MiG-29(ソビエト連邦)
最終更新：
kingzeputozeta 2023年01月13日(金) 19:52:03履歴
| MiG-29 | |
 | |
| 要目 | |
| 全長 | 21.6m |
| 全幅 | 20m(主翼後退角20度) 10.8m(主翼後退角75度) |
| 全高 | 5.4m |
| 空虚重量 | 20000kg |
| 最大離陸重量 | 45000kg |
| 最大巡航速度 | マッハ2(高高度) |
| 最高速度 | マッハ2.7(高高度) |
| 航続距離 | 4000km |
| 乗員 | 2名 |
| 固定兵装 | AGSh-77 30mm航空機関砲1基 |
| エンジン | DS-73ターボファンエンジン2基 1基あたり ドライ推力:100kN アフターバーナー使用時推力:150kN |
概要 
MiG-29は1978年に運用開始されたソビエト連邦の第4世代ジェット戦闘機。ソビエト連邦の航空機メーカー、ミコヤン・グレヴィッチ記念設計局(1990年からミコヤン・グレヴィッチ記念航空機製造会社に改名)を中心とする複数の企業が開発・製造を担当していた。アメリカが開発中であった第4世代戦闘機に対し本格的に対抗可能なSu-27やMiG-31といった機体が実戦配備されるまでの繋ぎとして、既存のMiG-23を拡大する形で開発され、最終的に約600機(うち200機は海軍航空隊向け)が納入され、主にSu-15やSu-19などの旧式化した迎撃戦闘機を更新した。「ソビエト連邦最初の第4世代戦闘機」にして、「ソビエト連邦最後の可変翼戦闘機」でもある。2022年現在ではSu-37やSu-47によって全機が更新されており、現役機は存在しない。
開発経緯
1960年代後半、ソビエト連邦は国土防空軍向けの大型迎撃戦闘機MiG-25の量産を開始、この機体はアメリカやゲルマニアの高高度を侵攻する超音速偵察機や超音速爆撃機に対抗可能であるために重点的な生産が実施され、それ以前にソビエト連邦に配備されていたSu-9やSu-11といった旧式の迎撃戦闘機を急速に代替していった。しかし1970年代に入ると、高高度を超音速で突破する戦術は地対空ミサイルの発達により時代遅れで自殺的なものと見なされるようになり、代わってレーダーでの探知が困難な低空を這うようにして侵入し防空網を突破する戦術が主流となった。MiG-25は高高度を超音速で侵入する敵に対する迎撃に最適化されており、低空を侵攻してくる敵の爆撃機や巡航ミサイルを迎撃することは苦手としていた。
さらに70年代になると、ソビエト連邦の情報機関はアメリカやゲルマニアで強力な次世代戦闘機の開発が行われていることを察知した。これらの仮想敵国の次世代戦闘機は、優れたレーダーの装備による高い視界外戦闘能力と、エネルギー機動戦理論に基づく高い視界内戦闘能力を両立していることが判明、これらの情報に基づき、アメリカやゲルマニアの次世代戦闘機に対抗可能な戦闘機の開発が必要とされた。こうして国土防空軍向けの大型戦闘機(後のSu-27)と前線空軍向けの小型戦闘機(後のMiG-31)の開発がスタートしたが、両者共に、従来のソビエト連邦の航空機にはない新技術を多数導入することが必要とされたため、開発は難航した。そこで国土防空軍は、ひとまず、目下の脅威である仮想敵国の低空侵攻戦術に対処可能な迎撃戦闘機の開発を要求した。こうして開発されたのが、MiG-29である。
MiG-29の開発に当たっては、低空侵攻する敵を大遠距離から探知・攻撃可能なアビオニクスを搭載すること、優れたSTOL性能と高速性能を両立すること、MiG-25を上回る航続距離を有することなどが要求された。また開発期間は可能な限り短くすることが求められた。そこでミコヤン・グレヴィッチ設計局では、可変翼戦闘機であるMiG-23をベースに、エンジンを双発化して機体サイズを一回り大きくし、直径が大きく強力なレーダーを機首に搭載することでこの要求を達成した。試作機は1974年に初飛行し、以降試験と細かい不具合の修正などが行われ、1978年に正式に運用が開始された。
さらに70年代になると、ソビエト連邦の情報機関はアメリカやゲルマニアで強力な次世代戦闘機の開発が行われていることを察知した。これらの仮想敵国の次世代戦闘機は、優れたレーダーの装備による高い視界外戦闘能力と、エネルギー機動戦理論に基づく高い視界内戦闘能力を両立していることが判明、これらの情報に基づき、アメリカやゲルマニアの次世代戦闘機に対抗可能な戦闘機の開発が必要とされた。こうして国土防空軍向けの大型戦闘機(後のSu-27)と前線空軍向けの小型戦闘機(後のMiG-31)の開発がスタートしたが、両者共に、従来のソビエト連邦の航空機にはない新技術を多数導入することが必要とされたため、開発は難航した。そこで国土防空軍は、ひとまず、目下の脅威である仮想敵国の低空侵攻戦術に対処可能な迎撃戦闘機の開発を要求した。こうして開発されたのが、MiG-29である。
