アドミラル・フロータ・ロボフ級艦隊水雷艇(ソビエト連邦)
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kingzeputozeta 2022年12月11日(日) 20:14:37履歴
| アドミラル・フロータ・ロボフ級艦隊水雷艇 | |
 | |
| 運用者 | ソビエト連邦海軍 |
| 建造期間 | 1981年〜1993年 |
| 就役期間 | 1984年〜現役 |
| 同型艦 | 12隻 |
| 要目 | |
| 全長 | 160m |
| 全幅 | 20m |
| 喫水 | 7.5m |
| 基準排水量 | 7500t |
| 満載排水量 | 10000t |
| 機関 | COGAG方式、2軸可変ピッチプロペラ推進 ガスタービンエンジン(30000馬力)4基 |
| 最大速度 | 30ノット |
| 航続距離 | 10000km以上 |
| 乗員 | 300名 |
| 兵装 | 1980年就役当時: A-80 130mm単装速射砲1基 PR-82艦対艦ミサイル用4連装発射機2基 艦対空ミサイル用単装発射機(KRU-75)2基 艦対空ミサイル用8連装発射機(KRU-80)4基 対潜ミサイル用4連装発射機(KRU-78)2基 212mm12連装対潜ロケット爆雷投射機(RBU-62)2基 324mm5連装短魚雷発射管2基 ZUF-72 23mm11砲身高射機関砲4基 近代化改装後: A-80 130mm単装速射砲1基 PR-80艦対艦ミサイル用4連装発射機2基 UKSK-S垂直発射装置72セル 212mm12連装対潜ロケット爆雷投射機(RBU-62)2基 324mm5連装短魚雷発射管2基 ZUF-90 高射ミサイルシステム4基 |
概要 
アドミラル・フロータ・ロボフ級艦隊水雷艇(1178型艦隊水雷艇)は、ソ連海軍の艦隊水雷艇(ミサイル駆逐艦)の艦級。外洋における任務部隊の「基幹護衛艦」として、優れた対空能力と対潜能力を兼ね備えるよう設計された。ソ連海軍の構想では、重航空巡洋艦を旗艦とし、艦隊防空能力及び優れた対水上戦闘能力を兼ね備えたノヴォシビルスク級ミサイル巡洋艦2隻と本級4隻から外洋任務部隊を編制、北海やノルウェー海において、敵水上部隊および対潜哨戒機を排除し、大西洋への原潜部隊の長躯進出を支援することとなっていた。最終的に本級は12隻建造され、その後は本級を元に特に対空戦闘能力を大幅に強化したアドミラル・ゴルシコフ級艦隊水雷艇に調達は移行した。
能力
艤装
C4I
本級で最も重視されたのは戦術情報処理装置とあらゆるセンサーや兵装を連接することによる統合戦闘システムの構築であり、このシステムの開発が上層部の無理解もあって最も難航した。こうして本級には「オルラン-1*1」統合防空戦闘システムおよび「ブレヴェスニク-1*2」統合対潜戦闘システムが搭載された。これら戦闘システムの中核となる電子計算機としては32ビットのプロセッサを使用した大型のK79電子計算機が5台搭載されていた。しかし西側と比してソ連の電子産業は遅れていたこともあり、電子計算機の容量不足が問題視されたため、90年代の「オルラン-2」および「ブレヴェスニク-2」への近代化改修の際に全て5台のK89電子計算機に代替された。K89ではメモリ容量が100倍以上に拡張され、K89計算機1台のみでもK79計算機4台を代替できる性能を有するとされた。
一方、艦隊規模で運用されるC4Iシステムとしては海軍戦闘指揮システムが使用されることとなっており、これに対応するデータリンクシステムとして「KPD-79」戦術データリンクシステムが搭載された。これはソ連海軍初の対空戦/対潜戦/対水上戦用の戦術データリンクシステムで、外洋で行動する任務群の指揮統制に使用された。最大48隻の艦船および航空機が双方向通信に参加可能で、最大伝送距離は艦船同士の場合50km、通信速度は最大で約2.0kbpsだった。
一方、艦隊規模で運用されるC4Iシステムとしては海軍戦闘指揮システムが使用されることとなっており、これに対応するデータリンクシステムとして「KPD-79」戦術データリンクシステムが搭載された。これはソ連海軍初の対空戦/対潜戦/対水上戦用の戦術データリンクシステムで、外洋で行動する任務群の指揮統制に使用された。最大48隻の艦船および航空機が双方向通信に参加可能で、最大伝送距離は艦船同士の場合50km、通信速度は最大で約2.0kbpsだった。
対地/対水上戦闘能力
艦砲としては、船体前部にA-80 130mm単装速射砲を1基搭載していた。軽量化のため、砲塔の素材はアルミ合金となっており、重量はおよそ40tであった。砲塔内は完全に無人化されており、遠隔操作で制御された。砲身長は70口径で、砲口初速は900m/s、最大射程はおよそ40kmに達した。30発入りの即応弾用ドラムマガジンが3つ用意されており、通常、徹甲榴弾30発と破片効果榴弾60発を搭載していた。砲弾には多目的信管が備え付けられており、薬室に装填される際に信管のモードが電気的に設定された。多目的信管は着発信管、時限信管、近接信管などの各種モードで動作することができた。長時間の持続射撃を可能とするため、砲身は水冷式を採用しており、毎分45発のレートで射撃を行うことを可能としていた。主砲は16ビットのデジタル計算機を中核とし、RSF-82対水上捜索/低空警戒レーダー、RSF-80射撃指揮レーダー、照準用望遠鏡、低光量テレビカメラ、レーザー測距装置などからなる砲と短距離艦対空ミサイルを制御するための射撃管制装置に連接されており、優れた命中率を発揮できるとされた。1990年代には、各種対艦ミサイルの脅威が増大したことを受け、各種レーダーと光学照準器が、より性能の優れた新型へと改装された。
