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『目隠し』ではじまるふたり

「…………えっ」
 珍しく電話を寄越してきたのに、三澄成佳は一方的に話を聞いているだけだった。
 相手はこちらが口数の少ない事を理解している。実に丁寧に話を進めてくれたが、最
後のさいごで思わず「ばかっ」と言いかけた。それくらい驚きの内容だった。
 じゃあよろしくね、と通話が途絶え、後に残ったのはテンポの良い電子音。
 高鳴る胸を押さえながら、話の内容を復唱するように、すかさず携帯でメールを打つ。
 待ち合わせ場所と時間だけの、簡素な本文で送信した。

 駅前の広場にある、よく目立つ時計塔の下。
 ここで会うことを約束したはずだが、一向にその姿は見えない。
 あまり名の知られていないアーティストのシャツと、黒のジーンズを身につけ、成佳
はスニーカーの爪先をトントンと鳴らす。
 開校記念日で平日に休みをもらえて、あまりない光景。しかし一人でこの場所に固ま
っていると、どうも不安になってくる。
 スーツと制服が行き交う中、ただひとりを見つけようとするのは困難だ。まして、ふ
だん私服を見る機会が無いので、どんな格好でいるのかも分からない。
 成佳も、この格好では一人でいるのが辛い。周囲を見回してみるが、それらしい姿は
やはりない。
 手元の時計を確認して、待ち合わせの時間から五分近くが過ぎているのを見ると、ふ
うと息をついた。
 その時、
「だーれだっ」
 視界を遮られ、悲鳴を上げそうになった。少し硬めの手が顔に触れ、その感触で相手
が誰だか理解する。
 振り向くと、柔和な笑みを浮かべた少年の姿があった。着衣の黒が、日焼けしていな
い肌を目立たせている。
 挨拶代わりに、その顔へ手を当てた。ぺち、と乾いた音。
 小泉宏樹は頭に手をやりながら、
「ごめんね、一度やってみたくて」
 そんな風に謝った。
 普段は髪が上に跳ねているが、今日は下向きになっていた。稲妻が描かれた青と黒の
カットソーに、同じ黒系統のスキニーを穿きこなしている。
 五分遅れたことも重ねて、宏樹は手をあわせる。続けて、白の肩掛け鞄から缶ジュー
スを取り出し、その一つを成佳に渡した。
「いろいろ考えてたら、昨日は眠れなかったんだ」
 オレンジの果汁を口にしつつ、なぜ遅れたかの説明。
 彼が昨日の自分と全く同じ状態だったことが分かり、成佳はどきりとした。
 彼女の場合は、昨日の話に対して『何を着ていくか』と思考を巡らせていたからだ。
 結局、シャツとパンツのスタイルで来てしまったが。
「私服は見たことなかったけど、やっぱり可愛いね」
 宏樹は飲み終えた缶を鞄に戻しながら、呟く。
 言われて、成佳は顔が熱くなった。ついでに頭を撫でられ、うーっと唸る。
 彼女も相手の私服を見るのは初めてのことで、学生服とはまた違った雰囲気を醸し出
している。男子にしては体が細めで、今日は一段と可愛らしく――分からない人が見れ
ば、それこそオンナノコに見えなくもない。
「思わず抱きしめたくなっちゃうよ」
 言いながら体を寄せられ、宏樹と密着する。彼のにおいが鼻を抜けて、背にまわった
腕から熱が伝染する。
 声を上げる間もなく抱かれて、成佳は口をぱくぱくする他になかった。
「ちょっと驚いたんだ」
 宏樹は少女の耳に口を寄せた。
 彼女の『表面』は自然に見えて、その中身が気になるところ。
 驚いたのはこっちだ――と、成佳は思う。いきなり抱きしめられ、途端に落ち着かな
くなる。声として出ていかないが、恥ずかしさがあらわれ、じたばたと抵抗してしまう。
 耳元で囁く、その声がくすぐったい。
「大丈夫。みんな忙しいから誰も注目しないよ」
 なおも腕の中に抱えたまま、宏樹は彼女に告げる。実際、通勤している人々は目的地
に向かって移動しているので、日中に抱き合っている男女の事など目もくれていない。
 成佳は一瞬納得しかけたが、そんなことはないと身じろぎをした。

