最終更新:ID:1zIedsflpw 2015年02月13日(金) 18:39:49履歴
時間は少し経ち、俺と秀吉は家を出てそのまま木下家に向かう道を歩いていた。
秀吉は昨日乱暴されたせいでカッターシャツが破けていたから俺のパーカーを貸しておいた。
普通は身体のラインが見えるようなパーカーなんだが、明らかにツーサイズほどでかいパーカーを制服の上から着ている秀吉は袖から手が出ていない事もあり、どこか可愛らしい。
ブレザーがあれば良かったんだが、二学期の季節はまだ秋に向かう最中、体育祭が終わってもまだまだ残暑は残る。
なので俺たちはまだ夏服の半袖を着ているのだ。
「で、その時異端審問にかけられた明久がの―」
俺は秀吉と他愛もない話をしながら、道を歩いて行たが、ふと秀吉から明久の話が出たのに思わず昨日の事を思い出してしまった。
〈・・ワシには好きな人がいるんじゃ!〉
あれは誰なんだろうか、今までのコイツの行いからして明久が一番その好きな人とやらに近いのでは無いだろうか。
秀吉とは、一年の時から一緒だが明久の何気ない一言で頬を赤らめたり、異性にあまり興味を持って無さそうな態度を見るなり明久が一番近い存在だろうな。
色々と女子と秀吉と男子にモテる明久には別に嫉妬はしないが、明久が幸せになるのはイラつくな・・・
まあ、それは置いておき素直に秀吉が明久を好きなのだと俺に話してくれれば、親友として俺はサポートしてやりたい。
同性愛に賛成な訳では無いが、なんとなく秀吉はそのカテゴリーに入らないような気がするからな。
だがコイツは島田のように人前では認めないような性格なのか或いは無意識で好きになってしまい、昨日に漸く本音を漏らしたと言う所なのか、どちらにしろ俺には絶対に話さないと思う。
そう言う事なら、俺は何もしない方が良い。
が、あれを聞いてしまった以上何かしてやりたくなるんだよな・・・
「雄二?」
いつものように考え事をしていた俺に不意に秀吉から声がかかる。
俺は、知恵を働かせる事には自信はあるが一度考え込むと周りが見えてない事が多い。気を付けないとな。
「っと、悪い・・・何だっけか」
「聞いておらんかったか・・・もう一度言うぞ」
「あ、ああ・・・すまん」
「昨日は、雄二が来てくれて本当に嬉しかった・・・」
「え?」
「雄二はワシがピンチになったらいつも来てくれるの、男のワシにとって・・・こんな言葉じゃあんまりピンとこんかも知れんが」
そうだったか?あまり記憶が無い・・・チンピラにはチンピラを、と明久が言うように暴力沙汰は俺が大体解決してるからか?
息を吸うように間を空けた秀吉が言葉を紡ぐ。
「雄二はワシにとっての王子様なのじゃ」
その純粋な瞳を見る限り演技でもないだろう、頬を赤らませて本当に嬉しそうに満面の笑みで俺に向かって恥ずかしい台詞を言う秀吉に俺は目を奪われた。
くそっ、顔が熱い・・・・
それからは先程の秀吉の言葉のせいで、始終妙な気分になりながら数分後漸く木下家の門前に着いて俺は家に戻ろうとした。
昨日はあまり寝れなかったから昼寝もしたいし、午後からはAクラスに勝つために勉強をしないといけないからな。
「じゃ、俺は此処で・・・」
「何を言うのじゃ、雄二。暑い中わざわざ着いて来てくれたのだし、そのまま返すのは木下家の一員として申し訳ない。茶菓子くらいは出そうではないか」
うーん、此処は出来れば遠慮をしたいとこだが(主に翔子に見つかったら不味いので)秀吉は見た目に似合わず割りと頑固な所があるから、此処で拒否をしても暑い中無駄に口論になるだけだろう。
俺は素直に言葉に甘える事にした。秀吉の家に入るのも久しぶりだしな。「ん・・・?そうか?なら、少しだけ、邪魔するか」
「うむ、日頃の感謝を込めてそれくらいはさせてくれ」
そうして、俺は約一年ぶり?に木下家にお邪魔した。
ってな訳で、俺は木下家の玄関に上がり秀吉に促されるままにリビングに連れてかれて――
「お邪魔するぞ」
「うむ、ただいまなのじゃ・・・・って姉上!?」
「ん・・・・秀吉、帰ったの・・・・さ、坂本くん!?」
「えーと・・・・・」
リビングに入ると、木下姉はソファーで寝てた。
いや、寝てただけなら良い。昨日も遅くまで駅前で秀吉を探してたから、緊張が解けて疲れ果ててソファーで眠ってたって所だろう。
寝てるのは構わないんだが・・・・・・
寝てる服装が下着姿で更に、胸元に大事そうに『伝説の木の下で(以下略)』と書かれた腐女子が読んでいるような本(乙女小説?と言う物だろうか)を抱えているのだから、言葉が出ない。
