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『彼女の嫉妬』


 『彼女の嫉妬』



 ぼくは生まれてこの方、バレンタインデーというものを不思議に思っていた。
 なぜチョコレートなんだろう、と。
 いや、別にチョコが嫌いなわけじゃない。むしろ好きだ。それはもう板チョコ麦チョコチロル
チョコ、どんなものでもおいしくいただける。
 好きなんだけど。
 でも今の状況にはちょっとそぐわない。
 ぼく、日沖耕介は今、ベッドの上で拘束されている。
 万歳の恰好で、両手首をパイプ部分にロープでつながれて、身動きが取れない。
 すぐ脇にはぼくの彼女がいて、ベッドの縁に腰掛けながらこちらの顔を覗き込んでいる。
かわいい顔立ちだけど、無表情極まりないために、間近で見ると結構怖い。
 青川文花はその小さな手をおもむろにぼくの頬に伸ばした。
 ひやりと冷たい感触が走る。
 そして、もう一方の手で、ぼくの口に茶色い物体を運んだ。
 今日は、二月十四日。
 もちろんその物体は、ご多分に漏れずチョコレートである。
 口の中にべたつくような甘さが広がり、ぼくはゆっくりと咀嚼した。
 文花の視線に気圧されるように。
 彼女は、笑っていない。普段の無口加減も手伝って、見ていて非常に圧倒される。
 怒っているのだろうか。
 放課後に彼女の家に寄ったのは、バレンタインのチョコを受け取るためだったんだけど。
 部屋でいきなり押し倒されて、柔術スキルを持つ文花にあっという間に拘束されて、今に
至る。
 まあ、怒っているんだろうな。
 怒らせたつもりはないんだけど。
「ねえ、文花」
 ぼくの呼びかけに文花はチョコレートを取る手をぴたりと止めた。
「このチョコレート、文花の手作り?」
 彼女は答えない。
 ぼくは怯まず、感想を口にした。
「おいしいよ、ありがとう」
 文花は少しだけうろたえたように目を逸らした。
 たぶん照れているのだと思う。
 文花はしばらく迷ったように動きを止めていたけど、やがてチョコレートを手にして再び
ぼくの口元に運んできた。
 ぼくもそれに合わせて口を開ける。おかしな状況だけど、こういうプレイだと考えれば、
まあ。
 馬鹿なことを考えながら、一口サイズのチョコを受け取ろうとして、しかし空振りした。
 チョコを摘んだ手がぼくの口元から離れる。捕まえようと顔を伸ばそうとするも、うまく
いかない。
 焦らしプレイ?
「あのー、文花さん?」
 文花はぼくにじっと剣呑な目を向けてくる。さっきよりも幾分感情がこもった表情だけど、
その理由がわからない。今のも、恋人同士の馴れ合いなどではなく、何か理由があっての
意地悪なのだろう。ぼくはもう一度問い掛けた。
「文花、ぼく何か悪いことしたかな? ちょっと思い当たらないんだけど」
 目がさらに細まった。
 自分の胸に聞けと、そんな顔だ。
 しかし思い当たらない。今日一日を振り返ってみても、特に、
 ん?
「……ひょっとして、今朝のこと?」
 今日何か変わったことがあったとしたら、あれ以外思いつかない。見られていたのだろう
か。
 文花はやっとわかったかとでも言うように、こくりと頷いた。
 
      ◇   ◇   ◇



 うちの近所に、同じ学校に通っている一学年上の先輩がいる。
 小学校中学校と同じところに通っており、端から見れば幼馴染みともいえる間柄だ。
 でも学校ではそんなに親しい付き合いはなく、子ども会での付き合いの方が多い。
 つまりはそんなに親しい関係ではない。
 普通の、どこにでもいる先輩後輩の関係だ。
 その先輩から、今朝チョコレートをもらった。
 特別な意味合いは無いと思う。いやホントに。
 なぜならその先輩は、ぼく以外にもチョコを配っているからだ。
 義理チョコではない。彼女が言うには義理などという意識は無いから、どちらかというと
友チョコらしい。
 もう少し正確に言うと、「いつもお世話になってます。これからもよろしく」チョコらしい。
 バレンタインのチョコというより、お歳暮に近い気がする。
 つまりはそんなわけで、先輩は毎年友人知人にチョコをばらまいており、ぼくもその
ご相伴に与ったというわけだ。
「チョコレートはカロリー高いから、非常食に最適だよ。今年の冬は寒さが厳しいから、
遭難した時にでも備えて持ってなさい」
 先輩の言葉である。去年は山にでも持っていきなさいと言っていた。



