T-15主力戦車(ソビエト連邦)
最終更新：
kingzeputozeta 2022年12月11日(日) 17:28:17履歴
| T-15主力戦車 | |
 | |
| 要目 | |
| 全長 | 10.5m |
| 車体長 | 7m |
| 全幅 | 3.6m |
| 全高 | 2.25m |
| 重量 | 45t(輸送時重量) 55t(基本戦闘時重量)*1 65t(最大戦闘時重量)*2 |
| 速度 | 時速72km(整地) 時速48km(不整地) |
| 乗員 | 4名 |
| 搭載兵装 | 50口径135mm滑腔砲 KPD-99重機関銃(砲塔上面) EPK-97汎用機関銃(主砲同軸) |
| エンジン | 2サイクル6気筒水平対向ピストンディーゼルエンジン 最大1650馬力、2800rpm |
概要 
T-15主力戦車は2015年に制式採用されたソビエト連邦の第4世代主力戦車。制式採用の発表は2015年であったが、T-14の生産が優先されていたため、実際に生産が開始されたのは2018年からであり、2021年までにソ連地上軍に400両以上が引き渡されている。「アルマータ」装甲戦闘車両共通プラットフォームをベースに開発されており、砲塔としては、T-95Mの搭載していた溶接砲塔を改良したものが使用されている。従来のソ連製主力戦車は乗員が3名であったのに対し、本車では無人機やC4Iの本格的運用能力を付与するため、乗員を1名増加している。現在、第1親衛戦車軍(モスクワ軍管区)、第2親衛戦車軍(キエフ軍管区)、第5親衛戦車軍(ミンスク軍管区)、第9親衛戦車軍(ザバイカル軍管区)、第10親衛戦車軍(極東軍管区)、第39機械化騎兵軍(モンゴル駐留軍)の各軍司令部直轄の独立重戦車大隊にて運用が行われており、将来的には各戦車軍に1個旅団ずつ、各諸兵科連合軍に1個大隊ずつ配備され、合わせて4000両程度が配備される予定である。
能力
火力
主砲
T-15の搭載する主砲「P-15T」は、ゲルマニア、ガルマニア、アメリカ等の仮想敵国における戦闘車両の防御能力の向上を受けて開発された戦車砲である。開発・製造は、スヴェルドロフスクの第9機械製作工場が担当している。攻撃力を強化するため、T-95主力戦車と同様、135mmという、T-90、T-14などの主力戦車の装備する125mm滑腔砲よりも一回り大きな口径を採用している。また、ソビエト連邦の火砲として初めてプラズマを用いた電子熱点火システムを採用していることも特徴である。なお、この点火システムを採用したことにより、T-95やT-95Mの使用していた135mm砲弾と直接の互換性は無くなっている。
ソビエト連邦では、T-90BのアップグレードモデルおよびT-14において、次世代の125mm滑腔砲のデファクトスタンダードとなることを目指して開発された「P-14T」が採用されていた。「P-14T」戦車砲は新型の専用砲弾を用いて、2000m先の目標に対し均質圧延装甲換算で1mを超える装甲貫徹能力*3を実現しており、開発当時の仮想敵国の主力戦車のほぼ全てを2000m以遠で撃破することが可能と目されていた。しかし、T-14の就役とほぼ同時に、ソビエト連邦の仮想敵国であるアメリカ合衆国で開発中のM2主力戦車の砲塔正面装甲は均質圧延装甲換算で1300mmに達するとの情報がもたらされたため、軍首脳部は、「P-14T」の技術を用いて、より強力な戦車砲の開発を行うことを指示した。「P-15T」の開発にあたっては、口径を従来の135mmとする案と、さらに大口径の150mmとする案の2つが存在したが、搭載弾数の減少による継戦能力の低下、反動の増大による車体への負荷増大、重量の増大による悪路走破性能の悪化*4など、過剰な大口径化によってもたらされる様々なデメリットを考慮し、従来同様の135mm口径が選定された。このような開発経緯から、設計にあたってはT-14向けに開発された「P-14T」戦車砲の開発において得られた様々な技術的知見が反映されている。
砲身の製造にあたっては、「P-14T」の砲身と共通の高強度鋼が使用されている。この高強度鋼は、「P-90T」などの従来の戦車砲に用いられていたものと比較して、強度は向上させつつ靭性値は同等としている。砲身の製造に際しては、「P-14T」と同様、従来よりもかなり高い水圧で自緊処理が施されている。これにより、薬室最大圧力は730~750MPaに達する。
砲身内部は、耐腐食性を高めることを目的としてクロムメッキが施されている。「P-15T」専用の新型135mm徹甲弾を使用し続けた場合の砲身命数はおよそ900~1000発で、これは従来の戦車砲よりもやや短いものとなっている。砲身先端には多孔式の砲口制退器(マズルブレーキ)が装着されており、135mm砲の強力な反動を数十パーセント以上軽減することができ、安定した連続射撃の実現に貢献している。砲身はグラスファイバーと断熱材を組み合わせた砲身被筒(サーマルジャケット)で覆われており、砲身がまばらに加熱されて歪むことを防止している。また、砲基部にはレーザー照射装置が、砲身先端部右側には防護カバー付き砲口照合ミラーが搭載されており、砲身の歪みを検出することが可能である。
この他、「P-15T」の砲尾装置には「P-14T」と同様にマルチラグ方式が採用されており、また砲座部についても構造を再検討し最適化するなどしたことで、両者ともに従来の135mm滑腔砲「P-95T」の約8割まで軽量化されている。
「P-15T」のもう1つの特徴は、電子熱点火システムを採用していることである。専用砲弾のプラズマインジェクタと組み合わせることで、様々な点で主砲と砲弾の特性を向上させている。電子熱点火システムは、「P-14T」においても採用が検討されたが、従来の電気/打撃式雷管を搭載した125mm砲弾との互換性を失うために却下された経緯があった。一方、既存の規格自体は存在するものの、砲弾の生産数が少ないため、互換性がさして重要視されなかった「P-15T」では、従来の135mm砲弾が使用できなくなる点は特に問題とされなかった。また、電子熱点火システムのもう1つの課題となる電力供給については、ピーク時に120kWの電力を供給可能なコンパクトな高電圧充電器および大容量コンデンサを開発・搭載することで解決がなされた。
「P-15T」では、電子熱点火システムを用いることでプラズマによって装薬に瞬間的に大きなエネルギーを与えることができるようになったため、装薬の極低感度化による被弾時の生存性向上と、装薬温度に関わらない安定した燃焼、各砲弾の製造時の公差に起因する燃焼開始タイミングのバラつきの改善による命中精度向上を実現している。特に、装薬温度に関わらない安定した燃焼が可能になったことは、ソビエト連邦に広がる厳寒の大地における戦闘では大きなアドバンテージとなる。
ソビエト連邦では、T-90BのアップグレードモデルおよびT-14において、次世代の125mm滑腔砲のデファクトスタンダードとなることを目指して開発された「P-14T」が採用されていた。「P-14T」戦車砲は新型の専用砲弾を用いて、2000m先の目標に対し均質圧延装甲換算で1mを超える装甲貫徹能力*3を実現しており、開発当時の仮想敵国の主力戦車のほぼ全てを2000m以遠で撃破することが可能と目されていた。しかし、T-14の就役とほぼ同時に、ソビエト連邦の仮想敵国であるアメリカ合衆国で開発中のM2主力戦車の砲塔正面装甲は均質圧延装甲換算で1300mmに達するとの情報がもたらされたため、軍首脳部は、「P-14T」の技術を用いて、より強力な戦車砲の開発を行うことを指示した。「P-15T」の開発にあたっては、口径を従来の135mmとする案と、さらに大口径の150mmとする案の2つが存在したが、搭載弾数の減少による継戦能力の低下、反動の増大による車体への負荷増大、重量の増大による悪路走破性能の悪化*4など、過剰な大口径化によってもたらされる様々なデメリットを考慮し、従来同様の135mm口径が選定された。このような開発経緯から、設計にあたってはT-14向けに開発された「P-14T」戦車砲の開発において得られた様々な技術的知見が反映されている。
砲身の製造にあたっては、「P-14T」の砲身と共通の高強度鋼が使用されている。この高強度鋼は、「P-90T」などの従来の戦車砲に用いられていたものと比較して、強度は向上させつつ靭性値は同等としている。砲身の製造に際しては、「P-14T」と同様、従来よりもかなり高い水圧で自緊処理が施されている。これにより、薬室最大圧力は730~750MPaに達する。
