〜無口で甘えん坊な彼女〜
〜無口で甘えん坊な彼女〜
「じゃ、行ってくるよ」
「はいはい、いってらっしゃい。あ、雪春!!秋葉ちゃんに優しくするのよ」
「分かってるよ」
何の変哲もない平日の朝
俺は母さんとこれまた何の変哲もない話をして家を出る。
見てみると我が家から一軒挟んだ家の前に、地元の高校の制服姿の少女が待っていた。
「悪いっ、待ったか?」
「……いや」
普通このやりとりは男女逆だと思う…けど目の前の彼女――秋葉は気付いていないらしい
「……ん」
不意に秋葉がオレンジのリボンを突き出してきた。
「あ〜分かった、後ろ向きな」
俺に背中を向けた秋葉の、その黒い長髪を俺はリボンで器用に結んでいく。
ちなみに俺はいつもポニーテールに結ぶ。秋葉にはこれが似合うし何よりも俺がポニーテール好きだから、ただそれだけ。
「よし、終わったぞ」
「……ありがと…」
「いや、どういたしまして」
「……」
「ん?どうした?」
「……頭なでて…」
「今ここで?」
「……ダメ?」
身長の関係で上目遣いにならないのが残念だ…
とはいえ可愛い顔でそんなことを言われたら断るはずもなく、俺は秋葉の頭をなでてやった。
「……へへッ」
「自分でして欲しいって言ったんだから照れるなよ」
まぁそんなところがまた可愛いんだけど。
「じゃ行くか」
「…うん……」
ちなみに『手をつなぐ』ことを秋葉は強要しない。
いつも甘えてばかりの秋葉だけど何故かこれだけはしない。決して俺の手汗がヒドい、というわけではない。
前から気にはなってはいるものの、本人が何も言わないので深くは追及していない。
「………ねえ…」
「ん?」
「……………大好き…」
「ッッ!!いきなり何言ってんだ!?恥ずかしくないのか?」
「……好きなんだからしょうがない…」
「あのなぁ…」
こりゃ放課後に秋葉の家に寄るしかないな。それまで日中我慢できるか心配だ。
「………何考えてるの…」
「いやッ何でもないよ」「………変態」
「なんで分かっ…って違ぇーよ」
完全に墓穴を掘った俺に向かって、秋葉は微笑みながら呟いた。
「……大丈夫…全部ひっくるめて大好きだから…」
何の変哲もない平日
こんなやり取りから俺達の1日は始まる。
そんな俺達を母さんが優しく微笑みながら見ていたことに俺も秋葉も気付くことはなかった。
次話
こたみかん ◆8rF3W6POd6
「じゃ、行ってくるよ」
「はいはい、いってらっしゃい。あ、雪春!!秋葉ちゃんに優しくするのよ」
「分かってるよ」
何の変哲もない平日の朝
俺は母さんとこれまた何の変哲もない話をして家を出る。
見てみると我が家から一軒挟んだ家の前に、地元の高校の制服姿の少女が待っていた。
「悪いっ、待ったか?」
「……いや」
普通このやりとりは男女逆だと思う…けど目の前の彼女――秋葉は気付いていないらしい
「……ん」
不意に秋葉がオレンジのリボンを突き出してきた。
「あ〜分かった、後ろ向きな」
俺に背中を向けた秋葉の、その黒い長髪を俺はリボンで器用に結んでいく。
ちなみに俺はいつもポニーテールに結ぶ。秋葉にはこれが似合うし何よりも俺がポニーテール好きだから、ただそれだけ。
「よし、終わったぞ」
「……ありがと…」
「いや、どういたしまして」
「……」
「ん?どうした?」
「……頭なでて…」
「今ここで?」
「……ダメ?」
身長の関係で上目遣いにならないのが残念だ…
とはいえ可愛い顔でそんなことを言われたら断るはずもなく、俺は秋葉の頭をなでてやった。
「……へへッ」
「自分でして欲しいって言ったんだから照れるなよ」
まぁそんなところがまた可愛いんだけど。
「じゃ行くか」
「…うん……」
ちなみに『手をつなぐ』ことを秋葉は強要しない。
いつも甘えてばかりの秋葉だけど何故かこれだけはしない。決して俺の手汗がヒドい、というわけではない。
前から気にはなってはいるものの、本人が何も言わないので深くは追及していない。
「………ねえ…」
「ん?」
「……………大好き…」
「ッッ!!いきなり何言ってんだ!?恥ずかしくないのか?」
「……好きなんだからしょうがない…」
「あのなぁ…」
こりゃ放課後に秋葉の家に寄るしかないな。それまで日中我慢できるか心配だ。
「………何考えてるの…」
「いやッ何でもないよ」「………変態」
「なんで分かっ…って違ぇーよ」
完全に墓穴を掘った俺に向かって、秋葉は微笑みながら呟いた。
「……大丈夫…全部ひっくるめて大好きだから…」
何の変哲もない平日
こんなやり取りから俺達の1日は始まる。
そんな俺達を母さんが優しく微笑みながら見ていたことに俺も秋葉も気付くことはなかった。
次話
こたみかん ◆8rF3W6POd6
2008年08月03日(日) 00:48:49 Modified by n18_168