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そうだ、満員電車であそんでみよう



『まもなく、一番線に電車がまいります。白線の内側に下がって、お待ちください……』
 アナウンスから間もなく、ホームにステンレス製の車両が入場する。ゆっくりと減速
して、やがて停止してドアが開く。
 車内から大勢の乗客が吐き出され、三澄成佳はそちらに流されそうになった。他線と
接続しているこの駅では、乗客の入れ替わりがとても激しい。半ば強引に車内の奥まで
進むと、後ろ髪が背広や制服に引っかかってわずかに痛む。
 ベルの音と共に駅員の声が響き、続いてドアが閉められる。扉近くのバーにつかまっ
て、小柄な彼女は揺られないように踏みとどまった。
「ナル、おはよ」
 ふと、背後から聞きなれた声がして成佳は首だけ動かした。自分と同じ学校の制服を
着た小泉弘樹が、少し窮屈そうに体を動かしていた。
 周囲に「すいません」と数回呟いた後、宏樹は成佳の背に立った。後頭部が胸板に当
たって、わずかに熱っぽい。
 混雑時はドアの多い車両を選ぶようにしているが、ここで入ってきたのは通常の車両
だった。どちらにしても座ることはできないし、立つ分には窮屈なのも変わらないが。
『まもなく兎祖――お出口は右側です……』
 しばらくは反対側のドアが開く。しかし付近の客は降りることもなく、混雑率は変化
しない。すぐにベルが鳴って扉が閉められ、再び密室になると、電車は加速を始めた。
「ほとんど毎日乗ってるけど、いつもこんな感じだよ」
 車輪の音に混じって、宏樹がつぶやく。周囲を見ると立ちっぱなしで眠っているよう
な客さえあった。人の向きがそれぞれバラバラなせいか、特定の場所を注意深く見る、
というのは不可能そうに感じる。
「フィクションでは、こんなとき複数で一人の女の子に触るの」
 いきなり言われて、成佳は肩を震わせる。どうせ頭ではその他大勢で女子――という
か自分――を弄ぶような光景を広げているのだろう。いくら宏樹とはいえ妄想の被害者
にされるのはやはりいい気分ではないので、肘で軽く突いた。
 服を脱がさずさり気なく、しかし激しく刺激され、触るだけでは絶対に終わらないノ
ンストップ。――普段から話を聞いているせいか、どこか影響されてしまったようだ。
 さて、こんなことを言うくらいだから、この通学時間で何かしようというのだろう。
しかし、頭では理解していても宏樹の言葉と行動は予想しきれない。
『まもなく本戸――お出口は右側です……』
 列車が停止し、背後の扉が開く。しかし周辺から人は失せず、むしろぎゅう詰めにな
る圧迫感を覚えた。成佳はバーをしっかりと握って、宏樹は近くのつり革を掴んで離れ
ないように耐え、ほどなくして発車した。

「……じゃ、通学時間のお楽しみと行きますか?」
 わざわざ疑問形にしてくるあたりがいやらしい。断ると彼の意思で、受ければこちら
の意思で始まることになる。成佳は少しためらったが頷いて返した。断ると彼の意地の
悪さに拍車をかけてしまうから。
 惰性で走っていた車両が減速を始めた。宏樹は何か考えたのか肩に手をやって、成佳
の向きを反転させる。ふたりが向き合う格好になったとき、車体がぐっと傾いた。
「んぅ……っ!?」
 宏樹は他の乗客がそうなったように、体を大きく傾かせ、その進路上にいた成佳にキ
スした。あまりにも突然すぎて息苦しささえ覚えたが、カーブを抜けるまでの時間で、
しかしたっぷりと口づけしたような気分だった。
 一見、カーブを抜けたのに傾いたままでは不自然に見えるが、宏樹の荷物は彼の足元
にあった。その中身を探るように見せて、膝を落とした彼に抱かれてキスをする。電車
はのんびりと走っていて、まだ次駅へのアナウンスも聞こえない。
 舌先をつんと突いて、それから絡めあった。まだ気づかれてはいないがこんな公衆の
面前でディープキスするとは到底思っておらず、二人だけでする何倍かに感情が増幅し
ているのが分かる。
