己責任。
あの遺跡はどこの国にも属していないので、無謀上等な冒険者がまた藪をつついて蛇を出してもそれを止める術はない。
かくして、どうせならば大蛇が出ても対処ができるやつらに任せようと集められた石鶏亭の冒険者たち。
金額相応の仕事をしろという要求にモミジがプロ意識の欠けた言葉で返したため、ドルッケンが依頼を取り下げようかわりと真剣に悩む一幕があったものの、周囲のフォローもあり無事出発と相成る。
問題の遺跡は地下へと続く構造になっており、地下一階は居住スペース、地下二階は図書館もかくやという資料室になっていた。
快適な空調、まばゆい照明、以前に入った冒険者が壊したというドゥームの残骸はおろか埃一つ落ちていない清潔さに、この遺跡がまだ生きていることを確信する。
地下三階へと続くゲートを開けるパスワードを探しがてら、手記越しに天才の苦悩に触れる冒険者。
だからといって足を止めるわけでもなく、ゲートをくぐった先にはワルキューレ四号機レギンレイヴが待ち構えていた。
自分の目的はここの守護のみ。いますぐ帰るなら追撃はしないと告げ、ゲートを出口に繋げるレギンレイヴを前に冒険者たちは――
強敵を前にした興奮で出来る限り無傷で回収しろという依頼もきれいさっぱり忘れ交渉らしい交渉もせずに襲い掛かった！
石鶏亭は蛮族の集まりだから仕方が無いね。
ダナンとグスタフが戦場を整え、カリギュラとモミジががっつりと敵陣に食い込む。
バードアブルの呪歌が取り巻きの動きを阻害し、ルーサーがしっかり縁の下でバックアップを維持する。
一秒が一時間にも感じる濃密で激しい戦闘の最中、カリギュラがかろうじて目的を思い出し、交渉。
この身が得たいのなら、自身を差し出さなければ遺跡が守れない武力があると証明してみろとレギンレイヴは要求し、戦闘は継続。
最終的にカリギュラが集中砲火にあい気絶まで追い込まれるものの、その時点で見切りをつけたレギンレイヴは降伏。
冒険者たちは無事にワルキューレを得て帰還するのであった。
ワルキューレは合計九機存在する。
そんな遠雷の如き不安をあおる証言と共に。
・Boss⇒“性能過多な案山子”レギンレイヴ
取り巻き⇒フォトンスフィア×5、マズールギィ（『FC』p.157）×5
カリギュラ? もはや生物の範疇なのか謎。PLとGMの脳にダイレクトアタックをかける代償に八面六臂の活躍を見せる。
グスタフ? 今回のPTの良心。ヒーラーという意味でも安心要因。
ルーサー 占いとは保険であり、つまり前面に出る必要が無かったというのは冒険が順調だったということだろう。
バードアブル? 盾として十全に振る舞えたとは言えないが、呪歌は要所で仕事をしていた。
モミジ 単純な実力なら一級品。ただ、どうも力を持て余しているようにも見える。
ワルキューレ四号機。
単純なカタログスペックもさることながら、大破局の前から遺跡の守護者として戦ってきた経験値がその強さを恐ろしい領域に引き上げている。
施設の管理者を任されるだけあって、姉妹の中ではかなり頭脳明晰で理性的、真面目な性格をしている。
“大魔動機師”ドルッケン・ガーデル
◇依頼
『〈ワルキューレ〉の確保』
・依頼人：“大魔動機師”ドルッケン・ガーデル
・報酬：ひとり20,000G 条件を満たせば倍の40,000G
・詳細
かつてデザイアが汎用性に富んだ兵器を依頼され
ルーンフォークの前身となる人型魔動機を作成したことがあったそうじゃ。
その名も〈ワルキューレ〉シリーズ。
量産には至らず、十機も作らず打ち止めとなった結果だけ見れば失敗と言えよう。
しかし逆に言えば一機一機があの天才のハンドメードということじゃ。
どれほどの情報が詰まっているのか想像するだけでヨダレがとまらんわい。
どうもそれがあの遺跡にある可能性が高い！
確保してくれい！！ もしも稼働する状態で納品してくれたら倍額出すぞ！！！
◇冒険内容
かつてエイギア地方で起きた大規模な魔動機の暴走は
主犯の名前をとってデザイア事件と呼ばれるようになっていた。
「気の毒だったな。まあ、あの男は世が世なら教科書に載るような大物だ。そう気を落とすな」
あの日“大魔動機師”ドルッケンの依頼を受け遺跡に侵入し、あえなく散った〈蒼き剣の雷亭〉の冒険者たち。
彼らの遺体は損壊があまりに激しく、通常の手段では蘇生でなかったため神の奇跡に縋った。
操霊魔法によって可能な限り遺体を修復し、【コール・ゴッド】により蘇生ではなく復活させる。
これはその副産物。
「……男？ いやいや。たしかに記憶は曖昧だが、さすがにそのくらいは間違えないぞ」