MiG-29の開発に当たっては、低空侵攻する敵を大遠距離から探知・攻撃可能なアビオニクスを搭載すること、優れたSTOL性能と高速性能を両立すること、MiG-25を上回る航続距離を有することなどが要求された。また開発期間は可能な限り短くすることが求められた。そこでミコヤン・グレヴィッチ設計局では、可変翼戦闘機であるMiG-23をベースに、エンジンを双発化して機体サイズを一回り大きくし、直径が大きく強力なレーダーを機首に搭載することでこの要求を達成した。試作機は1974年に初飛行し、以降試験と細かい不具合の修正などが行われ、1978年に正式に運用が開始された。
能力
武装
固定武装
MiG-29は機首に固定武装として「AGSh-77」30mm航空機関砲を備えていた。この機関砲は、作動方式に古典的かつ単純な反動利用式を採用していた。重量は50kgと非常に軽量ながら1800発/分という高いレートでの射撃が可能であった。弾としては原則徹甲焼夷弾を用い、空中目標なら最大1200m、地上の軽装甲目標に対しては最大2400mまで有効であった。ただし、本機の機動性能はMiG-25ほど悪くはないもののMiG-21やMiG-23と比較すると限定的で、ドッグファイトを考慮した設計ではないため、実運用において機関砲を使用する状況は、スクランブル発進後の警告射撃などに限られていた。
ハードポイント
MiG-29は、胴体下面の左右のエアインテークの間に4ヶ所、左右の主翼の固定翼部分に4か所、計8か所のハードポイントを有していた。固定翼部分のハードポイントのうち、外側の2か所は自衛用の短距離空対空ミサイル専用の搭載スぺースであった。残る6か所のハードポイントには、爆撃機、早期警戒管制機、哨戒機、輸送機などを標的とする長距離空対空ミサイルが搭載されることとなっていた。配備されて間もない頃、迎撃任務にあたるMiG-29は、後述するRVV-76長距離空対空ミサイル6発とRVV-73短距離空対空ミサイル4発を標準搭載していた。後の改修で、RVV-82短距離空対空ミサイル、RVV-90中距離空対空ミサイル、RVV-96短距離空対空ミサイル、RVV-99中距離空対空ミサイルなどの搭載に対応した。
空対空ミサイル
RVV-73短距離空対空ミサイル
RVV-82短距離空対空ミサイル
RVV-96短距離空対空ミサイル
RVV-90中距離空対空ミサイル
RVV-76長距離空対空ミサイル
RVV-99長距離空対空ミサイル
| 全長 | 2.1m |
| 重量 | 45kg |
| 最大射程 | RVV-73:7.5km RVV-73M:12km |
| 最大飛翔速度 | マッハ2.5 |
| 弾頭 | 連続ロッド式破片効果弾頭3.2kg |
| 推進機関 | 固体燃料ロケットモーター |
| 誘導方式 | 中間誘導:慣性航法 終末誘導:赤外線誘導 |
詳細
| 全長 | 2.8m |
| 重量 | 80kg |
| 最大射程 | RVV-82:20km RVV-82M:30km |
| 最大飛翔速度 | マッハ2.5 |
| 弾頭 | 破片効果弾頭7.5kg |
| 推進機関 | 固体燃料ロケットモーター |
| 誘導方式 | 中間誘導:慣性航法 終末誘導:赤外線誘導 |
詳細
| 全長 | 3m |
| 重量 | 90kg |
| 最大射程 | 50km |
| 最大飛翔速度 | マッハ3 |
| 弾頭 | 指向性破片効果弾頭10kg |
| 推進機関 | 固体燃料デュアルスラストロケットモーター |
| 誘導方式 | 中間誘導:慣性航法+電波指令誘導 終末誘導:赤外線画像誘導 |
詳細
| 全長 | 3.5m |
| 重量 | 180kg |
| 最大射程 | RVV-90:90km RVV-90M:120km RVV-90M2:160km |
| 最大飛翔速度 | マッハ4.5 |
| 弾頭 | 指向性破片効果弾頭12kg |
| 推進機関 | RVV-90、RVV-90M:固体燃料ロケットモーター RVV-90M2:固体燃料デュアルスラストロケットモーター |
| 誘導方式 | 中間誘導:慣性航法+電波指令誘導 終末誘導:アクティブレーダー誘導 |
詳細
| 全長 | 4m |
| 重量 | 500kg |
| 最大射程 | RVV-76:120km RVV-76M:180km |
| 最大飛翔速度 | RVV-76:マッハ4 RVV-76M:マッハ5 |
| 弾頭 | RVV-76:連続ロッド式破片効果弾頭45kg RVV-76M:指向性破片効果弾頭45kg |
| 推進機関 | 固体燃料ロケットモーター |
