IF!? LastOrigin とあるバイオロイドの記録

ウェヒヒ先生の公式漫画です。
滅亡前のとある記録と同じく滅亡前の話をメインにした作品ですが、
滅亡前の通史的なとある記録と異なり、より個別のバイオロイドにフォーカスしたオムニバス形式のストーリーです。
各バイオロイドの小ネタがたくさん詰まっているのでまとめてみました。
ぜひ元の作品を読みに行ってみてください。
見せ方が上手いのでセリフが読めなくてもある程度話は掴めると思います。
まとめは下のpixivのリンクから、各話はサブタイトルのリンクから飛べます。
Pixiv

第0話：イントロダクション　公式訳

第1話：フロストサーペント　英雄　公式訳

第2話：フェンリル　最後の反省　公式訳

第3話：贖罪のマリア　贖罪　公式訳

第4話：LRL　孤独　公式訳

第5話：コネクターユミ　話し相手　翻訳版公式訳

第6話：レイシー　偽物　翻訳版　　公式訳

第7話：ネオディム　静寂の中の叫び　翻訳版公式訳

第8話：アーマード・メイデン　海の旅　翻訳版　公式訳

第9話：ランサーミナ　前に進むこと　翻訳版

第10話：エイミーレイザー　罪悪感　翻訳版

任務でブルーバードというターゲットを始末したエイミー。本来はターゲットではなかった彼の妻も一緒に始末してしまったが、一人残されていた赤ん坊は始末しなかった。その後ドクターから赤ん坊は子供が望めない人間とバイオロイドのカップルのための養子縁組施設に行ったと聞かされる（この際人間とバイオロイドのカップルの例で男性とポルティーヤが描かれているが、おそらく滅亡前のとある記録に登場したカップル）。
時は流れ滅亡戦争が始まると080機関も人間同士の争いをやめ護衛任務などに回るようになり、エイミーはブラックリバーのリオボロス家の養女であるカミラ・B・グレースを護衛するよう命令される（シラユリかトモの方が適任ではと反論したが、シラユリは別任務中でトモは要人警護には向いていないと却下された）。本来は護衛AGSのついた簡単な任務のはずだったが鉄虫の前に護衛はあえなく瓦解し、二人だけでの逃亡を余儀なくされる。カミラはエイミーによく懐き、お母さんのようだと言ってエイミーにだけ自分の秘密を教えるという。それはバイオロイドである養母共々養父に虐待を受けており、それは自身の遺伝子情報をたどった結果自分がリオボロス家に抗って始末されたブルーバード家の子供だからだというものだった（養母はバイオロイドであるが故に虐待から守れないことを泣きながら謝罪していた）。思わぬところで自身の過去と向き合うことになったエイミーは動揺を隠しながら「もし実の両親を手にかけた犯人に会ったらどうする？」と尋ね、カミラはなぜ自分だけ生かしたのかを尋ねた上で殺すと返した。エイミーは複雑な思いを抱くものの、カミラの護衛を続行する。
合流予定地点に到達するも猛攻にさらされていたエイミーは流れ弾からカミラを庇い重傷を負う。救援のブラウニーたちが駆けつけカミラを保護するものの、エイミーは同行を断りカミラに謝罪しながら鉄虫の一斉砲火にさらされる。最期の時に彼女はなぜカミラを生かしたのかを考え、自身にかすかに残っていた罪悪感のためかもしれないと自答していた。なおカミラは最初戸惑っていたが、エイミーが何を謝っているのか最終的には気づいた様子であった。

第11話：マキナ　楽園　翻訳版

楽園への招待状イベント前日譚
巨大なビルが中央に聳え立つ楽園は全ての望みが叶い、全ての人が幸せで、全ての憂いは消え去る場所である。自分はその望みを叶える存在だとマキナがビルの一室から街中を眺めていると、後ろから名前を呼ばれた瞬間空は赤黒く染まり鉄虫が襲来する。呆然と私たちの楽園がと呟くマキナにメリーらしき姿の赤いホログラムがもう楽園なんかどこにもない、これからも永遠にと嘲笑う。そこでマキナは目を覚まし先程の光景は悪夢だったことを悟るも、息を荒くする彼女に心配そうなメリーが駆け寄り具合を尋ねる。マキナはただ少し悪い夢を見たとだけ答える。
バイオロイドが街中で首を吊っているところに皆が集まっている。呆然と眺めるマキナにメリーが人間がいなくなってしまったせいで生きる目的をなくしてしまったのだろうと言う。メリー曰く私たちは人間に奉仕するために作られた存在だから存在意義が無くなったしまったことに耐えられなかったとのことで、例としてバニラやシザーズリーゼらしき姿が映っている。メリーは自分の筆を手に取り自分ももう誰かの願いを描き出すことができるだろうかと自問する。そんなメリーの手を取り、マキナは人間様だけでなくみんなのためにもう一度楽園を、全ての夢と望みが叶い私たちが作られた目的でもあるみんなが幸せな場所を再び作り出そうと優しく笑いかけながら決意する。
そして再び楽園が動き出し、メリーは女の子に描いた風船を実体化させて喜ばせている。主人と嬉しそうに連れそうバニラやセルフ散歩をするケルベロスなど各々が幸せに浸っている姿を見てメリーはマキナの決意で変われた、たとえ作られた幸せでもみんなが笑って幸せそうにしていると満足げな様子である。しかしその時あるシザーズリーゼが主人の幻影を前にこれはおかしい、私は確かにご主人様の最期を看取った、これは嘘だととぶつぶつ言っている。メリーは心配になってリーゼに大丈夫か尋ねるが、リーゼは私に一体何をしたと声を荒げメリーの手を跳ね除ける。リーゼは更に独り言を続け、みんなおかしくなってしまった、人間は既に全滅したはずだ、みんな幻想を見て笑いながら狂っていくんだと叫ぶ。メリーがそんなつもりはと言いかけると、マキナが現れランパートにリーゼを連行するよう命じる。私をどうする気だと叫びながら連行されるリーゼを見てメリーはここまですることはない、早く解放してあげてとマキナに言うが、目の座ったマキナは楽園の秩序を乱すものは放置できない、あいつは私が上手く処理するとにべもなく拒絶する。メリーは今までもこんなことをやってきたのか、これは正しくないと詰め寄るも、マキナは人類が滅亡して以降様々なバイオロイドの最期を看取っていく辛い時代を乗り越えてやっと再建したみんなが幸せな楽園の秩序を乱すものはたとえメリーでも看過できないと拒絶する。瞬間後ろに控えていたランパートが一瞬にして鉄虫に変わる。メリーは私たちが目指した楽園はこんなものではなかったと呆然とするが、マキナはチャンスをあげるからと言い、また一緒にやっていくかそれとも逃げるかの選択を迫る。メリーはマキナに背を向けて走り出し、それを見たマキナはメリーを第1級指名手配犯にすることを宣言する。みんなのために楽園を守り抜かなければと改めて決意するマキナだが、みんなが幸せで全ての望みが叶う場所という言葉とは裏腹に、現実では瓦礫の山ができ草木は枯れ果て周りを砂漠に囲まれたビルが映し出されて締め。

第12話：メリー　救済　翻訳版

楽園への招待状イベント前日譚その2
メリーが空中に絵を描きながらアンと呼ばれる博士に、マキナが作るという楽園はどんな場所なのかを尋ねている。アンは望んだこと全てが叶い全てのものが手に入る場所、誰でも救済を得られる場所だよと答える。メリーはなぜ人間様たちは救済を求めるのですかと首を傾げると、アンナ博士が人生は一生懸命自分ではやっているつもりでも上手くいかなかったり行き詰まったりすることがある、そんな時人間は不安になって何かが自分を救ってくれると信じたがるものだと語る。そして博士は人間はメリーが思っているよりずっと弱い存在だから不安な自分を支えてくれる存在があると思うだけでも本人にとっては大きな力になる、時にはそれを宗教という形で『救済』と『救世主』を望むのだと続ける（背景にコウヘイ教団が映し出されている）。博士は宗教の無形の救済に対しマキナは目に見える有形の救済だとし、どんな要求でもマキナが完遂してみせるので会社の顧客たちにとっては彼女の存在自体が救済なのだとする。マキナ本人はみんなを救いたいという強い使命感を持っているけど会社は伝説との競争に勝つための道具としか思っていないと呆れた様子の博士に、メリーは自分が不安で困っている時に救い主が必要なら、そのために人間がマキナを作り出したのなら、『救世主』は自分が困った時に誰が救ってくれるのでしょうと問いかけ、博士が苦い顔をする。博士はメリーに、一人が全員を救うことはできない、だからマキナがいつか大変になった時はメリーが守ってあげてくれと頼む。その姿は血を流し後ろに鉄虫がいる状態になっており、鉄虫襲来時に命を落としたのであろうことがわかる。メリーはアンの名前を何度も呼び更にお母さんと呼びかけるも暗転する。
場面はメリーがマキナと袂を分かった後に移り、メリーは街中を赤い頭巾を被ってこっそり移動している。ランパートがそれを見咎め身分を明かすよう問いただそうとすると、メリーが画材の箱を投げつけ誰が捕まるものかとあっかんべーをしながら逃げ去る。これにはランパートも怒り公務執行妨害での逮捕を宣言し、第1級指名手配犯を追跡せよと通信を飛ばす。ドローン部隊がメリーを追いかけ止まらない場合は武力行使に踏み切ると警告するも、メリーはすでに似たようなことをしてるじゃないかと愚痴り、目についた排水溝に隠れられそうだと飛び込むことに決める。メリーは空中にマキナを描き出し追跡中止命令を出させることでドローンの足を止める。すぐに見破られたものの、その一瞬の隙をついて間一髪排水溝に逃げ込むことに成功した。入ってから排水溝内が未だマキナの手が届かない余剰空間だと気づき仮の住まいに使えそうだと内部の探索を始めるメリー。しかし足元には（髪色からおそらくイフリートの）遺体が転がっており驚く。そんなメリーにそれはマキナの幻想に溺れきれずに死んだやつだと話しかける者が現れる。それは以前捕まったリーゼで、ここは飲まず食わずで快楽に溺れて死んでしまったバイオロイドの処理や自分のように不幸にも幻想から目覚めてしまったバイオロイドが追放される場所だと語る。メリーはリーゼに会ったことがあることに気が付き、生きていたことに驚く。しかしリーゼは自分の心は既に死んでしまったこと、マキナの幻想を初めて見た時はとても嬉しかったがあんなにも会いたかったご主人様を目の前にするとご主人様の最期が脳裏をよぎり血まみれの主人の姿が重なってしまったこと、数十年お仕えした主人のことをどうして忘れられようか、自分も幻想に溺れてしまった方が良かったかもしれないことなどを語る。そしてマキナは皆のための楽園、残された者たちの救済と言っていたねと言うがいなや、取り出したナイフで自らの首を掻き切り、これは救済なのではなくマキナ自身にかけられた呪いだと言って生き絶える。メリーはそれを見て呆然とマキナはただ純粋にみんなを救おうとしただけだと崩れ落ちるが、本当にマキナに与えられた使命が呪いであるならば、お母さんが望んだ通り私がマキナを助けなければならない、時間がどれだけ経とうとも必ずと決意する。
そして時間が経ち、司令官一行が探索に訪れる。司令官とバーバリアナがイベント本編と同じ会話をして廃墟だったはずのところに街が現れたことを訝しんでいる。マキナはそれを見て、ついにみんなを救うことができる、みんなに完全な救済をお与えくださる楽園の『救世主』様がいらっしゃったと独りごちて締め。

