《無口で甘えん坊な彼女〜俺と彼女と母親と〜》
《無口で甘えん坊な彼女〜俺と彼女と母親と〜》
「おい、雪春〜今日帰りヒマか?」
今日も学校での一日が終わり、帰り支度をしている中、俺は友人に呼び止められた。
「悪い、今日は無理」
断るのは忍びないが仕方がない。今日は用があるのだ、とても大切な。
俺は教室を出て急いで校門まで行く、既にそこには同じ高校の制服に身を包み、オレンジ色のリボンで髪を結んだ少女が待っていた。
「………」
目の前の彼女は少し不機嫌らしい。遅刻に関してはいつも寛大なはずだが。
「悪い秋葉、担任の話が長くて、あとちょっと話しかけられて。って怒ってる?」
珍しく不機嫌な秋葉の様子が不安になり俺は問いかける。
「………いや、ただ…」
「ただ?」
「……一人でここにいるの寂しいから…」
そう呟くとちょっとバツの悪そうな顔をする秋葉。いつも甘えてくる秋葉もたまに恥ずかしがる時がある。
出会って六年経つが基準は未だによくわからない。
「寂しいって…まぁいいか。とにかく帰るぞ、母さんが待ってるし」
帰り道、俺達は相変わらず一回も手を繋ぐことなく家の前まで来ていた。
家に入ると奥から母さんが来て出迎える。服装を見るにどうやら料理の真っ最中のようだ。
「ただいま、母さん」
「はい、おかえりなさい雪春。もちろん秋葉ちゃんもね」
「………ただいま…」
秋葉が学校から直接家に来るとき母さんは必ず『いらっしゃい』ではなく『おかえりなさい』と迎える。
さすがの秋葉も初めは戸惑っていたけど今ではすっかり慣れたらしく、当たり前のように返事をする。
「……手伝う…?」
「あら、ありがとう。でもそんなに大変じゃないし大丈夫よ。休んでらっしゃい」
まだ何か言いたそうな秋葉だったけどコクリと頷くと俺よりも先に上へ行ってしまった。
「じゃあ夕飯になったら呼んでよ」
「はいはい分かったわ、そういえば雪春――」
階段に足をかけようとしたその時母さんが思い出したように呼び止める。
「二人ともまだ結婚してないんだから避妊だけはちゃんとしなさいよ。私まだおばあちゃんにはなりたくないし」
母さんからの強烈な一言。しかもその理由が微妙にズレている気がしてならないが…
「ッ!!何言ってんだよ。ほら焦げた臭いしてるよ、早く戻ったら?」
「あらあら、大変!雪春の大好きなお肉が…」
慌てて戻る母さんを見届けつつ俺も自分の部屋へと向かう。
ドアを開けた瞬間、秋葉が抱きついてきた。
不意に人が抱きついてきたらさすがの俺も踏ん張り切れないわけで…
結果として秋葉が押し倒すような形となっている。
ほのかに香るいい匂いとわずかに上気する秋葉の綺麗な顔を間近にして鼓動が速くなるのを感じた。
「………したい…」
元々少し赤くなっていた顔をさらに赤くさせ秋葉が耳元でそっと呟く。
「したいって何?いつもみたいにこうやってくっついてスリスリすること?」
可愛い秋葉の様子にちょっと意地悪したくなり、わざととぼけてみせる。
「………違う…エッチがしたくなったゃったの…」
こう素直に言われるとちょっと物足りない気もするが…
そんなことを言われて完全に俺自身もスイッチが入り、身を起こして彼女をベットに運ぶと間髪入れずに唇を重ねる。
「………んんっ…ん」
互いに舌を激しく絡め合わせていく。息継ぎする時間すらもったいない。もはや自分の舌か秋葉なのかも分からないほどだ。
「………ぷはッ…はぁはぁ」
さすがに息苦しくなった秋葉が唇を離す。もう一度キスをしようとする僕を制して秋葉は制服を脱ぎ出す。
「…皺になっちゃうから……」
服を脱ぐ秋葉に見とれていた俺の視線に気付いたのか、少し恥ずかしそうに秋葉が言う。
何度も見てきたけど、一糸纏わぬ姿になった秋葉はとても綺麗で思わず見とれてしまう。