 拘束が解けると、すっかり熱くなった体を手であおぐ。
 息を落ち着かせてから、平手を宏樹の頬にヒットさせた。軽い音の後、しかし彼はま
た笑顔になる。
「キス、しよっか」
 それでいて突拍子もない。せっかく会ったし、なんて付け足されても、成佳は肩を震
わせて後ずさった。
 宏樹はこちらの反応さえ楽しむように、軽く手首を掴んで時計塔の裏に連れて行く。
ガードレールの向こう側にはバスが並んで停車して、表に比べて道幅は狭いが、だから
と言って人通りがないかと聞かれれば、そうでもない。
「……っ」
 二人で周囲を確認して、あまり人がいないうちに唇を重ねた。触れあったのはほんの
数秒だけだが、体温を上げるには十分すぎる。
 えへへ、と笑う宏樹からは、嬉しさがあふれ出ている。彼の口を名残惜しげに眺めて
いると、手を引かれて移動のかたちになった。

 向かった先は大きめの書店。宏樹ともども本が好きなので、その共通点に見合った場
所。百貨店の階層一つを全て占めている、有数の本屋だ。
 ここまで自然に手を繋いで歩いてきたが、入口に立ったところで妙に意識して、はず
してしまった。
「ちょっと付き合ってくれる?」
 少し残念そうだったが、かごを片手に宏樹は先を行く。その背中についていくと、さ
まざまな本に囲まれて、タイトルや表紙に視線が向かう。
 図鑑や単行本のコーナーを抜けて、新書・文庫の文字が目立ってきた。
 その一角で立ち止まると、早速、手にした籠へ二冊、三冊と本が入れられる。それを
見て成佳はぎょっとした。
 くい、と彼の服を引く。宏樹は振り向いたと同時に首を傾げて、こちらの意図を汲み
取ってくれた。
「ああ、えっちな本だけど」
 これを買いに来たんだ、と言ってのけた。堂々としすぎて、かける言葉が出てこない。
普段の自分がその類の本を手にとってレジに運ぶ時、かなり周囲を見ているのが嘘みた
いに思えてくる。
 合わせて四冊がかごに収まり、それぞれの表紙を眺めて再確認していた。
「ナルは何か買うもの、ある?」
 今度は成佳が首を傾げた。最近あまり書店を訪れていないので、興味があるのは事実。
 そこは彼の気遣いに感謝し、一番上の棚からタイトルを眺める。目的地は同じだった
ので、特別どこかに移動することはない。
 棚の高い場所から、本のタイトルに集中する。
 左から右へ目で追っていき、下の段に移ろうというときに、隣に立っていた宏樹と目
が合った。
 どちらともなく、くすりと笑う。
 だが、ほんの一瞬で顎を取られ、熱を含んだものが唇に当たった。
「っ!?」
 いきなりのキスに、成佳は目を見開いた。感触は柔らかいのに、どこか強引で、しか
し憎めない。体のどこかが口付けを待っていたかの様にざわついて、動悸がひどくなる。
 頭がくらくらして、指が首筋をなぞっても抵抗できず、こそばゆさに息が漏れる。冷
房が効いているはずの店内でも汗が浮かび、顔から垂れた。
「ひ、ヒロ……」
 口づけされただけでも驚きなのに、さらに体を触られている。そのうち胸に移って、
片方を覆い、沈んで刺激を与えてくる。
 しばらく感触を楽しんでいた宏樹が、ついに指の腹で胸の突起を捉え、つついた。途
端にピリッと電撃めいたものが体を駆け、いつの間にか繋いでいた手がなければ、姿勢
を崩しそう。
「ここ、で……?」
 人差し指がゆっくりと動いて、服の上からニップルを押している。布越しに触れてい
て、直接の接触でないから痛みを感じることは全く無く、成佳は思わず出そうになる高
い声を堪えている。
 しかし思考は乗りきれておらず、戸惑いながらも少年に視線を送った。

