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タグ検索で平成9年は9件見つかりました。
情況との対話
わたしは雑誌「サンサーラ」の休刊と一緒にこの情況との対話を一応とじることになる。しかし情況の相対的ビジョンなしには、文学、芸術、文化の指向性は透明に成り立たないというのは、さきの戦争を経てわたしが獲得した普遍的な理念だから、表現すると否とにかかわらず、わたし自身はいつも情況との対話をつづけているし、時代の解剖と理念の深化をやめることもありえない。わたしが時代の情況をどうみているかは、これからもいつでもどこかで言表されているとおもう。
(「大震災・オウム後思想の原像」1997.06.30徳間書店の「あとが
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いま何が心残りか
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僕の人生がいま終るとするなら、何が心残りかというと、これは空想のまた空想ということになっていくわけだけど、超人的にすばらしいエロスを喚起するような異性がいて、そういう人にまだ(あるいは永久に)出会っていないと思うことかな。平凡な、凡々なる生命の起伏というのは、自分なりに体験したような気がするんだけど、すごい大歓喜という意味合いで、そういうのに出会ってみたいものだなというのが、心残りかもしれないと思います。
(「僕ならこう考える」1997.6.15青春出版社「僕が死ぬまえに出逢いたいもの」)
:| こうい
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人間の性格的運命がきまるのは一歳未満のところと
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''人間の性格的運命がきまるのは一歳未満のところと思春期に入る手前のところ''
人間の性格的運命がきまるのは二つあって、一歳未満のところと、それから前思春期に入る手前のところと、その二つです。
第一次的にいえば一歳未満できまるから、どうしようもないといえばいえるんです。自分も知らない無意識に出てくるわけだから、直そうにも直しようがないです。ただ、それは他人に言ってもしょうがないから、それぞれの人が、黙ってのり越えようとして生きていくわけです。生きていくうちに負けそうになったら、またそれをのり越えてとい
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傷を受けたことが
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''傷を受けたことがその人にマイナスになることはありえない''
自分の経験と主観的な結論からいえば、きづついてつらいけど、失恋とか、思いがけなく裏切られたとかいうことは、悪いこととはかぎらないといいましょうか。もちろん、傷になるでしょうが、その傷は人間をふくらましてくれる傷で、そのときはつらいし、つらいから、そんなのないほうがいいに違いない。それでも、傷を受けたことがその人にマイナスになることはありえないんじゃないかと思います。
(「僕ならこう考える」1997.6.15青春出版社「心の傷の活かし方」)
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無意識に恐慌にはなることはありえない
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今は不況ですから、昔のマルクス主義なら経済恐慌から金融恐慌になるという理窟になるのでしょうが、僕らは絶対にならないと考えています。その根拠としては、価格と価値の乖離が著しいですから、先進国で了解させすれば価格は地域によって設定することが可能であり、それは価値とは関係なく成り立ちえます。遊離した価格の振る舞い方は人間でいえば意識と同じで、つまり経済が意識をもちはじめたわけです。無意識に恐慌にはなることはありえない、というのはその根拠なんです。
(「丸山真男について」1997.4.17談話収録「吉本隆明が語
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丸山真男の印象
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丸山さんの印象といえば、あとは学園紛争の時でしょうか。学園紛争の時は新聞などに出てきて、「全共闘のやっていることはファシズムよりもっとひでい」と言って、「あいつは何だ」と言われてました。それに対して、立命館大学にいる中国古代文学の白川静の方が人気があったんですよ。この人は、学生が踏み込もうが我関せずで、夜遅くまで勉強していた。学生も恐れをなして、そこだけ遠巻きに見ていたといわれています。
(「丸山真男について」1997.4.17談話収録「吉本隆明が語る戦後55年第12巻」2003.11.10三交社に掲載
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小林秀雄の功罪
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小林秀雄の功罪を言いますと、僕は「こんなことを言うべきじゃないな」と思ったことがひとつあって、それは何かというと、作家協会か文学集団の会合で言ったことで、小林秀雄ともあろう人がといいますか、戦前に一所懸命にプロレタリアート文学者と論争したことを忘れてしまったのかと思いましたが、ソ連に行って、ソ連のことをべた褒めしたんですよ。「何カ年計画はうまくいっている。こういうことをするのはもっともだ」とべた褒めした。「何ということを言う人だ。これで戦前にやったことは全部帳消しになったじゃないか」と僕はこのときに思い
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『源氏物語』は現代小説の条件を全部もっている
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研究者が決して言わないこと、文学者で現代語訳した人が決して言わないことを言っています。それは何かというと、『源氏物語』は古典なんですが、現代小説の条件を全部もっています。作者というレベルがあり、作品の中の登場人物というレベルがあり、作品の中で登場人物の振る舞いを説明している文章のレベルがあって、もうひとつ作者の主観的な考え方が幾分か含まれている登場人物の言葉や、登場人物を説明する言葉がある。この四つを考えると、現代小説はだいたい論じられるんですが、『源氏物語』にはそれが全部揃っています。近代あるいは現代
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実朝の制度的な役割
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僕の解釈では、実朝の制度的な役割は祭祀の長で、神社仏閣をお詣りすることが実朝の制度上の役割なんですね。武家層でもそれは重要なこととされていて、制度的には実朝のやったことはそれだけだと思います。それしかやっていなくて、あとは歌を作っているだけなんです。祭祀の長と言いますか、あるいは祭祀専門の将軍、あるいは将軍職とは祭祀専門であって、武家層を政治的にそうするとか、幕府の制度的な役割をどうするのかというのは、武将のなかから選ばれた者がやればいいわけです。それと有職故実と言いましょうか、法律的な習慣については大
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