対艦ミサイルとしては、PR-82艦対艦ミサイル用の4連装発射機2基を両弦に搭載していた。PR-82艦対艦ミサイルはブースターに固体燃料ロケット、サステナーにターボファンエンジンを採用した対艦ミサイルで、発射重量は640kgと従来のソ連製対艦ミサイルより遥かに軽量でありながら、150kmもの最大射程を有していた。このミサイルが従来のソ連製対艦ミサイルよりも遥かに軽量となっていた理由については、速度を亜音速で妥協し、代わりに超低空飛行能力と終末段階における機動性向上により被迎撃率を低減させるというアプローチをとったこと、空母のような大型艦の戦闘能力を一撃で喪失させることを諦めることで、弾頭重量を妥協し軽量化できたことなどが挙げられる。弾頭は150kgの徹甲榴弾となっており、従来の対艦ミサイルと比べ大幅に軽量化されたとはいえ、駆逐艦以下のサイズの艦艇にとっては1発被弾するだけでも致命的な損傷になり得た。対艦ミサイルの射撃管制には、通常はRSF-77長距離対水上捜索レーダーが使用された他、必要に応じて「全地球対水上照準システム」と呼称される、哨戒機や早期警戒管制機などの航空機、複数の低軌道センサー衛星などからなるシステムから敵水上艦艇の位置情報を受け取って攻撃することもできた。
1990年代より、対艦ミサイルはPR-82M対艦ミサイルに換装された。PR-82Mは、PR-82のアクティブレーダーシーカーをアクティブフェーズドアレイアンテナに換装してECM環境下での目標捕捉能力を向上、燃料容積の増大により射程を250kmまで延伸、敵のCIWSの防御を回避するための終末段階におけるS字乱数軌道の導入などの改良が行われた対艦ミサイルで、大型化に対応してランチャーも新型に改められた。
対艦ミサイルとしては、PR-82艦対艦ミサイル用の4連装発射機2基を両弦に搭載していた。PR-82艦対艦ミサイルはブースターに固体燃料ロケット、サステナーにターボファンエンジンを採用した対艦ミサイルで、発射重量は640kgと従来のソ連製対艦ミサイルより遥かに軽量でありながら、150kmもの最大射程を有していた。このミサイルが従来のソ連製対艦ミサイルよりも遥かに軽量となっていた理由については、速度を亜音速で妥協し、代わりに超低空飛行能力と終末段階における機動性向上により被迎撃率を低減させるというアプローチをとったこと、空母のような大型艦の戦闘能力を一撃で喪失させることを諦めることで、弾頭重量を妥協し軽量化できたことなどが挙げられる。弾頭は150kgの徹甲榴弾となっており、従来の対艦ミサイルと比べ大幅に軽量化されたとはいえ、駆逐艦以下のサイズの艦艇にとっては1発被弾するだけでも致命的な損傷になり得た。対艦ミサイルの射撃管制には、通常はRSF-77長距離対水上捜索レーダーが使用された他、必要に応じて「全地球対水上照準システム」と呼称される、哨戒機や早期警戒管制機などの航空機、複数の低軌道センサー衛星などからなるシステムから敵水上艦艇の位置情報を受け取って攻撃することもできた。
1990年代より、対艦ミサイルはPR-82M対艦ミサイルに換装された。PR-82Mは、PR-82のアクティブレーダーシーカーをアクティブフェーズドアレイアンテナに換装してECM環境下での目標捕捉能力を向上、燃料容積の増大により射程を250kmまで延伸、敵のCIWSの防御を回避するための終末段階におけるS字乱数軌道の導入などの改良が行われた対艦ミサイルで、大型化に対応してランチャーも新型に改められた。
対空戦闘能力
艦隊の「基幹護衛艦」として建造された本艦は、中距離艦対空ミサイル、短距離艦対空ミサイル、機関砲からなる縦深的かつ強力な防空網を備えていた。
目標の捕捉と追尾を行う主対空レーダーとして、Sバンドを用いるRSF-78三次元対空レーダーが1基、前部マストに搭載された。RSF-78はRCS1�屬量槁犬紡个�250km程度の最大探知距離を発揮、16目標を同時に追尾できた。
RSF-78を補完し、近距離において舟艇や潜望鏡などの水上目標、さらには低空を飛翔する攻撃機などを探知するため、Cバンドを用いるRSF-82対水上捜索/低空警戒レーダーが1基、後部マストに搭載された。超低空を飛翔する対艦ミサイル大(RCS0.5��)の目標に対し25kmの最大探知距離を発揮できた。
