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彼女の不安




 ぼく、日沖耕介(ひおきこうすけ)が青川文花(あおかわふみか)と付き合いだしてから一ヶ月が経った。
 小さくて、無口で、地味な印象を受ける彼女だけど、ぼくにとっては一番の彼女だ。
 青川の方もぼくを好いてくれているみたいで、この一ヶ月、ぼくは幸福感に満たされていた。

      ◇   ◇   ◇

 今日は日曜日。ぼくは初めて青川の家を訪れていた。
 綺麗な煉瓦色の建物は周りの家と比較しても大きかった。
 塀の隙間から覗く向こう側には広い庭が見え、玄関の隣には建物と一体になったガレージがある。
 玄関ドアのベルを鳴らすと、中からぱたぱたと足音が聞こえてきた。
 ドアが開き、青川が顔をひょこ、と出した。
 ぼくはその顔に向かって小さくはにかむ。
「やあ、青川」
「……」
 こくりと頷き、ドアを大きく開ける。中に入ると彼女の全身が窺えた。
 今日の服装はベージュのハイネックセーターに黒のミニスカート。
 いつも通りの簡素な恰好だけど、青川のミニスカ姿は初めて見る。
 青川はぼくを招き入れると、ドアに鍵をかけた。なんとなくいやらしい想像が頭に浮かんだ。
 今日は帰さないとでもいうような……
 もちろん青川がそう考えているかどうかはわからない。
 しかし彼氏を家に呼んでおいて、まさか何もないと思っているわけでもないだろう。彼女は結構積極的だし。
 ぼくだって期待くらいはするわけで。
「えっと、おじゃまします」
 用意されたスリッパを履き、家に上がる。長い廊下が奥まで続いている。
 青川が頭を下げてきた。両手を前に重ね、恭しく礼をする。
「あー……なんか似合うね、そういうの」
 思ったことをそのまま口にすると、青川は首を傾げた。
「いや、この家が洋風だからかな? そういう仕草がしっくりくるというか」
 怪訝な顔をされた。住んでいる本人にはわからないのだろう。
 わからないなら別にいい。本当はメイド服とか着たら完璧だとも思ったけど、それは口には出さなかった。
 代わりに言ったのは別のことだ。
「あの、今日は家族の人は?」
 やっぱり付き合っているのだから、しっかり挨拶したい。
 ところが。
「……」
 青川は小さく首を振った。
「……えっと、ひょっとして」
「……」
 頷く彼女。うっすらと頬が赤いような。
 誰もいないのか、今日。
「もっと早く教えてよ。せっかくおみやげあったのに」
 高校生らしくないかなとも思ったけど、一応買ってきたのだ。
 右手のビニール袋を掲げる。中にはバタークッキー十二枚入りの箱。

「……驚かせようと思ったの」
 今日初めて青川が口を開いた。
 上目遣いにこちらを見つめてくる。ごめんなさい、と控え目ながら目で訴えてくる。
 ……なんかかわいい。
「い、いや、別に怒ってるわけじゃないよ。ちょっと残念だっただけで」
「……?」
「やっぱり挨拶したかったから。彼氏です、ってはっきり言いたかったというか」
「――」
 青川の顔が真っ赤になった。
 別に狙って言ったわけじゃないけど。
 こうした反応を見せてくれるようになったということがなんだか嬉しかった。
 それにしても……
「……」
 青川がこっちを見ている。
 広い家に二人っきりという状況に胸が高鳴る。
 一ヶ月前の告白のとき以来、ぼくは彼女を抱いていない。
 期待してもいいんだろうか。
「青川」
 ぼくは青川の名を呼んだ。
「――部屋、見たいな」

      ◇   ◇   ◇

 彼女の部屋は二階にあった。
 八畳間の広い空間。窓側にベッドが置かれ、机は枕元のすぐ横にある。
 本棚はその隣。教科書やノートが上段に、漫画や小説が下段に綺麗に並んでいて、几帳面にさえ映る。
 ベッドを見ると、大きなペンギンのぬいぐるみがあった。ほとんど球体に近いかわいらしいデザインだ。
 抱き枕?
 ベッドに腰を下ろしてしばらく部屋を見回す。
 なんというか、おとなしい部屋だと思った。片付いているせいだろうか。
 ベッドとは反対の側にクローゼットがあった。中には青川の服がたくさんはいっているのだろう。
 ……何か隠していたりするのだろうか。

