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オープン戦


 寒い。こんな時期にわざわざ屋外球場までオープン戦を観戦しに来なくてもいいではないか。
「……?」
 寒い寒いと股に手を差し込んで身体を揺らしている俺と対照的に、彼女はグラウンドを注視していた。毛糸の
帽子で耳まで隠し、異様に長いマフラーをきっちり巻いて、手袋をはめて、持ち込んだ魔法瓶から湯気の立つ中
身をコップに注いでいた。
「……野球場って持ち込み禁止なんじゃないの?」
 それくらい分かっている、といった素振りでコップの中身を啜る。漂ってくる香りからしてミルクティーらし
い。
「寒くて、風邪引くから」
 今年は季節外れの寒気のお陰で、オープン戦終盤の今の時期でも雪が降りそうな気温だった。
「ところでそれを俺にくれたりしな……ダメですかそうですか」
 つーんとそっぽを向かれたので諦める。仕方がないので売店にでも行くか、と立ち上がると、コートの裾を捕
まれた。
「売店で飲み物買ってくるだけだから」
「ほんと?」
「本当本当」
「……煙草吸ってきたら、怒る」
 うぐ、と喉を鳴らしてしまう。彼女は喉が弱いとかで俺にも禁煙を頼むのだ。最初のうちは俺もヘビースモー
カーというわけではないので何ともなかったのだが、こう常日頃から一緒にいると……我慢も結構辛いものだ。
 ちなみに、一本くらいバレないと思うのは喫煙者の思い上がり、とは嫌煙者である彼女の言い分である。
「分かりました、買ったらすぐに戻ってくるから。俺も新戦力見たいしね」
 そう言って俺は人もまばらな観客席を抜け、熱心な応援団を横目に見ながら売店へ駆け込んだ。

 試合も終盤、両軍の選手は既に半数ほどが入れ替わっていた。
 お目当ての大物移籍選手やベテランはとっくの昔にベンチに引っ込んでいるし、目を引く新人も分からない俺
は手持ち無沙汰だった。
 一方の彼女は急に吹き出した海沿いの風に飛ばされそうな最新の選手名鑑とにらめっこをしている。代打で出
てきた若手のデータを調べているらしい。
「どんな選手?」
「……ウエスタンはこっちじゃ滅多に見れないから」
 要するに分からないわけか。こういう冊子には数字しか載っていないからな。
「打つと思う?」
「当然」
 伝統あるトラーズの一員なのだから打ってくれないと困る、という意味だ。付き合ってからもうすぐ3年、こ
れくらいのことは分かるようになってきた。阿吽の呼吸、ツーカーの関係という奴だ。俺は彼女のいい嫁になれ
る自信がある。
「どんな選手なの?」
「えっと――」
 また膝に置いた分厚い名鑑に目を落とす彼女の肩を抱き寄せる。
「よく聞こえない」
「……んっとね?」
 俺に見えるように持ち上げると、名鑑のページを指さす。
「なになに、『50m5秒台の走力と意外性のあるバッティング』? なんかよく見る文言だなあ」
「だね」
 未だ活躍の見られない選手につけられがちなコメントだった。あとは『300kgを誇る背筋』『ベンチプレスで
120kgを軽々と上げる肉体』『最速148km/hのストレート』あたりがよくあるか。実績がないので目に見える数字
以外に書くことがないのだ。
 これが次第に『二軍ではレギュラー』や『一軍定着を目指す』になり、『レギュラー候補』『不動のレギュ
ラー』『チームの顔』『タイトルを狙う』と推移していく。当然『未完の大器も後が無くなった』となる選手の
ほうが圧倒的に多いのだが。
 そんな風に名鑑を眺めているとスタンドが沸いた。慌てて辺りを見回すと、さっきの若手がダイヤモンドを小
走りで駆け抜けていた。どうも向こうの外野スタンドに叩き込んだらしい。
「……まさに意外性だね」
「……うん」
 彼女はいい場面に出会えなかったことに疲れたのか、俺のほうへ体重を預けてまた名鑑に集中し始めた。

