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無口ツンデレ

生徒会役員室の狭い部室の中、キーボードを打つ音だけが響く。
会計役の僕は現在、収支決算報告書をまとめていた。
……本来ならば、昨日のうちに報告されてしかるべき報告書を。
いや、別にサボったわけじゃないんだよ?
ただ……とんでもない大ポカが指摘されて、副会長に怒鳴られたのが今日の昼。
会長にとりなしてもらって怒りは納めてもらったものの、ミスった会計報告の修正はもちろん
誰かがしなくちゃならず、その責任の所在は当然僕にあるわけで。
そういうわけで放課後、こうして自分のヘマの尻拭いに、色々な意味で泣きそうな気持ちで
収支決算をほぼ丸々最初からやり直している真っ最中だった。
とはいえ。
ずっと根を詰めてれば、当然疲れてくるわけで。
僕は一区切りついたところでキーボードを打つ手を休めて伸びをすると、休憩を入れてくる
事にした。
「あの……僕ちょっと一息入れてくるから」
そう、僕は向かいの席に声をかけた。
彼女は視線を上げて眼鏡越しにちらりとだけ僕を一瞥すると、そのまま何も言わずに視線を
ノートPCに落とし、また黙々とキーボードを打ち始める。
……えーと、多分「了解した」って事……なんだろうな……?
「は、はは、あはは……じゃあ、行ってくるね……」
無言の彼女のプレッシャーから逃げ出すように、僕は役員室を出て行った。




……彼女と、もう少し打ち解けられないものかなぁ……。
僕は自販機にコインを投入しながら、そんなことを考えた。
書記である彼女は、僕と同じ一年生。でも、ご覧の通りな抜けてる僕と違って、彼女は仕事も
卒なくミス無く無駄口も叩かず効率的にテキパキとこなす、「デキる女」だった。
見た目だってそれを裏付けるように、一部の隙も無く整えられた制服といい、きっちりと肩口で
切りそろえた髪型といい、細いフレームの眼鏡越しのクールなまなざしといい、日本人形
のように整った顔立ちのなかで崩された事を見たことがないクールな表情といい、まさに
「氷の女」とか「クールビューティ」と言うのに相応しい。
でもそれだけに、無言でテキパキと行動しては周囲に威圧感を振りまいてしまう……周囲も、
何かあった時には頼りになるけど、普段は近寄りたいとは思わない、彼女も周囲に歩み寄ろう
としない、そんな浮いた存在となってしまっていた。
そんな彼女に対して僕は、何くれと話しかけるようにしてたんだ。
あ、いや、その、べ、別に下心があったわけじゃないよ?!
学年も同じだし同じ生徒会に入ったわけだし「どうせだったらギスギスしてるより仲良くしてる
方がいいよね」と思っただけで!
……あー、その、「笑った顔なんかも見てみたいなー」とか思ったのも、否定はしないけどさ……。
けど……最近になると、話しかけても言葉少なに返事してすぐそっぽを向いてしまうような、
そんなことが多くなっている。
彼女は一人で何でもできるし実際一人でいることが多いし、ちょっかいかけてくる僕のことが
煩わしいんだろうか?
……正直、ヘコむよなぁ……。
ごとん、と落ちてきた紙パックのジュースを拾い上げる。
そのジュースのパックを見つめながら、僕は思う。
でも、手伝ってくれてるんだよなぁ……。
今日の僕の居残りは、自分の自業自得だって言うのは前述のとおり。
だから僕は、今日は一人で残って仕事をしていくつもりだった。
そこに彼女は、自ら協力を申し出てくれたんだ。
……あー、「あなたがミスする事を織り込めなかったのは、私のミスだから」っていう、

キッツイお言葉つきだったけどね……。
でもそれ以降、文句一つ言わないで、ずっと仕事を手伝ってくれてる。
正直、彼女の手助けなしだったら、僕はいつまでも見通しも立たないままに途方にくれる
ばかりだったろう。
……悪い子じゃ……ないんだよね。
僕は一度しまった財布を取り出すと、コインを取り出した。
彼女は確か……お昼なんかによく、アップルジュースを飲んでたっけ。





僕が役員室に戻ると……部屋の中から、香ばしい香りが漂ってきた。
見ると……彼女はマグカップを両手で包み込むようにもって、息を吹きかけてコーヒーを
冷ましてるところだった。
そして横目にちらりと僕を見ると、「おかえり」とだけ声をかける。
「あ、うん、ただいま……」
僕はとっさに、買ってきたアップルジュースを背後に隠す。
あああああ、なんていうか、間が悪い……。
微妙にヘコんだ心境のままで、僕は自分の席に向かって……そして気付いた。
僕の机の上にも、暖かな湯気を上げるコーヒーの入ったマグカップが一つ、置かれてた。

