2chエロパロ板の「井上堅二 バカとテストと召喚獣でエロパロ」の作品をまとめたサイトです。

ガラガラ
普段あまり使われてない特別棟にある準備室のドアを開ける。
中に居た人物は嫌な笑みを浮かべながらこっちを見ていた。
「貴方は……Fクラスの吉井君よね。このふざけた写真を机に入れたのは貴方なの?」
こっちの話を聞いていないかのように笑みを崩さず、口も開かない。
「一体どういうつもりなのよ。何が目的なの?」
問いかけを無視して、ニヤニヤと品の無い表情を浮かべ続ける。
「……ッ!! なんなのよ! こんな写真見せて何をするつもりか聞いてんのよ!」
アタシが声を荒げても何もなかったようにして、ゆっくりと口を開いた。
「……本当に見れば見るほどそっくりだよねぇ、秀吉とさ」
「くっ…………!」
……やっぱり。あの写真の意味は想像の通りだった。

とある日の朝、登校してきて机の中を確認したら封筒が入っていた。慣れてるとまでは言えないが似たようなことはあった。
おそらく告白のための呼び出しか、はたまた時代遅れ気味の情熱込めたラブレターか。
どちらにしてもあまり興味は湧かない。手紙なんてものを使うということは、大して面識もない相手が多いからだ。
ほとんど意識もしてない、どういう人かもよく分からない人の告白を受け入れるつもりはない。
面倒だな、なんて思いながら封を切り中身を確認すると、予想していた二つ折りの手紙と――
予想もしていなかった写真が数枚出てきた。
「何よこれ……」
中から出てきた写真の中の人物は露出の激しい服装で、扇情的なポーズをとっている。
いくつか衣装を替えて、カメラに向かって媚びるような表情を作って……その辺の雑誌のグラビアなどよりは明らかに性表現が露骨だ。
ただそれだけならいい。くだらない悪戯だと写真を破り捨ててさっさと忘れてしまえばいい。
しかし……、写真の中でポーズをとっている人物は……アタシと全く同じ顔を持つ双子の弟だった。

「何やってんのよアイツは……」
これまでも散々注意したことはあった。男のくせに女性用の衣装を着たりすることを幾度も咎めてきた。
しかしこれは訳が違う。万が一この写真を他人が受け取れば、どういう目で見るか……。
下の服を脱いでいる写真もあるが、前から撮られているものは一枚もない。
胸元もどういう仕組みかは分からないが、肌色の膨らみが見えていて……少なくともこの写真だけを見て判断するなら……女性にしか見えない。
一瞬寒気がした。絶対にありえない事が頭をよぎった。それほどにこの写真の人物は自分と……。
「……ふざけないでよ」
こんなものを撮って何をするつもりなのか。いったい誰がこんな真似を……。
写真と一緒に入っていた折りたたまれている手紙を開く。
『この写真のことを知りたかったら放課後、別棟の三階にある準備室まで来てね。』
簡潔な内容で差出人の名前などは無い。
どうする……。先生に持っていく? ……こんな写真を持って?
「行くしか……」
写ってるのは秀吉だし反論の余地もある。それにこんなくだらないことをした奴を引っ叩いてやりたい。
「誰だか知らないけど……、こんな真似許さないんだから」

「封筒に入れた分だけじゃなく、他にもいっぱいあるんだよね」
そう言って、吉井君はポケットから写真の束を取り出し床にばら撒く。
床に視線を向ける。封筒の中身と似たような写真が数十枚はある。……吐き気がしてくる。
「……この写真どうやって撮ったわけ? 大方あのバカを言いくるめたんでしょうけど」
「言いくるめる? はは、まさか。普通にお願いしただけだよ、写真撮らせてってね」
「こんな写真を? そんなの……」
「秀吉は僕の言う事なら何でも聞いてくれるからね。もちろんご褒美もあげたけど」
「はぁ? ご褒美ってまさかアンタたち……、ッッ!」
あぶなっ……変な想像が……。
「さすがに気づくのが早いね。そう、秀吉は僕の性奴隷みたいなものなんだよ」
「え……な、何言って……」
「多分、木下さんが想像した通りの意味さ。秀吉の体で性欲を発散しているんだよ」
性……奴隷? 何を言ってるの? そんなことが現実にあるわけ……。
「あれ? 信じられないって顔してるね。……意外だなぁ」
吉井君が携帯を差し出して画面を見せてくる。
「なによ……これ……」
画面に写っていたのは秀吉だ。カメラに向かって上目遣いで、舌を出して舐めているのは明らかに――
バシッ!
「うわっと」
見ていられなくて、吉井君の携帯を持っている手を払いのけた。
「こんなの……アタシには関係ないでしょう! アンタ達のことなんて知ったことじゃないわ」
この二人がどんな関係だろうがアタシには関係ない。携帯を拾い上げた吉井君を睨み返す。
「へぇ、弟の事を関係ない……か」
「……なによ?」
「ま、それもそうだね。それより本題に入ろうか」