 口が離れると、かけられた透明な橋が朝の日差しで煌めいた。
『まもなく一三――お出口は右側です……』
 ドアが開く。自分たちの周囲で降りる者がいないかと周囲を確認する姿もちらほらあ
るが、相変わらずの混雑率を維持している。成佳は宏樹の腕におさまっていて、彼の真
後ろに立っていても姿を確認するのは難しい位置になった。
「ね、ちょっと普通とは違うでしょ」
 頷く。普通じゃないどころか軽く異常に感じる。宏樹の言うフィクションならともか
く、今のこれを自分たちの降車駅まで貫き通すことができるか……否である。

 そんな成佳の思いをよそに、彼はまた肩に手を置いてくるりと反転させた。別の車両
が二つ先のレールを走り抜けるのを眺めながら、電車が動き出す。
『この電車は急行です。次は柚味に停まります……』
 いつも乗っている電車だが、成佳はつい真上に掲げられている路線図を見た。次の停
車駅まで五つほど通過するようで、車両も勢いよく加速している。
「んっ」
 突然のことに、成佳は思わず身を固くした。
 最初に触れたのは頭だった。手のひらで撫でるようにした後、髪を少しとって指先で
つまんでいる。まるで頭をマッサージされているようにこそばゆい。
 さすがにここでは後ろ髪に触れるのは難しいとわかると、肩の方に移動させて首筋を
なぞった。
 これには体が反応する。人差し指以外でも軽く触れられ、ゆっくりと後頭部へ移って
いく。普段の行為でも触られることはあるが、首だけ責められるのはかつてない。舌が
這うのと指でなぞるのとは全然違って、くすぐられている感じがした。それに何とか耐
えようとすると汗がふきだし、じわりと制服の下の肌を蒸らす。
 次は手と手が触れあった。されるがまま握りを解いて、指のそれぞれ、掌、手首を揉
まれる。触られた場所にも汗が残って、じわりと湿っぽい。
「タイ取っちゃうね」
 学生服のアクセントになっている翡翠色のタイを、器用にするりと外してしまう。宏
樹の鞄に落とされたのか帰ってこないまま、その手はついに胸へ当てられた。制服の上
着にシャツ、それから下着で三層も重なっているが、大きな手で触れられただけで心臓
がバクバク高鳴っている。布三枚の上でも手を通じて宏樹に聞こえてしまいそう。
 しかし、彼女の不安などお構いなしに宏樹の手は胸をさするように微動する。ガラス
にうっすらとその様子が映って、成佳はあらためて自分が電車内で盛っているんだと認
識した。
「ふ、ぅ……ぁっ」
 息が漏れ、咄嗟に口を塞ぐ。空調や走行の音など無関係で、とにかく息を殺して声を
出さないようにしていたのだが、ホンモノの甘い刺激には耐えられなかった。
 それからすぐ、上着のボタンが外され、続けて下のシャツも同様にして左右に分けら
れた。インナーが陽にさらされ、肌がじりじりと熱い。
 宏樹の手は胸を覆っていた層の二つをどかして、交差させた状態でそれぞれに触れた。
彼の左手は成佳の右胸に、右手は左胸に置かれて、傍から見ると少し変な抱きつき方に
見えるような姿勢。少し腕が動くたび、一番近くで聞こえる衣擦れの音が気になって仕
方がない。
 初めはマットのようにぐいぐいと押すだけだったが、そのうち突起を探し当てて下着
越しに擦られ、ぐっと腰を引く。三層ある最後のひとつだが、薄いキャミソールでは直
接触られているのとほとんど変わらない。しかし厄介なのは硬くなった乳首をいつまで
も擦られると痛いのに、布一枚挟むだけでそれがほとんど無くなるところだ。往復して
弾く指に抵抗するまでもなく、ごしごしと上から擦られるだけで心地の良い刺激となっ
て身体を駆け巡る。
 彼女の頭は、
 こんなところでしてしまって異常じゃないか、という尤もな疑問と、
 ばれないか、という一抹の不安と、
 なぜ気持ちがいいのか、という葛藤が大部分を占めていた。全部ない交ぜにされてし
まって、こんなのおかしいとか、やっぱりやめようだなんて口に出せない。
 いつしか成佳は窓にぺたりと手をついて、吐き出す息でその一部を曇らせていた。
「――っ!?」