「ううん、ここではしないよ」
 不安の色を見せた少女に、宏樹は首を振って答えた。平日で客もまばら、百貨店の中
でもとりわけ静かな場所だが、さすがに此処ではコトに及ばない。
 彼女の黒い髪をそっと撫でてから、周囲に人がいない事を確認して、もう一度キスを
した。
「もうちょっと見ていく?」
 顔を赤くしているところに訊くと、成佳は気を取り直して本棚に視線を向けた。
 特定のタイトルを探している様子で、ややあってから棚から一冊の本を取り出す。
 持ち直した買い物かごに、それは置かれた。
 一冊だけでいいのか確認して、レジを通ると、彼女は不思議なものを見るような顔で
横を歩いていた。
「……僕も、結構はずかしいよ」
 堂々と並んだように見えたが、そう口にした宏樹の額には汗が滲んでいて。
 照れた笑みがちょっと可愛らしかった。

 書店から出ると、別の階層を移動することになった。
 洋服屋、靴屋、様々な店を眺めながら、宏樹と並んで歩いている。
 成佳はその手の感触を覚えつつ、ときどき握っては彼の注意を引いた。その度、反応
して握り返してくる。
「ふふっ」
 笑みを漏らす宏樹は本当に楽しそう。学生をしている時より、いっそう柔らかい雰囲
気で、成佳もつられて表情が緩む。
 すれ違う人も次第に気にならなくなり、自動階段を上っている間も、彼と手を繋いだ
まま。
 だが、フロアをのんびりと歩いている中で、楽しさだけで頭を埋められないのが複雑
だった。
「ナル?」
 思わず宏樹の手を強く握ってしまって、彼が振り向く。
 成佳は首を横に振って返したが、それでなんでもない風にするのは無理があった。
「……っ」
 移動中、ずっと纏わりついている痺れに成佳は息を漏らした。
 一人でいる間はあまり意識しなかったが、本屋で宏樹に触れられてから――もっと言
えば、最初に彼からキスをもらってから、体の奥が疼いてしまって。
 地肌を覆っているシャツが体にあわせて動くと、バストの先端を布が擦っていく。は
じめは僅かだった刺激が、つられて盛り上がった反対側からも送られて、とつぜん二倍
に跳ね上がる。性の味を知ってしまった身体のどこかから、汗ではない何かがじわりと
漏れた。
「もう少しだから、ね?」
 心配そうにしている宏樹も、前日に自分から言ってきたのだから分かっているはずだ。
 そんな台詞を聞いてからでは、こうして各階を適当に歩いているのも、彼の意図なの
ではと疑ってしまう。
 手を繋いだまま、成佳はぷいとそっぽを向いた。

 上昇するエスカレーターからすぐ、ふたりは開放されている建物の屋上に出た。
 自販機、テーブル、椅子と、休憩するための最低限な設備があり、全体を金網が囲って
いる。
 フェンスに寄ると、普段利用している鉄道が真下に見え、まさに駅を出ようとしてい
るところだった。
「はい、これ」
 宏樹から、彼の買い物と一緒に会計を終えた本が渡される。何も言わずにレジに置い
ていたが、成佳は財布を取り出した。
「いいよ。ナルが喜んでくれたなら、それで」
「あ、あり、がと……」
 代行してくれたのかと思えば、そのまま買ってくれた。本の代金を支払おうとした財
布は、開きかけたまま、購入済みの商品と一緒に鞄へ戻る。
 お礼すら上手く続かない。そこで、宏樹の頭に手を伸ばす。
「わ、なんか意外だ」
 いつもは撫でる側の宏樹も、これには驚いた。くしゃくしゃと髪をほぐされ、朝に整
えた癖毛が広がっていく。