 * * * * * *

「何か食べて帰る? ……ああ、ここまで来たんだし、ちょっと寄ってみようか」
 街灯に掲げられた中華料理の看板を指さす彼女にそう返すと、また袖を引かれる。何か間違えたのだろうか。
「……持って帰る」
「テイクアウトしなくても食べて帰ればよくない?」
「おウチで食べよ?」
 驚いて彼女の目を覗き込むと視線を逸らされた。
「……その、あの」
「テイクアウトだけじゃ足りないかもなあ」
「え?」
「食べちゃうぞ? なんちゃって」
 彼女は一瞬息を呑んで、それから俺の手を握った。

 * * * * * *

 彼女は俺の家にやって来ると、一番最初にTVの前のソファに腰を落ち着けた。間髪入れずにリモコンを手に取
り何か操作している。
 一応俺の部屋なんだけどな、と苦笑しながら持って帰ってきた料理を適当に皿に出し、順番にレンジに放り込
んでいく。音から察するに、彼女の見ているのはどうやら野球専門チャンネルのようだった。
「おーい、どれくらい食べる?」
 彼女は無言のまま頭の上に両手で丸を作る。『いっぱい』の意味だ。冷蔵庫からタッパーに詰めた冷飯も出し
てきて、茶碗も用意する。
 チン、といういい音が響く。中身を入れ替えて、熱々のほうをソファ前のローテーブルへ持っていくと、彼女
はちらりとこちらへ視線を遣って、一つ向こうへずれた。
「まだ残ってるからいいよ」
「……手伝う?」
「いやいいよ。レンジは一つだけだから、手伝ってくれてもそんなに変わらないしね」
 言いながらTV画面を見る。野球ニュースの時間のようで、ちょうどさっき観てきた試合の順番が回ってきた。

『オープン戦も終盤になって、この季節外れの寒さには観客も辟易しているのか、人肌恋しと寄り添っています
 ――』

 一瞬の出来事ではあったが間違いなく俺達だった。思わず皿を取り落としそうになる。
「……録画」
「いや、恥ずかしいから」
 彼女はテーブルに置いた酢豚のようなものの塊をひょいっと持ち上げて口に運ぶ。もぐもぐやりながら自分の
隣を軽く叩いた。この試合だけでも一緒に観よう、という意思表示だった。
「はいはい」
 その場所へ腰を下ろすともたれてくる。さっき画面に映ったそれと同じ格好だった。

『――しかしそんな寒さをよそに、開幕一軍枠を巡った争いは日に日に激しさを増しています。スタメンをほぼ
 手中にしている選手達は軽い調整を意識してか、5回までに殆どがその打席を終え――』

「そういやトラーズのクリンナップって、オープン戦になかなか顔出さないよね」
「その……腰痛持ちだから、冷やすのは、ダメ、なのかも」
 彼女はさっき塊をつまんだ指を舐めながら身体を縮める。
「寒い?」
 ふるふると首を振る。
「……でもくっついてないとこ、冷たい」
 一旦立ち上がり、それからわざわざ俺の股間の前のスペースに腰掛けた。ずり落ちないかこっちが心配になっ
てしまう。
「……抱っこ」
「はいはい」
 落ちるか心配するくらいなら腕で押さえておいてほしい。そういうことなのだろう。肩の上から腕を伸ばし、
お腹の前で繋ぐ。

『――目を引いたのは新入団の選手達。特にトラーズのリードオフマンとセンターのポジションを狙う柴山選
 手。8回、代走出場から回ってきた打席でこの一発――』

「見逃したの、これだね」
 彼女は返事をする代わりに手を握ってきた。ついでに背もたれの扱いを受けて腹が押される。
「それにしてもすごい一発だね。大卒1年目の選手とは思えない」
「……意外性」
「確かに」
 だんだんずり下がってきていた彼女を抱き直して、俺も酢豚のようなものをつまむ。行儀は悪いが料理は旨
かった。