また元の嫌な笑みに戻る。……嫌悪感が増していく。一刻も早くこの場から立ち去りたい。
「まあ、いろいろあって秀吉とこういう関係になった訳だけどさ」
「……異常ね。頭おかしいんじゃないの」
「ははっ、ひどい言われようだね。同性同士のカップルなんて普通にいるもんだし、そういうのが好きな人もいるらしいのにさ」
「……ッ、そうじゃないわよ。性奴隷なんて考え方がおかしいって言ってんのよ」
「あ、そっか。初めてしてから秀吉が意外とハマっちゃってさ、それに僕も」
「そんな話聞く必要ないって言ってるでしょ、頭悪いわね。用が無いなら帰りたいの。アンタ達のことなんか心の底からどうでもいいのよ」
もう一度強く睨みつける。しかし、アタシの言葉も視線も特に気にした様子もなく、また口を開いた。
「うん、じゃあ簡潔に。――木下さんにも秀吉と同じことをしてもらおうと思うんだ」
「断るわ」
アタシの言葉に初めて吉井君が目を見開いた。おそらく予想していなかった返答だったのだろう。

「即答って……驚いたよ」
「わざわざこんな下らない写真を見せて、こんなとこに呼び出す下衆男の考えなんて簡単に予測できるし、考えるまでもないことだわ」
「そっか、そこまで察しがついてるんなら、断った時に僕がなんていうか分かるよね?」
「…………」
……大方、写真をどうにかするって話なんだろう。ただ、下手に出るつもりはない。
「ふん、好きにしたらいいじゃない。そんな写真見ても、大抵の人はアタシじゃなくてあの馬鹿だって分かってくれるわ」
「…………」
「そうなれば、秀吉と貴方の関係はご破算。アタシはこの手紙を持って、職員室でも警察にでも今日の事を話しに行くわ。そうすれば……」
「ふふふ……」
「……なによ?」
「考えが甘いよ、木下さん」

「どういう……ことよ」
立っているのに疲れたのか、吉井君が適当な椅子を引っ張り出して座る。その動きから目を離せない。
「校内に、この写真はばら撒くつもりはないよ。木下さんの言う通り、あまり意味は無さそうだしね」
「ふん、だったら……」
「だから、ネットでばら撒くつもりさ。みんなに見てもらえるようにね」
「く……」
確かに、不特定多数に向けて発信されるのは不味い。でも、そこまでなら想定内だ。
「……やってみればいいじゃない。それで一生を棒に振るのはどっちかしらね」
「随分余裕だね。一度インターネットで広まれば、回収は不可能になるのに」
そうかもしれない、でも……。
「そこまでやれば貴方も退学程度じゃ済まないわ。心無い人に嫌な視線向けられるのと、犯罪者として一生を過ごすの、どちらがマシかなんて一目瞭然ね」
本心なんかじゃない。もし、吉井君が言葉どおりに行動したらと思うと……身の毛がよだつ。
ただ、この卑怯な相手に弱みを見せることだけはしてはいけない。強気に、自分の行動など無意味だと思わせるしか……。
「そうだね。このご時世こんな画像程度ありふれてるし、ただ画像をばら撒いただけじゃ効果は大きくないだろうしね」
「……何が、言いたいのよ」
「ただばら撒くわけじゃないってことだよ。ねえ木下さん、文月学園のプロモーションビデオのこと覚えてる?」
「……それがなによ」
「あの映像って結構有名なんだよね。文月学園っていろいろ注目されてるからさ」
椅子に座ったままこっちを見据えてくる。自分の優位を疑わない目で。
「そういえばあの時は、秀吉と入れ替わってたんだってね。歌が苦手なんて可愛らしいね」
「……余計な話はするなって言ったでしょ」
「はは、ゴメンゴメン。つまり、何かしらで木下さんのことを見たことがある人ならこの写真にも興味がわくんじゃないかと思ってさ」
「なっ……」
「映像を見れる所に写真と名前を載せていろんな人に見てもらってさ。あ、携帯の画像も一緒に並べとこうか。それで……」
『この娘、優等生っぽいけど頼めば簡単にヤラせてくれる淫乱娘だよ! 僕もコスプレ姿でのご奉仕を頼んだらあっさりOK。かなり楽しめたよ!』
「……とでも書いたらどうかな? 果たして嫌な視線程度で済むかな?」
「ふざけないで!! そんなことをしたら貴方だってただじゃ……」
「僕の友達に機械に詳しい人がいてね、発信元を特定されにくくする手段を教えてもらったんだ。だから僕の心配はしてくれなくてもいいよ」