 ということを、柔らかくかつ丁寧に、誤解の無いように説明した。
 文花の表情は変わらなかった。
「えーと、そういうことで、あのチョコには特別な意味など何も無くてですね」
 なぜか敬語になるぼくに対して、文花は小さくため息をついた。
 少し顔が赤くなっている。
「文花?」
 突然、文花が動いた。
 手にしたチョコを自分の口に放り込むと、ぼくの目前に迫ってきた。
 拘束されている身ではろくに反応することもできず。
 あっという間に唇を奪われた。
「――」
 繋がる口唇。その隙間から甘味が送られてきた。
 口移しで、バレンタインのプレゼントを受け渡される。
「ん……んむ……」
 舌が絡み合う。甘さの中に苦味が入り混じり、唾液と一緒に溶けて、温かく広がっていく。
 ぴちゃりぴちゃりと、いやらしい音が耳を打ち、興奮を高める。
 文花のキスにいつのまにか夢中になっていて、ぼくは頭がくらくらと酔いそうだった。
 別にアルコール入りでもないだろうに。
 たっぷり三十秒はつながっていたぼくらは、離れた途端に苦しげに息を吐いた。
「……おいしい」
 短く感想を伝えると、文花はぼくの体に倒れ込んできた。
「文花」
「……」
 吐息のように小さな声で囁かれた。
 ごめんなさい。でも、
「私だけ……見ててほしい」
 ぼくは安心させるように笑顔を浮かべて頷いた。
 
      ◇   ◇   ◇



 拘束は解いてもらえなかった。
 文花はぼくの服を脱がすと、自らも制服を脱ぎ始めた。
 急に目の前で行われるストリップに慌てる。
「ちょ、文花!?」
 彼女はぼくの狼狽などまるで意に介さず、生まれたままの姿になると、口にチョコレートを
含んだ。
 それから妖艶な目で微笑むと、ぼくの剥き出しのお腹に舌を這わせた。両腕は縛られた
ままなので、上半身の制服はボタンを外してはだけられているだけだ。でも下半身はしっかり
脱がされていて、下腹部のモノもすっかり硬直している。
 肌に舌の生温かい感触が生じ、段々と上の方に上ってくる。
 口の中で溶けたチョコレートが、舌先に乗ってぼくの肌に塗りつけられる。
 やがて、舌が胸まで到達した。
 乳首を舐められて、ぞくりと震える。
 手が使えないせいか、いつもとは逆で受けになっているせいか、妙に敏感になっている
自分がいた。
 文花はぼくの反応を見て気をよくしたのか、調子に乗ってどんどん舌使いが大胆になる。
乳首を甘噛みしたり、先端を転がすように舐め回したり、そのかわいい口で次々に攻めて
くる。普段ぼくが彼女にやっているように、ぼくの体をいっぱいなぶる。
 乳首だけじゃない。腹も、首筋も、脇も、腕や脚さえも舐め回された。舌のざらざらした
感触を受けるたびに、ぼくは体を強張らせ、熱い吐息を洩らした。
 口の中のチョコレートはすっかりどろどろの絵の具と化し、舌を使って全身に塗りたくられ
た。それを残さないように、もう一度丁寧に舐め取っていく。
 妙な興奮を覚えながら、ぼくは文花の奉仕を受け続けた。
 最後に残された部位は、天井に向かってそそり立つ逸物だった。そこにはまったく触れ
られず、焦らされるように他の場所を攻められるたびに、びくんびくんと上下に揺れる。
 文花は、うっすらと笑みを浮かべて言った。
「さわって、ほしい?」
 ぼくは激しく首を縦に振った。
「文花……触ってほしい……」
 笑みを深めると、文花は指先で逸物の先端に触れた。
「っ」
 それだけで、ぼくの性器は大きく跳ねた。
 文花は亀頭の真ん中を押し潰すように、指に力を加えていく。
 掌で肉棒全体を包み込んできた。ぼくはそれを見つめながら、下腹部に力を入れる。
 手を上下させて、しごかれた。今までとは比べ物にならないほどの快感が脳天に響いた。
散々焦らされたせいか、急激な射精感に襲われた。なんとか堪えるものの、長くは持ち
そうにない。
 ぼくの余裕の無さがわかっているのか、文花は嬉しそうに手を動かした。
 さらに追い討ちをかけるように、逸物をくわえ込んだ。
「ううっ」
 ぼくは低く喘ぐと同時に、文花の口の中に大量の白濁液を吐き出した。
 文花は少しだけ目を見開いたものの、特に動揺は見せなかった。待ってましたとばかりに
ちゅうちゅう吸い取り始める。
 魂を抜かれるのはこんな感覚なのだろうか。ぼくは射精の気持ちよさに浸りながら、そんな
ことを思った。
 すべてを出し切ると、文花もそれを受けて口を離した。
 それから噛むように口をもぐもぐ動かしてから、精液を少しずつ飲み込んでいった。
「……大丈夫?」
 文花はこくこく頷く。飲んでくれるのは嬉しいけど、心配にもなる。
 しかし文花は特に気にしてはいないようだ。それより半勃ちのそれをいとおしげに擦って
いる。直後の刺激に思わず息を止めた。