 コンコン。

「!」
 ノックの音がぼくの意識を引き戻した。慌てて返事をすると、開けて、と小さな声が返ってきた。
 ドアを開けると、お盆を持った青川が立っていた。紅茶の入ったカップが二つ、盆の上に並んでいる。
 青川はお盆を机に置くと、カップの一つを寄越してきた。
「ありがとう。……何してるの?」
 青川はなぜか紅茶そっちのけで、机の中を探り始めた。
 探し物はすぐに見つかったようだ。
「……ああ」
 振り返った彼女の手にはぼくが貸したDVDがあった。
 中には衛生放送で放映された総合格闘技の試合が収められている。
 彼女はこう見えて格闘技が大好きで、本人も柔術をやっている。
 付き合うきっかけになったのもたまたま一緒に観戦した格闘技の大会だった。
 最近は女の子も格闘技を観るらしいけど、青川の目はかなりマニアックなものだと思う。
 KOや一本の動きよりも、足捌きや寝技でのポジショニングを熱心に観る女子高生を、ぼくは他に知らない。
「おもしろかった?」
 尋ねると青川は楽しそうに笑んだ。
「他の大会のもあるから、今度また持ってくるよ」
 こくこく首を縦に振る青川。

 紅茶を一口すする。温かく甘い香りが心地好い。
 青川もぼくの隣に座って紅茶を飲む。ベッドの縁に腰を下ろしながら、ぼくらはほう、と一息ついた。
「……」
「……」
 静かな時間。
 何か喋らないと。ぼくは話題を探す。
「!」
 そのとき、青川がぼくの左手に触れてきた。
 そのままもたれかかるように腕を抱き締める。柔らかい胸がむにゅりと上腕に当たった。
「あ、青川?」
「……二人っきりだね」
 囁く声は猫のように甘い。
「……耕介くん」
「な、何?」
「……抱いてくれるよね?」
「え?」
 ぽつぽつと青川は囁く。
「……あの日から抱いてくれなくて……さびしかった」
「青川……」
「今日は……たくさんして」
 溜まった想いを吐き出すように、青川は訴えてくる。
 ぼくはそんな彼女をとても愛おしく思い、体を正対させて優しく抱き締めた。
「青川……」
「……ん」
 彼女の頬に右手を添え、ぼくは顔を近付ける。
 唇が触れた瞬間、青川は身を任せるように目を閉じ、体の力を抜いた。
 脱力した体を抱き締め、ぼくは青川の綺麗な唇を強くむさぼった。
 真横に結ばれた入り口を舌でノックする。あっさりと扉が開き、相手の舌に出会う。
 ぼくは絡ませるように舌をねじ込んだ。まるでナメクジのようにねっとりと、舌同士が絡み合う。
 溢れ出てくる唾液はやたら甘い。錯覚だろうけど、シロップのような甘さを感じた。
 このままベッドに押し倒そう。ぼくは青川の体にゆっくりと体重をかけた。体が傾いで、互いに横に、

 ――ピーンポーン

 ベルの音が玄関から響いてきた。
 ぼくははっとなって動きを止める。
「……誰か来たよ?」
「…………」
 青川の顔が不満そうに曇った。
 ぼくは体を離して彼女と距離をとった。まさか出ないわけにもいかないだろう。目線で青川を促す。
 渋々といった様子で青川は立ち上がった。
 そのまま部屋を出ていく。邪魔をされたことに彼女は少し怒っているようだった。
 そんなにぼくとしたいのだろうか。
「…………」
 手持ち無沙汰になったぼくは机の上のお茶受けに手を伸ばした。
 チョコチップのクッキーは甘いキスの後ではほんのり苦かった。