……まずい。こんなの本当に洒落じゃ済まされない。コイツが捕まるかは分からないけど、少なくともアタシの生活は……。
「それにね、写真はそれだけじゃないんだよ」
「えっ……?」
「さっき、『この』写真は校内に撒かないって言ったけど、こっちの写真は校内に広めるつもりなんだ」
そういって取り出した写真には秀吉ではなく、正真正銘アタシが写ってる。Tシャツと下着姿でソファーに寝っ転がって手には……。
「家では結構ずぼらなんだね。それに……なかなかいい趣味を持ってるみたいだね」
「この写真……あの馬鹿!!」
「まあまあ、秀吉は一応嫌だって言ってたんだよ? 断るなら二度としてあげないって言ったら、すぐに折れたけどさ」
いかにも楽しそうに笑う。なんで……なんでここまでするの……?
「見知らぬ他人から下手すれば襲われる……、見知った人には異常性癖がバレて……随分楽しい学校生活を送れそうじゃない?」
「や……めて」
「転校したとしても、文月学園から来たことがバレれば無駄になるだろうね。だから、諦めてくれないかな?」

そう言って、吉井君はこっちに近づいてきてアタシの頬に手を伸ばしてきて……。
「んっ……!」
そのまま唇にキスしてきた。一瞬頭が真っ白になったが、すぐに正気に戻って突き放す。
「やっ……、なにすんのよ!」
「っとと、さっき言った通りだってば。具体的に言ってほしいの? それとも……まだ断るつもり?」
チラッと目線を写真に向ける。それが意味するのは……でも。
「でも……こんなの絶対嫌よ……」
「ねえ、木下さん」
また同じように頬に手を添えてくる。一瞬身構えたが、さっきと違ってそのまま言葉を繋いできた。
「別にさ、変態的な要求するつもりもないし普通にするだけだからさ。いい加減受け入れてよ」
ふざけるな。するだけ? 受け入れろ? そんなことできるはずが……。
こっちの気持ちなどお構いなしに、吉井君はアタシの胸に手を伸ばしてくる。
その意図を理解して、払いのけようと手を上げかけた途端に、
「動かないで」
余裕の態度を崩さなかった吉井君が初めて感情を露にした。ここに来て初めて聞いた声色。苛立ちを抑えきれない様子で続けて口を開く。
「これ以上抵抗するようならもう終わり。その時は写真をばら撒くよ」
「……ッ!」
そのまま胸へ伸ばしてくる吉井君のその手を――アタシは止めることができなかった。

「やっぱり女の子の体っていいよね」
制服の上から胸を触りながら言ってくる。
「……痛っ」
「っと、ごめん大丈夫? 力入れすぎたかな」
「あ、…………」
吉井君の事が分からない。元から親しいわけじゃなかったけど、少なくともこんなことをする人には見えなかった。
今のような相手を気遣う言動も、最低な行為をしているのも事実で……。
「んー、じゃあ上を脱いでくれる?」
「そんなこと……」
「服脱がなきゃできないでしょ。ね?」
口調こそ強くないが、言外に拒否は許さないという意思が伝わってくる。
「……」 スッ プチ プチ
ブレザーのボタンを外して脱いで床に置いた後、ネクタイを緩める。
しかし、それ以上手を進められなくなった。どうしても抵抗感が拭えない。
そのまま躊躇していると、吉井君がブラウスのボタンに手を伸ばしてきた。
「ちょ、ちょっと」
「あんまり時間あるわけじゃないからね。待ってる暇はないんだよ」
「わかった、脱ぐ、脱ぐから……」
残ったボタンを外して、袖から手を抜く。吉井君はアタシの手からブラウスを乱暴に奪って、後ろに放り投げる
下着だけになってしまった上半身を両腕で抱えて必死に隠そうとしたが、すぐに意味をなさなくなった。
「ブラジャーは自分で外せる?」
「えっ、そんな」
「じゃあいいよ。ちょっと動かないでね」
そういって正面から抱きしめるような体勢になる。背中に触れる吉井君の手の感触に気づき声を上げようとした時には、すでにホックが外されていた。
「やっ、やだ!」
「うーん、やっぱり服の上からの感触とは違うねぇ。」
無遠慮にまた胸を触ってくる。さっきまでと違って直接肌に吉井君の手が触れて……。
「ひゃっ!」
「ん? くすぐったかったかな」
アタシが胸元に集中してる間に、首元に口づけられ思わず声が出た。
「んっ、やっ、こんなの……」
「でも、ホントに肌きれいだね。秀吉もきれいだったけど、それとも違うんだよなぁ」
胸を弄る手を止めず、首から肩にかけての部分に吸いついてくる。
「んん、やめて、吉井君……」
「それは無理だよ。なんかこうして触れてるだけで気持ちいいんだもん」
「んっ!」
唇を離さぬまま、胸の触り方を変えてくる。
さっきまでの全体を揉むような動きをやめて、胸の頂点に指先で刺激を与えるようにいじりまわしてくる。

