2chエロパロ板の「井上堅二 バカとテストと召喚獣でエロパロ」の作品をまとめたサイトです。


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――――休み時間 文月学園Aクラス教室内

「……で、かいつまんで話をまとめると」
「日に日に募る土屋君への興味関心が頭から離れなくなって」
「……毎日夢にまで見るようになり」
「酷い寝不足に陥っている、と……」

「……お二人の言うとおりです」

 珍しく代表と優子から声をかけられた。
 原因は日に日に酷くなる腫れぼったい眼、赤くなる瞳。
 傍から見ればAクラスの授業についていくために夜も眠らず勉強して寝不足に陥っている勉学少女、という風に見えて心配してくれていたようだ。
 ……変に安心感を持たせようと大丈夫の一点張りをしていたら、詰問、尋問の雨あられの末、結局(一部)事実を打ち明ける顛末となってしまったのだけど……

「……土屋に対する思いは前々から見え隠れしていたけど」
「中々工藤さんも隅に置けないわね……いつ思いを伝えるのかは気になっていたけどさ」
「みなまで言うなぁーーーーーー!!」

 ……ボクのムッツリーニ君に対する思いは周りには周知の事実だったみたいだ。
 って、そんなに態度に出ていたのっ!? 意識していない所で感情って出るものなの!?

「まぁ、代表は坂本君に対してアレだとして、あなたも相当態度に出ているわよ?」
「……土屋の前だけ、凄く嬉しそうな顔している」
「うぇっ!? そ、そんなに!?」

 二人が追い打ちをかけるようにボディーブローを打ち込む。みるみる内にボクの顔からは湯気が吹き出しそうな熱を持つ。

「……じゃ、じゃあ……態度に出ているってことは……」
「「うん(ええ)、私たち以外にも周知の事実(よ)」」
「ぐはぁっ」

 ノックアウト。1ラウンド間もなく、ボクは机に突っ伏した。
 ボボボボボ、と顔から火が噴き出そうなほど羞恥に身悶えバタバタと足を動かす。
「……で、愛子はどうしたいの?」
「……と、言うと……?」
「土屋君との仲。このまま思いを募らせても生殺しでしょう? それこそ身体に毒よ?」
「……どうするもこうするも……」

 解決策があればとっくに行動に移している。
 ……というか、今までを振り返ると……

「……ボクは最初、ムッツリーニ君とはライバルの間柄でしか見られなかった訳だよ」
「……保健体育に関しては、確かに」
「まぁ、土屋とあなたの間柄に関して見ると最初は『ライバル』よね」
「それでいて、後々に恋心に変化するまで色々な事をしてきたわけで……」
「「……具体的には?」」
「……ご存じの通り、鼻血体質のムッツリーニ君の助平心を弄び、からかい続け……」
「「結局?」」
「思いを『恋人』に昇華させる機会が無くなった……って感じ」
「「………………」」

 事あるごとにボクはFクラスの皆とはしゃいだり、遊んだりしてきた。
 坂本君や吉井君、木下(弟)君、姫路さん、島田さん達とたくさんの時間を過ごしてきた。
 ムッツリーニ君も、大体その場所にはいた。だけど、決定的に違う事が一つある。
 彼は『ボクの初めての対戦相手であり、敗北を喫したライバル』というスタートだ。
 どうしても勉強の事が一番に来るし、これはボクの性格もある。いい方向に明るくふるまうおちゃらけた部分が、ムッツリーニ君を『一方的にからかう』風になってしまった。

「……愛子。今からでも遅くは無い」
「……代表……」

 羞恥と諦めに顔を俯かせるボクに代表が声をかける。
 まっすぐと見つめるその視線は何も嘘偽りのない真剣なまなざしだ。

「そりゃ、愛子は今まで土屋の事をからかってはきたけど、嫌な意味での“悪戯”ではないでしょう? それで恋を諦めるなんてもったいないと思うわ」

 優子も後に続く。この2年生として過してきた1年間をマイナスには捉えない。
 ムッツリーニ君との日々はボクとの間柄を近づけるものだと言いたそうな顔だ。

「……必要なのは勇気。如何に我儘になれるかが恋だと思う」
「……勇気?」
「……そう。私は雄二に対する我儘。自分に振り向かせる勇気があればいくらでもチャンスは巡るはず」
「少し愛子はこっちの方向じゃいつもの大胆さが欠けるわね……。もう少し踏み出してもいきなり道が崩落するなんて事もないだろうし、素直になってみたら?」