白い肌に引き締まった体、それでいて女性らしい柔らかさが表れている。
華奢な体つきだが、ほどよい大きさで形のいい胸。その頂にあるピンク色の蕾は既に自己主張していた。
そんな秋葉を見て俺自身がいきり立つ、ズボンの中がとても窮屈だ。
秋葉もその様子に気付いたのかそっと近付くと俺の服を脱がしていく。解放された俺自身が秋葉の目の前に晒される。
「……今日も元気だね………」
「悪い。なんか今日の俺余裕ない」
「………うん、私も。…いいよ…来て」
どうやらいつも以上に興奮しているのは俺だけじゃないらしい。
俺は横になった秋葉の足をそっと開く、ピンク色に染まった秋葉の秘所は既に洪水状態でいやらしく光っていた。
「いつも人に変態っていうくせに…何もしてないのに濡れてんぞ」
「………雪春とするって思うと……はんっ」
秋葉が話している途中だったが俺は我慢しきれず自身を秋葉の中に押し込んだ。
充分濡れていた秋葉の中は強く俺自身を締め付けてくる。キツいはずなのにどこか柔らかさを感じる秋葉の中。
絡み付いてくるそこは意志を持っているかのように刺激してくる。
その感触を味わうかのように俺は腰を動かし始めた。
「……はん、…あっ…ひゃ…」
聞こえるのは秋葉の押し殺した、か細い声と二人の結合部からのなまめかしい水音。それらの音がさらに俺を興奮させていく。
「……あんっ…、ねえ…、あっ…ギュッて……んんっ」
快感に溺れながらも秋葉がお願いをしてくる。
俺は腰を休ませずに秋葉に抱きつき、そのまま唇を合わせる。押しつぶされても押し返そうとする秋葉の双丘の感触がまたたまらない。
「…ぴちゃ…んんッ…はんッ……あんッ」
―繋がりながら抱き合ってキスをする―
秋葉が行為中一番好きなことだ。そのためか秋葉の中が激しく動き出す。一気に射性感がのぼりつめてる。
「くっ、秋葉そろそろヤバいかも」
「……はッ、…私…も…はんんッ」
かすかに口から一際高い媚声をもらしながら、潤んだ瞳でこちらを見て秋葉が訴えかける。
それに答えるように俺も腰の動きを速くしていく。
「んんん―――――!!」
先に達したの秋葉だった。今まで一番大きな声を上げて快感に溺れている。
体を弓なりにして足を俺に絡ませ、俺自身をさらにギュッと締め付けた。
「ちょっ、そんなに締めんなっ、くッ」
与えられる快楽に酔いしれながら俺も白濁液を秋葉の中に放出する。
「……ひゃッ…ダメ、またイっちゃ…んんんッ」
どうやら射精に合わせてまたイってしまったらしい。そんな間も俺は秋葉の中で出し続けた。
射精も終わり俺は自身を秋葉の中から引き抜く。それは秋葉と俺の蜜によっていやらしくテカテカと輝いていた。
幸福な倦怠感の中俺たちは再び抱き合って軽いキスをする。
「……はぁはぁ」
「大丈夫か、激しすぎた?」
「……うんん、大丈夫。気持ちよかったよ……」
嬉しそうな秋葉の微笑をみて俺は安堵の声をもらす。
「そうか、なら良かった」
「……雪春…大好き…」
俺に体を預けてスリスリしている秋葉が不意に言い出す。
というより秋葉の大好きはいつも不意打ちなのだが。
よく何度も言うとありがたみが薄れると言われるけど、秋葉からの『大好き』は何度聞いてもやっぱり嬉しい。
普段自分の口から感情を表現することのない秋葉が言ってくれるのだから。
「俺も。」
―大好きだよ―とは少し恥ずかしくて言えなかった。
「………そういえば…」
お互いの体を拭き着替えている途中で秋葉が呟く。
「ん?どうした?」
「……今日は安全な日だから……」
その言葉を聞いて俺は顔から血が引くの自分でも感じた。直前に人から注意されておいて……
もし安全日じゃなかったらどうするつもりだったんだ?と自問する。