 思いのほか気持ちが良くて、そのまましばらく成佳に撫でられ続けた。
「……跳ねてる?」
 手櫛で元に戻そうとするが、少女からは頷きが返ってくる。どうやら、普段と同じよ
うに上へ伸びてしまったようだ。水だけでは直せないので、もう仕方なし。
 面白くなって無造作に手を動かしていた成佳は、髪の状態を諦めた宏樹から撫でられ
るかたちになり、その最中に体を寄せられた。
「ナル、撫でられるのは好き?」
 肩まである成佳の黒い髪を触れながら、宏樹は訊く。
 大きな手が頭の上を好きに移動して、てっぺんだけではなく横や後ろも満遍なくさす
っていく。少し落ち着いてきたのに、また胸が鳴り出した。
 成佳は首を縦に振り、宏樹の体に軽くぶつける。
 頭突きされる格好になっても、彼は一向に手を止めない。
「じゃあ、キスは?」
 訊かれて、言葉に詰まる。抱き寄せられたことに対する恥ずかしさが一緒に出てきて、
優しく撫でられながらも成佳は唸った。
「…………すき」
 ややあって、小さな声で返した。
「うん、大正解」
 うーっと唸り声が聞こえたあたりから、ほぼ予想通りの返事になって、宏樹は満足げ
に笑って見せた。
 頭を撫でていた手が止まって、顎を持ち上げられる。すかさず、成佳は口を塞がれた。
 唇で音が立ち、すぐに彼は離れていく。
「どうしようか。僕は本を買いに行くつもりだったから、これで済んじゃったけど」
 言いながら、宏樹の目は周囲に向けられる。
 さすがは平日、早い時間というのも手伝って、人の姿は無い。
 あらためて唇を重ねると、少女は赤い顔で視線をくれた。
 しかし、しばらく見つめ合っていた成佳も、首を傾げるだけ。本屋に行くことは事前
に聞いていても、それ以外の行先は特に示されなかった。普段から外出に対して積極的
でないので、彼についていく方が気が楽だった。
「ナル、おいで」
 そのため、何か見つけたように歩いて行った宏樹の手招きに、彼女は素直に応じた。

 百貨店の屋上には、実に都合よく物影があって。
 大型の室外機が幾つも並んで壁を作っている一画は、休憩に来るような客ならまず立
ち入らない、そんな場所。
 頭上に青空が広がるのに、宏樹と二人きりでちょっぴり照れくさい。
 彼の腕におさまると、成佳も相手の体を強めに抱いて密着した。
「……んっ」
 これから何をするのか分かれば、キスをされても驚かなくなる。やさしい最初の口付
けを終えると、今度はそれぞれが舌を口腔で触れ合わせた。
 くちゅ、くちゅ、と粘っこい音を聞いていると、次第に雑念が消えていく。ようやっと
人目から解放された気がして、刺激されたまま膨れ上がる性欲を認めた。
「さっき、本屋さんでしたのは、確認」
 宏樹は指を首筋から胸へと移し、全体を使って覆う。押し込むように動かし、控えめ
な膨らみを確認する。
「や……っ」
 シャツの下にはキャミソールをつけておらず、移動で布が擦れて、既に内側ではニッ
プルが膨れている。
 手が布地越しにそれを押して、成佳は小さく息を漏らした。
 やがて、宏樹の手は腹へ下りると、着衣をめくって布の内側に入り込む。
 胸の両方を直に触れて、その熱が伝わってきた。
「んぁっ! あ、あっ……」
 無造作につつかれ、成佳はひとつ高い音。
 場所を理解した指の腹がスイッチを扱うように押して、次からは甘い声になってしま
う。上下するたびに刺激が体を痺れさせ、痛みとは認識させない。
「ホントに、このカッコで来たんだね」
「だ……ん、あんっ!」
 だって、ヒロがそう言ったから……と口は動くが、言葉が出なかった。

