1-194 神埼さん
「はぁ・・・、こりゃまだしばらくかかるな。」
「・・・・・・・。」
「神崎さん、そっちはどんな感じ?」
「・・・・・・・。」
俺たちはほとんどの教師が帰ってしまった校舎で、いつ終わるとも分からない「保健便り」の製作に勤しんでいた。
「そもそも俺は保健委員って柄じゃないってのに・・・よりによって何で委員長なんだよ・・・。」
文句を言ってる俺に構うことなく、向い合って座っている女の子「神崎ゆい」は黙々と作業を続けていた。
俺と神埼さんは高校生活2年間、どういう訳かずっと保健委員だった。
俺の場合は別に立候補したという事ではなく、いつもジャンケンで負けて残っていた保健委員になってしまってたのだった。
神崎さんはどうなのかは知らなかった。
普段からほとんど誰かと話すことをしないから、保健委員を押し付けられてしまったのかもしれない。
結局、保健委員を2年間続けていたせいで担当の先生にしっかり顔を憶えられ、俺と神崎さんは委員長と副委員長に半ば強制的
に任命された。
神崎さんは最初から無口で、必要が無いことはほとんど口にしないが仕事はきっちりこなすし、勉強もよく出来る真面目な女の子だ。
時計は夜8時を指していた。
「ねぇ、お腹空かない? これ終わったら何か食いに行こうよ。」
俺は友達同士が交わす特にこれといって深い意味の無い提案をした。
しかし神崎さんはメガネの向こうの目を真ん丸くして驚いているようだった。
「わっ・・・わたし・・・と?」
神崎さんはたどたどしく聞き返してきた。
確かに2年間一緒に保健委員をやってきたが、ほとんど私的な事を話したことが無かったから驚くのも無理ないかもしれない。
「あっ、別に嫌なら良いんだ。 ごめん、変なこと言って・・・。」
「・・・・・・・・・・ううん、行く。」
予想外の返事に俺が驚かされた。
神崎さんは小さな声でだが、間違いなく「行く」と返事をした。
「えっ?あっ・・・そう!? じゃあ、あっ、でも金無いからラーメンとかで良い?」
今度は俺がたどたどしく提案した。
「・・・・・・・・。」
神崎さんの返事は無かった。
と、その時俺の左の人差し指に鋭い痛みが走った。
見れば、たいして傷は深くないが、新聞の切り抜きに使っていたカッターの刃が指先から指真ん中にかけて切り裂いていた。
それを見た神崎さんは無言のまま俺の手を掴んで、凄い勢いで保健室に連れて行った。
途中職員室の前を通ったら、明かりは消えていた。
保健室の鍵は開いていて、神崎さんは俺を椅子に座らせると手際よく手当ての準備をしている。
俺はその間、普段では想像できない積極的な神崎さんに呆気に取られて、一言も口にできなかった。
そんな俺を前に神崎さんは絆創膏と包帯を手に困った顔をしていた。
察するにどうやら消毒薬が無いようである。
俺が「舐めとけば治るよ。」と言い終わらないうちに、神崎さんは俺の人差し指を舐めていた。
今まで特に意識していなかったが、改めて顔を見ると結構神崎さんは可愛いかった。
俺の視線に気が付いたのか、恥ずかしそうに口を離し手当てをし、俯いてしまった。
傷口は傷んだが、綺麗に手当されていた。
しかし俺はそれどころではなかった。
女の子にこんな事をしてもらったことは無かったし、今更だが神崎さんは可愛いのだ。
その女の子が・・・・・・・。
頭の中が混乱していた。
気が付けば神崎さんを保健室のベッドに押し倒していた。
メガネは床に落ちていた。
俺は我に返り、咄嗟に起き上がろうとしたが緊張してしまい体が動かなかった。
その時神崎さんと目が合った。
神崎さんは抵抗するでもなく、ただひたすら俺の目を見ていた。
「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
気まずい沈黙が訪れた。
しばらくして神崎さんが口を開いた。
「・・・あなたが望むなら・・・良いよ・・・・・・・・・・・・・・・。」
俺は無我夢中で神崎さんに覆いかぶさった。
「ごめん・・・俺、初めてだから・・・・。」
神崎さんは慣れない手つきで、でも優しく俺を導いてくれた。
そこはもう濡れそぼっている。
「あの神崎さんも・・・・。」
察したのか、ただコクリと頷いた。
俺は申し訳ない気分になったのと同時に、とても愛おしく感じた。
「出来るだけ、優しくするから・・・・。」
「・・・・・・うん。」
俺は彼女に宛がうと先端に当たるモノを感じた。
「これが・・・・じゃあ・・・いくよ。」
神崎さんはじっと俺の目を見つめていた。
侵入を開始すると苦しそうに息を荒げていた。
中はとても熱く、そして狭かった。
「大丈夫? もし辛いなら・・・・・。」
「・・・あっ・・くぅっ・・・大丈夫っ・・・・だから・・んくっ!」