艦対空ミサイルの射撃指揮用としては、Xバンドを用いるRSF-74射撃指揮レーダーが3基、RSF-80射撃指揮レーダーが3基搭載されていた。RSF-74レーダーは、後述するZRF-74艦対空ミサイルならば1基につき1発、ZRF-81艦対空ミサイルならば、ミサイルの中間誘導に慣性航法が導入されていたため、1基につき3発の誘導が可能になった。RSF-80レーダーは、後述するZRF-80艦対空ミサイルならば1基につき1発、ZRF-87艦対空ミサイルならば、ミサイルの中間誘導に慣性航法が導入されていたため、1基につき3発の誘導が可能となった。ただしRSF-80レーダー3基のうち1基は通常は艦砲の射撃指揮に使用されることとなっていた。
これらのレーダーシステムは「オルラン-1」統合対空戦闘システムの戦術情報処理装置に直接連接されていたため、従来の艦艇でオペレーターが手動でレーダーの探知情報を戦術情報処理装置に入力していた時よりも対応時間が短縮された。さらに、「オルラン-1」統合対空戦闘システムには、オペレーターにより迎撃すべきと判断された目標に対し適切・有効な兵装をリコメンドし、後述する各種ミサイルの発射装置に直接射撃の指示を伝達する機能が備わっており、攻撃の段階も大幅に自動化されていた。
中距離艦対空ミサイル用には、艦の前後にKRU-75単装発射機を1基ずつ、合計2基備えていた。KRU-75からは、ZRF-74艦対空ミサイル、ZRF-81艦対空ミサイル、ZRF-88艦対空ミサイルなどを使用することができた。ZRF-74はセミアクティブレーダー誘導の艦対空ミサイルであり、発射重量は700kg、弾頭は50kgの連続ロッド式弾頭で、射程は60kmだった。ZRF-81では、中間誘導用に慣性航法によるオートパイロットを導入、弾頭は連続ロッド式弾頭から爆風破片弾頭に変更された。発射重量は750kg、射程は90kmだった。ZRF-88では、オートパイロットが改良され、指令誘導に対応、発射後の目標再設定なども可能となり、運用の柔軟性が向上した。また、ロケットモーターが大幅に強化され、発射重量は900kg、射程は150kmにまで増大した。ミサイルは3次元対空レーダーの探知情報に基づき発射され、射撃管制用Xバンドレーダーからセミアクティブレーダー誘導を受けることになっていた。ZRF-74では全行程でセミアクティブレーダー誘導を使用したため、最大でRSF-74レーダー1基につき1発しか誘導できなかったが、ZRF-81では中間誘導に慣性航法および指令誘導が導入されたため、RSF-74レーダー1基につき3発を誘導することが可能となった。ZRF-88は射程の増大に対応するためにRSF-89搭載艦でのみ運用可能となっており、RSF-89レーダー1基につき4発を誘導出来た。
短距離艦対空ミサイル用には、艦の前後にKRU-80 8連装リボルバー型垂直発射装置を2基ずつ、合計4基備えていた。KRU-80からは、ZRF-80艦対空ミサイルまたはZRF-87艦対空ミサイルを使用することができた。ZRF-80艦対空ミサイルはセミアクティブレーダー誘導の艦対空ミサイルであり、発射重量は250kg、弾頭は30kgの爆風破片弾頭で、射程は20kmだった。ZRF-87では、中間誘導用に慣性航法によるオートパイロットを導入、またロケットモーターが強化され射程が30kmに増大した。ミサイルは3次元対空レーダーや低空警戒レーダーの探知情報に基づき発射され、射撃管制用Xバンドレーダーからセミアクティブレーダー誘導を受けることになっていた。ZRF-80では全行程でセミアクティブレーダー誘導を使用したため、RSF-80レーダー1基につき1発しか誘導できなかったが、ZRF-87以降では中間誘導に慣性航法が導入されたため、3発を誘導することが可能となった。
ZUF-72 23mm11砲身高射機関砲システムは、Xバンドを用いる捜索レーダーと追尾レーダー1基ずつ、及び23mm11砲身機関砲から構成される高射機関砲で、23x115mm弾を使用する。発射レートは毎秒150発で、投射弾量や反動はZUF-66 30mm6砲身機関砲システムと同等ながら、小口径化により弾数を増やすことで迎撃の成功率を高めている。弾倉はターレット下部に設けられており、6000発を装填可能である。また捜索レーダーや追尾レーダーが何らかの理由で使用不可能になった場合や、130mm単装砲で狙い撃つのが困難な高速かつ小型の水上目標に対し射撃を行う必要がある場合に備え、光学照準器が備えられており、艦橋から遠隔操作して射撃することもできる。
1990年には、早くも1番艦の対空戦闘システムは「オルラン-2」に改修された。各種レーダーや兵装にも近代化が実施された。また、1990年代に建造された11番艦と12番艦については、就役当初より「オルラン-2」を装備していた。2番艦〜10番艦への改修は90年代後半に実施された。
RSF-78はRSF-90パッシブフェーズドアレイレーダーに換装された。後任のアドミラル・ゴルシコフ級では、このレーダーのアンテナを艦橋の4面に装備し、全周で200目標以上の同時追尾を可能としたが、アドミラル・フロータ・ロボフ級では、アンテナをマスト上部に装備し回転させる方式としたため、このレーダー単独での同時追尾目標数は50目標程度にとどまるとされる。RCS1�屬量槁犬紡个垢觝蚤臙誼竜�離は400kmにまで増大した。