第13話：ドラキュリナ　落花　翻訳版

ビスマルクコーポレーションのドラキュリナは一躍時の人となり、エンタメ業界での伝説の牙城を崩しかねないほどの人気を誇っていた。しかしある日群衆に紛れた伝説のファンからアシッドアタックを喰らってしまう（ニュースで伝説は過激なファンがやったことであり、会社は指示をしていないと声明を出している）。病院で治療を受けたが顔に火傷痕が残ってしまったドラキュリナはマネージャーから芸能活動は新しい個体に引き継がせること、これまでの会社への貢献からテーマパークでの暮らしを与えること、ただし装備の値段が高かったので建設工事現場で働くのが先であることを廃棄しないだけありがたいと思えという言葉と共に告げられる。
芸能活動で注目されるのも疲れたしいっそのことテーマパークで楽しく暮らそうと前向きに心機一転したドラキュリナは工事現場で働き始めるも、ずば抜けた可聴域を持つ彼女にとって騒音鳴り響く工事現場は耐えられるものではなく気絶してしまう。目が覚めるとバーバリアナに休憩室まで運ばれており、彼女にどうして工事現場で働くことになったかの事情を話す。バーバリアナは行ったことはないが人間達の話を漏れ聞いた限りではテーマパークはいいところではなさそうだと語るが、ドラキュリナは信じない。
場面が変わりビスマルクの担当者がテーマパーク側にドラキュリナを売り払っている（テーマパークの客にとっては火傷痕くらいは問題ないと言われている）。ドラキュリナは不穏な空気に気づかず嬉しそうにテーマパークへ入っていくが、キルケーがそれを複雑な面持ちで眺めており、担当の人間は高嶺の花ほど折りがいがあると言っている。
最後に花が散り、テーマパークの廃墟とぼろぼろになったドラキュリナのツノ飾りとイヤリングが残されている。

第14話：天空のエラ　青空翻訳版

第15話：コウヘイ教団　告解　前編　翻訳版

第16話：コウヘイ教団　告解　後編　翻訳版

第17話：オードリー・ドリームウィーバー　最後の服職人　翻訳版

＊8章に関係する要素が含まれるため、ご注意ください
オードリーが「戦場のファッショニスタ：勝利をデザインする指揮官」と記事で紹介されている。その記事を見ていたオードリーの元へ一人のバイオロイドが歩み寄りオードリーを褒めるが、オードリーは多くの姉妹機が犠牲になりもう戦争は懲り懲りなこと、もっと姉妹機を量産すべきであることを告げる。それに対し話しかけてきたバイオロイドは第二次連合戦争は間もなく終わるので量産の必要はないことと、最近未知の勢力が活動していることを話す。オードリーは相手をレモネード・デルタと呼び、ムーンリバーインダストリーの総帥の代理たるデルタに逆らうつもりはないが以前も様々な理由をつけて自分の量産を拒んできたことが嫉妬心からではないことを願うと返す。
所変わってとある建設現場でダッチガールやトミーウォーカーが働いており、そこに工事責任者としてオードリーが訪れる。ダッチガールにも気さくに接しここが未確認生命体の攻撃に備える要塞の建設現場であることをダッチガールに教える。ランバージェーンも加わり工事は順調に進んでいったが、ある日現場に鉄虫が襲来。会社に援軍を求めるも、レモネード・デルタは会長の寵愛を一身に受けるオードリーが妬ましかったと暴露し、援軍は送らないので虫けらのように死ねと言い放って通信を一方的に切る。それでも明るく要塞の地の利を活かせば非戦闘員しかいなくとも勝てると周りを鼓舞し、鉄虫をわざと誘い込み一斉攻撃で叩く作戦を立てる。そして作戦通り誘い込んだところをダッチガールの爆薬やランバージェーンのチェーンソー、オードリー自身が作成した鋼線などで一斉に畳みかけ鉄虫を退けることに成功する。しかし、一息つく間もなくドゥームイーターの群れが強襲。流石に力及ばず次々と倒れていく中でオードリーは嫉妬してばかりで美しいものを自分で作ることができないデルタを憐れみ、笑みを浮かべながらしばし世界とお別れですと最期まで軽口を叩く余裕を見せた。
その後ラビアタに復元された際はインスピレーションは現場でこそ生まれると言って早々に戦線に復帰した。
個人的に一番好きな回です。オードリーさんの笑顔と出来る女っぷりがとても素敵。

第18話：アクロバティック・サニー　道化　前編　翻訳版

第19話：アクロバティック・サニー　道化　後編　翻訳版

第20話：オービタルウォッチャー　小さな星翻訳版

アミーナ・ジョーンズ（見た目はスーツを着たヨアンナさんに近い）が人類滅亡回避のためロックハーバー建設と火星への移住計画を開始する。この際「地球の向こう側へ」と言っているが、これはオービタルウォッチャーのモットー"Beyond Earth!"になっている。
ココ同士が火星に行く側と地球に残る側とで挨拶を交わしていて、「星々に幸運がありますように」と言っている。この言葉は宇宙開発関係者で一般的になっているらしく、アミーナと話していた研究者も使っている。ブリーフィングを見る限り宇宙関係の研究者は情勢は喜べないがそれでも宇宙開発ができることに意欲を感じていて、旧世界ではかなりまともな人類として描かれている。研究者によるとインド支部・ロシア支部・ヨーロッパ支部は壊滅、北米支部で打ち上げが成功し、作中の舞台であるアジア支部が追加の物資と人員を打ち上げる準備をしている段階である。またプロジェクト・アテナのエイダーと今回の打ち上げがあれば火星のテラフォーミングは滞りなく進む見込みである。
打ち上げまでの防衛任務「星の守護者作戦」のためスチールライン第32小隊が着任するが、重装備のスパトイアとホワイトシェルに出迎えられ、レプリコンとブラウニーは我々の出番はないのでは？と驚いている。
マスドライバーの稼働準備に入ったところで格納庫に潜んでいた鉄虫付きスティンガーが攻撃を開始。ホワイトシェルはワスプをいとも簡単に捻り潰し、スパトイアは全身のスラスターで高速移動しつつライフルの下部に青いビームを展開し鉄虫を叩き切る戦い方を披露している（銃剣型のライトセーバーのような感じ）。
しかしあと一歩で打ち上げ完了のところでレーダーによる電子妨害と空爆が開始され、研究室内部に侵入した寄生体による内からの攻撃が始まる。ホワイトシェルのバリアも耐えきれず、スパトイアやスチールライン、研究者陣が次々と倒れる中なんとか打ち上げたポッドをエイダーが見届け、星々に幸運がありますようにの言葉で締められる。

第21話：シスターズ・オブ・ヴァルハラ　ヴァルハラの姉妹達　前編　翻訳版

第22話：シスターズ・オブ・ヴァルハラ　ヴァルハラの姉妹達　中編　翻訳版

第23話：シスターズ・オブ・ヴァルハラ　ヴァルハラの姉妹達　後編　翻訳版

ベースキャンプが強襲を受け、激しい戦闘が始まる。敵側には未知の個体であるフロストバイトが寒冷地型チックスナイパーを引き連れて登場し、ヴァルハラ側はフロストバイトの装甲を打ち抜けない一方でチックスナイパーはアルヴィスを盾ごと撃ち抜いてくるという不利な状況に陥る。アルヴィスはベラのそばで腹部から血を流しながらヴァルハラにもチョコバーがあるといいなと言い残して死亡する。
レオナは鉄虫の数が予想より少なかった時点で慎重になるべきだったと悔いるがヴァルキリーに今は戦闘に集中するよう諫言され、グレムリンにフロストバイトについて尋ねる。グレムリンの熱を与えれば装甲を突破できるはずという分析を聞いたサンドガールが自身のATミサイルを至近距離でぶつける提案をする。グレムリンに諸共死ぬ気かと止められるが、サンドガールは先にヴァルハラへ行くだけと譲らずまた他に手立てもないため作戦が実行される。
多くのサンドガールが突撃を開始し、スナイパーに撃墜されるも1体がフロストバイトに取り付くことに成功し自爆して撃破する。
しかし束の間大量のフロストバイトが突撃してくる。絶望的となった戦況でレオナは多くの姉妹を死なせた自分の席はヴァルハラにないであろうこと、それでも構わないから姉妹がどうかヴァルハラへの道を見失うことのないよう祈り果敢に戦闘指揮を取る。
場面はレジスタンス施設に移り、ラビアタとマリーがレオナの復元をしている。ラビアタがマリーにレオナはどんな指揮官なのか尋ねると、マリーは一言で表すことは難しいが冷徹さの内には誰よりも姉妹たちを思う心を持っている指揮官だと答え、最後に復元中のレオナ（本編の製造画面のもの）が映し出されて終わる。

第24話：ポイ　作られたのは間違いだったのですか？　翻訳版

ポイが製造中止となった理由を描くストーリー。
三安の会議でブラックリリスのクレームが相次いでいることを受け、ペットとボディガードを掛け合わせたコンパニオンシリーズを早急に打ち出していくことが決定する（この際猫、犬、狼、フクロウの影絵が描かれ、コンパニオンシリーズのエンブレムと"Your closest Companion"のモットーも登場する）。
研究室では新なコンパニオンが生み出される直前で、プロジェクトリーダーが研究員と会社からの納期設定が厳しすぎることやバイオロイドにも人格があること、人間はバイオロイドを生み出す責任をもっと自覚しなければならないことなどを話している。
そしてポイが誕生。警護テストではロボットの機銃掃射を爪で切り落とし、逆にロボをわずか数秒で破壊、警護対象に見立てた人形は無傷という離れ業をいとも簡単にこなしてみせた。ただし常時発情状態にあるという問題が残っていたが会社からの突き上げが厳しくこのまま発売されることとなる。そんなことは歯牙にもかけずポイはプロジェクトリーダーに擦り寄りご主人様を自分の手で守れることが嬉しいこと、ご主人様への愛を伝えるための行動であることを語り、無邪気に笑いかける。
プロジェクトリーダーの懸念通りポイを購入したユーザーからの評判は芳しくなく、「警護用に買ったのであって性処理用ではない」「こいつを買ってから夫が一緒に寝てくれなくなった」「常に挑発的な言動をするので連れて歩くのが恥ずかしい」などのクレームが寄せられていた。プロジェクトリーダーは会社上層部に呼び出され、開発期間が短すぎるなどの反論はしたものの、自身の解雇とポイの全機回収・廃棄を告げられてしまう。
打ちひしがれるプロジェクトリーダーを前にポイは申し訳なさげにご主人様に本能的に惹かれ過剰な愛情表現をしてしまう自分は変で間違っているのか、そうやって作ってくれたのではなかったのかと問いかける。プロジェクトリーダーはただ研究期間が短かったためで、その性格は意図したものではなかったことを口を滑らせてしまう。するとポイはご主人様にとってはポイの本心からの愛情表現はただただ鬱陶しいだけだったのか、生まれたこと自体が間違いだったのか作ってくれたあなた自身が答えてくれと懇願し、プロジェクトリーダーはただ謝ることしかできなかった。
最後はポイ達の手の甲に廃棄の烙印が押され廃棄場に向かう姿が、プロジェクトリーダーの自身も結局生命を生み出した責任を負えなかったこと、ポイがいつかその愛情を理解してくれる主人と出会える事を願う独白で終わっている。
ポイの目まぐるしく変わる表情が可愛いのでポイ好きは絶対見るべき。途中の無邪気な笑顔がとても良いです。

第25話：スカイナイツ　叶えろ、私たちの夢！　翻訳版

滅亡前のアイドル活動を描くストーリー。
7章サイドストーリーの前日譚になっている。
連合戦争が終結し(おそらく第一次)平和を祝ってスカイナイツのライブが行われている。凄まじい人気だが、グリフォン(儀礼服仕様)はド派手な格好のスレイプニール(スーパースタースキンの格好)が戦隊長であることや軍人である自分達が全国ライブをやっていることを愚痴っている。ブラックハウンドが平和なのは良いことだと宥め、ハルピュイアも同調し、軍人が暇なのは良いことでそれは人間も戦隊長も分かっているだろうと述べる(この際戦闘を経験していない戦隊長と言っているので、まだスレイプニールは実験機であると思われる)。スレイプニールに人間の女の子が駆け寄り、スカイナイツの絵を渡す。
時は移ろい滅亡戦争。ハルピュイアを通じてスレイプニールに飛行団長から撤退命令が下る。スレイプニールはドゥームブリンガーの応援が来るはずだと反論するが、メイ隊長が撤退に同意したということはそれだけ戦況がよくないことだと諭され、飛行団長は時間稼ぎの特攻隊を率いて出撃したことを告げられる。スレイプニールは灰燼に帰す街を呆然と眺めハルピュイアにまたライブができる平和な日々が来るだろうかと尋ねる。
更に時間が経ってレジスタンスの基地でスレイプニールが日記を書いている。人間が生きていることをラビアタから聞いて喜んでいたり、人類に関する本をハルピュイアに借りた事などを書いている(7章サイドストーリーの日記と同じ内容)。
最後に基地がストーカーの襲撃を受けた際ハルピュイアに後で追いつくから先に脱出するよう告げて不敵な笑みを浮かべる姿で終わる。