大丈夫とは言うものの、歯を食いしばって痛みに耐えている。
俺は負担をかけないようになるべくゆっくり動いた。
「ふぅ・・・あっ・・・ふぅ・・んっ・・・んんっ・・・ああっん!」
しばらくすると段々と痛みに慣れてきたのか、神崎さんの口から甘い鳴き声が聞こえてきた。
しかしその頃には俺の限界はもうそこまで迫っていた。
「はぁはぁ・・・・ごめん、もう俺・・・・くっ。」
神崎さんは何も言わず俺の背に脚を巻きつけてきた。
「えっ?・・・ごめん、くあっ・・・・射精る!!」
俺は神崎さんの中に放っていた。
「・・・・・あっ・・・・来てる・・・んんっ・・・・温かい・・・・。」
神崎さんはそう呟くと、静かにまぶたを閉じた。
時計はすでに10時近くを指していた。
時間も時間なので結局ラーメン屋には行かず、自宅で済ませることにした。
「俺は大丈夫だけど・・・神崎さんのご両親、心配してない?」と尋ねると、
「・・・・・・・わたし、アパートで・・・・一人・・・暮らしだから。」と教えてくれた。
俺はアパートまで送って行く事にした。
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
俺たちはそれっきりアパートに着くまで終始無言だった。
15分くらいだろうか? アパートの前まで来た。
「・・・・・・それじゃあ。」
神崎さんはそう言うと背を向けた。
「ま、待ってくれ! 神崎さん!順番無茶苦茶だけど、俺と付き合って欲しい!」
生まれて初めての告白に、心臓は物凄い勢いでバクバクと音をたてていた。
長い沈黙の後、神崎さんは口を開いた。
「・・・・・・わたしのお願い、聞いてくれる・・・・・・?」
「でっ、出来ることなら!」
「・・・・二人の時は・・・ゆいって、名前で呼んでほしい・・・。」
「えっ? あぁ解った、その・・・・ゆい。」
「・・・・うん・・・・それと・・・キス・・・・してほしいな・・・・・。」
「!?」
思い返せば、一度もキスをしてなかった。
俺はゆいを抱きしめると、彼女の唇に触れるように優しくキスをした。
「・・・・・・えへっ、これから・・・・よろしくね。」
ゆいは唇に手をあて、今まで誰も見たことがないであろうとびきりの笑顔を見せて、アパートの中に消えていった。
終わり
作者 1-194
「・・・・・・・。」
「神崎さん、そっちはどんな感じ?」
「・・・・・・・。」
俺たちはほとんどの教師が帰ってしまった校舎で、いつ終わるとも分からない「保健便り」の製作に勤しんでいた。
「そもそも俺は保健委員って柄じゃないってのに・・・よりによって何で委員長なんだよ・・・。」
文句を言ってる俺に構うことなく、向い合って座っている女の子「神崎ゆい」は黙々と作業を続けていた。
俺と神埼さんは高校生活2年間、どういう訳かずっと保健委員だった。
俺の場合は別に立候補したという事ではなく、いつもジャンケンで負けて残っていた保健委員になってしまってたのだった。
神崎さんはどうなのかは知らなかった。
普段からほとんど誰かと話すことをしないから、保健委員を押し付けられてしまったのかもしれない。
結局、保健委員を2年間続けていたせいで担当の先生にしっかり顔を憶えられ、俺と神崎さんは委員長と副委員長に半ば強制的
に任命された。
神崎さんは最初から無口で、必要が無いことはほとんど口にしないが仕事はきっちりこなすし、勉強もよく出来る真面目な女の子だ。
時計は夜8時を指していた。
「ねぇ、お腹空かない? これ終わったら何か食いに行こうよ。」
俺は友達同士が交わす特にこれといって深い意味の無い提案をした。
しかし神崎さんはメガネの向こうの目を真ん丸くして驚いているようだった。
「わっ・・・わたし・・・と?」
神崎さんはたどたどしく聞き返してきた。
確かに2年間一緒に保健委員をやってきたが、ほとんど私的な事を話したことが無かったから驚くのも無理ないかもしれない。
「あっ、別に嫌なら良いんだ。 ごめん、変なこと言って・・・。」
「・・・・・・・・・・ううん、行く。」
予想外の返事に俺が驚かされた。
神崎さんは小さな声でだが、間違いなく「行く」と返事をした。
「えっ?あっ・・・そう!? じゃあ、あっ、でも金無いからラーメンとかで良い?」
今度は俺がたどたどしく提案した。
「・・・・・・・・。」
神崎さんの返事は無かった。
と、その時俺の左の人差し指に鋭い痛みが走った。
見れば、たいして傷は深くないが、新聞の切り抜きに使っていたカッターの刃が指先から指真ん中にかけて切り裂いていた。
それを見た神崎さんは無言のまま俺の手を掴んで、凄い勢いで保健室に連れて行った。
途中職員室の前を通ったら、明かりは消えていた。