 一度に両側の突起をこねくり回され、簡単な音が優先されて反論できない。成佳は肩
を震わせながらも宏樹を睨むが、乳首から与えられる快感で力が抜けていき、同じ表情
を保てず、目を開けたり閉じたり。
「本気だったら、僕はナルが着替える一部始終を見届けるよ」
 宏樹は刺激に喘いでいる少女の耳元で呟いた。声と息を当てていた耳に舌を這わせる
と、一際高い悲鳴が上がった。
「だけど、ナルは素直でいい子だから」
「うー……」
 始めから終わりまでを宏樹に見られると聞いて、成佳は複雑な面持ちになるが、同時
に彼ならそうするな、と理解もできる。
 だが、聞いているうちに納得がいかなくなってきた。責められ続けて息が上がったま
ま、彼を睨む。
 いま、その指は敏感な突起ではなく、バストをふにふにと押している。何か口にする
機会をくれているように見えて、本当にいじわる。
 それに乗ってしまう成佳もまた、どうしようもなかった。
「ヒロは、えっちだ」
「も、じゃないの?」
 せっかくの反撃も、程なくして無意味に終わる。意地の悪い笑みを浮かべたその顔が、
言葉に詰まった口を塞ぎにかかった。
「ん、んっ……」
 入り込んだ舌を受け止め、それを舐めるように対応する。
 少年の軟体を擦る行為が、成佳を興奮させる要因だった。夢中になると、唾液が絡ん
で鈍い音を出すようになり、自然と鼻息が荒くなる。
 唇が離れたとき、宏樹の顔はすっかり赤くなっていて、成佳はちょっぴり勝ったよう
な気分になった。
「や、あ……あっ!」
 そんな優越感も束の間、言葉のやり取りを終えたところで、宏樹の指はニップルを捉
える。指の腹でくりくりと捏ねまわし、二点からの刺激に成佳は喘ぐ。
 シャツはそのまま、しかし下着で守られていない乳首を責められる光景は、やけにい
やらしかった。距離が詰まっているから胸元が膨れているように見えて、仮想のバスト
が突起をもてあそんでいる。
「ほら、油断してると……」
 胸から手が下がって、腹をなぞる。日光にさらされて汗が滲んでいる肌を指先が滑り、
成佳はくすぐったさに身をよじった。
「うぁっ!」
 宏樹の手はそのまま、ズボンの股に当てられた。いきなり強烈な刺激に襲われ、思わ
ず仰け反る。不安定な姿勢から立ち直るため、一歩、二歩と後ずさりした。彼に腰を支
えられたまま、先行していた背中が壁にぶつかった。
 濡れた生地と恥丘が触れ合い、温度差に肌が粟立つ。その状態で撫でさすられ、じわ
じわと熱が上がっていく。
 首筋に舌が這い、かいた汗を舐め取っている。同時に、下の方ではジッパーを鳴らし
て、やがて空気の通り道が出来上がった。
「すごい、熱くてベトベトだ」
「あ、ち、ちがっ……」
 逃げ場がなく蒸れてしまった部分を、開かれた部分から入った指がなぞっている。ぬ
るぬると動いて、それが汗染みでは無い事を否応なしに理解させる。最初は窮屈そうだっ
たのが、次第に出し入れを容易に行うまでになった。
「下着もつけてないんだ。……ナルの、えっち」
 そう提案――というか指示――してきた少年に言われて、成佳の顔はかっと熱くなる。
 シャツにパンツ、表面こそ普段着に見えるが、その下で肌を守るものは一切なく、今
日は朝から緊張した状態が続いていた。
 胸を擦る状態が続いて蜜壺が中身を垂らし、普段はショーツが受け止めるところをズ
ボンに広げてしまって、変に張りついては不規則に離れ、ただ歩くだけでも性感を刺激
された。
 そのうえフロアを歩き回ったものだから、汗より愛液の方が多いかもしれない。宏樹
の指をすんなりと表面で滑らせ、ひどく濡れているのが自分でも分かる。
「こういうのって、上は白系統の服で、下はスカートにするんだ」
 わずかな動きでまさぐりながら、宏樹は話を始めた。
 甘い痺れのなかで、成佳は耳を傾ける。