けれどもその答えはすぐに見つかった。
俺は秋葉の方に向かって座り直し、真っ直ぐと目を見据える。
「なぁ秋葉」
「……?」
「大丈夫、何があっても俺は秋葉を裏切らない。ずっとそばにいるから」
一気に俺は言い切る。恐らく顔が赤くなっているのは気付かれていると思う。
秋葉は一瞬キョトンとしたがすぐに頬を赤く染めゆっくりと口を開く。
「…それ……もしかしてプロポーズ」
「いやっ!べ、別にそういうつもりじゃなくて」
「………また違うの…?」
「なんだその今のは俺への誓いというか…そのだから」
ジーっと秋葉が俺を見つめてくる
「…………」
決心して俺は口を開いた。
「プロポーズする時はもっとちゃんとした所で言うから待っててくれるか?」
しばらくの沈黙のあと秋葉はコクリと頷いた。その瞳は涙で美しく輝いている。
「……私…待ってる……」
俺にはプロポーズなんてまだ出来ない。そんな無責任なことは出来るはずがない。
もっと秋葉を支えられるような男になるまで。
でもいつか必ず、必ず迎えに行く。心の中で決心する。
そのまま二人でまったりしていると下から母さんの呼び声が聞こえてくる。
降りていくとテーブルの上には夕食が並んでいた。
三人で食卓を囲み、箸を進めていると不意に母さんが口を開いた。
「そういえば雪春、例の件春信さんも私もOKよ」
「え、父さんもOKって言ってた?」
「ええ、雪春はもう大人みたいなものだもの。いちいち口を挟まないわ。でも秋弘さんにも改めてお願いするのよ」
するとそれまで黙々と食べ続けていた秋葉が口を開いた。
「大丈夫………元々お父さんが言い出したことだから…」
「分かってるわ秋葉ちゃん、でもケジメは付けないと。秋弘さんも可愛い一人娘が心配でしょうしね」
まるで俺を信用していないような言い草だが、さっきの避妊の件もあり何も言い返せない。
「それにしても秋葉ちゃん可愛い声出すのね、聞いてるこっちも恥ずかしくなっちゃうわ」
「ぐほっ!!」
「…………!!!」
突拍子もない母さんの発言に俺がむせかえる。秋葉を見ると真っ赤になっていた。
「ふふっ、やっぱり秋葉ちゃんは可愛いわね。雪春にはもったいないくらいだわ」
微笑みながら母さんは相変わらずマイペースに話続ける。
「……でも…私は雪春が大好きだから…」
「だって雪春。良かったわね、こんなに良い子で可愛いくて、エッチな女の子はそうはいないわよ」
褒められて照れたのか秋葉が下を向く。
でも今何食わぬ顔で凄いことを言っていたような…これぞ『知らぬが仏』といつやつか。
「あーあ。早く春信さん帰って来ないかしら。二人を見てると私も会いたくなっちゃったわ」
とにかくこれからも母さんの天然というか、マイペースさにかなわないだろう。改めて俺は悟った。
夕食も終わり、帰宅するという秋葉を送り届ける。といっても一軒挟んで隣だけど…
「……今度の土日のどっちかはお父さん家にいるかもって…」
「そっか大変だな秋弘さんも」
秋葉のお父さんは何かと出張が多いらしく家にいないことがほとんどだ。とはいえ家の父さんも似たようなもんだけど。
だから今日みたいに秋葉が夕飯を食べに家に来ることがある。
「じゃあまた明日の朝な」
「………うん」
そう言うと秋葉は軽く唇を重ねてきた。
「………おやすみ…」
「ああ、おやすみ」
互いに離れてそれだけ言い合うと秋葉は家の中に入っていった。誰もいない家の中へ。
幸福感を感じる中そのことを思うと少しだけ胸が痛んだ。
「いつか必ずお前を支えられる男になって迎えに行くからな」
閉まった扉を見ながらそう俺は一人呟くと、我が家へと足を進めた。
前話 次話
作者 こたみかん ◆8rF3W6POd6
「おい、雪春〜今日帰りヒマか?」