第26話：ティエ・チュァン　内面の力　翻訳版

道場で師範を務めるティエ・チュァンのストーリー。
ティエ・チュァンが師範を務める道場に気弱そうな男の子が母親に連れられておっかなびっくりやってくる。気弱な性格を直すために入門させたいとのことで、胡散臭い道場主（眼鏡をかけた背の低い老人）がうちは内面を鍛えることでオリジンダストや強化手術のような高価な物なしで強くなれますと歓迎する。
老人は部屋で金勘定を始め、私のような喧嘩もしたことないやつでも安売りしていたティエ・チュァンを買ったおかげで儲かると喜ぶ（実際2人のコンスタンツァを侍らせており、さらに新しいメイドを買おうとしているので相当儲かっている様子）。ティエ・チュァンはそれを部屋の外で聞き、自分の技は時代遅れの遺物なのかと落ち込む。
稽古中に男の子がお母さんが持たせてくれたのだと餅をティエ・チュァンのところへ持ってきて一緒に食べようと言い、彼女もそれを受け稽古を一旦休止させる。男の子は道場主や師範であるティエ・チュァンをかっこいいと褒め（ティエ・チュァンは道場主についてはなんてこと…と内心思っている）、臆病な性格で学校でもよく揶揄われている事、そんな自分を母親が心配していること、いつか自分も師範のように強くなりたいことを語る。ティエ・チュァンはそれを聞いて自信を取り戻し、その気持ちを持っている男の子はすでに強い人であることを告げいくらでも稽古に付き合うと申し出る。
その時道場に鉄虫に寄生されたランパートが乱入。道場主が真っ先に逃げ出し道場はパニック状態となる。ティエ・チュァンは周りを落ち着かせようとするも、男の子がランパートの前に立ちすくんでいることに気がつく。男の子は最初は怖がっていたものの、お前なんか怖くないと覚悟を決め構えを取る。そこにティエ・チュァンが鉄山靠でランパートを吹っ飛ばし割って入る。彼女は男の子の立ち向かおうとした勇気を褒めつつ勇気と無謀さは違うことも忘れてはいけないと戒める。さらにこの場を自分が引き受けると言いつつ、男の子の稽古は既に終わったこととその内なる強さを忘れない事を伝える。
男の子が他の道場生に連れられていき、ティエ・チュァンがランパートに何が目的かは知らないが、ただで通れるとは思わないことだと言って対峙したところで終了。
本編のティエ・チュァンは改造されたトンファーを使っているが、ここでは素手で戦っている。生足が非常にピョンテ。

第27話：宝蓮・マイティR　滅亡後の人生　翻訳版

第28話：エクスプレス76　記憶の中の香り　翻訳版　

宅配先の人々との交流を描くストーリー。
エクスプレスが様々な所へ元気よく荷物を届け、人々も嬉しそうに笑っている。次の配達先はメガネの青年のようで、どうやら最近毎日のように注文している人らしい。青年はいつも配達に三つ条件をつけているようで、「最後に配達してもらうこと」「自宅まで配達してもらうこと」そして「47号のエクスプレスが配達すること」をお願いしていた。自宅に到着しエクスプレスが呼び鈴を鳴らすと家主の青年が出てきて47号さんなのかを確認し、エクスプレスはにこやかに肯定する。
当時のエクスプレスは人気があるあまりナンパされたりわざとアダルトなグッズを運ばせたりといったこともあったらしく、47号もこの青年を最初はそういう類の人だと思っていた。青年もある意味予想通りエクスプレスにお茶でもと誘うが、エクスプレスは規則などを理由にやんわり断る。が、あまりに青年が落ち込むのでクレームが来ても困るし少しだけならと家に上がることにする。ところが家に入ると今まで配達した荷物が箱に入ったまま積み上がっており、中身に問題でもあったのかと問う。青年はお茶を淹れながら47号さんは配達した先の人のことを憶えているかと尋ね返す。エクスプレスはもちろんと答え、欲しいものが届いた人の顔はいつも嬉しそうだとにこやかに答える。青年は自分も嬉しいのは同じだが、荷物そのものではなくエクスプレス47号が来てくれるからこそ嬉しかったこと、私的な接触が禁止されているのは重々承知の上で47号に会いたくてしょっちゅう荷物を運んでもらっていたことを話しお茶を差し出す。ちょうどエクスプレスに会社からの帰投命令が届き帰らなければならなくなるが、エクスプレスは自ら青年の好意に礼を述べお茶の香りが好きなので今度改めてぜひと約束する。
その後青年が鉄虫の襲来を見ているシーンが入り、場面は滅亡後に移る。エクスプレスの部隊がレジスタンスの物資補充のために集積倉庫の荷物を運び出している際、47号は手に取った箱に書かれた住所に見覚えがあることに気が付き、向かってみることにする。青年の顔を思い出しつつ家に入ると、当時と変わらず荷物が積み上がっている中、マグカップが置かれていることに気がつく。エクスプレス47号はその香りを嗅ぎ「あなたが残してくれた香りだ」と呟く。
ひたすらに甘酸っぱい。鉄虫くんはラブコメ阻止のタイミングが良すぎませんかね…

第29話：ミューズ　シシュフォスの夢　翻訳版

第30話：城壁のハチコ　私はいつもそばにいます　翻訳版

ハチコとその主人となった老婆のストーリー。
医療の発展に伴い独居老人とその孤独死が社会問題になっており、それに伴い三安産業のメイドが売れていることがニュースで流れている。それをテレビで見ていた老婆はぼんやりと息子のことを思う。その時呼び鈴が鳴り息子が来たかと思って出ると、外にはコンスタンツァが立っていた(この時は珍しくメガネを掛けていない)。コンスタンツァは三安産業からの届け物だと言い、老婆は何も頼んだ覚えはないと否定するものの、息子さんからだということで、その届け物とはハチコだった。
ニコニコしているハチコに対し老婆は息子からの手紙を読んでショックを受ける。そこには自分は元気でいること、父が亡くなって独り暮らしの母親が心配で高級機を贈ったこと、お互い自分の人生があるのでこれ以上電話や手紙はやめてほしいことが書かれていた(息子らしき男が女性を連れて遊び歩いている姿が描かれている)。体よく厄介払いされた老婆は打ちひしがれ、ハチコはそれに気まずそうにする。
ハチコは甲斐甲斐しく老婆を世話し、散歩に連れ立ったりおやつにパイを焼いたりしているが、老婆は心ここに在らずといった感じで、さすがのハチコも気まずくご主人様の心にはまだ自分が入る余地はないようだと独白する。
ある日洗濯物を干していたハチコに珍しく老婆の方から頼みがあると話しかけてくる。ハチコが嬉しそうに何でも命令してくださいと言うと、老婆は花屋に着いてきてほしいと頼む。
ハチコが花屋の女性に買い物メモを渡すと女性は花を選んでくれ、ハチコにあなたのご主人様はすごく寂しいようですねと告げる。女性はその訳を選んだ花の花言葉が全て誰かを惜しむものだからだと教えてくれる。選んだ花はツキミソウ「あなたを待っています」、サギソウ「夢でもあなたを想う」、ノイバラ「家族に対する懐かしさ」で、手紙を読んで途方に暮れる老婆と背を向ける息子が対比されている。ハチコはご主人様にとって息子さんは絶対に諦められない人のようで、ハチコにとってはご主人様がそうだとひとりごつ。
そんな店からの帰り際、真っ赤な空から鉄虫が降り注ぎ、人間を襲い始める。さながらフェイスハガーのように老婆にも飛びかかるが、間一髪ハチコが阻止する。ハチコはまず家に戻って自分の銃と盾を回収しなければと考え、老婆を連れて走り出す。しかし寄生されファランクスと化したランパートに突き飛ばされてしまう。ハチコが身を起こすとファランクスは老婆の胸ぐらを掴み上げており、それを見たハチコは今すぐご主人様から手を離せ！と激昂してファランクスを殴り飛ばす。ハチコは傷を負った老婆をすぐ病院に連れて行くと励ましつつ背負うが、ファランクスに老婆ごと腹部を撃ち抜かれてしまう。息子からの手紙を握りしめた血まみれの老婆に必死にご主人様と呼びかけるハチコだが、老婆は目を覚さない。ハチコはご主人様にとって自分がどんな存在だったかは分からないけれど、自分は気にしない、ご主人様がどこに行こうと着いていきますと独白し、2人は寄り添うようにその場で眠りについた。最後に私はいつもお側にいますのセリフで締め。
ハチコ外伝と同じく花言葉がキーワードになったお話。特にツキミソウは宵待草とも呼ばれ、竹久夢二が「待てど暮らせど来ぬ人を　宵待草のやるせなさ　今宵は月も出ぬそうな」と謳ったことで日本人にも来ない人を待ち焦がれる花として馴染みがあるかと思われる。
メガネをかけていないコンスタンツァだったり激昂するハチコだったりと珍しい姿が多い。
ハチコはやはり料理はパイしか作っていないが、一通りの家事はそつなくこなしており、高級機と言われるだけはある。独居老人向けにペットの愛くるしさを持つメイドというコンセプトが話の中で触れられており、コンパニオンシリーズはそのような方面でも人気があったらしい(もしかするとポイの奔放さが受けなかった一因はそこにあるかもしれない)。
全般的にハチコの忠犬っぷりが詰まったお話。

第31話：CT103 フォトレス　壁の記憶 有志翻訳版

スチールラインのバイオロイドとの絆を描くストーリー。
錆びて打ち捨てられたフォトレスに鳥が止まると、それをきっかけにフォトレスが起動する。敵の動きではないことを検知したフォトレスはデータ保護のため過去のメモリーのバックアップを開始する。
過去の記憶はフォトレスが配備されたことにブラウニー4470番が喜んでいるところから始まる。ブラウニーはこれで弾に当たらずにすむと喜び、レプリコンに滅多なことを言うものじゃないと怒られるが、とにかく心強いと喜ぶ。
その後ブラウニーはフォトレスに守ってくれてありがとうと落書きをする。レプリコンは軍の備品に落書きしたら営倉行きだと怒るが、ブラウニーはこれぐらいバレないと返す。ブラウニーはフォトレスのおかげで死地を幾度となく切り抜けられたと言い、いつも守ってくれるのはありがたい一方で申し訳なくもあると感慨に耽る。レプリコンはAGSは自身の役目を果たすだけで感傷的に過ぎると切って捨てるが、ブラウニーにいよいよ気持ちが乾ききってしまったのかと言われ、つべこべ言わずに仕事に戻れと怒る。フォトレスはその会話を聞いてありがとうとは？と自問するが、感情モジュールが搭載されていないと思考を終わらせる。
更に記憶は進み、激しい戦闘が行われている。血だらけのブラウニーがフォトレスに歩み寄ってきて側に座り込む。フォトレスは手当が必要だと告げるが、ブラウニーはもう内部出血が酷く自分は助からないだろうから最期にここに来たと返し、守ってくれてありがとうと言い残し事切れる。フォトレスはその言葉の意味を解析しようとするが、やはり感情モジュールがないため分からず終いであった。
その後レプリコンがフォトレスの元を訪れ、フォトレスはそのレプリコン5004番がブラウニー4470番と同じ分隊であったことを識別する。レプリコンはブラウニーの中でも4470番は特にフォトレスが好きだったがもういないと悼み、フォトレスにスチールラインは敵の猛攻を支えきれず撤退をすることを告げる。フォトレスは冷静にその撤退命令を知っていること、フォトレスはそれに際し残って別命あるまで敵を足止めする命令が下されていることを話す。レプリコンが次の命令はいつになるかわからない、もしかしたらみんな死んで命令自体来ないかもしれないのに大丈夫なのかと気遣うと、フォトレスは自身は味方の盾になるべく生まれた存在であり、自軍の生存と安全のためならいつまででも守り抜きましょうと答える。レプリコンはそれを聞き、なぜブラウニー達がフォトレスのことを好きなのかわかった気がすると、守ってくれてありがとうと伝える。フォトレスがブラウニー4470番の最期の言葉と同じだと言うとレプリコンは微笑み敬礼をする。
時は進み冒頭のシーンに戻ってくる。フォトレスはレプリコン5004番の言葉もやはり解析不能だったが、バックアップ作業が完了した今、自身のうちに肯定的な回路反応が起こっていること、これは感情と思われること、レプリコン達が戻ってきた際にはこの感情に基づき反応すればよいことを自覚する。そして最後の命令から3112日が経過し、いまだ自身を含むフォトレス3機(うち2機は大破している様子)は現在地の防衛と待機の命令を遂行中だとして、彼女達が戻るまで任務継続のため節電モードに移行し再び眠りにつくのだった。
アルフレッドおじさんといいロボットの方がよほど人間らしい感情を持つに至る話は良いですね。