      ◇   ◇   ◇

 五分程経って青川が戻ってきた。
「なんだったの?」
「宅配便」
 簡潔に短く答える。そしてすぐにぼくに抱きついてきた。
「わっ、ととっ」
 なんとか受け止める。構わず青川はぼくの唇を自分ので塞いだ。
「――」
 なんだか焦っている。どうしてだろう。
 唇を離すとぼくは青川に問いかけた。
「そんなに焦ってどうしたの?」
「……」
「ぼくは逃げないよ。だから慌てる必要なんてないんだ」
「……」
「だからその……」
「……怖いの」
 ぽつりと、彼女は呟いた。
「え?」
「耕介くんが……私に飽きたんじゃないか、って……」
「――はあ?」
 何を言っているのだろう、彼女は。
「なんでぼくが青川のことを飽きるんだよ」
「だって……ずっとしてくれなかったから……」
「……」
 抱いてくれなくて不安になった。
 飽きられたのではないかと危惧した。
 だから積極的に迫った。
 なるほど。理由はわかった。でも、
「……ぼくが青川のことを飽きるなんてありえない」
 青川はわかってないのだ。ぼくが、どれだけ君に惚れているか。
「タイミングが合わなくてなかなかできなかっただけだよ。本当は、ずっと君を抱きたかった」
「……」
「どっちかっていうと、ぼくの方が怖かった。下手に迫ったら嫌われるんじゃないか、って」
「……」
「でももう怖がらないよ。だって――青川もぼくと同じ気持ちだったことがわかったから」
「……」
 青川はうつ向き、何事かを呟いた。はっきり聞き取れず、ぼくは彼女の肩を掴んだ。
「何か言った?」
「……」
 青川は答えなかった。ただ再び顔を上げたとき、双眸からうっすらと涙が流れていて、ぼくは軽く息を呑んだ。
 客観性はまったくないかもしれないけど、彼女の泣き顔はとても綺麗だと思った。
 ぼくは彼女の涙を舐めるように、目元に唇を這わせた。
 塩辛い味の涙は温かく、染み込むように口内に広がる。
 ぼくはそのまま彼女の頬にキスをした。くすぐったそうに青川は目を細めた。
 愛しさに突き動かされるようにぼくは青川の唇を奪った。
 吸い付くように強く口唇を重ね合わせると、青川もそれに応えてくれた。舌を絡めながら、ぼくらはベッドに倒れ込んだ。
 体に押されてペンギンが床に落ちる。ぼくは無視した。今はこっちを抱くのが先だ。
 青川の不安を吹き飛ばすくらいに、精一杯愛し抜こう。ぼくは内心でそう決意した。

      ◇   ◇   ◇

 セーター越しにやわやわと胸を揉む。それなりに張りのある乳房は服の上からでも柔らかい。
 青川は肩を震わせながら愛撫に耐えている。
 セーターを捲り上げると、水色のブラジャーが露になった。その上から頂点付近に指を這わせる。
 震えが一瞬強くなった。乳首を狙ってぼくはブラジャー越しに吸い付いた。
「……んっ」
 口から呼気が漏れた。敏感に反応する様子がたまらない。
 両手で双房を鷲掴みながら、ブラジャー越しに乳首を舐める。
 直接刺激しないことが逆に情欲を煽り立てるようで、青川は焦れったそうに体をくねらせている。
「んっ……あ……んん……」
 胸から下に顔を移動する。真っ白な腹からへその辺りを丹念に舐めると、青川はぼくの頭を小さく叩いた。
「い……じわるぅ……」
「ちゃんと触ってほしい?」
 弱々しく頷く青川。
 リクエストに応えようと、ぼくはミニスカートに手をかけた。
 短い裾を捲ると上と同じ色のショーツが見えた。
 既に薄い下着は濡れ始めていた。股間から牝の匂いが立ち込める。
 ショーツを脱がすとぬらぬらと濡れすぼった秘唇が露になった。
 指を伸ばす。触れた瞬間青川の体が強張った。
 縦の割れ目に沿ってなぞる。染みだす愛液が指先にまとわりつき、透明な橋を秘所と指先に作った。
 人差し指を中に侵入させてみる。
「あっ!」
 短い悲鳴が上がった。ぼくは反応に気をよくして、さらに奥に差し入れる。
 中はまるで温泉のように熱く、うねうねとナマコのように動いた。
 側面をなぞり上げるとその動きはますます活発になった。
 ぼくはしばらくその感触に酔いしれた。肉壷をぐちゅぐちゅとかき混ぜる。
「あっ……あんっ、やぁんっ、だめ、こ……すけ、く……あぅんっ」
 青川の悩ましげな喘ぎが部屋の壁に反響する。
 これ以上はもたない。青川じゃなく、ぼくが。
 早く繋がりたいと切に思った。
 この愛液でだらしなく弛緩した肉壺に、自分の逸物を突き入れたい。
 ぐちゃぐちゃに突き入れて、彼女を淫らに喘がせたい。
 ぼくはジーンズを一気に脱ぎ下ろし、トランクスから怒張した性器を抜き出した。
 そのまま一気に繋がろうと腰を下ろすと、青川が両手を突き出してきた。
「ダメ……」
 荒い息遣いの中で予想外にはっきりした声だった。ぼくは虚を突かれて固まる。
「服……」
 服?
「脱いで……」
「……」
 ちょっと意表を突かれた。
 でも言いたいことはわかる。このままやったら服はぐしゃぐしゃになるだろうし。
 ぼくは急いでシャツと肌着を脱いだ。トランクスも脱ぎ去り、十秒で全裸になる。
「……」
 次いで彼女の服も脱がせていく。
 こちらはさすがにすぐというわけにはいかず、二分近くかかってようやく全ての衣服を剥ぎ取った。

