管理人さんが帰ってくるまでの仮まとめです

ポジティブ過ぎるヤンデレ



私は一人の男に人生をめちゃくちゃにされた。つきまとわれ、気持ち悪い愛の言葉を嫌になる程浴びせられ、私は自分の恋人だと周囲に言いふらされた。
逃げても逃げても私の前に現れ、他人は彼を疑う事もせず、彼を避け、感情が昂り罵声を浴びせる私を凶弾した。

お陰で実家にも帰れず、親までも彼の味方につき精神異常のレッテルを貼られた。無実の逃亡生活の途中、生きる為にした借金も職を失い、月々の返済分も返せなかった。
借金の総額は数十万円、それなりに安定した職について入ればボーナスで返してお釣りが来る程度だ。
それすらも私には返せず、夜の仕事も行為経験すらない処女の私には上手くこなせなかった。商売柄美容院や化粧品代がかかるが、美容院には二ヶ月に一度通い、ドラッグストアで買ったヘアケア剤を毎日使い、夜の仕事の時だけはフルメイクをした。
久しぶりのおしゃれに、こんなにも楽しかったのを痛感した。田舎のスナックで週2回働いても返済分にしかならないが、この仕事でなんとか借金を返そうと前向きになっていた。あの悪魔がやってくふまでは?

お客さんとカラオケで盛り上がっているところに、あいつは現れた。
ドアにその姿を確認した瞬間、私はマイクを落とし固まった。田舎には似つかわしくない、洗練された高価な服に、整った顔立ちと長身。私の人生を弄ぶ悪魔は、普通なら好感を持つ美しい容姿をしていた。
「喪子…!やっと見つけた…」
駆け寄って、ママもお客さんも見てる中で抱きしめる。恐怖から何も考えずに怒鳴り散らし、彼を突き飛ばした。
「喪子…失礼しました、ママさん、ですね?
喪子はそう思ってませんが、喪子と付き合っていた病田ヤンと申します。」
名刺を見たママが声を上げる。
「あ、どうも…あら、お医者さん、精神科の先生…」
名刺には隣県の病院の精神科医だと書かれてるらしい。
「楽しく飲んでらっしゃるところ、申し訳ないです…喪子は気分に波があって、突然連絡を絶ったり、嘘をついたら…興奮すると付き合っていた事すらなかったことにして、今みたいになるんです。落ち着いていれば、きちんと彼氏として接してくれるんですが…」
喚く私をよそに、ママにでっち上げた嘘を、至極悲しそうに話す。財布だけを取って裏から逃げようとしたが、女の子に腕を掴まれ連れ戻された。
「喪子、お母さんとお父さんも心配してる。今電話で話してるから…」
『喪子!そんな遠くにまで…ヤンさんは喪子を探す為に、わざわざ転職してくださったんだよ…』
母から離れたところから、父の怒鳴り声が聞こえる
『お前のせいでヤンさんをこんなに振り回したんだ、まさか結婚してくれなんて言えないけど…ちゃんと言うことを聞いて、病気を治すんだよ』

今月分の給料を渡され、周りの人にヤンの車に乗せられる。運転席でドアをロックされて降りれない。
この悪魔は見た目がよく医者になるだけこ頭脳を持ち眉目秀麗なだけではなく、他人に愛され、ウソさえも信じ込ませるカリスマ性を持っていた。

スナックが見えなくなり、駅前から少し離れただけで人気はない。空き地に車を停めると、満面の笑みのヤンが後ろに身を乗り出す。
「喪子、今回の試練は難しかったよ。家にいる時間が少ないから、アパート特定できないんだ」
「触るな、ここから出せ!」
「見つかったんだから、ゲームセットだよ。当分僕は喪子と同棲生活のご褒美だね」
後部座席に入ると、準備してあったボールギャグを咬まされ、手錠、足枷で身動きが取れなくなる。
「前回は喪子が抵抗度合いを強めて、窓ガラスに頭をぶつけて大変だったよ。結局頭をぶつけすぎてふらふらしてたけど。傷ついて欲しくないから、これを用意したよ」
ヤンの手に握られていたのは、犬がつけるような首輪とリード。抵抗するが、首輪を嵌められ、リードを座席の下部に結ばれる。窓から外を覗くこともできない。
「SMプレイしてるみたいで、えっちで可愛いよ…追いかけられて捕まえて欲しくて、わざと逃げるなんてやっぱり喪子はMなのかな?落ち着いておとなしくなったら、そういう事も夫婦生活に取り入れていこうね。
僕が喪子に飽きるなんて有り得ないけど、喪子は常に刺激がないとダメな質だからなぁ…」
私のワンピースを捲り上げ、ストッキングを破り、媚薬と玩具を下半身に用いた。
「ふふ、喪子の為に用意したんだ♪すぐに家に連れて帰って可愛がってあげたいけど、喪子が悦ぶ手錠と首輪じゃあ、見られたら面倒だからドライブしようか」
今度はマンションではなく人里離れた一軒家、市街地まで車で20分、隣家まで歩いて5分、一番近いコンビニでも車で行く距離だという。
「みんなには病気の彼女と暮らす為に外れに借家を借りたって言ってあるんだ。喪子の好きな監禁プレイに使う部屋と、僕達の診察は別に用意してあるし、事情は話してるし僕は仕事でいないほうが多いのもご近所は分かってるから干渉してこない。二人きりで、喪子はうちの中で僕だけを見てずっと愛されて永遠の蜜月を過ごそうね」
気持ち悪い自己陶酔した愛の言葉。薬と道具による私の変化すら、彼には自分の手で、自分だから起きている現象に見えているんだろう。
「ねえ、僕の愛を試したいのも、それを何度も確認せずにはいられないのはよく分かったよ。
でも、もう10年以上愛し続けて、姿を消す度に見つけて、恋人じゃないと嘘をついてはその試練を乗り越えてきたんだからいい加減信じてくれてもいいんじゃない?もうこんなの終わりにしようよ、二人で田舎で穏やかに暮らそうよ」
私だけが知る現実とヤンは違う世界を見てる。この異常者にはそれを真実にする力があり、私は非力で平凡だった。その事実をぼんやりとした頭で実感し、意識を手放した。

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