「この季節だと汗で透けるし、スカートはいつ捲れるか分からない。そんな中で下着を
つけないなんて、スリルばっかりだね」
 ふと想像して、成佳はわずかに恐怖した。そんな格好で街中に居ようものなら、移動
するだけでも体力を使いそうだ。――というか、明確に宣言されては断るしかない。表
面は好きにして、あくまで下着を付けないように言ったのは、宏樹なりの優しさだろう。
 ただ、それすら自由意志だったらしいから、こんな場所でえっちな事をしている以外
に、成佳は自分が少し恥ずかしかった。
 などと思考している間に、彼の片手が胸の方に戻ってきた。それまで腰を支えてくれ
たのが、室外機に背中を付けているから不要に見えたらしく、
「ひゃ……あんっ、ぁ……あっ」
 シャツの内側で乳首をきゅっと摘ままれて、成佳は喘いだ。
「ナルは真逆の方向だったけど、えっちで可愛いから満点っ」
 言いながら二箇所を責め続けられ、成佳は即座に言葉を返す余裕がない。突起を転が
し、恥丘を擦られて、息を漏らすだけ。
 ただ分かったのは、あまり褒められている気がしないことだった。
「んぁ、あっ……ヒロ、やだ……やらし……っ!」
 次第にスリットをなぞる指の動きが速くなる。それが侵入しているのはズボンの腰回
りからではなく股のジッパーで、少し変わった光景が成佳にそう言わせた。
 秘部から生えていた手が抜けると、指には多量の液が塗さっている様子がわかり、陽
にさらされてまぶしく光った。
「……うん、ナルの味だ」
 纏わりついた粘液を口に含み、ぺろりと舌舐めずり。男子なのに仕草が可愛げで、く
すりと笑う様を見て、成佳はどきどきしている。
 未だに胸を触っている手はそのまま、もう片方が髪を撫でていく。こそばゆさにピリ
ピリした刺激が混じって、小さな声が出ていく。
「はい、ちゅー」
 宏樹は少女の口元に近づく。
 宣言からキスの流れになり、少年と唇が重なった。舌が入り込み、口腔を探る。
 お互いが舐めあって唾液を交換している最中も、汗を含んだ指先がニップルを刺激し
て、ぴくりと肩を震わせた。喉を鳴らす音さえ、ぐぐもった悲鳴に変える。
「ナル、ズボン脱ごうか」
 可愛らしいふくらみの先端をいじっていた手は、それを最後に一度だけ強く摘まみ上
げた。成佳はひとつ高い声になって、恨めしそうな視線を送ってきた。
 それを受けながらも、宏樹は膝を曲げた状態でベルトをカチャカチャとはずし、汗が
染みた黒のジーンズをゆっくりと下ろす。履いていたスニーカーごと片方ずつ抜いて、
細くしなやかな脚を露わにした。
 跡地にショーツは無く、愛液にまみれた恥丘が外気にさらされていた。
「……いや、えっちな眺めだな、って」
 しばらく見上げたままだった宏樹が、ふと呟いた。
 刺さる様な視線が一点に向けられ、成佳は恥ずかしくなって顔をそむけるが、下腹部
が疼いて愛液が垂れる。
 こもっていた熱を発散させた脚を持ち上げ、彼は肩に担いだ。股のスリットと口が一
気に近くなり、吐息が触れて身体の奥がざわめき始めた。
「ひぁ……っ!」
 ザラザラしたものが恥肉を這い、成佳は顎を上げた。ぴちゃ、ぴちゃ、と滲んだ液体
を舐め取るように、宏樹の舌はゆっくりと動き回る。
 表面だけではなく陰唇を広げ、蓋の内側を不規則に舌先でつつく。胸とは比べ物にな
らない愉悦が体を巡って、手は握りっぱなしで室外機とぶつかり、ゴツンと派手な音を
たてた。
「あっ! あ……んうっ」
 上がった声は、目の前に広がる風景に吸い込まれる。
 それまでは宏樹が視界を遮っていたが、彼が屈んでいる今、成佳の視界にはフェンス
越しの街並みが映っていた。室外機が壁を作っているところで安心しきって、反対側の
事など気にもかけておらず、ここが百貨店の屋上であることを再認識させた。
「ん、ぁ……くうぅ……!」
 成佳は自身の手で口を押さえた。