 二つ目の駅を通過してすぐ、体が熱くなってぼんやりしていた視界が急に冴えわたっ
た。
 急行を冠するこの車両が高速で走行しているのは分かる。その車両が隣の線路を並走
していた別の車両に速度で勝り、成佳の目の前に人の姿が映った。
 制服とシャツのボタンを外され、男に後ろから抱きつかれているような構図があちら
に見えているような気がして。
「は……あ、ふ……んんっ!」
 しかし、宏樹の手はそれを知ってかしらずか、無慈悲にも乳首をくりくりと弄ぶ。こ
の手がなくなると下着と胸が丸見えになってしまうが、指が動いているのはどうしよう
もなく、そこは彼の優しさが憎い。

 同じ方向へ走っているのだから、当然最後列から最前列まで相手方の列車にもドアが
ある。それぞれほんの数秒足らずだが、その間中ずっと動揺と羞恥で鼓動が速くなり、
脂汗をどっと噴いた。しかし、息を殺すのに精一杯。徐々に追い抜いて行く途中で、突
起を指先でつままれ、つぶされ、蕩けた表情が向こう側のサラリーマンや女学生に映っ
てしまう。
 4ドア十両編成の先頭車を見送り、視界から他の電車が失せると、成佳はようやく緊
張から解放された。
「いや、ちょっとどきどきしたね」
 宏樹の声はどこか楽しそう。しかし成佳の方はどきどきしたどころではなく、恨みの
こもった眼差しで彼を睨んだ。相手が誰であろうと、見られた方はその事実が抜けない。
 しかし、宏樹は柔和な笑みを浮かべて耳元で囁く。
「降りる駅まで、あと五駅くらいだよ」
 成佳もこの路線の利用者だから、その数くらいは理解している。そこまで、この電車
が通過する駅があと三駅、柚味に停まって四駅、その次で降りるから五駅。距離はそこ
そこあり、つまりその間はこの羞恥プレイを続けなければならない。しかし、散々責め
られて性感が昂ってきて、そんな状態で中断するなんてとてもできなかった。
 胸から手が離れ、ぎゅっと背後から抱きしめられる。制服がはだけて下着が見えてい
る妙な格好なのに、どこか不思議な安心感。
 このまま続けばいいのにと思っていた矢先、片方の腕が離れて視界から消えた。
「あっ……」
 その片手を認識したのはそれからすぐ。プリーツの内側、ヒップを撫でつけ、内腿に
指を滑らせる。くすぐったさに甘さが混じった刺激で、体から力が抜けそうになる。姿
勢を崩しそうになると胸にある彼の腕がそれを防いでくれた。
 が、宏樹が下の方を触れなければ、成佳もショーツが液まみれになっている事に気が
付くことも無かったかもしれない。さっきまでは全部胸の方に集中していたから、他の
事を考えていて意識していなかったのだ。太腿には汗が滲んでいるが、下着のこれを汗
染みと言うにはちょっと苦しい。
 キスと上半身の愛撫でかなり感じていたことを、それはあらためて成佳に認識させた。
プリーツをそっとタッチされながら、顔から火が出そうになる。
「は、ぁ、っく……!」
 太腿を背後から触られる間隔に、成佳は笑いが漏れそうになるのを必死に堪える。普
段あまり触られないせいか、指が通り抜けるたびにくすぐったく、その上むず痒い。
「……あ……っ!」
 粉末を掴むような細かい指の動きが必要以上にいやらしく、その指が股の方までくる
と、そこで初めて濡れそぼったショーツと触れあった。
 だが、それきり宏樹の手は腿や尻に触れるだけ。確かに刺激されているのに、ずっと
焦らされている気がしてたまらない。もう下着は役割を果たしておらず、穿いていても
気持ち悪いだけ。
「ナル、内股になってるよ」
 不意に指摘される。痒いところを直接触らず、遠くから刺激されたままでどうしよう
もなかった。下半身の刺激から逃れようとして、それで脚を閉じてしまったのだ。
「ふぅぅっ」
 水浸しになった肉筋をなぞられ、成佳は身震いする。ほんの数回の往復で、脚がガタ
ガタ震えて腕から力が抜けていく。宏樹が支えていなければ、そのまま倒れてしまいそ
うだった。
 が、それで様子が分かったのか彼の手はクロッチをずらし、今度は直に触れてきた。
突然のことに驚いて仰け反り、ぬるぬると指を動かされて瞼をぎゅっと閉じる。ようや