砲身内部は、耐腐食性を高めることを目的としてクロムメッキが施されている。「P-15T」専用の新型135mm徹甲弾を使用し続けた場合の砲身命数はおよそ900~1000発で、これは従来の戦車砲よりもやや短いものとなっている。砲身先端には多孔式の砲口制退器(マズルブレーキ)が装着されており、135mm砲の強力な反動を数十パーセント以上軽減することができ、安定した連続射撃の実現に貢献している。砲身はグラスファイバーと断熱材を組み合わせた砲身被筒(サーマルジャケット)で覆われており、砲身がまばらに加熱されて歪むことを防止している。また、砲基部にはレーザー照射装置が、砲身先端部右側には防護カバー付き砲口照合ミラーが搭載されており、砲身の歪みを検出することが可能である。
この他、「P-15T」の砲尾装置には「P-14T」と同様にマルチラグ方式が採用されており、また砲座部についても構造を再検討し最適化するなどしたことで、両者ともに従来の135mm滑腔砲「P-95T」の約8割まで軽量化されている。
「P-15T」のもう1つの特徴は、電子熱点火システムを採用していることである。専用砲弾のプラズマインジェクタと組み合わせることで、様々な点で主砲と砲弾の特性を向上させている。電子熱点火システムは、「P-14T」においても採用が検討されたが、従来の電気/打撃式雷管を搭載した125mm砲弾との互換性を失うために却下された経緯があった。一方、既存の規格自体は存在するものの、砲弾の生産数が少ないため、互換性がさして重要視されなかった「P-15T」では、従来の135mm砲弾が使用できなくなる点は特に問題とされなかった。また、電子熱点火システムのもう1つの課題となる電力供給については、ピーク時に120kWの電力を供給可能なコンパクトな高電圧充電器および大容量コンデンサを開発・搭載することで解決がなされた。
「P-15T」では、電子熱点火システムを用いることでプラズマによって装薬に瞬間的に大きなエネルギーを与えることができるようになったため、装薬の極低感度化による被弾時の生存性向上と、装薬温度に関わらない安定した燃焼、各砲弾の製造時の公差に起因する燃焼開始タイミングのバラつきの改善による命中精度向上を実現している。特に、装薬温度に関わらない安定した燃焼が可能になったことは、ソビエト連邦に広がる厳寒の大地における戦闘では大きなアドバンテージとなる。
砲弾
T-15主力戦車の搭載する主砲弾は、対戦車戦闘に用いる徹甲弾と、その他の目標との交戦に用いる多目的榴弾の2種類が存在する。T-15の「P-15T」135mm戦車砲向けの徹甲弾としては、「BrS-15」APFSDSが用意されている。多目的榴弾としては、T-14の「P-14T」125mm戦車砲向けの多目的榴弾「OS-14」の口径拡大型である「OS-15」多目的榴弾が用意されている。
「BrS-15」APFSDSは、タングステン合金製侵徹体、複合材製のサボット、分離式の発射薬、プラズマインジェクタから構成される。砲弾全体の全長は1450mm、重量は49.75kgで、うち、侵徹体は21.25kg、サボットは3kg、発射薬は25kgを占める。ちなみに、世界最大の超重戦車マウスの装薬量はおよそ15kg、152mm自走榴弾砲で最大射程で砲弾を発射する場合の装薬量が20kgである。
侵徹体は長さ1350mm、直径36mm、重さ21.25kgで、チタニウム合金製の風防・トレーサー、高強度鋼製の鞘、そして全長約1200mmのタングステン合金製のコアからなるハイブリッド方式となっている。これはAPFSDSの着発を検知し、鋼板等を爆薬で飛翔させて弾芯を破砕して貫徹力を大幅に減衰させることが可能な、超低感度爆発反応装甲に対応するためのものである。APFSDSに対抗可能な爆発反応装甲は、APFSDSの侵徹体と同等の口径である20~40mm機関砲等の重金属製の徹甲弾などが直撃した際に誤って起爆することを防ぐため、衝撃波に対し相当低感度に設計されている。そこで、「BrS-15」では、まずタングステンに比べて低密度なチタニウム合金製の風防と高強度鋼製の鞘が目標に着弾することで、衝撃波の大きさを重金属製の弾芯を持つ機関砲向け徹甲弾と誤認させ、爆発反応装甲を起爆させずに貫徹することを目論んでいる。これにより、爆発反応装甲を無力化し、「僅か数十ミリの追加装甲」と見做すことを可能とする。
APFSDSの弾芯にタングステンを使用する場合、着弾し弾芯が装甲に衝突する際に先端部の形状がマッシュルーム状に変形、先端部の外径が衝突時の外径よりも大きく広がることで急激に貫徹力が低下するとされている。一方、劣化ウランを弾芯に使用した場合このような現象は起きず、逆に着弾時には先端部がさらに尖った形状に変化し、ますます貫徹に適した形状となる。この作用は「セルフ・シャープニング」と呼ばれる。このため、同速度でタングステン製侵徹体のAPFSDSと劣化ウラン製侵徹体のAPFSDSを着弾させた場合、劣化ウラン弾芯製APFSDSの方が貫徹力で10%程度勝るとされている。実際に、90年代のソビエト連邦地上軍の試験では、同初速で同じ長さの侵徹体を発射する場合、タングステンカーバイド製の侵徹体の2000m先の均質圧延鋼板に対する貫徹力と、劣化ウラン製の侵徹体の3000m先の均質圧延鋼板に対する貫徹力が同程度とされていた。一方、劣化ウラン製侵徹体のAPFSDSの最適着速は1600m/sで、それ以上の速度ではかえって貫徹力が低下する。タングステン弾芯製のAPFSDSの最適着速はおよそ1700~2000m/sで、この速度域においては劣化ウラン弾芯製APFSDSを上回る貫徹力を発揮する。
「BrS-15」の開発に当たっては、タングステン合金製の侵徹体でありながら、「セルフ・シャープニング」現象を起こすような理想的な侵徹体を目指して開発が行われた。そこで「BrS-15」の侵徹体では、劣化ウラン粒子をマトリックス層として分散させた状態でタングステン粒子を劣化ウラン粒子間に一体的に接合、目標への着弾時に劣化ウラン粒子のマトリックス層が局所的に剪断破壊しながら目標の装甲を侵徹するように構成している。これにより、タングステン合金製でありながら、「セルフ・シャープニング」現象を生じて貫徹に適した形状を維持したまま目標装甲内部を侵徹するような侵徹体を製造することに成功している。「BrS-15」は初速1900m/sで発射され、2000m先の目標に対し均質圧延装甲換算でおよそ1440mmの貫徹力を発揮する。
その他の目標との交戦には、従来の多目的対戦車榴弾および破片効果榴弾を代替する「OS-15」多目的榴弾を使用する。「OS-15」には敵の対戦車班のような軟目標から、装甲車やコンクリートトーチカのような硬目標までを攻撃可能とすることが求められた。このため、「P-14T」などの125mm戦車砲向けの多目的榴弾「OS-14」をベースに、口径を拡大、電気雷管をプラズマインジェクタに交換するなど一部を設計変更して開発された。「OS-15」では、「OS-14」のために開発された、オクトーゲンをベースに、コンクリートトーチカに高速で衝突しても信管が作動しない限り起爆せず、それでいて高い爆発能力を兼ね備える新型爆薬を使用している。この新型爆薬により、「OS-15」は「OS-14」と同様、弾頭を12.7x108mm弾で射撃しても起爆しないほど低感度となっている。
「OS-15」はまた、従来の砲弾が担っていた様々な任務をこなすため、プログラマブルかつマルチモードな信管を備えている。この信管は、着発、遅延、エアバースト、近接の3モードで動作することができる。遅延信管モードでは、戦車を除く大半の装甲車両や、コンクリートトーチカのような硬目標を撃破可能である。エアバースト射撃時は、レーザー測距装置から起爆時間を設定し目標上空で起爆する曳火射撃を行うことができる。近接信管モードでは、レーザーを用いて目標への接近を検知し爆風を指向できる。これは主にホバリング中の敵ヘリコプターなどに対して使用される。これら信管の動作モードは砲手席のディスプレイで変更可能である。なお、「OS-15」は「OS-14」同様、1200m/sという榴弾としてはかなりの高初速で発射されるため、炸薬の炸裂で生成される破片の速度よりも砲弾自体の速度が上回り、見かけ上全ての破片は前方に飛翔するため、キャニスター弾のような運用も可能である。