 文花がまたチョコレートを一口頬張った。
 膝立ちの体勢でぼくの体の真ん中に移動すると、手で逸物を固定して、ゆっくりと腰を
下ろしていく。
 彼女の股間を見ると、もうそこは自身の液で濡れすぼっていて、先っぽが割れ目に触れ
ると、格別の興奮が沸き起こった。
 半勃ちだったそれはあっという間に硬度を取り戻し、愛液のおかげか、抵抗なく中に入って
いった。
「んん……」
 文花の喘ぎが洩れる。桜色に染まったきめの細かい肌が、うっすらとかいた汗で綺麗に
映える。
 文花が腰を動かし始めた。膣内がきゅうきゅう締まり、ぼくの逸物が苦しげに強張った。
 彼女が動くと、形のいい胸も微かに揺れた。巨乳ではないけど、小さめの乳首も相俟って
触りたくなる胸だ。いつもなら迷わず揉みしだいているところだけど、残念ながら両手は
不自由な状態である。
 文花が上体を倒して、顔を近づけてきた。
 つながったままキスをすると、再び口移しをされた。手作りチョコレートの味が舌から舌
へと移され、ぼくは陶酔するように甘いキスを味わった。
 どこかからお叱りを受けそうなくらい、いやらしいバレンタインだ。
 ぼくは高まる興奮を抑え切れず、腰を跳ね上げた。
「ふあっ!?」
 文花の嬌声が響いた。
 そのかわいい声がさらにぼくの興奮を高め、腰を激しく動かしていく。
「や、だめっ、こーすけくんは、うごいちゃだめえ!」
 訴えを無視して、ぼくはひたすら機械のように文花の奥を突き上げた。
 文花の顔が頭の上へと流れる。ぼくの頭を抱きしめることで、快楽に耐えようとしている
のだろう。しかしそれは逆効果だ。なぜならちょうど、ぼくの口元の当たりに、彼女の胸が
降りてくるから。
 ぼくは文花の乳首に、ここぞとばかりにおもいっきり吸い付いた。
「あんっ、やあっ」
 甲高い喘ぎを聞きながら、ひたすら乳首を吸う。口内のチョコレートを飲み込みながら、
とにかく貪った。
 まるで本当に乳を吸ってるみたいだ。ミルクチョコレートの乳はどこまでも甘く、酩酊しそう
だった。
「やん、やあっ、そんなに吸わないでぇ……」
 文花の弱々しい声に反比例するように、腰の動きが加速する。
 もう止まらなかった。ぼくは再び欲望の塊を吐き出すために、全力で肉棒を突き入れた。
 強烈に締め付ける膣内の奥に、硬い先端を無心に打ち込んだ。擦れ合う性器は互いの
液でまみれ、痺れるような刺激に打ち震えた。
 淫らな水音にさらに興奮を高め、ぼくは下から文花を攻め続けた。
「やぁんっ、あん、あっ、いく、いくの、わたし、わたし、」
「文花っ、ううっ」
 二度目の放出は一度目よりも強烈だった。水風船が弾けるように、大量の子種が奥の
奥に向かって飛び出していった。
「あん……はう……」
 文花も絶頂を迎えたようで、噛みしめるように快楽の波の中で意識を揺らしている。
 ぼくはびくびく痙攣するように、断続的に精子を子宮へ向けて放った。
 衝動が収まるころには、文花が体重をぼくに預けて目をつぶっていた。
 余韻に浸っているのだろう。ぼくも心地良い感覚に身を委ねてしまいたかった。
 しかし、ここで眠ってしまうわけにはいかない。家に帰らないといけないし、チョコレートで
体もだいぶ汚してしまった。後始末をしないといけない。文花の両親も帰ってくる。
 なにより、今のこの状況をどうにかしなければならない。
「文花……とりあえず、ロープ解いてくれる?」