 生まれたままの姿になったぼくらは、ベッドの上で向き合う。
 ジーンズのポケットから用意したコンドームを取り出す。前は着けなかったけど、やっぱりこういうことはしっかりと、
「……着けなくていいよ」
 固まった。
「……それは」
「……ピル飲んでる」
「……っ」
 ぼくは思わず生唾を呑んだ。
 青川の裸体が横たわっている。呼吸の度に胸が上下している。
 コンドームを併用した方が避妊効果は格段に上がる。
 でも青川の申し出は、そんな理性を跡形もなく剥ぎ取ってしまうくらいの威力を持っていた。
 一ヶ月前の感触を思い出す。生で味わった性の快感。
「……今日だけだよ」
 残った理性の欠片で精一杯の返事をすると、青川は見透かすように小さく笑った。


 青川の熱っぽい視線がぼくの体を下からねめつける。
 それから顔の方に視線を固定し、まっすぐぼくの目を見つめてきた。
 ぼくもまっすぐ見返す。想いをぶつけるように、まっすぐ。
 改めて腰を落としていく。逸物を青川の大事な所目がけて、突き出していく。
 亀頭が割れ目にゆっくりと埋まっていく。粘液がくちゅ、と微かな音を立てた。
 性器同士が徐々に合体していく。襞々が剥き出しの肉棒に絡みつき、強烈な刺激を与えてくる。
「んんっ……ああぁっ……!」
 青川のきつそうな声が耳を打つ。まだまだ経験の少ない彼女には辛い行為だろう。
 だからといってやめる気は毛頭ない。
 肉棒が全て膣内に埋まると、ぼくはしばらく動きを止めた。
「きつい?」
 青川は首を振った。
「痛かったりしないの?」
「……気持ち、いい」
「本当に?」
 尋ねると、青川は不思議そうに呟いた。
「こーすけくん……だからかな……?」
「――」
 好きな人だから気持ちいい。
 そんな幸せな感覚が彼女を、そしてぼくを覆っている。
 こんなに満たされた気持ちになるのは、青川とじゃなければありえないと思う。
 それはきっと、青川も同じだ。
「文花……」
 腰を動かしながらぼくは初めて彼女の下の名前を呼んだ。
 青川は――文花は、ひどく驚いた顔でぼくを見つめてきた。
「……愛してる。文花はぼくのものだから。ぼくだけが文花を好きにできるんだ」
「……」
 文花は華やかな笑みを浮かべると、ぼくの背に両手を回してしがみついてきた。
 強く密着し合う体。柔らかい体の感触はどこまでも温かく、酩酊しそうなほど心地好かった。
 激しく腰を叩きつける。文花の真っ白なお尻にぶつかる度に叫声が起こる。
「んっ……んっ、うんっ、あっ、あんっ……」
 膣内の締め付けはとろけそうな程気持ちいい。
 きついのに抵抗がないというのは不思議な感覚だった。
 文花の柔肌がぼくの性欲をむちゃくちゃにかき立てる。
 お互いの性器をいやらしく擦り合わせれば擦り合わせる程、ぼくらの体は悦楽に浸っていく。