「BrS-15」APFSDSは、タングステン合金製侵徹体、複合材製のサボット、分離式の発射薬、プラズマインジェクタから構成される。砲弾全体の全長は1450mm、重量は49.75kgで、うち、侵徹体は21.25kg、サボットは3kg、発射薬は25kgを占める。ちなみに、世界最大の超重戦車マウスの装薬量はおよそ15kg、152mm自走榴弾砲で最大射程で砲弾を発射する場合の装薬量が20kgである。
侵徹体は長さ1350mm、直径36mm、重さ21.25kgで、チタニウム合金製の風防・トレーサー、高強度鋼製の鞘、そして全長約1200mmのタングステン合金製のコアからなるハイブリッド方式となっている。これはAPFSDSの着発を検知し、鋼板等を爆薬で飛翔させて弾芯を破砕して貫徹力を大幅に減衰させることが可能な、超低感度爆発反応装甲に対応するためのものである。APFSDSに対抗可能な爆発反応装甲は、APFSDSの侵徹体と同等の口径である20~40mm機関砲等の重金属製の徹甲弾などが直撃した際に誤って起爆することを防ぐため、衝撃波に対し相当低感度に設計されている。そこで、「BrS-15」では、まずタングステンに比べて低密度なチタニウム合金製の風防と高強度鋼製の鞘が目標に着弾することで、衝撃波の大きさを重金属製の弾芯を持つ機関砲向け徹甲弾と誤認させ、爆発反応装甲を起爆させずに貫徹することを目論んでいる。これにより、爆発反応装甲を無力化し、「僅か数十ミリの追加装甲」と見做すことを可能とする。
APFSDSの弾芯にタングステンを使用する場合、着弾し弾芯が装甲に衝突する際に先端部の形状がマッシュルーム状に変形、先端部の外径が衝突時の外径よりも大きく広がることで急激に貫徹力が低下するとされている。一方、劣化ウランを弾芯に使用した場合このような現象は起きず、逆に着弾時には先端部がさらに尖った形状に変化し、ますます貫徹に適した形状となる。この作用は「セルフ・シャープニング」と呼ばれる。このため、同速度でタングステン製侵徹体のAPFSDSと劣化ウラン製侵徹体のAPFSDSを着弾させた場合、劣化ウラン弾芯製APFSDSの方が貫徹力で10%程度勝るとされている。実際に、90年代のソビエト連邦地上軍の試験では、同初速で同じ長さの侵徹体を発射する場合、タングステンカーバイド製の侵徹体の2000m先の均質圧延鋼板に対する貫徹力と、劣化ウラン製の侵徹体の3000m先の均質圧延鋼板に対する貫徹力が同程度とされていた。一方、劣化ウラン製侵徹体のAPFSDSの最適着速は1600m/sで、それ以上の速度ではかえって貫徹力が低下する。タングステン弾芯製のAPFSDSの最適着速はおよそ1700~2000m/sで、この速度域においては劣化ウラン弾芯製APFSDSを上回る貫徹力を発揮する。
「BrS-15」の開発に当たっては、タングステン合金製の侵徹体でありながら、「セルフ・シャープニング」現象を起こすような理想的な侵徹体を目指して開発が行われた。そこで「BrS-15」の侵徹体では、劣化ウラン粒子をマトリックス層として分散させた状態でタングステン粒子を劣化ウラン粒子間に一体的に接合、目標への着弾時に劣化ウラン粒子のマトリックス層が局所的に剪断破壊しながら目標の装甲を侵徹するように構成している。これにより、タングステン合金製でありながら、「セルフ・シャープニング」現象を生じて貫徹に適した形状を維持したまま目標装甲内部を侵徹するような侵徹体を製造することに成功している。「BrS-15」は初速1900m/sで発射され、2000m先の目標に対し均質圧延装甲換算でおよそ1440mmの貫徹力を発揮する。
その他の目標との交戦には、従来の多目的対戦車榴弾および破片効果榴弾を代替する「OS-15」多目的榴弾を使用する。「OS-15」には敵の対戦車班のような軟目標から、装甲車やコンクリートトーチカのような硬目標までを攻撃可能とすることが求められた。このため、「P-14T」などの125mm戦車砲向けの多目的榴弾「OS-14」をベースに、口径を拡大、電気雷管をプラズマインジェクタに交換するなど一部を設計変更して開発された。「OS-15」では、「OS-14」のために開発された、オクトーゲンをベースに、コンクリートトーチカに高速で衝突しても信管が作動しない限り起爆せず、それでいて高い爆発能力を兼ね備える新型爆薬を使用している。この新型爆薬により、「OS-15」は「OS-14」と同様、弾頭を12.7x108mm弾で射撃しても起爆しないほど低感度となっている。
「OS-15」はまた、従来の砲弾が担っていた様々な任務をこなすため、プログラマブルかつマルチモードな信管を備えている。この信管は、着発、遅延、エアバースト、近接の3モードで動作することができる。遅延信管モードでは、戦車を除く大半の装甲車両や、コンクリートトーチカのような硬目標を撃破可能である。エアバースト射撃時は、レーザー測距装置から起爆時間を設定し目標上空で起爆する曳火射撃を行うことができる。近接信管モードでは、レーザーを用いて目標への接近を検知し爆風を指向できる。これは主にホバリング中の敵ヘリコプターなどに対して使用される。これら信管の動作モードは砲手席のディスプレイで変更可能である。なお、「OS-15」は「OS-14」同様、1200m/sという榴弾としてはかなりの高初速で発射されるため、炸薬の炸裂で生成される破片の速度よりも砲弾自体の速度が上回り、見かけ上全ての破片は前方に飛翔するため、キャニスター弾のような運用も可能である。
自動装填装置
T-15は非常に重く大きな135mm砲弾を使用するため、従来のソビエト連邦製戦車同様自動装填装置が採用されている。T-15の自動装填装置は、ベルトコンベアによる次弾装填方式を採用している。自動装填装置のマガジンは砲塔後部にあり、ここには21発が搭載可能である。この他、車体に砲弾14発分を搭載するスペースが設けられている。乗員の生存性向上のために砲塔後部のマガジンにはブローオフパネルが設けられており、誘爆時に爆風を外側に逃がすことで乗員に被害が及ばないようにする。自動装填装置は5秒で次弾を装填する能力があり、毎分最大12発という高い速度で砲弾を発射することができる。自動装填装置と弾薬搭載スペースは誘爆を防ぐため、弾片防止ライナーを装備、また引火を防ぐため、自動消火装置も搭載されている。
その他の武装
T-15は砲塔上部にユニバーサルタレットシステムという名称で開発されたRWS(リモートウェポンステーション)を搭載することが可能である。通常、ここには12.7×108mm弾を使用するKPD-99重機関銃または40×50mm弾を使用するAG-72自動擲弾銃が搭載されることとなっている。タレット上部には、後述するような、可視光カメラ、熱線映像装置、レーザー測距装置を統合した車長用サイトが搭載されている。通常時はタレットと車長用サイトは独立駆動となっているが、必要に応じてタレットの動きを車長用サイトに同調させ、車長用サイトにより照準しながらタレットに搭載された武装で射撃することが可能である。また、タレットは後述するアクティブ防護システムとも連動しており、レーザー照射やミリ波レーダーを検知したと同時に目標方向にタレットを指向し威嚇射撃を行って敵の照準や射撃を妨害することが可能である*5。
また、主砲同軸には7.62x54mmR弾を使用する汎用機関銃EPK-97を搭載している。
KPD-99の装弾数は500発、EPK-97の装弾数は3500発である。
また、主砲同軸には7.62x54mmR弾を使用する汎用機関銃EPK-97を搭載している。
KPD-99の装弾数は500発、EPK-97の装弾数は3500発である。
ベトロニクス
索敵能力
索敵用のセンサーとしては、車長用パノラマサイト、砲手用サイト、ESMシステム、全周監視カメラシステム、さらにアクティブ防護システム用にミリ波レーダー、レーザー警戒システムが使用される。
車長用パノラマサイトと砲手用サイトはどちらも砲塔上部に取り付けられており、どちらも、高解像度可視光カメラ、熱線映像装置、レーザー測距装置を統合したものとなっている。砲手用サイトは固定式、車長用サイトはリモートウェポンステーション上部に設けられており、全周旋回が可能となっている。搭載されている高解像度可視光カメラは倍率1~20倍の無段階可変倍率方式で、車長と砲手はそれぞれの座席のハイビジョン解像度の高精細テレビモニターで目標を捜索することができる。優れた画像安定化技術による高解像度のサーモグラフィーにより4~5km先の戦車大サイズの目標を検出・識別することが可能で、夜間戦闘での索敵能力にも優れる。車長用パノラマサイトは、オーバーライド照準能力およびオーバーライド射撃能力を持っている。なおこれらのサイトは、サーボモーターによって0.1ミル単位で上下左右の2軸安定化を受けており、タッチパネルから目標をロックオンし、砲と共に自動で追尾することができる。
