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千草(仮題)後編

 ワクワクしながら胡坐をかく俺の後ろで、衣擦れの音が終わった。

「もういいよ」

 千草の許可を貰って、俺は振り返った。
 そこでは、一糸纏わぬ姿で布団に正座した千草がいた。

「つかさ、何で服脱いでいるところは見ちゃいけないんだ?」
「…恥ずかしいから」
「裸は見られるのは平気なのにか?」
「…コレだって…」

 いいながら、千草は自分の豊満な胸を抱く。しかし彼女の細腕には、その豊かさ双丘を隠しきれず、柔肌が腕の隙間から零れる。
 うわぁっ!普通に正座していた時よりエロいんですが?

「いただきます!」
「きゃっ…」

 本能が理性を凌駕するって本当にあるんだな、と感心しながら俺は千草に抱きつき押し倒す。
 襲うとはいっても、怪我しないようにそれほど勢いをつけたわけではないのだが。一方の千草も特に抵抗せずに、あっさりと布団の上に仰向けになる。
 ぽふっ、という感じにシーツに沈む千草の体。
 手始めにと、彼女の首筋に舌を這わせながら、俺は甘い香りを感じた。千草の匂いだ。

「シーツも、千草の匂いがする…」
「い、いやぁ…」

 その言葉に、初めて千草が抵抗らしい反応をする。鳴きそうな声で首を振り、俺の体を押し返そうとする。だが、その力だってやっぱり僅かなものだった。
 少ししてから、観念したように濡れた声でもう一度言う。

「嗅ぐの…ダメェ」
「いい匂いなのに?」
「…」

 返事はなかった。ただ俺の目の前にある千草の耳が赤くなる。
 カワイイと思いながら、俺はキスを鎖骨から下に這わしていく。

「んっ……」

 口の愛撫が乳首に達すると、千草の体はピクリと動く。初めて抱いた時から、ここは敏感だったな。
 俺は思い出しながら、千草の右の乳首を舌先で転がし、左の乳首は指で弄る。

「…!…ふくぅっ…」

 口の中で、千草の乳首が硬くなっていく。乳首は勃起し乳輪の形もはっきりしてくる。
 完全に硬くなってから、俺は音を立てて吸ってみた。

「ちゅりゅ、ずちゅちゅぅぅっ!」

「〜〜〜〜〜〜〜っ!」

 俺とて弾くのが専門とは言え、一応は歌手の端くれ。自慢の肺活量に引っ張られた胸は円錐形に立ち、それに引っ張られる形で千草も上半身を反らせる。
 空気を求める息をつく千草。俺はその様子にはしかし満足しない。もう一方の乳首も同じように口に含み、たっぷりと唾液をまぶしてから、同じように吸ってやった。

「ぁ〜〜〜〜っ!」

 今度は、かすかに声を上げた。
 千草の息が整うまで、俺は攻め手を緩めて胸を揉む。

「音…立てるの…やだ…」
「気持ちよくなかったのか?」
「…」

 赤くなって沈黙する千草。俺は捏ねていた乳を内側に寄せる。
 千草の胸の大きさゆえに、乳首はすぐ近くまで寄る。ちょうど、一度に両方を口に含めるくらいの距離だ。
 出来るなら、やるしかないよな。

「っ!ああああぅっ!」

 予想外の攻撃だったのだろう。俺は舌先で転がし、口から外れる直前までひっぱりを繰り返す。

「…っ!ぅ、へぁっ……はっ…はぁっ!ぁぁあっ!」

 すがりつく様に、千草は俺の頭を抱いてきた。俺が千草の味を十二分に堪能してから口を離す。
 俺は千草の顔を見ると、彼女はすっかり出来上がっていた。

「ぁ…ぉぁ…」

 顔の赤みは明らかに羞恥以外の要素で赤くなり、目は潤んで空を見ている。

「気持ちよすぎたか?」
「…い、いぢわるぅ…」
「声…でちゃった…」
「我慢しなくてもいいんだけど…」
「駄目…はずかしい…」
「恥ずかしくなんてないと思うけど?」
「でも…」

 泣きそうな顔をする千草。たまらなく愛おしく思いながら、俺は千草の頬に顔を寄せる。

「ん…」

 頬に舌を這わせるようにキスをして、耳を甘く噛む。リラックスしたように声を上げる千草。
 ふっふっふ、油断したな。と、俺は次なる攻め手に入るべく、千草の内股に片手を差し込んだ。
 その瞬間、千草の体に緊張が走った。

「力、抜いて」
「…」

 千草は一瞬、不安そうに俺を見返してから、頷いた。自由に動けるようになった手で、俺は千草の柔肌を弄る。
 ランダムに、小さな痙攣を反応として返す千草。そのうち、俺は腕に湿った感触を受けた。
 股間に擦りつけられた腕に、愛液がまとわり付き始めていた。
 少しずつ、手を彼女の中心に近づけていく。

「ゃぁ…」

 抵抗は口だけだった。彼女の足は既に完全に脱力し、俺の侵攻を防ぐ事はしない。
 指先は用意に千草の花弁に触れ、暖かい蜜の感触を伝えてくる。

「千草…指、入れるよ?」

 千草の返答は小さな頷きだった。俺は千草に口付けをしながら、中指を彼女の中に沈めていった。

「んん…っ!」

 喉の奥で、千草が小さく喘ぎ声を上げる。拒絶ではない。声には甘さがあり、秘所は濡れそぼっていた。
 俺は口を離してから、本格的に指を動かし始める。

「はぁぅっ!?きゅふぅぅぅっ!」

 悲鳴のような声を上げる千草。その度に膣は凄まじいといっていいほどの力で俺の指を締め付けてくる。だが、それはただ一本やりの締め付けではなく、呼吸するようにゆっくり蠢動している。
 掻き分ける媚肉は愛液で濡れそぼっている。擦られる感触は、指の肌で感じるだけで気持ちいい。まして、敏感な粘膜越しに感じている彼女はどれほどのものか?
 答えは、表情に出ていた。