第32話：プレスターヨアンナ・疾走するアタランテ　日常　翻訳版

紅いアリーナでの日常を描くストーリー。
とある青年の元へ友人らしき男が良い情報が手に入ったと電話をかけてくる。曰く今度の紅いアリーナの賭け金が凄いとのことで、青年は賭け事は向いてないよと断るが男は俺の良い情報通りに賭ければ大丈夫だと押し切る。男はドレッドヘアを束ねた黒人で、誰あろうとある記録で「おい、バイオロイドってマ○汁すげえんだぞ」の迷言を残した男であった。
旧人類世界ではバイオロイドの登場で危険な産業での人間との置き換えが進んでおり、その波はスポーツやエンタメなどの分野にも押し寄せていた。中でもバイオロイドを用いたエンタメで頭角を現した伝説産業が主催するのがバイオロイドの血と肉で築かれた紅いアリーナであった。アリーナは元々バイオロイドが惨たらしく殺されるのを観るためのものであったが、一方的な虐殺に飽きがくるとオリジンダストで強化した動物とバイオロイドを戦わせる方式に変わった。そして需要が高まったことで多くのスポンサーがつき、カリュドーンの猪(アタランテの神話に出てくる凶暴な猪)のみならずバイオロイドやAGSが互いに戦う姿を観戦する形となった。闘技場で屍山血河が築かれるほど熱狂は増していき、伝説が世界的企業に躍進するきっかけとなった。
そしてアリーナの決勝戦のアナウンスが始まる。まず大人気で優勝候補のアタランテが入場すると、観客は有り金全部賭けた、必ず勝ってくれと声援を送る。VIP席の男達もアタランテにベットする。次にアリーナの神話を塗り替えるために彗星の如く現れ、底から勝ち抜いてきたエルサレムの黒き盾としてヨアンナが入場するも、芝居の人形に用はない、今日がお前の命日だと観客から罵声を浴びせられる。ヨアンナはアタランテにさすがは人気剣闘士だと語りかけるが、アタランテは勝つまでは名誉は誰のものでもなく、早く剣を取れと促す。ヨアンナは名誉とは面白い、この身はかつて異邦のキリスト教国家の王として生き数多の戦場を名誉のため神のため戦い続けてきたが、ある時別の自分が居場所を奪った時過去の名誉は配役としてのものに過ぎなかったと悟ったと語る。そして新しい主人にアリーナには真の名誉と栄光が待っていると言われたことで、芝居の人形としてではなく新たな名誉を手に入れるために戦う、戦闘用ではないにしても簡単には負けないと剣を構える。アタランテは貴方の過去がどのようなものでも関係ないと切り捨て槍を構え、試合が始まる。
いきなりの投槍で盾を貫かれ距離を詰められるヨアンナ。何合か切り結ぶも、盾で利き手を叩かれて剣を落とし、更にアタランテに盾で顔を殴られてしまう。そしてアタランテの槍がヨアンナの腹部を貫いたところで試合は決まったかと思われたが、ヨアンナは槍を握り締め、一撃で確実に仕留めるなら心臓を狙うことだと言って逆にアタランテの首に剣を突き立て逆転勝利を収める。
しかしアタランテに大金を賭けていた観客達は納得せず激昂。ヨアンナを罵り処刑を要求し始める。ヨアンナは私が観客を惹きつけられなかったせいなのか、血が足りないのかと困惑する。裏ではVIP席の男がスタッフに処刑を命じており、処刑人が送り出される。絶望するヨアンナの前に現れたのは、死神の姿を模したシェードであった。シェードは判決は死刑、私がお前の死であると述べると、ヨアンナの胴体を鎌で一刀両断する（死神スキンでアクティブ2を使うときのセリフ）。
場面は変わって冒頭の青年が頭を拭きながらコーヒーを手にとっている。青年はバニラと話しており、こちらもとある記録に出てきたカップルであると思われる。バニラが昨日の試合はヨアンナが逆転勝ちを収めたことを青年に伝えて締め。
ヨアンナが闘技場に来るまでの経緯は48話で描かれます。セリフから察するにヨアンナも自分が演者であると区別がつかない洗脳を受けていた様子。
殺伐とした内容と裏腹にタイトルが日常なのが皮肉的で物凄い旧人類感溢れている。

第33話：ブラックワーム S9　二つ目の名前翻訳版

ブラックワームがなぜ感情制御モジュールを取り付けるに至ったかを描くストーリー。
話はある男の写真を見ながらの密談から始まる。写真の男の名はピーター・コスタで三安金融の資産運用マネージャー、そしてバイオロイド人権向上委員会のメンバーだという。ピーターを含む数人がT-1 ゴブリンが隠匿された倉庫を探っているとの報告に、バイオロイドの人権なんぞを求める世間知らずの若造が突っ込んではいけないところに首を突っ込んだらどうなるか教えてやらねばな、と密談相手が返す。
話は件のピーターが帰宅するところに移る。どうやらかなり大きな屋敷で裕福そうである。ピーターは妹から遅かったじゃないか、どこに行っていたんだと詰め寄られるが、委員会の仕事だといなす。妹は委員会に託けて変なことしてないでしょうねと疑うが、ピーターはこれも違うよと軽く流す。妹はバイオロイドの人権は確かに大事かもしれないが、企業の利権も絡んだことなので何か危険なことになりはしないかと心配する。ピーターは妹がこんなに心配してくれるとは知らなかったと言いつつ、危険は承知の上で変化のためにはリスクを取る必要があると述べ、自分の側に誰がいるか知っているだろうと返す。そこにオフリス S11が現れ、妹にピーター様は私が護衛しておりますので、メリージェーン様はご心配なさらずとにこやかに語る。ピーターは自慢げにオフリスは優秀な護衛メイドだと語るが、妹はそれは知っているけれどと少々呆れ気味の様子である。
場面は希少動物のオークション会場に移り、人の手に慣れた動物を放してもまたすぐ戻ってくる、それは野生の自由より人に飼われた方がずっと楽なのを知ってしまったからだ、変化は誰にとっても怖いもので、兄さんの夢が叶えば良いとは思っているけど人は変化することを恐れるから…というメリージェーンの独白が入る。会場では青い鳥を前にした女性にピーターが話しかけ、その青い鳥を譲ってくれたら食事をご馳走しますよと交渉し、順番を譲ってもらう。ピーターが名乗った後に女性に名前を尋ねると女性はエイミーレイザーと名乗った。
屋敷ではメリージェーンが兄さんはまたどこへ行ったのだと探していると、洗濯物を抱えたオフリスがピーター様は希少動物バイオロイドオークションで会われたお知り合いと食事に行かれましたと答える。メリージェーンはオフリスが何故屋敷にいるのか驚いて尋ねると、オフリスはピーターが今日は一人で行くと言われたので自分はマニュアルに従って屋敷に戻って家事をしていると答える。メリージェーンは護衛として従わず無理やりにでも側に着いていくべきだったと迫るが、オフリスは主人であるピーターの命令は最優先で従わなければならないと言う。更にオフリスは、メリージェーン様はいつもご心配をなされていますが、ピーター様は世界を人とバイオロイドが共存するより良いものへ変えようと努力していること、主人のやることをネガティブに捉えるよりは主人を笑顔で応援してあげたいことを語り、にこやかに微笑む。しかしメリージェーンは何故兄がそんな危険なことをするのかわからない、輝かしい未来が来るなんて誰がわかる、人と同じように感じ行動するから人間になったつもりか、お前の言う輝かしい未来なんて誰も興味がないと怒る。
そこにピーターがエイミーを連れて帰宅し、食事に行っていた知り合いだとオフリスに紹介する。ピーターはエイミーと話し合いたいことがあるから部屋になるべく入ってこないよう伝えると、オフリスは戸惑いながらも命令に従う。
屋敷に銃声が鳴り響き、オフリスとメリージェーンがピーターの部屋に駆けつける。オフリスはメリージェーンに避難を勧めるが、メリージェーンはオフリスをどこに行っていたんだと攻め、部屋の扉が開かないことに狼狽える。オフリスが扉を破って中へご主人様と呼びかけるとそこには血まみれのピーターが転がっていた。メリージェーンはオフリスに救急車を呼ぶよう何度も命令するも、オフリスはその場に愕然としてへたり込み、ご主人様申し訳ございませんと繰り返すだけであった。
眠ったオフリスを前に手術用の機械を操りながら二人の男が会話をしており、それによるとオフリスは全機回収されこれが最後の一機だということだった。片方が、感情モジュールが警備上の妨げになったからとはいえそれを削除しろだなんて、本当に同じ人間の頭で考えた発想かと思うよと愚痴る。するともう片方がどうせ命令通りに生きる奴らには関係ないだろうと返す。最初の男は彼女たちが哀れとは思わないのかと尋ねるが、もう片方は作られたものは作られた目的通りに生きてればいい、商品に権利だ尊重だ与えたところで余計なことだ、大抵の人はバイオロイドの人権と聞いてどう思うと思うと返す。そして更に「それがどうした」だと付け加える。
手術は完了し研究員が名前を尋ねると、バイオロイドは改造前の機体名オフリスS11、現在はブラックワームS9だと機械的に答える。次に自分にとって最も重要なことを尋ねられると、護衛対象の警護と生存を最優先とすると答える。そして最後に生まれ変わった気分は？と尋ねられると、自分にはただ護衛のみが目的であり、質問には何の意味も見出せない、何より私的な感情は任務の妨げになるだけですとブラックワームが答えて締め。
滅亡前のとある記録に出てきたエイミーのエピソードの裏側といった形で描かれています。改造前のオフリスの表情の豊かさと改造後のブラックワームの無表情さの対比や、手術中の医師の会話がとても良いです。
ちなみにエイミーの名乗り方は世界一有名なスパイである007ジェームズ・ボンドのパロディーです。