 
      ◇   ◇   ◇



 バレンタインから三日後。
 朝の登校中に、突然声をかけられた。
「耕介くん」
 振り返ると、先輩がいた。厚手のコートに身を包み、長い髪が緩やかな風に揺れている。
 とりあえずおはようございます、と頭を下げた。
「おはよ。耕介くん、ちょっと訊きたいことがあるのだけど、いいかな?」
 先輩の問いかけにぼくは首を傾げた。
「なんですか?」
「あんなかわいい彼女とどこで知り合ったの?」
「かっ」
 咳き込んだ。
 思わぬ不意打ちに、ぼくはなぜかうろたえる。
「げほっ……えと、誰から聞きました?」
「一昨日、彼女さんから直接会いに来てくれたんだよ」
 妙に楽しそうに先輩は話す。
「教室にやってきてね、いきなり私に言ったの。小さな声だったけど、『負けませんから』
って。事情を聞いてみると、バレンタインにいろいろあったみたいじゃない。で、ちょっと
おもしろかったから、私が申し出たの。『よければおいしいチョコレートの作り方、教えて
あげようか?』って」
「……」
「そしたら案外素直についてきてくれて、一緒にお菓子作っちゃった。闘志メラメラだった
けど、かわいいし言うこと聞いてくれるし手際いいしで、友達になっちゃった」
「……はあ」
 なんと答えていいかわからず、ぼくは曖昧に頷いた。
「で、ものは相談なんだけど、あの子さ、私にちょうだい?」
「……はあ!?」
 ありえない申し出にぼくは叫んだ。
「だってかわいいんだものー。もうずっと愛でていたいくらい。そういうわけで、どうかな?」

「お断りします」
 ぼくは即答した。当たり前だ。
「えー、なんでー」
「文花はぼくの大切な恋人だからです。絶対に離しません」
 力強く断言する。先輩のたわごとはともかく、こればっかりは譲れない。
「ふうむ、そっかー。じゃあ仕方ないな」
 案外あっさり引いてくれそうで、ぼくは内心ほっとした。まさかとは思うけど、一応警戒
しておかないと。
 しかし、続けて吐かれた台詞にはさすがに絶句した。
「じゃあ二人とももらっちゃおうかな。二人は恋人のままで、セットでいただくというのは?」
「……!?」
 理解不能だった。
「あ、あの、先輩?」
「ん? なにー?」
「先輩って、失礼ですけど……同性愛の気があるんですか?」
 先輩は首を振った。そうか、そりゃそうだよな。
「違う違う。私は両刀使いなの」
「はああっ!?」
 予想のさらに上だった。
「二人ともかわいいから、一緒にかわいがりたいの。ねえ、悪いようにはしないよ? どう?」
 ぼくはもうどう答えていいかわからず、その場から駆け出した。
「あ、ちょっと」
 どう答えればいいんだ。とてもぼくだけでは対処できない。文花に早く会って相談しないと。
 って、一昨日会った? じゃあもう文花は先輩の毒牙にかかってしまったのか? いや、
まさか、そんな、
「あ、安心して! 青川さんにはまだ手は出してないから!」
 後ろからそんな声が届く。まだって何だ。
「やっぱりまとめていただくのがおいしいと思うの! だから耕介くんと文花ちゃん、いっしょに
味わいたいから、楽しみにしててね! あと、文花ちゃんに伝えて! 今度デートしようって!」
「あんたもう黙れっ!」
 ありえない恋敵の出現に、ぼくは頭が痛くなりそうだった。



 っていうか、ぼく自身も狙われているし!
2011年08月24日(水) 09:07:19 Modified by ID:uSfNTvF4uw




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