また、RSF-90を補完する早期警戒レーダーとして、後部マストにはRSF-75M二次元レーダーが追加装備された。これはLバンドを使用し、最大で600kmの探知距離を発揮できた。これら2種類のレーダーは捜索範囲を分担する事ができ、RSF-90が一定の区域を重点的に捜索している間、RSF-75Mで残りの区域の警戒を行うといった運用も可能となっており、2つのレーダーを合わせて最大で100個程度の空中目標を同時追尾できた。
RSF-82はRSF-91アクティブフェーズドアレイレーダーに換装された。これはXバンドのアクティブフェーズドアレイアンテナ2面を背中合わせに全周旋回式の台座の上に配置したもので、対艦ミサイル、特にシースキマーに対する同時追尾能力が飛躍的に向上していた。
RSF-74と艦砲用のRSF-80は、RSF-74の性能向上型であるRSF-89に統合して換装された。これはアクティブフェーズドアレイアンテナを採用しており、従来よりも送信出力が向上、ミサイルの攻撃可能範囲が増大した。改装後の本級には4基のRSF-89が装備されており、通常は3基が対空ミサイルの誘導、1基が艦砲の射撃指揮に使用されるが、非常時には4基全てを対空ミサイルの誘導に使用することもできた。
また、従来の本級の「オルラン-1」対空戦システムでは経空脅威に対する目標選定の段階をオペレーターに頼っていたが、「オルラン-2」では、探知情報に基づき形式化されたデータベースを用いて適切な対応を瞬時に判断するエキスパートシステム(人間の専門家をエミュレートするシステム)が実装されたことにより、目標探知、脅威度評価・目標選定、兵装の選択、射撃に至る全ての段階を自動化することができた。
その後、対空兵装にも順次近代化改修が行われた。KRU-75単装発射機とKRU-80 8連装リボルバー型垂直発射装置は全て撤去され、後述するKRU-78対潜ミサイル用4連装発射機と共にUKSK-S垂直発射装置に換装された。本級ではUKSK-Sは前後に36セルずつ、合計72セル装備されたが、対空ミサイルはそのうち48セルを占め、ZRF-88、ZRF-96、ZRF-03などの艦隊防空ミサイルが36発、ZRF-97などのクアッドパックに対応した個艦/僚艦防空ミサイルが48発搭載されることとなっていた。また、ZUF-72高射機関砲システムはZUF-90高射ミサイルシステムに換装された。ZUF-90はZUF-72の台座およびレーダー部分にZRF-89近距離対空ミサイル11発を搭載したものであった。ZRF-89は射程7.5kmで、パッシブレーダー誘導、赤外線誘導、レーザービームライディングに対応していた。後にZRF-89はZRF-89Mに改装され、射程は10kmに延伸された他、赤外線画像誘導の採用により敵のミサイルと先に発射されたZRF-89のロケットモーターの排煙を区別できるようになり、連続射撃が可能となった。
目標の捕捉と追尾を行う主対空レーダーとして、Sバンドを用いるRSF-78三次元対空レーダーが1基、前部マストに搭載された。RSF-78はRCS1�屬量槁犬紡个�250km程度の最大探知距離を発揮、16目標を同時に追尾できた。
RSF-78を補完し、近距離において舟艇や潜望鏡などの水上目標、さらには低空を飛翔する攻撃機などを探知するため、Cバンドを用いるRSF-82対水上捜索/低空警戒レーダーが1基、後部マストに搭載された。超低空を飛翔する対艦ミサイル大(RCS0.5��)の目標に対し25kmの最大探知距離を発揮できた。
艦対空ミサイルの射撃指揮用としては、Xバンドを用いるRSF-74射撃指揮レーダーが3基、RSF-80射撃指揮レーダーが3基搭載されていた。RSF-74レーダーは、後述するZRF-74艦対空ミサイルならば1基につき1発、ZRF-81艦対空ミサイルならば、ミサイルの中間誘導に慣性航法が導入されていたため、1基につき3発の誘導が可能になった。RSF-80レーダーは、後述するZRF-80艦対空ミサイルならば1基につき1発、ZRF-87艦対空ミサイルならば、ミサイルの中間誘導に慣性航法が導入されていたため、1基につき3発の誘導が可能となった。ただしRSF-80レーダー3基のうち1基は通常は艦砲の射撃指揮に使用されることとなっていた。
これらのレーダーシステムは「オルラン-1」統合対空戦闘システムの戦術情報処理装置に直接連接されていたため、従来の艦艇でオペレーターが手動でレーダーの探知情報を戦術情報処理装置に入力していた時よりも対応時間が短縮された。さらに、「オルラン-1」統合対空戦闘システムには、オペレーターにより迎撃すべきと判断された目標に対し適切・有効な兵装をリコメンドし、後述する各種ミサイルの発射装置に直接射撃の指示を伝達する機能が備わっており、攻撃の段階も大幅に自動化されていた。