今日も学校での一日が終わり、帰り支度をしている中、俺は友人に呼び止められた。
「悪い、今日は無理」
断るのは忍びないが仕方がない。今日は用があるのだ、とても大切な。
俺は教室を出て急いで校門まで行く、既にそこには同じ高校の制服に身を包み、オレンジ色のリボンで髪を結んだ少女が待っていた。
「………」
目の前の彼女は少し不機嫌らしい。遅刻に関してはいつも寛大なはずだが。
「悪い秋葉、担任の話が長くて、あとちょっと話しかけられて。って怒ってる?」
珍しく不機嫌な秋葉の様子が不安になり俺は問いかける。
「………いや、ただ…」
「ただ?」
「……一人でここにいるの寂しいから…」
そう呟くとちょっとバツの悪そうな顔をする秋葉。いつも甘えてくる秋葉もたまに恥ずかしがる時がある。
出会って六年経つが基準は未だによくわからない。
「寂しいって…まぁいいか。とにかく帰るぞ、母さんが待ってるし」
帰り道、俺達は相変わらず一回も手を繋ぐことなく家の前まで来ていた。
家に入ると奥から母さんが来て出迎える。服装を見るにどうやら料理の真っ最中のようだ。
「ただいま、母さん」
「はい、おかえりなさい雪春。もちろん秋葉ちゃんもね」
「………ただいま…」
秋葉が学校から直接家に来るとき母さんは必ず『いらっしゃい』ではなく『おかえりなさい』と迎える。
さすがの秋葉も初めは戸惑っていたけど今ではすっかり慣れたらしく、当たり前のように返事をする。
「……手伝う…?」
「あら、ありがとう。でもそんなに大変じゃないし大丈夫よ。休んでらっしゃい」
まだ何か言いたそうな秋葉だったけどコクリと頷くと俺よりも先に上へ行ってしまった。
「じゃあ夕飯になったら呼んでよ」
「はいはい分かったわ、そういえば雪春――」
階段に足をかけようとしたその時母さんが思い出したように呼び止める。
「二人ともまだ結婚してないんだから避妊だけはちゃんとしなさいよ。私まだおばあちゃんにはなりたくないし」
母さんからの強烈な一言。しかもその理由が微妙にズレている気がしてならないが…
「ッ!!何言ってんだよ。ほら焦げた臭いしてるよ、早く戻ったら?」
「あらあら、大変!雪春の大好きなお肉が…」
慌てて戻る母さんを見届けつつ俺も自分の部屋へと向かう。
ドアを開けた瞬間、秋葉が抱きついてきた。
不意に人が抱きついてきたらさすがの俺も踏ん張り切れないわけで…
結果として秋葉が押し倒すような形となっている。
ほのかに香るいい匂いとわずかに上気する秋葉の綺麗な顔を間近にして鼓動が速くなるのを感じた。
「………したい…」
元々少し赤くなっていた顔をさらに赤くさせ秋葉が耳元でそっと呟く。
「したいって何?いつもみたいにこうやってくっついてスリスリすること?」
可愛い秋葉の様子にちょっと意地悪したくなり、わざととぼけてみせる。
「………違う…エッチがしたくなったゃったの…」
こう素直に言われるとちょっと物足りない気もするが…
そんなことを言われて完全に俺自身もスイッチが入り、身を起こして彼女をベットに運ぶと間髪入れずに唇を重ねる。
「………んんっ…ん」
互いに舌を激しく絡め合わせていく。息継ぎする時間すらもったいない。もはや自分の舌か秋葉なのかも分からないほどだ。
「………ぷはッ…はぁはぁ」
さすがに息苦しくなった秋葉が唇を離す。もう一度キスをしようとする僕を制して秋葉は制服を脱ぎ出す。
「…皺になっちゃうから……」
服を脱ぐ秋葉に見とれていた俺の視線に気付いたのか、少し恥ずかしそうに秋葉が言う。
何度も見てきたけど、一糸纏わぬ姿になった秋葉はとても綺麗で思わず見とれてしまう。
白い肌に引き締まった体、それでいて女性らしい柔らかさが表れている。