失われなかった死亡直前の記憶は重大な心の傷と錯乱、数か月の療養期間。
そしてひとかけらの情報をもたらした。
「俺たちをやったのは、少女。雷を纏った天使だっただろう？」
あそこにはまだ何か潜んでいるらしい。
前回の一件で自粛ムードが漂っているものの、冒険者稼業は原則として自己責任。
あの遺跡はどこの国にも属していないので、無謀上等な冒険者がまた藪をつついて蛇を出してもそれを止める術はない。
かくして、どうせならば大蛇が出ても対処ができるやつらに任せようと集められた石鶏亭の冒険者たち。
金額相応の仕事をしろという要求にモミジがプロ意識の欠けた言葉で返したため、ドルッケンが依頼を取り下げようかわりと真剣に悩む一幕があったものの、周囲のフォローもあり無事出発と相成る。
問題の遺跡は地下へと続く構造になっており、地下一階は居住スペース、地下二階は図書館もかくやという資料室になっていた。
快適な空調、まばゆい照明、以前に入った冒険者が壊したというドゥームの残骸はおろか埃一つ落ちていない清潔さに、この遺跡がまだ生きていることを確信する。
地下三階へと続くゲートを開けるパスワードを探しがてら、手記越しに天才の苦悩に触れる冒険者。
だからといって足を止めるわけでもなく、ゲートをくぐった先にはワルキューレ四号機レギンレイヴが待ち構えていた。
自分の目的はここの守護のみ。いますぐ帰るなら追撃はしないと告げ、ゲートを出口に繋げるレギンレイヴを前に冒険者たちは――
強敵を前にした興奮で出来る限り無傷で回収しろという依頼もきれいさっぱり忘れ交渉らしい交渉もせずに襲い掛かった！
石鶏亭は蛮族の集まりだから仕方が無いね。
ダナンとグスタフが戦場を整え、カリギュラとモミジががっつりと敵陣に食い込む。
バードアブルの呪歌が取り巻きの動きを阻害し、ルーサーがしっかり縁の下でバックアップを維持する。
一秒が一時間にも感じる濃密で激しい戦闘の最中、カリギュラがかろうじて目的を思い出し、交渉。
この身が得たいのなら、自身を差し出さなければ遺跡が守れない武力があると証明してみろとレギンレイヴは要求し、戦闘は継続。
最終的にカリギュラが集中砲火にあい気絶まで追い込まれるものの、その時点で見切りをつけたレギンレイヴは降伏。
冒険者たちは無事にワルキューレを得て帰還するのであった。
ワルキューレは合計九機存在する。
そんな遠雷の如き不安をあおる証言と共に。
・Boss⇒“性能過多な案山子”レギンレイヴ
取り巻き⇒フォトンスフィア×5、マズールギィ（『FC』p.157）×5
参加PCダナン ご存じ謎生物。彼が実はドレイクブロークンだったと果たして何人がおぼえているだろうか。
カリギュラ? もはや生物の範疇なのか謎。PLとGMの脳にダイレクトアタックをかける代償に八面六臂の活躍を見せる。
グスタフ? 今回のPTの良心。ヒーラーという意味でも安心要因。
ルーサー 占いとは保険であり、つまり前面に出る必要が無かったというのは冒険が順調だったということだろう。
バードアブル? 盾として十全に振る舞えたとは言えないが、呪歌は要所で仕事をしていた。
モミジ 単純な実力なら一級品。ただ、どうも力を持て余しているようにも見える。
NPC◇レギンレイヴ（ワルキューレ/推定1000年以上稼働/女性型）
ワルキューレ四号機。
単純なカタログスペックもさることながら、大破局の前から遺跡の守護者として戦ってきた経験値がその強さを恐ろしい領域に引き上げている。
施設の管理者を任されるだけあって、姉妹の中ではかなり頭脳明晰で理性的、真面目な性格をしている。
インタールード
一目で気が合いそうだと感じた。
お互いがお互いに相手のことを『貴重なサンプル』くらいにしか思っていないことが伝わったので。
「参考までにお尋ねしたいのですが」
「ん？ なんなん」
ルキスラ帝国は魔動機文明の知識提供を対価に、レギンレイヴが守護する遺跡周辺の土地がルキスラ領土であり、さらに彼女がそこを管理することを国として認めた。
つまり、レギンレイヴはルキスラ帝国に貴族として認められたのだ。
未開の土地を切り開いた冒険者が土地の管理を国に認められ貴族に、あるいは国の樹立を宣言し自身が王になる英雄譚は少なくないが、魔動機相手にそれはおそらく史上初。
それを妥当と見るか、行き過ぎた厚遇だと捉えるかは人によるだろう。
「父は世界征服をすると豪語し、ドゥームを引き連れて出陣し、そして帰ってくることはありませんでした」