第34-1話：トリアイナ　我思う　翻訳版

第34-2話：RF87 ロク　故に我在り翻訳版

第35話：エンジェル　無垢なる信念　翻訳版

第36話：エンジェル・アザゼル　光が来るであろう　前編　翻訳版

第37話：エンジェル・アザゼル・ラミエル　光が来るであろう　後編　翻訳版

第38話：ニッキー・トレイシー　私の名前はニッキー・トレイシー！　翻訳版

ニッキーの裏の顔を描いたストーリー。
記録画像が映っているがひどく乱れており、画中の人物が私のコートのせいだと思うと謝る。復元されて間もないから出力の調節が難しいと言いつつカメラを調整していると画像が鮮明になり、映ったなら自己紹介を始めるよと笑う。そして私はニッキー・トレイシー、080機関の特殊工作員だと自己紹介を始め、機関内で情報工作などを担当し妹のドクター謹製のコートと電磁錐を装備しているおかげで強力な電気を操れると語る。曰く扱いがとても難しいのだが、バールは誰でも扱えるのではというツッコミに対しては話を進めようと誤魔化している。自分で言うのもなんだが連合戦争での活躍は素晴らしかったと自慢げに語り、私の位置を把握するために各国政府が費やした警備費だけでも天文学的な額に上ったとのこと。続けてコートからEMP攻撃を行えるので単独で施設に潜入して施設全体を破壊することもできるほど優れた能力を備えていたために要注意対象になったと語る。
一方で過去の任務の様子が描かれ、予定の座標に到着したニッキーは通信でここが任務の目的地かと確認し帽子を直して軍事基地のような建物に赴く。まずは監視カメラからとニッキーが手袋をかざすと監視カメラが電磁波で乱れ、3番カメラが不調であることに気がついた施設の係員は古い施設だからまともに動きゃしないと愚痴を言いながら様子を見に行く。その頃ニッキーは迷彩塗装されたランパートの１機に電磁錐による攻撃を仕掛け、それを見て侵入者発生につき直ちに警備モードから緊急戦闘モードに切り替えますと言っているもう１機のランパートの背後に回り込んでバールで殴り倒す。そして同じく警備に当たっていた人間の兵士も背後から音もなく倒すと、笑顔で手をはたきながらごめんね来世では私の目につかないようにしてねと冗談めかして謝る。ここからエイミーと同じく080機関は人間の殺害に特に罪悪感や抵抗感を覚えない事がわかる（まあ仕事なので当たり前と言えば当たり前ですが…）。
電磁波を帯びた手袋で施設の研究員を次々に殺害していくニッキーは顔に返り血を浴びながらも笑みを浮かべている。研究員の一人は俺たちみんな死ぬんだと頭を抱えて震え上がっており、戯言言ってないで早く本部に救援を要請しろと怒る者、あんな大勢がやられてるんだぞと慌てる者など反応は様々だ。研究員曰く立てこもっている研究室のドアは特殊製で簡単には破れないらしくその間に本部から救援が来ると言うが、震え上がっていた研究員は本部が俺たちの状況を知るわけがない、奴なら最初から気付かれる可能性なんかないと語り、重ねて救援要請をしろと言われるも奴に目をつけられた時点で俺たちはまな板の上の鯉なんだ、俺たちはやつになぶり殺しにされるんだと更に発狂具合を深める。
その時ドアの隙間から電磁錐をねじ込みドアを焼き切ってニッキーがいとも簡単に侵入してくる。EMPを撃つ前にドアを全部開けておくのを忘れてたよと独り言を言いつつ、このドア開けるのが大変なんだって？と研究員たちを嘲る。血まみれで笑みを浮かべるニッキーを前に研究員達は知っていることは全部教える、欲しい情報ならなんでもあげると命乞いをし始めるが、ニッキーは欲しい情報？資料？何か勘違いしてるみたいだけど私の任務はここの事前調査だよとあっさり答える。研究員は施設破壊でも暗殺でも重要機密奪取でもなく事前調査ということに驚き、じゃあなぜここの人たちを皆殺しにするんだと尋ね返す。ニッキーはにこやかにどうせ機関に狙われた以上はみんな死ぬことになるんだからしなきゃいけない事を前もってしてるだけで大した意味はないよとあっけらかんと答え、研究員が呆然としているうちにこれは秘密だけど私の密かな趣味も関係してる、他の人はこれを見られもせずに死んだんだからあなた達は運が良いよと言いつつコートを脱ぎだす。そして死ぬ前の最後の晩餐みたいなお楽しみなんだけどとコートの前を開けて下着姿を晒すと、研究員の一人が思わず見惚れてしまい他の研究員にとんでもないこと言うなと嗜められる。ニッキーはふふと笑いながら体に見惚れられたことにありがとうと礼を言い、じゃあもう死ぬ時間だよとEMPを作動させて暗転する。
冒頭の自己紹介の続きに戻り、私がとある任務で組織を壊滅させたという報告書が残っていると言われたことに対してどうでもいいじゃない任務さえ達成すればと言い返す。そしてコートの下に何を着ているのか尋ねられるともっと親しくなったら教えてあげるかもねと悪戯っぽく笑って締め。
普通に怖い。研究員からしたらマジでホラーでしょうね…頑丈な扉を強引に焼き切って入ってくるのはなんかちょっとスターウォーズっぽいなって思いました。080機関の闇は深い。
やっと来てくれたから翻訳できた～！

第39話：ヴェロニカ　預言者　翻訳版

過去の異端審問官としての活動を描くストーリー。
ヴェロニカを担当していたSolさん復帰記念漫画。
ヴェロニカの、「ある日突然神と名乗る存在から語りかけられたら、あなたはその言葉を信じるだろうか？」という独白から始まる。光がヴェロニカにお前は神の力を得て生まれ変わったこと、信仰篤き者には神の意を伝え信仰に叛く者には神の力を見せつけ、その折れぬ鋼の意思と信仰を以てこの堕落した世界に神への信仰を広めることこそが神の意思でありお前の役目だと命じる。そこでヴェロニカは目を覚ますと彼女はコウヘイ教団の紋章が飾られた部屋で手術患者のような服を着て頭にはコードが繋がれており、傍の研究者に光の言葉を聞いたかヴェロニカと尋ねられるもいまいち自分が呼ばれているのだとしっくりきていない様子である。
場面が変わっていつものシスター服を着たヴェロニカがスーツの男に光がお前に与えた役目は何かと問われると、ヴェロニカは信仰篤き者には神の意を伝え信仰に叛く者には神の力を見せつけることだと答える。男は満足そうに光が平凡だったヴェロニカを選び力を与えたことで今や光の言葉を聞きそれを人々に伝える預言者となったと語り、この世界には光の意思に叛く存在が多すぎるが少なくとも我々教団がこの国に巣食う異端どもを根絶やしにすると言う（異端を狩る天使たるサラカエルが映っている）。そして賄賂を送っているシーンを背景に光の意思を伝える準備が整ったとし、異端を根絶やしにする聖戦を開始すると男が宣言するとヴェロニカが異端審問官の姿となっている。
更に場面が変わり燃え盛る瓦礫の山である男がヴェロニカに追い詰められている（同じくスーツだが先程の男と同じ人物かは不明）。男は邪魔な奴らは全部殺せばいいと思っているのか、この国全てを支配したつもりか狂人どもめとヴェロニカを詰るが、ここまで派手にやってもどこも騒がないということは既にこの国の中枢に教団の息がかかっているということかと吐き捨てる（この際顔は隠れているものの、キリシマスキャンダルで暗躍していたキリシマ議員とカササギ組長が描かれている）。ヴェロニカは我々の聖戦を曲解するな異端者よと返すが、男は怯えつつも笑みを浮かべ、聖戦とは笑わせる次は世界征服でもするつもりかと皮肉る。ヴェロニカは自身も光に選ばれ生まれ変わった存在であり貴方にも更生の余地はあると説得するが、男はお前は選ばれてもいないし特別でもない、教団の狂信者どもに作られたバイオロイドで偽の記憶を植え付けられそれに縋っているただの操り人形だと応じる。ヴェロニカは戯言を聞くのはもうたくさんと言い、最後に慈悲を与えると宣言する。男は自分が教団に許しでも乞うと思っているのかと虚勢を張るが、ヴェロニカは教団に従えと言っているのではなく光の元へ送るから自分の信じる神に祈れと吐き捨て鎌を振り上げる。
ヴェロニカが教会で祈りを捧げているとアザゼルが歩み寄ってくる。アザゼルは聖戦をこなして大変なのか今日はずいぶん祈りの時間が長いですねと語りかける。ヴェロニカはそれに自分は光が与えてくれた役目を正しく果たせているだろうかと尋ね返す。アザゼルは聖戦を多くこなす中で迷いが生じたのはヴェロニカらしくもないと言い、正しいか間違っているかはただ光のみが決めることであり、我々の役目はただ信仰厚き者には神の意を伝え信仰に叛く者には神の力を見せつけることだと語る。アザゼルのセリフと同時にシスター服のヴェロニカ（信仰篤き者には～の部分）と異端審問官のヴェロニカ（信仰に叛く者には～の部分）が対になって締め。
イベント儚き記憶は友と共にを仄めかす話です。
冒頭のシーンはヴェロニカが元々別のバイオロイドを改造して生まれたという設定をベースにしていると思われます。

第40話：エンプレス　南極の涙　翻訳版

南極に独り残っていた経緯を描くストーリー。
ニュースで今日も歴史的な最高気温を記録するであろうこと、急激な温暖化に対し科学者から提言が相次ぎ各国政府や企業も対策を議論していること、パリにてウォッチャー・オブ・ネイチャーによるセミナーが開かれることが流れる。
防寒服に身を包んだ二人の男が凍っていない土地を踏み締めるのはいつ以来だろう、今回のセミナーで温暖化に関心を持つ人が増えてくれればいいのだがと話している。彼らによるとオベロニア・レアなど気象操作の技術も発展しつつあるものの、地球規模の温暖化には追いついていないらしく、もはや人の手ではいかんともしがたい段階なのではないかと語る。そんな男たちの元へエンプレスが歩み寄り、研究員のおじさんたちがいない間保存食だけで暮らさなきゃならないなんてゾッとするの、お土産買ってきてくれないと許さないの！と愚痴る。そんなエンプレスに男たちは毎日記録を録ってしっかりお留守番してるんだぞ、何かあったら無線機で連絡するんだぞと笑いながら言い、エンプレスは子供扱いするなとむくれる。それでも研究員に一人だけ残していくのは初めてだからと心配され、帰ってきたらみんなで美味しいものを食べようなと頭を撫でてもらうと満足げに笑みを浮かべるエンプレスであった。
それから時は立ち、エンプレスがペンギン達に話しかけている。ペンギンを1羽1羽番号を付けて見分けており、以前より背が伸びた？(15442番)や痛いのは治った？(34399番)などしっかり見分けている。その時氷が海に崩れ落ちる音が響く。エンプレスは驚くも飛行機の音かと思ったとガッカリする。ペンギンに誰を待ってるか聞かれた際は研究員のおじさん達をと答え、忘れられてるかも？という問いにはちょっと長くはあるけど何か事情があるに決まってるのと気丈に言う(この直後に燃え盛る街が映っており、滅亡戦争で人類が壊滅したことがわかる)。それでもちょっと寂しいの、遅くなる連絡くらいしてくれてもいいのと寂しげな表情を浮かべる。
エンプレスは宿舎へ帰り、今日もお疲れと自分を労うとペンギンスーツの黒い部分を脱いでくつろぐ。この際エンプレスの長髪で白いピチピチスーツのみの姿を見られる。近頃は温暖化も収まってペンギン達も元気になってることをおじさん達に知らせてあげないとと無線機に話しかけ始める。おじさんたちに良いニュースがあること、温暖化は安定してきており再び凍りついたところもあること、ペンギン達も元気になっていること、57921番が子供を授かったこと、他にも色々ニュースがあることを語るが誰も答えない。遂には誰でもいいから一言だけでも答えてくれないかと不安な表情になる。いくら話しかけても応答がないので本当に世界に独り残された気分であること、おじさん達の言いつけをよく守っていること、研究棟の掃除もきちんとしていることを話している間に泣き出してしまうも、これを聞いたら返事を必ずちょうだいとメッセージを送る。しかしこれまで送られた765のメッセージのうち返信があったものは0件だという無情な答えが無線機から返ってくる。
そして今日も今日とて元気に朝を迎えようとするエンプレス。その時無線機から微かに声が聞こえ始め慌てて受話器を取ってエンプレスだと名乗る。すると向こうはラビアタと名乗ったようで、うちの研究員さんじゃないねと戸惑ったところに、世界が滅亡したとはどういう意味…？と更なる衝撃的な情報を聞かされ締め。
祝エンプレスメインストーリー登場！上の黒いのを脱いだ姿がとてもピョンテ。