華奢な体つきだが、ほどよい大きさで形のいい胸。その頂にあるピンク色の蕾は既に自己主張していた。
そんな秋葉を見て俺自身がいきり立つ、ズボンの中がとても窮屈だ。
秋葉もその様子に気付いたのかそっと近付くと俺の服を脱がしていく。解放された俺自身が秋葉の目の前に晒される。
「……今日も元気だね………」
「悪い。なんか今日の俺余裕ない」
「………うん、私も。…いいよ…来て」
どうやらいつも以上に興奮しているのは俺だけじゃないらしい。
俺は横になった秋葉の足をそっと開く、ピンク色に染まった秋葉の秘所は既に洪水状態でいやらしく光っていた。
「いつも人に変態っていうくせに…何もしてないのに濡れてんぞ」
「………雪春とするって思うと……はんっ」
秋葉が話している途中だったが俺は我慢しきれず自身を秋葉の中に押し込んだ。
充分濡れていた秋葉の中は強く俺自身を締め付けてくる。キツいはずなのにどこか柔らかさを感じる秋葉の中。
絡み付いてくるそこは意志を持っているかのように刺激してくる。
その感触を味わうかのように俺は腰を動かし始めた。
「……はん、…あっ…ひゃ…」
聞こえるのは秋葉の押し殺した、か細い声と二人の結合部からのなまめかしい水音。それらの音がさらに俺を興奮させていく。
「……あんっ…、ねえ…、あっ…ギュッて……んんっ」
快感に溺れながらも秋葉がお願いをしてくる。
俺は腰を休ませずに秋葉に抱きつき、そのまま唇を合わせる。押しつぶされても押し返そうとする秋葉の双丘の感触がまたたまらない。
「…ぴちゃ…んんッ…はんッ……あんッ」
―繋がりながら抱き合ってキスをする―
秋葉が行為中一番好きなことだ。そのためか秋葉の中が激しく動き出す。一気に射性感がのぼりつめてる。
「くっ、秋葉そろそろヤバいかも」
「……はッ、…私…も…はんんッ」
かすかに口から一際高い媚声をもらしながら、潤んだ瞳でこちらを見て秋葉が訴えかける。
それに答えるように俺も腰の動きを速くしていく。
「んんん―――――!!」
先に達したの秋葉だった。今まで一番大きな声を上げて快感に溺れている。
体を弓なりにして足を俺に絡ませ、俺自身をさらにギュッと締め付けた。
「ちょっ、そんなに締めんなっ、くッ」
与えられる快楽に酔いしれながら俺も白濁液を秋葉の中に放出する。
「……ひゃッ…ダメ、またイっちゃ…んんんッ」
どうやら射精に合わせてまたイってしまったらしい。そんな間も俺は秋葉の中で出し続けた。
射精も終わり俺は自身を秋葉の中から引き抜く。それは秋葉と俺の蜜によっていやらしくテカテカと輝いていた。
幸福な倦怠感の中俺たちは再び抱き合って軽いキスをする。
「……はぁはぁ」
「大丈夫か、激しすぎた?」
「……うんん、大丈夫。気持ちよかったよ……」
嬉しそうな秋葉の微笑をみて俺は安堵の声をもらす。
「そうか、なら良かった」
「……雪春…大好き…」
俺に体を預けてスリスリしている秋葉が不意に言い出す。
というより秋葉の大好きはいつも不意打ちなのだが。
よく何度も言うとありがたみが薄れると言われるけど、秋葉からの『大好き』は何度聞いてもやっぱり嬉しい。
普段自分の口から感情を表現することのない秋葉が言ってくれるのだから。
「俺も。」
―大好きだよ―とは少し恥ずかしくて言えなかった。
「………そういえば…」
お互いの体を拭き着替えている途中で秋葉が呟く。
「ん?どうした?」
「……今日は安全な日だから……」
その言葉を聞いて俺は顔から血が引くの自分でも感じた。直前に人から注意されておいて……
もし安全日じゃなかったらどうするつもりだったんだ?と自問する。
けれどもその答えはすぐに見つかった。
俺は秋葉の方に向かって座り直し、真っ直ぐと目を見据える。
「なぁ秋葉」
「……?」