く本命にたどり着いたのに、それまでの過程で極限に近くなっていて、
「――……っ! ……ん、ぁ……」
 指の一本がクレバスの内側に入り始めた時、声もなく果ててしまった。ずぶりと入れ
込まれたそれを押し流す勢いで粘液があふれ出し、宏樹の手首を伝って内腿に垂れてい
く。窓に映った自分の顔を見て、成佳は紅潮した。
 いつものように、それで責めが中断されるならまだ良かった。今は痴漢で通っている
彼が普段の小泉宏樹と同様にすることはなく、入れた指でさらに中身をかき回し始め、
体を通じてその音が聞こえてくる。ぐちゅぐちゅ、にちゃにちゃと水音が聴覚を刺激し、
立っているのがだんだん辛くなる。
 急激に襲ってくるそれに思考を支配され、他のことを考える余裕がなくなる。追い打
ちにまた果てそうで、なぜこうも込み上がってくるのか不思議で仕方ないまま、成佳は
二度目のオルガスムスを味わった。

 激しく蹂躙されて体がびくびくと痙攣する中、駄目だダメだと考えてももう遅い。車
両の床に直に落としてしまいそうなほど、成佳の恥丘は蜜を滲ませ、たっぷりかいた汗
のにおいに混じってミルク臭を漂わせていた。未だに収まっている宏樹の指は電車が揺
れる度に刺激を与え、短時間で二度も絶頂した成佳から愛液を分泌させる。
「ふぁ、あ、んう……っ!」
 ショーツを少しだけ下ろされ、車内の空調でわずかに冷たい空気が恥丘を撫でる。そ
の直後、指を抜かれたかと思うと二本まとめて挿入され、その異物感に朦朧としていた
意識が回復する。しかし、連続したオーガズムの直後で力が入らない体ではその侵入に
抵抗できるはずもなく、あっさりと受け入れてしまう。
 耳にふっと息を吹きかけられ、成佳は悲鳴を上げそうになった。さまざまなことに神
経を使っているせいで、他の場所を責められたときは弱い。首筋に伝染して、背筋に寒
気を覚えた。
 二本の指は根元まで入り込み、それから出ていく。あたかも宏樹の分身を挿入されて
いる様なゆっくりとした出入りに、感覚を取り戻した成佳の膣はそれをぎゅっと締めつ
ける。
 下腹部から奏でられる鈍い音は、もう周囲に聞こえているのではないかと不安になる
が、ふとその動きが止まって壺から抜かれた。それまで息を止めていたかのように、成
佳は肩で荒い息をつく。こんな時ばっかり、口をついて出る声が鬱陶しい。
「あ……や、はぁっ!」
 ただ、それで終わりなはずがなかった。今度はそれまで留守だった方の腕も加わり、
再びインナー越しに突起を擦った。硬さを失っていた乳首は再びピンと上を向き、薄い
布地を持ち上げて存在を主張する。そのうち片方だけ、自分が垂らした蜜で濡らされ、
布を透かして薄桃色を露わにしていた。
 責められながら、背後からじわじわと押され、窓がさらに近くなる。視線を脇に向け
ると周囲の乗客がわずかに動いており、宏樹もそれによって動いていたようだ。
「ナル、次の駅で降りるからね」
 距離が近いからか、やけに鮮明に聞こえた宏樹の声で、成佳は俯きがちだった頭を上
げて――あげてしまい、それから言葉を失った。
 宏樹の言葉通り、電車が停まっていたのだ。そこは相対式で、開かなかったこちら側
のドアから、反対側のホームが見えてしまう。停車したことに気が付かないでいた方が
まだマシだと思えるくらい、あちら側にも大勢の利用者が位置していた。その最前列の
客と目が合いそうな微妙な距離で、敏感になった突起をつままれ、強張っていた表情が
蕩けてしまう。
 幸いすぐに対向列車が到着し、ほぼ同時にこちらも発車したため、すれ違う車両から
の視線を気にする必要はなかったが、宏樹に指摘されるまで気付かなかった時間がどれ
ほどあったか、そんなことが心配になった。
『まもなく柚味、お出口は左側です。お忘れ物などなさいませんよう、お気を付けくだ
さい――』
 無遠慮な愛撫に息を弾ませながら、成佳はその放送を耳に入れた。突起をひとつまみ
された後、宏樹の手はボタンの外れたシャツと制服の上着を戻しにかかり、丁寧にタイ
を締め直した。