従来のT-90やT-95の車長用サイトや砲手用サイトは、熱源集中部に対する自動追尾を行うことで目標を自動追尾する能力を有していたが、高温環境下においてはクラッタを追尾してしまうなど、性能的に完全に満足いくものではなかった。T-14やT-15では、熱線映像装置が大幅に高解像度化されたことで敵車両の形状識別とシルエット追尾ができるようになった。本車両の車長用および砲手用サイトは、熱源集中部、熱線映像装置による敵車両の形状識別、高解像度可視光カメラによる敵車両の形状識別を併用し、その中で追尾点のばらつきが小さい方を適宜選択し続けることで、従来よりも高い追尾能力を確保している。また本車両では、砲手が砲手用サイトをズームして目標を照準している間も、車長用サイトを用いることで複数目標に対する同時追尾を行うことができる。
ESM用のアンテナは車体と砲塔の6か所に設置されており、HFからKaバンドまでの周波数帯で各種電磁波を探知可能である。レーダー波を検知した場合、照射源の方向を1°×1°の精度で特定、さらに中隊内データリンクを通じた三角測量などで、照射源までの距離をも特定する。これにより、例えば敵の攻撃ヘリが自車をKaバンドの高解像度対地レーダーで捕捉した場合、僚車と共に敵攻撃ヘリの正確な位置を直ちに防空部隊に通報し、そのまま散開して攻撃を逃れる、といったことが可能である。
全周監視カメラは車体の6か所にカメラを埋め込み、それらカメラの映像を切れ目なく合成することで360度映像を生成するシステムである。自己洗浄機能付きの高性能可視光/サーマルカメラが搭載されていて、システムの信頼性はかなり高い。全ての乗員はHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を用いることでこの360度映像を観察し、必要に応じてズームインすることができる。システムは最大で数km先の戦車大の目標を認識することが可能とされている。また、このシステムを用いて、敵の対戦車ミサイルや対戦車擲弾に対する探知も可能となっている。この技術は、MiG-39やSu-47といった第5世代ジェット戦闘機の開発からフィードバックされたものであるという説がある。
ミリ波レーダーは砲塔に搭載されている。レーダーは、砲塔右前、左前、右後ろ、左後ろの4か所に固定式のアンテナを備えている。全てのアンテナはアクティブフェーズドアレイ化されており、Kaバンドを利用して全周を索敵し、自車に接近する敵の対戦車ミサイルや対戦車擲弾などを発見する。
レーザー警戒システムは、敵の車両や航空機が測距に使用するレーザーを検知して警告するシステムである。砲塔全周の4か所にレーザー検知器が取り付けられているが、これは各種ヘリコプターに搭載された対MANPADS用レーザー検知器を元に開発されているとされる。これにより、自車を照準する戦車やセミアクティブレーザー誘導方式の対戦車ミサイルなどを検知、照射源の方向を1°×1°の精度で特定することが可能である。
無人機は、砲塔上面の車長用ハッチの隣に設けられた専用ハッチ内に格納されている。クアッドコプター形式で、4基の静粛性の高い電動モーターにより飛行する。高性能可視光/サーマルカメラを搭載しており、最大32倍まで無段階で倍率を拡大し、2km先の人間大目標を識別することが可能である。電力供給と映像データのやりとりはケーブルを介して行われるため、車両から100m以内の範囲でしか飛行することができないという制約があるものの、戦車が単独で、上空数十メートルの視点から戦場を俯瞰的に視察可能となったことは、状況認識能力を格段に向上させたという意味で大きな進歩である。無人航空機は、各種C4Iシステムの操作を行い戦闘をサポートする無線手が操縦を行うこととなっている。
T-15はこれらの優れたセンサーの能力を最大限に生かすため、高レベルなセンサーフュージョン能力を有している。ディスプレイおよびヘッドマウントディスプレイ上では、後述するデータリンクシステムを含めたあらゆるシステムで取得した目標の情報について3段階で脅威度を判定し、脅威度・攻撃優先度順に並べることができる。脅威度の判定基準としては、脅威度Aが「戦車を撃破しうる火力を有し、なおかつ戦闘準備を整えている目標」、脅威度Bが「戦車を撃破しうる火力を有するが、戦闘準備を整えていない目標」、脅威度Vがその他の目標とされている。また、敵の指揮車両、通信車両などについては、脅威度Aの目標と同等の撃破優先度を与えられている。
車長用パノラマサイトと砲手用サイトはどちらも砲塔上部に取り付けられており、どちらも、高解像度可視光カメラ、熱線映像装置、レーザー測距装置を統合したものとなっている。砲手用サイトは固定式、車長用サイトはリモートウェポンステーション上部に設けられており、全周旋回が可能となっている。搭載されている高解像度可視光カメラは倍率1~20倍の無段階可変倍率方式で、車長と砲手はそれぞれの座席のハイビジョン解像度の高精細テレビモニターで目標を捜索することができる。優れた画像安定化技術による高解像度のサーモグラフィーにより4~5km先の戦車大サイズの目標を検出・識別することが可能で、夜間戦闘での索敵能力にも優れる。車長用パノラマサイトは、オーバーライド照準能力およびオーバーライド射撃能力を持っている。なおこれらのサイトは、サーボモーターによって0.1ミル単位で上下左右の2軸安定化を受けており、タッチパネルから目標をロックオンし、砲と共に自動で追尾することができる。
従来のT-90やT-95の車長用サイトや砲手用サイトは、熱源集中部に対する自動追尾を行うことで目標を自動追尾する能力を有していたが、高温環境下においてはクラッタを追尾してしまうなど、性能的に完全に満足いくものではなかった。T-14やT-15では、熱線映像装置が大幅に高解像度化されたことで敵車両の形状識別とシルエット追尾ができるようになった。本車両の車長用および砲手用サイトは、熱源集中部、熱線映像装置による敵車両の形状識別、高解像度可視光カメラによる敵車両の形状識別を併用し、その中で追尾点のばらつきが小さい方を適宜選択し続けることで、従来よりも高い追尾能力を確保している。また本車両では、砲手が砲手用サイトをズームして目標を照準している間も、車長用サイトを用いることで複数目標に対する同時追尾を行うことができる。
ESM用のアンテナは車体と砲塔の6か所に設置されており、HFからKaバンドまでの周波数帯で各種電磁波を探知可能である。レーダー波を検知した場合、照射源の方向を1°×1°の精度で特定、さらに中隊内データリンクを通じた三角測量などで、照射源までの距離をも特定する。これにより、例えば敵の攻撃ヘリが自車をKaバンドの高解像度対地レーダーで捕捉した場合、僚車と共に敵攻撃ヘリの正確な位置を直ちに防空部隊に通報し、そのまま散開して攻撃を逃れる、といったことが可能である。
全周監視カメラは車体の6か所にカメラを埋め込み、それらカメラの映像を切れ目なく合成することで360度映像を生成するシステムである。自己洗浄機能付きの高性能可視光/サーマルカメラが搭載されていて、システムの信頼性はかなり高い。全ての乗員はHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を用いることでこの360度映像を観察し、必要に応じてズームインすることができる。システムは最大で数km先の戦車大の目標を認識することが可能とされている。また、このシステムを用いて、敵の対戦車ミサイルや対戦車擲弾に対する探知も可能となっている。この技術は、MiG-39やSu-47といった第5世代ジェット戦闘機の開発からフィードバックされたものであるという説がある。
ミリ波レーダーは砲塔に搭載されている。レーダーは、砲塔右前、左前、右後ろ、左後ろの4か所に固定式のアンテナを備えている。全てのアンテナはアクティブフェーズドアレイ化されており、Kaバンドを利用して全周を索敵し、自車に接近する敵の対戦車ミサイルや対戦車擲弾などを発見する。