『――この一発で試合も決まりました。トラーズはオープン戦、久しぶりの勝ち星です』

 口の中をごくりと飲み込むと遠くのほうでレンジが鳴った。取りに行こうと腰を浮かすと、彼女は更にこちら
側に体重を預けてきた。あからさまに邪魔をしている。
「……行っちゃヤだ」
「ヤだって言われてもな」
 そりゃ俺だって面倒くさいけど、まだいくつか皿が残っているのにそういうわけにもいかないだろう、と苦笑
する。ついでに料理をつまんだ指も拭きたい。
「というわけだから、ちょっとだけ我慢しててください」
 子猫をあやすように、汚れていないほうの手で喉のところをさすってやるが、返ってそれが癪に障ったよう
だった。汚れているほうの腕を捕まれて指に噛みつかれる。
 痛い、と反射的に顔をしかめてしまうがそれは早とちりだった。噛みつかれたのではなく、舐め回されている
のだと気付くまでにそんなに時間はかからなかった。
「……くちゅ、くちゃ……これで、きれい?」
 不安そうにこちらを見上げてくる彼女を、俺は無言で押し倒した。
「ど、したの?」
「……分かっててやってるだろ」
「……ちょっとだけ?」
 ちょっとでも分かってれば十分だ。食べちゃうぞ、と囁いてその唇を塞いだ。

『見事なホームラン、柴山選手のインタビューです。<ええ、打ったのはストレートだと思います……>』

 キスをしながら、そちらに意識を取られているのを感じる。短い吐息は聞こえてくるものの、どうにも気が
入っていない。
「一旦、待ったほうがいい?」
「……ごめんね?」
「いいよ。明日も休みだし、がっつく必要もないだろ?」
 そうは言いながらも、俺は彼女の身体をまさぐる手を止めない。肌着代わりに来ていたTシャツの下へ手を伸
ばし、すべすべとしたお腹を撫でる。

『……続いてはラビッツとベアーズの対戦をお送りします。くしくも昨年の日本一を争った――』

 気が逸れるのは今度は俺の番だった。思わず手を止めてしまうと、彼女の顔色が途端に曇る。
「……ヤ」
 彼女はリモコンへ手を伸ばしてTVの電源を消してしまった。
「私だけ、見てくれなきゃ、ヤ」
 我侭な要求であることは彼女自身も分かっていたらしい。顔を赤く染め、逸らしてしまう。
「見るよ」
 ほんのり染まった頬へ指を這わせこちらを向かせる。
「そういう子だって知ってて付き合ってるんだから。……好きなんだから」
 彼女は小さく頷いて、汗を流したい、と言った。

 シャワーヘッドを彼女の頭の真上に持っていくと抱きつかれた。
「……あったかい」
 それはシャワーのお湯が温かいのか、俺の体温がそうなのか。
 お湯をかけながらじっと彼女のことを眺めていると、不思議そうにこちらを見上げてくる。お前は浴びないの
か、と目が語っていた。
「かわいいな、と思ってさ」
「…………?」
「水も滴るいい女?」
 俺の胸に埋めるようにして顔を隠してしまう。お互い素っ裸なのにまだ何か恥ずかしいのか、とからかうと、
憮然とした顔で睨まれた。
「どれだけ言っても言い足りないくらいかわいいと思ってるんだけどなぁ」
 シャワーヘッドを金具にひっかけて、両腕で彼女を抱きしめる。腕の中でくすぐったそうに身を捩るのを、逃
がさないように優しく身体を密着させる。
「……俺、もうこんなだ」
 勃起したそれを相手の臍に押しつけて認識させる。ガチガチの棒が臍の溝を抉ったからか、彼女は少し驚いた
顔をして見せた。
「このまま……食べちゃおうかな」
「……ここで?」
「うん」
 おでこに口づけて胸を軽く揺する。人差し指で先端を弄ると顔を歪め、喉の奥で呻いた。そんなことを言わな
いでほしい、と目で訴えかけてくる。
「何か困るの?」
「……困らない。けど、がっつかないって言ってたから」
「それは、アレだ、ごめんなさい」
 彼女の両腕ごと抱きしめて動きを封じる。
「……どっちの意味?」
「嘘ついてました。今すぐ挿れたいです」
「……ばか」
 さっきの言葉信じてたのに、と半ば呆れた様子で詰られる。
 ここまで来たらこうなったって仕方ないじゃないか。そう囁き返すと彼女は一瞬戸惑った表情を見せた。なん
でそうなるのか、といった様子だ。
「君がかわいいから、こうなるんだよ?」
 彼女は顔を赤くして口を閉ざしてしまった。その代わりにおずおずと手をこちらの――分身の先端へ伸ばして
きた。