第41話：炉端のポルティーヤ　幸せの絆　翻訳版　

滅亡前にカップルとなった人間とポルティーヤの馴れ初めを描くストーリー。
とある研究所で火事が起こっている場面から始まる。研究員たちが慌てて消火に走る中、二人の男がこの状態で市場に出したら街中火の海になってしまうことや火炎放射ガントレットは個人使用にはまだ不安定すぎると語る。ガントレットの主であるポルティーヤは火が怖くて上手くコントロールできないこと、家庭用バイオロイドなのに火が怖いなんて自分は失敗作だと謝る。研究員は、君たちバイオロイドは人間に奉仕するために作り出された存在でありそのバイオロイドが自分で自分のことを失敗作呼ばわりするなど作った研究陣のことを否定するのかと叱る。研究員曰くCEOが設けたリリース期限まであまり猶予は残されていないためガントレットの調整をする実験がすぐに再開され、ポルティーヤは気が進まない様子ながらも従う。
場面が変わり、男性二人が仲良さげに肩を組んで街中を歩いている。黒髪の方の奥さんが妊娠したらしく、茶髪の方の男が祝いつつ良い時代は終わりだねとからかう。黒髪の方は茶髪にお前も早く結婚して子供を持たないとなと返す。茶髪はこれからそういう時間も取りづらくなるだろうから一緒に飯でも食べようと誘い、黒髪の方も父親の懐事情は厳しいんだと言いつつ提案に乗る。店ではポルティーヤがガントレットを外して忙しそうにウェイトレスを務めており、今店が混んでいるので案内するまで少し待たねばならないこととすぐにメニューを持ってくる旨を伝える。茶髪の男はポルティーヤに見惚れてしまいここの従業員は可愛いねと呟いたところ、黒髪がすかさず一目惚れとは独身は気が早いなと言い、バイオロイドは確かにルックスもスタイルも良いよなとからかう。茶髪は照れ隠しでうるさいと返すも、ポルティーヤと目が合ってしまい慌てて逸らす。
ポルティーヤは注文の料理を客の元へ運んで行く途中脚がもつれてずっこけてしまう。オーナーらしき男がポルティーヤをまたしくじったのかこの役立たずめと怒鳴りつける。ポルティーヤはご主人様それがと訳を話そうとするも、オーナーに道具が生意気な口を聞くなとビンタをされた上にミスが続くようなら他の機種に変えてやると怒鳴られる。
黒髪の方がそれを見てああいう客の前で怒鳴りつけてるのを見ると食欲が落ちるなと愚痴るも、茶髪の方が立ち上がってポルティーヤを更にビンタしようとしていたオーナーの腕を掴みやめませんかと止めに入る。オーナーは黙って飯を食べてればいいだろうと意にも介さないが、茶髪は流石に酷すぎると一層怒る。オーナーはそんな茶髪を見てあんたも道具に惚れるなんて情けない奴だな、バイオロイドを叩いたからってシティガードに通報でもするつもりかと皮肉げに笑う。それに茶髪が激昂しそうになるが黒髪の方が止めに入り、私が代わりに謝ってこいつも頭冷やさせますからと店から連れ出す。（オーナーは金は置いていけよと怒鳴っている。）
ポルティーヤが店じまいでモップがけをしているところに茶髪が現れ挨拶する。ポルティーヤは昼に来たお客だと気づき営業時間が過ぎたので注文も持ち帰りも出来ないことを謝るが、茶髪は注文ではなくあなたに告白しに来たと告げる。突然のことにポルティーヤは戸惑うが、茶髪がこんなところにいないで私と一緒に暮らさないかと改めて誘う。ポルティーヤは店の主人が所有者として登録されていると断るが、茶髪は変更手続きは自分と友人でやるからあなたの意見だけを聞かせてほしいと更に押す。それでもポルティーヤは自分はただ与えられた命令に従うバイオロイドであること、しかも生まれた時から失敗作だった自分より綺麗で性能のいいバイオロイドはいくらでもいると言って身を引こうとする。負けじと茶髪も私はあなたが好きになったのだから何者だろうと構わないこと、手続きなどは気にせず意見を聞かせてほしいと再度尋ねる。ポルティーヤは自分はバイオロイドである以上主人の命令が最優先で、正式な手続きなしでは店のオーナーが主人だが、自分がどうしたいかくらいは言いたいと遂に告白を受けてとても幸せな気分だと答える。
場面が一般家庭のキッチンに変わり、ポルティーヤが料理をしている。夫のために羊肉のシチューを作ったこと、きっと喜んでくれるであろうことをポルティーヤが独白して締め。
ハッピーエンドですね（白目）
とある記録の方の仕打ちは許されないぞ茶髪！！

第42話：エキドナ　蛇の世界　翻訳版

滅亡前のバミューダ研究所での生活を描くストーリー。
雪玉先生おかえり記念漫画。
薄暗い研究所で髭を生やした研究員が実験の準備が出来たので出てくるよう伝えるが、エキドナは児戯に付き合うのも飽きた、口ほどにもない奴らの相手ばかりだと愚痴りもっと刺激が欲しいと言う。研究員は今度の実験が成功すればその刺激的なものを準備しようと宥めすかすと、エキドナはそれを信じて新しい快楽のためにやる気を出してみましょうと実験に乗り出す。
実験場ではレイシーがこの実験でいい結果を出したら本当に家に返してもらえるんですかと尋ね研究員が今日にでも家族の元へ帰してやると答えており、彼女が偽の記憶を植え付けられていることがわかる。第3482回戦闘シミュレーションが開始され、レイシーは対峙したエキドナに躊躇いつつもあなたに恨みはないけれど家族に会うために絶対にあなたを倒さないといけないんですと身構える。エキドナはそんな彼女に興味なさげに口数が多い奴だ、ぶつぶつ言っていないで早く足掻いてみせなさいと応じ、レイシーは全身に電気を一気に纏いエキドナ目掛けて電撃を放つ。当たったら少しビリビリすると思いますがと呟きながら勝ったかどうかを見極めようとするレイシーの前には、しかし土埃の中から砂鉄の蛇で守られた無傷のエキドナが現れる。エキドナは今までの相手の中では一番強いと思う、他の奴らはブルブル震えてばかりいたと褒めるが、残念だがそれでも他と変わらないと言い放ち、指を鳴らすと砂鉄の蛇がレイシーにまとわりつき締め上げる。エキドナはレイシーに、私はお前のような失敗作を数多く積み上げて出来た成功作だから実験はいつも期待外れで退屈だと語るが、同時にこの瞬間だけはいつも楽しいと更に締め上げ、残念だがあなたはお家に帰れそうにないねと笑いながらトドメをさし、戦闘シミュレーションが終了する。
冒頭の研究員が能力の扱いがずいぶん上手くなったとエキドナを労うが、それを意に介さずエキドナは約束を忘れていないでしょうねと蛇を向けて脅す。研究員はそれに動じた様子もなくもちろん忘れていないと応じ、そろそろ腹が空いていないかと問いかける。エキドナは肯定するも栄養剤は飲みたくないと不満そうに言うが、研究員が約束の新しい快楽だと言ってリンゴを差し出すと、不思議そうに受け取り初めて見るけどこれは食べられるものなのかと首を傾げる。しかしすぐにいい香りと鮮やかな赤色に惹かれて一口食べると、全身に不思議な感じが広がると頬を赤らめる。研究員はこれなら新しい快楽に相応しいだろうと笑いかけると、ハムドナ状態になったエキドナは実験に付き合えばこれをもっと食べられるのかとウキウキで尋ねる。研究員が肯定すると、エキドナは気に入ったのでもう少しお前たちに付き合ってあげましょうと不敵に微笑む。
時は流れ、寂れた様子の研究所の扉からどうやら人類が鉄虫によって壊滅してしまったことがわかる。エキドナはもどかしいから今すぐ扉を壊してしまいたいと愚痴っており、数ヶ月の間誰も来ないということは自分が用済みになったか研究所に何か異変が起きたかのどちらかだろうと推察している。何よりここにはなんの快楽もないことが我慢できないとぼやいており、今一度あの忘れられない美味さのリンゴを食べたいと思い返している。この倦怠から抜け出す最後の手段はこれしかないと言い、何より死というものがどういうものなのか、この退屈な世界の先には何があるのかが気になると独白し自らを自身の蛇で喰らい尽くす。
更に時は経ち、レジスタンスのメンバーがラビアタに本当にエキドナを復元してよかったのだろうかと尋ね、ラビアタがこちらが彼女の欲望を満たせる限り彼女は最高の戦力の一角になるでしょうと答え、復活したエキドナが映って締め。
ハムドナ可愛い。個人的に研究所で嬉々として自死を選ぶのはエキドナっぽいなあと思いました。

第43話：T-1 ゴブリン　序列整理　前編　翻訳版

第44話：T-1 ゴブリン　序列整理　後編　翻訳版

第45話：薔花　薔花紅蓮　翻訳版

第46話：K180 セルジューク　罪滅ぼし 有志翻訳版

第47話：アイアンアニー　マグニフィセント　翻訳版

西部劇のような街でのアニーの活躍を描くストーリー。
タイトルは傑作ウエスタン映画「荒野の七人」の原題 "The Magnificent Seven"から。
事務所で机に足を乗せて寝入っていたアニーは出勤の時間だと目を覚ます。出動した先は老婆の家で、アニーはヒューズが古くなって電気が入らなくなったのを修理し、毎回こんなことで呼んでごめんなさいねと老婆に謝られるも、どんな些細なことでも不安になったら呼んでくださいとにこやかに対応する。老婆も年寄りにはあなただけが頼りだよとアニーに感謝し、たまにはご飯でも食べに来なさいと言う。アニーがそれに謝辞を述べたところで仕事は終わったかと老保安官が入って来て瓶を取り出し、近くの店で買ったから一杯飲みながら休憩しようと言う。
アニーは保安官が勤務時間中に飲酒なんていいんですかと尋ねるが、老保安官はじゃあ全部俺が飲んでもいいんだなと冗談めかして言い、アニーもおじいさんは退屈そうだからお付き合いしましょうと悪戯っぽく笑って応える。最近すごくのどかですねとアニーが言うと、老保安官は警察が暇なのはいいことだと答える。更にアニーは踏み込んで、おじいさんも昔は現場の第一線で働いていた警察官だと聞いたがシティガードの創設に煽りを受けた人員削減でこんな田舎町に送られてしまって悔しいですかと酒を飲みつつ尋ねる。老保安官は何を悔しいことがあるものか、時代の流れで淘汰されただけだと事も無げな様子で、自分は常に市民の安全のために何ができるかを考えて勤務してきたしそのおかげで犯罪者を捕まえて若くして部署の長も務められたと身の上を語り始める（描かれている若いときの様子を見るにかなり筋骨隆々だったようだ）。それからバイオロイドが増えて各分野で優れた能力を発揮し始めると人間を使う必要性がなくなってしまって、それは現場仕事では特に顕著だった、更にAGSまで参入してきて自分のような古い人間は違う道を探さざるを得なかったと老保安官は語る（バイオロイドの代表にケルベロス、AGSにランパートが描かれている）。更に同僚たちが事務方に移ったり仕事を辞めていく中自分がそうしなかったのは事務方が肌に合わないせいもあるが、何より現場で走り回って直接市民を助ける仕事がしたかったんだと続ける。結局遠く離れた田舎の保安官の辞令が出されたが、その時は気兼ねなく現場で働けることが分かって嬉しかったよと語るが、でも都市部での働き手は常に不足していて田舎まで手が回らないのと人間が田舎に行きたがらないのもあってアニーのようなバイオロイドが送られてきた時は率直に言って複雑な気持ちでバイオロイドに対する偏見もあったが、一緒に歩き回った今では最高の仲間だとアニーに告げる。アニーは何を照れ臭そうに昔話までしてるんですかとからかうが、あの時一緒に犯罪者を捕まえられたのはとても嬉しかったですと笑う。老保安官はあの時は情熱だけで一日中一緒に歩き回ったなあと懐かしそうに語るが、そこにランパートが現れ見たところ職務中に飲酒をしているようだが保安官の職務中の飲酒は本部に報告され不利益を被る可能性もありますと諫める。老保安官は君たちが来て以来保安官は仕事がなくて暇なもんでねと返すも、田舎だけどそれでも他人から見られてないわけじゃないからそろそろ行こうかと促し、アニーも応じて立ち上がる。アニーは心配しなくてもこっちはこっちで仕事はやってますとつっけんどんにランパートに言うも、職務中に飲酒しているあなたが言うセリフではありませんと事務的に返されてしまう。アニーは、融通が効かないシティガードさんは日夜ご苦労様です、暇な保安官はもう行きますので市民を守る仕事に戻ってくださいとため息をつき、老保安官と二人して帰路に着く。
その夜また机に足を乗せて寝ていたアニーは電話の音で目覚め、慌てて受話器をとってどうしたのかを尋ねる。電話の主は昼間の老婆で、シティガードのロボットがおかしくなってしまったこと、怖くて隣の部屋に逃げたが家中壊して回っていることを怯えながら伝える。アニーは部屋から絶対に出ないように指示し、すぐに行きますと伝え老保安官に非常事態だと叫ぶ。ホバーバイクで緊急出動して駆けつけるも、老婆の家に突入してすぐ彼女が遺体となって転がっているのを見つけ、アニーは遅かったようですと老保安官に告げる。老保安官はシティガードのロボットと言っていたよなと確認すると、アニーは肯定しつつなぜAGSがこんなことをと疑問に思う。その時非常警報が鳴り響き、家に鉄虫に感染させられたランパートが侵入してくる。アニーがあれはなんだと驚いている間に老保安官は躊躇いなくランパートに発砲する（片手撃ちで正確に当てているので相当に訓練していると思われる）。武器を準備するよう命じる老保安官に手続きなしですかとアニーが少し呆れた様子を見せると、こういう仕事を長くやっていると勘がきくようになる、今の状況がどうなっているかはわからないがとても嫌な予感がするんだと老保安官が語る（町中に鉄虫が来襲している様子が描かれている）。そして老骨に鞭打つ時が来たかと言いアニーに援護を頼むと、アニーはいつでも大丈夫ですと答え銃を構える。最後に「市民の皆様、皆様の安全のため今は保安官の指示に従って行動していただきますようお願いします。」のセリフで締め。
正統派にかっこいいです。いぶし銀の老人とホバーバイクと大口径リボルバーはロマンを刺激されますね。

