星を見上げて
黙って星を見上げている無口っ子は絵になるな
夏でも涼しい高原の夜、無口っ子は一人ベンチに座って、空を眺めていた
その姿は絵本の一頁のようで、けれど何だか心細そうで
男はそっと後から寄って行って、ぽん、と肩を叩いてあげると
びくっ! と驚かれるけど、顔を見たら安心してくれて
隣に座って良い? と訊いたら少しだけ端に寄ってくれる優しさ
寒いだろうからと肩に上着をかけてあげると、それを大事そうに纏う
天の川の幻想的な空は何時間見ていても飽きなくて、そのまま
と、無口っ子が急にくしゅん、とくしゃみをしたので、男は訊く
そろそろ帰ろうか?
けれども無口っ子はもう少しだけ、このままでいたいようなので
仕方ない、と男はその体を抱き上げると、自分の膝上に
両手をクロスさせて抱き締めると、無口っ子も何も言わず背を預けてきて
柔らかい髪が肌にさらさらと当たって少しくすぐったいけど
そんな温かな二人の夜は、星が綺麗だね
2011年08月23日(火) 11:22:15 Modified by ID:uSfNTvF4uw