保健室の鍵は開いていて、神崎さんは俺を椅子に座らせると手際よく手当ての準備をしている。
俺はその間、普段では想像できない積極的な神崎さんに呆気に取られて、一言も口にできなかった。
そんな俺を前に神崎さんは絆創膏と包帯を手に困った顔をしていた。
察するにどうやら消毒薬が無いようである。
俺が「舐めとけば治るよ。」と言い終わらないうちに、神崎さんは俺の人差し指を舐めていた。
今まで特に意識していなかったが、改めて顔を見ると結構神崎さんは可愛いかった。
俺の視線に気が付いたのか、恥ずかしそうに口を離し手当てをし、俯いてしまった。
傷口は傷んだが、綺麗に手当されていた。
しかし俺はそれどころではなかった。
女の子にこんな事をしてもらったことは無かったし、今更だが神崎さんは可愛いのだ。
その女の子が・・・・・・・。
頭の中が混乱していた。
気が付けば神崎さんを保健室のベッドに押し倒していた。
メガネは床に落ちていた。
俺は我に返り、咄嗟に起き上がろうとしたが緊張してしまい体が動かなかった。
その時神崎さんと目が合った。
神崎さんは抵抗するでもなく、ただひたすら俺の目を見ていた。
「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
気まずい沈黙が訪れた。
しばらくして神崎さんが口を開いた。
「・・・あなたが望むなら・・・良いよ・・・・・・・・・・・・・・・。」
俺は無我夢中で神崎さんに覆いかぶさった。
「ごめん・・・俺、初めてだから・・・・。」
神崎さんは慣れない手つきで、でも優しく俺を導いてくれた。
そこはもう濡れそぼっている。
「あの神崎さんも・・・・。」
察したのか、ただコクリと頷いた。
俺は申し訳ない気分になったのと同時に、とても愛おしく感じた。
「出来るだけ、優しくするから・・・・。」
「・・・・・・うん。」
俺は彼女に宛がうと先端に当たるモノを感じた。
「これが・・・・じゃあ・・・いくよ。」
神崎さんはじっと俺の目を見つめていた。
侵入を開始すると苦しそうに息を荒げていた。
中はとても熱く、そして狭かった。
「大丈夫? もし辛いなら・・・・・。」
「・・・あっ・・くぅっ・・・大丈夫っ・・・・だから・・んくっ!」
大丈夫とは言うものの、歯を食いしばって痛みに耐えている。
俺は負担をかけないようになるべくゆっくり動いた。
「ふぅ・・・あっ・・・ふぅ・・んっ・・・んんっ・・・ああっん!」
しばらくすると段々と痛みに慣れてきたのか、神崎さんの口から甘い鳴き声が聞こえてきた。
しかしその頃には俺の限界はもうそこまで迫っていた。
「はぁはぁ・・・・ごめん、もう俺・・・・くっ。」
神崎さんは何も言わず俺の背に脚を巻きつけてきた。
「えっ?・・・ごめん、くあっ・・・・射精る!!」
俺は神崎さんの中に放っていた。
「・・・・・あっ・・・・来てる・・・んんっ・・・・温かい・・・・。」
神崎さんはそう呟くと、静かにまぶたを閉じた。
時計はすでに10時近くを指していた。
時間も時間なので結局ラーメン屋には行かず、自宅で済ませることにした。
「俺は大丈夫だけど・・・神崎さんのご両親、心配してない?」と尋ねると、
「・・・・・・・わたし、アパートで・・・・一人・・・暮らしだから。」と教えてくれた。
俺はアパートまで送って行く事にした。
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
俺たちはそれっきりアパートに着くまで終始無言だった。
15分くらいだろうか? アパートの前まで来た。
「・・・・・・それじゃあ。」
神崎さんはそう言うと背を向けた。
「ま、待ってくれ! 神崎さん!順番無茶苦茶だけど、俺と付き合って欲しい!」
生まれて初めての告白に、心臓は物凄い勢いでバクバクと音をたてていた。
長い沈黙の後、神崎さんは口を開いた。
「・・・・・・わたしのお願い、聞いてくれる・・・・・・?」
「でっ、出来ることなら!」
「・・・・二人の時は・・・ゆいって、名前で呼んでほしい・・・。」
「えっ? あぁ解った、その・・・・ゆい。」
「・・・・うん・・・・それと・・・キス・・・・してほしいな・・・・・。」
「!?」
思い返せば、一度もキスをしてなかった。
俺はゆいを抱きしめると、彼女の唇に触れるように優しくキスをした。
「・・・・・・えへっ、これから・・・・よろしくね。」
ゆいは唇に手をあて、今まで誰も見たことがないであろうとびきりの笑顔を見せて、アパートの中に消えていった。
終わり
作者 1-194
2007年12月12日(水) 09:58:59 Modified by n18_168