「やっ、あぁん」
「結構反応いいね。木下さんは自分でしたりするの?」
「そんなのするわけ……ひゃ! え!?」
肩の辺りから移動して、今度は胸に口をつけてくる。
「んん……、な、なにしてるのよ!」
「ふぇ? ふふぇをなめふぇるんだふぇろ」
「やあっ、離してから喋ってよ!」
「ふぇー、れもなぁ」チュパッ
「ふひゃっ!」
否応なしに体が反応する。
正直な話、アタシはそこまで純情な女の子じゃない。世の女性がどうなのかは知らないけど、自分で自分を慰めたことくらいはある。
行為自体は不快に思っていても、刺激を与えられると声も反応も抑えきれない。
「だめ、やめてよ……」
「そう言ってる割には……押しのけようとしないんだね。木下さん」
「ッッ! やっ、ちがっ」
無意識に吉井君の頭を抱えこもうとしていたことに気付いて手を戻す。
その間も吉井君はアタシの胸を唇で、舌で、吐息で弄ぶ。
「んっ! ふっ……はぁ」
「んー、ここはどうかな」ペロッ
「やぁっ、なんでへそなんかぁ……」
「気持ち良くない?」
「なわけないで……くぅぅ」
どうしても反応が抑えきれない。こんな状況で肌を直接舐められて、気持ちいいはずなんか無い。
けど、それでも……。
「……やばっ、ホントに時間無いな。んじゃ、そろそろ下も脱がすよ」
「えっ、いやっ、ちょっと」
宣言と同時に、力の抜けていた下半身に手を回されて、ショーツが太もも辺りまで下ろされる。

「やっ、やだ、やめて」
足に力を入れてその動きを阻害する。すると吉井君は何を言うでもなく、顔を近づけてきて……。
「あ……ふむっ!? ん、あ、ちゅぷ」
唇にキスをされる。それだけじゃなく、開いたままだった口から舌が入ってくる。
「んっ……ちゅ、はぁ…ちゅぱ、ちゅ、はぁ……ちゅぷ、はぁぁ……」
唇を吸われて、アタシの口の中を吉井君の舌が暴れまわる。
どうにか避けようとしても、狭い口内では舌の触れ合いを制限することはできない。
「はぁっ、む……ちゅっ、ちゅ」
ざらついた吉井君の舌が、アタシの舌に絡まり、唾液が音を立てる。頭に直接響いてくる卑猥な音に意識が朦朧としてくる。
「あむっ……ちゅぱ、あぁ……はぁ、あっ……!」
「スカートは……まあいいか。このままでも」
意識を逸らされているうちに、いつの間にか下着を脱がされていた。吉井君の手が守るものを失ったスカートの中に伸ばされる。
すっ、くちゅ
「んっ! 痛っ」
「あれ!? ごめんごめん」
無造作にいきなり指の先を入れられて痛みが走る。少し慌てたように謝罪の言葉を口に出す吉井君を見て……。
(違う! こんな考え……)
自分の思考を必死に頭の中から追い出す。こんなことされておいてこんなことを考えるなんて……。