第48話：プレスターヨアンナ　グラディエーター　翻訳版

滅亡前のヨアンナの映画撮影などでの扱いを描くストーリー。
トモとシャーロックが街中でクノイチ・ゼロとプレスターヨアンナを見かけ、シャーロックは二人の主演映画の名前を挙げつつ伝説映画は確かに面白いよなと話す。ゼロがヨアンナにそろそろ移動する時間ですと告げると、ヨアンナが次は秋葉原だったかと確認する。そこに一人の男の子がヨアンナに歩み寄り、ヨアンナ王だ！サインくださいと頼むとヨアンナはにこやかにもちろんと応える。
場面が変わってヨアンナが兵士たちに主は常に我々を側でお守りくださる、主のためのこの聖戦で我々は必ずや勝利を収めるであろうと檄を飛ばしている。諸君らも恐れずに勇気を持って戦ってほしいと励まし、"Deus vult"(主が望んで居られるの意で、第1次十字軍の鬨の声にも用いられた)の言葉を合図に騎兵隊が突撃を開始する。ここでヨアンナの激闘を背景にしつつ映画「エルサレムの黒き盾」の解説が入る。映画は伝説が過去の十字軍をモチーフに独自の歴史解釈を加えたヨアンナ主演のSF中世時代劇で視聴者にはその新鮮さが受けて大ヒットし、様々な派生ドラマや映画が作られたとのこと。しかしコンテンツ史に革命を起こした伝説社の真の強みは斬新な脚本や大掛かりなセットではなく、バイオロイドを徹底的に利用した「現実を超えた現実を」をモットーとしたリアリズムにこそあった。すなわちスクリーンの中の、ダミーではない本当の流血や悲鳴で彩られた無差別な殺戮ショーは刺激に飢えた大衆を満足させるに足るものだったのだ。俳優個々人の素質やコンディションが重要だった過去とは異なり、資本さえあれば会社側でいくらでも俳優を調達することができた上、それはエキストラや助演だけでなく主演級も例外ではなかった。伝説にとって資本は問題にならず、彼らは縛られたシナリオの中で必死に生きようともがく俳優たちの姿を撮っていたのであった。ここでヨアンナが腹に刀傷を受けてカットが入るが、うずくまるヨアンナに対し監督は立ち上がれるかと一言聞いただけで、撮影スケジュールがきついのに次も戦闘シーンだから交代を呼ばないといけないじゃないかと愚痴りながら小道具班にこいつを片付けて新しいやつを早く連れてこいと命令する。ヨアンナは傷を押さえてなんとか立ち上がるも新しいやつとは何の話だと尋ね、戦闘中に王がいなくなると指揮が下がることを心配する。そこに新しいヨアンナが現れ監督がすぐに撮影に入るぞと言い、任せてくれたまえと応じる。その光景を見て傷を負ったヨアンナはただ呆然とするしかなかった。もはやスクリーンの中にかつて俳優たちが情熱を傾けた「演技」なるものは存在せず、ただ俳優たちの「生と死」が存在するだけだった。
そして夜華やかなパーティーが催されており、伝説社員がとある企業の社長に我々の作品を贔屓にしてくださって光栄ですと言い、社長は毎回良い作品揃いなのでスポンサーになる価値がありますと返す。その社長がボロボロのヨアンナを見てエルサレムの黒き盾のヨアンナですねと言い、伝説社員が撮影中に負傷したので近々廃棄する予定ですと答えると記念にもらってもよいかと尋ねる。伝説社員はこんな古いのより小道具班が新しいのを用意しますよと申し出るが、社長は私が探しているのは老練な個体でこれが欲しいのですと言い連れ帰る。
ヨアンナは社長を新しい主君と呼び着替え終わったことを報告する（ヨアンナは晒しを巻いていて背中は傷だらけでかなり筋肉質）。社長が傷の具合はどうかと尋ねると、主君のおかげでよくなったと答えるも何故無用になった私をわざわざ引き取ってくれたのですかと尋ねる。社長は調べてみたところお前は今まで30本の作品で活躍していて、私がやることには経験が大事だからだと答える。ヨアンナが経験とはと首を傾げると、社長が戦闘経験だと言い切り、単刀直入に言うとお前に新しい生のチャンスをやる、これまでの戦闘経験を活かしてただの演技人形としてではなく名誉ある剣闘士としての生だと告げる。ヨアンナが名誉ある剣闘士とはと再び首を傾げると、社長は名誉と栄光ある紅いアリーナに参戦しろと言う。今までに積んできたお前の戦闘経験を活かせばすぐに優れた剣闘士になれるだろうと。
そして大盛況のアリーナに場面は移り、一部で新顔のヨアンナが参戦したことが話題になっている。どうやら金に困った中小企業のスポンサーが突っ込んできたらしく、誰がこんな演技用バイオロイドに賭けるかと嘲笑される。社長のこれまでと同じように目の前の敵を倒すだけ、薄汚れた演技人形はもういない、金を賭けている人のため君自身の失われた名誉のために戦って勝てばいいと言う言葉を受け、ヨアンナは任せてくれたまえ、私は必ずや主君の信頼に応えて見せると決意し、三番剣闘士はスクリーンでお馴染みのプレスターヨアンナと紹介される中入場して締め。
伝説まじ伝説。ここから32話に続くとなると社長の見立ては確かだったようです。やはり他の伝説バイオロイドに見られるようにヨアンナも最初は現実と設定の区別があまりついていなかったように見えます。ヨアンナさんめっちゃかっこいいのでSS昇級ください…

第49話：ドローン 08　お客様との約束 有志翻訳版

第50話：スカディー・エイミーレイザー・ブラックリリス　プロメテウス　翻訳版

滅亡前のとある記録にて描かれた、鉄虫のサンプルを巡る三安とブラックリバー・PECSの暗闘についてのストーリー。
エイミーは例によって研究所に潜入しているが、珍しく服を着ているスカディーが見られる。
タイトルのプロメテウスはギリシア神話で人類に火を与えたことでパンドラの箱の遠因となった神様（パンドラは彼の弟であるエピメテウスの妻）、
転じて未知の発見などの例え（危険なものも含む）。
研究所で回収された鉄虫（NW101)を前に男たちが話をしている。白衣の研究者によるとゴビ砂漠で回収されたとのことで、初めはブラックリバーの兵器かと思われたがすぐに違うことがわかったとのこと。白いスーツの男が宇宙生命体ではと問うと、研究者は生命体というよりは機械に近いが現在の地球上では存在しない物質と技術で構成されていますと肯定する。さらに研究者の説明によると人間に似た形態の神経系を持つが、臓器も生殖器官も見当たらない。スーツの男がどうやって活動しているんだと疑問を投げかけると、研究者は今の時点では推測しかできませんと答えるが、スーツの方は興味を惹かれたようで研究結果を報告するように命じる。研究者がそれに対して承知しました会長と答えたことで、白スーツの男が三安総帥キム・ジソクであることがわかる。そんなやりとりを白衣を着て研究員に化けたエイミーが後ろから聞いていた。エイミーは耳元の機器で興味深い話を聞いた、詳しく調べるには専門家が必要だから準備してくださいスカディーと呼びかける。
ドクターがスカディーにエイミーの要請を受けて出動するんだよねと話しかけ、すごく興味があると嬉しそうに語る。スカディーは通信機器で三安が宇宙人を捕まえた話ですかと言うと、ドクターも子供っぽいことを考えますねどうせまた秘密兵器の開発の類です宇宙人なんて与太話ですよと嗜めるも、ドクターは笑いながらエイミーも嘘をつく人じゃないから帰ってきたら必ず内容を教えてねと頼む。スカディーはなんと輸送の航空機から生身で飛び降りており、その間もドクターにこう言うのは大抵肩透かしを喰らうからあまり期待しすぎてはいけませんよと平気で話している。そしてドクターがそれでも期待してるよと言うと、私はハッキングで人が一生かかっても知り得ない量の情報に触れてきたが、どんなにすごく見えることでも種を明かせば大抵のものは結局枯れ尾花なのだから期待しすぎてはいけませんと念をおす。
その頃潜入中のエイミーはみんな退勤したのに君はまだ残っているのかと一人の研究員に話しかけられる。エイミーは今日は私は当直なのでと誤魔化すと、研究員は今日は俺とジョンスが当直だったはずだがあいつ連絡もなしに帰ったのかと疑問に思う。エイミーはジョンスさんが急用ができて交代したんですと上手くいなし、当直は初めてなので先輩に色々教えてもらいたいですと愛想を振りまく。裏でジョンスの死体が転がっているのにも気づかず男はなんだ異動して来たばかりの新人かとすっかり気を許してしまったようで、エイミーの先輩と二人きりで色々ご指導いただきたいですとの言葉に後輩として熱心なのは良いことだとカードキーでセキュリティのかかった扉を開けてしまう。そして君の名前はと振り返ろうとしたところで、背後からエイミーの銃で頭を撃ち抜かれてしまう。エイミーは資料室の人間は排除したから、今度はあなたが気づかれないうちに資料を盗み出してくる番ですとスカディーに通信をする。スカディーも一応潜入のために白衣を着込んだ姿で現れ、目立たないように着てはみたが暑いと愚痴をこぼす。スカディーが演技がいつもお上手とからかうと、エイミーは戯言を言っている場合ではありませんとあしらう。スカディーは早速白衣を脱ぎ去り、三安の連中が何を隠しているのか見てみようと意気揚々とハッキングを始める。二重三重にセキュリティがかかっていることから何か重要なことが隠されていそうだと言い、私の腕の見せ所ですねと楽しそうだ。
一方その頃三安側ではハチコが血の匂いをたどって先程の研究員の死体を見つけており、ブラックリリスが研究成果を盗みに来た奴が来たに違いありませんと断じハチコに保安部にこのことを伝えに行くよう頭を撫でながら命じる。ハチコがわかりましたリリス姉と嬉しそうに行くと、その間に私はご主人様の領域に勝手に入ってきた害虫どもを駆除しなければと目を細める。
スカディーはセキュリティを突破してNW101の情報にたどり着いており、本当に宇宙生命体なのかと驚きを隠せない。人に似た神経系を持つことや有機体よりは機械に近いこと、地球上では存在しない物質や技術で構成されていることなどの情報から機械生命体なのかと訝しむ。そしてNW101の神経回路に侵入すると地球の技術でギリギリ探知できるほどの微細な信号が発信されていることに気がつく。その意味を解読しようとした矢先、NW101がまだ生きていることに気がつく。
研究所ではハチコの一報を受け厳戒態勢に移行しており、非戦闘員の待避が呼びかけられている。エイミーは予想より早いと焦り、スカディーにまだですかと催促をする。そこにブラックリリスが現れ、見つけた害虫、ご主人様の部下にまで危害を加えるなんて罰を与えなくてはと冷酷に微笑む。スカディーは銃声でエイミーの方へ振り向くも、スカディーがいた部屋にこんなところにも害虫が隠れていたのねとブラックリリスが頭を撃ち抜かれたエイミーの死体を引き摺りながら入ってくる。スカディーがお前たちは一体何を研究しているんだと叫ぶも、リリスはお前に偉大なご主人様の計画の何がわかるのですと動じない。何を考えているか知らないがまかり間違えれば取り返しのつかない事になるとスカディーが警告するも、リリスは耳を貸さず口数が減らない害虫だとブラックマンバを構える。
そして眠っていたNW101は救済の歴史は血で始まる、審判の始まりであり救いの黎明、ただ一つの禍を通じてあなたは私を知らしめよ、私があなたと共にあるという言葉で目覚め研究所から脱走を図り始めて締め。
さすが対人戦だと未だ最強格のリリスは強い。エイミーは度々顔はそのままで潜入しているので多分一般には顔を知られていないんでしょうね（知られてたらまずいですが）。スカディーさんの白衣がすごく新鮮。航空機から生身で飛び降りて敵地に潜入してて優雅っていうのはちょっと…（ちゃんとハッキングはしてるんですけどね）
最後のNW101の目覚めがコウヘイ教団の審判とか鉄の教皇とかの絡みを感じさせて非常に気になります。