「姉上、とりあえず服を・・・!」
あたふたとしながら、服を取ってくると二階に向かって行く秀吉。
俺は、気まずいので見ていないと言うように目を反らし身体ごと木下姉から90°回転させた。
「・・・み、み、見た!?」
声音が上澄み、明らかに動揺しているような木下優子さん。
コイツは、強気な態度以外は完璧な優等生だと思っていたんだが、飛んだ思い違いだったようだ。実はかなりズボラな腐女子らしい。
唯一の常識人だと思ってたのでちょっとショックだ
さて日頃、秀吉を痛めつけてる所を見る限りコイツは翔子と同類のタイプだ。
此処でソファーから起き上がり、側にあった毛布を掴みながら身体を隠している所まで見ていたと正直に言えば、アイアンクローをお見舞いされるだろう。
明久のようなドジは踏まないのが賢い俺だ。
「いや、見てない・・・ライトブルーのブラなんか見てないです」
「バッチリ見てるじゃない!?」
思わず、下着の色を当てて敬語になってしまった。
動揺するな、坂本雄二。
唯一の俺の冷静さと言う長所が損なわれつつあるぞ・・・上手く誤魔化せ、坂本雄二。
「これがメンタリズムです」
お前はどこのメンタリストだ。
「そんな下着の色を見てないけど心理学で当てたみたいなアピールしないでよ!」
分かってる・・・明久に負けず劣らず、我ながら酷い言い訳なのは分かってるからつっこまないでくれっ・・・
不味いな、何か言い訳を考え無ければ、このままだとただの変態だ。
「大丈夫だ、木下姉。俺は・・・・」
何かを考えろ・・・坂本雄二。お前はやれば出来るやつだっ!「巨乳派だ」
「歯食い縛りなさい」
同時に木下姉の素早い右ストレートが俺の頬に食い込んだ。
良いパンチだ・・・っ
俺の頑丈な筈の頬骨からはバキッと何かが砕けたような奇妙な音がし、俺は一撃で床に倒れた。
悪鬼羅刹と言う二つ名を持ち、中学時代は拳を振るっていた俺だが、それは今まで対峙した相手のどんな拳よりも強烈だった。
朦朧とした意識の中で、木下姉を見上げるとそれは水玉模様のパン―――――くっ・・・・
秀吉は昨日乱暴されたせいでカッターシャツが破けていたから俺のパーカーを貸しておいた。
普通は身体のラインが見えるようなパーカーなんだが、明らかにツーサイズほどでかいパーカーを制服の上から着ている秀吉は袖から手が出ていない事もあり、どこか可愛らしい。
ブレザーがあれば良かったんだが、二学期の季節はまだ秋に向かう最中、体育祭が終わってもまだまだ残暑は残る。
なので俺たちはまだ夏服の半袖を着ているのだ。
「で、その時異端審問にかけられた明久がの―」
俺は秀吉と他愛もない話をしながら、道を歩いて行たが、ふと秀吉から明久の話が出たのに思わず昨日の事を思い出してしまった。
〈・・ワシには好きな人がいるんじゃ!〉
あれは誰なんだろうか、今までのコイツの行いからして明久が一番その好きな人とやらに近いのでは無いだろうか。
秀吉とは、一年の時から一緒だが明久の何気ない一言で頬を赤らめたり、異性にあまり興味を持って無さそうな態度を見るなり明久が一番近い存在だろうな。
色々と女子と秀吉と男子にモテる明久には別に嫉妬はしないが、明久が幸せになるのはイラつくな・・・
まあ、それは置いておき素直に秀吉が明久を好きなのだと俺に話してくれれば、親友として俺はサポートしてやりたい。
同性愛に賛成な訳では無いが、なんとなく秀吉はそのカテゴリーに入らないような気がするからな。
だがコイツは島田のように人前では認めないような性格なのか或いは無意識で好きになってしまい、昨日に漸く本音を漏らしたと言う所なのか、どちらにしろ俺には絶対に話さないと思う。
そう言う事なら、俺は何もしない方が良い。
が、あれを聞いてしまった以上何かしてやりたくなるんだよな・・・
「雄二?」
いつものように考え事をしていた俺に不意に秀吉から声がかかる。
俺は、知恵を働かせる事には自信はあるが一度考え込むと周りが見えてない事が多い。気を付けないとな。
「っと、悪い・・・何だっけか」
「聞いておらんかったか・・・もう一度言うぞ」
「あ、ああ・・・すまん」
「昨日は、雄二が来てくれて本当に嬉しかった・・・」
「え?」
「雄二はワシがピンチになったらいつも来てくれるの、男のワシにとって・・・こんな言葉じゃあんまりピンとこんかも知れんが」
そうだったか?あまり記憶が無い・・・チンピラにはチンピラを、と明久が言うように暴力沙汰は俺が大体解決してるからか?