これ……彼女が淹れてくれたのかな?
思わず彼女のほうに目をやると、その視線に気づいたのか、彼女も視線を上げて。
「……ついで、だったから」
そういうと、すぐに視線を伏せて、またコーヒーに息を吹きかけ始める。
……改めてみるその仕草がなんだか子供っぽくて、彼女のイメージとのギャップで思わず
小さく噴出してしまった。
「……なによ?」
「ああ、ごめんごめん、なんでもない」
再び顔を上げて睨みつけるように言う彼女に、僕はにやつく口元をごまかすように口早に答える。
「コーヒーありがとう。そのお返しって訳じゃないけど」
ある種のプレッシャーから開放された僕は、後ろ手に持っていたアップルジュースのパックを
彼女の机の上に置く。
「差し入れ。手伝ってくれてありがとう」
彼女は弾かれたように顔を上げた。その目が、僅かに見開かれている。
……いや、そんなに驚かなくても……。
そして彼女は、何度か僕の顔とジュースを見比べてから。
「……あ……ありがとう」
そう呟くように言った彼女の表情は、伏目がちで、かすかに頬が染まっていて……今まで見た
ことがないくらいの、柔らかい表情だった。
それに、なんとなくドギマギしてしまう僕。
室内に、コーヒーの香りと沈黙だけが満ちる―――。





「やふーーーーーーい! がんばっとるかね少年ー!!」
とそこに、それまでの空気を扉ごと蹴破って、コンビニ袋を掲げた会長が乱入して来た。

「そんな頑張り屋さんに会長であるアタシ直々の差し入れだー! ……って?」
会長は、コンビニ袋を掲げたままで、僕と彼女の見比べる。
それから、にたありと獲物を目にした蛇を思わせる笑みを浮かべる。
「おやおやー? あなたもいたんだー? ひょっとしてアタシはお邪魔さんだったかにゃー?」

なにが「にゃー」ですか。
「ただ手伝っていただけです」
すっぱりきっぱりとそう応えるその表情はクールそのもので、すっかりいつもの彼女に戻っていた。
「なるほどなるほど、手伝っていた、と」
そういいながら会長、ひょいと僕のノートPCを覗き込み。
「お、ほとんど終わってるじゃーん。えらいえらい、アタシゃてっきり、終わりが見えなくて
泣いてるかと思ってたよー」
……ええ、彼女が手伝ってくれてなかったら、実際そうなっていたでしょうねー……。

「だけどこの進み具合……ズバリ! ずっと手伝って貰っていたと見た!」
ずびし、と僕の顔を指差して断言する会長。
……なんでこういうことにはムダに鋭いんだこの人は。
「いや〜〜ん、アタシが部活動に勤しんでる間、ずっとこの狭っ苦しい部屋の中に詰めていた
若いふ・た・り……青春の甘酸っぱいかほりが漂うわぁ〜」
「お願いですから身体をクネらせないで下さい」
「何しにきたんですか貴女は」
二人がかりのツッコミを受けて、会長は居住まいを正す。
「ん、だから差し入れと、お手伝いにね」
腰に手を当てて、にっこりと笑う会長。
「徹夜の覚悟できたけど、おかげさまで手早くすみそうね。さ!」
ぱんぱん、と手を打つ会長。
「手分けして、手早くやっちゃいましょー!」
「はい!」
返事する僕と、無言で頷く彼女。
会長も自分の席に着き、ノートPCを立ち上げる。
僕も自分の席に戻り、PCのスクリーンセーバーを解除する。
その再起動待ちの間に、ちらり、と向かいの席をのぞき見る。
彼女は、真剣な表情でキーボードを叩いているところだった。
「……なに?」
「なんでもない」
視線に気付いて問いかけてきた彼女に短く応えると、僕は頭を振って
再起動したノートPCに向かう。
作業を再開しながら思い出すのは、さっきの彼女の柔らかな表情。
そして僕はキーボードを打ちながら、「これからもめげずに、彼女に話しかけていこう」

と思うのだった……。


  •  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 

会計くん:一年男子。周囲に気を配る心優しい少年。自分で言うほどドジッ子でもない。

書記ちゃん:一年女子。周囲にあわせることをせず孤立しがちなクール系無口。でも、会計くんが
      よく気にかけてくれていたので、最近は意識してしまいツンデレっていた。

会長さま:三年女子。コイバナと後輩をからかうのが大好きな明るく朗らかな面倒見のいいおねーさん。
     でもやる時はやる。にっこり笑って要求ゴリ押し、みたいな。

作者 5-321
2008年09月07日(日) 22:15:48 Modified by n18_168




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