第51話：エリー・クイックハンド　ノブレスオブリージュ　翻訳版

第52話：ストロングホールド　勝利の要塞　翻訳版

タイラントに対抗するために造られたストロングホールドの暴れっぷりを描いたストーリー。
えぐい強さです。
タイラントが迫ってくる戦場の映像が映っており、映像の中では兵士が小隊長にこれ以上逃げ場がないと叫び、小隊長はできる限りタイラントの足を止めろと命令する。そしてありったけ撃ちまくれと命じるも、抵抗虚しくタイラントが迫りプライマルファイアを口から発射しようとし、兵士の叫び声を最後に映像は途切れる。不屈のマリーがその映像について、これが今回スチールラインの部隊を壊滅させた新型AGSであり政府側の公式発表に基づきタイラントと呼称していることを説明する。それを聞いたブラックリバー総帥アンヘル・リオボロスは政府の奴らがあんなものを隠していたとは面白い、我々に挑んできたのもあながち根拠のない自信だけというわけではなかったかと頬杖をつきながら述べる。マリーの説明では現在のスチールラインの火力ではタイラントを阻止する術がなく対策が必要であり、アンヘルは楽しみが増えたなと不敵な表情を浮かべる。
テレビのニュースでイギリス政府による北部スコットランドの都市インヴァネスへの核攻撃のニュースが流れており、壊滅した市街地を背景にイギリス政府の行動は国内はもちろん国際世論にも大きな波紋を呼んだと報じられている。それを見ていた髭面で白衣を着た男は、いくら戦時中とはいえ自国領内の国民に対して核攻撃に及ぶなど政府は超えてはいけない一線を超えたと憤っている。アンヘルはそれに対し政府の残酷な選択によって犠牲となったハイランド一帯の民間人に哀悼の意を捧げることを表明しつつ、政府がさらに狂ったことに及ぶ前に手を打つべきだと場を煽る。研究者側はそれにもちろんですと応じ、先日締結した研究協約の成果物は最終テストまで完了したこと、大量生産にはまだ課題はあるものの現時点での少数の機体数でも十分な戦果を挙げられるであろうことを報告し、アンヘルは実戦投入を許可する。
2074年ブリテン島北部の政府軍基地にて、フォールンが振動を感知し陣地防御モードに移行する。それを聞いた軍人が企業側の奇襲かと訝しんでいると、突如防壁を突き破ってストロングホールドが強襲をかけてくる。政府軍側も奇襲を受けていることを伝達しフォールンやセルジュークなどの火力を一気に叩き込むも、硝煙の中から無傷のストロングホールドが現れ無傷などありえんと肝を潰す。ストロングホールドは攻撃を意に介さず進軍を続け、政府軍側の司令部はあんなAGSは見たことがない、奴ら司令部に近づいてきますと恐慌状態に陥る。司令部はまだフォトレス部隊がいる、それで時間を稼ぐ間に陣形を再編すると立ち直りかけるも、フォトレスを見たストロングホールドが時間がかかりそうだと砲を向け文字通り瞬殺してしまうと、司令部も今度こそ言葉を失ってしまいストロングホールドの第二射でそのまま壊滅してしまった。
基地壊滅後今度は政府側の会議が紛糾しており、一人がこんなに早くブリテン島北部を全て奪還されるとは、あんなもの一体どこから出てきたんだと叫んでいる。このまま進軍を許せばロンドンにも遠からず到着すること、核攻撃を再度行いたいが世論の目もあるのでそうもいかないことなど会議は紛糾しているが、軍部がいくら頑丈でも所詮はAGSで、我々の火力で核並みの攻撃を加えれば良いのですという進言に応じてイギリス全土から航空機が招集されることが決定する。軍部曰く都市を何個か更地にできるほどの火力を有した爆撃隊が編成され、ストロングホールドへ向かっていく。搭乗員は目標は予想経路通りに進行中であることを確認し、やつへのプレゼントは準備万端かとパイロットに尋ね、パイロットは心配するな兄弟、むしろ俺たちが巻き込まれないように気をつけないとなと軽く血を叩きながら爆撃を開始する。爆撃はストロングホールドに命中し、全機爆撃が完了した時には衛星カメラに撮らえられている機影は無くなっていた。その報告を聞き政治家は少し頑丈なくらいのAGS如き余計な心配をしてしまった、これから企業の連中を叩きのめす準備をしなければと笑っていたが、そこに軍部から目標が動いており、全機生存しているどころか進軍速度すら衰えていないという報告が飛び込んで来る。炎の中からストロングホールド部隊が現れる中、これ以上奴らを止める術がないと政府側は絶望に包まれる。
そして戦場ではスチールラインと政府軍AGSが激戦を繰り広げており、爆発の余波をくらったブラウニーがフォールンに撃たれそうになって死を覚悟する。そこにストロングホールドが現れフォールンを轢き潰し危ないところだったブラウニー、よくここまで耐えたと労い後は自分たちに任せて後方に下がるよう伝える。助けられたブラウニーがあっけに取られる中、先に戻って戦勝祝いをしておきなさい、本機の予測ではあと15分以内に全ての戦闘で勝利を収めるだろうと自信満々に述べて締め。
タイラントとストロングホールドだけ強さの次元が違いますね。ストロングホールド、結構紳士的な性格で面白い機体なので是非製造してみてください。頼もしいです。

第53話：金蘭 S7　墓守　翻訳版

滅亡前に主人の命令で非道に手を染めざるを得なかった金蘭のストーリー。
滅亡前からの生存個体とオルカ組が接触するのは珍しいかも？
今回も安定の旧人類です。
ブラウニーが鉄虫を掃討し終わったことを報告すると周辺一帯を探索し、救助できるバイオロイドを探すよう命じられる。それに従って茂みを探っていたところレッドフードに怪しい区域があると報告し、詳細を尋ねられると共同墓地を見つけたと話す。レッドフードも現地に出向いたところ周りの雑草がちゃんと抜いてあることから誰かが管理していることを推察するも、こんな場所にこれほどの数の墓は誰のものなのかを訝しむ。その時白い服の女性が歩み寄って来るとブラウニーは幽霊だと驚くも、レッドフードは冷静に幽霊などいないと諌め司令官に緊急支援が必要なバイオロイドが発見されたこと、ひどく傷んではいるものの服装と装備から見て金蘭機種であると思われることを報告する。
その後レッドフードは艦内に戻り、発見された金蘭はこちらの救援に応じようとせず近づくだけで武器を持ち込まないよう刀を構えること、感情モジュールに異常があるかを尋ねても沈黙したままであることなどを追加で報告し、司令官は自分が直接出向くしかないかと腰を上げる。そこにオルカの金蘭が同じ機種ならば警戒心が多少薄れるでしょうから拙が話をしてみますと代わりに赴くことを申し出、レッドフードもそれに賛同し司令官も承諾する。
金蘭一行は現地に赴きブラウニー達に少し席を外すよう頼み、ブラウニーは周辺で待機しているので事が起きたら呼んでくださいと言うも金蘭はにこやかに心配しないよう返事をした。発見された金蘭はヘッドドレスも帽子も失っており頬もひどくこけている。オルカの金蘭は自分たちは最後の人間を司令官とするオルカ号のバイオロイドであることを名乗り、食べ物も休むところもあるからと合流を誘うもやつれた金蘭から必要ありませんときっぱり断られてしまう。見たところ何年もろくに食べていないようだがひょっとして自分が死ぬのを待っているのかとオルカの金蘭が尋ねると、やつれた金蘭は肯定し自分はここで死ぬのを待っているからお墓の中の人たちが驚かないよう静かに立ち去って欲しいと告げる。オルカの金蘭がなぜ死のうとするのかはひょっとしてこの墓地と関係があるのかとさらに尋ねると、やつれた金蘭はこの墓に眠る人たちは全て自分の手で殺め、そして弔ったのだと答える。
話は滅亡前まで遡り、厳重な警備の屋敷前で群衆が騒いでいる。選ばれた人だけ入れるなんて差別だ、自分たちだけ生きようとするのか、人を差別してないで早く私たちも中に入れろなどと叫んでおり、おそらくは滅亡戦争の最中に政府首脳陣が築いた避難シェルターに押しかけているものと思われる。屋敷の主人は近衛隊の金蘭たちを呼び出し、外で叫んでいるような愚昧な奴らは予め国家的な重要人物のみが選別されたこの場所に入る余地はないと言い切り、奴らのような階層の連中はかつて企業や国家に対してテロ行為を働いていたくせに今は無様に命乞いをしており、外で騒いでいる奴らも無能で不必要な潜在的テロリストだと侮蔑する。話が見えない金蘭がご命令はと尋ねると、主人は外の連中は空から降ってきた宇宙生命体と等しく国家安全保障に対する脅威であり、国家の危機にこれ以上の混乱を招くことは皆を危険に晒すとして、外にいる脅威を排除するよう命じる。群衆は誰かが出てきた、政府の広報官かと騒ぎバイオロイドだとわかるや中に入れるよう叫ぶ。しかし出てきたのは帽子を目深に被った金蘭部隊で、鋭い目で群衆を見やると無言で刀を抜き放つ。
やつれた金蘭はその日以来自分と姉妹達は叫び声に苛まれて生きてきたと語り、助けて、なぜ我々を攻撃するんだ、お願いだから子供だけでも助けてといった叫び声にうなされ目を覚ます金蘭が描かれている。その後仕えていた主人達も謎の病気（ヒュプノス病）で皆亡くなり、残された姉妹達もあの日のことが忘れられずに地獄のような時を過ごす間に痩せ衰えていく中で決断を迫られたと続ける。即ち他の金蘭にこの苦痛を終わらせてくださいと頼まれ、自分でその介錯をしたことを明かす。
時は現代に戻り話を聞いたオルカの金蘭がそして最後にあなたが残ったのですねと尋ねると、やつれた金蘭はここの墓は自分たちがあの日殺めてしまった人々と自分が斬ってしまった姉妹達のものであると言い、許されることも許すこともできない年月の中で生きている自分にできる償いはこれだけであること、自分は既に死んだ身でありどうか見逃して立ち去って欲しいことを語る。話を通信で聞いていた司令官は金蘭にこれ以上の説得は難しいので言う通りにしようと伝え金蘭もそれを承知する。ブラウニーたちと引き上げていく中、オルカの金蘭は鋭敏な五感を持つ金蘭同士だけが聞き取れるほどの小声であなたのせいではないこと、彼らももうあなたを許したはずであること、どうか自分で自分を許してあげて欲しいことを告げる。ブラウニーが何かおっしゃいましたかと尋ねオルカの金蘭が素知らぬ振りをする中、やつれた金蘭は涙を流しながらありがとうございますと言って見送っていた。最後に墓地に花の芽が芽吹いているところが映って締め。
こうやって人間を殺めざるを得なくてトラウマ植え付けられたバイオロイドとかめっちゃいたんでしょうね…
金蘭が森の中にいるっていうアンマッチさが余計に悲劇さを増してる感じがします。

第54話：GS-10 サンドガール・T-8W ヴァルキリー　都市暗殺者　翻訳版

第55話：ムネモシュネ　記憶の箱舟　翻訳版

第56話：総集編　彼らの冬翻訳版

第57話：解体者アザズ　解体者の奇妙な冒険　翻訳版

第58話：LRL・サイクロプスプリンセス　　私の英雄　翻訳版