| 誘導方式 | RVV-76: 中間誘導:慣性航法+電波指令誘導 RVV-76:終末誘導:セミアクティブレーダー誘導 RVV-76M: 中間誘導:慣性航法+電波指令誘導 RVV-76M:終末誘導:アクティブレーダー誘導+セミアクティブレーダー誘導 |
詳細
| 全長 | 4.2m |
| 重量 | 600kg |
| 最大射程 | 300km |
| 最大飛翔速度 | マッハ5 |
| 弾頭 | 指向性破片効果弾頭35kg |
| 推進機関 | インテグラルロケットラムジェットエンジン |
| 誘導方式 | 中間誘導:慣性航法+電波指令誘導 終末誘導:アクティブレーダー誘導+セミアクティブレーダー誘導+パッシブレーダー誘導+赤外線画像誘導 |
詳細
アビオニクス
レーダー
MiG-29では当初、ARS-76パルスドップラーレーダーが搭載されていた。ARS-76パルスドップラーレーダーは、ルックダウンシュート能力に優れた戦闘機向け機上レーダーとして開発された。アンテナは直径1.25mのプレーナアレイアンテナであり、平均出力15kW、ピーク時出力20kWを発揮し、戦闘機クラス(RCS約3��)の目標を最大130km、爆撃機クラス(RCS約15��)の目標を最大200kmの距離から探知できた。周波数帯としてはXバンドを使用し、走査速度は、垂直方向は毎秒2回、水平方向は機械式スキャンによって毎秒80度となっていた。空中の8目標を同時に追尾して、そのうちの2目標に対しミサイルを誘導して攻撃することができた。このARS-76を搭載したMiG-29は、ソビエト連邦で初めて複数機をロックオンし同時に攻撃可能な戦闘機となった。
しかし国土防空軍はARS-76の性能に満足せず、さらに高性能なレーダーの開発を要求した。1981年には、全く新しいレーダーであるARS-81パッシブフェーズドアレイレーダーが開発された。ARS-81は、ソビエト連邦の戦闘機に初めて装備された実用的なパッシブフェーズドアレイレーダーであり、アンテナは直径1.4mと非常に大型で1800個の素子を有し、戦闘機クラス(RCS約3��)の目標を最大170km、爆撃機クラス(RCS約15��)の目標を最大250kmの距離から探知できた。周波数帯としてはXバンドを使用していたが、アンテナがパッシブフェーズドアレイ化された恩恵によって、上下左右60度を電子的に瞬時に走査することが可能となった。さらに空中の16目標を同時に追尾してそのうちの4目標に対しミサイルを誘導して攻撃することが可能となり、同時追尾/同時攻撃能力は倍増した。
ARS-81のさらなる改良型は1987年に登場した。ARS-87と呼ばれるこのレーダーは、反射波処理装置をアナログコンピュータからデジタルコンピュータに変更し、パッシブフェーズドアレイアンテナの設計も改良するなどして、探知距離と同時追尾/同時攻撃能力のさらなる向上を図ったモデルであった。これにより、戦闘機クラス(RCS約3��)の目標を最大240km、爆撃機クラスの(RCS約15��)の目標を最大350kmの距離から探知できるようになった。同時追尾目標数は24目標にまで増大し、そのうちの6目標に対しミサイルを誘導して攻撃することが可能となった。
しかし国土防空軍はARS-76の性能に満足せず、さらに高性能なレーダーの開発を要求した。1981年には、全く新しいレーダーであるARS-81パッシブフェーズドアレイレーダーが開発された。ARS-81は、ソビエト連邦の戦闘機に初めて装備された実用的なパッシブフェーズドアレイレーダーであり、アンテナは直径1.4mと非常に大型で1800個の素子を有し、戦闘機クラス(RCS約3��)の目標を最大170km、爆撃機クラス(RCS約15��)の目標を最大250kmの距離から探知できた。周波数帯としてはXバンドを使用していたが、アンテナがパッシブフェーズドアレイ化された恩恵によって、上下左右60度を電子的に瞬時に走査することが可能となった。さらに空中の16目標を同時に追尾してそのうちの4目標に対しミサイルを誘導して攻撃することが可能となり、同時追尾/同時攻撃能力は倍増した。
ARS-81のさらなる改良型は1987年に登場した。ARS-87と呼ばれるこのレーダーは、反射波処理装置をアナログコンピュータからデジタルコンピュータに変更し、パッシブフェーズドアレイアンテナの設計も改良するなどして、探知距離と同時追尾/同時攻撃能力のさらなる向上を図ったモデルであった。これにより、戦闘機クラス(RCS約3��)の目標を最大240km、爆撃機クラスの(RCS約15��)の目標を最大350kmの距離から探知できるようになった。同時追尾目標数は24目標にまで増大し、そのうちの6目標に対しミサイルを誘導して攻撃することが可能となった。
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