レーザー警戒システムは、敵の車両や航空機が測距に使用するレーザーを検知して警告するシステムである。砲塔全周の4か所にレーザー検知器が取り付けられているが、これは各種ヘリコプターに搭載された対MANPADS用レーザー検知器を元に開発されているとされる。これにより、自車を照準する戦車やセミアクティブレーザー誘導方式の対戦車ミサイルなどを検知、照射源の方向を1°×1°の精度で特定することが可能である。
無人機は、砲塔上面の車長用ハッチの隣に設けられた専用ハッチ内に格納されている。クアッドコプター形式で、4基の静粛性の高い電動モーターにより飛行する。高性能可視光/サーマルカメラを搭載しており、最大32倍まで無段階で倍率を拡大し、2km先の人間大目標を識別することが可能である。電力供給と映像データのやりとりはケーブルを介して行われるため、車両から100m以内の範囲でしか飛行することができないという制約があるものの、戦車が単独で、上空数十メートルの視点から戦場を俯瞰的に視察可能となったことは、状況認識能力を格段に向上させたという意味で大きな進歩である。無人航空機は、各種C4Iシステムの操作を行い戦闘をサポートする無線手が操縦を行うこととなっている。
T-15はこれらの優れたセンサーの能力を最大限に生かすため、高レベルなセンサーフュージョン能力を有している。ディスプレイおよびヘッドマウントディスプレイ上では、後述するデータリンクシステムを含めたあらゆるシステムで取得した目標の情報について3段階で脅威度を判定し、脅威度・攻撃優先度順に並べることができる。脅威度の判定基準としては、脅威度Aが「戦車を撃破しうる火力を有し、なおかつ戦闘準備を整えている目標」、脅威度Bが「戦車を撃破しうる火力を有するが、戦闘準備を整えていない目標」、脅威度Vがその他の目標とされている。また、敵の指揮車両、通信車両などについては、脅威度Aの目標と同等の撃破優先度を与えられている。
砲制御装置・射撃管制装置
T-15では、仮想敵の大規模な戦車部隊に対抗するため、高精度の走行間射撃が可能であることが求められた。このため主砲は、全自動式砲制御装置により、サーボモーターによって0.1ミル単位で二軸安定化がなされている。なお砲塔の旋回や砲の俯仰は、T-95やT-14と同様、完全電動式となっており、砲塔の軽量化や、火災発生リスクの低減に貢献している。砲塔旋回速度は毎秒30度(全周旋回に12秒)、俯仰速度は毎秒5度とされている。
T-15の射撃管制システムは、デジタル式の高性能弾道コンピュータを中核に構成されている。弾道コンピュータには、レーザー測距装置、光ファイバージャイロを利用した傾斜測定装置、砲口照合装置、風向・風速計、気温・気圧計、装薬温度計、「MUVS-DA」データリンク端末などの各種センサーが接続されており、これらの入力諸元から弾道計算コンピュータが目標に命中させるのに必要な各種要素を計算し、砲制御装置に入力し砲を指向する。照準の際は、高解像度カメラによる目標のイメージングと、データベースを組み合わせ、目標の弱点部位を狙うことができるとされる。また、射撃後は弾薬データリンクなども用いて、砲弾の正確な着弾位置を計測し、効果判定を行うという。前述した砲安定化装置と合わせることで、T-15は走行間射撃、後退間射撃、スラローム射撃などが可能である。試験では、2000m先の移動目標に対し走行間射撃を行い、次弾命中率ほぼ100%を記録している。弾道計算のソフトウェアはプログラマブルなものを採用しているため、将来的に性能向上を図ることが容易である。
T-15の射撃管制システムは、デジタル式の高性能弾道コンピュータを中核に構成されている。弾道コンピュータには、レーザー測距装置、光ファイバージャイロを利用した傾斜測定装置、砲口照合装置、風向・風速計、気温・気圧計、装薬温度計、「MUVS-DA」データリンク端末などの各種センサーが接続されており、これらの入力諸元から弾道計算コンピュータが目標に命中させるのに必要な各種要素を計算し、砲制御装置に入力し砲を指向する。照準の際は、高解像度カメラによる目標のイメージングと、データベースを組み合わせ、目標の弱点部位を狙うことができるとされる。また、射撃後は弾薬データリンクなども用いて、砲弾の正確な着弾位置を計測し、効果判定を行うという。前述した砲安定化装置と合わせることで、T-15は走行間射撃、後退間射撃、スラローム射撃などが可能である。試験では、2000m先の移動目標に対し走行間射撃を行い、次弾命中率ほぼ100%を記録している。弾道計算のソフトウェアはプログラマブルなものを採用しているため、将来的に性能向上を図ることが容易である。
データリンク
T-15では、各小隊や各中隊など下位の階梯で運用される交戦級データリンクシステムと、各大隊や各旅団などより上位の階梯で使用される汎用データリンクシステムの2種類に対応しており、通信端末として「MUVS-DM(車両用多機能高速通信デバイス)」と呼ばれる軍用無線機が搭載されている。「MUVS-DM」は、地上軍のあらゆる兵科に共通のコンポーネントを利用した安価かつ高性能な無線通信装置を支給することを目的に開発されており、HF、VHF、UHFでの通信に対応、従来の全ての軍用無線および軍用ネットワーク端末を代替することを目指している。必要に応じて、無線機本体に、衛星通信アンテナ、データリンクと射撃管制システムの橋渡しを行う高性能演算装置、長距離通信のリアルタイム性を高めるために必要な小型セシウム原子時計など各種モジュールを追加してアップデートすることが可能である。各車両には、必要なシステムがアプリケーション形式で提供される仕組みとなっており、例えば本車両の場合、近接戦闘指揮統制システムと旅団諸兵科統合指揮システムに連接可能である。
近接戦闘指揮統制システムは、索敵システムや射撃管制システムと連接され、中隊内の全ての他の車両との間で、各車両のセンサー情報等を射撃管制に使用可能なサブ秒単位での精度を保ったまま共有し、戦闘効率の改善を目指すシステムである。主力戦車、重戦車、歩兵戦闘車、装甲兵員輸送車、さらには自走対戦車ミサイルや攻撃ヘリなどで運用される。具体的には、友軍車両の位置、判明している敵の種別と位置、各車両の現在視認している範囲、判明していない敵に関する警戒情報、使用した弾種と射撃の効果判定などの様々な情報を、全て射撃管制に使用可能な精度で共有できる。その上で、エキスパートシステムの補助に基づく部隊指揮官による個々の目標の脅威度評価と部隊内への認識の共有、部隊内の各車両への自動での攻撃目標割り当て、部隊指揮官によるオーバーライド照準やオーバーライド射撃、部隊内の僚車同士で援護しながらの戦闘機動などに利用することが可能である。これにより無線連絡等による従来方式よりも格段に高速で交戦中の部隊内における意思の統一と認識の共有を可能とし、また効率的な索敵と目標撃破を可能とする。
基幹戦闘指揮統制システムは、索敵システムと連接され、中隊以下の部隊が所持する携帯端末、中隊以上の部隊本部が装備するラップトップ端末、大隊以上の部隊本部に設置される情報処理装置を用い、敵味方の各部隊や車両などの位置を各旅団内で共有される戦術状況共通図でニア・リアルタイムに共有し、指揮統制の効率化を目指すシステムである。基本的には自動車化狙撃部隊と戦車部隊で運用され、友軍車両や部隊の位置、判明している敵の種別と位置と脅威度、判明していない敵に関する警戒情報などについて、秒単位で表示が行われる。近接戦闘指揮統制システムを搭載していない車両とも位置情報のやりとりが行える。下車戦闘中の歩兵ならば分隊単位、戦闘車両については1両単位、無人機や回転翼機などの航空ユニットについては1機単位で表示される。指揮官はこのシステムに表示された各部隊の情報および彼我の位置関係や戦力差に基づき、戦闘計画を立案し、隷下の部隊に企図を伝達する。また、このシステムを利用することで、火力支援の要請や野戦救急の要請を行うことも可能である。
T-95など従来の戦車に搭載されていた従来の指揮統制システムでは、発見した目標について位置情報や種別や脅威度を入力するには、メッセージ機能を用いて車長がいちいち情報を入力する必要があり、高烈度の交戦中に使用しにくいことが指摘されていた。T-15では、指揮統制システムと索敵システムが直接連接されたことから敵の位置情報の入力については完全自動化された上、種別についても、目標の外形的な特徴から推定される目標の種別についてデータベースと照合することで車長の判断を補助するシステムが搭載され、事実上半自動化された。