 しかし、下はショーツがそのままだ。一通りの処理を終えた彼の手は、再び後ろから
べったりと触れてきて、今度は指を入れずにゆっくりと往復する。
「んく……は、あぁっ」
 アナウンスひとつで緊張が解れかかった状態で、いきなり責められてつい声が出る。
 窓の外を流れる景色も動きが少なくなり、明らかに減速していて、
「ナル、降りるよ」
 その声で恥丘を触れていたものが離れ、代わりに腿の半ばで引っかかっていたショー
ツを当てられた。体中の熱っぽさはそのまま、成佳は座席と自分の片足で挟んでいた鞄
を拾い上げ、抱えて降車の体勢になった。

 ドアが開くと、先に行った宏樹に引かれる形でホームに降りた。
 周囲は階段に殺到する利用者であふれ、その真ん中で立ち止まっているふたりを迷惑
そうに避けていく。
「ごめんね、ちょっと調子に乗っちゃった」
 宏樹は謝罪から始まった。用意していたタオルで両手を拭くと、手を合わせて頭を下
げた。
「どんな感じだった?」
 一転、今度は感想を求めてくる。確かにその最中は声を抑えるだの息を殺すだのと神
経をすり減らしていたが、本来はこう口数の少ない少女だ。まだ落ち着いてもいないの
に質問されても答えが出せず、成佳はむっとした表情でぷいとそっぽを向く。
「やっぱりフィクションみたいにはいかないよね。僕の後ろにいた人、もしかしたら感
づいてたかも」
 考えるような表情の宏樹を見て、成佳もどきりとした。いくら電車の走行音があって
も、耳に近ければ気になるものはきになる。実際、衣擦れの音はかなり大きな気がした
し、中身をかき回された時の水音なんかは本当に危なかったと思っている。
「……怖かった」
 何とか現実に戻ってきた感じの中、成佳はつぶやく。
 まずこの行為自体が異常で、怖い。
 それから責められて流されたが、周囲に知られてしまいそうで、怖い。
 なにより、普段と違って宏樹が話しかけてこず、その顔も見られないのが一番怖かっ
た。これでは相手が誰なのか分からないのも同然だったからだ。
 もちろん、そこまで口をついて出てこない。だから一言だけ。
「……うん、そうだよね」
 しかし、宏樹は察したように頷き、頭にポンと手を置く。
 撫でられて、成佳はあらためて現実を実感した。目の前にいるのは間違いなく小泉宏
樹だ、と思うと安心する。
 ちょっとやりきれない部分があったが。
「……ナル?」
 ひとつ怪訝そうな顔になると、宏樹は気まずそうな表情になった。自分が降りる直前
まで何をしていたのか思い出したのか、照れたように頬を指で掻いている。
 車内で二度の絶頂を迎えた後、さらに責められた成佳の性感はどうしようもないくら
いに高まっていた。しかし、あの後降車までに再び達することはなく、中途半端なまま
ホームに降りてしまって。
 愛液をたっぷりと染みださせた恥丘を覆っているショーツは、べっとりとしていても
う下着とは言えず、外気に冷やされてわずかに寒く、しかし下腹部は物足りなさそうに
疼いている。
「…………なま、ごろし」
「ど、どこで覚えてきたの……」
 確かこんな状態の事を指すんじゃなかったか、と思いながら呟いた言葉に、宏樹は心
底驚いた表情を見せた。いつもそういう話をする割に、こんなところで意外な反応が見
られて、ちょっと楽しい。
 しかし、またいつもの意地悪そうな笑いを浮かべて、
「もう、本当にえっちなんだから」
 と、前触れなくキスをした。
 それから宏樹は踵を返して階段に向かっていく。残された成佳はほどなくして我に返
り、肩をわなわなと震わせながら、周囲の視線などお構いなしに鞄の中身を探って得物
を掴み取る。
「おぐっ!」
 野球のボールと同じくらいの速度で飛んだそれは、先を行く彼の後頭部にクリーンヒ
ット。ブレの無い投本で羞恥を代弁してくれた。
2011年08月24日(水) 09:28:25 Modified by ID:uSfNTvF4uw




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