 素直、大胆、勇気。
 さっきまでのボクを思い返す。
 ボクはありもしない根拠で縛られ、行動に移せなかった。
 あの日の朝、お互いがお互いに恥ずかしい事を知っていると気づいた。
 内気なムッツリーニ君がこのままじゃ近づかないのは明白だ。
 なのに、なのに、ボクは勝手に自分の道を閉ざしていた。

「……勇気、かぁ……。参ったなぁ」

 光が見えた。
 臆する事は無い。ボクが近づけば、この思いも実れる……はず。
 必要なのは、勇気だ。

「臆病にもほどがあったね。まったく、何を悩んでいたのだか……」
「……愛子、いい笑顔」
「吹っ切れた、って感じね」

 腫れぼったい眼を光らせ、ボクは潤んだ瞳を気付かれないように拭う。
 自分の気持ちに素直に、か。

「……どうやって素直になろうかなぁ……。参ったよ、ボクはこういうセンチメンタルな空気はどうにも苦手でさ……」

 そもそもそんな空気が作れるなら問題はとうの昔に解決していたはずだ。
 具体的な行動を考えなくては。

「……季節柄」
「……あぁ、なるほど」
「へっ?」

代表と優子が視線を合わせる。答えを言わずとも二人の意見は一致しているみたいだ。

「どういうこと?」
「「バレンタインデー」」
「ひへぇっ!!?」

 ノックアウト2回目。行き場の無い両手はわしゃわしゃと空を切る。

「ちょ、ちょ、ちょっと待って!! いき、いきなりそんなセンチメンタルなテーマを課されても、僕にはハードルが高いというか、なんていうか!」
「あら? 代表も言っていたじゃない? 勇気って、自分の殻を破ることじゃないのかしら?」
「……愛子のこういうイベントの話題は聞いたこと無い」
「そ、そりゃ周りを見て楽しむってことはしていたけどさ! でも、いざ当事者になってバレンタインデーを迎えるなんて、その、えぇっと……」

 ぎ、義理チョコもあげたこと無いのに!!

「……手紙もつけてみるとい」
「それは無理ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 あ、あんな文章、ボクのキャラじゃない!! 以前書いたけど今度は発狂する!!

「まぁ、手紙はできればとして、吹っ切れたからにはいい機会じゃないの。バレンタインデーって言う大義名分は1年に1回しかないし、チャンスと思いなさいって」
「うぅぅぅ……」

 これはこれでまた違う恥ずかしさに悶える。あ、あぁいうイベントって興味が無かった訳じゃないんだけど、いやでも……

「……愛子。お菓子作りってした事ある?」
「えっ」
「そういえば。お料理とかの話って聞いたこと無いわね」
「そ……それは、実はあんまり……って、ちょっと待って!? 何!? 手作り!?」
「「当然」」

 もうノックアウトも出来ない。不戦勝。ギブアップ。首をブンブンと振って慈悲を求める。

「無理無理無理!! お菓子作り初心者が手作りって!!」
「……土屋も手作りが喜ぶはず」
「だっ、代表!! ホント、勘弁して!! 絶対一人じゃ作れない!!」
「……つまり、仲間がいればいいってこと?」
「えっ?」
「……一人、料理もお菓子も作ってくる人がいる」
「だ、誰?」
「……Fクラスの姫路」

 ふと後ろを振り返れば、いつの間にかボクのクラスメイトは居なかった。
 察しのいい優子は秘密裏にFクラスの瑞希ちゃんへと連絡を取りに教室から姿を消していた。


to be continued...

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