膝の上の彼女(仮題)
二人でベンチに腰を下ろし、私は彼を見た。
「………………」
彼の所望はきっと膝枕。きっとそうだ。
「……?」
ぽんぽんと膝をたたきながら首をかしげてみる。
が、どうやら違うらしい。
「……」
ふるふると首を振り、彼はじっと私を見る。
「…………」
前からハグ?
「……ん?」
両手を伸ばし、また首を傾げてみる。
が、どうやらこれもまた違うらしい。
「…………」
ふるふると首を振り、彼はまたじっと私を見る。
ええい、どうしたいって言うのよっ――と、聞けたらどれだけ楽だろう。
そんな勇気は、私たちには無い。
私には、彼に聞く勇気が。
彼には、私に告げる勇気が。
お互いにこういう人間だと知っていて、それでも付き合い始めた私たち。
「…………」
じっと彼の目を見つめる。
わからない。けど、わからないから知りたくなる。
もっともっと、彼の事を。
だから、こうやって彼の求めるものを考えてるのは、楽しい。
「…………」
わかった。きっとこうだ。
私は立ち上がり、彼の膝を指差し、首を傾げた。
「……ん」
彼の頷きに、私の顔には自然と笑みが浮かぶ。
やった、当たった! この瞬間は、とても嬉しい。
彼の望むことをやってあげられる事が。
そして、彼の考える事を一つまた知れたという事が。
「……うん」
か……考えてみると、ちょっと恥ずかしいけど……。
私は彼の膝の上に、腰を下ろした。
彼は私の背中を包み込むように、私の身体を抱きしめる。
「ん……」
彼の体温を背中に感じた。
「……あったかい、な」
「……ん」
だんだん冷たくなってきた風。でも、二人でいたらそんな事は関係なさそうだ。
作者 3-151
「………………」
彼の所望はきっと膝枕。きっとそうだ。
「……?」
ぽんぽんと膝をたたきながら首をかしげてみる。
が、どうやら違うらしい。
「……」
ふるふると首を振り、彼はじっと私を見る。
「…………」
前からハグ?
「……ん?」
両手を伸ばし、また首を傾げてみる。
が、どうやらこれもまた違うらしい。
「…………」
ふるふると首を振り、彼はまたじっと私を見る。
ええい、どうしたいって言うのよっ――と、聞けたらどれだけ楽だろう。
そんな勇気は、私たちには無い。
私には、彼に聞く勇気が。
彼には、私に告げる勇気が。
お互いにこういう人間だと知っていて、それでも付き合い始めた私たち。
「…………」
じっと彼の目を見つめる。
わからない。けど、わからないから知りたくなる。
もっともっと、彼の事を。
だから、こうやって彼の求めるものを考えてるのは、楽しい。
「…………」
わかった。きっとこうだ。
私は立ち上がり、彼の膝を指差し、首を傾げた。
「……ん」
彼の頷きに、私の顔には自然と笑みが浮かぶ。
やった、当たった! この瞬間は、とても嬉しい。
彼の望むことをやってあげられる事が。
そして、彼の考える事を一つまた知れたという事が。
「……うん」
か……考えてみると、ちょっと恥ずかしいけど……。
私は彼の膝の上に、腰を下ろした。
彼は私の背中を包み込むように、私の身体を抱きしめる。
「ん……」
彼の体温を背中に感じた。
「……あったかい、な」
「……ん」
だんだん冷たくなってきた風。でも、二人でいたらそんな事は関係なさそうだ。
作者 3-151
2008年01月20日(日) 19:32:25 Modified by n18_168