 その場で見えるのは背の低い建物ばかり。しかし、淫行に耽っていると、それらの屋
上からこちらを発見するのでは、とか、声に気付いて誰かが来るのでは、とかを考えて
しまう。そもそもこの場所だって、休憩に来た客が立ち入らなさそうなだけで、可能性
はゼロではないのだ。
 それでも、宏樹は声を引き出させようとして責めの手を緩めない。ぴちゃぴちゃと秘
肉を舐めていた舌が膣口を捉え、ゆっくりと奥へ進んできた。
「あ、んっ! あ、あう……っ」
 声が抑えきれずに漏れ出ていく。膣肉を広げて入り込んだ軟体は、特有のザラザラを
擦りつけて往復する。それに対して体がキュッと窄まる感覚になるが、侵入者を止める
ことは出来ず、数度の出入りで膝から力を抜いていく。
 最中、宏樹の手が下から伸びてきた。内腿を探って脇腹をくすぐり、指先が招くよう
に動く。
 壁を叩いた手とは反対側にある辺り、その意図はなんとなく掴める。だが、脚が震え
て姿勢を崩してしまいそうで、成佳は彼にすがった。
「あっ、ぁ……あんっ!」
 直後、膣を犯していた舌が暴れ始めた。浅く出入りしていたのが好き放題に動いて、
蜜壺をかき回していく。
 手には指が絡まり、お互いが磁力を持っているように繋がったまま離れない。室外機
についたもう片方を外すと背を滑らせてしまいそうで、鉄板をへこませそうな力を加え
て姿勢の維持に努めている。
「あんっ、ヒ、ロ、あっ、だめ……ぁ、んあぁぁっ――!」
 なおも激しく動いて、下腹部から伝わる水音を耳に入れながら、宏樹の吐息さえ刺激
として受け止め、むき出しの声を抑えることもしない。道中でさんざん引き上げられた
快楽に身を任せて、成佳は体を震わせた。
 荒い息をついていると、両足が地面についた。腿を指でなぞりながら、立ち上がった
少年と視線がぶつかる。
「んっ……」
 口づけをひとつ。ちゅ、と音を鳴らして、すかさず舌の先をつつきあう。
 次第に接近して、お互いの唾液を混ぜあっていたが、宏樹はオーガズム後の体に休み
を与えてはくれなかった。
「うぅっ……! ん、く……っ!」
 彼の指が蜜壺に突っ込まれていた。絶頂した直後で意識が回らず、動き始めた今のい
ままで気付かずにいた。
 それでも、成佳は舌どうしの接触を続けた。しかし、責められながらで不規則に息が
漏れてしまい、軟体をうまく操れない。
「ぷぁっ……ぁ、あっ!」
 刺激に耐えかねて、口を離してしまう。舌よりも深い位置で襞をひっかき、彼にしが
みついている手の力が自然と強くなる。
「さっきは、僕の考えてる事がわかったんだね」
 指の出入りが、にちゃ、にちゃ、と鈍い音を発している。
 キスの直後で顔を突き合わせたまま、赤く染まった宏樹が嬉しそうに笑みを漏らした。
「……いじわる」
 それなりの速さで動いていたのに、直前でスローペース。喘ぐだけだった成佳は、書
き溜められていた内の一枚を、喉奥から引っ張り出した。
 もちろん、彼の返事は決まって「ごめんね」で。
「ナルのえっちな声、いっぱい聞かせてほしいから」
 姿勢を崩しそうだったから、とかは一切言わなかったが、宏樹はすべて分かっている
風だった。彼はそれ以上訊かず、指の動きを再開する。
「ん、あっ、あ……っ」
 痺れていた膣肉が感覚を取り戻し、愉悦を濁りなく体に伝える。指は舌よりも容赦な
く動いて、体内をかき混ぜていく。
 腰が引けて変な姿勢になっているが、宏樹は片手で背中を支えてくれた。
「――――っ!」
 一度発散させたはずの性感が再びあらわれて、襞を擦って粘液を鳴らす指になすすべ
もなく、成佳は二度目の絶頂を迎えた。
 数回、身体が震えた。四肢がピリピリ痺れて、宏樹を掴んでいる手に力があるのか分
からない。
 彼は掬ってきた壺の中身を口に含むと、指先を舌で拭った。