近接戦闘指揮統制システムは、索敵システムや射撃管制システムと連接され、中隊内の全ての他の車両との間で、各車両のセンサー情報等を射撃管制に使用可能なサブ秒単位での精度を保ったまま共有し、戦闘効率の改善を目指すシステムである。主力戦車、重戦車、歩兵戦闘車、装甲兵員輸送車、さらには自走対戦車ミサイルや攻撃ヘリなどで運用される。具体的には、友軍車両の位置、判明している敵の種別と位置、各車両の現在視認している範囲、判明していない敵に関する警戒情報、使用した弾種と射撃の効果判定などの様々な情報を、全て射撃管制に使用可能な精度で共有できる。その上で、エキスパートシステムの補助に基づく部隊指揮官による個々の目標の脅威度評価と部隊内への認識の共有、部隊内の各車両への自動での攻撃目標割り当て、部隊指揮官によるオーバーライド照準やオーバーライド射撃、部隊内の僚車同士で援護しながらの戦闘機動などに利用することが可能である。これにより無線連絡等による従来方式よりも格段に高速で交戦中の部隊内における意思の統一と認識の共有を可能とし、また効率的な索敵と目標撃破を可能とする。
基幹戦闘指揮統制システムは、索敵システムと連接され、中隊以下の部隊が所持する携帯端末、中隊以上の部隊本部が装備するラップトップ端末、大隊以上の部隊本部に設置される情報処理装置を用い、敵味方の各部隊や車両などの位置を各旅団内で共有される戦術状況共通図でニア・リアルタイムに共有し、指揮統制の効率化を目指すシステムである。基本的には自動車化狙撃部隊と戦車部隊で運用され、友軍車両や部隊の位置、判明している敵の種別と位置と脅威度、判明していない敵に関する警戒情報などについて、秒単位で表示が行われる。近接戦闘指揮統制システムを搭載していない車両とも位置情報のやりとりが行える。下車戦闘中の歩兵ならば分隊単位、戦闘車両については1両単位、無人機や回転翼機などの航空ユニットについては1機単位で表示される。指揮官はこのシステムに表示された各部隊の情報および彼我の位置関係や戦力差に基づき、戦闘計画を立案し、隷下の部隊に企図を伝達する。また、このシステムを利用することで、火力支援の要請や野戦救急の要請を行うことも可能である。
T-95など従来の戦車に搭載されていた従来の指揮統制システムでは、発見した目標について位置情報や種別や脅威度を入力するには、メッセージ機能を用いて車長がいちいち情報を入力する必要があり、高烈度の交戦中に使用しにくいことが指摘されていた。T-15では、指揮統制システムと索敵システムが直接連接されたことから敵の位置情報の入力については完全自動化された上、種別についても、目標の外形的な特徴から推定される目標の種別についてデータベースと照合することで車長の判断を補助するシステムが搭載され、事実上半自動化された。
防御力
乗員配置
乗員は車長、操縦手、砲手、無線手の4名である。座席配置は、車体前方左側に操縦手、砲塔右側に砲手、車長、砲塔左側に無線手となっている。車体正面から見ると左右に乗員が2名ずついるのは、被弾時に乗員が一挙に全滅することを防ぐためであるとされている。乗員の区画には与圧式のNBC防護システムが備わっており、浄化された空気が常に供給される。車内は狭いものの乗員毎に個別のスペースがあり、乗降ハッチも一人にひとつ用意されている。なお、T-15では居住性の向上にも重点が置かれており、車内には冷房と暖房が両方備えられている他、各乗員のスペースには携帯式トイレが用意されている。これは、アフガニスタン紛争において、排尿・排便のために車外に出た戦車兵が狙われた教訓に基づくものである。
装甲
T-15では、T-90やT-95などの従来の主力戦車よりも耐弾性能に優れた新型複合装甲を採用している。車体正面、車体側面、砲塔正面、砲塔側面、砲塔上面、サイドスカートは内装式のモジュール装甲となっている。任務の性質や輸送時の重量の制限などに応じて、装甲を着脱できる自由度を持つ。また、新型装甲が開発された場合や、被弾して装甲にダメージを受けた場合にも容易に交換することが可能になっている。内部に搭載される複合装甲の素材と厚みについて、詳細は明かされていないため、公開されている情報をまとめ、概略を示す。
車体正面や砲塔正面に搭載される複合装甲モジュールは、高強度鋼のフレーム、チタニウム合金、炭化ホウ素、超高分子量ポリエチレン*6等から構成される拘束セラミック方式の複合装甲で、また破片の飛散を防止し乗員を保護するケブラー合成繊維の内張を備えると言われている。これにより、車体正面と砲塔正面の最も強力な部分では、APFSDSに対して均質圧延装甲換算で少なくとも1000~1200mm相当、化学エネルギー弾に対して1500mm以上の防御力を有するとされる。
砲塔側面装甲や、車体側面の乗員区画周辺には、車体正面や砲塔正面の複合装甲と同様の拘束セラミック装甲が配置されており、運動エネルギー弾に対して均質圧延装甲換算で200mm相当、化学エネルギー弾に対して均質圧延装甲換算で450~500mm相当の防御力を有し、垂直方向、至近距離からの40mmAPFSDSの直撃にも抗堪可能であるとされる。
砲塔側面や車体側面には通常、多層式中空装甲が挿入されている。多層式中空装甲は高強度鋼、チタニウム合金、ケブラー、耐火ゴムなどからなり、機関砲弾や対戦車ロケット弾などへの防御を目指したものであるが、運動エネルギー弾に対しても、侵徹体に複数方向から力を反射させて破砕させたり、侵徹方向を逸らしたりすることで防御効果を発揮できる。多層式中空装甲の装備により、運動エネルギー弾に対して均質圧延装甲換算で120~150mm相当、化学エネルギー弾に対して均質圧延装甲換算で350~400mm相当の防御力を有し、30mmAPFSDSやRPG-61対戦車ロケット弾の直撃、至近距離での152mm榴弾の爆発などに抗堪可能とされている。
砲塔上面には通常、砲塔側面や車体側面同様、多層式中空装甲にケブラーを組み合わせるなどした簡易的な複合装甲が挿入されている。天板装甲は、152mm榴弾の直撃や、対戦車ロケット弾がまき散らす対戦車クラスター子弾の直撃に抗堪可能とされている。ただし、本格的なトップアタック能力を備えた対戦車ミサイルの攻撃に抗堪するだけの性能はないとされる。
サイドスカートとしては通常、金属メッシュ入りのゴム製サイドスカートが使用される。これは非常に軽量なサイドスカートで、運動エネルギー弾に対する防御効果はあまり期待できないが、化学エネルギー弾に対しては空間装甲として機能する。また、このサイドスカートは、全速走行中に加熱した転輪を覆い隠し赤外線ステルス性能を高める効果も有する。
車体の広範な部分に使用されている均質圧延装甲には、T-14主力戦車と共通の新型の高強度鋼を採用している。鋼板内の結晶を微細化することにより、同重量の装甲で、T-90の均質圧延装甲よりも15~20%程度防御力を向上させている。また、この鋼板は、温度変化による防御力低下に強いことも特徴であり、極寒の北極圏から灼熱の中央アジアの砂漠まで、あらゆる気候で安定して高い防御力を発揮できる。また、車体全周で、ホウ素入り超高分子ポリエチレンが封入されており、一定距離外にいれば、中性子爆弾の中性子線から乗員を防護することもできるとされる。
アクティブ防護システムや爆発反応装甲を装備せずに行われた耐弾試験においては、砲塔正面は仮想敵の主力戦車の装備するものと同等威力の125mmAPFSDS弾の複数回の直撃に抗堪、砲塔上面は155mm榴弾や対戦車クラスター子弾の直撃に抗堪、車体側面装甲なども、至近距離に落下した152mm砲弾の破片、30mmAPFSDSによる掃射、対戦車擲弾の直撃に耐えるだけの能力を発揮したとされている。
車体正面や砲塔正面に搭載される複合装甲モジュールは、高強度鋼のフレーム、チタニウム合金、炭化ホウ素、超高分子量ポリエチレン*6等から構成される拘束セラミック方式の複合装甲で、また破片の飛散を防止し乗員を保護するケブラー合成繊維の内張を備えると言われている。これにより、車体正面と砲塔正面の最も強力な部分では、APFSDSに対して均質圧延装甲換算で少なくとも1000~1200mm相当、化学エネルギー弾に対して1500mm以上の防御力を有するとされる。
砲塔側面装甲や、車体側面の乗員区画周辺には、車体正面や砲塔正面の複合装甲と同様の拘束セラミック装甲が配置されており、運動エネルギー弾に対して均質圧延装甲換算で200mm相当、化学エネルギー弾に対して均質圧延装甲換算で450~500mm相当の防御力を有し、垂直方向、至近距離からの40mmAPFSDSの直撃にも抗堪可能であるとされる。