「大丈夫、何があっても俺は秋葉を裏切らない。ずっとそばにいるから」
一気に俺は言い切る。恐らく顔が赤くなっているのは気付かれていると思う。
秋葉は一瞬キョトンとしたがすぐに頬を赤く染めゆっくりと口を開く。
「…それ……もしかしてプロポーズ」
「いやっ!べ、別にそういうつもりじゃなくて」
「………また違うの…?」
「なんだその今のは俺への誓いというか…そのだから」
ジーっと秋葉が俺を見つめてくる
「…………」
決心して俺は口を開いた。
「プロポーズする時はもっとちゃんとした所で言うから待っててくれるか?」
しばらくの沈黙のあと秋葉はコクリと頷いた。その瞳は涙で美しく輝いている。
「……私…待ってる……」
俺にはプロポーズなんてまだ出来ない。そんな無責任なことは出来るはずがない。
もっと秋葉を支えられるような男になるまで。
でもいつか必ず、必ず迎えに行く。心の中で決心する。
そのまま二人でまったりしていると下から母さんの呼び声が聞こえてくる。
降りていくとテーブルの上には夕食が並んでいた。
三人で食卓を囲み、箸を進めていると不意に母さんが口を開いた。
「そういえば雪春、例の件春信さんも私もOKよ」
「え、父さんもOKって言ってた?」
「ええ、雪春はもう大人みたいなものだもの。いちいち口を挟まないわ。でも秋弘さんにも改めてお願いするのよ」
するとそれまで黙々と食べ続けていた秋葉が口を開いた。
「大丈夫………元々お父さんが言い出したことだから…」
「分かってるわ秋葉ちゃん、でもケジメは付けないと。秋弘さんも可愛い一人娘が心配でしょうしね」
まるで俺を信用していないような言い草だが、さっきの避妊の件もあり何も言い返せない。
「それにしても秋葉ちゃん可愛い声出すのね、聞いてるこっちも恥ずかしくなっちゃうわ」
「ぐほっ!!」
「…………!!!」
突拍子もない母さんの発言に俺がむせかえる。秋葉を見ると真っ赤になっていた。
「ふふっ、やっぱり秋葉ちゃんは可愛いわね。雪春にはもったいないくらいだわ」
微笑みながら母さんは相変わらずマイペースに話続ける。
「……でも…私は雪春が大好きだから…」
「だって雪春。良かったわね、こんなに良い子で可愛いくて、エッチな女の子はそうはいないわよ」
褒められて照れたのか秋葉が下を向く。
でも今何食わぬ顔で凄いことを言っていたような…これぞ『知らぬが仏』といつやつか。
「あーあ。早く春信さん帰って来ないかしら。二人を見てると私も会いたくなっちゃったわ」
とにかくこれからも母さんの天然というか、マイペースさにかなわないだろう。改めて俺は悟った。
夕食も終わり、帰宅するという秋葉を送り届ける。といっても一軒挟んで隣だけど…
「……今度の土日のどっちかはお父さん家にいるかもって…」
「そっか大変だな秋弘さんも」
秋葉のお父さんは何かと出張が多いらしく家にいないことがほとんどだ。とはいえ家の父さんも似たようなもんだけど。
だから今日みたいに秋葉が夕飯を食べに家に来ることがある。
「じゃあまた明日の朝な」
「………うん」
そう言うと秋葉は軽く唇を重ねてきた。
「………おやすみ…」
「ああ、おやすみ」
互いに離れてそれだけ言い合うと秋葉は家の中に入っていった。誰もいない家の中へ。
幸福感を感じる中そのことを思うと少しだけ胸が痛んだ。
「いつか必ずお前を支えられる男になって迎えに行くからな」
閉まった扉を見ながらそう俺は一人呟くと、我が家へと足を進めた。
前話 次話
作者 こたみかん ◆8rF3W6POd6
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2008年09月07日(日) 21:29:23 Modified by n18_168