中距離艦対空ミサイル用には、艦の前後にKRU-75単装発射機を1基ずつ、合計2基備えていた。KRU-75からは、ZRF-74艦対空ミサイル、ZRF-81艦対空ミサイル、ZRF-88艦対空ミサイルなどを使用することができた。ZRF-74はセミアクティブレーダー誘導の艦対空ミサイルであり、発射重量は700kg、弾頭は50kgの連続ロッド式弾頭で、射程は60kmだった。ZRF-81では、中間誘導用に慣性航法によるオートパイロットを導入、弾頭は連続ロッド式弾頭から爆風破片弾頭に変更された。発射重量は750kg、射程は90kmだった。ZRF-88では、オートパイロットが改良され、指令誘導に対応、発射後の目標再設定なども可能となり、運用の柔軟性が向上した。また、ロケットモーターが大幅に強化され、発射重量は900kg、射程は150kmにまで増大した。ミサイルは3次元対空レーダーの探知情報に基づき発射され、射撃管制用Xバンドレーダーからセミアクティブレーダー誘導を受けることになっていた。ZRF-74では全行程でセミアクティブレーダー誘導を使用したため、最大でRSF-74レーダー1基につき1発しか誘導できなかったが、ZRF-81では中間誘導に慣性航法および指令誘導が導入されたため、RSF-74レーダー1基につき3発を誘導することが可能となった。ZRF-88は射程の増大に対応するためにRSF-89搭載艦でのみ運用可能となっており、RSF-89レーダー1基につき4発を誘導出来た。
短距離艦対空ミサイル用には、艦の前後にKRU-80 8連装リボルバー型垂直発射装置を2基ずつ、合計4基備えていた。KRU-80からは、ZRF-80艦対空ミサイルまたはZRF-87艦対空ミサイルを使用することができた。ZRF-80艦対空ミサイルはセミアクティブレーダー誘導の艦対空ミサイルであり、発射重量は250kg、弾頭は30kgの爆風破片弾頭で、射程は20kmだった。ZRF-87では、中間誘導用に慣性航法によるオートパイロットを導入、またロケットモーターが強化され射程が30kmに増大した。ミサイルは3次元対空レーダーや低空警戒レーダーの探知情報に基づき発射され、射撃管制用Xバンドレーダーからセミアクティブレーダー誘導を受けることになっていた。ZRF-80では全行程でセミアクティブレーダー誘導を使用したため、RSF-80レーダー1基につき1発しか誘導できなかったが、ZRF-87以降では中間誘導に慣性航法が導入されたため、3発を誘導することが可能となった。
ZUF-72 23mm11砲身高射機関砲システムは、Xバンドを用いる捜索レーダーと追尾レーダー1基ずつ、及び23mm11砲身機関砲から構成される高射機関砲で、23x115mm弾を使用する。発射レートは毎秒150発で、投射弾量や反動はZUF-66 30mm6砲身機関砲システムと同等ながら、小口径化により弾数を増やすことで迎撃の成功率を高めている。弾倉はターレット下部に設けられており、6000発を装填可能である。また捜索レーダーや追尾レーダーが何らかの理由で使用不可能になった場合や、130mm単装砲で狙い撃つのが困難な高速かつ小型の水上目標に対し射撃を行う必要がある場合に備え、光学照準器が備えられており、艦橋から遠隔操作して射撃することもできる。
1990年には、早くも1番艦の対空戦闘システムは「オルラン-2」に改修された。各種レーダーや兵装にも近代化が実施された。また、1990年代に建造された11番艦と12番艦については、就役当初より「オルラン-2」を装備していた。2番艦〜10番艦への改修は90年代後半に実施された。
RSF-78はRSF-90パッシブフェーズドアレイレーダーに換装された。後任のアドミラル・ゴルシコフ級では、このレーダーのアンテナを艦橋の4面に装備し、全周で200目標以上の同時追尾を可能としたが、アドミラル・フロータ・ロボフ級では、アンテナをマスト上部に装備し回転させる方式としたため、このレーダー単独での同時追尾目標数は50目標程度にとどまるとされる。RCS1�屬量槁犬紡个垢觝蚤臙誼竜�離は400kmにまで増大した。
また、RSF-90を補完する早期警戒レーダーとして、後部マストにはRSF-75M二次元レーダーが追加装備された。これはLバンドを使用し、最大で600kmの探知距離を発揮できた。これら2種類のレーダーは捜索範囲を分担する事ができ、RSF-90が一定の区域を重点的に捜索している間、RSF-75Mで残りの区域の警戒を行うといった運用も可能となっており、2つのレーダーを合わせて最大で100個程度の空中目標を同時追尾できた。
RSF-82はRSF-91アクティブフェーズドアレイレーダーに換装された。これはXバンドのアクティブフェーズドアレイアンテナ2面を背中合わせに全周旋回式の台座の上に配置したもので、対艦ミサイル、特にシースキマーに対する同時追尾能力が飛躍的に向上していた。
RSF-74と艦砲用のRSF-80は、RSF-74の性能向上型であるRSF-89に統合して換装された。これはアクティブフェーズドアレイアンテナを採用しており、従来よりも送信出力が向上、ミサイルの攻撃可能範囲が増大した。改装後の本級には4基のRSF-89が装備されており、通常は3基が対空ミサイルの誘導、1基が艦砲の射撃指揮に使用されるが、非常時には4基全てを対空ミサイルの誘導に使用することもできた。
また、従来の本級の「オルラン-1」対空戦システムでは経空脅威に対する目標選定の段階をオペレーターに頼っていたが、「オルラン-2」では、探知情報に基づき形式化されたデータベースを用いて適切な対応を瞬時に判断するエキスパートシステム(人間の専門家をエミュレートするシステム)が実装されたことにより、目標探知、脅威度評価・目標選定、兵装の選択、射撃に至る全ての段階を自動化することができた。