砲塔側面や車体側面には通常、多層式中空装甲が挿入されている。多層式中空装甲は高強度鋼、チタニウム合金、ケブラー、耐火ゴムなどからなり、機関砲弾や対戦車ロケット弾などへの防御を目指したものであるが、運動エネルギー弾に対しても、侵徹体に複数方向から力を反射させて破砕させたり、侵徹方向を逸らしたりすることで防御効果を発揮できる。多層式中空装甲の装備により、運動エネルギー弾に対して均質圧延装甲換算で120~150mm相当、化学エネルギー弾に対して均質圧延装甲換算で350~400mm相当の防御力を有し、30mmAPFSDSやRPG-61対戦車ロケット弾の直撃、至近距離での152mm榴弾の爆発などに抗堪可能とされている。
砲塔上面には通常、砲塔側面や車体側面同様、多層式中空装甲にケブラーを組み合わせるなどした簡易的な複合装甲が挿入されている。天板装甲は、152mm榴弾の直撃や、対戦車ロケット弾がまき散らす対戦車クラスター子弾の直撃に抗堪可能とされている。ただし、本格的なトップアタック能力を備えた対戦車ミサイルの攻撃に抗堪するだけの性能はないとされる。
サイドスカートとしては通常、金属メッシュ入りのゴム製サイドスカートが使用される。これは非常に軽量なサイドスカートで、運動エネルギー弾に対する防御効果はあまり期待できないが、化学エネルギー弾に対しては空間装甲として機能する。また、このサイドスカートは、全速走行中に加熱した転輪を覆い隠し赤外線ステルス性能を高める効果も有する。
車体の広範な部分に使用されている均質圧延装甲には、T-14主力戦車と共通の新型の高強度鋼を採用している。鋼板内の結晶を微細化することにより、同重量の装甲で、T-90の均質圧延装甲よりも15~20%程度防御力を向上させている。また、この鋼板は、温度変化による防御力低下に強いことも特徴であり、極寒の北極圏から灼熱の中央アジアの砂漠まで、あらゆる気候で安定して高い防御力を発揮できる。また、車体全周で、ホウ素入り超高分子ポリエチレンが封入されており、一定距離外にいれば、中性子爆弾の中性子線から乗員を防護することもできるとされる。
アクティブ防護システムや爆発反応装甲を装備せずに行われた耐弾試験においては、砲塔正面は仮想敵の主力戦車の装備するものと同等威力の125mmAPFSDS弾の複数回の直撃に抗堪、砲塔上面は155mm榴弾や対戦車クラスター子弾の直撃に抗堪、車体側面装甲なども、至近距離に落下した152mm砲弾の破片、30mmAPFSDSによる掃射、対戦車擲弾の直撃に耐えるだけの能力を発揮したとされている。
増加装甲
T-15の防御力をさらに高める目的で、車体正面、砲塔正面、砲塔側面、砲塔上面、サイドスカートを対象に、拘束セラミック方式の追加装甲モジュールが開発されている。これらの追加装甲モジュールは製造メーカーによればT-14とも互換性を有するとされるが、軍においてはT-14への装備は今のところ検討されていない。全ての追加装甲モジュールを搭載した場合、重量はおよそ10t程度増大すると見込まれている。これらを搭載した状態での防御力についてほとんど情報は公開されていないが、車体正面や砲塔正面においては、仮想敵の130mm以上の口径のAPFSDSに対しても抗堪可能となる可能性が高いとされている。
さらに、車体正面、車体側面、砲塔正面、砲塔側面、砲塔上面、サイドスカートを対象に、爆発反応装甲が用意されている。爆発反応装甲は、比較的軽量で成形炸薬弾対策を主眼に置いた「コンタークト-4」と、運動エネルギー弾に対しても効果を発揮できる「コンタークト-5」の2種類が用意されている。これらの爆発反応装甲は、素の装甲および増加装甲両方の上側に取り付けることができ、またタンデム弾頭に対応するため積層構造とすることもできる。
「コンタークト-4」は歩兵戦闘車などの比較的軽量な車両から、主力戦車まで、あらゆる装甲車両に搭載することを目的とした成形炸薬弾対策用の爆発反応装甲であり、簡易な構造で、軽量であることが特徴である。成形炸薬弾に対してはモジュール1つにつき均質圧延装甲換算で250~300mmの防御力を発揮でき、また複数のモジュールを重ねることでタンデム弾頭に対しても対抗できるとされる。従来の「コンタークト-1」と体積や重量はほとんど等しいが、爆発物が密閉されているためメンテナンスフリーとなっている。
「コンタークト-5」は主力戦車に搭載することを目的とした成形炸薬弾および運動エネルギー弾対策用の爆発反応装甲であり、1モジュールにつき1つの自己鍛造弾が内蔵されている。着弾を検知すると、自己鍛造弾が打ち出され、APFSDSに対しては細長い弾芯を切断し、また化学エネルギー弾に対してはメタルジェットの収束を妨害する。さらにこのモジュールを積層構造とすることで、タンデム弾頭などに対しても対処が可能となっている他、従来の「コンタークト-2」や「コンタークト-3」と比較して、防御可能な着角が増大している。また、爆発物が密閉されているためメンテナンスフリーとなっている。
さらに、車体正面、車体側面、砲塔正面、砲塔側面、砲塔上面、サイドスカートを対象に、爆発反応装甲が用意されている。爆発反応装甲は、比較的軽量で成形炸薬弾対策を主眼に置いた「コンタークト-4」と、運動エネルギー弾に対しても効果を発揮できる「コンタークト-5」の2種類が用意されている。これらの爆発反応装甲は、素の装甲および増加装甲両方の上側に取り付けることができ、またタンデム弾頭に対応するため積層構造とすることもできる。
「コンタークト-4」は歩兵戦闘車などの比較的軽量な車両から、主力戦車まで、あらゆる装甲車両に搭載することを目的とした成形炸薬弾対策用の爆発反応装甲であり、簡易な構造で、軽量であることが特徴である。成形炸薬弾に対してはモジュール1つにつき均質圧延装甲換算で250~300mmの防御力を発揮でき、また複数のモジュールを重ねることでタンデム弾頭に対しても対抗できるとされる。従来の「コンタークト-1」と体積や重量はほとんど等しいが、爆発物が密閉されているためメンテナンスフリーとなっている。
「コンタークト-5」は主力戦車に搭載することを目的とした成形炸薬弾および運動エネルギー弾対策用の爆発反応装甲であり、1モジュールにつき1つの自己鍛造弾が内蔵されている。着弾を検知すると、自己鍛造弾が打ち出され、APFSDSに対しては細長い弾芯を切断し、また化学エネルギー弾に対してはメタルジェットの収束を妨害する。さらにこのモジュールを積層構造とすることで、タンデム弾頭などに対しても対処が可能となっている他、従来の「コンタークト-2」や「コンタークト-3」と比較して、防御可能な着角が増大している。また、爆発物が密閉されているためメンテナンスフリーとなっている。
アクティブ防護システム
T-15では「アヴローラ」アクティブ防護システムが搭載されている。この「アヴローラ」アクティブ防護システムは、中央防御支援装置を中核として構成され、前述したレーダー警戒装置、レーザー警戒装置、ミリ波レーダー、全周監視カメラシステム、データリンクシステムをセンサーとし、ソフトキル用の各種妨害装置、ハードキル用の散弾発射機に加え、砲塔旋回装置や砲塔上面のリモートウェポンステーションにも連接された、防御から反撃までを担う総合的な防御システムとして開発されている。
まず、レーダー警戒装置やレーザー警戒装置により未知の目標からのレーザー測距装置や火器管制レーダーによる照準を検知した場合、方角を即座に特定、データリンクシステムを使用して目標の推定位置を特定し、戦術状況図上に警戒すべき旨を表示する。設定モードによっては、旋回速度に優れたリモートウェポンステーションを目標方向に自動的に指向して射撃し照準を妨害、続いて砲塔を目標方向に指向し、砲塔正面の最も装甲が厚い部分で目標からの攻撃を受け止められるようにすることができる。また、本車では、レーザー警戒装置とデータリンクシステムを組み合わせて特定した敵レーザー測距装置の位置に向けてレーザーを照射し感光部の光量を飽和させたり、ミリ波レーダーで特定した敵対戦車誘導ミサイルに対し、赤外線ジャマーによるコード化された赤外線ジャミングを行うことにより、ミサイル尾部の赤外線ランプと照準中心位置のズレを補正して誘導を行う半自動指令照準線一致式のミサイルの誘導を妨害したり、レーザー照射によりセミアクティブレーザー誘導方式などを採用している対戦車ミサイルの感光部の光量を飽和させ誘導を妨害したりする能力がある。さらに、赤外線を通さない上にレーザーを著しく減衰させる効果も持つ黒色エアロゾルの入ったスモークディスチャージャーを展開することもできる。