 今まで何度もそうしてくれたのに、彼女はまだ恥ずかしいようだった。頬を染め、おっかなびっくりといった
様子で、掌に取ったボディソープを先端の出口で捏ねる。快感で喉の奥が鳴る。
 お返しに胸へ手指を這わせた。柔らかい。撫でるだけでなくて掴んで軽く揉む。
「ん、ばか」
 今は私が責める番なのだから止めてほしい。そう視線で抗議してくるのと同時に、手の動きが変わった。皮の
内側に指を入れてぐるりと回していく。
「……きれいに、しないとね?」
 ボディソープを泡立てながら亀頭をマッサージする。刺激が強すぎて奥歯を噛みしめて耐えるが、どうしても
声が出てしまう。
 彼女はそういう反応を横目に見ながら、根元のほうへ泡を伸ばしていく。全体をぬるぬるにしてそれをまた刷
り込んでいく。
「おっきくなってきたね」
「そりゃ、気持ちいいからね」
「……えっち。こんなに、火傷しそうなくらい熱くしちゃって」
 裏筋を中指と人差し指でくすぐりながら親指を鈴口へ強く押しつけ、挑発するような目つきで俺をまた詰る。
 こういうときだけ見られる、珍しい彼女の一面だった。こう強気になるのは、他にはトラーズに関係した話題
くらいなので、少しは俺の存在も彼女の中での優先順位が高くはなっているのだろう。
「……今すぐしたいんだ?」
「したいよ、見ての通り」
「えっち」
「ごめんなさい」
 一方の俺はというと、強気に出る彼女への対応がまだよく分かっていない。基本的に言われるがままだ。それ
はそれで気持ちいいから構わないのだけど、機嫌を損ねるのも面倒なもので。
「こんなに熱いの、私の中に入れちゃうんだ」
「ごめんなさい」
「……悪いと思ってる?」
「思ってます」
 その返答に彼女は満足したらしく、口の端を軽く持ち上げて鼻を鳴らした。今回はどうやら成功したらしい。
「……なら、許す」
「ありがとうございます」
 恭しく一礼すると、彼女はむー、なんて声にならない声をあげながら抱きつかれる。
「……ばか」
 今度はやりすぎたらしい。……どうもツボが分からないなあ。

 お詫びにと背中から下半身へ手を伸ばす。弾力のあるお尻の肉を掴んで揉みながら、少しずつ本命に向けて進
んでいく。後ろの穴に指を引っかけてこじる。
「う、あ……?」
 彼女が戸惑っているうちにシャワーで自分自身の泡を洗い流し、用の済んだシャワーヘッドはそのまま彼女自
身に押し当てる。
「……んぅ!?」
 敏感なところへ押しつけられて彼女は腰を引いた。恨みがましい涙目で睨みつけられたが、さっきの彼女の言
葉を借りるなら今度は俺の番なわけで。
「きれいにしないといけないでしょ?」
「でも、くすぐったい……」
 足腰に力が入らないのか、体重をこちらに倒してしがみついてくる。お尻に回した腕で支えながらシャワーで
いじめるのは止めない。
「くすぐったいだけなら我慢しようか」
「ば、ばかぁ……」
「聞こえないなあ」
 更に腰を引いて逃げようとするので壁に押しつけて逃げ場をなくす。さっきまでの強気が嘘のようだ。
「やめて……?」
「どうして?」
「……シャワーより、直接、してほしい、から」
「そんなことしたらがっついちゃうよ?」
 胸も唇も俺のものにさせてくれてるのに、これ以上なんて歯止めが利かなくなる。それは今までに何度もして
分かっているだろうに。
「もう、がっついてる、よぉ……」
 弱々しく言葉を吐き出して視線を合わせてくる。俺はごめんな、と呟いてシャワーヘッドを所定の位置に据え
付けると、彼女の唇を貪った。