 手加減なしにひたすら突き入れていると、やがて限界が訪れた。
「……は、あっ……こ……すけく、……んむっ!?」
 悶える文花の唇を不意打ちで奪う。
 唇を、胸を、腰を、全身を密着させて、ぼくは彼女の体の感触を貪った。
 男根の奥からこみ上げる衝動。それをぼくは遠慮なく奥に吐き出した。
「んんっ……や、ああああああ……ん……あっ」
 精液を一番奥に送り込みながら、ぼくは腰をぐい、ぐい、と押し付ける。
 膣内の粘膜に擦りつけるように、精液をどくどくと流し込み続けた。
 絶頂を迎えたのは文花も同じだったようで、体が跳ね上がるように震えていた。
 ぼくの精液を奪うように下から腰を押し付けてくる。ぼくもそれに応えて、互いに下半身を押し付け合った。
 衝動がようやく収まり、脱力感が全身を襲った。ぼくは文花と繋がったまま、体重を彼女に預ける。
「は……」
「……」
 息遣いを間近で感じながら、ぼくは彼女の放心した顔を見つめた。
「耕、介くん……」
 息も絶え絶えにぼくの名を呼ぶ文花。ちょっと重いのだろうか。
 その顔は風邪をひいたように熱っぽく、赤い。潤んだ瞳は宝石のように綺麗だった。
「……大好き」
 小さな呟きがぼくの脳を揺さぶった。
 そんなこと言われると……
「文花」
 ぼくは体を起こし、繋がったままの腰を再び動かした。
「あっ」
 ゆっくりとピストンを再開する。出したばかりなのに、逸物はもう硬さを取り戻していた。
「んん……ダメェ……」
 か細い声で文花が抵抗する。でもぼくに止まる気は全くなかった。
「たくさんしてって言ったのは文花の方だよ?」
「そ、そうだけど……」
「ごめん文花、もう一回だけお願い。あと一回だけだから」
「……」
 黙り込む文花。
 スイッチの入った欲望を止めることなどできなかった。釘を打つようにぼくは男性器を中に突き入れていく。
「……もうっ……ばか」
 諦めたように文花はぼくを抱き締める。
 受け入れてくれた様子を見て、ぼくは心置きなく彼女の体を愛し始めた。

      ◇   ◇   ◇

 一時間後。
 ぼくらは青川家のお風呂場にいた。
 お湯の張った浴槽の中で、ぼくらは一緒になって体を沈める。
「温かいね」
「……」
 ぼくは彼女の体を後ろから抱えるような姿勢だ。しっとりと濡れた黒髪が目の前で輝いている。
 ちょっと狭いけど、こうして一緒にいるだけでぼくは嬉しかった。
 文花もどこか嬉しげで、その顔に小さく微笑を湛えている。
 ちょっと意地悪をしてみる。
「ねえ。……ここでしたい、って言ったらどうする?」
「!?」
 文花が驚いたように振り向いた。お湯がその勢いに押されて浴槽から溢れた。
「イヤ?」
「…………」
 のぼせたように真っ赤になる。倒れてしまうんじゃないかと心配になるくらい、彼女は赤面した。
 かわいいな、本当に。ずっとこうして一緒にいたい。
「文花。まだ怖い?」
「……」
 彼女は答えない。
 不安を取り除くことができたのだろうか。ぼくは後ろから文花を抱き締める。
 そのとき、文花が言った。
「……まだちょっとだけ、怖いかも」
「……あー、えっと……」
 そんなことを言われたら、どうすればいいのだろう。
「……まだぼくのこと信用できない?」
 文花は首を振る。
「そうじゃなくて……耕介くんのこと、もっともっと好きになっちゃいそうで……気持ちを抑えられないのが、怖いの」
「…………」
 熱っぽく語る彼女らしからぬ様子に、ぼくはぞくりとした。
 怖いんじゃない。嬉しいんだ。
 ぞくぞくと興奮する程に嬉しいんだ。
「そんなこと言われたらもっと好きになっちゃうよ?」
「……じゃあもっと言う」
 文花は体の向きを変えて、こちらに相対した。
「好き……大好き。耕介くんが、大好き」
 タガが外れっぱなしなのか、文花は何度も言葉を重ねた。
 嬉しすぎて困る。これに応えるにはどうすればいいのだろう。
 ぼくにできることなんて一つくらいしかなかった。
「……じゃあもっと好きになってもらえるように、ずっと一緒にいるよ」
「――」
「そうしたら文花はぼくのこともっと好きになってくれるだろうし、ぼくももっと文花のこと好きになれる」
「……」
「それでどうかな?」
 なんかずいぶん恥ずかしいセリフだけど、これくらいが彼女にはちょうどいいと思う。
「…………」
 うつ向く文花。
 湯けむりの中で、やがて彼女は微かに頷いた。
 顔を上げたときにはもうその目に不安はなく、文花は花のように綺麗な笑顔を咲かせていた。
 そんな彼女に向かって、ぼくは改めて小さく言葉を贈った。


 これからもよろしく――



前話
作者かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
2008年02月29日(金) 02:31:42 Modified by mukuchihokan




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