 体勢を立て直し、あらためて成佳は抱き寄せられた。腕におさまって、ゆるく触れる。
軽い口づけをした後も胸はトクンと鳴ったままだが、しかし落ち着くあたたかさだった。
「僕、もうぱんぱんなんだ」
 その言葉で、成佳は下腹部に接触している硬いものの存在を意識した。スキニーを盛
り上げ、主張しているそれは、紛れもなく彼の分身で。
「いっしょに……きもちよく、なろう?」
 言い回しがなんだかとっても可愛らしかったので、成佳は恥ずかしくなって宏樹の頬
を手で鳴らした。
 お返しとばかりにキスのかたちになり、粘っこい音に混じって小さな金属音が耳に
入ってきた。
 それぞれの口唇に唾液が塗られ、舌が動きあう。一度離れた硬い物が下腹に再びぶつ
かり、その熱量が成佳を驚かせた。
「立ったまま、するよ」
 器用に片手だけでベルトとジッパーを操り、いつの間にか宏樹のモノは表に出ていた。
そそり立つ先端がまっすぐに顔を捉えているようで、成佳は思わず視線を外す。
 二回も達して、愛液が垂れる太腿を持ち上げられた。陰唇が震えたところに指で触れ、
具合を確認するように何度も滑る。
「ナル、可愛い顔してる」
 刺激に瞼を閉じてしまったが、彼はそれを可愛いと言う。片足立ちの不安定な状態ゆ
え両手は宏樹の首にかかっている。なおもスリットをなぞられて口からは息が漏れ、成
佳は一度向き合った状態から、ぷいとそっぽを向いた。
「う…………あぁっ」
 入口にあてがわれた屹立が体に入り込み、成佳は挿入感にうめく。
 宏樹は膝を曲げて、やや下方向から肉を割っていき、肌が合わさる頃には根元まで咥
えていた。
「あんっ!」
 いちど奥まで入ったいきりが引き返し、あらためて進入した。勢いをつけて奥を叩き、
衝撃と快楽が混じって顎が上を向く。
 舌と指で責められ、ほぐされた膣肉は、それらよりも大きな宏樹の分身を難なく収め
て、押さえつけようとして成佳の意思とは無関係に動く。この窄まる感覚は、まるで彼
を待ちわびていたような、そんなざわつき。舌や指では直接触れない、秘密の場所を屹
立が擦って、無意識に肩が震えた。
「あっ、あ、ん……! んあっ、は、っ……!」
 顔がすれ違っていて、すぐ脇に宏樹の耳がある。自分の嬌声がうるさいくらいに入って
いるはずだが、しがみついたままで声をどうにもできず、成佳は連続した突き上げに
ただ喘ぐ。
「くっ、ナルのなか……熱い……」
 対して、宏樹の声も間近に伝わってくる。運動をつづけながら、彼の吐く息が耳をく
すぐり、やはり性感を刺激する。
 平均して三十六度前後の体温だが、結合部だけは往復するいきりごと溶かしてしまい
そうに熱い。連なる室外機に混じって、体内をかき混ぜる淫猥な音が響いた。
「ん、んっ……あ、ふぁっ」
 膣肉は勃起の全体を囲んでいる。それでも、絶えず動くものを押さえつけるのは難し
く、捕まえようとして逃げられ、狭まった部分を往復で広げられる。
 成佳は自分が手をまわしている部分から、汗が多量に噴き出すのを感じていた。宏樹
の首と接触している方も熱が高くなって、ふたりして発汗しているのが簡単に分かる。
「あ……ん、あぁっ……あっ!」
 甘い声を聞きながら、腰を動かす宏樹も必死だった。成佳の中では襞がいきりに絡み
つき、その場で吐きださせようと締め付けてくる。だが、下着も無しに往来を歩いてき
た少女に、体内で精を放っては酷だ。
 その気は最初から無いにしても、もう少し彼女と愉しみたいという矛盾した思考がう
まれて、ぐちゅ、ぐちゅ、と水音をかき鳴らす。
「ナル、そろそろ、いいかな……!」
 途切れとぎれで、成佳に伝える。膨大な熱に包まれたいきりは膨れ、陰嚢が縮んで限
界を示していた。
「ん……あん、う……んっ……んあっ!」
 大きさと勢いを増した宏樹の分身で膣がいっぱいになり、ぎゅう詰めにされながらも
成佳は声を振り絞った。
 最後の方で彼と声が重なり、ぐっと腰を引いたところで体内のつめ物が外れた。
 遅れて赤黒い肉棒が脈打ち、白濁を放つ。シャツの裾や太腿に注がれ、のんびりと体
を伝う。
 持ち上げられていた足が地面に触れ、安定した状態で宏樹と唇を重ねる。手を握り
合って指が絡み、昂っていた感情が次第に落ち着きを取り戻した。

 相変わらず頭上には青空が広がっていた。雲が流れて、しかし太陽は隠れることなく
日差しを提供している。
 身なりを整えると、成佳は慎重な足取りで進んだ。特にパンツと触れる部分は入念に
拭いたが、直前まで責められていた事を思い出すと、また奥の方で液体が垂れる感じが
して。
「えっちな事したら、あつくなっちゃったね」
 フェンスから風景を眺めていた宏樹に並ぶと、彼は気づいて言葉をくれた。
 ふたりとも汗だく、今も額から粒を噴き出している。シャツも肌にべったり張り付い
て、お世辞にも快適とは言えない。
「冷たいもの、食べに行こうか?」
 きつい運動をした後のような疲労があった。体が冷たくて甘いものを欲している。
 その提案に、成佳はひとつ頷き、差し出された手を取った。
2011年08月24日(水) 09:50:53 Modified by ID:uSfNTvF4uw




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