さらに、確実に飛翔体を破壊して乗員を保護するため、車体の4か所にリボルバー型の散弾発射機が設けられており、ミリ波レーダーの探知情報を元に、散弾を発射して飛翔体を撃墜する。散弾発射機は、デコイ発射式対戦車ロケットに対応するため、最短0.1秒未満で次弾の発射が可能である。システムは最大で1700m/sまでの目標を迎撃することができる。システムは車体全周360度をカバーするが、随伴歩兵の保護などのため、必要に応じてその範囲を狭めることができる。
まず、レーダー警戒装置やレーザー警戒装置により未知の目標からのレーザー測距装置や火器管制レーダーによる照準を検知した場合、方角を即座に特定、データリンクシステムを使用して目標の推定位置を特定し、戦術状況図上に警戒すべき旨を表示する。設定モードによっては、旋回速度に優れたリモートウェポンステーションを目標方向に自動的に指向して射撃し照準を妨害、続いて砲塔を目標方向に指向し、砲塔正面の最も装甲が厚い部分で目標からの攻撃を受け止められるようにすることができる。また、本車では、レーザー警戒装置とデータリンクシステムを組み合わせて特定した敵レーザー測距装置の位置に向けてレーザーを照射し感光部の光量を飽和させたり、ミリ波レーダーで特定した敵対戦車誘導ミサイルに対し、赤外線ジャマーによるコード化された赤外線ジャミングを行うことにより、ミサイル尾部の赤外線ランプと照準中心位置のズレを補正して誘導を行う半自動指令照準線一致式のミサイルの誘導を妨害したり、レーザー照射によりセミアクティブレーザー誘導方式などを採用している対戦車ミサイルの感光部の光量を飽和させ誘導を妨害したりする能力がある。さらに、赤外線を通さない上にレーザーを著しく減衰させる効果も持つ黒色エアロゾルの入ったスモークディスチャージャーを展開することもできる。
さらに、確実に飛翔体を破壊して乗員を保護するため、車体の4か所にリボルバー型の散弾発射機が設けられており、ミリ波レーダーの探知情報を元に、散弾を発射して飛翔体を撃墜する。散弾発射機は、デコイ発射式対戦車ロケットに対応するため、最短0.1秒未満で次弾の発射が可能である。システムは最大で1700m/sまでの目標を迎撃することができる。システムは車体全周360度をカバーするが、随伴歩兵の保護などのため、必要に応じてその範囲を狭めることができる。
機動力
パワーパック(エンジン及び変速機)
T-15は液冷式多燃料対応ディーゼルエンジン「DG-10」を搭載している。「DG-10」は排気量約19.2Lの水平対向ピストン型6気筒2ストロークディーゼルエンジンで、電子制御式のコモンレール式燃料噴射装置と可変ノズル式のガスタービンターボチャージャーを搭載しているのが特徴である。最大エンジン出力は1650馬力、最大エンジン回転数は2800rpmにも達する。このエンジンの大出力により、最大戦闘重量60t時であっても出力重量比は27.5に達し、整地では時速72km、不整地では時速48kmで走行できる。また、「DG-10」エンジンは-50度から+60度までのあらゆる温度範囲で正常に動作し、また3重のエアフィルターにより99%を超える粒子を除去することが出来るため、極寒の北極圏から砂塵の多い中央アジアの砂漠まであらゆる環境で使用可能である。燃料消費率は210g/kWhとされており、燃費は、整地で時速50kmで走行した場合、1L当たり515m、不整地で時速25kmで走行した場合、場合1Lあたり180~240mである。燃料は車内に1100~1200Lまで搭載でき、最大航続距離はおよそ600kmとされる。また、車体後部に外装式の増槽タンク(300L入り、最大2本)を搭載すれば、最大航続距離は800~900kmに達する。この他、停車中にも各種ベトロニクスを使用できるようにするため、小型のガスタービンエンジンを補助発電装置として搭載している。
変速機には油圧機械式オートマチックトランスミッションを採用している。トランスミッションは電子制御されており、前進5段後進5段で、スムーズな加速を実現している。最大戦闘重量においても、0~200mまで22.5秒の加速性能を有する。制動能力も非常に高く、時速50kmで走行中から2~3m以内で停止することができる。エンジンと変速機はパワーパックとして一体化されており、熟練した作業員ならば前線の整備場において30分程度でパワーパックを交換することができる。
変速機には油圧機械式オートマチックトランスミッションを採用している。トランスミッションは電子制御されており、前進5段後進5段で、スムーズな加速を実現している。最大戦闘重量においても、0~200mまで22.5秒の加速性能を有する。制動能力も非常に高く、時速50kmで走行中から2~3m以内で停止することができる。エンジンと変速機はパワーパックとして一体化されており、熟練した作業員ならば前線の整備場において30分程度でパワーパックを交換することができる。
操縦
操縦手は操縦士用潜望鏡の他、カラーディスプレイおよびヘッドマウントディスプレイを通じて全周監視システムの360度立体映像を確認することができ、これを用いて操縦を行う。また、T-14と同様、これまでの戦車ではメーター型だった各種計器をフラットパネル化し、見やすくしている。操向装置には流体を使用したハイドロスタティック式操向装置が使用されており、スムーズな旋回が可能となっている。
懸架方式
T-15では、主砲口径の大型化等に伴って車体がT-14よりも延長されており、片側の転輪は7輪に増えている。足回りは他の「アルマータ」装甲戦闘車両共通プラットフォームと同様、全転輪にハイドロニューマチックサスペンションを採用している。T-14においては不要とされたため実装されなかったサスペンションによる姿勢制御機能だが、T-15においては車体側に配管を追加することでエンジンから油圧を供給できるように変更されており、車体を前後左右に5度ずつ傾斜させることが可能で、従来のソ連戦車において弱点とされた俯角の問題を解決している。T-15はハイドロニューマチックサスペンションによる半自動地形判断機能と、全転輪に装備される上限360mm、下限180mmのショックアブソーバーにより、極めて高い悪路走破性能を有している。
「アルマータ」装甲戦闘車両共通プラットフォームの重要コンセプトの1つである「モジュール化」はサスペンションにも反映されている。サスペンションを構成するスフィア、ピストン、スウィングアームなどといったパーツは全て一体で取り外すことができ、故障・損壊した場合の交換等も容易になっている。ただし、T-14は各サスペンションの部品がモジュール内にて完結していたのに対し、車体姿勢制御機能を追加したT-15ではエンジンから油圧の供給を受けるための配管が接続されており、やや構造が複雑となっている。この点については、T-90などの中戦車の代替として開発されたT-14に対し、T-15はT-95などを代替するために開発された言わば「現代の重戦車」であり、上級司令部直轄の独立戦車大隊または独立重戦車旅団で集中的に運用され、専属の整備班が別途割り当てられる計画であるため、大きな問題にはならないとされている。
「アルマータ」装甲戦闘車両共通プラットフォームの重要コンセプトの1つである「モジュール化」はサスペンションにも反映されている。サスペンションを構成するスフィア、ピストン、スウィングアームなどといったパーツは全て一体で取り外すことができ、故障・損壊した場合の交換等も容易になっている。ただし、T-14は各サスペンションの部品がモジュール内にて完結していたのに対し、車体姿勢制御機能を追加したT-15ではエンジンから油圧の供給を受けるための配管が接続されており、やや構造が複雑となっている。この点については、T-90などの中戦車の代替として開発されたT-14に対し、T-15はT-95などを代替するために開発された言わば「現代の重戦車」であり、上級司令部直轄の独立戦車大隊または独立重戦車旅団で集中的に運用され、専属の整備班が別途割り当てられる計画であるため、大きな問題にはならないとされている。
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