「っ!…ぃっ!んっ!っ!!…!!」

 挙がりそうになる声を、千草は両手で口をふさいで必死で堪えていた。言ったとおり、声を上げるのが恥ずかしいのだろう。
 いっそ、手を無理やり外して、千草の声を聞きたいとも思ったが、だがこの堪える表情もいいと思った。
 指の動きを激しくすると同時に、さらに親指の腹で肉芽を押しつぶすという責めを加える。
 追い詰められる千草の頬をなでる。

「ふぇぅっ!…ん!んっ!…っっ!ひっ!あぅっっっ!」

 いやいや、と首を横に振る千草。我慢しているのだ。

「…イっても、いいぞ?」

 俺は千草の耳元で囁いてから、まるで熱を測るように千草の額に手をやり、それから少し下にずらして目を塞ぐ。
 片手で熱に浮かされる子供をあやす様にしながら、もう一方の手で容赦なく熱病の中に追い込んでゆく。
 そして…

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!」

 千草は、果てた。






 千草が落ち着くのを待ってから、俺は二本の指を差し込んで、少し曲げてみる。一度絶頂を迎えた膣は程よく緩んで俺の指を受け入れる。

「もう、いいか?」
「…うん」

 千草の返答を待ってから、俺は千草の脚の間に体をもぐりこませる。
 正常位。他の体位も試したいが、まだ三度目だししばらくはこのままでいいだろう。

「あ…のね?」

 俺がペニスを手にして角度を調整しているところに、千草が恥ずかしそうにリクエストしてきた。

「キス…しながら…」
「解った」

 俺は唇を重ねながら、千草を貫いた。

「ん…」

 千草の反応は穏やかだった。
 一瞬だけ体を硬くした後、脱力しながら縋り付いてきた。

「痛くないか?」
「うん…」

 千草は少し考えたと、こう付け加えた。

「私の体…あなたのおチンチンにぴったりになってきたんだね…」

 あ、幸せそうにそんなこと言うの、反則です。

「千草…っ!」
「!っああん!」

 辛抱たまらず動き出した俺を、千草は受け止める。

「あん!あん!ひゃん!あん!んん!はぁん!ああ!あ゛あ゛!ああんっ!」

 普段より、一オクターブ高い音。
 声を堪える事も忘れてよがる千草の嬌声は、美しかった。
 どんな楽器にも奏でることも出来ない、官能的で、扇情的で、綺麗で、純粋で、美しい声。
 もっと聞きたいと、俺は千草に剛直を突き入れる。

「あん!ああん!きゃん!ひっ、ひぃっ!だ、だめ!あ、ああああ!」

 悲鳴を上げる千草に、腰を叩きつける俺。
 その度に、彼女の胸はリズムカルに弾み、声が上がる。
 熟れた唇の味も昇り立つ香りも、脳をしびれさせるほど甘く感じる。
 五感の全てで千草を感じる。愛おしく感じる。
 俺の限界もすぐに来る。中で出そう。

「イク…イクぞ!?」
「ふ、ふわっ!あ、あああ!ああああ!」

 聞こえたのか偶然か、千草は俺の腰に脚を絡め、頭を抱き寄せる。
 キスを求めてくる。拒む理由はないし、俺も…

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
「…ぅぅぅっ!」

 どっちが先立ったのだろうか?キスをしたまま俺達は果てた。

 俺の先端から噴出す精液が、千草の最奥に注ぎ込まれていく。千草はまるでそれを求めるかのように、ゆっくりと動きながら射精を促す。一滴残らず、吸い出されてゆく。
 ああ、何も考えられない。
 至近には千草の顔がある。
 うっすらと汗の浮んだ顔は染まり、瞳や唇は潤んでいる。卑猥な、しかし綺麗な顔だった。
 そんな顔のまま、千草は微笑んだ。

「すごく…エッチな顔してる」

 どうやら、俺も似たようなものらしい。俺は照れながらもこう言い返した。

「それは…千草もだぞ」

 ようやく、射精が止まった。
 心地よい倦怠感を感じながら、俺達はキスを交わした。











「キスしよ?」

 生まれたままの姿で布団の中で抱き合いながら、千草はまた俺にキスをしてきた。

「返事も待たずにかよ」
「……駄目?」
「いや全然」
「んっ……んん」

 不安げに問い返してきた千草に、今度は俺からキスをする。
 キスを離してから、千草は俺の胸元に、まるで子猫がするように顔を擦り付ける。
 あああ、一緒にこすり付けられる乳の感触がたまらんです。
 などと俺が千草の感触を楽しんでいると、千草は俺を見ずに言ってきた。

「嘘…ついてた」
「なんだ?」

 言われたところで、心当たりがない。
 実は処女って言うのが嘘だった、ってのはないだろう。しっかり血が出てたし。

「キスするのって…気持ち伝えるためって言うの、本当は半分だけ嘘」
「っていうと?」
「その…」

 千草は恥ずかしそうに、こちらを上目遣いで見ながら、こう言った。

「…キスも…好きなの」

 何を言い出すかと思えば。
 俺は苦笑しながら答えた。

「知ってるよ」
「うん…」

 答えながら、俺と千草はキスをした。



前話?
作者 書く人
2007年12月12日(水) 09:48:35 Modified by n18_168




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