その後、対空兵装にも順次近代化改修が行われた。KRU-75単装発射機とKRU-80 8連装リボルバー型垂直発射装置は全て撤去され、後述するKRU-78対潜ミサイル用4連装発射機と共にUKSK-S垂直発射装置に換装された。本級ではUKSK-Sは前後に36セルずつ、合計72セル装備されたが、対空ミサイルはそのうち48セルを占め、ZRF-88、ZRF-96、ZRF-03などの艦隊防空ミサイルが36発、ZRF-97などのクアッドパックに対応した個艦/僚艦防空ミサイルが48発搭載されることとなっていた。また、ZUF-72高射機関砲システムはZUF-90高射ミサイルシステムに換装された。ZUF-90はZUF-72の台座およびレーダー部分にZRF-89近距離対空ミサイル11発を搭載したものであった。ZRF-89は射程7.5kmで、パッシブレーダー誘導、赤外線誘導、レーザービームライディングに対応していた。後にZRF-89はZRF-89Mに改装され、射程は10kmに延伸された他、赤外線画像誘導の採用により敵のミサイルと先に発射されたZRF-89のロケットモーターの排煙を区別できるようになり、連続射撃が可能となった。
対潜戦闘能力
艦隊の「基幹護衛艦」として建造された本艦は、哨戒ヘリコプター、長射程の対潜ミサイル、多連装対潜ロケット砲、短魚雷発射管からなる縦深的かつ強力な対潜網を備えていた。
敵潜水艦の長距離探知を実現するため、艦首装備ソナーとしてはGF-79、可変深度式ソナーとしてはGF-80がそれぞれ搭載された。GF-79は3~5キロヘルツの低周波を用いる非常に強力なマルチモードソナーであり、その大出力により変温層をも通過することができるものだった。敵潜水艦に対して、直接探知で最大18km、収束帯(CZ)や海底反跳(BB)が利用できる理想的な環境では第1CZ付近を超えて最大64kmもの探知距離を発揮できた。GF-80は変温層下にアレイを直接出しての目標探知を可能とするために吊り下げ式の可変深度ソナーとなっており、750mものケーブルを有し、GF-79よりもさらに長い探知距離を発揮できた。さらに、本級ではGF-79とGF-80は「統合ソナーシステム」として位置づけられており、音響情報を統合して処理することが可能となっていた。これにより、対潜ヘリが運用できない気象条件下においても大遠距離から敵潜水艦を探知し攻撃可能とするという要求を一応は達成した。
これらのソナーシステムの音響処理情報は「ブレヴェスニク-1」統合対潜戦闘システムの戦術情報処理装置に直接連接されていた。さらに、「ブレヴェスニク-1」統合対潜戦闘システムには、オペレーターにより攻撃すべきと判断された目標に対し適切・有効な兵装をリコメンドし、後述する各種対潜兵装の発射装置に直接射撃の指示を伝達する機能が備わっており、攻撃の段階も大幅に自動化されていた。
しかし、ソ連海軍上層部はこの性能に満足せず、5番艦以降では対潜戦のパッシブ化に対応するため、GF-83曳航式ソナーが搭載された。これは、直径8.4cm、アレイ長500mという戦術用途の曳航ソナーとしては非常に長大なソナーであり、最大で第3CZ以上の大遠距離で敵潜水艦を探知することが可能とされた。この曳航式ソナーに対応するため、統合対潜戦闘システムは「ブレヴェスニク-2」に換装された。1~4番艦の可変深度ソナーの曳航式ソナーへの換装および「ブレヴェスニク-2」へのアップグレードは1987年から行われた。
対潜兵装としては、長距離での攻撃を担うGR-78対潜ミサイル用のKRU-78発射機、中距離での攻撃を担うRBU-62対潜ロケット砲、近距離での攻撃を担う324mm5連装魚雷発射管の3種類が搭載されていた。
長距離での対潜火力としては、KRU-78対潜ミサイル用発射機が両弦に1基ずつ搭載された。これはGR-78対潜ミサイルを4発搭載しており、広い範囲を照準することができた。GR-78は固体燃料ロケットブースターと弾頭で構成される対潜ミサイルであり、誘導用に慣性航法装置を有した。最大射程は50~60kmで、弾頭は324mm短魚雷または最大核出力250ktの威力可変型熱核爆雷となっており、後者の場合は爆心から5~8km圏内の水上及び水中の目標に壊滅的な被害を与えることができるとされた。
中距離での対潜火力としては、RBU-62対潜ロケット砲が2基搭載された。これは212mm口径の爆雷投射ロケットを12連装で装備しており、特に浅海域における対潜戦闘で非常に有効である。最大射程はおよそ6000mで、接触信管および磁器近接信管を備えた爆雷を投射する。潜水艦に対する攻撃の他、水中工作員や魚雷に対する防御に使用することも可能である。爆雷投射ロケットは各発射機の直下の弾薬庫に通常48発ずる搭載される。
近距離での対潜火力としては、324mm魚雷発射管が両弦に1基ずつ搭載された。射程7.5kmのT73魚雷を発射することが可能であり、潜水艦に対する攻撃の他、敵潜水艦の魚雷に対する防御にも使用される。仮想敵の原子力潜水艦の静粛化、高速化、船殻の強化による深深度潜航能力や防御力の向上などに対応し、90年代からはT93魚雷が搭載された。