「挿れるよ」
 向き合って立った姿勢のまま、張りつめっぱなしの俺と、とろとろにとろけた彼女を合わせる。一瞬視線を合
わせると首肯が返ってきた。それを合図に腰を入れ込む。
「んっく……」
 彼女が整った眉を歪める。さっきの、悪いと思っているのか、という問いは半分本音なのだろう。まだ異物感
に慣れずにいるのが伝わってくる。
「大丈夫?」
 無言ではあったがこくりと一度頭が揺れる。
「痛いなら、今からでも我慢するぞ?」
「……ばか」
 えっちなことしたいって、我慢出来ないって言ったくせに。そう瞳が責める。
「ごめんな」
 少しでも楽な体勢にしてやろうと両足を抱えて持ち上げて、壁に押しつけるようにして身体を支えてやる。胸
が押されるほどくっついて、柔らかい彼女のほうだけが潰れる。
 何事か言いたそうな目に吸い込まれるようにして顔が近寄る。興奮で息が上がる。
「……ケダモノ」
「……ごめん」
「……許すけど」
「……ごめん!」
 お湯を張り始めたバスタブに押し込むようにして更に深く繋がった。

 彼女がいとおしくて、たまらなくて、無我夢中で腰を降る。中の一番奥を小突く。かき回す。派手に出入りさ
せる。いろんな方法で彼女を愉しみたい。
 そんな欲望に突き動かされている俺を、彼女は罵倒する。言葉で、視線で、態度でバカにして、それでも受け
入れてくれるのだからまだ一応は愛想を尽かされていないのだと、そこで再確認をする。きっと彼女の俺に対す
る評価は一時期の『ダメ虎』に通じるものがあるのだろう。
「……ね、今日」
 抱きついて肩に顔を埋めていた彼女が呟く。
「……んっあぁっ……中で、いいよ?」
 それを聞いた俺は、更にピッチを早めた。

 * * * * * *

 翌朝。
 昨晩は一緒のベッドで二つの意味で寝た。そのため何か朝早くからゴソゴソやっていることに気がついてはい
たのだが。
「……おはよう」
「おはよ」
 我が家のソファにちょこんと座った彼女は、液晶TVに釘付けだった。見ていたのは昨日の夜にも見ていた野球
専門チャンネルである。
「朝メシ、何がいい? 食パンと牛乳くらいしかないけど」
 近所に喫茶店もあるからそこで済まそうか、などとの提案も全くの上の空。
「……もしもし?」
「なに?」
 視線はTVに留まったままだから、邪魔をするなという態度のつもりなのだろう。
「お前、ケーブルが目的でウチに来ただろ」
 ソファの後ろに立って頭の上に手を置くと、ようやく視線がこちらへ向いた。
「バレた?」
「バレてた」
 彼女のアパートは大家がしみったれなのか立地条件が悪いのか、BS放送こそ受信できるものの未だにTVはアナ
ログしか観られない、というのは彼女が以前に言っていたことだ。更に言えば、毎週末ウチに来てTVにかじりつ
いていれば、バカバカ言われる俺だって気がつく。
「……ごめんね」
「いいよ、気にしてない」
 頭の上に置いたままだった手で撫でる。
「……ウチに住む?」
 俺の言葉に、流石に彼女も驚いたらしい。
「毎週末が毎日になるだけだし、幸いなことにここ、使ってない部屋もあるし」
 一応ルームシェアになるんだろうか。そう言うと彼女はソファを立ち上がり、こちらへ振り向いた。
「いいの?」
「君が気に入れば、だけど」
 ソファを飛び越えて俺へダイブしてきた彼女を受け止めると、気に入らないはずがない、と耳元で囁かれた。
2011年08月23日(火) 10:48:34 Modified by ID:uSfNTvF4uw




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