「あっ、ん……んぅ」
さっきの反省か、表面をなぞるように触ってくる。
「少しだけ……濡れてるね」
「ん……」
くちゅ、くちゅ
表面から少しだけ中に指が入ると、僅かに分泌された粘液が音を立てる。
それがとんでもなく恥ずかしい気がして、耳を覆いたくなる。
「ん……ちゅっ」
「やっ、ん……あっ!」
秘所をいじる手は止めずに、再び胸に口をつけてくる。それも乳首だけを対象に、唇と舌で刺激を与えてくる。
「んっ、んっ、あ……だめ、だめ!」
割れ目をなぞるように動かしていた指は、いつの間にかゆっくりと中に侵入してきている。
先程と違って慎重に、それでも確実に。
その指使いが、痛みとは違う刺激を伝えてくる。
「ん、やあぁ、はっ、あぁ……」
少しずつ粘液の量が増してきて、音が大きくなる。ほんの少しずつ不快感が別の感覚に変わっていく。

「あっ、あぁ、んっ…………あ」
吉井君の指と口がアタシの体から離れる。そのまま上着を脱いで床に敷いて、アタシをそこに倒し、ズボンのベルトを緩めている。
「ごめんね。ちょっと準備足りないと思うけど時間も無いし、我慢もできないしさ」
そう言って、ズボンとパンツを下ろして下半身は裸になった。
一瞬、その股間にそそり立つモノに目線がいったが、すぐに目を逸らす。
吉井君はアタシの反応など特に意にも介さず、必死に閉じていた足に手をかけて広げようとしてくる。
望まない初体験への嫌悪が、さっきの何倍もあるだろう痛みへの恐怖が頭の中を駆け巡る。
少しは持っていた希望が、いつか好きな人と行うであろうと思っていた一生で一度の「初めて」への憧れが完全に砕かれる。

だから、この時のアタシは求めたんだろう。この状況を受け入れるための免罪符を。
……そんなもので、なにも救われなどしないことが分かっていても。
「ね、ねぇっ、吉井君。ちょっと待って」
「……いまさらやめないよ? 元々やめるつもりは無かったけど」
「ううん、違うの。そうじゃなくって……その、なんでこんなことしたの?」
吉井君が完全に理解ができないという表情をしている。
「ええと……この期に及んでそんなこと」
「だからそうじゃなくて、だって……秀吉とずっとしてたんでしょ?」
こんな事をされてる最中でも、時折見せる吉井君の気遣いが気になった。
最低な行為をしていても、なにからなにまで最悪な人じゃないはず。
「だったらなんでアタシにまで、その……こういうことしようとしたの?」
そう思い込んで、自分の為に吉井君を擁護して、この行為に及んだ何かしらの「理由」を見つけたかった。
いつか秀吉と入れ替わった時に感じた、吉井君の秀吉に対する態度を思い出して。
人からはよく女の子に間違えられる弟に対して、少なからず吉井君も同じように思っていたはず。
その秀吉になんでもさせられるようになっていて、不満なんて無かったはず。だから……。

「なにか理由があったんじゃ、ない、の……?」
喋りながら、涙が零れ落ちていくのを感じる。
覚悟なんて決められなかった。受け入れるしかない状況でも、受け入れられるはずがなかった。
そんなことはできないから、せめて……納得して諦めたかった。
女だったら誰でもいいとかそんなのじゃなくて、相手が木下優子だからこんなことをしたって言って欲しかった。
「ねぇ、答えてよ……」
いや、そこまでじゃなくてもいい。この際、秀吉とそっくりな顔をしてるからって理由でも構わない。
どんなにちっぽけでも、たった一つでいいからアタシじゃなきゃいけない理由があってくれれば――
それに縋って、仕方がないって言い訳して、この状況を、この後することを、諦められるんじゃないかと、……そう思ったのだ。
「まいったな……。泣かれても困るんだけどな」
そういって、制服のズボンからポケットティッシュを取って、一枚取り出してアタシの目元を拭う。
そうやって、とても根っから腐った人間とは思えないことをしながら、吉井君は
「でも、別に理由なんて無いんだよ。強いて言うなら脅迫材料が手に入ったからこうしただけかな。別に誰でも良かったし」
無邪気な残酷さで、アタシが最後に縋ろうとしたものを粉々に打ち砕いたのだった。