息を吸うように間を空けた秀吉が言葉を紡ぐ。
「雄二はワシにとっての王子様なのじゃ」
その純粋な瞳を見る限り演技でもないだろう、頬を赤らませて本当に嬉しそうに満面の笑みで俺に向かって恥ずかしい台詞を言う秀吉に俺は目を奪われた。
くそっ、顔が熱い・・・・
それからは先程の秀吉の言葉のせいで、始終妙な気分になりながら数分後漸く木下家の門前に着いて俺は家に戻ろうとした。
昨日はあまり寝れなかったから昼寝もしたいし、午後からはAクラスに勝つために勉強をしないといけないからな。
「じゃ、俺は此処で・・・」
「何を言うのじゃ、雄二。暑い中わざわざ着いて来てくれたのだし、そのまま返すのは木下家の一員として申し訳ない。茶菓子くらいは出そうではないか」
うーん、此処は出来れば遠慮をしたいとこだが(主に翔子に見つかったら不味いので)秀吉は見た目に似合わず割りと頑固な所があるから、此処で拒否をしても暑い中無駄に口論になるだけだろう。
俺は素直に言葉に甘える事にした。秀吉の家に入るのも久しぶりだしな。「ん・・・?そうか?なら、少しだけ、邪魔するか」
「うむ、日頃の感謝を込めてそれくらいはさせてくれ」
そうして、俺は約一年ぶり?に木下家にお邪魔した。
ってな訳で、俺は木下家の玄関に上がり秀吉に促されるままにリビングに連れてかれて――
「お邪魔するぞ」
「うむ、ただいまなのじゃ・・・・って姉上!?」
「ん・・・・秀吉、帰ったの・・・・さ、坂本くん!?」
「えーと・・・・・」
リビングに入ると、木下姉はソファーで寝てた。
いや、寝てただけなら良い。昨日も遅くまで駅前で秀吉を探してたから、緊張が解けて疲れ果ててソファーで眠ってたって所だろう。
寝てるのは構わないんだが・・・・・・
寝てる服装が下着姿で更に、胸元に大事そうに『伝説の木の下で(以下略)』と書かれた腐女子が読んでいるような本(乙女小説?と言う物だろうか)を抱えているのだから、言葉が出ない。
「姉上、とりあえず服を・・・!」
あたふたとしながら、服を取ってくると二階に向かって行く秀吉。
俺は、気まずいので見ていないと言うように目を反らし身体ごと木下姉から90°回転させた。
「・・・み、み、見た!?」
声音が上澄み、明らかに動揺しているような木下優子さん。
コイツは、強気な態度以外は完璧な優等生だと思っていたんだが、飛んだ思い違いだったようだ。実はかなりズボラな腐女子らしい。
唯一の常識人だと思ってたのでちょっとショックだ
さて日頃、秀吉を痛めつけてる所を見る限りコイツは翔子と同類のタイプだ。
此処でソファーから起き上がり、側にあった毛布を掴みながら身体を隠している所まで見ていたと正直に言えば、アイアンクローをお見舞いされるだろう。
明久のようなドジは踏まないのが賢い俺だ。
「いや、見てない・・・ライトブルーのブラなんか見てないです」
「バッチリ見てるじゃない!?」
思わず、下着の色を当てて敬語になってしまった。
動揺するな、坂本雄二。
唯一の俺の冷静さと言う長所が損なわれつつあるぞ・・・上手く誤魔化せ、坂本雄二。
「これがメンタリズムです」
お前はどこのメンタリストだ。
「そんな下着の色を見てないけど心理学で当てたみたいなアピールしないでよ!」
分かってる・・・明久に負けず劣らず、我ながら酷い言い訳なのは分かってるからつっこまないでくれっ・・・
不味いな、何か言い訳を考え無ければ、このままだとただの変態だ。
「大丈夫だ、木下姉。俺は・・・・」
何かを考えろ・・・坂本雄二。お前はやれば出来るやつだっ!「巨乳派だ」
「歯食い縛りなさい」
同時に木下姉の素早い右ストレートが俺の頬に食い込んだ。
良いパンチだ・・・っ
俺の頑丈な筈の頬骨からはバキッと何かが砕けたような奇妙な音がし、俺は一撃で床に倒れた。
悪鬼羅刹と言う二つ名を持ち、中学時代は拳を振るっていた俺だが、それは今まで対峙した相手のどんな拳よりも強烈だった。
朦朧とした意識の中で、木下姉を見上げるとそれは水玉模様のパン―――――くっ・・・・
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