その後、1990年代より対潜兵装に順次近代化改修が行われた。KRU-78対潜ミサイル発射機は撤去され、前述した各種対空ミサイル発射機と共にUKSK-S垂直発射装置に換装された。本級ではUKSK-Sは前後に36セルずつ、合計72セル装備されたが、対潜ミサイルはそのうち24セルを占め、GR-78をベースに改良された長射程対潜ミサイルGR-94が搭載されることとなっていた。
敵潜水艦の長距離探知を実現するため、艦首装備ソナーとしてはGF-79、可変深度式ソナーとしてはGF-80がそれぞれ搭載された。GF-79は3~5キロヘルツの低周波を用いる非常に強力なマルチモードソナーであり、その大出力により変温層をも通過することができるものだった。敵潜水艦に対して、直接探知で最大18km、収束帯(CZ)や海底反跳(BB)が利用できる理想的な環境では第1CZ付近を超えて最大64kmもの探知距離を発揮できた。GF-80は変温層下にアレイを直接出しての目標探知を可能とするために吊り下げ式の可変深度ソナーとなっており、750mものケーブルを有し、GF-79よりもさらに長い探知距離を発揮できた。さらに、本級ではGF-79とGF-80は「統合ソナーシステム」として位置づけられており、音響情報を統合して処理することが可能となっていた。これにより、対潜ヘリが運用できない気象条件下においても大遠距離から敵潜水艦を探知し攻撃可能とするという要求を一応は達成した。
これらのソナーシステムの音響処理情報は「ブレヴェスニク-1」統合対潜戦闘システムの戦術情報処理装置に直接連接されていた。さらに、「ブレヴェスニク-1」統合対潜戦闘システムには、オペレーターにより攻撃すべきと判断された目標に対し適切・有効な兵装をリコメンドし、後述する各種対潜兵装の発射装置に直接射撃の指示を伝達する機能が備わっており、攻撃の段階も大幅に自動化されていた。
しかし、ソ連海軍上層部はこの性能に満足せず、5番艦以降では対潜戦のパッシブ化に対応するため、GF-83曳航式ソナーが搭載された。これは、直径8.4cm、アレイ長500mという戦術用途の曳航ソナーとしては非常に長大なソナーであり、最大で第3CZ以上の大遠距離で敵潜水艦を探知することが可能とされた。この曳航式ソナーに対応するため、統合対潜戦闘システムは「ブレヴェスニク-2」に換装された。1~4番艦の可変深度ソナーの曳航式ソナーへの換装および「ブレヴェスニク-2」へのアップグレードは1987年から行われた。
対潜兵装としては、長距離での攻撃を担うGR-78対潜ミサイル用のKRU-78発射機、中距離での攻撃を担うRBU-62対潜ロケット砲、近距離での攻撃を担う324mm5連装魚雷発射管の3種類が搭載されていた。
長距離での対潜火力としては、KRU-78対潜ミサイル用発射機が両弦に1基ずつ搭載された。これはGR-78対潜ミサイルを4発搭載しており、広い範囲を照準することができた。GR-78は固体燃料ロケットブースターと弾頭で構成される対潜ミサイルであり、誘導用に慣性航法装置を有した。最大射程は50~60kmで、弾頭は324mm短魚雷または最大核出力250ktの威力可変型熱核爆雷となっており、後者の場合は爆心から5~8km圏内の水上及び水中の目標に壊滅的な被害を与えることができるとされた。
中距離での対潜火力としては、RBU-62対潜ロケット砲が2基搭載された。これは212mm口径の爆雷投射ロケットを12連装で装備しており、特に浅海域における対潜戦闘で非常に有効である。最大射程はおよそ6000mで、接触信管および磁器近接信管を備えた爆雷を投射する。潜水艦に対する攻撃の他、水中工作員や魚雷に対する防御に使用することも可能である。爆雷投射ロケットは各発射機の直下の弾薬庫に通常48発ずる搭載される。
近距離での対潜火力としては、324mm魚雷発射管が両弦に1基ずつ搭載された。射程7.5kmのT73魚雷を発射することが可能であり、潜水艦に対する攻撃の他、敵潜水艦の魚雷に対する防御にも使用される。仮想敵の原子力潜水艦の静粛化、高速化、船殻の強化による深深度潜航能力や防御力の向上などに対応し、90年代からはT93魚雷が搭載された。
その後、1990年代より対潜兵装に順次近代化改修が行われた。KRU-78対潜ミサイル発射機は撤去され、前述した各種対空ミサイル発射機と共にUKSK-S垂直発射装置に換装された。本級ではUKSK-Sは前後に36セルずつ、合計72セル装備されたが、対潜ミサイルはそのうち24セルを占め、GR-78をベースに改良された長射程対潜ミサイルGR-94が搭載されることとなっていた。
航空機運用能力
本級では、常時1機のヘリコプターを展開し、長時間に渡って対潜作戦を実施することが要求されたため、2機のヘリコプターを搭載することが可能な設計となっていた。艦載機としては、新規開発されたKa-25対潜ヘリが搭載された。従来のKa-15対潜ヘリコプターと比較して機体サイズが大型化しており、これにより搭載空間が増大、各種電子機器を充実させることで、単独でハンターキラーを兼任することができるようになった。これにより、従来のヘリコプターによる対潜戦闘と比較して、運用効率が大幅に改善した。Ka-25はソノブイ24基、吊り下げ式ソナー、対水上レーダー、磁気探知機などをセンサーとして搭載、さらに敵潜水艦を攻撃するためT73魚雷またはT93魚雷を2発搭載することができた。