「ああ、聞いとるで。石鶏亭が対処したんやってな」
ウィクトは前者だ。
本名ウィクトーリア・オレア・エウロパエア。
少女も似たような経緯で貴族の地位に収まった身の上、シンパシーのようなものを感じなくもない。
そもそも金の卵を産むガチョウの腹を裂いたところで、中から金塊が得られるとは限らない。
であれば、ドラゴンをつついて起こしたところで鼻歌交じりにミンチに変えられる機械仕掛けの天使を、未踏破の遺跡ひとつの権利で懐柔できるのなら、それは安い買い物と言えるだろう。
天使の逆鱗を踏んだ時には高確率でまっさきに最前線に駆り出される身としても、強くそう感じる。
さらに言えば、当時の識者から解説付きで情報を得られるという条件を考えるともはやこれ以上の環境は望めないのではないかとすら思える。
情報が向こうの一存で選別され、小出しにされることなど些細な問題だ。
今はまだ。
「恨んどるん？」
「いいえ。この身にそのような機能は搭載されていません。あるいは、喪失または未獲得です」
ウィクトが魔動機術の知識を求めユーレリア地方からはるばるザルツ地方に訪れたというのは有名な話だ。
本人が人族最高峰のマギテックということもあり、“大魔動機師”ドルッケンの護衛も兼ねてレギンレイヴの知識提供を目的とした訪問の席に同伴する権利を得ることができた。
そのうち、知識ではなく肉体的な精密作業が要求される危険度の高い試験、実験のたぐいはウィクトとレギンレイヴの二人のみで行うことも出てきた。
最初はお互いに距離感を測るように事務的かつ格式ばったやり取りしか行われなかったものの、回数を重ねれば年頃の少女の一面を有した者同士、作業の合間に雑談くらいはこなせる空気になる。
「ただ、単純に疑問なのです。なぜ父は我々の一機も連れて行かなかったのでしょう？」
どうして連れて行ってくれなかったの？
父親に取り残された小さな娘の泣き声が重なった気がしてウィクトは計器の数値から視線を上げた。
無数の計器に繋がれたレギンレイヴは相変わらずのすまし顔だ。
汎用人型魔動機として表情を変えることはおろか、食事、睡眠、性交に至るまで、人間ができる行為は機体維持的に必要ないものの、行動だけなら一通りなぞらえることが可能なのはこれまでの情報提供で把握している。
『同じ釜の飯を食った仲』とも言う。彼女の製作者はその無駄が人間の共感を獲得するために必要な機能だと知っていたのだろう。
「この身が刃を交えた面々は石鶏亭でも頂点に近い実力者だと知りました。ならば父と同じくコールドスリープを選んだ姉妹とこの身を同伴させれば、世界征服が単なる狂人の妄言に終わらない可能性は高かったはずです」
「なんや、そんなことか」
ウィクトは頭を掻こうとして、手が煤で汚れているのに気づいてやめた。
下手に汚すと後で髪を洗うのが面倒だ。ただでさえ長い髪は手入れに手間がかかる。ならば何故わざわざ伸ばしているのかというと、年頃の女の子らしい見栄という一面もあるが、精神状態を測る物差しの一環というのが大きかったりする。
身だしなみというのは整えなくても死なない。精神的な余裕が無ければ手を付けにくい部分だ。だからこそ梳り香油を塗り込む行為は精神安定のルーティーンに使える。逆に、乱れた髪を見ることでいま自分に余裕がないことを客観視することもできる。
傭兵時代の戦場で身に着けた、殺伐が過ぎるお洒落だった。
「そんなこと、とは？」
「キミ兵器なのにわからへんのやなぁ。いや、兵器だから、か？」
表情筋はほとんど動かないのに目の奥にまたたく感情の光が彼女の張り詰めた心情を物語る。よくできた人形だと思った。製作者のこだわりがうかがえる。
「戦場に連れて行くんはな、死んでもええと思う相手だけや」
争う以上、命は傷つき失われる。勝敗で決まるのはその多寡と、内訳が敵か味方かという些細な違いだけだ。
「キミらのおとんはキミらに死んでほしくなかったんやろ」
たとえそれが兵器として作られた相手に対する侮辱だとしても。
存在意義の否定だったとしても。
自分のわがままで引き起こされる闘争に、娘たちを巻き込みたくなかった。
それだけの話だ。
「……そうですか」
レギンレイヴは噛み締めるにうつむくと、もう一度そうですか、とつぶやいた。
ウィクトは鼻を鳴らすと作業を再開する。
あまりじろじろと眺め続けるのはひととして間違っている。魔動機相手に素直にそう感じた自分をごまかすために。
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