管理人さんが帰ってくるまでの仮まとめです

1レスで終わる愛しくて首を絞めちゃうヤンデレ君です。





 夜の海を走ったんだ。バイクに跨がって。後ろに喪子を乗せて。
 静かな海だった。夜だから海は真っ黒だったけど。でも街灯のお陰できらきらしてた。きれいだったんだ。
 喪子はすごく喜んだんだ。きれいだねって。青白い肌がピンクになるくらい喜んでたんだ。
 喪子の嬉しそうな横顔がすごくきれいで、俺は見とれちゃって。愛しいってこういうことか、って柄にもなく考えたりして。
 で、気づいたら喪子の首に手が伸びてたんだ。俺の両手、喪子の首を掴んでたんだ。親指が交差してた。
 喪子、すごい力で暴れた。俺、何してんだろうって慌てて手を離して謝ったんだ。殺したいとかこれっぽっちも思ってない。喪子の嬉しそうな顔見たら胸の中に何かが溢れて、気づいたら首に、手が。
 喪子は泣いてた。触らないでって、俺の手を払い除けた。そりゃあ、そうだよなぁ。怖いよなぁ。
 ぼろぼろ落ちる涙がきれいで、でももう俺の胸の中に何かが溢れることはなくて、ただただ痛くって。
 何度も謝ったんだ。笑ってほしくて冗談も言ったんだ。でも喪子は笑ってくれなくて、ますます俺から離れて。苦しくて、苦しくて。気がついたらまた、首に、手が。
 ごめん、ごめんって謝ったんだ。許してほしかったんだ。また笑ってほしかったんだ。でも喪子は許してくれなかった。笑ってくれなかった。
 殺したかったんじゃないんだ。好きなんだ。愛しくてたまらないんだ。なのにどうして俺の手は喪子の首を、何でこんなこと、何で、どうして。
 もう笑ってくれない。もう許してくれない。起きてくれよと泣きついても、もうあの優しい声は聞けない。嬉しそうな顔も見れない。青白い肌が色づくことはない。
 諦めきれなくて、もしかしたら喪子は目を覚ますかもしれないと思って、俺は喪子を連れて帰ったんだ。ずっと、ずっと、そばで待ってたんだ。
 ……そんなわけで、俺は腐ってく喪子とずっとあの部屋にいたんだよ、刑事さん。

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