艦載機運用のため、後部甲板には2か所の着艦標識が設けられたヘリ甲板が備えられており、着艦誘導/拘束装置が備えられていた。これによりシーステート5までの海況で離発着を行わせることができた。格納庫からヘリ甲板までは2組のレールが伸びており、これにより着陸したヘリを迅速に収容し整備し再出撃させることが可能となっていた。また、着艦誘導を担当する電波航法装置や、ソノブイの音響情報等をやりとりする大容量データリンク設備が用意されていた。
艦載機運用のため、後部甲板には2か所の着艦標識が設けられたヘリ甲板が備えられており、着艦誘導/拘束装置が備えられていた。これによりシーステート5までの海況で離発着を行わせることができた。格納庫からヘリ甲板までは2組のレールが伸びており、これにより着陸したヘリを迅速に収容し整備し再出撃させることが可能となっていた。また、着艦誘導を担当する電波航法装置や、ソノブイの音響情報等をやりとりする大容量データリンク設備が用意されていた。
設計
船体
本級は、全長160m、全幅20m、喫水7.5m、基準排水量7500t、満載排水量10000tとなっており、従来のソ連海軍の艦隊水雷艇や大型対潜艦と同様、主戦場として想定される北極周辺の気象条件の厳しい海域においても作戦行動が行えるよう、幅広の船体が採用されていた。これにより、荒天時の速力に優れており、波高10m、風速毎秒30mという非常に厳しい悪天候下においても、30ノット以上の速力を維持可能であった。ヘリコプター2機を運用可能とすることが要求されたため、船型としては、艦尾甲板が1段下がった長船首楼型と、鋭く尖った艦首と広い後部甲板が特徴的な二重楔型を組み合わせていた。船体には主に鋼鉄が、上部構造物には軽量化のため主にアルミ合金が使用されていた。これにより船体の低重心化を達成できたが、代償として上部構造物が火災に弱くなっており、1989年に起きた3番艦アドミラル・ザハロフの火災事故では被害の拡大の一因となってしまった。同級の事故を受け、1992年から建造開始されたアドミラル・ゴルシコフ級では、上部構造物にも鋼鉄を主用するように設計が急遽変更されている。
機関
本級は従来のソ連海軍の艦隊水雷艇や大型対潜艦と同様、オール・ガスタービンのCOGAG方式を採用していた。最大出力30000馬力のガスタービンエンジン4基が搭載され、合計120000馬力によって2軸の5翼スキュード可変ピッチプロペラを駆動した。最大速力は32ノット程度とされていた。各種システムなどの運用に必須の電源としては最大発電量2500kWのガスタービン発電機3基が搭載されていた(うち1基は予備電源であった)。被弾時に一度に全ての推進力・電源を喪失しないよう、抗堪性を考慮して機関部および電源は艦の前後に分散されてシフト配置されており、第1補機室(2500kWガスタービン発電機1基)、第1機関室(30000馬力ガスタービンエンジン2基)、第2補機室(2500kWガスタービン発電機1基)、第2機関室(30000馬力ガスタービンエンジン2基)、第3補機室(2500kWガスタービン発電機1基)の順となっていた。第1機関室と第2機関室の位置に合わせ、煙突も前後2本ずつ配置されていた。
同型艦
| 艦名 | 起工 | 就役 | 除籍 | 配属 |
| アドミラル・フロータ・ロボフ | 1981年 | 1984年 | 2014年 | 北方艦隊 |
| アドミラル・クラコフ | 1982年 | 1985年 | 2015年 | 北方艦隊 |
| アドミラル・ザハロフ | 1983年 | 1986年 | 2016年 | 北方艦隊 |
| アドミラル・スピリドノフ | 1984年 | 1987年 | 2017年 | 北方艦隊 |
| アドミラル・トリブツ | 1985年 | 1988年 | 2018年 | 北方艦隊 |
| アドミラル・レフチェンコ | 1986年 | 1989年 | 2019年 | 北方艦隊 |
| アドミラル・ヴィノグラドフ | 1987年 | 1990年 | 2020年 | 北方艦隊 |
| アドミラル・ハルラモフ | 1988年 | 1991年 | 2021年 | 北方艦隊 |
| アドミラル・パンテレーエフ | 1989年 | 1992年 | 2022年 | 黒海・地中海艦隊 |
| アドミラル・チャパネンコ | 1989年 | 1992年 | 2022年(予定) | 黒海・地中海艦隊 |
| アドミラル・バシスティ | 1990年 | 1993年 | 2023年(予定) | 黒海・地中海艦隊 |
| アドミラル・クチェロフ | 1990年 | 1993年 | 2023年(予定) | 黒海・地中海艦隊 |
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