「んっ、はっ、ヒグッ、あっ、あっ、グスッ」
「すご……、気持ちいいよ、木下さん」
初めて秘所を貫かれた痛みも、流れ出る血も、アタシの中で暴れる吉井君の――の感触も、どこか他人事のように思えた。
「くっ、はっ、木下、さん、んっ」
「やっ、ああっ、んん…んっ! ちゅ、ちゅぱ、あむ」
腰を振りながら唇を合わせて舌を差し込んできた吉井君に、思考を放棄して応じる。
「んちゅ、ちゅ…ちゅぷ、んっ、はぁあ…ちゅっ、ちゅ」
ぐちゅ、ぬぽっ、ぐちゅ
少しずつ、痛みは薄れはじめて潤滑油が増えてくる。
それでも、愛撫されていた時に少しだけ感じていた痺れるような感覚を、今はもう感じない。
「ちゅ…ちゅぱ、ぷはっ、やっ、あ、んっ! はっ…あんっ」
「くっ、やっぱり、尻の穴とは、全然、感覚が、ちがうや」
「んっ、んっ、はぁっ、ちょ、ちょっと、つよすぎぃ…」
最初に入ってきた時から乱暴に突いてきたのに、ペースは衰えるどころかどんどん上昇している。
さっきまでの気遣いなんて微塵も見られず、ただひたすらに蹂躙されていく。
「くはっ、いいよ、木下さんの膣内、もうっ、我慢できなさそうだ」
「あ、あ、ひゃ、んっ、んぅぅ!」
スパートとばかりに腰を打ちつけられながら、痛いくらいに胸を掴まれる。
「っ、もう、出るよ、木下さん! 出すよ!」
「あっ、あ…んぁっ! やっ! あぁん! あっ、ああっ!」
どびゅ、びゅるっ、びゅっ、びゅっ
「あ、ああ、あ、あつ…い、な、中に、出て…」
胎内に放出された精液の熱さを感じて、
(……そういえば、避妊具、つけさせて、なかったわ、ね)
と、今更ながらに気づいたのだった。

パァン!!
「いってて……」
「このくらいは……いいわよね」
行為が終わって服装を直した後、吉井君の頬を一発引っ叩いた。
吉井君は、少し赤くなってきている頬をさすりながらも、文句は言ってこない。このくらいは許すつもりみたいだ。
避妊具の件については、緊急避妊薬を渡された。一緒に通常の経口避妊薬も渡されて、飲んでおくように、だそうだ。
男性である吉井君が持っていたことに少し驚いたが、秀吉に産婦人科に行ってもらったら、あっさり処方してくれたそうだ。
まあ、そんなことはどうでもいい。アタシにはもう一つしなければならないことがある。

「吉井君、お願いがあるんだけど」
「……これ以上殴られるのは勘弁してほしいんだけどな」
「アタシを、貴方の彼女にして」
「………………へっ?」
結局、最後の最後――全てが終わった後でもアタシは認められなかった。
アタシを何とも思ってない相手に、犯されて、奪われたことが。
だから、これが最後の妥協案。
「もしかして、木下さん僕のこと好きだったとか……?」
「面白くもない冗談言わないで」
アタシの真意を理解できないとでも言いたげに、目を見開かせてこっちを見る。
「理解しようとしなくていいわ。イエスかノーかだけ答えて」
それでも、口を開こうとしない吉井君に無理矢理決定させる。
「イエスなら今後もこの関係を続けていいわ。でもノーならこのまま職員室に駆け込んで全てを話す。その後どうなろうともね」
「いや……まあ、彼女を名乗るくらい構わないんだけど……」
「そ、それならいいわ。よろしくね。最低な彼氏さん」
アタシはそういって右手を吉井君の前に差し出す。だけど、吉井君は未だに訝しんでるみたい。
「理解しなくていいって言ったでしょ」
強引に、吉井君の手を引っ張って形式だけの握手を済ませる。
「じゃあ、今日はもう帰ってもいいわよね。さよなら」
「え、ああ、うん」
まだ呆けてる吉井君を部屋に残して、さっさと立ち去る。

既に日は落ちかけていて、もう校舎内に他の生徒の姿は見当たらない。
玄関に向かって歩きながら、頬を伝う涙を手で拭う。
「グスッ……ズッ」
目を押さえて無理矢理涙を止める。泣く必要なんかない。だって……「理由」は用意したから。
今日、アタシを犯したのはアタシの彼氏。……人間として最低なだけの。
今日みたいに学校で求められて、万が一誰かに見つかった時の言い訳。脅されて、奴隷なんて扱いを許容してるわけじゃない。
そしてなにより、……これから関係を持ち続ける自分への言い訳。
数年後、数十年後に思い出すのは、いいように弄ばれたことじゃなく、屑な男に引っかかっただけだと弁明するための。
そうやって、あの最低な男が飽きるその時まで――アタシは自分の心を騙し続ける。

このページへのコメント

アキくんはこんなことしない!!↑

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Posted by アキくん 2012年07月15日(日) 14:56:04 返信

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